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Intel第11世代TigerLake採用でグラフィック性能が2倍になったCore i7-1165G7/RAM 16GB/SSD 512GBを搭載する「Surface Pro 7+(型番:1ND-00028)」をレビューします。
記事後半ではXeアーキテクチャの統合グラフィックスを内蔵するIntel第11世代TigerLakeを搭載することによって、前世代Surface Pro 7無印版と比較してグラフィック性能がどれくらい伸びたのか、性能比較の検証も行います。
製品公式ページ:https://www.microsoft.com/ja-jp/surface/business/surface-pro-7-plus
「Surface Pro 7+」は2021年2月現在、法人・教育機関向けモデルのみが発売されており、Amazonやヨドバシカメラといった一般通販では購入できません。
通常は法人向けリテイラーを通して法人や教育機関が購入するしか手はないのですが、マイクロソフト公式通販でも「Surface Pro 7+」の法人向けモデルの取り扱いがあり、意外なことに個人アカウントで特に問題なく購入できました。
ただしマイクロソフト公式通販から通常注文を行う場合は、Office Home & Business 2019(シリアルコード版)のセット購入が必須となります。
Surface Pro 7+ レビュー目次
1.Surface Pro 7+について
2.Surface Pro 7+の外観・付属品
3.Surface Pro 7+の性能
・Surface Pro 7+のCPUやiGPUについて
・Surface Pro 7+のベンチマーク比較
・Surface Pro 7+のストレージ性能
・Surface Pro 7+のバッテリー持続時間
4.Surface Pro 7+のレビューまとめ
Surface Pro 7+ について
最初にSurface Pro 7+の概要を紹介しておきます。「Surface Pro 7+」の製品バリエーションは搭載CPUとメモリ・ストレージの容量別で展開されています。
「Core i3-1115G4, 4GB RAM, 128GB」、「Core i5-1135G4, 8GB RAM, 256GB(LTE Advancedを選択可能)」、「Core i7-1165G7, 16GB RAM, 512GB」などがラインナップされており、最大では「Core i7-1165G7, 16GB RAM, 1TB」も選択できます。
Surface Pro 7+ ラインナップ一覧 | |||||||
OS | Windows 10 Home (1903) |
||||||
CPU | Intel 第11世代 Core i3-1115G4 |
Intel 第11世代 Core i5-1135G7 |
Intel 第11世代 Core i7-1165G7 |
||||
コア スレッド数 |
2コア4スレッド | 4コア8スレッド | |||||
iGPU | Intel UHD Graphics (EU数:48) |
Intel Iris Xe Graphics (EU数:80) |
Intel Iris Xe Graphics (EU数:96) |
||||
冷却ファン |
ファンレス |
ファンあり |
|||||
メモリ | 4GB | 8GB | 16GB | 16GB / 32GB (1TBのみ) |
|||
ストレージ | 128GB | 128GB | 256GB | 256GB | 512GB | 1TB | |
LTE | - | 選択可能 (+2万円ほど) |
- | ||||
重量 | 770g (LTE: 796g) |
784g | |||||
価格 | 10.9万円 | 12.6万円 | 14.8万円 | 18.7万円 | 19.7万円 | 24.0万円 | 28.9万円 |
また本体のカラーバリエーションはプラチナとブラックの2色ですが、ブラックカラーは一部モデル(スペック)に限定されます。
Surface Pro 7+で選択可能な最上位CPUのCore i7-1165G7についてはiGPUに「Intel Iris Xe Graphics(EU数:96)」が採用されています。
グラフィック実行ユニットであるEU数そのものの増強に加えて、コアクロックの向上や新アーキテクチャの採用により、前世代Core i7-1065G7のiGPUと比較して2倍近いグラフィック性能を実現しています。
