WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB


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Western DigitalのPCゲーマーなどハイエンド志向なユーザーをターゲットにしたWD Blackシリーズから発売の、次世代規格PCIE4.0に対応し、連続読み出し7GB/sに達したハイエンドNVMe M.2 SSD「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB(型番:WDS100T1X0E-00AFY0)」をレビューします。
最大容量の「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」も加えて、同時期に発売されたSamsung SSD 980 PROや、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDと各種ベンチマークで徹底比較していきます。

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製品公式ページ:https://shop.westerndigital.com/ja-jp/products/internal-drives/wd-black-sn850-nvme-ssd
データシート:https://documents.westerndigital.com/content/dam/doc-library/en_us/assets/public/western-digital/product/internal-drives/wd-black-ssd/data-sheet-wd-black-sn850-nvme-ssd.pdf
WD_BLACK SN850 NVMe SSD_top1






WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB レビュー目次


1.WD_BLACK SN850 NVMe SSDについて
2.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの外観
3.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様


4.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB のベンチマーク比較
5.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの連続書き込みについて
6.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの温度とサーマルスロットリングについて


7.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの実用性能比較
8.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBのデータコピー・ゲームロード比較
9.WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBのレビューまとめ




【機材協力:WD 国内正規代理店 株式会社ケミック】



WD_BLACK SN850 NVMe SSDについて

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」シリーズは、メモリチップにWD/SanDisk製TLC型3D NAND、メモリコントローラーにPCIE4.0x4帯域のNVMe接続に対応するWD独自コントローラーが採用された、NVMe(PCIE4.0x4)接続でM.2 2280フォームファクタのM.2 SSDです。

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」シリーズにはSSD容量として500GB(型番:WDS500G1X0E-00AFY0)、1TB(型番:WDS100T1X0E-00AFY0)、2TB(型番:WDS200T1X0E-00AFY0)の3モデルがラインナップされています。
さらに、WD_BLACK製品でお馴染みのミリタリー風な独自M.2 SSDヒートシンクを搭載したモデル(型番: WDS500G1X0E-00AFY0, WDS100T1X0E-00AFY0, WDS200T1XHE-00AFY0)も同時に展開され、後日発売が予定されています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD_heatsink

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出7000MB/s、シーケンシャル書込5300MB/s、ランダム(4KB, QD32, 1thread)読出1000,000 IOPS、ランダム(4KB, QD32, 8thread)書込720,000 IOPSの超高速アクセスを実現しています。

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」シリーズのMTBF(平均故障時間)は175万時間、書込耐性は500GBが300TBW、1TBが600TBW、2TBが1200TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。



WD_BLACK SN850 NVMe SSD スペック一覧
容量 500GB
WDS500G1X0E-00AFY0
1TB
WDS100T1X0E-00AFY0
2TB
WDS200T1X0E-00AFY0
ヒートシンク WDS500G1XHE-00AFY0
WDS100T1XHE-00AFY0
WDS200T1XHE-00AFY0
インターフェース
M.2, NVMe (PCIE4.0x4)
コントローラー
WD in-house NVMe
メモリー WD/SanDisk製 TLC型3D NAND
連続読み出し 7000MB/s
連続書き込み 4100MB/s 5300MB/s 5100MB/s
ランダム読み出し
(4KB, Q32T8)
810,000 IOPS 1000,000 IOPS 1000,000 IOPS
ランダム書き込み
(4KB, Q32T8)
680,000 IOPS 720,000 IOPS 710,000 IOPS
消費電力
(アイドル/ピーク)
250mW / 2.9W
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 175万時間
耐久性評価 300TBW 600TBW 1200TBW
保証期間 メーカー5年



WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの外観

まず最初にWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
WD Black SN850 NVMe SSDシリーズはマットブラックを基調にオレンジのアクセントカラーでデザイン性を意識したお洒落なパッケージです。
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紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。
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WD_BLACK SN850 NVMe SSDのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
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WD_BLACK SN850 NVMe SSDの表面シールの下にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、その隣にDRAMキャッシュ、残り半分には2枚のメモリチップが実装されています。
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メモリコントローラーは内製なのでSanDiskの刻印があります。金属製プレートなどの放熱を補助するパーツは装着されていません。
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WD_BLACK SN850 NVMe SSDは500GBから最大容量の2TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
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WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0に対応するAMD Ryzen Threadripper 3970X&ASRock TRX40 Taichiなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X(レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
360サイズ簡易水冷 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB
F4-3200C14Q-32GTZRX
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
3600MHz, 14-15-15-35-CR1
マザーボード
ASRock TRX40 Taichi(レビュー
ビデオカード Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 PRO 256GB
レビュー
OS Windows10 Pro 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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第3世代Ryzen Threadripper検証環境のシステムメモリには、第3世代Ryzenプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenや第3世代Ryzen Threadripperの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

第3世代Ryzen Threadripper関連の検証機材としてTRX40マザーボードには「ASRock TRX40 Taichi」を使用しています。「ASRock TRX40 Taichi」は自作PCマザーボード向けとしては初となる90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズの超堅牢なVRM電源回路、そして全高54mmの超大型かつアクティブ冷却ファン搭載のVRM電源クーラーを搭載しており、PBOによる全コア4GHzクロックアップを施したRyzen Threadripper 3990Xが運用可能な抜群のパフォーマンスを発揮します。各社がハイエンドモデルでE-ATXなど大型サイズを採用する中、標準のATXサイズで使い勝手の良いマザーボードとなっており、TRX40マザーボードの中でも特にオススメの1枚です。
「ASRock TRX40 Taichi」をレビュー。ATXサイズで32コアスリッパに完全対応!
ASRock TRX40 Taichi


「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」の検証環境については上述の通り、AMD Ryzen Threadripper 3970XやASRock TRX40 Taichiで構成されるテストベンチ機を使用していますが、M.2 SSDの設置方法として、ASRock TRX40 Taichiでは「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」、「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット7段目」の4つの候補があります。
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予備検証としてSamsung SSD 980 PRO 1TBを使用して、どのPCIEスロット・M.2スロットで検証を行うのが最適なのか調べてみたところ、一例としてPCMark10 Storage Testの結果を抜粋しますが、最も高速なのは「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」、それと僅かな差で2位、3位が「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット7段目」、最も遅いのは「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」という結果でした。
CrystalDiskMarkの測定結果においても上位3つは似たようなスコアになりますが、「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」だけは若干低めのスコアでした。
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実用上は大した差ではないのですが、比較検証に当たってはできるだけボトルネックや誤差になる要因は排除したかったので、今回の検証において検証ストレージはいずれも「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」に設置して測定を行っています。
性能的に近い「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」を選ばなかったのは、グラフィックボードの直下になるため着脱が手間であること、冷却面で確実性に欠ける(実用上は問題ないはずですが)こと等が理由です。
PCIE to M.2変換拡張ボードが必要になるので「Aquacomputer kryoM.2」を使用しています。同製品は仕様上、PCIE3.0x4対応品ですが、後ほど掲載するベンチ結果の通り、PCIE4.0x4接続NVMe M.2 SSD「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のポテンシャルをシッカリと発揮できることが確認できています。
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またSSD温度の検証を除いて、各SSDが性能を最大限に発揮できるようにスポットクーラーで風を当てた状態で測定を行っています。
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上の検証結果のようにSamsung SSD 980 PROではPCH経由のM.2スロットでも性能低下は微減だったのですが、WD_BLACK SN850 NVMe SSDについては1TBモデルにおいてCrystalDiskMark7.0の連続書き込み性能で2000MB/s近い性能低下、またPCMark10ストレージテストの一部Traceで10%以上の性能低下が確認されました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD(ファームウェア:611100WD)では、AMD TRX40チップセットを介した連続書き込みアクセスの性能が下がるようなので注意してください。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB(PCH)_CDM7_s
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB(PCH)_PCM10


「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_CDI
また「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは1.81TBでした。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB_CDI

