ASRock TRX40 Creator


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ASRockから第3世代Ryzen Threadripper対応TRX40チップセット搭載Socket sTRX4マザーボードとしてリリースされた、4基のx16サイズPCIEスロットをATXサイズに収め、リアI/OにAquantia製10Gb LANやUSB3.2 Gen2x2対応Type-Cを搭載しながら449ドルの高コストパフォーマンスも実現するクリエイター向けモデル「ASRock TRX40 Creator」をレビューしていきます。
「ASRock TRX40 Creator」の限られたスペースの中に実装された8フェーズVRM電源は、90A対応Dr.MOS等の高品質素子によってフェーズ数の少なさをカバーし、32コア64スレッドのRyzen Threadripper 3970Xを御しきれるのか徹底検証します。

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製品公式ページ:https://www.asrock.com/mb/AMD/TRX40 Creator/index.jp.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/TRX40%20Creator_jp.pdf







ASRock TRX40 Creator レビュー目次


1.ASRock TRX40 Creatorの外観・付属品
2.ASRock TRX40 Creatorの基板上コンポーネント詳細
3.Threadripper専用空冷CPUクーラーとのクリアランスについて
4.ASRock TRX40 Creatorの検証機材
5.ASRock TRX40 CreatorのBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「ASRock Polychlome RGB Sync」について
7.ASRock TRX40 CreatorのOC設定について
8.ASRock TRX40 Creatorの動作検証・OC耐性
9.ASRock TRX40 Creatorのレビューまとめ



【注意事項】
同検証は19年12月下旬に行っておりASRock TRX40 CreatorのBIOSはver1.10を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asrock.com/mb/AMD/TRX40%20Creator/index.jp.asp#BIOS


【19年12月29日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.10で検証

【20年1月19日:初稿】
ストレステストに関する補足を追記しました。



ASRock TRX40 Creatorの外観・付属品

まず最初にASRock TRX40 Creatorの外観と付属品をチェックしていきます。
ASRock TRX40 Creatorのパッケージは天面に持ち手が付いた、キャラメル箱と呼ばれる形状の厚手の外箱に、1段の内パッケージという構造で梱包されています。
内箱の上段には組み立て関連のパーツとマニュアル類、内箱の下段にはマザーボード本体のように、パーティション分けされて収納されています。
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マザーボード本体は静電防止スポンジで保護され、タイラップでしっかりと固定されています。運送中に衝撃が加えられても故障の心配はなく安心です。
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マニュアル類は、英語のソフトウェアマニュアル、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
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組み立て関連の付属品はSATAケーブル4本、リアI/Oバックパネル、WiFiアンテナ、M.2 SSD固定ネジ&スペーサーセット、SLI HBブリッジです。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock TRX40 CreatorはATXフォームファクタのマザーボードで、滑らかなブラック一色のPCB基板になっています。PCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
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TRX40マザーボードでは同社のASRock TRX40 TaichiのようにCPUソケット&メモリスロットの上を占有するVRM電源レイアウトを採用する製品が多く、そういった製品ではメモリスロットの位置が下がることで一般的な全7段のスロットのうち一段目が利用できないのですが、「ASRock TRX40 Creator」はVRM電源回路のスペースを最小限に抑えることで(代わりに90A対応Dr. MOSなど超高品質素子を採用してフェーズ数の少なさをカバー)、ATXフォームファクタながら1/3/5/7段で計4基のx16サイズPCEIスロットの実装を実現しています。
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「ASRock TRX40 Creator」のチップセットクーラーはガンメタルカラーの金属製で、PCIEスロット間には同じくガンメタルカラー鍛造アルミニウム製のM.2 SSDヒートシンクが搭載されています。
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マルチギガビットLANのコントローラーには個別に専用ヒートシンクが装着されていました。
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X570マザーボードではチップセット冷却ファンのレイアウトが話題になりましたが、「ASRock TRX40 Creator」ではプライマリGPU用スロットに設置されたグラフィックボードとファンの吸気口が被らないように下方向へオフセットする配置になっています。
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当サイトの検証では、”窒息”云々については流言飛語の類という評価でしたが、やはり風評には勝てなかったようです。余談ですが、PCHファンの下方向オフセットをいち早く導入して評価されたMSIはフラッグシップモデルでM.2スロットの位置を優先したのを見ても、やはり大差ないのではないかと……。
窒息レイアウトなX570チップセットクーラーに実害はあるのか?
AMD X570 PCHクーラー比較