Intel第10世代CPUを採用するSurface Pro 7ではバッテリー駆動時間の公称値が10.5時間でしたが、最新の第11世代CPUを採用する「Surface Pro 7+」はWiFiモデルで15時間、LED Advanced対応モデルで13.5時間のバッテリー駆動時間を実現しています。
12.3インチ2736x1824解像度のPixelSenseディスプレイ、USB Type-C(DP Alt Mode対応)ポート搭載、無線LANが最大通信速度2400MbpsのWiFi6(802.11ax)対応など、その他の仕様については概ねSurface Pro 7と共通です。
「Surface Pro 7+」では3~7世代のペンとタイプカバーも引き続き使用できます。
5/6世代向けのペンとタイプカバーのカラーバリエーションはブラック、ブラウン(Burgundy)、グレー(Platinum)、グリーン(Cobalt Blue)の4種類、Surface Pro 7の発売に合わせて、タイプカバーとペンとマウスに、ポピーレッドとアイスブルーの2つの新色が加わっています。ブラック以外の3色は「Surface Pro Signature Type Cover」と名付けられており、キーストロークは1.3mmで表面の材質はスエード調のAlcantara素材です。
Surface Pro 7+の外観・付属品
まずは「Surface Pro 7+」の外観や付属品についてチェックしていきます。Surface Pro 7無印版は一般コンシューマ向け製品でしたが、「Surface Pro 7+」は今のところ法人・教育機関向け限定モデルのためか、製品イラストが描かれた化粧箱ではなく、茶色段ボール箱で梱包されており、このパッケージに配送伝票を直接貼り付ける形でマイクロソフト公式通販より発送されました。
N式箱の蓋を開くと、不織布の袋に包装されたPC本体が現れ、その下には茶色の小分けパッケージで各種付属品が収められています。
「Surface Pro 7+」の付属品は簡易マニュアルの入った小分けパッケージと充電用ACアダプタ&ACケーブルのみと非常にシンプルです。ACアダプタは従来モデルと同じです。
なおSurface Pro 7無印版にはOfficeコードが付属していましたが、「Surface Pro 7+」の法人向けモデルには付属しません。冒頭で説明したようにマイクロソフト公式通販から購入する場合は、Office Home & Business 2019(シリアルコード版)のセット購入が必須となり、シリアルコードはマイクロソフト公式通販の注文履歴から確認できます。
「Surface Pro 7+」の外形は、前モデルのSurface Pro 7無印版やさらに遡ってSurface Pro 5(2017)と基本的にほぼ同じです。PC本体のサイズはA4用紙に近い横292mm×縦201mmで厚みは8.5mmとなっています。
「Surface Pro 7+」のカラーバリエーションはプラチナ(シルバー)とブラックの2色です。
Surface Pro 3から使い続けていたので、馴染み深いプラチナをずっと選択してきていたのですが、今回はCore i7&512GB SSDのモデルはプラチナが国内では販売されていない(もしくは注文時に完売していた)ためブラックを選択しました。
背面に傷が付くとブラックのほうが気になりそうですが、アウトボックス時の高級感はブラックの方が上だと思います。かなり艶っぽくて思いのほかに良い感じです。
「Surface Pro 7+」にはここ数世代の従来モデルと同じく、12.3インチ2736×1824解像度のPixelSenseディスプレイが搭載されています。周囲光を感知し、照明条件に合わせて自動的に輝度を調整する機能も備わっています。管理人は邪魔くさいのでオフにしていますが。
「Surface Pro 7+」のディスプレイパネルは従来モデルと同様に発色と視野角ともに良好です。
本体サイズおよび画面サイズが共通なので当然ながら、液晶モニタの非表示領域も前モデルと同じです。
液晶モニタの輝度についてSurface Pro 7+(左)とSurface Pro 7無印版(右)を比較してみました。下写真2枚のうち上が輝度50%、下が輝度100%です。Surface Pro 7+とSurface Pro 7無印版の輝度は、液晶パネルやバックライトの個体差を除けば完全に一致といって良いと思います。
Surface Pro 7+の右側面には電源端子、USB3.0(USB3.1 Gen1) Type-A端子、さらに第6世代以前の旧モデルで搭載されていたMini-DisplayPort出力の代わりとして、7+や7無印版では新たにDisplayPort Alternate Modeによるビデオ出力にも対応したUSB 3.1 Gen2 Type-C端子が設置されています。