WD_BLACK SN850 NVMe SSDなどWD製SSD向けには純正クライアントアプリケーション「WD Dashboard」が配布されています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSDでもランダム性能を引き上げるゲームモードの切り替えやファームウェアの更新といったSSDの管理をWD Dashboardから行うことができます。
WD Black SN850 1TB_WD Dashboard (1)
WD Black SN850 1TB_WD Dashboard (2)
WD Black SN850 1TB_WD Dashboard (3)



WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBのベンチマーク比較

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」と「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。
比較対象として同じくPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 980 PRO 1TB(レビュー)」、メモリコントローラーPhison PS5016-E16を搭載したリファレンスSSD(CFD PG3VNF、Corsair Force MP600、GIGABYTE AORUS NVMe Gen4 SSDなどが該当)を使用しています。
加えて現在主流なPCIE3.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、PCIE3.0x8対応AICカード型NVMe SSD「WD_BLACK AN1500 Add-in-Card 4TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB, +Mix)について、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のベンチマークススコアは公称製品スペック通り、連続読み出し7000MB/s、連続書き込み5300MB/sとなりました。先行して発売されたPhison PS5016-E16を搭載したPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDを大幅に上回るスコアです。
連続アクセスも高速ですが地味に目を見張った注目ポイントが4Kランダム読み出しです。既存のSSDでは高速な製品でも60MB/s程度に留まるのですが、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」は80MB/sオーバーをマークしています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_CDM7

また「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」は純正クライアントアプリケーションWD Dashboardから設定を行うことでゲーム性能を引き上げるゲームモードに切り替えが可能です。
WD Black SN850_GameMode (1)
WD Black SN850_GameMode (2)
今回の検証では「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」でゲームモードを有効にせず標準モードのまま測定を行いますが、一部テストでは1TBモデルのゲームモードでも測定を行いました。
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のゲームモード有効時にCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB, +Mix)を実行すると、連続書き込みが僅かに下がる傾向があるものの、4Kランダム読み出しと4Kランダム書き込みが高速化しました。特に注目なのが、4Kランダム読み出しはSamsung SSD 980 PRO 1TBを僅かながら上回る89MB/sをマークしました!4Kランダム書き込みも300MB/s目前と超高速です。
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最大容量の2TBモデルも、1TBモデルと比較すると少し速度が落ちますが、製品仕様の通り、連続読み出し7000MB/s、連続書き込み5000MB/sの超高速な連続アクセススピードです。4Kランダム読み出しも70MB/sオーバー、80MB/sに迫るスコアをマークしています。
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以下、各種比較対象SSDのベンチマークスコアになっています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_CDM7
Phison PS5016-E16_CDM7
Samsung SSD 970 PRO 1TB_CDM7Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Crucial P5 1TB_CDM7WD Black SN750 1TB_CDM7
WD Black AN1500 4TB_CDM7Crucial MX500 1TB_CDM7


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1_read
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1_write
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4_read
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4_write
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD1WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_ATTO_QD4
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB_ATTO_QD1WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_AS
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB_AS

Samsung SSD 980 PRO 1TB_AS
Phison PS5016-E16_AS
Samsung SSD 970 PRO 1TB_ASSamsung SSD 970 EVO Plus 1TB_AS
Crucial P5 1TB_ASWD Black SN750 1TB_AS
WD Black AN1500 4TB_ASCrucial MX500 1TB_AS



WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの連続書き込みについて

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」と「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