「ASRock TRX40 Creator」のPCHクーラー冷却ファンには一般的なスリーブベアリングよりも高寿命な軸受けEBR(Enhanced Bearing by Rolling element)を採用する「EBR Fan」が搭載されています。
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「ASRock TRX40 Creator」のPCH冷却ファンはBIOSメニュー上では「SB_FAN1」として登録されています。ファン制御のソース温度はチップセット温度で固定されています。標準動作は「標準モード」ですが、「サイレントモード」や「パフォーマンスモード」のプリセットや、マニュアル設定の「カスタマイズモード」に変更が可能です。
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「ASRock TRX40 Creator」のリアI/OカバーはVRM電源ヒートシンクも兼ねてマザーボード左端を大きく覆う構造で、チップセットクーラー同様にガンメタルカラーのアルミニウム製です。CPUソケット直上のVRM電源クーラーとはヒートパイプによって連結されておりSOC用VRM電源フェーズを冷やすだけでなく、全体の放熱面積を拡張しています。
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主要4社のいずれもCPUソケット&メモリスロットの上を占有するVRM電源レイアウトを採用する製品が多いなか、「ASRock TRX40 Creator」は従来のAMD X399やIntel X299のようにメモリスロットに挟まれる最小限のスペースの中にVRM電源が実装されています。
そのためCPUソケット上のVRM電源クーラーは幅や奥行こそ小さいですが、PCB基板からの全高が46mmと、リアI/Oカバーと同じか僅かに超える高さのヒートシンクになっています。Threadripper専用空冷CPUクーラーを使用する場合は、クリアランスに注意が必要です。またVRM電源クーラーヒートシンクのCPUソケット側には、1基の冷却ファンが搭載されています。
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「ASRock TRX40 Creator」とTR専用空冷CPUクーラーとのクリアランス(詳細はこちら)について、国内正規代理店のTechace様より機材をお借りして「be quiet! Dark Rock Pro TR4」「Noctua NH-U9 TR4-SP3」「Noctua NH-U12S TR4-SP3」でチェックしてみたところ、この3機種では干渉しませんでした。
「Noctua NH-U14S TR4-SP3」についてはPCIEスロットとの間隔がギリギリでアウトっぽいのですが、VRM電源側にオフセットすれば問題なく設置できます。
「Thermalright Silver Arrow TR4」についてはヒートパイプがVRM電源クーラーと干渉して設置できませんでした。
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「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源冷却ファンはBIOSメニュー上では「MOS_FAN1」として登録されています。ファン制御のソース温度はVRM電源温度が標準で指定されています。標準動作は「標準モード」ですが、「サイレントモード」や「パフォーマンスモード」のプリセットや、マニュアル設定の「カスタマイズモード」に変更が可能です。
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TRX40マザーボードではCPUソケット&メモリスロットの上を占有するVRM電源レイアウトを採用しCPU用に10フェーズを超えるVRM電源を用意する製品が多いなか、「ASRock TRX40 Creator」は
ATXサイズの中に4基のx16サイズPCIEスロットを搭載するため限られたスペースで8フェーズVRM電源を搭載しています。
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「ASRock TRX40 Creator」はVRM電源フェーズ数こそ少ないですが、VRM電源回路にハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のある「Dr. MOS」の中でもマザーボード搭載としては初出な90A超高出力対応Dr. MOSが使用されています。
従来比で飽和電流を最大3倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム90Aパワーチョークコイル」、12,000時間の寿命でより優れた安定性と信頼性を提供する「ニチコン製 12K ブラックコンデンサ」、820uFと100uFのポリマーコンデンサを組み合わせることによって、よりクリアで効率的かつ優れた応答性でCPU Vcoreを供給できる「Combo Caps構造」などで堅牢なVRM電源回路が構築されています。
ASRock_DRMOS

多コア&高クロックのRyzen Threadripper CPUへ安定した大電力供給が行えるように「ASRock TRX40 Creator」のEPS端子は8PIN×2が実装されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
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EPS電源端子は配線の容易さから並んで設置されているマザーボードが多いですが、「ASRock TRX40 Creator」ではEPS電源端子をマザーボードの左右に分けることで電力効率を改善し、発熱を小さくしているとのこと。
Separated CPU Power Connector Design

以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。

「ASRock TRX40 Creator」のリアI/Oには接続帯域20Gbpsに達する次世代規格USB3.2 Gen2x2に対応したUSB Type-C端子が1基実装されています。
USB3.2 Gen2x2の接続に対応した外付けストレージについてはWDから新製品「WD_BLACK P50 Game Drive(レビュー)」が20年1月に発売されており、USB3.2 Gen2x2に対応したUSB Type-Cで接続することによって連続アクセス2GB/sの超高速を実現できます。
WD_BLACK P50 Game Drive SSD 1TBWD_BLACK P50 Game Drive SSD 1TB_CDM7
USB3.2 Gen2x2その他にも2基のUSB3.2 Gen2と4基のUSB3.2 Gen1端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、VR HMDに余裕で対応可能です。ただUSB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、追加でUSB2.0端子も少し離れた場所に設置して欲しかったです。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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ネットワーク関連ではオンラインPCゲーミングに最適なRealtek製2.5Gbイーサ(上の写真で左の有線LAN端子)加えて、一般的なギガビットイーサの10倍の帯域幅を実現するAquantia製10Gbイーサ(上の写真で右の有線LAN端子)も搭載しています。
次世代規格WiFi6に対応した無線LANも搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.0に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
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ネットワーク接続のうち、Realtek製2.5Gb LANとWiFi6対応無線LANの2つについてはWindows10の標準ドライバで動作しますが、Aquantia製10Gb LANは各自でドライバをインストールする必要があります。
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またリアI/Oには「BIOS FlashBack」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「USB BIOS FlashBack」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS Flashback



