PS5 ProはWi-Fi 7対応で高速化するのか検証

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PS5の高性能上位モデル PlayStation 5 Proの特長はやはり、45%強化され、さらにリッチなレイトレーシング表現にも対応したGPU性能ですが、無線LANも最新規格のWi-Fi 7対応にアップグレードされています。

Wi-Fi 7対応でPS5 Proの無線接続の性能や快適性がPS5標準モデルとどう変わったのか解説します。

目次
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PS5 ProはWi-Fi 7対応、特長は?

IO周りについてはPS5の標準モデルとほぼ同じですが、唯一、無線LANだけはPS5 Proが上位互換です。

PlayStation 5 Proの無線LANは最新規格のWi-Fi 7に対応しています。

一般論として最新規格 Wi-Fi 7について簡単にまとめると特長は次の3つです。

  • 従来の2.4Hz/5GHz帯に加えて、6GHz帯に対応
    • ”Wi-Fi 6E”対応ルーターでも6GHz帯は使用できる
  • 5GHz/6GHz帯で5.8~11.6Gbpsなど各周波数帯の高速化
  • 1つのルーター-子機間で複数周波数帯を使用できるMLO
eo光が高速かつ低遅延な理由

eo光はIPv6にも対応していますが、インターネット接続方式はPPPoEであり、IPoE(IPv4 over IPv6)には非対応です。

PPPoE接続を使用するフレッツ光回線&OCNプロバイダのようなユーザーの多い環境で、夜間に速度が低下するので、『PPPoE接続は遅く、IPoE接続は速い』と考えられがちですが必ずしもそうではありません。

事実としてeo光はPPPoE接続でもIPoEのフレッツ光&OCNなど定番の光回線&プロバイダよりも高速・低遅延です。

簡単にまとめると、PPPoE接続という接続方式そのものが悪いわけではなく、フレッツ光回線&OCNプロバイダのような一部の環境では光回線から各種プロバイダへ中継する機器(網終端装置)がボトルネックになっています。

  • 各種プロバイダへ中継する機器(網終端装置)がボトルネック
    • 夜間など回線上の通信量が増えると、速度低下・遅延増
  • IPoEにすると中継機器を迂回して、速度低下や遅延増を回避できる

光回線から各種プロバイダへ中継する機器(網終端装置)は基本的にフレッツ光など光回線業者が管理しているので、OCNやBIGLOBEなど有名プロバイダのユーザーが増えたからといって設備を柔軟に増強できず、結果としてボトルネックになり、光回線上の通信量が増える夜間は通信速度の低下や遅延の増大が生じてしまいます。

IPoEの場合、ボトルネックになっている網終端装置を通らず、IPv6・IPoE接続対応の設備を備えるVNE事業者を介してインターネットに接続します。

ネットワーク経路としては迂回することになるので、遅延は多少増えますが、混雑した網終端装置を通るよりも大分マシなので、速度や遅延が改善します。

この辺りの詳しい事情はeo光 正規取次店 株式会社ライフ・イノベーションが公開しているstart-eo.jpというブログ記事で解説されています。

eo光は光回線とプロバイダを1つのサービスとして提供しています。

通信量が増えた時にボトルネックとなりやすい網終端装置を含め、自社で回線設備を全て所有していて、現在の契約者数に応じて必要なだけ設備を柔軟に増強できるので、eo光はPPPoE接続でも高速、低遅延を実現できます。

Wi-Fi 7で低遅延になる条件は?

ゲーマーにとってWi-Fi 7導入のメリットで一番気になるのはやはり『低遅延化』の部分だと思いますし、よくWi-Fi 7の特長の1つとしてアピールされています。

実のところ、Wi-Fi 7が特別に何か低遅延化を実現する新機能を実装しているかというとそうではありません。

新たな6GHz帯の導入、複数周波数帯を併用できるMLO(Multi-Link Operation)、Multi-RUやパンクチャリングによって、『電波障害を解消、軽減できる結果として無線通信でもゲーム中の通信遅延が低減する』という感じです。

