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メインストリーム向けのIntel第10世代Core-SとAMD第3世代Ryzen、エンスージアスト向けのIntel第10世代Core-XとAMD第3世代Ryzen Threadripperなど、2020年最新4大プラットフォーム+アルファな38種類のCPUによる各種ベンチマーク結果から、クリエイティブタスクやPCゲーミングにおけるCPU性能を一挙に比較します。
この記事はCPU性能比較のデータベース的な意味合いが強い記事ので、自作PCやBTO PCでCPU選びに迷っているというひとは、こちらのCPUの選び方やオススメCPUを紹介した解説記事がおすすめです。
・【できる!自作PC】最新CPUの選び方とオススメCPUを徹底解説
目次
2.2020年最新CPUのクリエイティブ性能を比較
・3Dレンダリング性能
・動画エンコード性能
・RAW現像性能
・PCゲーム/スマホアプリのビルド性能
3.2020年最新CPUの消費電力を比較
4.2020年最新CPUのゲーミング性能を比較
・4K解像度/60FPSターゲット
・フルHD解像度/ハイフレームレート
・バトルロイヤル系PCゲーム/240FPSターゲット
5.CPUエンコーダとリアルタイム配信について
6.補足
・2020年現在の主なプラットフォーム(CPU&M/B)は4種類
・Intel第10世代Core-Xのクリエイティブ性能について
・ゲーム性能比較についての総評
7.CPU性能比較の検証機材と動作設定
【執筆:2019年10月20日、最終更新:2020年5月30日】
2020年最新CPUの基礎ベンチマークを比較
38種類の2020年最新CPUについて、基本的なCPU性能を専用ベンチマークソフトで検証しました。この章ではPCMark 8とPCMark 10という総合ベンチマークソフトを使用していますが、デスクトップ向けの高性能CPUの性能比較ベンチマークとしては頭打ちな傾向があります。レビュー項目の1つとして参考までにスコア比較していますが、実用的なCPU性能については後半の個別性能比較を参考にしてください。
また同ベンチマークはシングルスレッド性能(動作クロックの高さ)が重要になる傾向も強く、近年のCPUを見ると、Intel第8/9世代Coreに比べて第2世代以前のAMD Ryzen CPUでは低めのスコアが出ていましたが、AMD第3世代RyzenはIntel第8/9世代Coreとそん色ないパフォーマンスを発揮できるようになっています。
まずは「PCMark 8 Creative Test (Run Accelerated)」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 8」は動画再生能力、DirectX9のグラフィック性能、Webブラウジング、ビデオチャットなど一般ユースにおけるPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトです。
2020年最新38種の各CPU環境のPCMark 8ベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
「PCMark 10 Extended」のベンチマーク結果をチェックしていきます。「PCMark 10」はPCMark 8と同様にPCの総合的な性能を測定するためのベンチマークソフトですが、DirectX11に対応するなどPCMark 8よりも最近のPCの性能測定に最適化されています。
2020年最新38種の各CPU環境について、PCMark 10ベンチマークの総合スコアを比較すると次のようになっています。
「PCMark 10 Extended」にはPCの基本性能を測る「Essentials」、ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」、クリエイティブ性能を測る Digital Content Creation」、ゲーム性能を測る「Gaming」の大きく分けて4つのテストグループがあるので、個別にベンチマークスコアを比較してみました。
PCの基本性能を測る「Essentials」は、アプリケーションの起動に要する時間を測る「App Start-up」、 ウェブブラウジングの性能を測る「Web Browsing」、1対1または多対多のビデオ会議をシミュレートする「Video Conferencing」の3つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なPC利用において大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Essentials」について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
ビジネスアプリケーション性能を測る「Productivity」は、ワープロソフト(マイクロソフトWordなど)の処理性能をシミュレートする「Writing」、表計算ソフト(マイクロソフトExcelなど)の処理性能をシミュレートする「Spreadsheets」の2つのワークロードで構成されています。
モバイル版Core i7を搭載するSurface Pro(2017)との比較でわかりますが、一般的なオフィスワークにおいて大半のデスクトップ向けCPUは十分な性能を備えています。
「Productivity」について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
クリエイティブ性能を測る「Digital Content Creation」は、写真に対するフィルタリング処理の性能をシミュレートする「Photo Editing」、動画編集の性能をシミュレートするワークロード「Video Editing」、レイトレーシングによる3Dグラフィクス制作(3Dレンダリング)をシミュレーションする「Rendering and Visualization」の3つのワークロードで構成されています。
