Fractal Design Define 7


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北欧PCパーツメーカーFractal DesignからDefine R6の後継モデルとしてリリースされた最新ミドルタワーPCケース「Fractal Design Define 7 Black TG Light Tint(型番:FD-C-DEF7A-02)」をレビューします。モジュラー式ストレージプレートで切り替える2種類のレイアウトによって変幻自在なビルドスタイルを実現する万能性はそのままに、前モデルから多岐に渡るブラッシュアップが施された同製品が、どれくらい使いやすくなったのか徹底解説していきます。


代理店公式ページ:
https://www.ask-corp.jp/products/fractal-design/middle-pccase/define-7-solid.html
https://www.ask-corp.jp/products/fractal-design/middle-pccase/define-7-tg.html
製品公式ページ:https://www.fractal-design.com/ja/products/cases/define/define-7/black/
マニュアル:https://www.fractal-design.com/wp-content/uploads/2020/10/Define_7_Manual.pdf






レビュー目次


1.Fractal Design Define 7の外観・梱包・付属品
2.Fractal Design Define 7のトップパネル
3.Fractal Design Define 7の内部構造の概要
4.Fractal Design Define 7の裏配線スペース
5.Fractal Design Define 7のストレージ設置スペース
6.Fractal Design Define 7のグラフィックボード設置スペース
7.Fractal Design Define 7の電源ユニット設置スペース
8.Fractal Design Define 7のファン・ラジエーター設置スペース
9.Fractal Design Define 7のビルドギャラリー
10.Fractal Design Define 7のレビューまとめ



【機材協力:Fractal Design(国内正規代理店アスク)】


Fractal Design Define 7の外観・梱包・付属品

早速パッケージを開封して、Fractal Design Define 7の外観からチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」では製品のオリジナルプリントがされた茶色の段ボール箱にPCケース本体が収められています。幅363mm×奥行558mm×高さ641mmとパッケージサイズも巨大です。
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段ボール箱の天面を開くと、各種付属品が収められたパッケージとPCケース本体が現れます。段ボール箱の内側には、2019年にリニューアルされたFractal Designロゴが大量に格子状に描かれています。知らずに見るとハチの巣みたいで、ギョッとする光景なのでちょっとやり過ぎな気が…。
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PCケースを保護する緩衝材については発泡スチロールが採用されていました。発泡スチロールは処分のため解体する際に小さい破片が飛び散るので、個人的には固めのスポンジを採用して欲しいです。
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アルミニウム製フロントパネルや強化ガラスサイドパネルには傷防止の保護フィルムが貼られています。
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各種付属品は60×40cmほどの大きめなパッケージに収納されています。
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パッケージを開くと、通気スリットが施された交換用天面パネルとマニュアル冊子が現れます。
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天面パネルが収められたスポンジスペーサーを取り出すと、その下には3.5インチストレージトレイ×4と、ネジ等の小物類が収められた小分けパッケージが現れます。
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小分けパッケージに収納されている付属品は各種ネジ類、ガラスパネル用クロス、ケーブルタイとなっています。組み立てに使用するネジは個別のビニール袋に分けられているので見分けも簡単です。
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欲を言えば、他社製品の例ですがネジの種類別に完全に小分けできる仕切り付きパックに最初からネジが収納されていると使い勝手が良いので、ネジ収納はこのタイプになってくれると嬉しいです。