電源端子はSurface Pro 6以前から採用されているものと共通規格が維持されています。有線LANやUSB端子を増設可能な公式ドック「Surface ドック (PD9-00009)」や、USB Type-AやMini DisplayPortがそれぞれ4基のUSB Type-Cポートに置き換わった後継モデル「Surface ドック 2 (SVS-00013)」は引き続き使用可能です。
「Surface Pro 7+」の外観やI/Oポートは基本的にSurface Pro 6やSurface Pro 5(2017)と共通ですが、内部ハードウェアを含めた変更点の中の大きな1つとして、I/OポートにUSB 3.1 Gen2 Type-C端子が加わっています。
USB 3.1 Gen2 Type-C端子はDisplayPort1.2規格互換となるDP Alt(DisplayPort Alternate) Modeのビデオ出力に対応しており、変換アダプタを使用することによって、「Surface Pro 7+」の本体ディスプレイを含めたトリプルモニタを構築可能です。
「Surface Pro 7+」の左上側面には3.5mmヘッドホンジャックのみが設置されています。
「Surface Pro 7+」の電源スイッチは従来モデル同様に左上に設置されています。ボリュームキーについては左が+、右が-になっています。一般にボリューム大が右なので、このレイアウトはSurface Pro 5(2017)から疑問が残ります。
従来モデル同様に「Surface Pro 7+」でもキックスタンドの裏(表から見て右裏)にはMicroSDのスロットが設置されています。なお「Surface Pro 7+」ではSSDスロットとの兼ね合いでSDスロットの位置が若干変化して、キックスタンドのヒンジの真下にあります。
Nintendo Switch用ストレージとしても当サイトで推奨している「Samsung MicroSDXC EVO Plus」を使用すれば最大で512GBのデータストレージを増設できます。
Samsung MicroSDXC EVO Plusシリーズなら512GBの国内正規品が1万円程度で購入できるので、速度にこだわらなければ、Surface Pro 7+の大容量SSD搭載モデルを選ぶよりも、大容量MicroSDを都度増設する方が容量単価的にコスパが高いです。
最新CPUへの更新が最大の特長であることは間違いありませんが、「Surface Pro 7+」は内蔵ストレージが交換可能になったところも地味に見逃せないポイントです。
SDスロットの真下に内蔵ストレージカバーがあります。カバーはマグネット固定なので、左下の小さい穴に細いドライバーなどを刺すと、ネジ下にあるピンが起き上がって蓋が開きます。SSD自体はT3のトルクスネジで固定されているので専用ドライバーが必要です。
「Surface Pro 7+」の内蔵ストレージはM.2 2230規格のNVMe M.2 SSDとなっており市販はされていませんが、eBayなどを利用すればKIOXIA(旧TOSHIBA) BG4というSSDが見つかります。最大容量の1TBモデルでも200ドル程度で購入できるので、各自でアップグレードできるのであればかなりのコスパ改善になります。
「Surface Pro 7+」のキックスタンドは従来モデル通り最大角度165度まで開くことが可能です。
「Surface Pro 7+」では着脱式キーボードのタイプカバー用端子も従来モデル同様です。
Surface Pro 3と一緒に発売されたタイプカバーも「Surface Pro 7+」で使用することが可能です。ただし新モデルのタイプカバーの方がキーストロークやたわみ軽減などの改良で使いやすくなっているのであえて旧モデルを使い続ける意味はないかも。
管理人はこの紫色が好きなので昨年まで使っていましたが、ついにキーカバーが取れて壊れたので新型のアイスブルーに買い替えた次第です。新構造で紫色も復刻して欲しい……。
Surface Pro 7+の液晶画面はガラスなので映り込みの多い光沢画面ですが、管理人はアンチグレアの方が使いやすい派なので、アンチグレアの液晶保護フィルムを貼っています。
最近ではアンチグレア処理のディスプレイ保護用強化ガラスも販売されています。Nintendo Switchではそのタイプが重宝しているのですが、Surface Pro 7+は頻繁に持ち運んで雑に扱うことも多くすぐに端を割ってしまいそうなので管理人はあえてPETフィルムを使っていますが。