ASRock TRX40 Creatorの基板上コンポーネント詳細

続いて「ASRock TRX40 Creator」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
Ryzen Threadripper用TRX4(TR4)ソケットはLOTESとFOXCONNの2社が製造しており、各社マザーボードで採用されていますが、今回入手した「ASRock TRX40 Creator」にはFOXCONN製ソケットが搭載されていました。TRX4ソケットの一部にはかなり力を入れて押し付けないとソケットのネジが噛み合わないものがありますが、「ASRock TRX40 Creator」のソケットはネジの噛み合わせに十分な遊びがあって簡単にネジを締めることができました。
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システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット両側に8基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
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グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[x16、N/A、x16、N/A、x16、N/A、x16]サイズのスロットが設置されています。PCIE帯域は1段目と5段目はPCIE4.0x16、3段目と7段目はPCIE4.0x8で排他利用はありません。プライマリグラフィックボード用スロットが1段目でCPUソケットと近いので空冷CPUクーラーを使用する場合はクリアランスに注意が必要です。
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別売りオプションパーツのNVLink SLI Bridgeが必要ですが、4スロット(2スロットスペース)のNVLink SLI BridgeがあればNVIDIAの最新GPUであるRTX 2080 TiやRTX 2080 SUPERでもマルチGPU環境を構築可能です。
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グラフィックボード用のx16スロットには近年のマザーボードでは採用が一般的な1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるメタルアーマー「STEEL SLOT Gen4」が採用されていますが、PCIE4.0に対応する同製品ではアンカーポイントを6個に増やすことによって堅牢さをさらに増しています。
STEEL SLOT WITH NEW-GEN PCI EXPRESS 4.0
マザーボード右端下側にはグラフィックボードなどPCIEスロットに設置した拡張カードへ安定した電力供給を行うための追加電源としてマザーボードと平行にPCIE補助電源6PINコネクタのオプション電源端子が用意されています。オプション扱いですがマルチGPU構成で組む場合は接続したほうがよさそうです。
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ASRock TRX40 CreatorにはSATAストレージ用の端子は8基(SATA_1~8)搭載されています。SATA_1~8の8基はAMD TRX40チップセットのコントローラーによる接続です。SATA_1~8についてはRAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはPCIEスロット間に計3基が設置されています。M2_1M2_2はNVMe(PCIE4.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応、下側のM2_3はNVMe(PCIE4.0x4)接続とSATA接続の両方のM.2 SSDをサポートします。M2_1M2_2はCPU直結、M2_3はPCH経由で、いずれも排他利用はありません。
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3基のM.2スロットにはいずれもガンメタルカラーの鍛造アルミニウムプレート型M.2 SSDヒートシンクが装着されています。
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マザーボード右端には最新接続規格USB3.1 Gen2に対応する内部USB3.1 Gen2ヘッダーと、内部USB3.0ヘッダーが設置されています。内部USB3.0ヘッダーはコネクタやケーブルがグラフィックボードなどのPCIE拡張ボードと干渉しないように、いずれもマザーボードと並行な向きに実装されています。
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マザーボード下には内部USB3.0ヘッダーと内部USB2.0ヘッダーがそれぞれ1基ずつ設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えているのでASRock TRX40 Creatorでは不足するかもしれません。内部USB2.0が不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
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ASRock TRX40 Creatorはオンボードサウンドに「Purity Sound 4」という高音質ソリューションが採用されています。アナログ出力はニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用し、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子が設置されています。
またフロントオーディオコネクタについては、高音質な15μゴールドオーディオジャックを採用した通常の垂直配置ヘッダー(左)に加えて、7段目PCIEスロットに2スロット占有拡張ボードを設置しても、干渉せずにフロントオーディオを使用するための水平配置ヘッダー(右)も設置されています。
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マザーボード基板上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるDebug LEDが設置されています。CMOSクリアのハードウェアスイッチもリアI/Oに実装されておりOC設定に失敗しても簡単にBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
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冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に5基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット周辺にCPUファン端子CPUオプションファン端子(水冷ポンプ対応)、マザーボード下部の外周にケースファン端子3基(水冷ポンプ対応)の計5基です。水冷ポンプ対応ファン端子は2A、24Wの電源出力が可能です。
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Threadripper専用空冷CPUクーラーとのクリアランスについて

「ASRock TRX40 Creator」とsTRX4ソケットに対応するThreadripper専用の空冷CPUクーラーとのPCIEスロットやメモリスロットのクリアランスについてチェックしていきます。

TRX40マザーボードとのクリアランス検証に使用する空冷CPUクーラーのうち「be quiet! Dark Rock Pro TR4」「Noctua NH-U9 TR4-SP3」「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の3機種については、国内正規代理店のTechace様より機材をお借りしました。


be quiet! Dark Rock Pro TR4

be quiet! Dark Rock Pro TR4については「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源クーラーとの距離がギリギリですが、干渉することなく設置できます。
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「ASRock TRX40 Creator」にbe quiet! Dark Rock Pro TR4を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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be quiet! Dark Rock Pro TR4とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側2つのメモリスロットにヒートシンクが被さります。ヒートシンク本体のクリアランスは製品仕様では47mm程度が確保されていますが、前方の冷却ファンはそれよりも低いので全高44mm程度が限界になります。全高43mmのG.Skill Trident Zシリーズについては干渉せずに設置できます。
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Noctua NH-U9 TR4-SP3

Noctua NH-U9 TR4-SP3については「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「ASRock TRX40 Creator」にNoctua NH-U9 TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Noctua NH-U9 TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側2つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。全高39mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリであれば問題ありませんが、全高39mmのG.Skill Flare Xや全高43mmのG.Skill Trident Zなどを超えてくるとヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
Noctua NH-U9 TR4-SP3_memory_height


Noctua NH-U12S TR4-SP3

Noctua NH-U12S TR4-SP3については「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。「ASRock TRX40 Creator」にNoctua NH-U12S TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉することはありません。
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Noctua NH-U12S TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側1つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。後方にファンを増設する時にファンノイズを低減させる厚手のラバーパッドを使用してもギリギリ2つ目のスロットには被さりません。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。全高39mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリや全高39mmのG.Skill Flare Xであれば問題ありませんが、全高45mmを超えるCorsair Dominator Platinumなどを使用すると、ヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
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Noctua NH-U14S TR4-SP3

Noctua NH-U14S TR4-SP3については「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源クーラーと干渉することなく設置できます。
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「ASRock TRX40 Creator」にNoctua NH-U14S TR4-SP3を設置した場合、最上段のPCIEスロットとCPUクーラーが干渉は微妙です。Noctua NH-U14S TR4-SP3はCPUクーラーの位置を(下写真で見て)右側に数mmオフセットできるので、それで問題なく設置できるはずです。
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Noctua NH-U14S TR4-SP3とのメモリのクリアランスについては、CPUソケットに近い内側1つのメモリスロットに冷却ファンが被さります。後方にファンを増設する時にファンノイズを低減させる厚手のラバーパッドを使用するとギリギリ2つ目のスロットにも被さります。
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冷却ファンの固定はファンクリップを使用しており高さ方向のオフセット幅にかなり余裕があるので、背の高いヒートシンクを備えたメモリであっても装着自体は可能です。ヒートシンクなしメモリの全高31mmよりも高いメモリではメモリヒートシンクの差分だけCPUクーラーの全高が高くなります。
ただし、全高35mmくらいのロープロファイルなヒートシンク付きメモリであれば問題ありませんが、全高39mmのG.Skill Flare Xや全高43mmのG.Skill Trident Zなどを超えてくるとヒートシンクの放熱フィンとファンの気流面が大きくズレ始めるので非推奨です。
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Thermalright Silver Arrow TR4