続いて「Fractal Design Define 7」の外観について詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」にはカラーバリエーションとしてブラック、ブラック&ホワイト、ホワイト、グレーの4色がラインナップされています。従来機種のブラックは内装の一部にホワイトがありましたが、Define 7のブラックは内装も全てブラックなので従来機種で言うところのブラックアウトカラーです。一方でブラック&ホワイトは外装はブラック、内装の一部がホワイトの組み合わせになっています。
さらに各カラーバリエーションには正面向かって左側サイドパネルに、高密度吸音素材シートが貼られたスチール製ソリッドパネルを搭載するSolid版に加えて、耐擦傷性強化ガラスのウィンドウパネルを搭載したTG (Tempered Glass)版もラインナップされています。強化ガラスサイドパネルについてはブラックのみスモーク処理が施されたDark TGが追加でラインナップされており、通常のTGモデル4種(4色)は透明なガラスパネルとなります。
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カラーバリエーション&サイドパネルの種類別で計9種類存在する「Fractal Design Define 7」シリーズの中から、今回レビューするのはメインカラーがブラックで、PCケース内を明るく展望できる無色透明な強化ガラスサイドパネルを搭載した「Fractal Design Define 7 Black TG」です。
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Fractal Design Define 7は近年主流の4面フルフラットパネルデザインです。トップと左サイドの2面(およびSolid版では右側サイドパネルも)には傷や指紋が目立ちにくい黒色スチール製フラットパネルを搭載しています。
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フラットパネルPCケースはエアフローが微妙な窒息ケースのイメージがありますが、「Fractal Design Define 7」では吸気スペースに当たるフロントパネルの左右外周部に吸気用スリットが用意されています。
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フロントにはヘアライン表面処理とアルマイト加工を施されたフルフラットなアルミニウムプレートが装着されたドアパネルが搭載されています。従来モデルではプラスチック製の枠の中央にアルミニウムプレートが嵌め込まれた構造でしたが、「Fractal Design Define 7」では左右に折り返す構造になっており、一体感のある外観でさらに高級感を増しています。
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「Fractal Design Define 7」のフロントI/Oはトップパネル前方に実装されています。パワースイッチ、リセットスイッチ、HD Audio(3.5mmステレオ出力&3.5mmマイク入力)、2×USB2.0 Type-A端子、2×USB3.0 Type-A端子、さらに最新規格のUSB3.1 Gen2 Type-C端子と非常に豊富です。電源ボタンはPCの電源が入ると白色LEDが点灯します。
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フロントI/Oからマザーボードに接続するケーブルは次のようになっています。
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個人的な注目ポイントはスタートスイッチやパワーLEDなどマザーボードのフロントI/Oヘッダーに接続するケーブルがスリーブでまとめられているところです。バラバラのままだと地味に面倒な所なので細かい配慮が好印象でした。
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「Fractal Design Define 7」のフロントパネルは前モデルDefine R5と同様にヒンジ付きドアパネルになっています。ドアパネルは従来モデルとは逆に標準では向かって右へ開閉することができます。ドアパネルの裏側には静音性を上げるため高密度吸音素材の防音シートが貼りつけられています。
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従来モデルのヒンジはドアパネルを固定するだけの単純な構造でしたが、「Fractal Design Define 7」では複雑な機構のヒンジが採用されています。機構が複雑化したヒンジの改良によってドアパネルを開く時に手前に飛び出す(逆に閉じる時はPCケースへ密着する)感じに動き、非常にスムーズな開閉が可能になっています。またドアパネルとシャーシの中間にあり、ヒンジを介してドアパネルを固定しているプラスチック製フレームの裏側にはマグネットがあり、ドアパネルをピタッと閉じるのに一役買っています。
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ヒンジ部分はプラスチック製フロントフレームとドアパネルにプラスネジでネジ止めされており、標準の右開きだけでなく、左側にヒンジを固定し直すことで左開きに変更することができます。
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フロントパネル裏の吸気スリット部分はナイロンメッシュの防塵ダストフィルターになっており、プラスチックの爪で固定されているだけなのでツールレスで簡単に着脱できます。またフロントパネルを開くとPCケースボトムに設置された防塵ダストフィルターをスライド式で着脱できます。
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フロントパネル全体(ドアパネルとフレーム)はプラスチックの爪でPCケースシャーシに固定されています。PCケース内部からツメを解除してパネルを取り外すのではなく、割と強引にパネルをシャーシから引き剥がす感じでフロントパネルの着脱を行います。フロントパネルの着脱には比較的力がいるので(従来モデルよりはツメが弱くなっていますが)、ツールレス構造にしてもボールキャッチなどもう少し着脱の容易な構造を採用して欲しかったところ。
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「Fractal Design Define 7」のフロントには「Fractal Design Dynamic X2 GP-14 140mm」という高性能な140mm冷却ファンが吸気ファンとして標準で2基搭載されています。
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標準構成においてフロントの上側ファンを固定する際に使用されているブラケットの上側は着脱が可能になっており、向きを変えて装着し直すことで5インチベイ固定ブラケットの役割も果たします。
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「Fractal Design Define 7」のフロントパネル上部には光学ドライブなどを設置可能な5インチベイが1基用意されています。前モデルDefine R6と同じ数ですが、もう1つ前のモデルDefine R5では2基だったのが1基に減っているので賛否分かれたところです。5インチベイを2基使用しているDefine R5ユーザーでDefine 7へ買い替えを検討しているのであれば注意が必要です。
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「Fractal Design Define 7」の左右サイドパネルは下端の溝(ヒンジ)と上端3か所のボールキャッチによって固定され、上端後方のノブによってツールレス開閉が可能というアクセサビリティーの高い構造です。なお片手で開こうとするとボールキャッチの外れた勢いでそのままサイドパネルが倒れる可能性が高いので片手で支えながらの両手で開閉を推奨します。サイドパネルの固定方法はスチールパネルと強化ガラスパネルで同様です。
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前モデルDefine R6では前方に溝(ヒンジ)、後方にボールキャッチという構造だったので、サイドパネルの取り付けでサイドパネルを支えながら位置合わせをするという若干面倒な作業になりましたが、「Fractal Design Define 7」ではシャーシの溝に上から乗せるだけと、サイドパネルの装着はさらに簡単になっています。
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「Fractal Design Define 7」のサイドパネルの開閉に使用するノブはパネル本体から着脱が可能で、パネル本体は前後対称な形状なので、ノブを前後に付け替えることによって、マザーボード側と裏配線側のどちらでも使用できます。
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Fractal Design Define 7向けアクセサリパーツとしてダークスモーク処理の強化ガラスサイドパネル「Tempered Glass Side Panel – Dark Tinted TG Type-A」があります。(Type-BはDefine 7 XL用なので注意) 同パネルを追加で購入すれば両面ガラスパネル化も可能です。
Tempered Glass Side Panel – Dark Tinted TGTempered Glass Side Panel(D7) – Dark Tinted TG

ソリッドスチールのサイドパネル裏面を見ると静音性を上げるため高密度吸音素材の防音シートが貼られています。Solid版はマザーボード側と裏配線側の両方が高密度吸音素材の防音シートが貼られたスチールパネルになるので、静音性重視なユーザーであれば強化ガラスパネル採用のTG版よりもSolid版がおすすめです。
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ちなみにフロントドアパネルやエアスリットがない方のトップパネルの裏面にも同様に高密度吸音素材の防音シートが貼られています。なおフロントパネル、トップパネル、裏配線側サイドパネルの3つのパネル裏に高密度吸音素材の防音シートが貼られているのはSolid版もTG版も共通の仕様です。
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「Fractal Design Define 7」のPCケースボトムには電源ユニットやファンマウント全体を覆う大型ダストフィルターが設置されています。底面ダストフィルターについては前モデルDefine R5でも指摘されていましたが長さ400mm以上のフィルターを前方に引き出すため着脱には前方のスペースが要求されます。好みで分かれるところですが個人的には電源用とボトムファンマウント用でフィルターを前後に分離させた方が使いやすいかなと感じます。
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ダストフィルターを取り外すと電源ユニット用の吸気スリットやファンマウントスペースが現れます。
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PCケース足のインシュレーターについて、前モデルDefine R6ではシルバー塗装で円形のものが採用されていましたが、「Fractal Design Define 7」では黒色プラスチック製で矢じりのような非対称形に変わっています。インシュレーターの底面には滑り止めのゴムが付いています。シャーシから測って高さは23mmほどで電源ユニットやケースボトムファンの吸気スペースが確保されています。
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Fractal Design Define 7のトップパネルについて

「Fractal Design Define 7」のトップパネルについてチェックしていきます。
従来機種でModuVentと呼ばれたトップパネル構造は、「Fractal Design Define 7」では特別な呼称はなくなりましたがさらに改良が加えられ、外装パネル、ダストフィルター、ファン・ラジエーターマウントブラケットの3層構造で全てPCケースシャーシから着脱が可能になっています。
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「Fractal Design Define 7」のPCケース天面にはスチール製フラットパネルが標準で設置されています。スチール製カバーの裏面には高密度吸音素材の防音シートが貼られているので静音性重視の環境であれば標準仕様のまま使用するのがおすすめです。
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「Fractal Design Define 7」のトップパネルはボールキャッチで固定されており、上に引っ張るだけでツールレスで簡単に着脱できます。
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「Fractal Design Define 7」のPCケース天面外装パネルは質感高いスチール製フラットパネル(裏面の高密度吸音素材の防音シート)に加えて、通気エアスリットパネルの2種類が標準で付属してユーザーが自由に選択できます。
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通気エアスリットパネルのエアスリットはDefine R6のプラスチック製スリットやDefine R5の単純なヘックススリットとも違って、大小の台形が組み合わさった複雑かつ規則的な幾何学模様になっていて遊び心を感じさせる外観です。「Fractal Design Define 7」を高エアフローなマルチファン換気システムへスムーズに移行させることができます。
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トップパネルの下にはナイロンメッシュの防塵ダストフィルターがあり、こちらもPCケース後方に引っ張るとロックが解除される構造で、ツールレスに着脱が可能です。
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またPCケース天面のファン・ラジエーターマウントブラケットも着脱が可能です。前モデルDefine R6でも採用されていた構造ですが、「Fractal Design Define 7」では前方-左-後方のU字の枠にブラケットを乗せて、右側2か所のネジで固定する構造に変わっています。
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余談ですが「Fractal Design Define 7」では天面のファン・ラジエーターマウントブラケットを取り外すと右上シャーシフレームがなくなるので、右側面と天面からPCケース内を一望できる”ガルウィング”的ウィンドウを搭載したPCケースのバリエーションモデル、もしくはそういった構成を実現できるアクセサリパーツが今後登場する予感がします。
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Fractal Design Define 7の内部構造の概要