「Digital Content Creation」について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
ゲーム性能を測る「Gaming」は、グラフィックボードの性能測定で幅広く活用されているベンチマークソフト「3DMark」に収録された「Fire Strike」と同じベンチマークテストを実行するワークロードです。
「Gaming」について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
2020年最新CPUのクリエイティブ性能を比較
38種類の2020年最新CPUについて3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、PCゲーム/スマホアプリのビルドなどクリエイティブ作業に関する性能を各種ベンチマークソフトや実際のアプリケーションで検証しました。2020年最新CPUの3Dレンダリング性能
CPUのマルチスレッド性能を比較するベンチマークソフトとして国内外で最も知られている「Cinebench R15」をはじめとして、Cinebenchの2020年最新バージョン「Cinebench R20」、オープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフト、3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトの4種類を使用して、CPUの3Dレンダリング性能についてベンチマーク測定を行いました。Cinebench R15は3Dレンダリング性能を測定するベンチマークソフトになっており、マルチスレッド性能を測定するテストとシングルスレッド性能を測定するテストの2種類を実行しています。また2020年最新バージョンのCinebench R20についてはマルチスレッド性能を測定するテストのみを実行しました。
Cinebench R15 マルチスレッド性能テストについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Cinebench R15 シングルスレッド性能テストについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Cinebench R20 マルチスレッド性能テストについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。「Blender」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして、2020年最新38種の各CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ(時間)】
3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。3Dレンダラー「Corona Renderer」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして、2020年最新38種の各CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ(時間)】
3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトについて2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。3Dレンダラー「V-Ray」の公式ベンチマークソフトのレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして、2020年最新38種の各CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ(時間)】
2020年最新CPUの動画エンコード性能
続いて無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」と、商用動画編集ソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」と「Adobe Premiere Pro(Media Encoder)」を使用して、2020年最新38種の各CPUの動画エンコード性能を比較していきます。AviutlとTMPGEnc Video Mastering Works 7はいずれも、現在主流なH.264 (MPEG-4 AVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x264」エンコーダ、そしてH.264より高圧縮・高画質で次世代規格として期待されているH.265(HEVC) ビデオストリームへエンコードを行う「x265」エンコーダが使用できるので、CPUをリソースとして各エンコーダで共通の動画ファイルのエンコードを行いました。
エンコードを行う動画ファイルについては、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsのゲーム内ベンチマーク(60秒ほど)をNVIDIA ShadowPlayで録画したものを使用しています。1920×1080/60FPS/50Mbpsと3840×2160/60FPS/120Mbpsの2種類の動画ファイルを作成し、「1920×1080 to 1920×1080」、「3840×2160 to 1920×1080」、「3840×2160 to 3840×2160」の3種類のエンコードを行っています。
Aviutlのx264/x265のエンコード設定は次のスクリーンショットのようになっています。TMPGEnc Video Mastering Works 7については固定ビットレートで1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsに設定しています。