Thermalright Silver Arrow TR4については「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源クーラーと干渉するため設置することができません。
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ASRock TRX40 Creatorの検証機材

ASRock TRX40 Creatorを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock TRX40 Creator以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X
32コア64スレッド (レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
ELC-LTTRO360-TBP (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C14Q-32GTZN
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー


システムメモリの検証機材には、第3世代Ryzen&X570マザーボードのプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

レビュー記事後半ではRyzen Threadripper 3970Xを使用したオーバークロックも実践するので検証機材CPUクーラーにはAMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに完全対応となる大型ベースプレートと360サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」を検証機材として使用しています。
「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」をレビュー
ENERMAX LIQTECH TR4 II 360

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
Noctua NF-A12x25 PWM x3

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripperのようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じだったので今回はNoctua式を採用しました。
Noctua TRX4_tp
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper_noctua

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen TR 3970Xを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X


以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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ASRock TRX40 CreatorのBIOSについて

ASRock TRX40 Creatorを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)

ASRock TRX40 CreatorのBIOSは、従来通りの文字ベースBIOSメニューになっています。画面上に表示されている「メイン」「OCツール」「詳細」などメニュータブから左右カーソルキーで各設定ページが表示できます。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_1
ASRock TRX40 CreatorのBIOSは日本語に対応しています。ASRockのマザーボードというと「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分がありましたが、ASRock TRX40 Creatorなど最新マザーボードでは翻訳が正確になっています。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_2
ASRock TRX40 CreatorのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_3

「ASRock TRX40 Creator」の公式サポートページでは2019年12月13日現在、最新BIOS「1.10」が配布されています。BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asrock.com/mb/AMD/TRX40%20Creator/index.jp.asp#BIOS

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。自動探索は便利なのですが、反面、探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_4
USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_5

ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock TRX40 Creatorのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_6
OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。出口(Exit)のメニューから「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定して起動しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_7
ASRock TRX40 Creator_BIOS_8
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。


BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock TRX40 CreatorのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

「ASRock TRX40 Creator」はNVMe SSDによるRAIDストレージの構築に対応していますが、上位モデルの「ASRock TRX40 Taichi」に標準で付属する「ASRock Hyper Quad M.2 Card(Gen4)」や一般販売されている「ASUS HYPER M.2 X16 CARD V2」のような複数のNVMe M.2 SSDを設置可能なPCIE拡張ボード用にPCIEレーンを分割するBIOS設定が用意されています。
BIOS設定を変更することで、「ASRock TRX40 Creator」の1段目と5段目に実装されたPCIE4.0x16レーンのPCIEスロットは4つのPCIE4.0x4レーンに、3段目と7段目に実装されたPCIE4.0x8レーンのPCIEスロットは2つのPCIE4.0x4レーンに分割することができます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_9
NVMe RAIDモードで使用するブータブルディスクの作成方法(Windows OSのインストール方法)について詳しくは下の記事でまとめているのでこちらを参照してください。X399マザーボードを使用していますが、設定やインストールの基本的な手順は共通です。
記事中ではRAID0ストレージにインストールする例を紹介していますが、アレイ構築でシングルボリュームを選べば、SATA SSDのシングルボリュームへのOSインストールも同様の手順で行えます。
Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法
Ryzen Threadripper環境でNVMe RAIDにOSをインストールする方法


「ASRock TRX40 Creator」のファンコントロール機能について紹介します。
ASRock TRX40 Creatorのファンコントロール機能ではマザーボード上に設置されている各ファン端子について個別に設定が可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_1
「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_2
「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、ケースファン端子はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_3
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_2

「ASRock TRX40 Creator」はチップセットクーラーに冷却ファンが搭載されていますが、BIOSメニュー上では「SB_FAN1」として登録されています。ファン制御のソース温度はチップセット温度で固定されています。標準動作は「標準モード」ですが、他のファンと同様に「サイレントモード」や「パフォーマンスモード」、手動設定が可能な「カスタマイズ」に変更が可能です。
「ASRock TRX40 Creator」のPCH冷却ファンはファン制御プリセットを使用するとアイドル時でも4000RPM程度で回転してファンノイズがそこそこ大きいので、カスタマイズで3000RPM以下に落とすよう設定するのがオススメです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_SB-Fan
「ASRock TRX40 Creator」はVRM電源クーラーに冷却ファンが搭載されていますが、BIOSメニュー上では「MOS_FAN1」として登録されています。ファン制御のソース温度はVRM電源温度が標準で指定されています。標準動作は「標準モード」ですが、他のファンと同様に「サイレントモード」や「パフォーマンスモード」、手動設定が可能な「カスタマイズ」に変更が可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_MOS-Fan

カスタマイズモードではファン制御の比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。下限温度となる温度1に対するファン速度を0に設定すると、ソース温度が温度1以下の時にファンは停止します。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_4
また各種プリセットではチップセット温度が80度を上回るとファン制御が外れて、ファンはフル回転になりますが、カスタマイズ設定ではファンがフル回転になる臨界温度を最大100度まで引き上げて設定できます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_Fan_5



イルミネーション操作機能「ASRock Polychlome RGB Sync」について

「ASRock TRX40 Creator」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」に対応しています。
「ASRock TRX40 Creator」にはライティング制御機能「ASRock Polychlome RGB Sync」による操作に対応したRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」などが接続可能です。
ASRock TRX40 Creator review_04843_DxO-horz
またアドレッサブルLED機器を接続可能なARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーも2基実装されています。「ASRock TRX40 Creator」で使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。
ASRock TRX40 Creator review_04890