続いて「Fractal Design Define 7」の内部構造について各種要素ごとに細かく見ていく前に内部構造の概要をチェックしていきます。
スチール/強化ガラス製サイドパネルを外してマザーボード側を俯瞰すると次のようになっています。PCケースフロントに5インチベイや3.5インチストレージマウンタが配置されているクラシカルなレイアウトがDefine R5やDefine R6(の標準レイアウト)では採用されていましたが、「Fractal Design Define 7」では標準レイアウトとして、PCケースボトムスペースがPSUシュラウドでチャンバー分けされ、マザーボードスペースは前方になにもなく開放されている近年主流なオープンレイアウトが採用されています。
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詳細は各章で順番に解説していきますが、オープンレイアウトは複数の大型AIO水冷クーラー環境や本格水冷環境への親和性を重視して高い空冷効果が発揮可能なエアフローパスをもつレイアウトになっています。
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PCケースフロントはストレージプレートによって裏配線スペースとチャンバー分けされていますが、ストレージプレートはモジュラー式になっており、「Fractal Design Define 7」ではストレージプレートの場所を移動させることによって用途に合わせたシャーシレイアウトの変更が可能です。
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標準レイアウトになっているオープンレイアウトに加えて、下のように、PCケースフロントに多数のストレージ設置スペースを備えたクラシカルな内部構造によってストレージ容量を最大化するストレージレイアウトも選択できます。ストレージレイアウトにおけるストレージ積載能力については後ほど詳しくチェックしていきます。
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「Fractal Design Define 7」には近年のPCケースの流行としてPCケースボトムに設置される電源ユニットをチャンバー分けして、電源ケーブルを隠すPSUシュラウドも採用されています。
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マザーボードトレイの上下と右側はグロメット付きの裏配線用ケーブルホールが大きく取られています。ケーブルホールは特別小さいというわけではありませんが、Define R6よりも狭くなっているようなので一応注意してください。
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PCケース内部にはフロントに2基の140mm角、リアに1基の140mm角で計3基のケースファンが標準で搭載されています。標準搭載のケースファンは同社製高性能ケースファン「Dynamic X2 GP-14」です。
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Fractal Design Define 7のマザーボードトレイやその周辺レイアウト、およびE-ATXマザーボードとの互換性についてチェックしていきます。
Fractal Design Define 7のマザーボードトレイには標準でATXに合わせたスペーサーが装着されています。PCI-Eスロット数はATXやE-ATXに合わせて7段が設置されています。
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予備のスペーサー1つとスペーサーを外すためのプラスネジ変換六角ソケットが付属します。プラスネジ変換六角ソケットをスペーサーに被せれば一般のプラスドライバーを使用して簡単にスペーサーの着脱が可能です。
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マザーボード固定用スペーサーを装着するためのネジ穴にはA、M、Iの添え字が刻印されており使用するマザーボードに合わせて使うべきレイアウトが一目で分かります。またマザーボード固定用スペーサーのうち中央の1つはネジ穴ではなく、凸状の出っ張りになっています。
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マザーボードのネジ止めの際には中央スペーサーの出っ張りにマザーボードを引っかけて位置を固定することができるので、マザーボードのネジ止めが容易になる賢い構造です。
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「Fractal Design Define 7」にATXマザーボードを設置すると下のようになります。マザーボードトレイの上下と右には大きくケーブルホールが開けられているので各種配線もスムーズに行えます。
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またFractal Design Define 7では製品スペックでも公表されているようにマザーボード設置スペースは横幅にも余裕があるので、ASUS ROG Zenith II Extremeのような285mmまでのE-ATXサイズマザーボードも設置することが可能です。ただしE-ATXマザーボードを設置すると、マザーボードトレイ右側のケーブルホールが完全に塞がってしまい使用できなくなるので、基本的にはATXマザーボードとの組み合わせを推奨します。
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空冷CPUクーラーの高さクリアランスについては全高185mmまでが確保されています。大型のハイエンド空冷CPUクーラーでもPCケースサイドパネルとの干渉の心配は事実上ありません。
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Fractal Design Define 7の裏配線スペース

「Fractal Design Define 7」の裏配線スペースについてチェックしていきます。
左サイドパネルを取り外すとFractal Design Define 7のマザーボード裏スペースにアクセスできます。Fractal Design Define 7の裏配線スペースの全体は次のようになっています。
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「Fractal Design Define 7」の新たな特徴の一つとして、裏配線スペース側にもフロントからリアまで伸びるプラスチック製PSUカバーが設置されています。裏配線側PSUカバーについてはプラスチックのツメを引っかけて固定しているだけなので、ツールレスで簡単に着脱が可能です。
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「Fractal Design Define 7」のマザーボードトレイにはCPUクーラーメンテナンスホールも大きく設けられています。ホール右上が丸まっているところは地味に配線を楽にするポイントです。
CPUクーラーマウントが縦長でメンテナンスホールからはみ出しやすいAM4マザーボードでもしっかりと収まっています。
一方で開口部が少し後方寄りなので、Intel LGA1700/1200/115Xでメモリスロット側のCPUクーラー用ネジ穴がATXマザーボード基板の右端から70mm程度の位置の場合、ネジ穴がマザーボードトレイに被さってしまいます。あと10mm程度前方寄りだと良かったのですが。
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「Fractal Design Define 7」の裏配線スペースについては、マザーボードトレイ上の5か所にマジックテープ式のケーブルファスナーがあり、中央の3か所にはさらにプラスチック製ケーブルガイドも設置されています。シンプルで配線しやすそうなデザインです。
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裏配線スペースの厚さはマザーボードトレイやシャーシの凹凸で若干前後しますが、35mm程度は確保されているので、余裕をもってケーブルマネジメントが可能です。
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Fractal Design Define 7のストレージ設置スペース

