MSI MEG X399 CREATION


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第2世代Ryzen Threadripper向けに新たに開発されたX399チップセット搭載Socket TR4マザーボードとして、19フェーズの超特盛りなVRM電源回路を実装したウルトラハイエンドマザーボード「MSI MEG X399 CREATION」のレビュー用サンプルをメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。左右メモリスロット&CPUソケットの真上を完全に占有しているメガ盛りならぬMEG盛り19フェーズのVRM電源回路は圧巻です。
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製品公式ページ:https://jp.msi.com/Motherboard/MEG-X399-CREATION
マニュアル:http://download.msi.com/archive/mnu_exe/M7B92v1.0_ASIA.zip
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【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、AMD 第2世代Ryzen Threadripper CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年8月上旬に行っておりMSI MEG X399 CREATIONのBIOSは
110(サポートページでは7B92v11と表記)を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/MEG-X399-CREATION#down-bios

【18年8月22日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:110(サポートページでは7B92v11と表記)で検証



MSI MEG X399 CREATION レビュー目次


1.MSI MEG X399 CREATIONの外観・付属品
2.MSI MEG X399 CREATIONの基板上コンポーネント詳細
3.M.2 XPANDER-AEROについて
4.MSI MEG X399 CREATIONへのパーツ組み込み(ギャラリー)
5.MSI MEG X399 CREATIONの検証機材のセットアップ
6.MSI MEG X399 CREATIONのBIOSについて
7.イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について
8.
MSI MEG X399 CREATIONのOC設定について
9.MSI MEG X399 CREATIONの動作検証・OC耐性
10.MSI MEG X399 CREATIONのレビューまとめ



MSI MEG X399 CREATIONの外観・付属品

まず最初にMSI MEG X399 CREATIONの外観と付属品をチェックしていきます。
キャラメル箱と呼ばれる厚手の外箱に2段重ねの内パッケージという構造です。
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上段の内箱にはマザーボード本体が入っており、下段の内箱には組み立て関連のパーツとマニュアル類にパーティション分けされて付属品が収められていました。
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不織布の袋の中に主な付属品が収められています。
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不織布の袋の中には組み立てに関連する付属品として、SATAケーブル4本、SLI HBブリッジ、リアI/Oパネル、M.2 SSD固定ネジ*2、エンブレムシールが入っています。
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リアI/Oシールドは表面はマットなブラックのカラーリングになっています。裏面のマザーボードと接する部分はスポンジが入っていました。
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マザーボード本体に接続可能な2PIN型サーモセンサーが3本付属します。
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MSI MEG X399 CREATIONにはRGB LED対応汎用4PINヘッダーは基板上に実装されており、付属のケーブルが2分岐ケーブルなので1つのLEDヘッダーに2つのLEDイルミネーション機器を接続可能です。
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MSI MEG X399 CREATIONにはアドレッサブルLEDテープに対応したVD-G型のアドレッサブルLEDヘッダーが実装されており、独自3PINコネクタに変換するケーブルが付属します。
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MSI MEG X399 CREATIONにはPCパーツメーカーCorsair社からリリースされているLEDイルミネーション搭載冷却ファンやLEDテープが接続できるLEDヘッダーが実装されており、それに対応した延長ケーブルも付属します。
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「MSI MEG X399 CREATION」にはNVIDIA製GPU搭載グラフィックボードでマルチGPUを構築するためのSLIブリッジとしてGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジが付属しています。
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同社から発売されている「MSI SLI HB BRIDGE L (3SLOT) Silver」がマザーボードのデザインと非常にマッチするのでおすすめです。
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詳細については後ほど詳しく解説しますが、NVMe M.2 SSDの4枚刺しが可能なPCIE拡張ボード「M.2 XPANDER-AERO」が「MSI MEG X399 CREATION」には標準で付属します。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
MSI MEG X399 CREATIONはE-ATXフォームファクタのマザーボードで一般的なATXフォームファクタよりも横幅が30mm程大きい272mmとなっています。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクはM.2 SSDヒートシンクと一体化してマザーボード下端と右端を大きく占有しています。製品名のCREATIONとCRYSTALをかけているのか、ヒートシンクにはクリスタルを模したデザインの銀色のイラストプレートが装着されています。
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リアI/Oカバーもチップセットクーラーと同じくクリスタルを模したデザインでマザーボード全体として統一感があり、中央には”CREATION”のテキストロゴが貼られています。
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MSI MEG X399 CREATIONにはCPUコア向け16フェーズとSOCコア向け3フェーズで計19フェーズというRyzen Threadripper対応X399マザーボード史上、最強特盛りなVRM電源が実装されています。VRM電源の構成パーツには、従来製品より電力効率を30%改善した「TITANIUM CHOKE IIコイル」、低温で稼働し高い電力効率と安定性を実現する「DARK CHOKE」、低ESR(等価直列抵抗)と10年以上の寿命を実現した「DARK CAP」など高品質コンポーネントを採用されています。
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「MSI MEG X399 CREATION」のVRM電源クーラーは特盛り19フェーズVRM電源に対応すべく、ヒートパイプによって連結されCPUソケット上部全体の大型ヒートシンクから、リアI/Oカバー下にも拡張されています。
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最大32コア64スレッドとなる第2世代Ryzen Threadripper CPUへ安定した大電力供給が行えるように「MSI MEG X399 CREATION」のEPS端子は8PIN×2が実装され、70A/720Wの大電力供給に対応します。
EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
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リアI/Oには10基のUSB3.1 Gen1(USB3.0端子)が搭載され、うち1基はType-C端子となっています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。ただUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、追加でUSB2.0端子も少し離れた場所に設置して欲しかったです。
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ネットワーク関連では低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が2基設置されています。加えて無線LANモジュールも標準搭載しており、Wi-Fi 802.11 ac/2x2/デュアルバンド(2.4GHz, 5GHz)による最大伝送速度1733Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
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またリアI/Oには「BIOS FLASHBACK+」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「BIOS FLASHBACK+」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
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重量計を使用して重さを測定してみたところ、MSI MEG X399 CREATIONは1713gでした。ATXサイズX299マザーボードのMSI X399 GAMING PRO CARBON ACは1266g、MSI X299 GAMING PRO CARBON ACは1156gなので大型ヒートシンクなど豪華な構成になった分だけ重量は増えています。
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MSI MEG X399 CREATIONの基板上コンポーネント詳細