「ASRock Polychlome RGB Sync」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」などのRGB発光パターン、「Spring」「Meteor」「Stack」「Cram」「Scan」「Neon」「Water」「Rainbow」などのアドレッサブルRGB発光パターンが選択できます。「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットやRGBスライダーを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRock Polychlome RGB Sync

ASRock製マザーボードの一部ではBIOS上からもグラフィカルUIで簡易的にLEDイルミネーションのライティング制御が可能です。Windows上で専用アプリをインストールする必要がないので、管理人的には嬉しい機能です。
ただし「ASRock TRX40 Creator」のBIOSバージョン1.10ではLEDイルミネーションのON/OFF設定のみでした、同社他モデルのように今後のアップデートでこの辺りも充実させて欲しいところです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_LED



ASRock TRX40 CreatorのOC設定について

ASRock TRX40 Creatorを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


AMD Ryzen Threadripper CPUについては純正のOCツール「AMD Ryzen Master」が用意されていますが、同ユーティリティの使い方については下の記事を参考にしてください。
AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
AMD Ryzen Masterユーティリティ

ASRock TRX40 Creatorのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。OCツールのページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧の順番で設定項目が表示されます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_1

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
第3世代Ryzenは、CPU温度や電力に関して安定動作可能な相関関係を記したテーブルがCPU内部に用意されており、それに則した形で「Pure Power」や「Precision Boost(2)」といったRyzen CPUの独自機能により動作クロックや電力がリアルタイム制御されています。
Precision Boost 2
例えばRyzen Threadripper 3970XではCPUクーラー冷却性能の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は最大で4.5GHz、全コア負荷の場合はTDPの範囲内で変動しますが軽いワークロードであれば全コア4.2~4.3GHzで動作し、動画のエンコードなど重いワークロードでは冷却性能が十分ならベースクロックを上回る平均3.8~4.0GHz程度で動作します。
Ryzen Threadripper 3970X_clock
第3世代Ryzenや第3世代Ryzen/Ryzen Threadripper CPUの動作クロックに関する予備知識については下の記事で概要を解説しているので参考にしてください。
「Precision Boost Overdrive」を徹底解説
precision-boost-overdrive

ASRock TRX40 CreatorのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の指定値を直に打ち込む形になっていました。「CPU Frequency and Voltage Change」の項目を「手動」に変更すると「CPU Frequency」の項目が表示されます。例えば「4025」のように「CPU Frequency」を設定すると4025MHzで動作するように設定されます。コアクロックは25MHz間隔で指定可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_2
「ASRock TRX40 Creator」はベースクロック(BCLK)を100MHz~200MHzの範囲内で1MHz刻みで変更可能です。「Overclock Mode」を手動に変更するとBCLK設定項目が表示されます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_3
第3世代Ryzen Threadripperは全コア共通の動作倍率設定だけでなく、CCX単位(3970Xの場合は4コア1セット、3960Xの場合は3コア1セット)で個別に動作倍率を設定するPer CCXにも対応しています。ただし「ASRock TRX40 Creator」のBIOS:1.10ではパッと見つかる場所には同設定はありませんでした。(AMD CBSのどこかにあるかも)
Per CCX設定は少し面倒になりますが、CCX別にOC耐性には違いがあるので、共通のコア電圧に対して、OC耐性の良いCCXでは44倍に、OC耐性の悪いCCXは42倍に、のように細かく設定できます。Intel製CPUのBy Specific Core設定のようにコア電圧もCCX単位で調整できるとさらにOC設定の幅が広がるのですが、電圧については今のところ非対応です。


「ASRock TRX40 Creator」では単コアブーストクロックを維持したまま、電力制限を解除することで全コア最大動作倍率を引き上げることができる「Precision Boost Overdrive」もBIOSから設定が可能です。ただし設定項目は若干分かり難い場所に配置されており、「アドバンスド - AMD Overclocking - Precision Boost Overdrive」の順にアクセスしていく必要があります。OCツールの上のほうにショートカットを配置しておいて欲しいところです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_4
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_5
Precision Boost Overdriveを「Manual」もしくは「Advanced」に設定にすると、第3世代Ryzenにおいても前世代と同様に、電力制限上限値を指定する「PPT Limit (W)」、最大動作クロックの制限値に影響する「TDC Limit / EDC Limit (A)」を設定できます。
さらにX570マザーボードでは第3世代Ryzenが新たにサポートする「Auto OverClocking Mode」に関する設定項目として、Precision Boost 2によるコアクロックの上昇幅を設定する「Max CPU Boost Clock Override」や、Precision Boost 2やXFRによる自動OC機能が効く温度閾値を引き上げる「Platform Thermal Throttle Limit」などのオプションが追加されています。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_6

続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen CPUのオーバークロックで変更する電圧設定については、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリクロックやRyzen APUに搭載される統合GPUの動作周波数に影響すると「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
Ryzen OC Voltage
ASRock TRX40 CreatorではOCツールの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」、そして「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。「ASRock TRX40 Creator」環境においては下のスクリーンショット中、緑線で囲った3項目を設定します。
ちなみにCPUコア電圧はコアクロックの下だけでなく、SOC電圧の上にも配置されていますが、前者「Voltage(VID)」がCPU内部の電圧設定に対して、後者「CPU Vcore Voltage」はマザーボード側の設定となっており、後者は前者に優先されます。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_7
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_8

CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock TRX40 Creatorでは「CPU Frequency」のすぐ下にある「CPU Voltage」の項目を変更します。(電圧設定の箇所にもコア電圧の項目がありますが、そちらは自動のまま放置でOKです。)
ASRock TRX40 Creatorではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。AMD Ryzen CPUのコア電圧は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_9
定格動作やPrecision Boost OverdriveでCPU温度を下げてコアクロックの上昇を促進させる小技として、コア電圧のオフセット設定を使用する場合は、電圧設定の箇所にある方のコア電圧を調整します。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_10
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。「ASRock TRX40 Creator」では補正の強度として自動およびレベル1~レベル5の6段階が用意されており、レベル1が補正最大で、レベルの添え字が小さいほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。レベル2かレベル3あたりから最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整していくのがおすすめです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_11


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、ASRock TRX40 Creatorでは正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なので厳密にはAMD CPU&マザーボードの環境では非対応ですが、「ASRock TRX40 Creator」ではXMPプロファイルの項目が表示されており、XMPプロファイルから適当なOCプロファイルを自動生成してくれるので、Intelマザーボード環境と同様にメモリに収録されたOCプロファイルからメモリのOCが可能です。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_12
「XMP設定の読み込み」の設定値が自動(Auto)になっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなどのメモリ周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM周波数(DRAM Frequency)」の項目でプルダウンメニューから最大6000MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_13
「ASRock TRX40 Creator」ではメモリタイミングの個別手動設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_14
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_15
メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「GearDownMode」をEnabledに設定すると動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_16
またメモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_17
DDR4メモリの周波数OCを行う際はトップメニュータブ「OCツール」で下の方にスクロールしていくと出てくる「DRAM電圧AB/CD」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_18
AMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(VDDR_SOC Voltage)」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。ASRock TRX40 CreatorではCPUコア電圧同様に0.05V刻みで値を設定できます。固定モードとオフセットモードが選択できますが、設定しやすいので固定モードでいいと思います。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_19

また第3世代Ryzen CPU環境ではメモリ周波数3600MHzまではInfinity Fabric周波数が1:1で同期しますが、3733MHz以上では2:1で同期し、Infinity Fabric周波数がメモリ周波数の半分になります。
「ASRock TRX40 Creator」では「Infinity Fabric Frequency and Dividers」をメモリ周波数の半分に指定することで3733MHzや3800MHzのメモリ周波数においてもInfinity Fabric周波数の1:1同期が可能になります。
ASRock TRX40 Creator_BIOS_OC_20



ASRock TRX40 Creatorの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにして、ASRock TRX40 Creatorを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、ASRock TRX40 Creatorの起動時間は33秒ほどした。多機能なエンスー向けマザーボードの起動時間としてはPOST時間も標準的で悪くない結果だと思います。



続いてASRock TRX40 Creatorを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


第3世代Ryzen Threadripperは、従来のRyzen CPUと同様にCPUクーラーの冷却性能に応じた自動OC機能「Precision Boost 2 & XFR 2 (Extended Frequency Range 2)」が機能しますが、第3世代Ryzen Threadripperではその際に参照されるテーブルが限界近くまでチューニングされており、ユーザーが設定を変更したとしてもコアクロックを上昇させることが可能なマージン(ヘッドルームと呼ばれている)が非常に小さくなっています。
第3世代Ryzen Threadripperについてはコアクロック回りを下手に弄るよりも、定格のまま、もしくはPrecision Boost Overdriveで電力制限を解除する程度に留め(定格と比べて消費電力の増加に対する性能の伸びは小さいが)、360サイズ簡易水冷CPUクーラーのような高性能なCPUクーラーの冷却性能にまかせて自動OC機能によるクロックアップを狙うのがオススメです。

Ryzen Threadripper 3970XのOC設定については、Precision Boost Overdriveを有効化して『PPT = 1000W、TDC = 490A、EDC = 630A』、また「CPUコア電圧:-0.100V(オフセット)」に設定しています。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリタイミング:14-15-15-35-1T」「メモリ電圧:1.450V」としました。
ASRock TRX40 Creator_OC test_BIOS (1)ASRock TRX40 Creator_OC test_BIOS (2)

上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASRock TRX40 Creator_OC test_1
ASRock TRX40 Creator_OC test_2


ASRock TRX40 Creatorの環境(BIOS:1.10)では8GB×8枚=64GBの構成で、メモリ周波数を3600MHzにOCしてメモリタイミング:14-15-15-35-CR1に詰めることができました。
ASRock TRX40 Creator_OC test_memtest
3600MHz/CL14のOCプロファイルが収録されたOCメモリ「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」が2セット用意できなかったので、同じOC設定のF4-3600C14D-16GTZNを2セット組み合わせて、8GB×8枚=64GBのシステムメモリを構築しましたが、3600MHz/CL14で問題なく動作しました。
ASRock TRX40 Creator review_04439_DxO
なお今回の検証ではメモリ電圧をOCプロファイルの1.400Vから1.450Vに昇圧していますが、1.400Vに設定してRAM Testを実行すると、スポットクーラーでメモリを冷やす場合はテストをクリアできたのですが、スポットクーラーで冷やさない場合は20~30分程度経過してメモリ温度が上がるとエラーが出ました。
G.Skillから発表されている第3世代Ryzen Threadripper向けメモリキットで3600MHz/CL14のモデルが1.450Vに設定されていたのは、温度の問題で昇圧する必要があったのではないかと思います。
speclist-eng

32コア64スレッド「AMD Ryzen Threadripper 3970X」のPB2&XFR2による全コア4.0GHzへのクロックアップに加えて、メモリ周波数を3600MHzにオーバークロックして、Cinebench R20も問題なくクリアできました。
ASRock TRX40 Creator_OC test_cinebench

続いてスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用して「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源温度をチェックしていきます。
CPUへ電力供給を行うVRM電源に負荷をかけるためCPUに対してストレステストを実行しますが、その検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使って4並列のエンコードを行い、30分以上に渡って負荷をかけ続けました。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Ryzen Threadripper 3970X_Stress