なので無線でも有線と遅延に差がない理想的な環境ならWi-Fi 6以前の環境のままでも問題ありません。

下記のような無線電波が悪い環境に当てはまるなら、Wi-Fi 7通信環境を導入することで、これまでよりも低遅延化が期待できます。

  • 同じルーターで無線通信している家族が多い、IoT系の接続機器も多い
  • マンション、集合住宅等で無線電波が混雑している
  • 戸建てで距離が離れていて電波強度が弱い
    • Wi-Fi 7対応ルーターはアンテナが高性能なものが多いので結果的に

逆に下記のようなすでに理想的な状態だと、そもそも軽減できる遅延がない(有線接続と比較して遅延に差がない)ので、ルーターを更新しても遅延に差は出ません。

  • 戸建てで近隣家庭からの電波が少ない
  • 同じ部屋の中など、すぐ近くに無線LANルーターがある
  • 同じルーターに接続している家族が1人か2人、接続機器も少ない
  • 電子レンジなど2.4GHz帯に干渉する機器も傍にない
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2.4GHz帯はPS5コンとも干渉する

PS5 ProのWi-Fi 7対応で最大のメリットは6GHz帯とリンクできるところです。

PS5標準モデルではネットワーク検索に2.4GHz帯と5GHz帯のSSIDしか表示されませんが、PS5 Proでは6GHz帯も表示され、リンクできます。

PS5のコントローラーは本体とBluetoothによって通信しますが、BluetoothはWi-Fiの2.4GHz帯と近い周波数帯で通信しています。

PS5本体を含め2.4GHz帯でWi-Fiルーターと通信する機器があると、コントローラーの無線通信と干渉し、コントローラーの操作が反映されなかったり、ペアリングが途切れてしまうことがあります。

PS5 ProとWi-FiルーターをWi-Fi-7の6GHz帯で接続することによって、2.4GHz帯によってコントローラーが不調になったり、家族のスマホやPCとの電波干渉によって遅延が生じることもない快適なプレイ環境を構築できます。

Wi-Fi電波帯の特長比較
2.4GHz5GHz6GHz
届く距離遠くまで届く狭い
2部屋も離れると厳しい
より狭い
実使用では5GHz帯とほぼ同じ
最大速度(理論値)1,000 Mbps5,000 Mbps10,000 Mbps
電波干渉非常に多い
電子レンジ
→ Wi-Fiが途切れる
Bluetooth
→ Wi-Fiに負けて途切れる
偶にある
気象・航空レーダーとの干渉を避けるためDFS機能で途切れる
なし
AP間干渉
中継機やメッシュで重要
干渉が非常に多い
(40MHz : 1ch)
干渉が多い
(160MHz : 2ch)
干渉が少ない
(160MHz : 3ch)
対応端末全てのWi-Fi機器PC、スマホ、ゲーム機は基本的に対応Wi-Fi 6E / 7が必要

PS5 ProはMLOにも対応

PlayStation 5 ProはWi-Fi 7を代表する新機能 MLO(Multi-Link Operation)にも対応しています。

登録済みの無線ネットワークを切断した状態で詳細設定を開き、設定項目を下にスクロールしていくと、一番下に「マルチリンクオペレーション」が表示されます。

MLOにはいくつかバリエーションがある

MLO(Multi-Link Operation)にはいくつかバリエーションがあります。

特定のMLO方式で動作するには親機と子機の両方が同じ方式に対応している必要があるので、Wi-Fiルーター・中継機、スマホやゲーム機など各種子機がどれに対応しているのかは注意が必要です。

『STR MLMR』に対応していれば、複数電波帯を束ねることによるスループットの向上、電波干渉回避による遅延軽減といった効果をフルに発揮できると考えてOKです。

MLOの種類
対応MLO方式送受信
電波帯数
特長
MLSR
(Multi-Link Single Radio)
11つの電波帯でリンク
周波数帯の切り替えは可能
従来規格のバンドステアリングに近い
EMLSR
(Enhanced Multi-Link Single Radio)
1複数の電波帯でリンク(待機)
実際の送受信では1つだけ使用MLSRよりも電波帯を変える時に低遅延
STR MLMR
(Simultaneous Transmit and Receive Multi-Link Multi Radio)
2つ以上複数の電波帯で送受信が可能
NSTR MLMR
(Non-Simultaneous Transmit and Receive Multi-Link Multi Radio)
2つ以上複数の電波帯を使用可能
送/受信を同時に実行できない
STR MLMRより効果が限定的
EMLMR
(Enhanced Multi-Link Multi Radio)
2つ以上電波帯を低遅延で動的に切替
IEEE802.11beでは未規定

