ASRock Z390 Taichi Ultimate



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8コア16スレッドのCore i9 9900KなどIntel第9世代CoffeeLake Refresh-Sに対応するZ390チップセット搭載マザーボードとしてASRockからリリースされた、高いOC耐性と同時に優れたコストパフォーマンスを実現するミドルハイブランド”Taichi”シリーズのフルスペック+αな最上位モデル「ASRock Z390 Taichi Ultimate」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。競合他社のハイエンドモデルと比較しても大容量かつ堅牢な12フェーズのVRM電源回路を実装し、8コア16スレッドのCore i9 9900Kの大幅なオーバークロックにも余裕で対応可能な最上位マザーボードを徹底検証します。
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製品公式ページ:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z390 Taichi Ultimate/index.jp.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/Z390%20Taichi%20Ultimate_jp.pdf

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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」「ASRock Z390 Phantom Gaming 9」「ASRock Z390 Taichi」の3モデルはVRM電源回路やPCIEスロットなど、ほぼ共通のマザーボードレイアウト&スペックですが、10Gbイーサを搭載した「ASRock Z390 Taichi Ultimate」を最上位として、「ASRock Z390 Phantom Gaming 9」は2.5Gbイーサ搭載のハイエンドゲーミングモデル、「ASRock Z390 Taichi」はオンボードスイッチなど付加価値機能が省略されたハイコストパフォーマンスモデルとなっています。
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【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel CoffeeLake Refresh-S CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は19年1月上旬に行っておりASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSはver1.80を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z390%20Taichi%20Ultimate/index.jp.asp#BIOS


【19年1月18日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.80で検証


ASRock Z390 Taichi Ultimate レビュー目次


1.ASRock Z390 Taichi Ultimateの外観・付属品
2.ASRock Z390 Taichi Ultimateの基板上コンポーネント詳細

3.ASRock Z390 Taichi Ultimateの検証機材セットアップ
4.ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSについて
5.ASRock Polychlome RGB Syncについて
6.ASRock Z390 Taichi UltimateのOC設定について
7.
ASRock Z390 Taichi Ultimateの動作検証・OC耐性
8.ASRock Z390 Taichi Ultimateのレビューまとめ


ASRock Z390 Taichi Ultimateの外観・付属品

まず最初にASRock Z390 Taichi Ultimateの外観と付属品をチェックしていきます。
ASRock Z390 Taichi Ultimateはキャラメル箱と呼ばれる外箱に内パッケージという構造になっていました。
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内パッケージは2段で分かれており、上段にはマザーボード本体が、下段には各種付属品が入っていました。
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マザーボード本体は静電防止スポンジで保護され、タイラップでしっかりと固定されています。運送中に衝撃が加えられても故障の心配はなく安心です。
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マニュアル類は、英語のソフトウェアマニュアル、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
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冊子で付属する多言語マニュアルの日本語ページは少ないですが、詳細な日本語マニュアルは公式ホームページでPDFファイルとして公開されているのでこちらを参照してください。
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/Z390%20Taichi%20Ultimate_jp.pdf

