ZOTAC GAMINGからリリースされたGeForce GTX 1650 SUPERグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan（型番：ZT-T16510F-10L）」をレビューしていきます。
GTX 1650のマイナーアップデートとして登場したGeForce GTX 1650 SUPERが、前モデルGTX 1650や前世代ミドルクラスGTX 1060 6GBをどの程度上回り、上位モデルのGTX 1660にどこまで迫るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。



製品公式ページ：https://www.zotac.com/jp/product/graphics_card/zotac-gaming-geforce-gtx-1650-super-twin-fan

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan レビュー目次

１．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの外観
２．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの分解
３．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの検証機材
４．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanのゲーム性能
５．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの温度・消費電力・ファンノイズ
６．ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanのレビューまとめ

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの外観

早速、「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を開封していきます。


「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のグラフィックボード本体を見ていきます。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のGPUクーラーの外装は黒色プラスチック製で、ポリゴン調の凹凸デザインとなっています。

グラフィックボード側面には「ZOTAC GAMING」のロゴプレートが装着され、またクーラー外装には「GEFORCE GTX」のテキストロゴが描かれています。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanは全長158mmで、Mini-ITXにも対応可能なショート基板モデルです。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanは、GPUクーラーはPCIブラケットの高さとほぼ同じですが、基板がPCIEブラケットから10mm弱はみ出しています。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のGPUクーラーには2基の70mm径の冷却ファンが搭載されています。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」は近年のグラフィックボードでは標準的な2スロット占有です。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」の補助電源数はPCIE 6PIN*1となっています。一般的なグラフィックボードと違って、側面ではなく右端に補助電源コネクタが実装されています。
TDP75Wで補助電源なしのモデルもラインナップされていたGTX 1650無印版と違って、GTX 1650 SUPERはTDP100Wで最低でもPCIE 6PINの補助電源が要求されます。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×1、DVI-D×1の3基が実装されています。エントリークラスGPUを搭載したグラフィックボードとしては標準的な仕様です。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」には基板の反りを防止したり、GPUコアやVRM電源の冷却を補助したりするバックプレートは非搭載です。欲を言えばプラスチック製でもいいのでバックプレートが欲しかったです。


なおグラフィックボードの重量はZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fanが470g、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 Ti AMP 6GBが612gに対して、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanは433gとなっています。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの分解

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。

なお今回はレビュー用サンプル提供先の協力のもと特別に許可を頂いて分解を行っております。GPUクーラーの取り外し（分解行為）はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin FanのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所のネジ4個で固定されていました。

4か所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。

ショート基板からもわかるように「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」にはZOTACが独自に設計したオリジナル基板が採用されています。

GTX 1650 SUPERのGPUコアにはTU116-250-KA-A1が使用されていました。GDDR6メモリはMicron、Samsung、SK Hynixなどがすでに量産を行っていますが、今回入手した「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」にはMicron製の8GbのGDDR6メモリチップが搭載されています。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のVRM電源フェーズ数は5(4+1)フェーズでした。VRM電源の冷却については、GPUクーラー本体とは別に用意された小型のアルミニウム製ヒートシンクで冷やす構造です。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のGPUクーラー本体をチェックすると、銅製ヒートパイプやフィンアレイ型放熱フィンは採用されておらず、アルミニウム塊型のヒートシンクで、直接にGPUコアと接する構造です。VRAMチップもサーマルパッドを介してヒートシンクに接します。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの検証機材

外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。



ベンチ機のゲームデータストレージには、世界初のQLC NANDメモリ採用2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 QVO 4TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 QVO 4TB」は現行最新かつ主流なTLC型NAND採用のSATA3.0 SSDと同等のアクセススピードを実現しながら、同社の定番モデルである860 EVOの4TBモデルよりも大幅に安価なので、PCゲーム100GB超時代でも容量不足の心配無用なゲームデータストレージとしてオススメのSSDです。
・「Samsung SSD 860 QVO 4TB」をレビュー