続いて「MSI MEG X399 CREATION」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
Ryzen Threadripper用TR4ソケットはLOTESとFOXCONNの2社が製造しており、各社マザーボードで採用されていますが、「MSI MEG X399 CREATION」の今回のサンプル機にはLOTES製ソケットが搭載されていました。TR4ソケットの一部にはかなり力を入れて押し付けないとソケットのネジが噛み合わないものがありますが、「MSI MEG X399 CREATION」のソケットはネジの噛み合わせに十分な遊びがあって簡単にネジを締めることができました。
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システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット両側に8基のスロットが設置されています。
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固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
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DDR4メモリスロットには外部ノイズEMIから保護するための金属シールド「DDR4 Steel Armor」が実装されており、DDR4 BOOSTというMSI独自の基板配線の最適化技術と組み合わせて、より安定したメモリのオーバークロック環境を実現しています。
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メモリモジュール数ごとの推奨されるメモリスロットのレイアウトが変わるので下記の表に従ってメモリを装着してください。
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グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[N/A、x16、x1、x16、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。プライマリGPUは2段目のスロットなので大型のハイエンド空冷クーラーとの互換性も確保されています。
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MSI MEG X399 CREATIONにおいて各PCI-Eスロットのレーン配分は下の図の通りで固定されており、PCI-Eレーンの排他利用や共有などはありません。
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グラフィックボード向けのx16スロットは2段目と5段目のスロットに配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属もしくは別売りの1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 TiやGTX 1070 Tiを使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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MSI MEG X399 CREATIONにも最近のトレンドとしてすべてのx16サイズスロット1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように補強用メタルアーマー搭載スロット「MSI PCI Express Steel Armor slots」が採用されています。半田付けによる固定を強化したことで従来よりも4倍も頑丈になっており、PCI-Eスロットをシールドで覆うことによって外部ノイズEMIから保護する役割も果たします。
MSI PCI-E Steel Armor
またマザーボード左下にはグラフィックボードなどPCI-Eスロットに設置した拡張カードへ安定した電力供給を行うための追加電源としてマザーボードと平行に4PINペリフェラルコネクタのオプション電源端子が用意されています。オプション扱いですがマルチGPU構成で組む場合は接続したほうがよさそうです。
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SATAストレージ用の端子はマザーボード右下に8基搭載されています。SATA3_1~8はいずれもAMD X399チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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MSI MEG X399 CREATIONには高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットがPCI-Eスロット間に3基設置されています。3基のM.2スロットはいずれもNVMe(PCI-E3.0x4)とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応しており排他利用はありません。
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3基のM.2スロットにはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield Frozer」が設置されており、同ヒートシンクを使用することで、グラフィックボードなど発熱から保護し、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングの発生を遅くする効果が見込まれます。
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M.2 SHIELD FROZER

