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RGB LEDイルミネーション調整に対応したDDR4メモリ「Corsair VENGEANCE RGB」シリーズからXMP3466MHzに対応した高選別OCメモリである「CMR16GX4M2C3466C16 RGB」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューします。
製品公式ページ:http://www.corsair.com/ja-jp/landing/vengeancergb
国内代理店:http://www.ask-corp.jp/news/2017/04/corsair-vengence-rgb.html
モデル一覧ページ:http://www.corsair.com/ja-jp/memory/vengeance-rgb-series
Corsair VENGEANCE RGB レビュー目次
1.Corsair VENGEANCE RGBの外観
2.専用アプリ「Corsair Link」:セットアップ方法と基本的な使い方
3.専用アプリ「Corsair Link」:LEDイルミネーション操作方法について
4.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
5.Corsair VENGEANCE RGBのXMP OCを試す
6.M/BのLED操作機能やRyzen環境のメモリOCについて
7.Corsair VENGEANCE RGBのレビューまとめ
Corsair VENGEANCE RGBの外観
まず最初にCorsair VENGEANCE RGB DDR4メモリの外観をチェックしていきます。紙製の外パッケージを開けると中にはプラスチック製のスペーサーに2枚ずつメモリが収められていました。
今回お借りしたサンプル品は8GB×2のモデルなの2枚のメモリが入っています。
Corsair VENGEANCE RGBのメモリヒートシンクについては、製品公式ページのサンプルイメージからは光沢のあるブラックのヒートシンクをイメージしていたのですが、実物を見るとマットな質感になっていました。
ヒートシンク全体の配色は差し色のないマットブラック一色ですが、中央に「VENGEANCE RGB」のロゴがプリントされています。
ヒートシンクの上側にはCorsairのブランドロゴマークがグレーで薄っすらと描かれていました。ヒートシンクフィンの隙間からはLEDイルミネーションの光を拡散する半透明のディフューザーが覗いて見えます。
Corsair VENGEANCEシリーズのロープロファイルモデルであるCorsair VENGEANCE LPXと比較するとメモリヒートシンクの分でやはり背が高いことがわかります。とはいえLEDイルミ搭載メモリなのでメモリと干渉する(メモリに覆いかぶさる)ハイエンド空冷CPUクーラーと組み合わせることもないはずなので背の高さが問題になることもないかと思います。
メモリヒートシンクを含めたメモリの背の高さを比較してみると、「Corsair VENGEANCE RGB」は他社のOCメモリであるG.Skill TridentZよりは背が高く、同社のハイエンドOCメモリであるCorsair Dominator Platinumよりは背が低いという具合になっていました。
メモリOC検証機材としても使用するマザーボード「ASRock Z270 SuperCarrier」へオシャレCPUクーラーの代表格である「Thermaltake Engine27」と組み合わせてCorsair VENGEANCE RGBを設置してみました。
専用アプリ「Corsair Link」:セットアップ方法と基本的な使い方
Corsair VENGEANCE RGB DDR4 OCメモリは同社のハードウェアモニタリング用専用アプリ「Corsair Link」からLEDイルミネーションの操作が可能です。Corsair Linkは公式サポートページでダウンロードできます。
「Corsair Link」ダウンロードページ:http://www.corsair.com/ja-jp/downloads
プルダウンメニューから「Corsair Link」を選択すると最新版の「Corsair Link」が表示されるのでここからダウンロードしてください。
「Corsair Link」のインストール作業はポチポチクリックしていくだけで簡単なので割愛するとして、インストールが完了したらデスクトップのショートカットアイコンから「Corsair Link」を起動します。初回起動時は再起動(reboot)を求められるかもしれませんがその際は一度再起動してから再度「Corsair Link」を起動してください。
Corsair Linkを起動すると次のようなタイルスタイルのトップメニューが表示されます。Corsair Link対応製品のみならずCPU、マザーボード、グラフィックボードの温度やファン回転数もモニタリング表示されます。
トップメニュータブの「Options」を選択すると一般設定ウィンドウが表示され、言語設定やスタートアップ設定が可能です。言語には残念ながら今のことろ日本語はありません。