続いて「Fractal Design Define 7」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」では設置位置については幅広いオプションがありますが、ひとまず製品スペック上では標準で2基の2.5インチストレージと7基の2.5インチ/3.5インチストレージが設置可能です。
「Fractal Design Define 7」のストレージ設置スペースは大別して、2.5インチストレージトレイを使用したスペース、PCケース天面などマルチブラケットを使用したスペース、モジュラー式ストレージプレートを使用したスペース、PSUシュラウド裏のシャドウベイ、以上の4つに大別できるので順番に見ていきます。
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「Fractal Design Define 7」でストレージを設置するのに使用する「SSD Tray kit Type-B (2-pack)」、「HDD Tray kit Type-B (2-pack)」、「Hard Drive Cage Kit Type B」、「Universal Multibracket Type A」の4種類はいずれも単品でアクセサリパーツとして市販が予定されており、これらを必要数追加購入することによって、最大で4基の2.5インチストレージと15基の2.5インチ/3.5インチストレージが設置可能となります。
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2.5インチストレージトレイについて

まずは2.5インチストレージトレイを使用したスペースについてチェックしていきます。
標準ではマザーボードトレイ背面に2基の2.5インチストレージトレイ(正式名称はSSD tray)が装着されているので、ここに2基の2.5インチストレージを設置できます。2.5インチストレージトレイは単品でも追加購入でき、後述するスペースと合わせて最大で4基の2.5インチストレージを設置できます
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2.5インチストレージトレイはスチール製プレートになっており、トレイ背面の中央やや下にある2カ所の爪と、上部の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造になっています。防振ゴム等はないので機械駆動部分のない2.5インチSSD向けのストレージトレイです。
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この2.5インチストレージトレイは裏配線スペースだけでなくPSUシュラウド上にも設置スペースが用意されています。PSUシュラウドの奥にはグロメット付きケーブルホールもあるのでケーブルを目立たせることなく、お気に入りの2.5インチSSDを飾ることができます。「Team T-FORCE DELTA RGB SSD」や「HyperX FURY RGB SSD」などLEDイルミネーションを搭載したSSDのディスプレイにオススメな設置スペースです。
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マルチブラケットを使用したストレージ設置について

続いてPCケース天面のストレージ設置について詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」では2.5/3.5インチストレージの設置や、水冷ポンプ・リザーバーの設置に使用できるマルチブラケットという便利な構造が採用されています。
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「Fractal Design Define 7」にはマルチブラケットが標準で1枚付属しており、モジュラー式ストレージプレートの背面に装着されています。マルチブラケットは単品パーツでアクセサリパーツとして市販されます。
オープンレイアウトの場合、マルチブラケットを使用してストレージプレート裏面へ平行縦向きにストレージを固定できます。マルチブラケットを追加購入すると、この方法で最大2基の2.5/3.5インチストレージが設置できます。
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オープンレイアウト時にマルチブラケットを使用してストレージプレート裏にストレージを設置する場合、着脱の手間を問題に感じました。マルチブラケットはストレージプレートのパネルを外してマザーボード側からネジ止めする構造になっているのですが、このパネルの着脱が一癖あります。
パネルは左側の横方向への差し込みツメと、右側の垂直に差し込むツメでストレージプレート上に固定する構造(左開きのドアをイメージすると分かりやすいと思うのですが)になっています。左開きで右側を先に手前に開く構造上、フロントに設置したファンやファン&5インチベイ併用ブラケットが干渉してしまうため、オープンレイアウトでパネルを外すには、かなりの分解作業を要します。ストレージプレート上のパネルの着脱構造についてはもうオープンレイアウトでも簡単に着脱できるようにもう一工夫欲しかったです。
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またシュラウドインレーと呼ばれるPSUシュラウド上のフロント寄り部分(オープンレイアウト時のみ、最大1基)や、PCケース天面のファンマウントブラケット上(レイアウト制限なし、最大2基)、PCケースボトムのファンマウント上(シャドウベイの隣)、といったスペースにもマルチブラケットを使用して2.5/3.5インチストレージを設置できます。
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モジュラー式ストレージプレートのストレージ設置について

続いてモジュラー式ストレージプレートを使用したスペースについて詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」のPCケースフロントスペースはモジュラー式ストレージプレートによって用途別にレイアウトを変更可能となっており、複数の大型AIO水冷クーラー環境や本格水冷環境への親和性を重視して高い空冷効果が発揮可能なエアフローパスをもつオープンレイアウトから、ストレージ容量を最大化するクラシカルなストレージレイアウトへ切り替えることができます。
ストレージレイアウトはストレージ容量を最大化するクラシカルな内部構造で、マザーボード側から見るとPCケース内前方がプレートで覆われてスペースが狭くなりますが、裏配線側に移るとストレージ設置スペースが生まれ、付属のストレージトレイ(正式名称はHDD tray)によって、2.5インチ/3.5インチストレージを設置できます。
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ストレージトレイは、下写真で右上にある左端上下にある黒色の出っ張りをストレージプレートに引っ掛け、右上の脱落防止機能付きハンドスクリューでケーブルホール横のネジ穴に固定するという3点止めな固定方式が採用されています。オプションとして緑矢印部分もストレージプレート側からネジ止めで固定可能です。
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またストレージトレイに3.5インチHDDを装着する時は、付属のネジとラバーパッドを使用します。防振ラバーを介してストレージトレイに固定されるので、HDDの振動によってPCケースの共振が発生するのを抑制できます。
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モジュラー式ストレージプレートの裏には上から下に9段の設置スペースがあり、ストレージトレイを好きな場所に配置することができます。「Fractal Design Define 7」にはストレージトレイが標準で4つ付属していますが(シャドウベイのストレージトレイも同じ構造なので計6つ)、ストレージトレイは単品で市販されるので、全9段を埋めることも可能です。
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マザーボード側から見てストレージプレート上のパネルはプラスチックのツメで固定されており取り外しが可能です。5インチベイに設置する機器のネジ止めやストレージトレイのオプション扱いのセキュアネジ固定を行う時にアクセスします。
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3.5インチストレージ用シャドウベイについて

最後にPCケースボトムに固定されている3.5インチストレージ用シャドウベイ(正式名称はHDD Cage)について詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7」のPSUシュラウドの裏には3.5インチストレージ用シャドウベイが標準で1基設置されています。
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3.5インチストレージ用シャドウベイからはツールレスで着脱可能な2基の金属製ストレージトレイがあり、ストレージトレイには3.5インチストレージもしくは2.5インチストレージを設置できます。
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シャドウベイで使用するストレージトレイは、上で紹介したモジュラープレートで使用するストレージトレイと同じものが採用されています。ストレージトレイはハンドスクリュー1つでシャドウベイに固定します。
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シャドウベイは標準ではPCケースフロント寄りに設置されていますが、PCケース底面にある120mmファンマウント用ネジスリット上に4か所のネジで固定されており、シャドウベイを前後に動かしたり、シャドウベイを完全に取り外したりすることが可能です。シャドウベイの位置による電源ユニットクリアランスやファンマウントスペースへの影響については下の章で詳しくチェックしていきます。
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「Fractal Design Define 7」に標準で付属するシャドウベイは1基のみですが、個別に市販されるシャドウベイを追加で購入すれば、最大2基のシャドウベイを設置することができます。
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ストレージ設置スペースについての感想