なおエンコーダと解像度設定が同じであればaviutlとTMPGEncのCPU別エンコード速度の傾向は概ね一致するので、aviutlのケースを抜粋してグラフを掲載します。厳密にはソフトウェアによって若干CPUメーカー別で得意不得意もあるので、TMPGEncやAdobe Premiere Proの全CPU比較データはリンクから各自で参照してください。x2/x3/x4のバーについては同じエンコードを添え字の数だけ並列実行した時の合計変換フレームレートを示しています。
x264エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc) / 全CPU比較データ(Adobe PP)】
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc) / 全CPU比較データ(Adobe PP)】
x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc) / 全CPU比較データ(Adobe PP)】
x265エンコーダによって1920×1080解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の1920×1080解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc)】
x265エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.265(HEVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。 【全CPU比較データ(TMPGEnc)】
加えてAdobe Premiere Pro(Media Encoder)による動画エンコードについても、2020年最新38種の各CPUの動画エンコード性能を比較しました。
Adobe Premiere Proのエンコード設定はCPUリソースのx264エンコードで、1920×1080へエンコードする場合は25Mbps、3840×2160へエンコードする場合は60Mbpsの固定ビットレートです。Media Encoderでは1つのプロジェクトを複数の設定で同時にエンコードできますが、複数のプロジェクトを同時にエンコードすることができないので単一エンコードのみを比較しています。
Adobe Premiere Proによる動画エンコードについてはAMD Ryzen CPUは苦手である評価されていることが多いですが、2020年現在では最適化も進んでおり、コアスレッド数とコアクロックに比例した性能が発揮できるようになっています。
【Adobe Premiere Pro 全CPU比較データ:1920to1920 / 3840to1920 / 3840to3840】
2020年最新CPUのRAW現像性能
続いてDxO PhotoLabによるRAW現像を行って2020年最新38種の各CPUの性能を比較していきます。「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できますが、CPUコア数の半分もしくはそれより一つ少ないくらいの並列処理で最速になるようです。DxO PhotoLabによるRAW現像速度について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
2020年最新CPUのPCゲーム/スマホアプリのビルド性能
最後に「Unreal Engine 4」や「Unity」などフリーウェアながら高画質なPCゲームやスマホゲームを製作可能なゲームエンジンを使用したゲーム制作におけるCPU性能の検証として、「Unreal Engine 4」で2020年最新38種の各CPUの性能を比較していきます。検証にはEpic Games Storeで無料配布されているデモプロジェクト「Infiltrator」を使用したビルド時間の比較を行います。検証設定としてリアルタイム表示はオフ、ライティングの品質をプロダクションとしています。Unreal Engine 4のバージョンは4.22.3、Windows10のバージョンは1903で統一しています。
「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間について2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、Core i5 9400Fを基準にして、2020年最新38種の各CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。 【全CPU比較データ(時間)】
2020年最新CPUの消費電力を比較
続いてCPU消費電力の検証結果をチェックしていきますが、当サイトのCPUレビューでは主として”CPU温度への影響要因”という意味においてCPU消費電力を評価しているので、動画のエンコードによって長期間電力制限が効いている状態の平均的な消費電力をCPU消費電力として比較します。個人的な意見としては短期間電力制限は短期間かつCPU温度によっても制御されるのでCPU温度への影響要因として比重は小さく、また瞬間ピーク電力はせいぜいがTDP+100W程度なので、マザーボードVRM電源の破損を心配するほどではなく、その程度の電力超過は電源ユニットで十分吸収できるので、評価対象としてあまり意味がないと思っています。
またCPU製品仕様のTDPについては、定義がIntel/AMDで厳密には異なり、各社の具体的な測定・算出方法も不明なので、CPU動作クロックを含めて総合的に判断する必要があるものの、基本的には長期間電力制限時の消費電力がTDP仕様値とほぼ一致、もしくはTDP仕様値を下回れば正常であると評価します。
当レビュー記事では簡単のため割愛しますが、CPUの消費電力に関する評価基準の補足として下記の記事も参考にしてください。
・2020年最新CPUの消費電力・発熱・TDP・温度について - 爆熱評価のウソほんと