加えて「MSI MEG X399 CREATION」にはNVMe M.2 SSDを4枚装着可能なPCI-E拡張ボード「M.2 XPANDER-AERO」付属しており、これを使用することでM.2スロットをさらに4つ増設できます。「M.2 XPANDER-AERO」についてはPCIE3.0x16を4つのPCIE3.0x4に分割することで4基のNVMe M.2 SSDを増設できる拡張ボードなので2段目もしくは5段目のPCIEスロットへの増設が推奨されています。
実際に「M.2 XPANDER-AERO」を試してみたところ複数のM.2 SSDが正常に認識されました。
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マザーボード右下には最新USB3.1対応内部ヘッダーが実装されています。またSATA端子の隣にはマザーボード基板と平行に内部USB3.0ヘッダーも2基設置されています。
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2つの内部USB3.0ヘッダーのうちSATA端子に近い方はMSIの独自機能である「MSI SUPER CHARGER」に対応しており専用アプリケーションをWindows上で専用アプリをインストールすることによってシステムがスリープ/休止状態であってもスマートフォンなどの急速充電に対応したUSBポートとして使用可能になります。
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USB2.0の内部ヘッダーも2基ずつマザーボード下に設置されています。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、MSI MEG X399 CREATIONであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
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「MSI MEG X399 CREATION」はクリエイティブユーザー向けマザーボードですが、同社のゲーミングマザーボードと同じく、MSI独自の高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「AUDIO BOOST 4」も採用されています。日本ケミコン製のオーディオコンデンサを採用し、オーディオパートはマザーボードから物理的に分離され、左右のオーディオチャンネルがレイヤー分けされることでクリアな音質を実現します。インピーダンス最大600オームまで対応可能な高出力DACで高音質ヘッドホンも使用可能です。FPSゲームなどで足音や銃声をゲーム内にOSD表示で可視化する「NAHIMIC Sound Technology」も使用できます。
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ケーブルが長くならざるを得ないVR HMDの接続ケーブルではパフォーマンスに大きな影響を与える信号損失が発生しやすいため、MSIではUSBリピーターチップ「VR BOOST」によって信号強度を高めてVR機器に最適化したUSBポートが設置されています。MSI MEG X399 CREATIONではリアI/Oシールドにプリントがある通り「VR BOOST」対応USB端子は右下写真の2つです。
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冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタとしてCPUファン端子水冷ポンプ対応端子ケースファン端子7基(SYS_FAN2~5, EXT_FAN1~3)の計9基が搭載されています。これだけあれば360サイズなどの大型ラジエーターを複数基積んだハイエンド水冷構成を組んでもマザーボードのファン端子だけで余裕で運用可能です。水冷ポンプ対応の「PUMP_FAN1」端子は最大24W(12V、2A)の出力にも対応しているので本格水冷向けのD5やDDCポンプの電源としても変換ケーブルを噛ませることで使用できます。
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MSIのファンコントロール機能にはソース温度の乱高下を無視してスムーズなファン回転数変化を実現するヒステリシス機能も備わっています。
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さらに「MSI MEG X399 CREATION」ではMSIマザーボードとしては待望の外部温度センサー用2PINヘッダーが3基も実装されました。
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またマザーボード右下にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードとスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。POSTエラーのチェックができるDebug Code LEDも設置されています。リアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでオーバークロック設定を失敗しても簡単に初期化が可能です。
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パワースイッチの右隣にあるダイヤルボタン「GAME BOOST Knob」はスイッチを入れてダイヤルを回すことでマザーボードに収録された7段階のオーバークロックプロファイルを簡単に適用することができます。ただ個人的には各自でBIOSからOC設定をするほうがおすすめなので余計な?お世話的な機能のようにも感じます。
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M.2 XPANDER-AEROについて

「MSI MEG X399 CREATION」には1つにPCIEスロットにNVMe M.2 SSDに対応したM.2スロットを4基増設可能なPCIE拡張ボード「M.2 XPANDER-AERO」が標準で付属します。
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「M.2 XPANDER-AERO」はMSI製のショート基盤グラフィックボードを彷彿とさせるデザインでGPUクラスの冷却性能もアピールされており、100mm径の冷却ファンによる2スロット占有GPUクーラーが搭載されています。
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「M.2 XPANDER-AERO」の基板の右端にはPCIE補助電源6PIN端子が実装されており、消費電力の大きいNVMe M.2 SSDを複数搭載しても安定した電力供給が可能です。なおこのPCIE補助電源はオプション扱いとなっておりPCIEスロットから供給可能な75Wで十分であれば接続しなくても使用できます。
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基板背面のプラスネジ4つを外すと基板からGPUクーラーを取り外すことができます。
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「M.2 XPANDER-AERO」ののGPUクーラーにはPCIEスロットを2スロット占有する大型のアルミニウム製ヒートシンクが採用されており、M.2 SSDをヒートシンクに接触させるためのサーマルパッドも標準で貼り付けられています。ヒートシンクは放熱フィン部分も大きいので冷却性能も高そうです。
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「M.2 XPANDER-AERO」の基板は下のようになっています。
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「M.2 XPANDER-AERO」のNVMe SSD対応M.2スロットはいずれもPCIEスロットと垂直な向きに4基が実装されています。M.2スロットは現在主流なM.2 2280フォームファクタだけでなく、全長120mmのM.2 22120フォームファクタにも対応しています。
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M.2スロットの根本にはそれぞれ温度センサーが伸びており、黒色のスポンジスペーサーと挟み込まれる形でM.2 SSDとしっかり密着します。サーモセンサーの温度情報は「M.2 XPANDER-AERO」に搭載された冷却ファンのファン制御ソースとして使用されます。
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補助電源端子のすぐ下にある「JCASE1」ヘッダーはPCケースのストレージLEDと接続し、「JMB1」ヘッダーはM/BのストレージLEDヘッダーと接続することで、「M.2 XPANDER-AERO」とマザーボードの両方に接続されたストレージへのアクセスに合わせてPCケースのストレージLEDを点灯させることができます。
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PCIEブラケット寄りの上側にはLEDスイッチとファンスイッチが実装されています。いずれも左がON、右がOFFでレバーをスライドさせることでON/OFFを切り替えることができます。LEDスイッチはアクセスLEDとファン制御LEDのON/OFFを切り替えることができます。ファンスイッチをOFFにするとファンレス動作が可能になります。
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「MSI MEG X399 CREATION」で「M.2 XPANDER-AERO」を使用して複数のNVMe M.2 SSDを増設する場合は、「M.2 XPANDER-AERO」を設置するPCIEスロットに対してBIOSメニューでPCIE帯域の分割設定を適用する必要があります。「MSI MEG X399 CREATION」の場合は2段目と5段目のPCIEスロットがPCIE3.0x16帯域で4つのPCIE3.0x4に分割できるので4基のNVMe M.2 SSDの増設に対応します。
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実際に「M.2 XPANDER-AERO」を試してみたところ複数のM.2 SSDが正常に認識されました。
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6つのファン制御LEDはメーターのようにファン回転数に対して点灯する数が変化するのではなく、「M.2 XPANDER-AERO」の基板上温度センサーの温度に依存して温度が上がる毎に、青→緑→赤へと発光カラーが変化します。
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4枚のNVMe M.2 SSDをアイドル状態のまま放置するとファン制御LEDは青色に点灯し、「M.2 XPANDER-AERO」のファンノイズは43.4dB程度となりました。
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iometarを使用して「M.2 XPANDER-AERO」に設置した4枚のNVMe M.2 SSDでシーケンシャルリードのアクセスを行ったところ、4基のNVMe(PCIE3.0x4)接続M.2 SSDとしては理想的なトータル13GB/s~14GB/sの読み出し速度となりました。SSDの温度については「M.2 XPANDER-AERO」のヒートシンクによる冷却なら、最も発熱の大きいメモリコントローラーが50~60度以内に収まるようです。
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上の状態で20分ほど負荷をかけ続けたところ、ファン制御LEDが緑色になり、「M.2 XPANDER-AERO」のファンノイズは48dB程度となりました。競合製品の「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」がファン動作時でファンノイズ48dB程度なので、2スロット占有の「M.2 XPANDER-AERO」はアイドル40dB以下、ロード44dB以下に収まっていて欲しかったというのが正直なところでした。
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MSI MEG X399 CREATIONへのパーツ組み込み