最新のWD/SanDisk製TLC型3D NANDをメモリチップに採用する「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は5000MB/sに達する書き込みスピードを発揮しており、使用済み容量が0GBで始まると、その後100GB以上もSLCキャッシュを使用できることが分かります。
WD Black SN850 1TB_HDT_0GB-Fill
使用済み容量0GBの状態からデータを連続で書き込んでいった時のSLCキャッシュの挙動を確認するため、連番のテストフォルダを作成して、そこへ順番に100GB(50GB×2)の動画ファイルを別のストレージからコピーしてみました。
この方法でSLCキャッシュの容量を確認してみたところ、300GB程度までSLCキャッシュとして使用することができました。(SLCキャッシュは順次開放されていく) SLCキャッシュ超過後は書き込み速度が1000MB/s程度に低下しています。
WD Black SN850 1TB_SLC-Cache_0GB-Fill
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のSLCキャッシュ容量は空き容量に依存した可変容量となっているので、もう少し詳しく検証してみたところ、少なくとも2段階の可変容量であることが分かりました。
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」の場合、空き容量500GB程度までは100GBを超える非常に大きい容量のSLCキャッシュを使用できますが、空き容量が450GBを下回った辺りからSLCキャッシュ容量が空き容量の10%程度に下がります。
WD Black SN850 1TB_SLC-Cache_500GB-Free
WD Black SN850 1TB_SLC-Cache_450GB-Free

このSLCキャッシュ構造は最大容量の2TBモデル「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」でも共通しており、0GB使用の状態から連続して書き込んでいくと500GBを超えるSLCキャッシュを使用できるのですが、100GB超のSLCキャッシュが使用できるのは空き容量600GB程度までとなっており、空き容量が500GB程度を下回ると、SLCキャッシュ容量は空き容量の10%程度まで下がりました。SLCキャッシュ超過後の書き込み速度は1TBモデルと同じく1000MB/s程度です。
WD Black SN850 2TB_SLC-Cache_600GB-Free
WD Black SN850 2TB_SLC-Cache_500GB-Free



WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
なお、このテストについては「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」で測定を行わず、WD_BLACK SN850を代表して、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のみについて検証しています。

アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。

WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ASRock TRX40 Taichiのマザーボード上、下段M.2スロットに設置して測定を行いました。
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PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDは高速な反面、従来よりも発熱が大きくなっており、ヒートシンクの装着が必須、もしくはSSD周辺に適度なエアフローがメーカーから要求されています。一方で近年の自作PC向けマザーボードではM.2 SSDヒートシンクの搭載が標準的になってきています。
今回の検証では上の写真のようにASRock TRX40 Taichiに標準搭載されているSBファン(2400RPM程度、標準設定の最低速度でファンノイズはほぼない)によってSSD周辺にエアフローがある状態、そして下の写真のようにマザーボード標準搭載のM.2 SSDヒートシンクも使用した状態の2つのケースについて、WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBのSSD温度やサーマルスロットリング発生の有無を検証していきます。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB review_05466_DxO
測定時の検証負荷としてはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)を使用し、間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。
NVMe SSD_temp test


WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBの検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとして、同じくPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO 1TB」において、上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」に関して公式には”適切なエアフローがあればOK”とことなので、マザーボード備え付けヒートシンクを装着せずに、SBファンによってSSD周辺にエアフローがある状態で測定を行いました。
NVMe SSD_temp test_980PRO
Samsung SSD 980 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 980 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返しても、メモリコントローラーは90度以下、メモリチップも70度前後に収まっており、サーマルスロットリングによる大幅な速度低下も発生していません。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_temp_2_with-SBFan
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 980 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、Samsung SSD 980 PRO 1TBの右端にあるメモリコントローラー温度は80度半ばまで達し、左半分に実装されたメモリチップは70~80度を示しています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_FLIR_with-SBFan


続いて本題となるWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBについて、まずはSBファンによってSSD周辺にエアフローがある状態で、温度やサーマルスロットリングの有無をチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。上述の通り、WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBに関してはソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリコントローラーともメモリチップとも判断が難しいというのが正直なところです。
ともあれ、ベンチマークを複数回繰り返すとソフトウェアモニタリング温度はピークで80~90度を示しますが、サーマルスロットリングによる速度低下は確認できません。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_temp_2_with-SBFan
サーモグラフィーで確認できるWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBの温度は、メモリコントローラーのホットスポットが98度に達し、左側2枚のメモリチップも90度を超えており、上で比較サンプルとして掲載しているSamsung SSD 980 PROと比べると温度はかなり高いことが分かります。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBは高性能な反面、温度もしくは発熱が大きく、ランダム性能が向上するゲームモードではさらに高温になることが予想されるので、『ヒートシンクの併用を強く推奨』と言っていい結果だと思います。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_FLIR_SB-Fan