「Fractal Design Define 7」のストレージレイアウトでは旧モデルDefine R5同様に多数のストレージが搭載可能な構造を維持し、同時にストレージをマザーボード側からプレートで隠す今風なデザインが採用されています。近年ではオープンレイアウトが主流なので、最大で4基のSSDと15基のHDDを搭載できるというストレージ積載能力は魅力に映る人も多いのではないかと思います。
加えてストレージプレートを奥に移動してマザーボードトレイと並べ、PCケース内をマザーボード側と裏配線側に二分してマザーボード側をオープンスペースにすることで、複数の大型AIO水冷や本格水冷にも対応可能なオープンレイアウトも選択可能になっていて、非常に自由度の高いPCケースです。

自由に選択可能なシャーシレイアウトというカスタマイズ性の高さは魅力的ですが、いくつか気になるポイントもあります。まずストレージレイアウトで使用するストレージトレイはほぼ3点止めな構造なので、高速回転する機械駆動の3.5インチHDDの設置には不安を感じるユーザーも出てきそうです。Define R6の時も言及しましたが、ストレージトレイを挟んでマザーボードトレイと逆側に着脱可能な柱を縦に1本通すだけでもしっかり4点止めができるので、もう一工夫あってもよかったかなと思います。

前モデルDefine R6のオープンレイアウトでは2.5インチストレージ2基と2.5/3.5インチストレージ2基の計4基しか設置できなくなるのが少しもったいなく感じましたが、「Fractal Design Define 7」では2.5インチストレージ×2、シャドウベイの2基、マルチブラケットの1基で計5基を設置できるよう若干改良されています。
とはいえマルチブラケットはDIY水冷の場合、ポンプ・リザーバーの設置でも使用するので、オープンレイアウトで多数のストレージを設置するには別売りアクセサリを購入する必要があるというのは同じと考えるのが正しいようです。



Fractal Design Define 7のグラフィックボード設置スペース

「Fractal Design Define 7」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。
まず製品スペックを見ると、「Fractal Design Define 7」のグラフィックボード設置における長さ方向のクリアランスについて、制限の大きいストレージレイアウトでも全長315mmまでが確保されています。NVIDIA GeForce GTX 2080 TiのようなハイエンドGPUを搭載するグラフィックボードのオリファンモデルでも全長315mmを超えるモデルは稀なので、ストレージレイアウトでも基本的に干渉の心配はなさそうです。一方でオープンレイアウトでは467~491mmに対応可能となり、事実上、グラフィックボードの設置に制限はなくなります。
Fractal Design Define 7_GPU-clearance

実機でグラフィックボードのクリアランスをチェックしてみると、オープンレイアウトについてはスペック通り467~491mmまでのグラフィックボードに対応となります。写真のように長さ方向のクリアランスも十分なのでオープンレイアウトではグラフィックボードの互換性を心配する必要はありません。
Fractal Design Define 7 review_06373_DxO

一方でストレージレイアウトについて、製品スペックの通り300mm超のスペースがあるのでストレージレイアウトでもGeForce RTX 2080 Tiなど巨大なオリファンモデルの多いハイエンドグラフィックボードを問題なく設置できるスペースが確保されています。
ただし注意点として、厳密に見るとPCIEブラケットがケース内部にせり出しているため、グラフィックボードの全長に対して10~15mm程度の余裕を見る必要があります。今回組み込んでいるASUS ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMINGは全長305mmのグラフィックボードですが、右端が僅かにストレージプレート内に入っています。
Fractal Design Define 7 review_06571_DxO
300mmを大きく超えるグラフィックボードでは右端がストレージプレート裏に侵入してしまいますが、グラフィックボードと同じ高さにあるストレージトレイを外せば、グラフィックボードの設置は可能です。近年で主流な2段目と3段目のPCIEスロットを占有するレイアウトであれば、ストレージプレート裏の6段目と7段目にストレージトレイを設置できなくなります。
Fractal Design Define 7 review_06572_DxO-horz

グラフィックボードの高さ方向についてストレージプレートとのクリアランスはPCIEスロットから150mm程度と比較的に余裕があり、グラフィックボード基板やGPUクーラーが接触する可能性は低いと思います。干渉するとしたらPCIE補助電源のコネクタ・ケーブルですが、L字延長ケーブルという便利なものも売られているので高さ方向の干渉についてはあまり気にする必要はないと思います。
Fractal Design Define 7 review_06580_DxO

管理人がPCケースをチェックする時の重箱の隅をつつくような細かい項目、PCIEスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、Fractal Design Define 7では固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーを使用した拡張ボードのネジ止めも簡単です。
Fractal Design Define 7 review_06371_DxO

また強化ガラスサイドパネル搭載モデル向けの機能になると思いますが、「Fractal Design Define 7」にはサイドパネルと平行にグラフィックボードを設置するための垂直PCIブラケットが用意されています。
Fractal Design Define 7 review_06389_DxO
「Fractal Design Define 7」には2スロット分の垂直PCIEブラケットがあるので、Define R6向けに発売済みの別売りアクセサリ「Fractal Design Flex VRC-25 PCIE x16」を使用することでサイドパネルに平行なグラフィックカードの垂直配置にも対応しています。
Fractal Design Flex VRC-25 PCIE x16
「Fractal Design Flex VRC-25 PCIE x16」は付属のスペーサーを使用することでPSUシュラウド上にライザーケーブルのPCIEスロットをシッカリと固定できます。
Fractal Design Define 7 review_06382_DxO
垂直設置用のPCIEスロットは2スロット分しかありませんが、サイドパネルとの間隔は十分にあるので、2.5~3スロット占有の大型グラフィックボードも設置が可能です。
Fractal Design Define 7 review_06391_DxO

「Fractal Design Define 7」について、あえて欲を言うなら重量級のハイエンドグラフィックボードの垂れ下がりを防止する補強ホルダーが欲しいと思いました。一例として他社製品ですがCooler Master MASTERCASE MAKER 5tやIn Win 303のようにシャーシに備え付けで上下可動なホルダーがあれば完璧だと思います。
GPU-Holder