MSI MEG X399 CREATIONにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。
DDR4メモリには「GIGABYTE AORUS RGB Memory」(レビュー)、CPUクーラーには「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」(レビュー)を使用しています。
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MSI MEG X399 CREATIONの検証機材

MSI MEG X399 CREATIONを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。MSI MEG X399 CREATION以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 2990WX
32コア64スレッド (レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4
ELC-LTTR360-TBP (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Flare X for AMD RYZEN TR
F4-3200C14Q-32GFX
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripper&X399のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB


レビュー記事後半ではRyzen Threadripper 2990WXを使用したオーバークロックも実践するので検証機材CPUクーラーにはAMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに完全対応となる大型ベースプレートと360サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP」を使用しています。
ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズにはラジエーターサイズ別で240サイズ/280サイズ/360サイズの3モデルがラインナップされていますが、当サイトでは全モデルについて詳細なレビュー記事を公開中です。
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズのレビュー記事一覧へ
ENERMAX LIQTECH TR4シリーズ

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーター採用の簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファン「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。1基あたり4000円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
Noctua TR4_tp
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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MSI MEG X399 CREATIONのBIOSについて

MSI MEG X399 CREATIONを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)


BIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。右上には表示言語変更のプルダウンメニューがあります。MSIマザーボードはASUSの次くらいにしっかりとローカライズされているので日本語UIも使いやすいと思います。
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MSIのBIOS詳細モードでは「SETTING」「OC」「M-FLASH」「OC PROFILE」「HARDWARE」「BOARD EXPLORER」の6つのアイコンを選択することで中央のイラスト部分や画面全体に詳細設定項目が表示されるという構造になっています。キーボード操作も可能ですがマウス操作を重視したUIです。
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MSI MEG X399 CREATIONのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出は「SETTING」アイコンの「保存して終了」の項目内に存在します。ASUS、ASRock、GIGABYTEなどと違ってカーソルキーのみの移動で設定保存と退出関連の項目にサクッと移動できないのが少し不便に感じます。起動デバイスを指定して再起動をかける「Boot Override」機能があるのは使い勝手が良くて好印象です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_3a
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_3b

今回の個体については初期のBIOSバージョンは「120」で、すでに18年8月現在の最新BIOSに更新されていました。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_5

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/MEG-X399-CREATION#down-bios

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、詳細モード左下の「M-FLASH」を選択します。「M-FLASH」モードはBIOSとは完全に別で用意されており再起動するか尋ねられるので再起動します。ただし手動でOCを行っている場合は「M-FLASH」を選択しても一度設定をデフォルトに戻して再起動がかかるので、再度BIOSに入って「M-FLASH」を選択する必要があるようです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_5aMSI MEG X399 CREATION_BIOS_5b
再起動して「M-FLASH」に入ったら下のようにUSBメモリ内のBIOSファイルを選択してアップデートを実行すればBIOSのアップデートが完了します。なおBIOSアップデート後は自動でBIOSへ入らないので注意してください。アップデート後はOC設定なども初期化されてしまうので初回は自動でBIOSに入って欲しいです。
MSI MEG X399 CREATION05782
BIOSのアップデートまでの手順を動画で撮影しました。



ブートとOSインストール周りについて紹介します。
MSI MEG X399 CREATIONのブートデバイス関連の設定は「SETTING」アイコンの「ブート」という項目にまとめられています。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_6
「Boot mode select」はデフォルトでは「UEFI&Legacy」になっていますが、Windows10ユーザーは基本的にUEFIしか使用しないのでUEFIに固定してしまうのがおすすめです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_7

起動デバイスの優先順位は「FIXED BPPT ORDER Priorities」という項目で、ハードディスクやDVDドライブなど大別した優先順位が設定可能となっており、その下にある「〇〇 Drive BBS Priorities」で同じ種類のデバイスについて個別の起動優先順位の設定を行えます。
一般的にはWindows OSの入った「UEFI:HardDisk:Windows Boot Manager(〇〇)」を最上位に設定して、その他の起動デバイスは無効化しておけばOKです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_8
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_9