続いてマザーボード備え付けM.2 SSDヒートシンクによる冷却も追加した状態について、WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無をチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。
SBファンによるエアフローだけでも発生しなかったので当然ですが、ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる速度低下は確認できず、ソフトウェアモニタリングのSSD温度も最大で70度未満に収まっています。単純な金属製プレート型のSSDヒートシンクを装着するだけでこれくらい温度が低いのであれば、WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBは安心して長期運用が可能だと思います。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_temp_3_with-HS
サーモグラフィーで確認できるヒートシンクの表面温度は50度前後、ヒートシンク全体に熱が均一に拡散している様子が分かります。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_FLIR_with-HS


繰り返しになりますが、従来のPCIE3.0x4よりもさらなる高速化を果たしたPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDは発熱も増しており、マザーボード備え付けヒートシンクや市販のM.2 SSDヒートシンクとの併用が推奨されます。
最近のマザーボードはM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載しているものも多いですが、個別に購入する場合、PCIE拡張ボードタイプなら「AquaComputer kryoM.2 無印/evo」、マザーボードM.2スロットで使用するコンパクトタイプなら「「SilverStone SST-TP02-M2」などがオススメです。
M.2 SSDヒートシンクのレビュー記事一覧へ
M.2 SSDヒートシンク


SilverStone M.2 SSD専用放熱ヒートシンク/パッドセット SST-TP02-M2
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WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBの実用性能比較

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」と「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_1_Summary
PCMark10 Storage Testでは、Silicon Motion製メモリコントローラーを採用する製品に多いのですが、一部製品において使用済み容量が大きくなると0%使用時に比べて性能が低下するという傾向が見られることがありました。
「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」については総容量のうち50%以上が使用済みになっていても、PCMark10 Storage Testのスコアに大きな変化はなく誤差か、大きくとも5%程度の微減でした。使用済みデータが増えてきた状態の実用シーンでも性能が大幅に下がる心配はなさそうです。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_vs-50%Fill

WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBを、PCIE3.0対応NVMe M.2 SSDとしては最速クラスだったSamsung SSD 970 PRO 1TBと、PCMark10 Storage Testの個別Traceについて比較(Samsung SSD 970 PRO 1TBを100%として性能差をパーセント表示)すると、ほぼ全てにおいて大幅な高速化を果たしているのが分かります。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_vs-970PRO
また先行して発売され前モデル970 PROやPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDアーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDを大幅に上回って最速を更新したSamsung SSD 980 PRO 1TBと比較しても、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」は同等以上の性能を発揮しており、特にアプリケーションのデータ領域としての性能で上回っていることが確認できます。
前モデルSN750は970 PROの70~80%程度の性能という振るわない結果だったので少し不安に思っていたのですが、良い意味で予想を裏切るというか、まさか980 PROを上回るパフォーマンスを発揮するとは夢にも思わなかったのでかなり驚きました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_vs-980PRO 1TB
ゲームワークロードに最適化されるというゲームモードを有効化するとランダム性能が向上するので、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」はSamsung SSD 980 PRO 1TBと比較して明確に上回る性能を発揮します。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB(GM)_PCM10_vs-980PRO 1TB

システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
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WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
なお、このテストについては「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB」で測定を行わず、WD_BLACK SN850を代表して、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」のみについて検証しています。

比較対象として同じくPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 980 PRO 1TB(レビュー)」、メモリコントローラーPhison PS5016-E16を搭載したリファレンスSSD(CFD PG3VNF、Corsair Force MP600、GIGABYTE AORUS NVMe Gen4 SSDなどが該当)を使用しています。
加えて現在主流なPCIE3.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、PCIE3.0x8対応AICカード型NVMe SSD「WD_BLACK AN1500 Add-in-Card 4TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタAquacomputer kryoM.2に設置したSamsung SSD 980 PRO 1TBを使用しています。