PlayStation 5 Proが対応しているMLO方式については確認中です。

PS5 ProをMLO対応のWi-Fi 7ルーターと接続したところ、PS5の接続状況には5GHz帯と6GHz帯でリンクしていることが表示されるので、EMLSRかSTR MLMRのどちらかだと思います。

PS5 ProのMLOには不具合あり

PS5 Proには現在、MLOを有効にしてWi-Fi 7対応ルーターに接続すると、通信速度が大幅に低下する不具合があります。

PS5 ProでMLOを有効にすると逆に無線通信パフォーマンスが悪くなります。通信状況ページで確認できる512MBデータによるダウンロード速度も20~50Mbps程度とメチャクチャ低速です。

実際のゲームダウンロードにおいても、5GHz帯や6GHz帯の単独リンク、もしくは有線接続なら2分程度でASTRO’s PLAYROOMのダウンロードが完了しますが、MLOを有効にした5GHz/6GHz帯のリンクでは完了まで1時間以上と表示され、ダウンロードが全く進みません。

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PS5 ProはWi-Fi 7で高速化するのか検証

PS5 ProのWi-Fi電波帯や有線接続によって実際のダウンロード速度がどう変わるのか検証してみました。

今回の検証の目的は、PS5 Proが理想的な状態なら1Gbps有線LANよりも高速にダウンロードできるのか確認することです。

Wi-Fi 7では5GHz帯や6GHz帯で2Gbps以上、6GHz帯の最大値で10Gbpsを超える理論スループットがアピールされています。PCやスマートフォンなら実際にWi-Fi 6/7で1Gbps以上の速度で無線通信も可能なので、それがPS5 Proでもできるのかチェックしています。

検証にはASTRO’s PLAYROOM(約12GB)のゲームダウンロードを使用しています。

PSストアサーバーからゲームをダウンロードする都合上、インターネット回線状態からも影響を受けるので、各設定において3回ずつ測定を行い、平均値をグラフにしています。

PS5 Proと接続する無線LANルーターはWi-Fi 7に対応する「TP-Link Archer GE800」、インターネット回線はeo光 10ギガです。ルーターとPS5は同じ部屋、1m程度の距離に置いて物理的に遮るものもなく、無線通信としては理想的な状態にしています。

PS5 Proの無線接続におけるゲームダウンロード速度の検証結果が下のグラフです。

PS5 ProやPS5はPSストアサーバーの制限があるので、Wi-Fi 7/6環境でも1Gbps有線LANよりも高速にはなりません。

オンラインサーバーとの通信速度がボトルネックになるので、10ギガ光回線と1Gbps以上のWi-Fi 7/6の無線接続を組み合わせても通信速度的に効果はなく、有線接続の安定性のほうがプラスに働きます。

*10ギガ光回線で検証しています。

PSストアは1Gbpsが上限

PS5のゲームをダウンロードするサーバーの最大通信速度は一般的な光回線の1Gbps、もしくは100MB/s(800Mbps)が1ユーザー当たりの帯域上限になっているようです。

下り 800Mbps、上り 200Mbpsが1ユーザー当たりの帯域制限になっているのだと思います。

PS5環境で10ギガ光回線に意味はあるの?

10ギガ光回線にしても1Gbps以上の速度でダウンロードすることはできませんが、

  • PS5のDLサーバー上限 1Gbpsで安定してダウンロードできる
    • 一般的な1Gbpsの光回線は200~500Mbps程度が実効値
  • 自分や家族が同時に別のインターネットアクセスをしても速度が落ちない
    • 合計が実行速度を上回れば、DLが遅くなったり、動画が止まる

というメリットがあります。

1ギガ光回線環境の場合、PS5のゲームダウンロード中に自分や家族がストリーミング動画を見ていると、帯域の取り合いになってゲームダウンロードが低速になるか、動画が止まる可能性があります。