Windows 10 OSのインストール手順(BIOSにおける設定)についても簡単に紹介しておきます。
Windows 10のOSインストールメディア(USBメモリ)については「FIXED BPPT ORDER Priorities」では「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」という名前になります。「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」を起動優先順位の最上位に設定してください。ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_10
起動優先順位でインストールメディアを最上位に設定したら設定を変更してBIOSから退出します。ただMSI MEG X399 CREATIONはブートデバイスを指定できるBoot Overrideを使用できるので直接OSインストールメディアを起動デバイスとして指定して再起動してもOKです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_11


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、MSI MEG X399 CREATIONのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

「MSI MEG X399 CREATION」はNVMe SSDによるRAIDストレージの構築に対応していますが、「MSI MEG X399 CREATION」に標準で付属する「M.2 XPANDER-AERO」や、一般販売されている「ASRock Ultra Quad M.2 Card」や「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」のような複数のNVMe M.2 SSDを設置可能な拡張ボード用にPCI-Eレーンを分割するBIOS設定が用意されています。
BIOS設定を変更することで、PCIE3.0x16レーンのPCIEスロットは4つのPCIE3.0x4レーンに、PCIE3.0x8レーンのPCIEスロットは2つのPCIE3.0x4レーンに分割することができます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_12
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_12aMSI MEG X399 CREATION_BIOS_12b
実際に「M.2 XPANDER-AERO」を試してみたところ複数のM.2 SSDが正常に認識されました。
MSI MEG X399 CREATION review_01631MSI MEG X399 CREATION_M.2 XPANDER-AERO_DM
RAIDモードで使用するブータブルディスクの作成方法(Windows OSのインストール方法)について詳しくは下の記事でまとめているのでこちらを参照してください。記事中ではRAID0ストレージにインストールする例を紹介していますが、アレイ構築でシングルボリュームを選べば、SATA SSDのシングルボリュームへのOSインストールも同様の手順で行えます。
Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法
Ryzen Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法


MSI MEG X399 CREATIONのファンコントロールや各種コンポーネント温度のハードウェアモニタリングはトップメニューの「HARDWARE」アイコンからアクセスできます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_13
「MSI MEG X399 CREATION」のファンコン機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIによる設定のみで他社製品のようなコンソールで値を打ち込むようなメニューは存在しません。またファンコンカーブの設定にはマウス操作が必須です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_14
「MSI MEG X399 CREATION」にはモニタリング可能な温度が12種類もあり、T_SEN 1~3は付属の温度センサーや、市販の2PIN温度センサーによって外部温度センサーを増設できます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_15
「MSI MEG X399 CREATION」に搭載された10基のファン端子については、いずれも個別にファン制御モードをPWM制御とDC制御から選択でき、ファンコントロールソース温度やヒステリシス(Step Up/Down Time)の設定もできます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_16
「MSI MEG X399 CREATION」に搭載されたファン端子のうちCPUファン端子、PUMP端子、ケースファン端子_1~5の7つはファンコンソース温度として、CPU温度、System温度、MOS(VRM電源)温度、PCH(チップセット)温度の4種類から選択できます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_17
「MSI MEG X399 CREATION」に搭載されたファン端子のうちEXT_FAN_1~3(BIOS上ではSystem 6~8)の3基については、外部温度センサーをファンコントロールソースとして選択できます。水冷ラジエーターに設置した冷却ファンを水温ソースで制御する場合はEXT_FAN_1~3に接続するとよさそうです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_18

MSI製マザーボードのファンコントロール機能はグラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。ただ個人的にはコンソール直打ちが好きなので管理人がMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つです。

あと細かいところですがBIOS内のスクリーンショットをF12キーで撮影できますがスクリーンショットファイルの名前がタイムスタンプではなく保存するUSBメモリのルートに存在するファイルで重複しない連番なのが少し使い難かったです。間違って上書き保存してしまうことがあるのでタイムスタンプにして欲しいです。



イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について

MSI製のマザーボードにもマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PINイルミネーション機器に対応したイルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」が用意されています。
MSI MEG X399 CREATION review_01623
MSI MEG X399 CREATIONでは大きく分けて、リアI/Oカバー、チップセットクーラー、マザーボード右下裏の3か所にLEDイルミネーションが実装されています。
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MSIのLEDイルミネーション同期調整機能「MSI Mystic light」による操作に対応した汎用4PIN LEDヘッダーがマザーボードの左下に設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。
MSI MEG X399 CREATION review_01587_DxOMSI MEG X399 CREATION review_01582_DxO
アドレッサブルLEDテープに対応したVD-G型3PINヘッダーも実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」が動作することが確認できています。
MSI MEG X399 CREATION review_01629MSI MEG X399 CREATION review_01572_DxO
またCorsair製のLEDイルミネーション機器が接続可能な独自規格の3PINヘッダーもマザーボード右上には実装されており、「Corsair RGB Fan」や「Corsair Lighting PRO LEDストリップ」を接続して、MSI Mystic Lightでライティング制御が行えます。
MSI MEG X399 CREATION review_01582cMSI Mystic light_Corsair

MSI Mystic Lightに対応する機器についてはMSIの公式ページで一覧が公開されています。
MSI Mystic Light対応機器:https://jp.msi.com/Landing/mystic-light-motherboard#mystic
MSI Mystic Light_goods

LEDイルミネーション搭載メモリについては当サイトでもレビュー記事を公開している「HyperX Predator RGB」や「Corsair VENGEANCE RGB PRO」が「MSI Mystic Light」に対応しています。
HyperX Predator RGB Corsair VENGEANCE RGB PRO

イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」は単独のアプリケーションとして配布されており、公式ページからダウンロードして起動すると次のようなウィンドウが表示されます。「MSI MEG X399 CREATION」の登場に合わせてソフトウェアが大きくバージョンアップしており、UIがかなり使いやすくなりました。
MSI Mystic light_1
「MSI Mystic Light」のトップメニューでは緑線で囲った部分で全体の同期設定や個別設定時の設定部位が選択できます。画面左の青線で囲った部分から発光パターンが選択できます。静的発光など発光パターンについてはオレンジ線で囲った部分からカラーパレットで発光カラーが設定でき、カラー固定の発光パターンでも変化スピードや明るさが設定できます。画面右のマザーボード写真がそのままライティングのプレビューになっているので設定がさらに容易になっています。
MSI Mystic light_2
選択可能な発光パターンは30種近くと非常に豊富です。
MSI Mystic light_3-1MSI Mystic light_3-2MSI Mystic light_3-3MSI Mystic light_3-4MSI Mystic light_3-5




MSI MEG X399 CREATIONのOC設定について

MSI MEG X399 CREATIONを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。

AMD Ryzen Threadripper CPUについては純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
AMD Ryzen Masterユーティリティ

MSI MEG X399 CREATIONではオーバークロック関連の設定項目はトップメニューの「OC」アイコンに各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_1
OCメニューのトップには「OC Explore Mode」という項目があり一般的なOC設定の可能な「Normal」に加えて、一部の高度なOC設定項目を解除できる「Expert」モードがあります。基本的なOC設定は「Normal」モードでも十分行えるので初心者は無理せず「Normal」モード推奨です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_2


CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。そしてベースクロック(BCLK)は通常100MHzなので動作倍率40倍であればコアクロックは4.0GHzとなります。

AMD Ryzen Threadripper CPUについても定格では同様に、例えばRyzen Threadripper 2990WXでは冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.2GHz、全コア負荷の場合はTDPの範囲内で変動しますが軽いワークロードであれば全コア4.0GHzで動作し、動画のエンコードなど重いワークロードでは平均3.2GHz程度で動作します。
AMD Ryzen Threadripper 2990WX_def_clock

Ryzen ThreadripperのCPUコアクロックに関してBIOSから行う基本的なOC設定や専用ユーティリティ「Ryzen Master」によるOC設定では、単一の「P-State」を設定して固定コアクロックかつ固定電圧でOC設定としていますが、Ryzen CPUでは本来、複数の「P-State」が設定可能です。
アイドル時のP-State0、低負荷時のP-State1、高負荷時のP-State2のように負荷に応じてP-State(コアクロックと電圧の組み合わせ)という状態を遷移できます。例えばRyzen Threadripperの定格動作ではCPUごとにデフォルトで設定されたP-Stateに従って動作しているので可変コアクロックかつ可変電圧になっています。
固定最大コアクロック&固定電圧によるOCに比べて、複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高いですが、一部のコアのみより高いクロックで動作させるなど細かい設定が可能になります。とはいえやはり複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高い設定になるので、簡単な単一P-Stateで固定最大倍率&固定電圧のOCがおすすめです。
Ryzen P-State_1


MSI MEG X399 CREATIONのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の動作倍率を指定する形になっていました。「CPU Ratio」の項目を「40.25」と設定するとベースクロック(BCLK):100MHzに対して4025MHzで動作するように設定されます。動作倍率は0.25刻みで指定可能です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_3
MSI MEG X399 CREATIONはベースクロック(BCLK)の調整にも対応しています。デフォルトでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで1MHz刻みで設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率40倍の場合はコアクロック4.40GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常は100MHz固定が推奨です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_4
AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。設定箇所はOCトップメニューの最下にある「CPUの機能」という項目の下位に置かれています。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_5

第2世代Ryzen Threadripperで利用可能な新機能「Precision Boost Overdrive」については「MSI MEG X399 CREATION」ではBIOSから設定が可能です。「CPUの機能」という項目の下位に設定項目が表示され、「Precision Boost Overdrive」の機能の有効化や手動設定が行えます。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_6
「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」でPrecision Boost Overdriveを使用する場合の、設定値の目安や実際の動作についてはこちらの記事で解説しているので参考にしてください。
AMD Ryzen Threadripper 2990WXにPrecision Boost Overdriveを適用してみる
AMD Ryzen Threadripper 2990WX



続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen Threadripper CPUのオーバークロックで変更する電圧設定についてはRyzen CPUと同様に、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリの動作周波数に影響する「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
Ryzen OC Voltage
MSI MEG X399 CREATIONではOCの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen Threadripper CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_7

CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、MSI MEG X399 CREATIONではCPUコア電圧(BIOS上ではCPU Core voltageと表記されています)の項目を変更します。
MSI MEG X399 CREATIONではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。CPUコア電圧は0.0125V刻みでコア電圧の設定が可能です。電圧設定の目安としては1950Xの場合、全コア4.0GHzで1.300~1.400V程度となります。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_8
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「DigitALL power」がCPUコア電圧の設定欄の直上にあります。
「DigitALL power」内の設定項目の中でCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる「CPUロードラインキャリブレーション」はMode1~Mode8まで設定可能となっており、添え字の数字が小さくなるほど補正が強くなります。小さくするほどOCの安定性は増しますがCPUの発熱も大きくなるのでMode3あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながらモードを上げていくのがおすすめです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_9