表面の液晶保護フィルムに加えて背面についても専用の保護フィルムが販売されているので貼っています。タブレットPCは背面も傷が付きやすいので保護フィルムはオススメです。管理人はPDA工房から販売されている「Surface Pro 7+ スキンシール 透明・すりガラス調」を貼っていました。
プラチナにはこのすりガラス調フィルムが非常にマッチするのですが、やはりというか、ブラックのほうは気泡が目立ってしまい微妙でした。ブラックカラーで背面を保護したい人は、不透明なスキンシールのほうがオススメです。管理人も貼り替えを悩んでいます。
重量についてはSurface Pro 7+ Core i7版が793g、Surface Pro 7 Core i7版は796gでした。数gの差がありますが、「Surface Pro 7+」は背面保護フィルムをまだ貼っていなかったのでその差だと思います。
Surface Pro 7+の性能比較
続いてCore i7-1165G7/RAM 16GB/SSD 512GBを搭載する「Surface Pro 7+」のCPU/GPU/SSDなど内蔵ハードウェアの仕様や性能についてチェックしていきます。ちなみに一部機能拡張の対応のみで性能には直結しませんが、Surface Proシリーズの一般コンシューマモデルではWindows 10 Homeがインストールされていますが、「Surface Pro 7+」の法人向けモデルにはWindows 10 Proがインストールされていました。OSバージョンは最新メジャーアップデートの20H2です。
Surface Pro 7+のCPUやiGPUについて
Surface Pro 7+ Core i7版にはIntel第11世代Tiger Lakeシリーズの「Core i7-1165G7」というCPUが搭載されています。2020年下半期に登場したばかりの最新CPUです。Core i7-1165G7は4コア8スレッドのCPUで、コアクロックはベースクロック2.8GHz、単コア最大ブーストクロック4.7GHz、全コア最大ブーストクロック4.1GHz、TDP28W(コンフィグラブルTDP-up)となっています。コアスレッド数は前世代Core i7 1065G7と同じですが、L3キャッシュ容量が12MBに増量されているところも注目ポイントです。
Surface ProシリーズのCore i7版各種のCPUスペックを一覧表にまとめると次のようになっています。コアスレッド数こそSurface Pro 6から引き続き4コア8スレッドのままですが、TDP自体の引き上げの影響もあるとはいえ、省電力性能に優れた最新アーキテクチャによってコアクロックが大幅に引き上げられているのが分かります。
Surface Proシリーズ Core i7版 CPU比較 | |||||
Surface Pro 7+ | Surface Pro 7 | Surface Pro 6 | Surface Pro 5 (2017) | Surface Pro 4 | |
CPU | Core i7-1165G7 | Core i7-1065G7 | Core i7-8650U |
Core i7-7660U |
Core i7-6650U |
コアスレッド数 | 4コア8スレッド |
2コア4スレッド | |||
ベースクロック | 2.8GHz | 1.5GHz | 1.9GHz | 2.5GHz | 2.2GHz |
全コア最大 |
4.1GHz | 3.5GHz | - | - | - |
単コア最大 |
4.7GHz | 3.9GHz | 4.2GHz | 4.0GHz | 3.4GHz |
キャッシュ |
12MB |
8MB |
4MB | ||
TDP |
28W (C TDP-up) |
25W (C TDP-up) |
15W | ||
iGPU | Iris Xe Graphics |
Iris Plus Graphics | UHD Graphics 620 |
Iris Plus Graphics 640 | Iris Graphics 540 |
EU数 | 96 | 64 | 24 |
48 | 48 |
動作周波数 |
1.300GHz | 1.100GHz | 1.150GHz |
1.100GHz | 1.050GHz |
eDRAM |
- |
- | - |
64MB | 64MB |
Intel Core i7-1165G7はPCメーカーによってCPU消費電力の上限を引き上げパフォーマンスを向上させるコンフィグラブルTDP-upに対応しており最大でTDP28WのCPUとして動作します。