通常は前者だと思いますが、どちらが発生するかはインターネット回線や無線LANルーターのQoS機能次第です。

10ギガ光回線は1つの用途に対して速いだけでなく、複数のアクセスを滞りなくさばける十分な帯域容量があるところもメリットです。

2.4GHz帯は200Mbpsで頭打ちに

電波の届く範囲が広い反面、理想的な状態にしても2.4GHz帯の通信速度は200Mbps程度で頭打ちになりました。

Wi-Fi 6以上の最新環境なら2.4GHz帯でも400~500Mbpsくらいは出ると思っていたので意外でした。ちなみにWi-Fi 6対応のPC環境でも2.4Gz帯は200Mbps程度だったので、PS5に限らず、2.4GHz帯はそもそもあまり速くないようです。

あともう1つ以外な結果として、PS5 Proの2.4GHz帯は標準モデルより遅いです。

150~200Mbpsの差なので小さいように思いますが、ダウンロード時間にすると、PS5 標準モデル(CFI-2000)が8分程度でダウンロードを完了するのに対して、PS5 Proは10分程度かかります。

各3回ずつ測定しており、その後も何度か再検証して同じ結果だったので、間違いはないと思います。

BluetoothはWi-Fiの2.4GHz帯に近い周波数帯で通信することもあって干渉しやすく、Bluetoothの方が負けて通信が途切れやすいので、PS5 Proを無線通信接続で使うなら、5GHz帯か6GHz帯で接続させたいところです。

5GHz帯か6GHz帯の電波が弱くて通信が安定しないということであれば、無線LANルーターとPS5 Proの間に中継機を追加して電波状況を改善してやるのがオススメです。

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6GHz帯は有線接続とほぼ同じ速さ

オンラインサーバーとの通信速度がボトルネックになるので、無線通信が理想的な状態でも、

PS5 Proを5GHz帯や6GHz帯で無線接続した時の速度は有線接続とほぼ同じです。

有線通信に対する優位性はありませんが、無線同士で比較した場合、6GHz帯は5GHz帯と違って電波干渉が発生する機器も少なくなるので、PS5 ProとWi-Fi 7対応ルーターを使用しているなら積極的に使っても良いと思います。

あと5GHz帯の無線接続で意外な結果として、初期型PS5 (CFI-1000)の5GHz帯は600Mbps程度と明らかに低速でした。

CFI-1100/1200のマイナーアップデート版がどうなっているか分かりませんが、初期型PS5ユーザーで5GHz帯の無線接続を使っている人は、無線通信速度を重視するなら、最新のSlimモデルかPS5 Proに買い替えた方が良さそうです。

PS5 ProのWi-Fi 7についてまとめ

PS5 ProのWi-Fi 7についてまとめると次の通りです。

PS5 ProのWi-Fi 7のポイント

  • 6GHz帯を使用できる
    • 5GHz帯よりも電波干渉がし難い
    • 2.4GHz帯に近いBluetoothのコントローラーとも干渉しない
  • 理想的な無線通信状況なら有線接続とほぼ同じ速度
    • サーバーが1Gbps制限なので速度的にWi-Fi 7に恩恵はない
    • 速度・安定性のトータルでは有線接続がベスト
  • Wi-Fi 7特長の1つ、MLOは使えない
    • PS5 Pro側のバグで周波数帯固定に比べて速度が大幅に低下

オンラインサーバーの通信速度に制限があるため、10ギガ光回線とWi-Fi 7の組み合わせで1Gbps有線接続よりも高速化できないというのは少々予想外というか残念でした。

もう1つ大きな特長であるMLOもPS5 Pro側の不具合で正常に動作せず、通常の周波数帯固定リンク時よりも速度が大幅に低下するので使えませんし、Wi-Fi 7の3大特長の2つが封じられてしまった形です。

無線通信が低遅延になるかどうかはそもそもユーザー環境次第です。

6GHz帯は電波環境が発生する機器が少ないというか、現状ではほぼないので、無線状態が悪ければWi-Fi 7を導入することで通信安定性や遅延が改善される可能性はあります。

ただし現時点でPS5とルーターが5GHz帯が正常にリンクしないような電波強度の環境の場合、6GHz帯も届かない可能性が高く、Wi-Fi 7対応ルーターだけでなく、無線LAN中継機も一緒に導入する必要があるので注意してください。

以上、『PS5 ProはWi-Fi 7対応で高速化するのか検証』でした。

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