トップメニュータブの「Profile」を選択すると「performance」「Balanced」「Quiet」の初期プリセットに加えて、ユーザー各自設定のプロファイルを作成できます。「Manage profiles」から新規プロファイルを作成可能です。選択中のプロファイルについてはメインウィンドウで設定の変更を行うと自動でプロファイルに変更が保存されます。
各種構成パーツのタイル上に表示されている温度やファン回転数などモニタリング値をクリックすると設定ウィンドウが表示されます。
設定ウィンドウの「Configure」タブではモニタリング値の表示名を変更可能です。
「Notifications」タブでは設定中のモニタリング値が「Mini value」を下回るか「Max value」を上回った時のアラートや自動シャットダウンなどの設定が可能です。
トップメニュータブのConfigureを選択するとPCケースの写真が表示されて、現在Corsair Link上でモニタリングされている値のタイル一覧がウィンドウ左に並んでいるので、ドラッグ&ドロップでPCケースの写真状に配置してPCケース内の温度状況などをグラフィカルに確認可能です。
トップメニュータブのGraphingを選択するとウィンドウ右側に追加で各種モニタリング値のリアルタイムグラフを表示するフロートウィンドウが表示されます。トップメニューのタイル状に表示されているモニタリング値は全てグラフ表示とログの取得が可能です。
リアルタイムグラフウィンドウ右上の「Configure」ボタンを選択すると、追加の設定ウィンドウが表示されます。設定ウィンドウ上ではチェックボックス形式でモニタリングを行うモニタリング値を個別に指定できます。モニタリングにチェックを入れた項目のログを取る場合にログファイルの出力場所とログ間隔を設定できます。モニタリング値のログを取る場合はリアルタイムグラフウィンドウ右下の「logging」のチェックボックスにチェックを入れます。
ちなみにCorsair Linkに対応したCorsair製の電源ユニットを接続している場合は、Corsair Link上から消費電力のモニタリングや冷却ファン動作のカスタマイズが可能です。
専用アプリ「Corsair Link」:LEDイルミネーション操作について
Corsair VENGEANCE RGB DDR4 OCメモリのメモリモジュール上にはLEDイルミネーションが備え付けられておりCorsair Link上から発光カラーや発光パターンを変更可能です。使用しているメモリの型番が表示されているタイル上にある赤い帯(発光カラー設定で変化)をクリックするとLEDイルミネーションの設定ウィンドウが表示されます。
発光パターンには、固定発光カラーの「Static」、2~7色の発光カラーで点滅して変化する「Color Pulse」、2~7色の発光カラーでグラデーション変化を繰り返す「Cycle Shift」、7色+白色で変化するRainbowの4つから選択できます。設定ウィンドウ右にある「Ungrouped/Grouped」から複数のメモリの発光カラー&パターンを同期操作することができます。
「Static Color」では設定ウィンドウ上の「Colors」を選択すると発光カラーを選択するためのウィンドウが表示されます。左側のカラーパレットや右側のRGBスライダーから自由に発光カラーを設定できます。
「Color Pulse」と「Cycle Shift」では2~7色の発光カラーを選択可能になっており、「Static Color」同様に発光カラー設定ウィンドウから設定することで選択した発光カラーを点滅かグラデーション変化でループするような発光パターンを作成できます。「Group delay」では同期操作設定をしているグループ内で発光カラー変化に時間差をつけるかどうかを設定できます。
メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
ここからはメモリのオーバークロックを行いますが、その前に検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明を行います。Corsair VENGEANCE RGB DDR4メモリのメモリOCを行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair VENGEANCE RGB 8GB×2=16GB 型番:CMR16GX4M2C3466C16 RGB |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | ASUS GeForce GT730 ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
実際にメモリのオーバークロックを行う前にメモリのOCについても紹介しておきます。
今回はASRock Z270 SuperCarrierの設定項目に合わせて紹介しますが、マザーボードメーカーによってレイアウトこそ多少異なるものの、メモリOC設定の方法については基本は共通なのでここの説明を一通り読めば予備知識としては十分だと思います。プラットフォーム別でも、18年最新のIntel第8世代CoffeeLake-S CPUに対応するIntel 300シリーズマザーボードであればほぼ全ての機種で似たような設定が可能です。またIntel Skylake-X&X299マザーボード環境、AMD Ryzen&AM4マザーボード環境、AMD Ryzen Threadripper&X399マザーボード環境でもメモリOCの手順はほぼ同じです。