「Surface Pro 7+」はタスクバーのバッテリーボタンからパフォーマンスとバッテリー維持のバランスをスライダーで設定できます。またACアダプタに接続している状態とバッテリー駆動の状態でもパフォーマンス(正確にはCPU電力設定)に差が出ます。
Core i7-1165G7はコンフィグラブルTDP-upでも最大でTDP28Wというのが建前ですが(近年のIntel製CPUではTDP=長期間電力制限PL1)、実際の電力制限についてチェックしてみると、ACアダプタ接続時の長期間電力制限PL1は30Wに設定されていました。また短期間電力制限Tau 28秒の範囲内であれば、最大で60Wが許容されています。短期間電力制限の範囲内であれば、動作倍率設定で許容されている全コア4.1GHzの動作も可能です。実際のところは数秒で温度制御が働きますが。
電源やパワープランで切り替わる項目の中でもCPU動作への影響の大きい、電力制限設定(PL1, PL2, Tau)、TDC、SpeedShift(低コアクロックでの省電力動作)のON/OFFは次のようになっています。
「Surface Pro 7+」では電源やパワープラン毎のCPU電力制限がより細かに設定されているのが分かります。性能への影響もそうですが、Core i7版は冷却ファンを搭載しているのでパワープランの切り替えで静音動作にも影響します。「Surface Pro 7+」はパワープランの推奨では特にPro7無印よりもファン動作が静かになりました。
パワープラン比較(PL1, PL2, Tau, TDC, SpeedShift) | |||
Pro 7+ | Pro 7 | ||
AC | 最大性能 | 30W, 60W, 28s, 105A, ON |
25W, 61W, 28s, 117A, OFF |
高性能 | 25W, 40W, 28s, 105A, ON |
25W, 61W, 28s, 117A, ON |
|
推奨 | 25W, 25W, 28s, 105A, ON |
25W, 61W, 28s, 117A, ON |
|
バッテリー | 最大性能 | 25W, 35W, 28s, 69A, ON |
25W, 61W, 28s, 60A, ON |
高性能 | 25W, 13W, 28s, 69A, ON |
25W, 61W, 28s, 60A, ON |
|
推奨 | 10W, 15W, 1s, 69A, ON |
13W, 15W, 1s, 60A, ON |
「Surface Pro 7+」に搭載されたCore i7-1165G7は単コア最大ブーストクロック(正確には2コアまで)が4.7GHzに設定されており、確かに低負荷で一部コアしか稼働しない状態では最大4.7GHzで動作するコアがありました。
一方でCinebenchや動画のエンコードといったCPU全コアへ負荷がかかるシーンでは、ACアダプタ接続かつパワープラン最大性能の場合、短期間電力制限PL2として60Wが許容されているので、短期間電力制限時間Tau 28秒の範囲内であれば、全コア4.1GHzで動作します。
ただし、「Surface Pro 7+」の場合はCPUクーラーの冷却性能に限界があるので28秒間でも全コア4.1GHz動作によるTDP45W相当の負荷に対して十分な冷却を行うことができず、CPU温度が臨界温度100度に達するため、温度制御によってコアクロック(CPU消費電力)に制限がかかります。
最終的に28秒が経過すると長期間電力制限PL1が機能し、CPU消費電力は30Wに制限されます。この時の全コア動作クロックの実動値は平均で3.5GHz程度です。
Surface Pro 7+ Core i7版に搭載されたIntel Core i7-1165G7でCinebench R15を実行すると、マルチスレッド性能がスコア960以上という、デスクトップ向けの4コア8スレッドCPUと大差ない性能を発揮しました。
またシングルスレッド性能がスコア226となっており(Surface Pro 7は184)、デスクトップ向けで単コア5.1GHzのCore i7 10700Kを上回り、単コア5.2GHzのCore i9 10900Kに迫る性能です。Intel第11世代CPUのIPC向上を如実に感じられる結果です。
余談ですが、近くに正式発表が予想されるIntelのデスクトップ向け第11世代Rocket Lake-Sの性能にも期待が膨らみます。
また長期間/短期間ともにCPU消費電力が25Wに制限されるAC電源かつパワープラン推奨においても、Cinebench R15のマルチスレッド性能はスコア800を超えています。