組み立て関連の付属品はSATAケーブル4本、リアI/Oパネル、スティック型WiFiアンテナ2本、M.2 SSD固定ネジ*2、SLI HBブリッジです。
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リアI/Oシールドの表面はマットブラックなカラーリングになっています。また裏面のマザーボードと接する部分にはスポンジなど緩衝材はありませんでした。4万円を超える高級なマザーボードなのでスポンジを詰めておいて欲しいところ。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock Z390 Taichi UltimateはATXフォームファクタのマザーボードで、ブラックのPCB基板を背景にしてグレーとツートンカラーでTaichiのイメージアイコンにもなっている歯車のイラストが描かれています。PCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」ではチップセットクーラーが細かいパーツで構成されており、今にも歯車が動き出しそうなギミック感があります。ブラック&ホワイトの太極図デザインから、ブラック&グレーの歯車デザインに切り替わる過程ではユニークさを失った感もありましたが、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」では万人受けとユニークさが見事に両立していると感じました。
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VRM電源部分に覆いかぶさるようして伸びる大型のリアI/Oカバーが重厚感を演出しており、ブラックカラーの「XXL アルミニウム合金製ヒートシンク」と名付けられているVRM電源ヒートシンクとも上手く調和しています。アルミ製のVRM電源クーラーにはヒートシンク全体で効率的に放熱を行うため熱の拡散を速めるヒートパイプが組み込まれています。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのVRM電源フェーズ数は同社他社含めトップクラスの12フェーズとなっており、対応CPUで最上位となる8コア16スレッドCore i9 9900Kを大幅にオーバークロックしても安定した電力供給が可能な数が実装されています。
従来比で飽和電流を最大3 倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム60Aパワーチョークコイル」や低オン抵抗でCPU Vcore向けの電源をより効率的に供給できる「デュアルスタック MOSFET (DSM)」などでタフなOC耐性を実現します。
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Z390マザーボードのミドルクラス以下の製品ではEPS電源端子は8PINのものが多いですが、手動OCによってCPU消費電力が200Wを超過するCore i9 9900Kのオーバークロックにも対応すべく、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」ではEPS端子は8PIN+4PINに増強されています。700W以下のメインストリーム電源ユニットではEPS端子が1つしかないものもあるので組み合わせて使用する電源ユニットには注意が必要です。
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リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cがそれぞれ1基で計2基が設置されています。そのほかのUSB端子については6基のUSB3.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、加えてUSB3.0端子から少し離れた場所にUSB2.0を設置して欲しかったです。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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ビデオ出力にはHDMIとDisplayPortが設置されていますが、HDMI端子については4K・60FPSに非対応で4K・30FPSが上限となるver1.4対応でした。Z390マザーボードでは4K・60FPSに対応したHDMI2.0を搭載するものは非常に少ないので外部GPU(グラフィックボード)を使用しないユーザーは注意が必要です。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子に加えて、加えて赤色の有線LAN端子で一般的な有線LANの10倍の速度を誇る10Gb/sに対応した「Aquantia AQC-107 10Gb/s BASE-T イーサネット」も実装されています。
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無線LANモジュールも標準搭載しており、接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度1733Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
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重量計を使用して重さを測定してみたところ、同じくATXマザーボードのASRock X470 Taichiが1021g、ASRock X399 Taichiが1405gに対して、ASRock Z390 Taichi Ultimateは958gとなっており、メインストリーム向けATXマザーボードとしては標準的な重さです。
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ASRock Z390 Taichi Ultimateの基板上コンポーネント詳細

続いて「ASRock Z390 Taichi Ultimate」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
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グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から順に[N/A、x16、N/A、x1、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
3基のx16サイズスロットは全てCPU直結PCIE3.0レーンに接続されており、[x16, N/A, N/A] or [x8, x8, N/A] or [x8, x4, x4]の帯域で使用できます。
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1段目と6段目のx1サイズスロットは右端に切り込みが入れられているので、通信速度がPCIE3.0x1で問題なければx2サイズ以上の拡張カードも使用可能になっています。排他利用はありません。
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グラフィックボード向けのx16スロットは2段目と5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、GTX 1080 TiやGTX 1070 Tiを使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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別売りオプションパーツのNVLink SLI Bridgeが必要ですが、3スロット(1スロットスペース)のNVLink SLI BridgeがあればNVIDIAの最新GPUであるRTX 2080 TiやRTX 2080でもマルチGPU環境を構築可能です。
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最近のトレンドとしてはグラフィックボード用のx16スロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるメタルアーマーが採用されています。ASRockの「STEEL SLOT」ではスロット全体に金属アーマーを装着して四隅をハンダで固定する構造になっています。(下写真はASRock Fatal1ty Z270 Gaming-ITX/acのもの)
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ASRock Z390 Taichi UltimateにはSATAストレージ用の端子はSATA3_1~6とSATA_A1/2の8基が搭載されています。SATA3_1~6はIntel Z390チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットは、CPUソケット下、PCIEスロット間、チップセット下に計3基が設置されています。M2_1M2_2M2_3はいずれもNVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応しています。M2_1はSATA3_0/1と帯域が共有されており、どちらかを使用するともう一方は排他利用になります。M2_2にSATA接続のM.2 SSDを使用すると、SATA3_3は排他利用となります。M2_3はSATA3_4/5と帯域が共有されており、どちらかを使用するともう一方は排他利用になります。
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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」ではチップセット下のM.2スロットにグレーのアルミニウムプレート型のM.2 SSDヒートシンクが装着されています。
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Intel Z390チップセット搭載マザーボードではCPUとチップセット間はDMI 3.0というインターフェースで接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
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Z390チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。