まず大前提としてオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。最近のPCパーツは常識的な範囲内であればOCしても壊れることは滅多にないはずですが、データの破損は依然としてよくあることなので大切なデータは予め隔離するかバックアップをとってください。
CPUやGPUのオーバークロックと違ってメモリには負荷テストで落ちる(BSODやフリーズ)わけでもないのに、長期的に見てランダムにソフトウェアでエラーが発生するなどといったケースもあり、実用を兼ねるOCとしては比較的難易度が高いです。
最低限の安定性検証は必要なのでメモリOC時のストレステストについて、管理人は経験的にHCI memtestで200%カバーを確認後、動画のエンコードテストを30~60分で安定動作と判断しています。記事内で行ったメモリOCについては特に記載がなければ上記の検証クリアで安定動作としています。
また18年に入ってから新たにリリースされた「Ram Test(レビュー)」という海外のメモリ安定性検証ソフトが軽量かつ使いやすく、1000円程の有料ソフトですがおすすめです。
その他にも負荷テストにはPrime95やOCCTなどかなり重いストレステストを使うユーザーも多いようですが、CPUにしろメモリにしろ専用負荷ソフトを使ってOCの安定性検証をしていても落ちるときは落ちるので、ある程度のところで見切りをつけて、日頃のバックアップを心掛け、落ちた時は設定を緩めるか電圧を盛るほうが手っ取り早いというのが管理人の持論です。
メモリOCに伴うBSODやフリーズ以外の細かいトラブルについては次の記事でまとめたりコメント欄を情報交換に開放しているので活用してください。
・DDR4メモリのオーバークロックで発症した不具合と解決策について
CPUの倍率変更OCと違って、メモリOCの設定段階では正常にPOSTできずBIOSにすらたどり着けないケースもあり、そういった場合はCMOSクリア(BIOS設定の初期化)が必要になる場合があります。CMOSクリアの方法はオンボードやリアI/Oに実装されたスイッチを使用したり、オンボードジャンパーピンを使用したりとマザーボードによって方法が異なります。メモリOCを実践する前に予めCMOSクリアの方法をチェックしておいてください。
前置きはこのあたりにして、メモリのオーバークロックに関するBIOSの設定について、Core i7 7700KなどKabyLake-S CPUに対応するZ270チップセット搭載マザーボードのASRock Z270 SuperCarrierを例に詳しく紹介していきます。
メモリの性能は簡単に言うと『動作クロックが高く』『タイミングが小さい』ほど性能が高くなります。
そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると、「1.電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「2.そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。最初のメモリタイミング設定については「16-18-18-36」とか「18-18-18-38」とか「20-20-20-40」とか、何でもいいのでてきとうに決め打ちするか、マザーボードの自動設定にお任せしてしまいます。動いたらラッキーでタイミングを小さく刻み、動かなかったらタイミングを緩めてまたチャレンジする、という具合で特定のメモリ周波数についてチェックしていきます。
メモリのOCでは、G.SkillやCorsairなどからOCプロファイルを収録した選別済みOCメモリという便利なものが販売されています。XMPなどOCプロファイルによるOC対応がうたわれているOCメモリでは、上の手順によるメモリのオーバークロック、つまりOC耐性の選別をメモリメーカー側がすでに行って、その個体(メモリモジュール)について動作確認をしています。IntelプラットフォームではこういったOCプロファイルのことを「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル(XMP)」と呼んでいます。XMPはIntelが策定したものなので、厳密にいうとAMD環境には非対応ですが、XMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されており、XMPがほぼデファクトスタンダード的扱いになっているので、OCプロファイルによるメモリOCを”XMPでOCする”とまとめて表現してしまう場合もあります。
ともあれOCプロファイルによるメモリOCではメーカーが動作確認を行ったメモリモジュールでOCプロファイルを適用するだけなので、メーカーが確認済みもしくは類似の環境(主にQVLに記載のあるマザーボード)が用意できれば簡単にメモリをオーバークロックができます。