Core i7 1065G7搭載のSurface Pro 7は短期間電力制限によるCPU消費電力40Wのブーストを含めてもマルチスレッド性能がスコア780程度なので、Core i7-1165G7搭載の「Surface Pro 7+」は最大性能で上回るのは当然として、静音性の高い25W上限な動作でも上回り、第11世代アーキテクチャの省電力性能の高さもしっかりと感じられる結果です。
「Surface Pro 7+」のIntel Core i7-1165G7には内蔵GPU(iGPU)として「Intel Iris Xe Graphics(96EU)」が搭載されています。前モデルSurface Pro 7に搭載され「Intel Iris Plus Graphics(64EU)」に対して50%も多い96基のEUで構成されています。
Surface Pro 7+のCore i7-1165G7に統合された「Intel Iris Xe Graphic(94EU)」については従来から大幅にアップデートされた最新アーキテクチャ”Xe”が採用されているので単純な比較は難しいのですが、「EU(Execution Unit)」という名前のグラフィック実行ユニット(NVIDIA製GPUで言うところのCUDAコア的なもの)の数を比較すると、前世代Core i7-1065G7の「Intel Iris Plus Graphics(64EU)」は64基のEUを備えるのに対し、「Intel Iris Xe Graphic(94EU)」は94基のEUを備えています。
さらに動作クロックも1.1GHzから1.3GHzへ引き上げられているので、これだけでも単純計算で80%程度高いグラフィック性能があることがわかります。
Intelが公表した実PCゲームの公式ベンチマーク比較によると、「Intel Iris Xe Graphic(94EU)」は前世代「Intel Iris Plus Graphics(64EU)」と比較して2倍に近いグラフィック性能を発揮するようです。
Surface Pro 7+のベンチマーク比較
「Surface Pro 7+」について各種ベンチマーク比較をチェックしていきます。旧モデルのSurface Pro 7(Core i7/RAM 16GB/ 512GB)やSurface Pro 5(Core i7/RAM 16GB/ 512GB)やSurface Pro 3(Core i5/RAM 8GB/ 256GB)と各種ベンチマークで性能を比較しました。
まずは一般ユースにおけるPCシステムの総合的な性能を測定する最新版ベンチマークソフトPCMark 10 Extendedについて、「Surface Pro 7+」と旧Surface Proを比較してみました。
最新アーキテクチャのCPU&iGPUによって、Core i7-1165G7を搭載した「Surface Pro 7+」はSurface Pro 7よりも15~20%も高い性能を実現しています。TDP25Wピッタリで動作するAC電源/推奨でもブースト40Wに達するSurface Pro 7よりも余裕で高性能となっており、省電力性能の高さも見て取れます。
実際に使っていてもCore i7-1165G7搭載「Surface Pro 7+」は各種操作のサクサク感がさらにデスクトップPCに近づいたと感じました。
続いてiGPUの3Dグラフィック性能、PCゲーミング性能の検証として定番の3DMarkを使用して、「Surface Pro 7+」と旧Surface Proや既存iGPU/dGPUを比較してみました。「Surface Pro 7+」はACアダプタ駆動でパワープランを最大パフォーマンスとしています。
グラフィック性能比較で最もメジャーな3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」のグラフィックスコアについて、Core i7-1165G7搭載「Surface Pro 7+」を含めた各種GPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3DMarkのCPU統合グラフィックス向けDirectX12ベンチマーク「NightRaid」のグラフィックスコアについて、Core i7-1165G7搭載「Surface Pro 7+」を含めた各種GPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
既存のIntel製iGPUと比較して大幅な性能向上を果たしたとはいえ、ローエンド向けNVIDIA製dGPUのGeForce GT 1030やAMD製APUと比較すると、Surface Pro 7のCore i7 1065G7ですら見劣りしましたが、「Surface Pro 7+」のiGPUであるIntel Iris Xe Graphics(96EU)は製品スペックの通り前世代比で2倍に迫る性能向上を果たし、競合のAMD製APU各種もごぼう抜きしています。