CPU直結の場合 チップセット接続の場合
長所  複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の
 同時アクセスでもフルスペック動作
 IRSTによるハードウェアRAIDで
 性能を上げることができる
短所  IRSTによるハードウェアRAID
 が構築できない
 (Intel製SSDではVROCで
  ソフトウェアRAIDが構築可能)
 複数のM.2 SSDから同時にアクセス
 がある場合、ストライプRAIDの場合
 4GB/s程度がボトルネックになる
複数のM.2 SSDを同時にフルアクセスさせたい場合は、PCI-E→M.2アダプタを使用するなどしてCPU直結のM.2スロットを用意し、マザーボード備え付けのM.2スロットと組み合わせるなど工夫が必要です。


マザーボードの右端には、1基の内部USB3.1 Gen2ヘッダーと2基の内部USB3.0ヘッダーが実装されています。ATX24PINコネクタ寄りの内部USB3.0ヘッダーは一般的なマザーボード基板に垂直な端子ですが、SATA端子寄りの内部USB3.0ヘッダーはマザーボード基板に平行な端子になっています。
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マザーボード下には内部USB2.0ヘッダーが1基設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など使用する周辺機器も増えていますが、ASRock Z390 Taichi Ultimateには内部USB2.0ヘッダーが1基しかありません。内部USB2.0ヘッダーが不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
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ASRock Z390 Taichi Ultimateはオンボードサウンドに「Purity Sound 4」という高音質ソリューションが採用されています。アナログ出力はニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用し、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子が設置されています。
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マザーボード基板上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが設置されています。またリアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」では冷却ファンを接続するためのファン端子として、PWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に計7基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット上に設置されたCPUファン端子CPU/ウォーターポンプファン端子(水冷ポンプ対応)、その他のケースファン端子5基(水冷ポンプ対応)に分かれており、水冷ポンプ対応ファン端子は2A、24Wの電源出力が可能です。
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ASRock Z390 Taichi Ultimateには「Hyper BCLK Engine」という外部ベースクロックジェネレータが実装されています。「Hyper BCLK Engine II」はオーバークロックにおいて正確なクロック波形の提供やBCLKの変更を可能にする便利なモジュールです。
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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」のリアI/Oに設置されたUSB3.1 Gen2 Type-C端子はThunderbolt3には非対応ですが、マザーボード下側にTBT Headerがあるので、同社製のThunderbolt3拡張ボード「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)を使用することでThunderbolt3端子を増設可能です。
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なお「ASRock Z390 Taichi Ultimate」でThunderbolt3拡張ボードを使用する場合、BIOS設定からThunderbolt3サポートを有効化する必要があります。見落としがちなポイントなので注意してください。
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ASRock Z390 Taichi Ultimateの検証機材

ASRock Z390 Taichi Ultimateを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock Z390 Taichi Ultimate以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K
8コア16スレッド (レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

レビュー後半のOC検証で使用するCPUにはZ390マザーボードで使用可能なIntel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの最上位モデルとなる8コア16スレッドの「Intel Core i9 9900K」を使用しています。検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。
Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
Core i9 9900K delid&cupperCore i9 9900K delid_temp

「ASRock Z390 Taichi Ultimate」が対応するCore i9 9900KやCore i7 9700Kは手動OCすると発熱がかなり大きくなるので大型簡易水冷CPUクーラーが推奨されますが、360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSについて

ASRock Z390 Taichi Ultimateを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)

BIOSに最初にアクセスすると「ASRock Z390 Taichi Ultimate」ではイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードのほうが結局のところ使いやすいので「F6」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。
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次回起動以降に詳細モードを最初から表示する場合は、「詳細 - UEFI設定スタイル」の項目で起動時のモードは指定できます。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSの詳細モードは、従来通りの文字ベースBIOSメニューになっています。画面上に表示されている「メイン」「OCツール」「詳細」などメニュータブから左右カーソルキーで各設定ページが表示できます。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSは日本語に対応しています。ASRockのマザーボードというと「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分がありましたが、ASRock Z390 Taichi Ultimateなど最新マザーボードでは翻訳が正確になっています。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
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「ASRock Z390 Taichi Ultimate」の公式サポートページでは1月14日現在、製品版用の最新BIOS「1.80」が配布されているのでアップデートを行いました。
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BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/Z390%20Taichi%20Ultimate/index.jp.asp#BIOS