以上を念頭にBIOS(UEFI)メニューから行う具体的なメモリOCのBIOS設定を見ていきます。なおOC設定を詰めていく時はWindowsとBIOSを頻繁に行き来することになるので、BIOS(UEFI)への再起動ショートカットを作っておくと非常に便利です。BIOS(UEFI)への再起動ショートカットの作り方も別の記事で紹介しています。
ASRock Z270 SuperCarrierでは「OCツール - DRAM設定」の設定ページ内にある「設定の読み込み」で「自動(カスタム設定)」と「XMP」の2種類からメモリの動作クロックとタイミングを設定できます。
「XMP」は上で紹介したように各メモリメーカーが一定環境で動作確認を行ったメモリのオーバークロックプロファイルがメモリに収録されており、その値が適用されて自動的にメモリ周波数とメモリタイミングがOCされます。XMPを使用しない場合は、「DRAM Frequency(メモリ周波数)」の項目とAutoにすると、DDR4メモリごとにSPDプロファイルに設定された2133MHz~2666MHzの動作周波数とタイミングによる定格動作となります。ASRock Z270 SuperCarrierなどASRock製のマザーボードでは「自動」モードが事実上のカスタム設定モードになっており、「DRAM Frequency(メモリ周波数)」でプルダウンメニューから動作周波数を選択できます。
XMP対応OCメモリの仕様値ではメモリ周波数に加えて「16-18-18-36」のようなメモリタイミングについての表記に見え覚えのある読者も多いと思います。このワンセットになった数字はファーストタイミングもしくはプライマリタイミングとも呼ばれ、Intel/AMD環境毎やマザーボードベンダー毎に表記がやや異なるものの、前から順に「CAS Latency (tCL」)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」となっています。ユーザーが各自でメモリタイミングを手動設定する場合は上の4つに加えて「Reflash Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の計6つについて設定し、残りはマザーボードの自動設定にお任せしてしまうのが、比較的簡単でおすすめな設定方法です。
メモリのタイミングには他にも多くの項目がありますが、基本的には上の6つを適切に設定すればOKです。XMPの場合は自動的に動作確認済みのタイミングが適用されますし、マニュアル設定の場合でも設定値Auto(自動)であればマザーボード側がメモリ周波数に合わせて適当に設定を行ってくれます。
最初に書いたようにタイミングは小さい方が性能が高くなります。ただタイミングの設定は少し難しいのでXMPかAuto設定にお任せしてしまうのが手っ取り早くておすすめです。
なおメモリクロックもCPUコアクロック同様にBCLK(ベースクロック、FSBなどとも)に対する倍率なので、BCLKを変更することでBCLK:100MHz時の4133MHz上限から、例えばBCLK:120MHzにすると上限5000MHzに引き上げられます。ただしBCLKを使ったOCはかなり難易度が高いので基本的に100MHz固定が推奨です。
DDR4メモリでメモリ周波数をOCする場合2133MHz~2933MHzあたりまでであれば、DRAM電圧は定格の1.200Vで問題なく動作することが多いですが、メモリ周波数3000MHz以上を狙う場合はDRAM電圧を1.350V以上まで昇圧する必要があります。マザーボードによってはメモリ周波数に応じて自動で設定してくれるものもありますが、手動設定のほうが確実なので予め設定しておくのがおすすめです。
なおDRAM電圧を盛ると当然発熱は大きくなりますが、1.350~1.380V程度であればCPUソケット周辺に直接風の当たらない簡易水冷環境であってもOCメモリに設置されたヒートシンクによるパッシブ冷却で基本的に問題ありません。メモリ周波数4000MHz以上になると1.400V以上が要求され、OC自体も難しくなり発熱も大きくなってくるので、IntelプラットフォームのCoffeeLake-S(Z370)、KabyLake-S(Z270)、Skylake-X(X299)の環境では3200~3600MHz、AMDプラットフォームのRyzen(X470/X370)やRyzen Threadripper(X399)の環境では2933~3200MHzを狙うのが難易度的には比較的簡単なのでおすすめです。
説明の順番が前後してしまいましたが、初めてメモリのOCをする場合は、メモリ周波数やタイミングを変更する前に、HWinfoなどのモニタリングソフトを使用してBIOSで指定した電圧設定が正常に反映されているか確認しておくとメモリOCに失敗した時に原因切り分けに役立ちます。
Intel CPUのKabyLake-S(Core i7 7700Kなど)やBroadwell-E(Core i7 6950Xなど)でDDR4メモリの動作クロックを3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧だけでなく「電圧設定」の項目内にある「VCCSA」も適度に盛ってやるとメモリOCの動作が安定します。またAMD Ryzen CPU環境の場合は「SOC電圧」を昇圧します。