Fractal Design Define 7の電源ユニット設置スペース

Fractal Design Define 7の電源ユニットの設置個所付近をクローズアップしていきます。
まずは電源ユニットの設置についてですが、Fractal Design Define 7では最近のPCケースで主流なボトム吸気型の電源ユニットのボトム配置構造を採用、マザーボード側からは電源ユニットや電源ユニットから伸びるケーブルを隠してケース内をキレイに見せるPSUシュラウドも採用されています。PSUシュラウド上面にはエアスリットもあるのでセミファンレスやファンレスな電源を上に向けて配置することも可能になっています。
Fractal Design Define 7 review_06264_DxO
また「Fractal Design Define 7」の新たな特徴として、裏配線スペース側にもフロントからリアまで伸びるプラスチック製PSUカバーが設置されています。
20年2月現在発表済みのFractal Design Define 7シリーズについては裏配線側サイドパネルがソリッドパネルの製品しかないのであまり意味のない機能に思えますが、今後、裏配線側も強化ガラスサイドパネルのバリエーションモデルや、裏配線側の強化ガラスサイドパネルの単品パーツが発売される可能性は高そうです。
Fractal Design Define 7 review_06293_DxO
裏配線側PSUカバーについてはプラスチックのツメを引っかけて固定しているだけなので、ツールレスで簡単に着脱が可能です。
Fractal Design Define 7 review_06294_DxO

「Fractal Design Define 7」では電源ユニットの固定方法として、単純にPCケース内から電源ユニットを配置して外側からネジ止めするといった構造ではなく、専用のPSUアダプタを使用して外から電源ユニットをスロットインする構造が採用されています。PSUアダプタのハンドスクリューは脱落防止機構が備わっています。
Fractal Design Define 7 review_06362_DxO-tile
ケース内部の電源ユニット設置スペースに注目してみると、吸気スリットの両サイドには電源ユニットの安定した固定と電源ユニット冷却ファンの振動によるPCケースとの共振を防止するためゴム足がスタンドとして設置されています。細かいところですが欲を言えば、電源ユニット挿入時に奥のスタンドに引っかかることがあるので、ゴム足ではなくレール型のスタンドを採用して欲しかったです。
Fractal Design Define 7 review_06355_DxO
アダプタを装着するだけで外から電源ユニットをスロットインできる構造なので電源ユニットの着脱が容易です。電源ユニットのプラグインケーブルを少し着脱したいという場面で電源ユニットを若干引き出してスペースを作るといった使い方もできる便利な構造になっています。
Fractal Design Define 7 review_06402_DxO-tile
「Fractal Design Define 7」ではPCケースフロントまで電源ユニット設置スペースが貫通しているので構造上の奥行制限はほぼ存在しません。
Fractal Design Define 7 review_06557_DxO
また前モデルDefine R6と比較すると、中央付近でPSU側と裏配線側を隔てるプレート(支柱)が無くなっており、PCケースボトムスペースへのアクセサビリティーが改良されています。
Fractal Design Define 7 review_06557_DxO-horz

電源ユニットの奥行のクリアランスについて、「Fractal Design Define 7」のPCケースボトムには標準でシャドウベイが搭載されていますが、標準ポジションの場合、奥行方向に約300mmのスペースがあります。奥行200mm超のハイエンド電源ユニットにも問題なく対応できます。ちなみにシャドウベイの標準ポジションではフロント設置のファン&ラジエーターが干渉しないように、フロントパネルとの間には60~70mm程度の間隔が確保されています。
Fractal Design Define 7 review_06338_DxO
検証機材として「Seasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TR(レビュー)」を設置してみると、同製品はATX電源ユニットとして標準的な奥行170mmですが、シャドウベイとの間隔は十分にあり、電源ケーブルの挿抜も容易です。
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一方でシャドウベイを2基設置する場合はシャドウベイを限界までフロントに寄せたとしても、奥行方向のスペースは210mm程度に狭まります。簡易水冷ファン&ラジエーターは最低でも50~60mmの厚みがあるので、2基のシャドウベイ前方を占有するような形でフロントにファン&ラジエーターを設置すると電源ユニットのスペースがなくなるので注意が必要です。
Fractal Design Define 7 review_06360_DxO
またPCケースボトムには最大280サイズのラジエーターが設置可能ですが、実際のネジ穴スリットは奥行160mmの電源ユニット手前まで伸びています。設置するラジエーターサイズに応じて電源ユニットおよびケーブルスペースが制限されるので注意が必要です。
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電源ユニットがケースボトムから吸気を行うというのが「Fractal Design Define 7」における一般的な構成なので、PCケースボトムには電源ユニットとファンマウントが共有する形で、簡単に着脱可能なナイロンメッシュのスライド式大型防塵ダストフィルターが付属しています。
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フィルターの下には電源ユニットの吸気口として幅が120~140mmのエアスリットが切れ目なくフロントに向かって伸びています。細かいポイントですが、Define R6では後端から160mm辺りでエアスリットが途切れていて奥行200~220mmの大型ハイエンド電源ではエアスリットが若干足りませんでしたが、Define 7では改善されています。
Fractal Design Define 7 review_06410_DxO
下写真左側は140mm冷却ファンを搭載する奥行170mmのSeasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TRを設置した様子ですが、PCケースボトムの吸気エアスリットと電源ユニット冷却ファンの位置がピッタリ一致しています。同じく140mm冷却ファンを搭載する奥行200mmの「ENERMAX MaxTytan 1250W」の場合、エアスリットのベストポジションからは若干ズレますが、吸気面の大半をカバーできています。
Fractal Design Define 7 review_06405_DxO-tile



Fractal Design Define 7のファン・水冷ラジエーター設置スペース

続いて「Fractal Design Define 7」の冷却ファンと水冷ラジエーターの設置スペースについてチェックしていきます。

ファン・ラジエーター設置スペースの概要

Fractal Design Define 7のファン・ラジエーター積載可能数について簡単にまとめると、
PCケースリアには120サイズ or 140サイズ、PCケースフロントには最大で360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(ファンは140mm*3が可能)、PCケースボトムには240サイズ(120mm*2) or 280サイズ(140mm*2)、PCケーストップには最大で360サイズ(120mm*3) or 420サイズ(140mm*3)のファンもしくはラジエーターを設置することが可能です。


Fractal Design Define 7の製品スペック上の冷却ファンおよび水冷ラジエーターの積載可能サイズ・数量については基本的に公式マニュアルの概略図を参照するのが一番わかりやすいので、マニュアル図解を念頭に実機写真で補足をしていこうと思います。

・ファン設置可能数(5インチベイ未使用時)
Fractal Design Define 7_Fan_without-5inch
・ファン設置可能数(5インチベイ使用時)
Fractal Design Define 7_Fan_with-5inch
・水冷ラジエーター搭載可能数(5インチベイ未使用時/使用時)
Fractal Design Define 7_radiator

・本格水冷ファン&ラジエーター搭載例(5インチベイ未使用時/使用時)
Fractal Design Define 7_possible-DIY-Water
またファン・ラジエーターではありませんが、「Fractal Design Define 7」はストレージの章で紹介したマルチブラケットを使用することによって、シュラウドインレーと呼ばれるPSUシュラウド上フロント寄り部分に、水冷リザーバーや水冷ポンプを設置することができます。
Fractal Design Define 7_multi-bracat_DIY-Water