3DMarkのDirectX12ベンチマークNightRaidでグラフィックスコアが20000をオーバーしているので、確かにIntelが公式ベンチマークで主張するように、ドラクエ10のような軽めのPCゲームならiGPUでもプレイできる性能を十分に実現しているようです。
Surface Pro 7+ Core i7版のグラフィック性能であれば、ドラクエXやe-Sports系の軽めのPCゲームなら快適にプレイすることができそうです。バッテリー駆動でも最大パフォーマンスにすればドラクエ10ベンチマークのスコアは12000をオーバーしました。
またFF14 漆黒のヴィランズのベンチマークを1600×900解像度/フルスクリーン/標準品質(ノートPC)で実行してみたところ、最大パフォーマンス設定のACアダプタ駆動においてスコアは9000程度でした。平均FPSは69FPS程度(Surface Pro 7の場合は43FPS程度)なので、そこそこ快適にプレイできそうです。
とはいえFF14 漆黒のヴィランズなど高画質なPCゲーム用にモバイルPCを購入するのであればGeForce GTX 1660やGeForce RTX 3060あたりを搭載したクラムシェル型PCを、ASUS/MSI/GIGABYTE等の市販モデルや、ドスパラ/マウスコンピューター辺りのBTO PCショップで購入する方が無難だと思います。
Surface Pro 7+のストレージ性能
「Surface Pro 7+」のストレージ性能についてチェックしてみました。「Surface Pro 7+」のCore i7/512GBモデルには「KIOXIA KBG40ZNZ512G」というNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDが搭載されています。型番が若干変わっていますがKIOXIA=旧TOSHIBA MEMORYなので、Surface Pro 7に搭載されていたTOSHIBA KBG40ZPZ512Gと中身はほぼ同じではないかと。
ストレージベンチマークの定番ソフトであるCrystalDiskMarkを実行してみたところ、連続読み出し2300MB/s、連続書き込み1400MB/sでした。M.2 2230という特殊な小型SSDのため、近年のPCIE3.0x4対応NVMe SSD(連続性能が3GB/s越え)としては若干低めな連続性能ですが、実用上は十分な水準だと思います。
またストレージの実用性能を検証するPCMark10 Storage Testを実行してみました。「Surface Pro 7+」のスコアは1105、Surface Pro 7は1129となっており、やはり内蔵SSDについては誤差程度の違いしかありません。Surface Pro 7のほうがスコアが若干高いのはAC駆動かつ最大パフォーマンスではSpeedShiftが無効化されてコアクロックが最大値付近で安定するためだと思います。
Surface Pro 7+のバッテリー持続時間
最後に「Surface Pro 7+」のバッテリー持続時間についての検証結果です。Surface Pro 7+とSurface Pro 5(2017)で電源モードを推奨、モニタ輝度を50%に設定し、PCMark 10 バッテリーテスト Modern Officeを使用してバッテリー持続時間を測定しました。フル充電(99~100%)の状態からWindows 10で省電力モードに切り替わる標準設定の20%まで電力が下がる時間を検証しています。
この条件でバッテリー持続時間を測定したところ、前世代Surface Pro 7は7時間35分(455分)でテストが終了し、テスト中に実行されるタスクの性能指標スコアは5232でした。対して「Surface Pro 7+」は9時間40分(580分)でテストが終了し、テスト中に実行されるタスクの性能指標スコアは5432でした。
PCMark 10 バッテリーテスト Modern OfficeはPCMark 10ベンチマークにおける一般的なデスクワーク性能を測るタスクを繰り返す形でバッテリー性能を検証するのですが、「Surface Pro 7+」はSurface Pro 7よりも高い性能を発揮しながら、バッテリーは2時間以上、30%近くも長持ちしています。
Surface Pro 7は昨年6月に破損交換したので半年ちょっと使っていますが、バッテリー性能が多少下がっていることを加味したとしても、「Surface Pro 7+」のバッテリー性能はさらに優秀になったと評価して問題ない結果だと思います。