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。

なおAMD Ryzen Threadripper環境ではメモリのオーバークロックに伴って、コアクロックOC時のコア電圧の要求値が上がるので注意してください。一例としてRyzen Threadripper 1950Xで全コア4.0GHzのOCに関して、メモリ周波数2133MHzでは1.275Vで回った石でもメモリ周波数3200MHz以上にオーバークロックすると1.320V程度が安定動作に要求されました。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「MSI MEG X399 CREATION」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、MSI MEG X399 CREATIONなどの一部のMSIマザーボードには、メモリに収録されたXMPプロファイルからRyzen環境でも使用可能なメモリOCプロファイルを自動生成する「A-XMP」という独自機能があります。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_10
A-XMPを使用しない場合、「DRAM Frequency」がAutoではSPDプロファイルに規定された定格動作となり、動作周波数は2133MHz~2666MHzとなります。手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大4000MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_11MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_13
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_13
メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「GearDownMode」をEnabledに設定すると動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_14
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_15

DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM CH AB/CD Voltage」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_16
加えてAMD Ryzen Threadripper CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(VDD SOC電圧)」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。
MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_17

AMD Ryzen Threadripperにはメモリーアクセスモードとして「Distributed / Local」の2つのモードが用意されていますが、「MSI MEG X399 CREATION」では専用アプリ「AMD Ryzen Master」を使用せずBIOSからメモリーアクセスモードの変更を行うことが可能です。
メモリタイミング設定画面の「Misc Item」(もしくは「Setting - 拡張設定 - AMD CBS - DF Common Options」)にある「Memory interleaving」の項目がメモリーアクセスモードの設定に該当しています。「Memory interleaving」の設定値は次のようになっています。
 Die : Distributed : UMAモード
 Channel : Local : NUMAモード

MSI MEG X399 CREATION_BIOS_OC_18



MSI MEG X399 CREATIONの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてMSI MEG X399 CREATIONを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定したところ、MSI MEG X399 CREATIONの起動時間は42秒ほどした。多機能なエンスー向けマザーボードの起動時間としては遅いというほどではありませんが、POST時間に少し時間がかかっている印象です。



続いてMSI MEG X399 CREATIONを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Ryzen Threadripper 2990WXのOC設定は「CPUクロック倍率:40」「CPUコア電圧:1.250V」「ロードラインキャリブレーション: Mode3」としました。またメモリについてはG.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルで「メモリ周波数:3200MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:14-14-14-34-CR1」が適用されています。
MSI MEG X399 CREATION_OC Test_BIOS (1)MSI MEG X399 CREATION_OC Test_BIOS (2)MSI MEG X399 CREATION_OC Test_BIOS (3)

上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
MSI MEG X399 CREATION_OC test_1
MSI MEG X399 CREATION_OC test_2

MSI MEG X399 CREATIONの環境(BIOS:110)ではG.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXのOCプロファイルによってメモリ周波数を3200MHzにOCしてメモリタイミング:14-14-14-34-CR1に詰めることができました。
MSI MEG X399 CREATION_OC test_memtest
なおG.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFXは1950Xと初期X399マザーボードでは3466MHzの動作も確認できていましたが、2900WXとMSI MEG X399 CREATION環境では起動はできるもののRum Testですぐにエラーが出て安定動作は確認できませんでした。これについてはマザーボード側のOC耐性の問題ではなく、2990WXでコア数が倍増してメモリOCがシビアになっているのが原因ではないかと思います。


16コア32スレッド「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」のコアクロック4.0GHz、メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1でCinebenchも問題なくクリアできました。
MSI MEG X399 CREATION_OC test_cinebench


続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はThreadripper 2990WXの場合5分ほどなので同じ動画のエンコードを4つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Ryzen Threadripper 2990WX_Stress

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにMSI MEG X399 CREATIONを使用して「AMD Ryzen Threadripper 2990WX」のコアクロック4.0GHz、メモリ周波数3200MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1500RPMで固定しています。
MSI MEG X399 CREATION_OC test_stress


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用して「MSI MEG X399 CREATION」のVRM電源温度をチェックしていきます。
まずは同マザーボードにおいてAMD Ryzen Threadripper 2990WXをデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。定格ではTDP250W制限下で動作するため動画のエンコードのような長期的な負荷に対しては実動平均で全コア3.2GHz程度での動作となります。
AMD Ryzen Threadripper 2990WX_def
AMD Ryzen Threadripper 2990WXを使用すると定格動作でもEPS端子経由の消費電力は300W程度に達するので、簡易水冷CPUクーラーによる冷却でVRM電源周りに風が直接当たらない場合、第1世代Ryzen Threadripper向けにリリースされていた初期X399マザーボードではVRM電源温度が100度前後に達してしまい、スポットクーラーによる冷却が必須でしたが、「MSI MEG X399 CREATION」はTDP250Wに達するAMD Ryzen Threadripper 2990WX向けに開発されただけあってパッシブ空冷のままでもVRM電源周りが80度前後に収まるという非常に優れた結果を出しています。
MSI MEG X399 CREATION_2990WX_def_FLIR (2)
MSI MEG X399 CREATION_2990WX_def_FLIR (1)MSI MEG X399 CREATION_2990WX_def_FLIR (3)