付属ファンやファンコントローラーについて

「Fractal Design Define 7」には定格1000RPMの140mm冷却ファン「Dynamic X2 GP-14」がフロント2基&リア1基で計3基付属します。
Dynamic X2 GP-14はPWM非対応の3PINファンですが、「Fractal Design Define 7」の裏配線スペースに設置されたPWMファンコントローラー「Nexus+ PWM Fan Hub」に接続することでPWM波形電圧による5~12Vの電圧制御でファン速度をコントロールできます。
Fractal Design Define 7 review_06420_DxO
軸受にはMTBF(平均故障間隔)がトップクラスの100,000時間である高級LLS軸受けを使用し、さらにハブ部分にベアリングの軸圧力を軽減するカウンターバランスマグネットを採用することでベアリングの耐用性を更に強化しています。
固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制しています。ファンブレードの付け根部分にある3つの切り込みはファンブレードが固定用の支柱を通るときに発生するノイズを拡散する事で抑制します。
Fractal Design Define 7 review_06421_DxO
ファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されており吸気・排気に優れる構造です。空気力学的に基づき設計された薄板状の支柱(ワイヤ用支柱も含む)により、航空機の翼に一般的にみられるデザインを模倣し、正しい角度で簡単に空気が流れる様にする事でノイズや望ましくない乱流の発生を低減します。ファンブレードの後縁付近には航空機の翼のデザインによくみられる「トリップワイヤー技術」という構造をしており、マイクロ乱流層を発生させ全体的に効率の良い静かなエアフローを実現するそうです。
Fractal Design Define 7 review_06419_DxO

裏配線スペース天面付近、フレームの折り返しの隙間部分にはPCケース備え付けのPWMファンコントローラー「Nexus+ PWM Fan Hub」が設置されています。
Nexus+ PWM Fan Hubは制御用の4PINファン端子ケーブルと電力供給用のSATA電源ケーブルが伸びています。
Fractal Design Define 7 review_06416_DxO
PWMファンコントローラー「Nexus+ PWM Fan Hub」にはケースファン用の3PINファン端子が6基、冷却ファンや水冷ポンプ用のPWM対応4PINファン端子が3基実装されています。9個のファン端子へはSATA電源コネクタから一括して給電します。
Fractal Design Define 7_Nexus+ PWM Fan Hub_connection
「Nexus+ PWM Fan Hub」に接続された9個のファン・ポンプはマザーボードのファン端子から出力されるPWM信号によって一括して制御されます。PWM速度調整に対応していない3PINケースファンについてはPWM波形電圧によって速度調整され、マザーボードからの入力PWMデューティ比に対して5V~12V(40%~100%)でファン速度をコントロールできます。
Fractal Design Define 7_Nexus+ PWM Fan Hub_output


ファン・ラジエーター設置スペースを実機でチェック

上で解説した概要を念頭に、「Fractal Design Define 7」のファン・ラジエーター設置スペースについて実機写真からチェックしていきます。


PCケースリアのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、標準で140mmファンが排気構成で設置されています。ファン・ラジエーターの固定ネジ穴は縦長のスリット状になっているので、上下方向に若干のオフセット配置が可能です。120サイズや140サイズのラジエーターを採用する簡易水冷CPUクーラーや簡易水冷グラフィックボード用にも使用できます。
Fractal Design Define 7 review_06278_DxO-tile

PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、フロントパネル裏には標準で2基の140mmサイズ冷却ファンが吸気構成で設置されています。PCケース内への埃の混入を抑えるためツールレスで着脱可能な防塵ダストフィルターも用意されているので吸気スペースに使用するのがおすすめです。
Fractal Design Define 7 review_06199_DxO
PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースのサイズ・数量については上で紹介したとおり、360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(ファンの場合は140*3に対応)です。ファン・ラジエーター固定用のネジ穴は縦長スリットなのでラジエーターのネジ穴間隔に合わせて設置が可能です。
下写真ではオープンレイアウトに配置していますが、5インチベイを使用しない場合はストレージレイアウト/オープンレイアウトの両方で360サイズや280サイズの大型ラジエーターに対応します。
Fractal Design Define 7 review_06516_DxO-horz
PSUシュラウドの天面はPCケースフロントまで伸びていますが、フロント側の天面は2枚のシュラウドインレーを着脱可能な構造になっています。シュラウドインレーは前方70mmと後方110mmの2枚組になっており、一般的なファン&ラジエーターの60mm厚程度であれば前方のシュラウドインレーを外すだけでも対応できます。後方のシュラウドインレー上にはマルチブラケットを固定するためのネジ穴があるので、水冷ポンプ/リザーバーやストレージのマウントスペースとしても利用できます。
Fractal Design Define 7 review_06512_DxO
シュラウドインレーを全て取り外すとPSUシュラウドとフロントブラケットの間には最大180mm程度のスペースが確保されています。25mmファンのプッシュプルに60mmの極厚ラジエーターを組み合わせでも余裕がありますし、30mm厚の標準的なラジエーターであればチューブタワー型リザーバー&ポンプも一緒にフロントへ配置するのに十分なスペースです。
Fractal Design Define 7 review_04155
またストレージレイアウトについてはストレージプレート裏にストレージトレイを使用していても、シャーシとストレージプレートの間には60~70mm程度のスペースがあるので、フロントに30mm厚程度のラジエーターと25mm厚ファンを設置でき、一般的な水冷ファン&ラジエーターのフロント設置に対応します。
Fractal Design Define 7 review_06567_DxO

PCケースボトムのファン・ラジエーター設置スペースの設置可能なサイズ・数量については上で紹介したとおり、最大で240サイズ(120mm*2) or 280サイズ(140mm*2)です。電源ユニットと共有でPCケースボトムには大型の防塵ダストフィルターも設置されているのでボトム吸気構成でもPCケースへの埃の混入を抑制できます。
Fractal Design Define 7 review_06563_DxO
ボトムスペースはフロントに設置する水冷ラジエーターとの干渉も気にする必要がありますが、特に電源ユニットとの干渉を注意する必要があります。
下は奥行170mmの電源ユニットを使用した例ですが、280mmサイズラジエーターの場合は電源ユニット本体とは干渉しないものの電源ケーブルのスペースを確保するのが難しくなっており、基本的には最大でも240mmサイズが限界になると思います。
Fractal Design Define 7 review_06560_DxO-horz

PCケーストップのファン・ラジエーター搭載スペースについてはPCケースのシャーシから着脱が可能な専用ブラケットを使用する構造になっています。ファン・ラジエーター設置可能なサイズ・数量については上で紹介したとおり、最大で360サイズ(120mm*3) or 420サイズ(140mm*3)です。PCケース天面のファン・ラジエーターマウントブラケットは着脱が可能です。
Fractal Design Define 7 review_06244_DxO