「GeForce GTX 1650 SUPER」のスペックについて簡単に確認しておきます。
GeForce GTX 1650 SUPERにはGTX 1650無印版のTU117コアではなく、上位モデルGTX 1660に使用されているTU116コアが採用されており、CUDAコア数が1280コア、VRAMはバス幅128bitで12Gbpsの4GB GDDR6を搭載し、メモリ帯域は192GB/sに達します。ただしGeForce GTX 1650 SUPERはTDP100Wなので、補助電源レスが可能だったGTX 1650と異なり、PCIE補助電源として少なくとも6PINが要求されます。今後ロープロファイルモデルの登場に期待するのは難しそうです。
希望小売価格はGTX 1650の149ドルから10ドル値上がりしていますが、スペック的に近いGTX 1660よりも70ドルも安価なのでGeForce GTX 1650 SUPERはコストパフォーマンスが非常に高いGPUです。

また「GeForce GTX 1650 SUPER」はGTX 1660と同じくTU116コアなのでNVEncもGTX 1650に搭載されていたVolta世代ではなく、ハードウェアレベルで高画質になったTuring世代となっています。従来よりも高画質になったTuring世代のNVEncについてはこちらの記事で解説しているので気になる人は参照してください。
・【快適配信:5】Turing＆新SDKによるNVEncの高画質・高速化を解説



「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」はリファレンス仕様の通りにブーストクロックは1725MHz、またパワーリミット（TDP）も100Wに設定されています。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanのゲーム性能

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1660 SUPER Twin Fan」、「EVGA GeForce GTX 1660 Ti SC ULTRA」、「EVGA GeForce GTX 1660 SC ULTRA」、「XFX Radeon RX 480 8GB TRIPLE X」、「EVGA GeForce GTX 1060 6GB SC ACX2.0」、「MSI GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」を使用しています。



「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。


「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。


「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードについて、17年中頃から普及しつつあるHTC VIVEやOculus RiftなどVR HMDを使用したVRゲームに関する性能を測定する最新ベンチマーク「VRMark」による性能比較となります。



続いて2019年最新の実PCゲームを用いたベンチマークになります。同一のグラフィック設定で同一のシーンについてフルHD解像度で平均FPSを比較しました。

ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Anthem（ウルトラ設定プリセット）、Assassin's Creed Odyssey（超高設定プリセット）、Battlefield V（最高設定プリセット, DirectX12）、CONTROL（高設定プリセット, DirectX11）、Destiny 2（最高設定プリセット）、The Division 2（ウルトラ設定プリセット, DirectX11）、Far Cry 5（最高設定プリセット＆TAA）、Final Fantasy XV（最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効）、Gears 5（最高設定プリセット）、Ghost Recon Wildlands（非常に高い設定プリセット）、Metro Exodus（エクストリーム設定プリセット, DirectX11）、MONSTER HUNTER: WORLD（最高設定プリセット）、Shadow of the Tomb Raider（最高設定プリセット, DirectX12）、Middle-Earth: Shadow of War（とても高い設定プリセット）、The Witcher 3（個別設定を全て最高設定）以上の15タイトルです。



Anthem（ウルトラ設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Assassin's Creed Odyssey（超高設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Battlefield V（最高設定プリセット, DirectX12）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


CONTROL（高設定プリセット, DirectX11）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Destiny 2（最高設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


The Division 2（ウルトラ設定プリセット, DirectX11）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Far Cry 5（最高設定プリセット＆TAA）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Final Fantasy XV（最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Gears 5（最高設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Ghost Recon Wildlands（非常に高い設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Metro Exodus（エクストリーム設定プリセット, DirectX11）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


MONSTER HUNTER: WORLD（最高設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Shadow of the Tomb Raider（最高設定プリセット, DirectX12）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


Middle-Earth: Shadow of War（とても高い設定プリセット）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。


The Witcher 3（個別設定を全て最高設定）に関する「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。



ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanなど7種類のGPUについて実ゲーム性能の比率の平均を出してみたところ、ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanは、前モデルGTX 1650無印版を30％以上も上回り、SUPERシリーズ史上最大の性能向上となりました。
GeForce GTX 1650 SUPERは159ドルからというエントリークラスGPUの価格帯ながら、前世代ミドルクラスGPUとして好評を博したGTX 1060 6GBを僅かながら上回るパフォーマンスを発揮しており、2019年下半期以降にリリースされる最新高画質PCゲームをフルHD解像度の標準画質～高画質設定でプレイするのに最適なGPUです。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの温度・消費電力・ファンノイズ