CPU消費電力の測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。
また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子を除いた、各種電源端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。そのため測定値にはEPS電源端子を経由して供給されるCPU消費電力以外の消費電力は含まれません。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
CPUの消費電力や温度の測定を行う負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTやPrimeなど専用負荷ソフトを使用しているレビューもありますが、管理人の私見としてはCPU負荷が非現実的なので、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースを想定した場合、ほぼ最大のCPU負荷となるx264による動画エンコードとストレステストに採用しています。
2020年最新38種の各CPUについて、上記負荷テスト中の”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”と表記した場合、消費電力測定結果は次のようになっています。
なお注意点として、Ryzen ThreadripperのCPU消費電力にはやや癖があります。
各CPUで違いを分かりやすくするため、システム消費電力とEPS電源消費電力、システム消費電力とCPU Package Powerの2種類の差分を取ってグラフ化しています。システム消費電力とEPS電源消費電力の差分を見ると、AMD Ryzen 9 3950XとIntel Core i9 9980XEは40~50W程度に対して、Ryzen Threadripper各種は100W以上の差があります。またシステム消費電力とCPU Package Powerの差分を比較すると、2990WXと3970Xが20W程度大きいですが、60W前後で差が小さくなりました。
Ryzen Threadripper環境ではATX24PIN経由でCPU消費電力のうち一部が供給されており、「AMD Ryzen Threadripper 3970X」は特にその傾向が強い(ATX24PIN経由のCPU消費電力が大きい)ようです。
2020年最新CPUのゲーミング性能を比較
38種類の2020年最新CPUについて、実ゲームを用いたベンチマーク測定によってゲーミング性能を検証しました。なお章タイトルではゲーミング性能と表記してはいますが、Intel第7/8/9世代Core-SやAMD第2/3世代Ryzenなどここ数年で発売された4コア4スレッド以上のCPUであればフルHD~4K解像度の60FPSターゲットにおいてCPUボトルネックが発生するケースは多くありません。そのためCPUゲーム性能比較の具体的な内容は”高フレームレートにおけるCPUボトルネック比較”と表現するのが実状に即しています。
ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとして6コア6スレッド以上を個人的に推奨しています。
ゲームタイトルにもよりますがPCゲームにおけるCPU負荷は基本的にTDP内に収まることが多く、CPUコアクロックは全コア最大動作倍率に張り付きます。フレームレートに対するCPUボトルネックの緩和においては、この全コア最大動作倍率の高さが重要になり、クリエイティブタスクと違って電力制限は支配的ではなくなります。(PCゲームではIntel製CPUのPL1、AMD製CPUのPPTは影響をほとんど及ぼさなくなる)
Core i9 9900KやRyzen 7 3700XのようにTDPに対して全コア動作倍率の高いCPUでは、PCゲームにおいてもCPU使用率が高くなるハイフレームレートでCPU消費電力がTDPを超過するタイミングもありますが、TDP内に制限した場合と比較して大きな差は出ません。
そのためクリエイティブタスクなどここまでの検証において複数の電力制限で測定していたCPUも、PCゲームでは簡単のため電力制限が緩い方だけを使用して性能を測定します。
各CPUのゲーミング性能を測定するため統一検証機材として、2020年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
CPU別ゲーミング性能の比較には2020年最新PCゲームから、Assassin's Creed Odyssey、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands、Shadow of the Tomb Raider、Middle-Earth: Shadow of Warの4種類を使用しています。60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定と、100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定の2種類について、各ゲームで平均フレームレートと最小フレームレートを測定しました。
なおCPUボトルネック比較の性質上、平均FPSと最小FPSをある程度の精度で測定する必要があるため、検証ではほぼ同一シーンで測定が可能なゲーム内ベンチマークを使用しています。
2020年最新CPU 38種のゲーム性能 - 4K解像度/60FPSターゲット
まずは60FPSの標準フレームレートをターゲットとした4K(3840×2160)解像度/高画質設定のゲーミング性能について、38種類の2020年最新CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。なお上述の通り60FPSターゲットでは基本的にCPUボトルネックは発生しないので、グラフの掲載順は性能(平均フレームレート)による昇順ではなく、当サイト既定のCPU分類順としています。