Windows10ファイルシステムのエクスプローラーを使用したコピー速度は2GB/s前後で上限になり(2スレッド並列コピーすると少し変わってくるのですが)、PCIE3.0x4接続のSamsung SSD 970 PRO 1TBと比較して、Phison PS5016-E16搭載リファレンスモデルに準拠したPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDでも優位な性能が確認できなかったため、同テストにおけるコピー相手ストレージは長らく「Samsung SSD 970 PRO 1TB」で統一しました。
しかしながら、同テストについて各種ストレージで検証を行う前に、980 PRO 1TBと970 PRO 1TBの2種類だけに絞って予備検証の比較を行ったところ、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の優位性がハッキリと確認できたので、コピー相手ストレージとして選択しました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_vs-970PRO
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手のWD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBと同じくNVMe SSDの場合は、ASRock TRX40 Taichiの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、5段目PCIEスロットに検証ストレージ、以上はこれまでの検証と共通ですが、7段目PCIEスロットにコピー相手ストレージのSamsung SSD 980 PRO 1TBを設置しています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB review_05424_DxO
ASRock TRX40 Taichiにおいて5段目のPCIEスロットと7段目のPCIEスロットはいずれもCPU直結PCIEレーンに接続されているのでデータコピーにおいて帯域がボトルネックになることはありません。また余談ですが、TRX40環境の場合はCPU-PCH間がPCIE4.0x8レーンで接続されているので、仮に2つのNVMe(PCIE4.0x4) SSDが両方ともPCHに接続されていたとしても帯域的には問題がありません。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB review_04328_DxO
TRX40-Platform


「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、長らく首位をキープし続けていたPCIE3.0対応NVMe M.2 SSDのSamsung 970 PRO 1TBよりも20%近い高速化を果たしています。Windowsエクスプローラー上でのコピーはソフトウェア側がボトルネックになりつつある中でさらに数字を伸ばしてきたのは感動的です。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_1_movie_read
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、ほぼ誤差レベルですが最速でした。読み出しを行うコピー相手が「Samsung SSD 980 PRO 1TB」なので比較対象各種も高速な書き込み速度を発揮しており、TLC型NANDで共通しているせいか、上位層のスコアは固まっています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_2_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、Samsung SSD 980 PRO 1TBを除けば、次点に10%以上の差をつけて最速の読み出し速度を発揮しています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_3_game_read
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、やはり最速クラスの性能を発揮しています。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_4_game_write

PCIE3.0対応のSN750では競合Samsungの970 PROはもとより、970 EVO Plusと比較してもファイルコピー性能では1歩後れを取っていましたが、PCIE4.0対応NVMe M.2 SSD同士で比較すると、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」はSamsung SSD 980 PRO 1TBと同等どころか、連続性の高いデータではむしろ僅かながら上回る性能を発揮しているという結果になりました。(ほぼコンマ秒の争いなので測定誤差も否めませんが)
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_copy_vs-980PRO
なおWD_BLACK SN850間のコピーについては1TBモデルが2枚なかったので、書き込みが速い1TBモデルを書き込み先、読み出しがほぼ同等な2TBを読み出し元としています。


続いてPCゲームのロード時間について、通常では実際のゲームでロード時間の比較検証を行うのですが、今回は割愛することにしました。
下のグラフを見ての通り、当サイトで採用している従来通りの測定方法では最速のIntel Optane 905Pと、その次に高速なSamsung SSD 970 PROでも1秒弱の差しかありません。
当レビューにおけるこれまでの傾向からすると「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB」は970 PROよりは速いはずなのですが、一方でランダム性能の差からいってIntel Optane 905Pを超えるとは考えにくいというのは妥当な推測だと思います。
検証環境が変わっているので一からの測定となるため実施するとなるとかなり大変で、精度を求めた時の測定労力に見合った面白い結果が得られるとも思えないので今回は省略することにしました。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_game
なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、当サイト独自の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。
理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。特定のデータをロードすることが決まっているならPCMark10 Storage Testのように高速化の恩恵を受けやすく、ファストトラベルのようにユーザーの行動によってランダムに変わる読み出し内容だと、現状のSSDではなかなか差が出しにくいようです。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB_PCM10_3_Summary_Game





WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TBのレビューまとめ

最後にPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDの「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB(型番:WDS100T1X0E-00AFY0)」と「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 2TB(型番:WDS200T1X0E-00AFY0)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • NVMe(PCIE4.0x4)規格として理想的な読み出し7.0GB/s、書き込み5.3GB/s(最大)
  • 4Kランダム読み出しがMLC/TLC型の一般SSDではトップクラスの最大86MB/s(CDM7)
  • PCMark10ストレージテストによる実用性能で970 PROを40%以上も上回る
    同じくPCIE4.0対応の980 PROを10%以上、ゲームモード有効なら20%も上回る
  • ファイルコピー性能でも(特に読み出し速度で)、970 PROよりも高速に
  • ファイルコピー性能でも、980 PROよりと同等か僅かに上回る
  • TLC型SSDなのでNVMe M.2 SSDとして標準的な価格帯
  • 最大容量2TBモデルがラインナップ
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は1000MB/s程度
  • メモリチップが高温になりやすいようなのでM.2 SSDヒートシンクの併用を強く推奨
  • AMD TRX40チップセットを経由すると連続書き込み性能が大きく下がる(FW:611100WD)

「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くにおいて、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDや、Samsung PROシリーズの前モデルSamsung SSD 970 PROを明確に上回る性能を発揮しました。
SSD実用性能を測定するPCMark10ストレージテストでもPCIE3.0対応のSamsung SSD 970 PROはもとより、PCIE4.0対応で先日、堂々の最速更新を果たしたばかりのSamsung SSD 980 PROまでも上回る性能を発揮し(ゲームモードでは20%も!)、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」はPCIE4.0x4接続NVMe M.2 SSDの大本命と言っても過言ではありません。


「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」にはTLCタイプ3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した1TBモデルと2TBモデルでは容量可変のSLCキャッシュを超過すると、理想値5000MB/s程度から1000MB/s程度まで書き込み速度が低下します。とはいえSATA3.0規格の理想的な書き込み速度の2倍なので十分高速です。
SLCキャッシュ容量の挙動は少し複雑で少なくとも2段階の可変となっており、いずれも使用済み容量が少ない状態では100GB以上のSLCキャッシュを使用できますが、1TBモデルでは450GB程度、2TBモデルでは600GB程度という空き容量を境にして、それ以下の空き容量においては、SLCキャッシュ容量は空き容量の10%程度まで減少します。
SLCキャッシュ内ではSamsung SSD 980 PROを上回るパフォーマンスを発揮したWD_BLACK SN850 NVMe SSDですが、空き容量が減った状態でのSLCキャッシュ容量の大きさや超過後の書き込み速度についてはSamsung SSD 980 PRO(400GBフリーで100GB以上のSLCキャッシュかつ、超過後も2000MB/s)に軍配が上がります。

1つだけ注意点として、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD」は温度検証においてメモリチップの発熱がPCIE4.0対応も含めて一般的なNVMe M.2 SSDよりも高く感じました。
ユーザーの大切なデータが実際に記憶される部分なので当然、温度は適切な範囲内で低い方がよく、SBファンのような軽いエアフローだけではメモリチップが90度に達してしまうので、市販品やマザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの併用を強く推奨します。


PCIE4.0対応SSDについては、アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDがPCIE3.0対応のSamsung SSD 970 PROと比較してCDM等で測定されるIO性能くらいしか見るところがなくあまり評価は高くなかったのですが、WD_BLACK SN850 NVMe SSDを含め2020年後半の新製品の登場でその評価も一変しました。
すでにAMD Ryzen環境はPCIE4.0対応NVMe SSDをサポートしており、Intel環境でも次の第11世代CPU環境でサポートが公表されているので、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」はPCIE4.0対応NVMe SSDとして買って間違いのないオススメの製品です。

以上、「WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB / 2TB」のレビューでした。
WD_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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