設定の目安としてはIntel環境の「VCCSA」なら1.200~1.250V程度、AMD環境の「SOC電圧」なら1.100~1.200V程度を狙うといいようです。一部のマザーボードではメモリ周波数で高い数値を選んだ時やXMP適用時にこれらの電圧を自動的に昇圧してくれるものもありますが、メモリのOCを行うときはメモリ電圧同様に手動で設定しておくのがおすすめです。
また一部のマザーボードではメモリOCに伴いPCI-E拡張デバイスの検出不可やUSB機器同士の干渉といった不具合が生じる場合があります。グラフィックボードを検出できないと画面が暗転したまま表示できなくなるので非常に困ります。この不具合が発生した場合、CoffeeLake-SやSkylake-XなどIntel環境では「VCCIO」や「PCH Core Voltage」(マザーボードメーカーごとに表記が若干異なる)を1.150~1.200V程度に盛ると安定します。
検証機材のASRock Z270 SuperCarrierでもメモリ周波数を3000MHz以上にOCすると、PCI拡張デバイスの認識に不具合が発生しましたが、「VCCIO」を適当に盛ってやることでメモリをOCしても正常に動作しました。
メモリのオーバークロックの方法や基礎知識については以上となります。BIOS上のOC設定のレイアウトについてはマザーボードベンダーが決まればほぼ共通です。下記のレビュー記事一覧から自分が使っているのと同じメーカーのマザーボードのレビュー記事を探して、OC設定の章を参考にしてみてください。
・CoffeeLake-S対応Z370マザーボードのレビュー記事一覧へ
・Intel Core-X対応X299マザーボードのレビュー記事一覧
・第2世代Ryzen対応X470チップセット搭載AM4マザーボードのレビュー記事一覧
・X399チップセット搭載Socket TR4マザーボードのレビュー記事一覧へ
Corsair VENGEANCE RGBのXMP OCを試す
Corsair VENGEANCE RGB DDR4メモリはIntel XMP 2.0というメモリに収録されたプロファイルを使用したメモリOCに対応しているので、それを使用して簡単にメモリのオーバークロックを実践してみます。今回お借りしたサンプルは3466MHzのXMPプロファイルが収録されたモデルですが、Corsair VENGEANCE RGBには17年5月現在2666~3466MHzまでのXMPプロファイルが収録されたモデルが国内で流通しています。
なおXMPについてはあくまでメーカーによる”動作確認済み”の選別品であって”動作保証ではない”ので注意してください。マザーボードやCPUとの相性によってはXMPプロファイル通りに動作しない場合もあります。メーカーの製品公式ページでは「Corsair DDR4 Motherboard Compatibility」としてPDFファイルで組み合わせ使用が推奨されるマザーボードもリストアップされており、またマザーボードの公式サイトでも動作確認メモリのCVLが公開されているので、OCメモリの購入前にはそちらも合わせて参考にしてください。
Corsair製のDDR4メモリは全て永久保証が適用されています。
保証規定にはOCに関連した具体的な記載はなく、XMPプロファイルを使用した、もしくは手動設定によるメモリのオーバークロックで製品が故障した場合についても明記はされていません。あくまで管理人の私見ですが、『基本的に定格以上のクロックで動作させての故障は保証対象外であるという建前はあるものの、外観で破損の跡(燃えた跡や冷却液のこぼれた跡)がなければ、ほぼ保証が適用される(ケースが多い)』ようです。
Corsair オーバークロックメモリモジュール保証規定、一部抜粋------------------
Corsair 保証期間 2016年4月8日より、以下の保証期間が適用されます。
DRAM モジュール:すべての DRAM メモリモジュールには永久保証が付いています
除外
本保証では、以下に起因する問題あるいは損害は対象外となりますが、これらに限定されることはありません。--( http://www.corsair.com/ja-jp/support/warranty )-------
- 通常の使用による摩損
- 修正、乱用、事故、解体、誤用、または不正な修理
- メーカーのラベルまたはステッカーの取り外し
- 製品に付属する手順に従わない使用を含む不適切な操作
- 不適切な電圧源への接続
- Corsair から提供されていない交換用電池などの消耗品の使用(適用される現地法で、このような制限が禁止される場合を除きます)
- 材質または製造上の製品の欠陥に関連しないその他の原因
前置きはこの辺りにして、XMPを使用したOCを実践してみます。
まずは比較対象としてメモリのオーバークロックをしていない状態でCinebenchのベンチマーク測定を行いました。特に設定を行わない定格の状態では2133MHzで動作していました。
ここから上で紹介したようにXMPプロファイルを使用してメモリのオーバークロックを行います。ASRock Z270 SuperCarrierの場合はメモリOC設定のページでプルダウンから適用するXMPプロファイルを選択すれば自動でメモリ周波数とタイミングのOCプロファイルがロードされます。加えて手動でメモリ電圧とVCCSA、VCCIOを変更しました。
上記のような簡単な設定で問題なく起動して、メモリクロックも3466MHzにオーバークロックされていました。動作タイミングも製品スペック通りです。