Assassin's Creed Odyssey(4K解像度、超高-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(4K解像度、非常に高い-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(4K解像度、DirectX12、最高-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(4K解像度、ウルトラ-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
2020年最新CPU 38種のゲーム性能 - フルHD解像度/ハイフレームレート
続いて100FPS以上のハイフレームレートをターゲットとしたフルHD(1920×1080)解像度/中画質設定のゲーミング性能について、38種類の2020年最新CPUのベンチマーク結果をチェックしていきます。Assassin's Creed Odyssey(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Shadow of the Tomb Raider(フルHD解像度、DirectX12、中-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Middle-Earth: Shadow of War(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する2020年最新38種の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
2020年最新CPUのゲーム性能 - バトルロイヤル系PCゲーム
最後に近年流行りのオンライン対戦PCゲームの中でも競技ゲーマーにも愛用される240Hzの超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのユーザーが多いであろうバトルロイヤル系PCゲームにおけるCPU別ゲーム性能をチェックしていきます。検証にはバトルロイヤルというジャンルにおける4大タイトルと言っても過言ではない、Apex Legends、Call of Duty: Black Ops 4、Fortnite、PlayerUnknown’s Battlegroundsを使用します。
Apex Legends(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する2020年最新の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
一応、平均FPSの昇順で並べましたが、Apex Legendsは240FPSターゲットでもCPUボトルネックの影響が小さいタイトルとなっており、第1/2世代Ryzenが若干劣る程度で、第3世代Ryzenや第9世代Coreなど最新CPUは6コア6スレッド以上なら横並びです。
Call of Duty: Black Ops 4(フルHD解像度、RTX 2080 Tiの既定プリセット)に関する2020年最新の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
Fortnite(フルHD解像度、高-画質プリセット)に関する2020年最新の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(フルHD解像度、中-画質プリセット)に関する2020年最新の各CPUのベンチマーク結果は次のようになっています。
PUBGのベンチマーク測定に使用しているトレーニングモードは他プレイヤーの影響を受けやすく測定精度は他の検証に比べるとやや劣るのですが、今回検証した中ではCore i9 9900Kが頭1つ飛びぬけ、第3世代Ryzen各種やCore i7は測定誤差の範囲内でほぼ同性能といった具合でした。それ以下ではCore i5(6C6T)、Core i3(4C4T)、第2世代Ryzenと順に性能がスケーリングしていきます。
CPUエンコーダとリアルタイム配信について
ゲーム実況やライブ配信と呼ばれるPCゲームのリアルタイム配信について、現在ではNVIDIA GeForce GTX 1660やAMD Radeon RX 580などミドルクラスGPUをエンコーダとすることでフルHD解像度で必要十分な画質とフレームレートが得られます。GPUエンコーダは動作自体も軽いので、これらGPUエンコーダの登場によってリアルタイム配信やプレイ動画の録画におけるCPUエンコーダの役目は終わったというのが一時期の私見でしたが、メインストリーム向けCPUのコアスレッド数の増加に伴い、x264 Mediumのような高画質プリセットのプレイ&録画が一般ユーザー的にも現実的になってきています。
Youtube LiveやTwitchなどリアルタイム配信(ライブストリーミング)サービスで、PS4/Xbox/Switch等のコンシューマーゲーム機やPCゲームのプレイ動画・ゲーム実況を快適に配信するのに必要なCPU性能については、現在、連載を続けている【快適配信】シリーズで詳細に解説しています
一口にゲーム実況と言っても、『1.ビデオキャプチャを使用してPCは録画配信作業のみを行う』、『2.PC1台で同時にゲームプレイと録画配信を行う』の2つのケースに大別され、どちらで使用するのかで要求されるCPU性能やCPUメーカー毎の得手不得手など事情が変わってくるので注意してください。
・【快適配信】シリーズの記事一覧へ
ざっくりと現状だけ述べておくと、『ビデオキャプチャを使用した配信の最低水準は6コア12スレッドのCPU』、『ゲームをプレイしながら配信の最低水準は8コア16スレッドのCPU』です。
画質と快適性を求めるなら録画・配信専用マシンもオススメ