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。

「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては20分間に渡たり連続してGPUに100％近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanのテスト終盤におけるGPU温度は最大67度で、コンパクトサイズのGPUクーラーながら低めの温度に収まっていますが、ファン回転数を測定してみたところ（ソフトウェアモニタリング非対応なので物理的にタコメーターで測定）、2700RPMという非常に高い回転数でした。

GPUコアクロックについては「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」の仕様値ではブースト1725MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1842MHzとなりました。


ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanを標準設定のままで運用すると長時間の負荷において2700RPMという非常に高いファン回転数になり、ファンノイズもかなり大きくなってしまいます。そこで試しにMSI AfterBurnerから設定可能な最低ファン速度（デューティ比35％、ファン回転数1900RPM）に固定してみました。

標準設定（ファン回転数2700RPM）と手動設定（ファン回転数1900RPM）で同様のテストを行い、GPU温度とコアクロックを比較すると次のようになりました。GPU温度が10度弱高くなり最大温度76度になっています。またGPU温度が上がった影響でコアクロックも微減し、平均1808MHzになりました。
ファン速度を下げるとGPU温度が上がりコアクロックが微減しますが、最低ファン速度で固定したとしても問題なく運用できそうな数値に収まっています。



ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。

電源OFF時の騒音値は33～35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数（ファン回転数）が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質（細かい乱高下の有無や軸ブレ）にもよるので注意してください。

ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanのファンノイズは、2700RPMという非常に高いファン回転数の通り、ノイズレベルが49.6dB程度とこちらも高い数値を示しており、実際に耳で聞いても煩いと感じました。
一方で最低回転数の1900RPMになるとノイズレベルは40dB未満まで一気に下がります。最低回転数に固定するのは極端な例ですが、メーカーには負荷時45dB未満に収まるようにファン速度を上手くチューニングして欲しかったところです。

【注意】　ファンノイズの比較グラフではレビュー製品と同等のGPUを搭載したグラフィックボードと各GPUのリファレンスモデルを抜粋して掲載しています。AMDが従来通り外排気GPUクーラーであるのに対し、NVIDIAのリファレンスモデルであるFounders Editionが内排気GPUクーラーを採用したため、NVIDIA＜AMDという傾向になっていますが、あくまで静音性はGPUの消費電力とGPUクーラーの性能によります。同グラフからAMD製GPUを搭載したグラフィックボードが一般的にNVIDIA製GPUを搭載したグラフィックボードより煩いと考えるのは誤った評価なので注意してください。


ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50～100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU（後述のiGPUも）に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。


ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fanの消費電力は88W、最大瞬間負荷は107Wでした。ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin FanのTDP（パワーターゲット）は100Wに設定されており、仕様値通りの消費電力になっていると思います。
GTX 1650 SUPERは前世代のGTX 1060 6GBよりも低い消費電力で同等の性能を発揮しています。既存の3Dグラフィックスにおけるワットパフォーマンスの向上として手放しに評価できると思います。
一方で無印版のGTX 1650と比較すると30％以上の性能向上の代償として30W程度も消費電力が上昇しています。ピークで100Wを超えると流石に補助電源レスのグラフィックボード化は難しそう、というか無理なGPUです。

ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan レビューまとめ

最後に「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ

• 最新PCゲームをフルHD/標準から高画質設定でプレイ可能なグラフィック性能
• GTX 1650を30％も上回るグラフィック性能
• GTX 1060 6GBを上回る性能ながら、希望小売価格159ドルからとコスパが優秀
  
• 全長158mmのMini-ITX完全対応ショート基板
• GTX1650無印版と異なり、Turing世代の高画質なNVEncを搭載
  

悪いところor注意点

• GPUクーラーのファン速度のチューニングが悪く静音性が低い
• GTX1650無印版と異なり、少なくともPCIE 6PINの補助電源を要する
• レイトレーシングやDLSSなどTuring世代の独自機能には非対応