Surface Pro 7+のレビューまとめ
最後にCore i7-1165G7/RAM 16GB/SSD 512GBを搭載する「Surface Pro 7+(型番:1ND-00028)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Windows 10 Pro 64bitを搭載するタブレットPC
- PC本体重量は800g未満、タイプカバー込みでも1100g程度
- キックスタンドの開きが最大角度165度
- 12.3インチで2736*1824解像度の高精細な液晶モニタ
- USB Type-C(DP Alt Mode対応)を搭載
- 変換アダプタ使用で本体含めたトリプルモニタの構築にも対応
- 最大通信速度2400Mbpsの次世代無線規格WiFi6に対応
- Pro7 Core i7版より1.5~2.0倍も高速なグラフィック性能
- Pro7 Core i7版より最大20%以上も高いCPU性能
- バッテリー動作時、推奨モードにおけるブラウジングや動画視聴など一般ユースでは
冷却ファンのファンノイズはほぼ聞こえない - バッテリー持続時間はPro7 Core i7版よりも20~30%も向上
- 内蔵ストレージの交換が可能に!(保証対象外&対応SSDの入手は難しい)
- MS公式通販価格が本体だけでも24~25万円と高価
- 法人向けモデルをMS公式通販で購入できるものの、Officeのセット購入が必須
- Core i7版はLTEに非対応で、LTE対応は最大でもCore i5/256GBまで
- 紫色のタイプカバーを復刻して欲しい(個人的な希望)
Intel第11世代Tiger Lakeシリーズの上位モデルCore i7-1165G7を搭載する「Surface Pro 7+」は、前モデルSurface Pro 7 Core i7版と比較して最大で2倍も上回るグラフィック性能(実PCゲームでも60%以上は確実に上回る!)を実現しているところが最大の魅力です。
さらにCPU性能の面でも最新アーキテクチャによるIPCの改善によって、コアスレッド数こそ同等ながら20%も上回るマルチスレッド性能や、Intel製デスクトップ向けCPUを上回るシングルスレッド性能を発揮します。
Core i7 1165G7はTDP25Wのままで最大40Wブーストな前世代Core i7 1065G7を上回るCPU性能を発揮したことからも分かるように省電力性能に優れており、バッテリー駆動では30%(実時間で2時間以上)も長時間動作が可能であり、AC駆動時も静音性を改善しています。
タブレットとしてもクラムシェルとしても使うことができる軽量コンパクトかつハイパワーな2 in 1モバイルPCを探しているならCore i7-1165G7/RAM 16GB/SSD 512GBを搭載するSurface Pro 7+はオススメの1台です。
ただしSurface Pro 7+は現状で法人向けモデルしか展開されておらず、マイクロソフト公式通販から一般アカウントでも特に問題なく購入できるものの、Officeのセット購入必須(+4万円)という点で入手性に難があります。
管理人はちょうどOffice 2019を持っていなかったので購入に踏み切りましたが、Thunderbolt4対応などCPU以外にもアップグレードされたSurface Pro 8的な製品(流石に排熱の問題でCore H35採用はないと思う)が今年には発売されるのではないかと思うので、急ぎでなければそちらを待つのが正解ではないかと思います。
以上、Core i7-1165G7搭載「Surface Pro 7+」のレビューでした。
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Intel第11世代TigerLake採用でグラフィック性能が2倍になったCore i7-1165G7を搭載する「Surface Pro 7+」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) February 18, 2021
前世代Surface Pro 7無印と比較してグラフィック性能やCPU性能がどれくらい伸びたのか徹底比較!https://t.co/K6Q5meZgQW pic.twitter.com/knAxnRdD8B
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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