ビデオキャプチャ業界の進歩も目覚ましく、2018年に発売された「AVerMedia Live Gamer Ultra」は4K/60FPS/HDRやフルHD/240FPSの映像ソースを無遅延なパススルー表示しつつ、フルHD/60FPSのプレイ動画として録画・配信できるUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャとなっており、プレイ動画の録画・配信に関する多様なニーズを網羅し得る名機です。・4K/HDRや240FPSのパススルー対応「AVerMedia Live Gamer Ultra」をレビュー
前述の通りフルHD/60FPSの録画・配信であればGTX 1060程度の性能のGPUをエンコーダとすることで必要十分な画質が得られて動作も軽いので、録画配信のために高性能な反面、非常に高額なCPUに投資するよりも、多少コストがかかっても「AVerMedia Live Gamer Ultra」などのビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するほうが、録画・配信の手法としてはわかりやすくてハードルが低いと思います。
・AVerMedia製ビデオキャプチャの最新おすすめ機種を機能比較
「AVerMedia Live Gamer Ultra」などUSB接続外付け機器型ビデオキャプチャと組み合わせて録画・配信用サブ機を構築するのであれば、ASRock Deskmini GTX 1060ベアボーン採用BTO PCの「G-GEAR alpha」や「GALLERIA Mini 1060」がおすすめです。
PCサイズはコンパクトなのでサブ機としてもあまり余分にスペースを占有せず、GPUにはGTX 1060を搭載しておりフルHD/60FPSのGPUエンコードにも余裕で対応できて、CPUには最大で「G-GEAR alpha」ならCore i7 8700、「GALLERIA Mini 1060」ならCore i7 7700を選択可能、2基の2.5インチSATA SSDと3基のM.2 SSDを搭載可能なのでストレージ拡張性も十分です。ASRock Deskmini GTXシリーズについてはレビューも公開しているので参考にしてみてください。
・GTX 1060搭載で容積2.7LのスーパーコンパクトPC「GALLERIA Mini 1060」をレビュー
・G-GEAR alphaシリーズの販売ページへ
補足
簡単に補足しておきたい内容をまとめました。2020年現在の主なプラットフォーム(CPU&M/B)は4種類
2020年現在、一般コンシューマー向けに販売されているデスクトップPC用CPUは、メインストリーム向けの「Intel第10世代Comet Lake-S」シリーズと「AMD第3世代Ryzen」シリーズ、エンスージアスト向けの「Intel Core-X」シリーズと「AMD Ryzen Threadripper」シリーズの4種類です。各CPUシリーズには対応CPUソケットおよび対応チップセットがあり、CPUとチップセットの組み合わせはプラットフォームと呼ばれますが、システムメモリやCPUクーラーなどの互換性の表記において、CPUシリーズ、CPUソケット、チップセットのどれがプラットフォームを代表して記載されるかは製品やメーカーによって異なるので、円滑に自作PCパーツを選ぶためにも下のテーブルを押さえておいてください。
2020年最新の主なプラットフォームとその表記 | |||
CPU | CPUソケット | チップセット | OC |
Intel第10世代 Comet Lake-S Core i9 10900K, i7 10700K, Core i5 10400など |
LGA1200 (CPUクーラーはLGA115Xと互換) |
Intel 400シリーズ Z490, H470 B460, H410 |
K付きCPUとZ490 の組み合わせのみ |
Intel 第10世代Core-X Intel Cascade Lake-X Core i9 10980XE Core i9 10900など |
LGA2066 (CPUクーラーはLGA2011と互換) |
Intel X299 |
対応 |
AMD第3世代Ryzen Ryzen 9 3900X, 7 3800X Ryzen 7 3700X, 5 3600, Ryzen 5 3400Gなど |
AM4 | AMD 500/400シリーズ X570, X470, B450 (X370など300系も互換) 詳細はこちら |
|
AMD Ryzen Threadripper Threadripper 3970Xなど |
TRX4 | AMD TRX40 |
基本的にはメインストリーム向けCPUのIntel第9世代Core-SかAMD第3世代Ryzenから選ぶことになりますが、2020年下半期における4大プラットフォームについて各種用途に最適なものはどれなのか、ざっくりと早見表にまとめると下のようになります。
各種用途に最適なプラットフォームの早見表 |
|||||
用途 / CPU | Intel | AMD | |||
Core-S | Core-X | Ryzen 3rd |
Threadripper |
||
最多コア数 | 10 | 18 | 16 |
32 |
|
メモリ チャンネル数 / 枚数 最大容量 |
2 / 4 128GB |
4 / 8 256GB |
2 / 4 128GB |
4 / 8 256GB |
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マルチスレッド性能 | 基本的にコアスレッド数×コアクロックに比例 2020年下半期においてはAMD製CPUのほうがコスパが高い |
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PCゲーム | FHD~4K/60FPS | 〇(4コア8スレッド/6コア6スレッド以上なら大差なし) | |||
120~240FPS | 〇〇 | 〇 | 〇 |
〇 | |
クリエイティブ | 基本 |
マルチスレッド性能に比例 | |||
エンコード | 〇 | ||||
