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引張強度と熱膨張率に優れる特殊な液晶ポリマー素材をファンブレードに採用し、従来製品よりも高い風量・静圧と静音性を実現した高性能ファン「Thermaltake TOUGHFAN 14(型番:CL-F118-PL14BL-A)」をレビューしていきます。
2個セットになった2 Fan Pack(型番:CL-F085-PL14BL-A)を使用して、280サイズ簡易水冷CPUクーラーに「Thermaltake TOUGHFAN 14」を2基設置し、冷却性能や静音性をNoctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWMやThermaltake TOUGHFAN 12と徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.thermaltake.com/toughfan-14-high-static-pressure-radiator-fan-single-fan-pack.html
Thermaltake TOUGHFAN 14 レビュー目次
1.Thermaltake TOUGHFAN 14の外観・付属品
2.Thermaltake TOUGHFAN 14の検証機材
3.Thermaltake TOUGHFAN 14の性能
・Thermaltake TOUGHFAN 14の静音性
・Thermaltake TOUGHFAN 14の冷却性能
4.Thermaltake TOUGHFAN 14のレビューまとめ
【機材協力:Thermaltake国内正規代理店 株式会社アスク】
Thermaltake TOUGHFAN 14の外観・付属品
まずは「Thermaltake TOUGHFAN 14」の外観や付属品をチェックしていきます。「Thermaltake TOUGHFAN 14」の付属品は、降圧型ローノイズケーブル、ファン固定用テーパーネジ4個、ファン固定用長ネジ4個となっています。今回のサンプル機は2 Fan Packなのでローノイズケーブルと各種ネジが2セット、加えて4PINファンY字2分岐ケーブルも付属しています。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」は140mm角サイズ、定格2000RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって500~2000RPMの範囲内で速度調整が可能です。
ファンフレームの四隅には防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」の軸固定はファンブレード回転方向と直交する向きで回転するように6本の軸フレームが伸びる構造です。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」の軸受けには、安定性と耐久性を高める金属製強化モーターハブ、潤滑剤によって動作音を低減し静音性と耐久性に優れる第2世代油圧ベアリングが採用されています。
PWM対応4PINファン端子ケーブルの長さは500mm、ファンケーブルにはゴム製スリーブが施されています。
「Thermaltake TOUGHFAN 12」の最大の特徴は引張強度と熱膨張率に優れる特殊な液晶ポリマー素材を採用したファンブレードです。高速回転でも形状が変化しないのでファンフレームとの隙間を限界まで小さくし、かつ熱膨張もしにくいのでファン自体も高温になるラジエーター冷却にも最適です。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」を先日レビューしたThermaltake TOUGHFAN 12と比較してみるとファンブレードが描く弧は緩くなり形状は異なりますが、独特の模様から共通の素材を採用していることが分かります。
Noctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWMと比較するとこんな感じです。
120mmサイズのThermaltake TOUGHFAN 12は、0.5mmという限界に挑んだフレーム-ブレード間の隙間の小ささが特徴のNoctua NF-A12x25 PWMとほぼ同じ寸法でした。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」はTOUGHFAN 12やNF-A12x25と比べるとファンブレードとフレームの隙間は大きめです。とはいえ同じく140mmサイズのNoctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWMと比較すると隙間が小さいことも分かり、140mm角サイズとしては限界に挑んだ感じはあります。
引張強度と熱膨張率に優れる特殊な液晶ポリマー素材を採用するファンブレードや第2世代油圧ベアリングなどの優れた設計によって「Thermaltake TOUGHFAN 14」は水冷ラジエーター、空冷CPUクーラー、PCケースエアフローファンの3つの用途で求められる静圧に対して、いずれの用途でも一般的な冷却ファンよりも高い風量を得ることができるとアピールされています。
Thermaltake TOUGHFAN 14の検証機材
「Thermaltake TOUGHFAN 14」の検証機材を紹介しておきます。「Thermaltake TOUGHFAN 14」の検証機材として、Intel Core i9 10900KやIntel Core i9 7980XEなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成 | ||
CPU | Intel Core i9 10900K (レビュー) |
Intel Core i9 10980XE(レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK (レビュー) 3600MHz, 16-16-16-36-CR2 |
G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
ASUS PRIME X299 Edition 30 (レビュー) |
ビデオカード | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) | |
データ ストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) | |
OS | Windows10 Home 64bit | |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
Thermaltake TOUGHFAN 14の冷却性能と静音性
本題となる「Thermaltake TOUGHFAN 14」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。「Thermaltake TOUGHFAN 14」の性能を検証する環境として、280サイズ簡易水冷CPUクーラー「Corsair H115i PRO RGB」の水冷ラジエーターベースにして、同シリーズ120mmサイズモデル「Thermaltake TOUGHFAN 12」(Noctuaのファンアダプタ NA-SFMA1を使用)や、140mm角冷却ファンとして最高クラスの性能を誇る「Noctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWM」、「NZXT Aer F 140」と性能を比較しました。
Thermaltake TOUGHFAN 14の静音性
まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Thermaltake TOUGHFAN 14」のファンノイズをチェックしてみました。検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
Corsair H115i PRO RGBの水冷ラジエーターに「Thermaltake TOUGHFAN 14」、「Noctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWM」、「NZXT Aer F 140」をそれぞれ2基ずつ装着した場合のファンノイズの騒音値はファン回転数を横軸として次のようになっています。
「Thermaltake TOUGHFAN 14」は同じ280サイズ水冷ラジエーターにおいて比較すると、Noctua NF-A14 industrialPPC-2000 PWMやNZXT Aer F 140といった同じく140mmサイズのファンと同等のノイズレベルで+100RPM程度高速に動かすことができました。
風切り音だけでなく軸音についても(120mmサイズモデルTOUGHFAN 12と同じ軸受けなので当然ですが)、「Thermaltake TOUGHFAN 14」ではシャー/シュルシュル等の嫌な音はなく静音動作です。
補足として管理人の体感でファンノイズを評価すると、「Thermaltake TOUGHFAN 14」は+200RPMくらいは高速にしても騒音値が同じくらいに静かに感じました。とはいえ、市販の120mmファンと比較して+300~500PRM高速に動作させることができたTOUGHFAN 12と比べると性能向上は控えめだと思います。
Thermaltake TOUGHFAN 14の冷却性能
続いて「Thermaltake TOUGHFAN 14」の冷却性能(風量・静圧)をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
2020年に発売されたばかりのIntel第10世代Comet Lake-S最上位モデル、10コア20スレッドCPUの「Intel Core i9 10900K」を使用して、Intel第10世代Core-S環境における、「Thermaltake TOUGHFAN 14」を含めた各冷却ファンの冷却性能を検証していきます。
今回検証に使用するCore i9 10900Kは、ROCKIT COOL製殻割りキット「ROCKIT COOL 10th Gen Copper Upgrade kit」で殻割りしてTIMをクマメタル化、さらにオリジナル銅製IHSに換装しています。
・Core i9 10900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
Core i9 10900KのOC設定は「CPUクロック倍率:51」「キャッシュ倍率:47」「CPUコア電圧:1.300V(固定モード)」「CPU SVIDサポート: Disabled」「ロードラインキャリブレーション: Level7」、メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。
Core i9 10900Kを全コア5.1GHzにOCすると、Cinebench R20のスコアは6600ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(マイナス30~40WでCore i9 10900Kの消費電力)は330W前後に達します。
Corsair H115i PRO RGBの水冷ラジエーターに「Thermaltake TOUGHFAN 14」をはじめ検証を行う冷却ファンをそれぞれ装着し、TOUGHFAN 14の1200RPM前後を基準としてノイズレベルが35dB程度になるようにファン回転数を固定してストレステスト中のCPU温度を比較しました。
同じ140mmサイズの冷却ファンで比較すると、「Thermaltake TOUGHFAN 14」は同じノイズレベルで上乗せできる回転数が100RPM程度なので、せいぜい1度程度の差となっており、CPU温度から冷却性能の差を感じるのは難しいと思います。
NZXT Aer F 140が予想よりも良く冷えたのが意外でした。PCケース組み込みではなくラジエーターを平置きした状態なので低静圧・大風量なケースエアフローファンの特性が有利に働いたのかもしれません。体感だとTOUGHFAN 14はもう少し静かなのでTOUGHFAN 14のほうが僅かに冷却性能も高いというのが管理人の所感なのですが、誤差に埋もれるレベルとも言えるので難しいところです。
また120mmサイズモデルのTOUGHFAN 12を同じ回転数の1200RPM、同じノイズレベルの1600RPMで動かした時のCPU温度を比較してみました。
140mmと120mmでファン径が違うので当然、ファン回転数を揃えるとTOUGHFAN 14の方が4~5度冷えてCPU温度が低くなっています。またノイズレベルを揃えた場合も1度程度の差ですが僅かにTOUGHFAN 14のほうが冷える傾向が確認できます。
Thermaltake TOUGHFAN 14のレビューまとめ
最後に高性能ファン「Thermaltake TOUGHFAN 14(型番:CL-F118-PL14BL-A)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 500~2000RPMのPWM速度制御に対応した140mm角の汎用ファン
- 扱いやすい黒色のカラーリング
- 引張強度と熱膨張率に優れる特殊な液晶ポリマー素材を採用したファンブレード
- 金属製強化モーターハブと第2世代油圧ベアリングは軸音が静か
- 市販の高級140mmファンと比較して同等のノイズレベルで+100RPM程度高速に運用可能
- 降圧型ローノイズケーブルで低速運用も簡単
- メーカー保証期間は2年間
- TOUGHFAN 12 vs 120mmファンの時と比べると性能ゲインは控えめ
「Thermaltake TOUGHFAN 14」は、Noctua NF-A14 industrialPPCやNZXT Aer F 140といった静圧・風量・静音性に優れた高級140mmファンを上回る(と思う)性能を発揮しており、最強の140mmファンと言ってもいいのではないかと思います。最強だとは思う一方、評価として少し弱気になるというのも正直なところですが。
120mmのTOUGHFAN 12が間違いなく最強の120mmファン(NF-A12x25と1位タイで)と断言できるくらい同サイズファンに対する性能ゲインが大きいのに対して、TOUGHFAN 14は性能ゲインが同ノイズレベルで+100RPM、管理人の体感でもせいぜい200RPM程度となっており、TOUGHFAN 12やNF-A12x25が登場した時の衝撃に比べるとやや見劣りする感は否めません。
公式のP-Qカーブ比較を見てもTOUGHFAN 14の性能ゲインはTOUGHFAN 12の時に比べて控えめですし、先に120mmサイズNF-A12x25をリリースしたNoctuaが未だ140mmサイズの新型を正式に発表していないあたり、140mmサイズで既存のファンを大きく上回る新製品というのは難しいのではないかと思います。
TOUGHFAN 12やNF-A12x25が120mmファンにおいてそうだったような性能ゲインを期待するとやや物足りないきらいはあるものの、140mmファンとしておそらく最強であるとも思うので、冷却性能と静音性に妥協したくないし、見た目のカッコよさにもこだわりたい欲張りなユーザーにとって「Thermaltake TOUGHFAN 14」は140mmサイズ汎用ファンとして非常におすすめな製品です。
以上、「Thermaltake TOUGHFAN 14」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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