メモリを3466MHzにOCした状態で同じくCinebenchのベンチマーク測定を行ったところ、ベンチマークスコアは1095に伸びました。
また国内最大手かつ大人気のMMO RPG「ファイナルファンタジーXIV 紅蓮のリベレーター」はGPUやCPUの序列に下剋上が発生するレベルでメモリの動作クロックが重要になってくるという珍しいゲームです。DDR4メモリの自動設定周波数となる2133MHzと今回行ったXMPによる3466MHzではベンチマークスコアに3000以上の差が出ます。
単純なベンチマークスコアだけでなく、実際のベンチマークにおけるフレームレート推移比較するとボトルネックが大幅に改善されているのが一目瞭然でわかります。
「ファイナルファンタジーXIV 紅蓮のリベレーター」のメモリOCに関連するパフォーマンスについては「Corsair VENGEANCE RGB」を使用して次の記事で詳細に検証しています。
・FF14 紅蓮のリベレーターで絶対に60FPSを切らないためのメモリOCを徹底解説!
M/BのLED操作機能やRyzen環境のメモリOCについて
ASUS AURA SyncやMSI Mystic Lightなどマザーボードベンダー各社が用意しているLEDイルミネーション操作機能との互換性についてですが、管理人の手持ちの機材ではMSI Mystic Lightでは「Corsair VENGEANCE RGB」との互換性が確認できました。LEDイルミネーションに関してCorsairとパートナーシップを結んだとの情報があるGIGABYTE RGB FusionについてはAMD X370環境で確認したところ操作できませんでした。Z270マザーボードのGIGABYTE RGB Fusionからなら操作できるのかもしれません。
またAMD Ryzen環境において「Corsair VENGEANCE RGB」のXMP3466MHz版が3200MHz動作可能かどうかも確認してみました。
「MSI X370 GAMING PRO CARBON」(レビュー)と「GIGABYTE Aorus GA-AX370-Gaming K7」と「ASUS ROG CROSSHAIR VI HERO」(レビュー)の3つのマザーボードを使用したRyzen環境で3200MHz動作も確認できました。「Corsair VENGEANCE RGB」のXMP3466MHz版であればRyzen環境で3200MHzへのオーバークロックも難しくないと思います。
Corsair VENGEANCE RGBのレビューまとめ
最後にRGB LEDイルミネーション対応「Corsair VENGEANCE RGB(型番:CMR16GX4M2C3466C16 RGB)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- RGB LEDイルミネーション搭載
- 同社のモニタリングソフト「Corsair Link」からLEDイルミネーション操作可能
- MSI Mystic Lightと互換性あり
- 簡単にメモリのオーバークロックが可能なIntel XMP 2.0に対応
- Ryzen環境で3200MHz動作を確認(XMP3466MHz版)
- 無期限に新品と交換可能な保証
(http://www.corsair.com/ja-jp/support/warranty)
- GIGABYTE RGB Fusion、ASUS AURA Sync、ASRock AURA RGB LEDには非対応
(GIGABYTEについては互換性ありとの情報も。管理人はX370環境で検証しました)
「Corsair VENGEANCE RGB(型番:CMR16GX4M2C3466C16 RGB)」のレビュー用サンプルによる検証ではXMPプロファイルを使用して3466MHzのオーバークロックが手軽に行えて正常に動作しました。
つい最近ではFF14 紅蓮のリベレーターでメモリOCによるボトルネックの大幅な緩和が確認できていますが、メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば十分で、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類です。そのため一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはおすすめな買い方だと思っています。
その点では専用のLEDイルミネーション操作ツールでLEDイルミネーションを自由自在に操作できる「Corsair VENGEANCE RGB」はXMP選別を目当てにしたメモリOCerのみならず、PCをオシャレに装飾したいユーザーにとっても非常に魅力的な製品だと思います。
以上、「Corsair VENGEANCE RGB(型番:CMR16GX4M2C3466C16 RGB)」のレビューでした。
関連記事
ロープロファイルOCメモリ「Corsair VENGEANCE LPX DDR4」をレビュー(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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