【2020年1月19日追記】-------------
検証当時に使用したCPUクーラーに動作不良があったため、以下の検証において、AMD Ryzen Threadripper 3970XのCPU温度が本来よりもかなり高く、またCPUコアクロックが低くなっています。
CPUクーラーに「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用し、ファン回転数を1600RPMに固定した時の、正しいCPU温度やCPUコアクロックは概ね下のグラフのようになります。
AMD Ryzen Threadripper 3970X_clockAMD Ryzen Threadripper 3970X_temp

上のグラフのようになるはずのCPU温度がより高い温度になるため、CPUの熱がVRM電源に伝搬し、さらにCPU温度が高いほどCPU消費電力は上がってしまう傾向にあるので、下記の検証ではVRM電源に対して本来よりも厳しいストレステストを実行したことになります。

CPUクーラーに「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用した結果としては正しくないのですが、それよりも性能の低いCPUクーラーを使用したと考えれば評価は可能な結果となっています。「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」で適切に冷やせた場合は、下記の結果よりもVRM電源温度は10度前後下がる可能性があります。
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ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。
まずはCPU定格動作について、マザーボードにASRock TRX40 Creatorを使用してRyzen Threadripper 3970Xにストレステストを実行すると、CPU温度は平均74.6度、最大77.4度、コアクロックは平均3795MHzとなります。
ASRock TRX40 Creator_Test_stress_3970X_def
次にPrecision Boost Overdrive適用時について、マザーボードにASRock TRX40 Creatorを使用してRyzen Threadripper 3970Xにストレステストを実行すると、CPU温度は平均85.6度、最大90.0度、コアクロックは平均3997MHzとなります。
ASRock TRX40 Creator_Test_stress_3970X_PBO

検証機材の360サイズ簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH TR4 II 360」によって十分な冷却を行った場合、Precision Boost Overdriveで電力制限の解除された、32コア64スレッドのRyzen Threadripper 3970Xは全コア平均4.0GHz程度で動作しますが、ここにメモリ周波数3600MHzのメモリオーバークロックを組み合わせてストレステストを実行すると、ASRock TRX40 Creator環境ではシステム消費電力(ほぼCPU消費電力)が450~500Wに達します。
ASRock TRX40 Creator_Test_3970X_PBO_power

AMD Ryzen Threadripper 3970Xを使用すると定格動作でもシステム消費電力は350W前後に達しますが、「ASRock TRX40 Creator」はパッシブ空冷のままでもVRM電源周りが70度前後に収まるという非常に優れた結果を出しています。
ASRock TRX40 Creator_FLIR_3970X_def
続いてRyzen Threadripper 3970XをPBOによって全コア4.0GHzにクロックアップしており、システム消費電力は400~500Wに達していますが、これだけの負荷がかかっても、VRM電源温度はサーモグラフィーで確認できる最大温度でも85度程度に収まりました。これだけ冷えていれば簡易水冷CPUクーラーでVRM電源周りがパッシブ空冷な環境であっても、マザーボードの標準装備だけで問題なく運用できます。たった8フェーズのVRM電源で400Wクラスの電力供給を行っているとは思えないくらいの見事な冷えっぷりです。
ASRock TRX40 Creator_FLIR_3970X_PBO

以上のように「ASRock TRX40 Creator」は8フェーズと少ないフェーズ数のVRM電源ながら、90A対応Dr. MOSを始めとした高品質素子やアクティブ冷却ファン搭載VRM電源クーラーによって、Ryzen Threadripper 3970Xの安定した運用を実現しているのですが、一方でグラフのようにファン速度がかなり高くなっています。
「ASRock TRX40 Creator」でVRM電源冷却ファンの制御を標準設定のままにした場合、Ryzen Threadripper 3970Xの標準動作とPBO適用のいずれにおいてもPCH冷却ファンが4000RPM前後、VRM電源冷却ファンは6000~7000RPMと高い回転数になり、ノイズレベルも44dB程度でした。PCケースに入れてしまえば多少は軽減されますが、それでも耳に届くレベルです。
ASRock TRX40 Creator review_04892
標準設定のままで運用するとファンノイズが大きいのですが、冷却性能とトレードオフの関係でもあり安易に下げればいいというわけでもないので、下のようなカスタマイズ設定を適用して、PCH冷却ファンとVRM電源冷却ファンが負荷時に4000RPM以下に収まるように調整して同様の検証を行ってみました。
ASRock TRX40 Creator_OC test_Fan-Custom

Ryzen Threadripper 3970Xの定格動作において上のようなカスタムファン制御を適用してストレステストを実行すると、VRM電源ファンの最大速度は4000RPM未満に収まっていますが、ソフトウェアモニタリング上のVRM電源温度は意外なことに標準ファン制御の時と大差なく60度未満になりました。
ASRock TRX40 Creator_Test_stress_3970X_def_Fan-Custom
一方でサーモグラフィを使用してVRM電源周りのホットスポットを確認すると、やはり標準ファン制御の時よりも温度が10度弱上がっていました。とはいえ最大温度でも80度以下に収まっているので十分に実用レベルです。
ASRock TRX40 Creator_FLIR_3970X_def_Fan-custom
ファン速度を負荷時4000RPM以下に収まるように手動設定すると、ノイズレベルも35dB程度に下がりました。標準設定のまま運用すると「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源冷却ファンやPCH冷却ファンはそこそこ煩いですが、手動設定を適用すればRyzen Threadripper 3970Xを静音動作で運用可能です。
ASRock TRX40 Creator review_04894

「ASRock TRX40 Creator」は360サイズ簡易水冷CPUクーラーで冷却可能なOC・電力制限解除であれば標準装備だけでもVRM電源を十分低温に収めることができますが、製品寿命を延ばすためさらに低温に保ちたい時、もしくはDIY水冷などでさらに上のOCを目指す時に、VRM電源の冷却を増強すべくスポットクーラーを使用するのであれば、フレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」や、可変アルミニウム製ファンフレームでVRM電源を狙って設置が容易な「IN WIN MARS」がオススメです。
マザーボードVRM電源クーラーのレビュー記事一覧へ
マザーボードVRM電源クーラー