CPU直結PCIEレーン数 (増設機器の拡張性) |
16 | 48 | 16 + 4 |
56 |
基本的にはメインストリーム向けCPUのIntel第9世代Core-SかAMD第3世代Ryzenから選ぶことになりますが、それぞれのメリットを簡単にまとめると次のようになります。
【Intel製CPUのメリット】
・PCゲーミングではハイフレームレートで若干高性能
・マイナーなアプリでも性能の最適化が期待できる
【AMD製CPUのメリット】
・マルチスレッド性能のコストパフォーマンスが高い
・メインストリーム向けで最大16コアまでラインナップされている
・特にB450チップセット搭載製品などマザーボードが安価
Intel第9世代Core-SとAMD第3世代Ryzenは同コアスレッド数のモデル同士で比較すると性能は僅差であり、また第3世代Ryzenでは第2世代以前で見られたハイフレームレートなPCゲーミングにおける明確なIntel製CPUとの壁もなくなっています。
メインストリーム向けCPU同士であえて差をつけるとすれば、Intel製CPUは長年主流だっただけあってなんだかんだでどのアプリケーションでも最適な性能を発揮できる安定感がある、AMD製CPUは最多16コアまでラインナップされマルチスレッド性能のコストパフォーマンスが高い、と評価できますが最終的には予算と各自の好みで選ぶことになると思います。
Intel第10世代Core-Xのクリエイティブ性能について
Intel第10世代Core-Xのクリエイティブ性能については、仕様値TDPの範囲内での比較のみでは不十分なので補足しておきます。18コア36スレッドCPUの「Intel Core i9 10980XE」と16コア32スレッドCPUの「AMD Ryzen 9 3950X」のクリエイティブタスクにおける性能を比較すると、「Intel Core i9 10980XE」がIntel仕様値のTDP165Wに制限されている場合、「AMD Ryzen 9 3950X」のほうが20%程度上回るパフォーマンスを発揮します。
ただし「AMD Ryzen 9 3950X」がPB2/XFR2によってユーザーが特に設定しなくても自動で常用限界に近いパフォーマンスをそのまま発揮できるのに対して、「Intel Core i9 10980XE」は手動OCによる伸びしろが非常に大きく、市販のCPUクーラー(360サイズ簡易水冷CPUクーラーなど高性能な、と条件付きにはなりますが)で運用可能な範囲内でOCするとRyzen 9 3950Xを上回る性能を発揮します。
PBOを使用してもせいぜいCPU消費電力が200Wに収まるRyzen 9 3950Xに対して、Core i9 10980XEはRyzen 9 3950Xと同等の性能が発揮できる4.2~4.4GHz程度までコアクロックをOCするとCPU消費電力は400~450Wに達するので、ワットパフォーマンス的にはダブルからトリプルスコアになります。
ただしUnreal Engine 4によるゲームビルドのようなメモリ帯域が重要になるタスクにおいては、「AMD Ryzen 9 3950X」ではCPU性能に対して狭いメモリ帯域がボトルネックになるようで、メモリ帯域が4チャンネルのCore i9 10980XEが明確に優位になります。 ワットパフォーマンスの観点から比較するとRyzen 9 3950Xに対してCore i9 10980XEは劣悪であり、同価格帯の製品が14コアのCore i9 10940Xであると考えると前世代と比較して半額程度になったとはいえコストパフォーマンスについても劣る、と評価されても仕方のない結果です。
しかしながら絶対的な性能は比較的手軽な手動OCでカバーでき、加えて4チャンネルのメモリ帯域やCPU直結PCIEレーンの拡張性、またなんだかんだでIntel製CPUは既存アプリとの互換性が高い、など替えの効かない要素もあるので、予算の問題がクリアできる場合、Ryzen 9 3950XとCore i9 10980XE(など第10世代Core-X)のどちらがベストなのかは難しい選択になり得ます。
ゲーム性能比較についての総評
まずゲーム性能検証の冒頭でも述べたようにフルHD~4K解像度の60FPSターゲットであれば4コア4スレッド以上の最新CPUであればどれを使用しても大差はありません。ただし最新の超高画質で重いゲームの場合、ゲームプレイの裏で次のシーンのロード作業が動くとロードが遅くなったりスタッター(カクツキ)が発生することがあるので、ゲーミングPCに搭載するCPUとしては6コア12スレッド以上を個人的に推奨しています。また60FPSターゲットであってもAssassin's Creed OdysseyのようにCPUによって差が出るケースもあるので、PCゲームメーカーの最適化の優先順位まで考慮するとIntelのメインストリーム向け最新CPUのPCゲーミングにおける安定性にはやはり信頼がおけます。
GeForce RTX 2080 Tiを使用したハイフレームレート環境について、まず総評として、第2世代以前のRyzen CPUはIntel製CPUと比較してこの分野では超えられない壁があり明確に劣っていましたが、第3世代RyzenではIntel製CPUの各モデル個別に、各ゲームタイトル別に比較できるまでに性能が改善しています。Core i9 9900Kを除けば、両社製CPUの性能は伯仲しており、甲乙付け難いシーンが多いです。
細かく見ていくと、Assassin's Creed OdysseyやShadow of the Tomb Raiderのような高解像度60FPSを念頭に開発された最新高画質PCゲームと、Call of Duty: Black Ops 4やFortniteのような240FPSのハイフレームレートも考慮されているバトルロイヤル系PCゲームで若干傾向が変わってきます。