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。自動探索は便利なのうですが、反面、探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
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USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
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ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock Z390 Taichi Ultimateのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
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OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。出口(Exit)のメニューから「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定して起動しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
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ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなので、そういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
ASRock Z390 Taichi Ultimateのファンコントロール機能について紹介します。
ASRock Z390 Taichi Ultimateのファンコン機能ではマザーボード上に設置されている各ファン端子について個別に設定が可能です。
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「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
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「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、CPU_OPTとケースファン3基はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
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各種モニターとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。
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機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。
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ASRock Polychlome RGB Syncについて

「ASRock Z390 Taichi Ultimate」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」に対応しています。
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ASRock Z390 Taichi Ultimateではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションに加えてライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」による操作に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーがマザーボードの左下に2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。出力が何Wまでかについては記載がないので不明です。
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またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープについては国内で発売済みの「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」が動作することが確認できています。アドレッサブルLEDテープを接続した場合、個別発光パターン設定から「Spring」「Meteor」「Stack」「Cram」「Scan」「Neon」「Water」「Rainbow」などのアドレッサブルな発光パターンが選択できます。
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「ASRock Polychlome RGB Sync」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRock Polychlome RGB Sync

「ASRock Z390 Taichi Ultimate」ではBIOS上からもグラフィカルUIで簡易的にLEDイルミネーションのライティング制御が可能です。Windows上で専用アプリをインストールする必要がないので、管理人的には嬉しい機能です。LEDイルミネーションが不要なユーザーはBIOSの「詳細 - チップセット設定 - RGB LED」をOFFにすると完全に消灯できます。
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ASRock Z390 Taichi UltimateのOC設定について

ASRock Z390 Taichi Ultimateを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


ASRock Z390 Taichi UltimateなどASRock製Z390マザーボードのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューの項目にまとめられ、下位グループとして「CPU設定」「DRAM設定」「電圧設定」の3種類が用意されています。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_1

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。

ASRock Z390 Taichi UltimateではCPUクロック動作倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「自動(Auto)」、全コアの倍率を同じに設定する「すべてのコア(Sync All Cores)」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「コア毎(Per Core)」、CPUコア1つ1つに個別に最大動作倍率を指定する「Specific Per Core」の4つのモードが存在します。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_2
ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「すべてのコア(Sync All Cores)」を選択して、「All Core: 50」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで動作します。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_3
「コア毎(Per Core)」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_4
「Specific Per Core」モードでは各コアに対して個別に指定して最大動作倍率を設定できます。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_5
ASRock Z390 Taichi Ultimateは外部ベースクロックジェネレータ「Hyper BCLK Engine II」が搭載されており、ベースクロック(BCLK)を90MHz~1000MHzの範囲内で0.0625MHz刻みで変更可能です。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_6

続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第8/9世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock Z390 Taichi Ultimateでは「CPUコア/キャッシュ電圧(CPU Core/Cache Voltage)」の項目を変更します。
ASRock Z390 Taichi UltimateではCPUコア電圧の設定モードとして、自動設定の「自動(Auto)」、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モード、マニュアルの設定値に固定する「固定」モード、の3種類が使用できます。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_7
ASRock Z390 Taichi UltimateでCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定する固定モードがおすすめです。8コア16スレッドCore i9 9900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_8
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。「ASRock Z390 Taichi Ultimate」では補正の強度として自動およびレベル1~レベル5の6段階が用意されており、レベル1が補正最大で、レベルの添え字が小さいほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。レベル2かレベル3あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整していくのがおすすめです。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_9
その他にもCPUコアクロックをOCする場合は「CPU SVID)」や「C State」を無効化すると、OC時の動作が安定しやすくなるようです。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_10

またCPU設定の下の方には「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASRock Z390 Taichi Ultimateではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_11


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、ASRock Z390 Taichi Ultimateでは正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

ASRock Z390 Taichi Ultimateではから「XMP設定の読み込み」からXMPモードを選択するとに設定することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_12
「XMP設定の読み込み」の設定値が自動(Auto)になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM周波数(DRAM Frequency)」の項目でプルダウンメニューから最大8533MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。G.SkillやCorsairのOCメモリでも18年後半現在XMP4600MHzが最高なのでまだまだ道のりは長いですが。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_13
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS / RAS Precharge (tRCD / tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の5つ以外はAutoのままでいいと思います。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_14
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_15
1,2世代前の過去のIntel CPUではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を盛るとメモリOCが安定したのですが、Intel第8/9世代CPU環境における「VCCSA」の影響は今のところよくわかりません。Auto設定で安定しない場合は昇圧を試してみても良いかもしれません。
また今のところZ390環境では現象を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子同士の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO(CPU VCCIO Voltage)」や「チップセット電圧(PCH Core Voltage)」を盛ると安定するかもしれません。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_BIOS_OC_16


