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「SONY INZONE M9」の大きな特長でもある直下型LEDバックライトによる96分割フルアレイ型ローカルディミングが、近年採用の多い1D型ローカルディミングと比較してどれくらい高画質なのか解説していきます。
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レビュー目次

1.SONY INZONE M9のHDR機能について
2.SONY INZONE M9のローカルディミングについて
3.SONY INZONE M9の96分割FALDを1D型と比較








SONY INZONE M9のHDR機能について

「SONY INZONE M9」はVESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDR 600を取得しています。または直下型LEDバックライトが採用し、96分割のローカルディミングに対応します。
SONY INZONE M9_HDR

「SONY INZONE M9」は映像ソース機器から常時、HDR信号を受け付けるように認識されますが、HDR映像の入力があると画像モードがHDRモードへ自動的に切り替わります。(OSDメニュー上では直前のSDR表示の画像モードで固定されて、その他はグレーアウト)
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HDRモードでは色設定のほぼ全てが排他利用(グレーアウト)になります。HDR映像ソースが入力されると輝度も自動制御になります。ゲームアシストの設定はSDR同様に調整可能です。
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「SONY INZONE M9」はDisplayPort1.4 DSCに対応しているので、最新グラフィックボードを搭載したゲーミングPCと接続した場合、4K/144HzのHDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
SONY INZONE M9_HDR_4K-144Hz_DP_HDR_10bit-RGB
また「SONY INZONE M9」のHDMI2.1ビデオ入力の伝送レートはフルスペックの48Gbpsではなく40Gbpsですが、視覚損失のない非可逆圧縮機能 Display Stream Compression (DSC) 1.2aに対応しています。
SONY INZONE M9_HDMI2.1_spec
最新グラフィックボードと接続した場合、4K/120Hz/HDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。DSC1.2aには対応していますがカラーフォーマットはRGB 10bitが上限となり、RGB 12bitは選択できません。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
SONY INZONE M9_HDR_4K-120Hz_HDMI_10bit-RGB

VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「SONY INZONE M9」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
SONY INZONE M9_VESA DisplayHDR Compliance Tests (1)
SONY INZONE M9_VESA DisplayHDR Compliance Tests (2)

近年のモニタにおいてHDRモードのディスプレイ輝度は高輝度領域の広さや高輝度表示の継続時間に依存するので、i1 Display Pro Plusを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。なお持続最大輝度は十数秒後で測定しているのでもう少し下がる可能性もあります。

「SONY INZONE M9」はローカルディミングをゲームや映像に最適な”高”設定にした場合、10%部分で700cd/m^2以上、全体で860cd/m^2以上という非常に高い輝度を発揮できました。いずれも短時間のピーク輝度ではなく少なくとも1,2分では輝度低下せず持続可能です。VESA DisplayHDR 600の基準を余裕でクリアしています。
ちなみにローカルディミングを”低”や”オフ”にしても最大で860cd/m^2以上の高輝度を発揮できます。
SONY INZONE M9_brightness_hdr
「SONY INZONE M9」は実測最大で860cd/m^2以上の非常に高い輝度と、後述の96分割ローカルディミングによってHDR表示が可能なので、下写真の中央の爆炎のような表現は非常にリアルで迫力を感じました。
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SONY INZONE M9のローカルディミングについて

「SONY INZONE M9」は直下型LEDバックライトが採用され、96分割のローカルディミングに対応します。
このローカルディミングに関するOSD設定として、そのままの名前で「ローカルディミング」があります。設定値はオフ/低/高の3段階です。
”高”はHDR対応のゲームや動画視聴に最適なモードで、”低”は写真編集などデスクトップ作業に最適なモードです。
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まず分かりやすいところから、ローカルディミングをオフにした状態と、オン(高)にした状態を比較した動画が次のようになっています。
白い四角や丸の輝点が動きますが、ローカルディミングをオフにした状態では常にバックライトが点灯していて黒表示部分が浮いているのに対し、ローカルディミングをオンにすると、輝点付近のバックライトのみが点灯するので、黒の表現力が高まっています。
フルアレイ型とはいえ96分割程度なので、輝点の輪郭を超えてバックライトが点灯するハローがそこそこありますが。


「SONY INZONE M9」のローカルディミングでは黒色表示であってもバックライトは完全には消灯しませんが、”高”設定において理想的な状態の黒色輝度は0.01cd/m^2程度なので、室内照明が点灯していればバックライトの完全消灯と見分けは付きません。
なおHDR映像ソースに対してローカルディミングを”オフ”にするとブラックレベルは0.93cd/m^2程度となり、ほぼ1cd/m^2なので室内照明がついていてもバックライトの点灯をハッキリ認識できます。
HDR映像ソースではディスプレイ輝度を調整できないので、ローカルディミングは”高”か”低”の2択だと思います。

現在10万円程度で販売されている4K/144Hz対応ゲーミングモニタの多くは、ローカルディミングに対応していても短冊状の1D型かつ分割数が10~20程度なので、輝点に対してかなりの広範囲でバックライトが点灯してしまうのがかなり微妙でした。
下の比較動画の通り96分割でローカルディミングに対応した「SONY INZONE M9」の良さは一目瞭然です。
(比較に使える手持ちの機材がLG 27GN950-Bと少し古いモデルだったので少々バックライトの追従が遅いのですが)


ちなみに少し前に当サイトでレビューした「Acer Predator X32 FP」は576分割のローカルディミングに対応しており、96分割の「SONY INZONE M9」と比較するとこんな感じです。
やはり輝点に対するハローを考えるとフルアレイ型ローカルディミングの場合、500~1000分割くらいの解像度は欲しいところです。実際のゲーム画面でも576分割ローカルディミングのほうがコントラストが効いて迫力のある絵になるというのは動画を見ての通り予想が付くと思います。