Assassin's Creed OdysseyやShadow of the Tomb Raiderのような高解像度60FPSを念頭に開発された最新高画質PCゲームをハイフレームレートでプレイする場合、最もCPUボトルネックの緩和が期待できるCPUはIntelのメインストリーム向けCPU最上位モデルのCore i9 9900KやCore i7 9700Kになり、上位モデルにおいては第3世代RyzenでもIntel製CPUと比較して若干劣る感じが見えます。
Call of Duty: Black Ops 4やFortniteのように240FPSのハイフレームレートも考慮されているバトルロイヤル系PCゲームをプレイする場合、やはりCore i9 9900Kは頭一つ飛びぬけた性能を発揮していますが、PCゲーム自体がそもそもハイフレームレートを想定して設計されていることもあり、第2世代以前のRyzenでは最速のRyzen 7 2700XですらIntel製CPUに対して超えられない壁を感じたのに対して、第3世代Ryzen各種がバトルロイヤル系PCゲームにおいてCore i7やCore i5をそれぞれ打倒するシーンも確認できます。
Intel第9世代Core-SとAMD第3世代Ryzenを比較すると、ハイフレームレートなPCゲーミングにおいてPCゲームによって勝ち負けは分かれるものの、やはり長年主流なIntel製CPUの安定感は強く、かなり改善された第3世代Ryzenといえども総合的には1歩届かないとも感じました。
とはいえPCゲームもできる(ただし60FPSターゲットなら)と注意書きの付いていた第2世代以前の面影はほぼなく、ハイフレームレートにおいてもIntel製CPUと伯仲するゲーミング性能を発揮できるようになっているので、これまでPCゲームがメインだからという理由でIntel製CPUを選んでいたユーザーを、マルチスレッド性能のコストパフォーマンスという目に見える魅力で奪い取れるポテンシャルを2020年最新のAMD製CPUは備えています。
CPU性能比較の検証機材と動作設定
以下、CPU性能比較の各種検証を行うベンチ機、および比較対象となる各CPUのベンチ機の詳細となります。Intel LGA1200(Z490)環境 テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9-10900K(レビュー) Intel Core i7-10700K(レビュー) Intel Core i5-10400(レビュー) |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR1 |
ビデオカード(共通) | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ(共通) | Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS(共通) | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット(共通) | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
Intel LGA1200(Z490)環境では検証機材マザーボードとして「ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME」を使用しています。「ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME」でCPU動作設定を標準設定のAutoとした場合、同環境で検証する各CPUのBy Core Usage動作倍率は単コア/全コアは仕様通りで、長時間電力制限PL1による電力制限も正常に適用されます。一方で短時間電力制限については、Tauは公式仕様の通り56秒(125W)もしくは28秒(65W)ですが、PL2は公式仕様のTDP×1.25に対して、TDP125WのCore i9-10900Kでは250Wと高めに設定されていました。
長時間負荷をかけた時のCPU消費電力(CPU Package Power)がTDPの範囲内に収まるCPUについては特に追加の設定を設けていませんが、Core i9-10900Kのように全コア最大動作倍率においてTDPを大きく上回るCPUに関してはBy Core Usage動作倍率は定格のまま、『PL1=TDP、PL2=TDP×1.25、Tau=56s(125W) or 28s(65W)』のIntel公式仕様および『PL1/PL2無効化』の2つのケースで測定を行います。
「ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME」の場合、By Core Usage動作倍率および電力制限は下記のような形でBIOS上から設定が可能です。
上の設定はASUS製マザーボードのBIOSメニューから設定した例ですが、ASRock、GIGABYTE、MSIなど主要4社のマザーボードであれば同種の設定項目が用意されているはずなので、同じように電力制限を課すことができます。再起動等で初期化されることもあるので、確実性の高いBIOSからの設定が推奨なのですが、「Intel Extreme Tuning Utility」からも設定が可能です。
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する2020年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。Thermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスで適量が塗布されていれば、CPUクーラー固定時の圧着でヒートスプレッダ全体へ自然に伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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シングルの表の半分cpu名抜けてます
プラットフォーム早見表のスリッパ最多コア数32になってます
蛇足ですがシングルの表9400fと10900kで倍近く見えるので脚注入れるか0~140まで≈を入れたほうが良いと思います