GeForce GTX 1650 SUPERは、シェーダー数の増加やメモリ速度の引き上げによってGTX 1650無印版から30％以上という大幅な高速化を果たしています。前世代ミドルクラスGTX 1060 6GBを上回る性能ながら、消費電力は低く、希望小売価格も159ドルとエントリー～ミドルクラスのPCユーザーにも次世代の春を感じさせてくれるGPUです。マイナーアップデートと言われることの多いSUPERシリーズの中でも飛びぬけた性能向上を遂げたことに加えて、GTX 1650無印版と異なりTuring世代の高画質なNVEncが搭載されているところも注目ポイントです。
消費電力の上昇と性能差10％を考えると、GeForce GTX 1650 SUPERは『若干遅くなって70ドルと大幅に安価になったGTX 1660』というイメージの方が強いかもしれません。
2019年最新のPCゲームをフルHD解像度の標準画質～高画質でプレイするのに十分なグラフィック性能があり、Turing世代のNVEncによってプレイ動画の録画やゲーム実況にも対応できるので、2万円以下で購入できる安価な価格帯と組み合わさって、NVIDIA製GPUのユーザー層を広げるポテンシャルのある製品だと思います。

一方でネガティブなポイントを挙げておくと、エントリークラス向けGPUに対しては補助電源必須な仕様がやはり引っかかるところです。補助電源レスで高画質なTuring世代NVEncを利用できるGPUを期待する声もそこそこ強いので、まだ見ぬ新GPUに期待したいところです。
GTX 1650が補助電源レスなGPUだったことが災いして？、30％以上の性能向上にも関わらず相対的に影を落とすのですが、補助電源の話さえ無視してしまえば、『GTX 1060 6GBと比較して同等以上の性能で低消費電力で90ドルも安価』、また『GTX 1660と比較して10％程度低い性能だが70ドルも安価』となっており、GeForce GTX 1650 SUPERは基本的にはコストパフォーマンスが非常に優れた隙のないGPUだと思います。

GTX 1660の代替としてGTX 1650 SUPERを検討している人への注意点ですが、Assassin's Creed OdysseyやFinal Fantasy XVなどVRAMを大量に消費するゲーム（の高画質設定）では、VRAM容量が4GBで足らずにGTX 1060より遅くなったり、GTX 1660シリーズとの差が大きく開く可能性があります。
50～60FPSくらいが出ていてGPU性能は足りているのに、VRAM容量が不足すると瞬間的に停止するようなスタッターが生じます。画質設定を落としてVRAM消費量を減らせば解決はしますが、価格重視でGTX 1650 SUPERにするか、GTX 1660シリーズにするかで悩んでいる人は注意してください。



「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」については、とりあえずファン速度のチューニングが悪くファンノイズが大きいと感じました。そのままで使用すると負荷時2700RPM程度までファン回転数が上がってしまいファンノイズが煩くなるので、実際に使ってみて煩いと感じたらAfterBurnerなどのGPU用チューニングソフトでファン速度を適当に下げて固定するのがオススメです。
エントリークラスGPUのグラフィックボードなのGPUクーラーの品質については妥当なところとなっており、実際にファン速度を最低まで落としても、GTX 1650 SUPERは元々の消費電力が大して高くないなので問題なく運用できます。負荷時のファン回転数が2000～2200RPMに収束し、アイドル時に1500RPM以下で推移するような設計＆チューニングになっていれば、静音性についてはデフォルト設定でも及第点になっていたと思います。


以上、「ZOTAC GAMING GeForce GTX 1650 SUPER Twin Fan」のレビューでした。



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「GeForce GTX 1650 SUPER」 レビュー
良い
✅GTX 1650を30％も上回るグラフィック性能
✅GTX 1060 6GB越えながら希望小売価格159ドル
✅Turing世代の高画質なNVEncを搭載
悪いor注意
⛔️少なくともPCIE 6PINの補助電源を要するhttps://t.co/vE5KkoLueL

— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 22, 2019

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