デスクトップ向け/ゲーム向けなどローカルディミングの動作設定において主に調整されるのは『バックライトの速さ(更新頻度)』と『輝点に対するカバー領域』の2つです。あとピーク輝度や理想ブラックレベル(バックライトの最小輝度)も変わることがあります。

PCゲーミングや映像に最適な”高”と、デスクトップ作業に最適な”低”を比較した動画です。
「SONY INZONE M9」にはローカルディミング有効の設定として”低”と”高”の2種類が用意されていますが、設定を変更すると、バックライトの速さ(更新頻度)はそのままで、輝点に対するカバー領域が変化します。
輝点に対して広くカバーされるので”低”のほうがハローが大きいですが、高速に動く輝点に追従する彗星の尾の長さやバックライト更新によるチラつきは同等です。(輝点が動いた時に隣の領域が広く点灯するのでそれをチラつきと感じやすいですが。)
加えて最大輝度は同等ですが、理想ブラックレベルは”高”が0.01cd/m^2に対して、”低”では0.17cd/m^2に引き上がります。


ローカルディミング、液晶バックライトの部分駆動は、明部暗部の境界を超えて明るく/暗くなったり、マウスカーソルのような小さい輝点に反応したりして、デスクトップ作業のように明暗の領域が綺麗に分かれるシーンでは違和感を覚えることがあります。
「SONY INZONE M9」ではローカルディミングは2次元型で96分割なので縦横で言うと分割数は14×7程度しかありません。

「SONY INZONE M9」はローカルディミングを有効にしても白色など明るい色や完全な黒色であれば、マウスカーソルのような小さい輝点に対するバックライトの挙動も軽微で、境界も明るい方に引っ張られて暗い方のバックライトが多少点灯する傾向があるものデスクトップ作業に耐える動作だと感じました。

ただしローカルディミング設定の”高”においては、黒寄りのグレー、暗い中間色が広く分布しているとバックライトで白浮きする感じになり、この状態だとマウスカーソルのような小さい輝点に反応してバックライトがチラつきました。
ダークモードなど黒寄りのグレーのUIの場合、白色文字などが分布している領域であれば特に問題ないのですが、単色が広がっている部分にマウスカーソルがいくとバックライトがチラつきます。

こういったデスクトップ作業におけるバックライト周りの違和感はローカルディミング設定を”低”にすることで解消できると思います。




SONY INZONE M9の96分割FALDを1D型と比較

「SONY INZONE M9」のHDR機能についての概要や、基本的なローカルディミングの動作について確認できたので、ここからは実際のゲーム画面や写真を用いて96分割のフルアレイ型ローカルディミングの実力を1D型ローカルディミングと比較していきます。

最初に少し補足しておくと、96分割しかないとはいえ「SONY INZONE M9」のフルアレイ型ローカルディミングも決して悪くありません。
特にPS5のメニューはフルアレイ型LDではバックライト浮き、バックライト更新のチラつきが気になりやすいシーンですが、流石は同じSONY製と言うべきか、バックライトのカバー範囲や更新速度が上手く最適化されていて、PS5のメニューもバックライトの動きに違和感を覚えず操作できました。


576分割の「Acer Predator X32 FP」だとゲームプレイの大部分は非常に迫力のある絵が楽しめるのですが、PS5メニューやゲーム内システムメニューではバックライトのチラつきやハローが気になります。(この辺りは大型液晶テレビも含めて製品に依ると言えばそうですが)



PlayStation 5のHDRオンでモニタのローカルディミング機能を有効にして静止画を表示し、「SONY INZONE M9」の96分割FALDを1D型と比較してみました。
まずは「SONY INZONE M9」と1D型モニタを横並びにして撮影した比較です。比較に使用しているのは同じくVESA DisplayHDR 600認証を取得しているLG 27GN950-Bです。
接続帯域がHDMI2.0になりますがHDMIスプリッタを使用してPlayStation 5から同じ映像データを送っています。なおHDR調整は「SONY INZONE M9」に最適化しています。
照明の映り込みを防止するため室内照明を切っていますが、すぐ下の写真のように2つのモニタを横並びにした状態で撮影しています。
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1D型は短冊状にバックライトが制御されるので、縦並びでどこかに高輝度表示があるとバックライトが高輝度点灯となり暗い表示の部分がボンヤリと白く浮いてしまいます。
96分割程度ではあるものの、「SONY INZONE M9」はフルアレイ型で2次元に部分制御されるので、コントラストが高く、立体感(奥行き)のある絵になっていると思います。
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HDMIスプリッタを使用した方法だとPlayStation 5のHDR調整を片方に合わせることになるので、個別にHDR調整をして共通のカメラ露出設定で撮影し、スライド比較を作成しました。
記事内のサムネイルでは違いが分かり難いかもしれないので、幅3840の大きいサイズの画像によるスライド比較もリンクを載せておきます。【比較1比較2比較3比較4比較5比較6比較7比較8

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ

原寸画像のスライド比較へ


最後にアンチャーテッド トレジャーハンターコレクション(海賊王と最後の秘宝)のHDRゲームプレイ画面を横並びで動画撮影して、SONY INZONE M9と1D型モニタを比較してみました。
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以上、『SONY INZONE M9の96分割FALDを1D型と徹底比較』でした。
「SONY INZONE M9」については今回抜粋したローカルディミング以外についても解説した詳細レビューを公開しているのでこちらも参考にしてみてください。
「SONY INZONE M9」をレビュー。96分割FALDに15万円の価値はあるか
SONY INZONE M9



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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