ASRock Z390 Taichi Ultimateの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASRock Z390 Taichi Ultimateを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」の起動時間は16秒ほどした。多機能なハイエンドマザーボードとしてはPOSTも非常に高速です。


「ASRock Z390 Taichi Ultimate」にCore i9 9900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、CPU動作倍率は1~8コア負荷順で[50, 50, 49, 48 , 48, 47, 47, 47]でIntel公式の定格動作倍率設定よりも若干引き上げられています。電力制限については長期間電力制限と短期間電力制限の両方が標準では無効化されています。ASRock Z390 Taichi UltimateにCore i9 9900Kを組み込むと、Intel公式の仕様値であるTDP95Wを大きく上回る消費電力で動作します。
Intel Core i9 9900K_XTU_Auto
「ASRock Z390 Taichi Ultimate」のBIOS標準設定はTDP95Wを超過する動作になりますが、下のようなBIOS設定によってPerCore最大動作倍率および電力制限を適切に設定すれば、Intelの仕様に通りの定格動作で運用することは可能です。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_Core i9 9900K_BIOS_def (1)ASRock Z390 Taichi Ultimate_Core i9 9900K_BIOS_def (2)


続いてASRock Z390 Taichi Ultimateを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Core i9 9900KのOC設定は「CPUクロック倍率:51」「CPUキャッシュ倍率:47」「CPUコア/キャッシュ電圧:1.300V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Level 2」「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:17-17-17-37-CR2」としています。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_BIOS (1)ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_BIOS (2)ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_BIOS (3)

上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test (1)
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test (2)

ASRock Z390 Taichi Ultimateの環境(BIOS:P1.80)において、検証機材メモリのG.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKKを使用して、メモリ周波数4000MHz メモリタイミング:17-17-17-37-CR2で安定動作が確認できました。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_rumtest
ちなみに検証機材メモリG.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKKに収録されたXMP4400MHzプロファイルはZ370マザーボードでも一部のOC特化マザーボードでしか動作しないのですが、第9世代CPU&Z390マザーボードの「ASRock Z390 Taichi Ultimate」環境でもやはり正常にPOSTクリアすらできませんでした。第8世代から第9世代で4000MHz以上のメモリ周波数においてOC耐性が大幅に向上したということは特になさそうです。

8コア16スレッド「Intel Core i9 9900K」のコア5.1GHz/キャッシュ4.7GHz、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング17-17-17-37-CR2でCinebenchも問題なくクリアできました。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_cinebench

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 9900K Stress test

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock Z390 Taichi Ultimateを使用して「Intel Core i9 9900K」をコア/キャッシュクロック5.1/4.7GHz、メモリ周波数4000MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1600RPMで固定しています。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_stress


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してASRock Z390 Taichi UltimateのVRM電源温度をチェックしてみました。
まずはASRock Z390 Taichi UltimateにCore i9 9900Kを組み込んだ場合をデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。
ASRock Z390 Taichi Ultimateのデフォルト設定ではCore i9 9900KにTDP95Wの電力制限がかからず、全コア4.7GHzで動作しますが、VRM電源周りに風が直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境であっても、VRM電源温度は70~80度に収まります。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_FLIR_9900K_def
続いてCore i9 9900Kを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみに「ASRock Z390 Taichi Ultimate」環境でCore i9 9900Kを全コア5.1GHzまでOC、かつメモリも4000MHzにOCするとシステム全体(マイナス20~30WでほぼCPU)の消費電力が250Wに達します。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_OC Test_power
VRM電源周りに風の直接当たらない簡易水冷CPUクーラーの環境において、Core i9 9900Kを全コア5.1GHzにOCしてVRM電源温度をサーモグラフィーで確認したところ、ASRock Z390 Taichi UltimateのVRM電源周りの温度は最大で90度後半まで達しました。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_FLIR_9900K_OC_nosc
さらに上と同じ設定で、今度は120mm角の冷却ファンをスポットクーラーとして使用しました。スポットクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
ASRock Z390 Taichi Ultimate review_05876
スポットクーラーのないパッシブ空冷の状態ではVRM電源温度が90度後半に達しましたが、スポットクーラーを使用して適切に冷やしてやれば、VRM電源温度を70度前後まで下げることができました。Core i9 9900Kを大幅にOCするのであればスポットクーラーを使用した方がよさそうです。
ASRock Z390 Taichi Ultimate_FLIR_9900K_OC_onsc