続いてRyzen Threadripper 2990WXを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。同マザーボードに限った話ではありませんが第2世代Ryzen Threadripperで手動設定OCやPrecision Boost Overdriveの適用を行う場合はスポットクーラーを使用してVRM電源部分の冷却推奨です。ちなみにMSI MEG X399 CREATION環境でRyzen Threadripper 2990WXを全コア4.0GHz、メモリ3200MHzまでOCするとシステム全体の消費電力(ほぼCPUの消費電力)が550Wに達します。
MSI MEG X399 CREATION_OC test_powerMSI MEG X399 CREATION review_01860
Ryzen Threadripper 2990WXを全コア4.0GHzにOCしていますが、スポットクーラーとして120mmファンを1500RPMで回して冷やすことで長時間の負荷に対しても、サーモグラフィーとソフトウェアモニタリングの両方でVRM電源周りの温度は80度半ばに収まりました。特盛り19フェーズという圧倒的なVRM電源を搭載しているだけあって500WオーバーのCPU消費電力でも軽々と対応できています。
MSI MEG X399 CREATION_2990WX_40_1250mV_FLIR

Ryzen Threadripper 2990WXのマニュアル設定オーバークロックやPrecision Boost Overdriveの適用を行うためにスポットクーラーを使用するのであれば、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がおすすめです。
可変アルミフレーム搭載ファン「IN WIN MARS」をレビュー
IN WIN MARS



MSI MEG X399 CREATIONのレビューまとめ

最後に「MSI MEG X399 CREATION」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • クリスタルを模したブラック&シルバーのクールなデザイン
  • CPU用16フェーズ&SOC用3フェーズで計19フェーズの特盛りなVRM電源回路
  • 500WオーバーのCPU消費電力にも対応可能なVRM電源
  • 外部ノイズEMIから保護するための金属シールド「DDR4 Steel Armor」
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット「MSI PCI Express Steel Armor slots」
  • 32コアRyzen TR 2990WX 4.0GHz、メモリクロック3200MHz OCで安定動作
  • MSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield Frozer」が付いたNVMe接続M.2スロットが3基
  • 2スロット占有大型クーラー搭載M.2 SSD 4枚刺し拡張ボードM.2 XPANDER-AEROが付属
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
悪いところor注意点
  • 2990WXの手動OC時はスポットクーラーの使用を推奨

第2世代Ryzen Threadripperと同時に発売された「MSI MEG X399 CREATION」はTDP250WとなるThreadripper WXシリーズに対応すべく開発され、メガ盛りならぬMEG盛り19フェーズでマザーボード上部を左から右へと占有する圧倒的なVRM電源を搭載しており、32コア64スレッドの最上位モデルRyzen Threadripper 2990WXと組み合わせても、TDP250Wに収まる定格運用ならVRM電源部分はパッシブ空冷で対応でき、CPU消費電力が500WオーバーになるOCを適用してもスポットクーラーによるアクティブ空冷で十分に対応が可能という抜群のパフォーマンスを発揮しています。

BIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、MSI MEG X399 CREATIONではマウス&キーボード環境を想定したグラフィカルなUIが採用されており管理人的には少し使いづらいと感じてしまいました。個人的にMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つではあるのですが、グラフィカルUIが好きなユーザーにとっては嬉しい仕様だとも思うので個々人の好みで評価は分かれるところです。

MSI MEG X399 CREATIONを使用した検証機では32コア64スレッドのAMD Ryzen Threadripper 2990WXを全コア4.0GHzに、メモリ周波数も3200MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性については上述の通り2990WXで全コア4.0GHzへのオーバークロック、メモリ周波数3200MHzでメモリタイミング14-14-14-34-CR1という比較的シビアなタイミングを達成しているのでOC耐性についても十分に及第点をクリアしています。

CPUのオーバークロックを行う上でVRM電源回路はマザーボード依存のOC耐性として重要ファクターの1つですが、「MSI MEG X399 CREATION」は第2世代Ryzen ThreadripperのTDP250Wモデル向けに開発され19フェーズの特盛りVRM電源を搭載しているだけあってとにかく優秀です。
Ryzen Threadripper 2990WXは定格運用ではTDP250Wの制限内で動作しますが、2990Wは第1世代最上位の1950Xを軽くOCした時と同程度のCPU消費電力になるので、第1世代と同時期にリリースされた初期型X399マザーボードでは2900WXの定格でもVRM電源は100度前後に達するため、スポットクーラーによる冷却が推奨されますが、「MSI MEG X399 CREATION」ならパッシブ空冷のままでも80度前後に収まるのでRyzen Threadripper 2990WXを安心して運用できます。
Ryzen Threadripper 2990WXを3GHz後半に手動OCしてCPU消費電力が450~500Wに達すると初期X399マザーボードではVRM電源部分がスポットクーラーによる冷却を行っていても100度前後に達してしまい、ほぼVRM電源水冷が要求されるような状況になりますが、「MSI MEG X399 CREATION」なら全コア4.0GHz OCでCPU消費電力が550W前後に達してもスポットクーラーによるアクティブ空冷によってVRM電源は80度半ばに収めることができました。

19フェーズのMEG盛りなVRM電源によって32コア64スレッドCPUのRyzen Threadripper 2990WXを全コア4.0GHzにOCしても軽々対応できる「MSI MEG X399 CREATION」は2990WXのベストパートナーと言っても過言ではないX399マザーボードなので、Ryzen Threadripper 2990WXを使ってプロフェッショナルクラスの3Dモデリング用や科学計算用のワークステーションを組もうと思っている人には一押しのマザーボードです。

以上、「MSI MEG X399 CREATION」のレビューでした。
MSI MEG X399 CREATION






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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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