ASRock TRX40 Creatorのレビューまとめ

最後に「ASRock TRX40 Creator」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • LEDなど装飾のない、質実剛健なデザイン
  • 90A対応Dr.MOS採用の8フェーズVRM電源回路
  • 少フェーズながら高品質素子によって400WオーバーのCPU消費電力にも対応可能
  • 32コアRyzen TR 3970X 4.0GHz(PBO)、メモリクロック3600MHz OCで安定動作
  • ATXサイズのままで4基のx16サイズPCIEスロットを搭載
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット「STEEL SLOT Gen4」
  • ヒートシンク付きのPCIE4.0対応NVMe接続のM.2スロットを3基設置
  • WiFi6、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth5.0に対応したIntel製の無線LAN搭載
  • リアI/OにはAquantia製10GB LANとRealtek製2.5Gb LANを標準搭載
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
悪いところor注意点
  • VRM電源クーラーの背が高いので一部の空冷CPUクーラーは干渉の可能性あり
  • VRM電源/PCH冷却ファンの標準動作設定は煩めなので、手動設定がオススメ
  • 内部USB2.0ヘッダーが1基だけ

TDP280Wの第3世代Ryzen Threadripperに対応すべく開発された「ASRock TRX40 Creator」は、90A対応Dr. MOSを始めとした高品質素子によって限られたスペースの中に実装された8フェーズという少なめなフェーズ数のVRM電源をカバーし、そうして生み出したスペースによって標準ATXサイズの中にx16サイズPCIEスロットを4基搭載するという設計です。
”4基のx1サイズPCIEスロットのために8フェーズしか積めなかった(犠牲にした)”のではなく、むしろ”8フェーズで十分だったからこそ実現した製品”なのだと気づかされると、ASRock熟練の開発力に感心するしかなくなります。

ATXサイズの中に4基のx16サイズPCIEスロットや10Gb LANなどの拡張性を最大限詰め込みつつ、ミニマルさも両立することでクリエイター向けハイエンドモデルながら449ドルという優れたコストパフォーマンスを実現しているところも見逃せない魅力です。

「ASRock TRX40 Creator」のBIOSではクラシカルなUIが採用されており、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。余談で、過去の製品では長らく日本語ローカライズが一部怪しかったのですが、「ASRock TRX40 Creator」では正しく修正されたところが地味に注目ポイントでした。

Ryzen Threadripper 3970Xなど第3世代Ryzen Threadripperの特性上、PBOで電力制限を解除するだけに留まって、今回はCPUコアクロックのオーバークロックは行いませんでしたが、「ASRock TRX40 Creator」を使用した検証機では32コア64スレッドRyzen Threadripper 3970Xを自動OC機能によって全コア4.0GHzにクロックアップし、メモリも3600MHz/CL14にオーバークロックして安定動作させることができました。

手動OCを行わずとも高性能なCPUクーラーを組み合わせた時に自動的にクロックアップする第3世代Ryzen Threadripper CPUと組み合わせるTRX40マザーボードの評価において、CPUへ電力供給を行うVRM電源回路の品質やVRM電源クーラーの冷却性能が重要なファクターになるのは言うまでありません。
「ASRock TRX40 Creator」ではPBOによる電力制限解除によって400W超クラスの負荷が発生するRyzen Threadripper 3970Xの全コア4GHzクロックアップに対して、8フェーズという比較的少ないVRM電源フェーズ数ながら90A対応Dr. MOSを始めとした高品質素子によって構築されたVRM電源は安定した電力供給を行うことができました。
VRM電源の冷却面においては、CPUソケット上の全高46mmの超巨大ヒートシンクと1基のアクティブ冷却ファン、そしてヒートパイプによって拡張される金属製リアI/OカバーヒートシンクによってATXサイズという限られたスペースの中でも十分な放熱を実現し、「ASRock TRX40 Creator」では400Wクラスの長期的な負荷に対してVRM電源温度は80度半ばに収まりました。「ASRock TRX40 Creator」であれば、VRM電源付近に直接風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境であっても第3世代Ryzen Threadripperを標準装備だけで余裕で運用できます。
ただしファン制御を標準設定のまま運用すると「ASRock TRX40 Creator」のVRM電源冷却ファンやPCH冷却ファンはそこそこ煩いので、静音動作させたい場合は負荷時3000~4000RPM程度に収まるように手動設定を適用するのがオススメです。3970Xや3960Xの定格動作ならこれくらいにファンを緩めても十分にVRM電源を冷やすことができます。

メモリOCについては8GB×8=64GB構成において、メモリ周波数に同期するIF周波数も含めて考えれば第3世代Ryzen Threadripper環境では最速クラスとなるメモリ周波数3600MHz/メモリタイミング14-15-15-35-CR1が、検証機材メモリ「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」に収録されたOCプロファイルを適用することで簡単に実現できました。
またOCプロファイルを使用しない手動OCにおいても、メモリ周波数と主要タイミングのみを設定するカジュアルOC設定でメモリ周波数3600MHz/メモリタイミング16-16-16-36-CR1で安定動作させることができました。AMD公式から第3世代Ryzen Threadripper環境のメモリ速度としてはスイートスポットと評価される3600MHz/CL16に、周波数と主要タイミングのみの簡単なOC設定で詰めることができたので、「ASRock TRX40 Creator」は回路品質だけでなくBIOS自動設定の精度という意味においてもメモリOC耐性は余裕で及第点をクリアしていると思います。

以上、「ASRock TRX40 Creator」のレビューでした。





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Ryzen Threadripperは従来のCPUに比べて非常に大きいヒートスプレッダが採用されているので、大型ベースコアを採用するThreadripper専用CPUクーラーがおすすめです。


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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