「ASRock Z390 Taichi Ultimate」環境においてCore i9 9900Kで全コア5.0GHzオーバーの大幅なオーバークロックをする場合、スポットクーラーを使用するのであれば、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がおすすめです。
可変アルミフレーム搭載ファン「IN WIN MARS」をレビュー
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ASRock Z390 Taichi Ultimateのレビューまとめ

最後に「ASRock Z390 Taichi Ultimate」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ASRock Taichiシリーズらしいユニークかつクールなデザイン
  • Core i9 9900K 5.1GHz、メモリクロック4000MHz OCで安定動作
  • Hyper BCLK Engine IIを搭載で高精度なBCLKの調整が可能
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
  • 高速NVMe接続のM.2スロットが3基設置
  • M.2スロットのうち1つはM.2 SSDヒートシンクを装備
  • リアI/OにAQUANTIA製10Gbイーサを標準搭載
  • 動作検証に便利なオンボードスタートスイッチ
悪いところor注意点
  • Core i9 9900Kを5.0GHz以上にOC時はスポットクーラーの併用を推奨
  • HDMI端子はver1.4で4K・30FPSが上限
  • 内部USB2.0ヘッダーが1基だけ

Intel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPU対応Z390マザーボード「ASRock Z390 Taichi Ultimate」は、12フェーズの堅牢なVRM電源に裏打ちされた高いOC耐性と同時に優れたコストパフォーマンスを実現するミドルハイブランド”Taichi”シリーズに10Gbイーサやオンボードスイッチなど付加価値的機能も搭載した、フルスペック+αなフラッグシップモデルです。
デザイン面ではTaichiブランド登場時から3年が経ち、変遷の過程ではユニークさを失った時期もありましたが、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」では、ブラック&グレーのシックなカラーリング、細かいパーツで構成されて今にも歯車が動き出しそうなギミック感があるチップセットクーラーなど万人受けとTaichiらしいユニークさが見事に両立しています。

ASRock Z390 Taichi UltimateのBIOSではクラシカルなUIが採用されており、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。余談で、過去の製品では長らく日本語ローカライズが一部怪しかったのですが、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」では正しく修正されたところが地味に注目ポイントでした。

「ASRock Z390 Taichi Ultimate」にCore i9 9900Kを組み合わせて使用した場合、デフォルト設定による運用では定格の電力制限が無効化されるため全コア4.7GHzという高いコアクロックで動作しますが、それでもVRM電源温度はサーモグラフィーでせいぜい80度前後なので、同マザーボードの標準設定で運用するのであれば、Intel第9世代CoffeeLake Refresh-S CPUの各種においてVRM電源はパッシブ空冷の冷却でも問題ないと思います。

ASRock Z390 Taichi Ultimateを使用した検証機では8コア16スレッドのCore i9 9900Kを全コア5.1GHz、キャッシュ4.7GHzに、メモリ周波数も4000MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
また8コア16スレッドの最上位モデルCore i9 9900Kを5.1GHzにOCして長時間の負荷をかけた場合、VRM電源温度は90度後半に達しました。VRM電源クーラーは前世代よりも大型化されていますが、CPU消費電力250Wに達するCore i9 9900Kの大幅なOCはやはりVRM電源への負荷も大きいようです。PCケースに組み込む実用環境においてCore i9 9900Kを5.0GHz以上にOCする場合はVRM電源の冷却用にスポットクーラーを使用した方がいいと思います。
メモリOCについては周波数と主要タイミングのみの簡単なOC設定で、メモリ周波数4000MHzにおいてメモリタイミング17-17-17-37-CR2まで詰めることができたのでメモリOC耐性(BIOS自動設定)も余裕で及第点をクリアしていると思います。

他社のZ390マザーボードでも同じ個体のCore i9 9900Kを使用して同様のオーバークロックをテストしてきましたが、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」は同じ倍率でもCPU消費電力が20W程度低く安定動作し、5GHzオーバーでもかなりOCしやすいという手応えを感じました。今回レビューした「ASRock Z390 Taichi Ultimate」、同じVRM電源回路を持つ下位モデルの「ASRock Z390 Phantom Gaming 9」と「ASRock Z390 Taichi」の3機種はCore i9 9900KのOC環境としてかなりオススメなマザーボードだと思います。

以上、「ASRock Z390 Taichi Ultimate」のレビューでした。
ASRock Z390 Taichi Ultimate




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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。



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