オープンレイアウトについては製品スペック通りなので特筆すべき点はないのですが、ストレージレイアウトにおけるPCケーストップのファン・ラジエーター設置スペースには重要な注意点があります。
まずストレージレイアウトでは280サイズもしくは420サイズのラジエーターを設置しようとすると、公式スペックやマニュアルには記載されていませんが、実際はストレージプレートと干渉するため使用できません。下写真ではファンマウンタの上にラジエーターを置いていますが、280サイズでもオレンジで囲った部分でラジエーターとストレージプレートが干渉します。ストレージレイアウトでは280/420サイズのラジエーター採用簡易水冷CPUクーラーを使用できないので特に注意してください。
Fractal Design Define 7 review_06585_DxO
「Fractal Design Define 7」ではPCケース天面へのファン・ラジエーターの設置に着脱可能なマウントブラケットを使用します。マウントブラケットには左右にそれぞれ2列のネジ穴スリットがあり、120mm幅のファン・ラジエーターは右寄り(マザーボード寄り)と左寄り(サイドパネル寄り)の2つのオプションがあります。なおストレージレイアウト時は360サイズのみ右寄りのみに制限されます。140mm幅は左右端のネジ穴スリットを使用します。
Fractal Design Define 7 review_06589_DxO
このマウントブラケットについて注意点として、ブラケット自体の折り返しや、ボールキャッチのジョイントパーツが干渉するため、120mm幅や140mm幅を大きく超えるグリルが搭載されたラジエーターは設置できません。当サイトで推奨しているAlphacool NexXxoS Full Copperシリーズは120mm/140mm幅ピッタリサイズなので大丈夫でした。DIY水冷向けラジエーターではグリルを搭載していて、120mm/140mmより幅が広い製品も少なくないので注意してください。
Fractal Design Define 7 review_06587_DxO-horz

続いてPCケーストップで対応が明記されている360サイズラジエーターについて、今回は検証機材として360サイズ簡易水冷CPUクーラー「SilverStone PF360-ARGB」を使用して具体的にチェックしていきます。
「SilverStone PF360-ARGB」をレビュー
SilverStone PERMAFROST PF360-ARGB

まず最初にPCケーストップからファン・ラジエーターマウントブラケットを取り外し、簡易水冷CPUクーラーのラジエーターをブラケットにネジで固定します。
Fractal Design Define 7 review_06590_DxO-horz
360サイズラジエーターについてはブラケット上に2列配置されたネジ穴スリットのうちマザーボード寄りの2列を使用すれば、ストレージレイアウトにおいて280mmラジエーターで発生したストレージプレートとの干渉を回避できます。あと写真を見てわかるように360mmを標準レイアウトで使用する場合は5インチベイには奥行の小さいファンコン等は設置できるかもしれませんが、光学ドライブは使用できません。
Fractal Design Define 7 review_06604_DxO

最もマザーボードに近い位置のネジ穴スリットを使用する構成で水冷ラジエーターを設置する場合、ファン&ラジエーターがマザーボードにかなり近づくので、マザーボードやメモリとの干渉について気を配る必要があります。

まず1つ目の注意点としてファン&ラジエーターをリア寄りに配置するとマザーボードのリアI/Oカバーにファンやラジエーターが干渉する可能性があります。マウントブラケットの固定ネジ穴は横長スリットなので前後にオフセット可能ですが、特に簡易水冷では前方にラジエーターをオフセットした時に水冷チューブの長さ次第では水冷ヘッドをそもそもマザーボードに設置できるかどうか、といった問題が発生する可能性もあるので注意が必要です。
またかなりレアなケースだと思いますが(一般的にVRM電源クーラーがリアI/Oカバー並みに背が高いことはないので)、「Fractal Design Define 7」ではがファン&ラジエーターとして一般的に最薄な55mm厚程度でもVRM電源クーラーに被さってしまうので、VRM電源クーラーの高さによってはファンやラジエーターと干渉する可能性があります。これは回避策がないので使用するマザーボード次第となります。
Fractal Design Define 7 review_06596_DxO
もう1つの注意点ですがマニュアルで図解されている通り、全高36mm以上の背の高いヒートシンクが装着されたDDR4メモリはファンやラジエーターと干渉する可能性があります。
Fractal Design Define 7 review_06610_DxO
ただ今回、検証機材として使用したマザーボードの「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO」についてはメモリスロットの位置がPCHクーラー寄りの低い位置にあったので、簡易水冷CPUクーラーで一般的な55mm厚程度のファン&ラジエーターではメモリスロットに被さりませんでした。
Fractal Design Define 7 review_06595_DxO
簡単な目安としては、メモリスロット下端と、その付近にあるネジ穴に注目します。左のように下端のラッチがネジ穴の真横かそれより下にあればファン&ラジエーターがメモリスロットに被さることはありません。逆にネジ穴よりも上の位置に下端のラッチがある場合は、ファン&ラジエーターがメモリスロットに被さる可能性が高いので注意が必要です。
MB_DDR4-Slot

最後に付け加えると、ストレージプレート裏のストレージ設置についてはトップやフロントに設置したファン&ラジエーターの厚みが一般的な55~60mm厚であればそれ自体は干渉しませんが、水冷チューブが通るので、上から1/2/3段目のスペースにストレージトレイを設置できない可能性があります。
Fractal Design Define 7 review_06600_DxO

以上のようにいくつか注意点はあるものの、ストレージ積載数を重視する「Fractal Design Define 7」のストレージレイアウトであっても、360サイズラジエーターを採用するハイエンド簡易水冷CPUクーラーをPCケース天面に設置できました。
Fractal Design Define 7 review_06609_DxO
Fractal Design Define 7 review_06607_DxO

PCケーストップは240サイズ以上の大型簡易水冷CPUクーラーのラジエーター設置スペースとしては最も主流な位置ですが、「Fractal Design Define 7」では標準的かつ最もスリムなファン&ラジエーターの55mm厚であっても、マザーボード上部のVRM電源クーラーにファンが被さってしまい、VRM電源の冷却面で好ましくない状態になります。
Fractal Design Define 7 review_06634_DxO
マザーボード上部にはEPS電源端子やCPUファン端子が配置されていることも多いですし、裏配線スペースと繋がるケーブルホールも塞がれてしまったり(Fractal Design Define 7の場合はファン・ラジエーターブラケットがPCケースから着脱できるのでアクセサビリティー上の問題は軽微ですが)、また注意でも説明したようにメモリヒートシンクと干渉する問題もあります。特に見栄えの点で個人的にはあまり好みではありません。こんな感じでマザーボードとファン&ラジエーターの間隔をもう少し広く取って欲しかったというのが正直なところです。



Fractal Design Define 7の自作PCギャラリー

記事冒頭で紹介した自作PCパーツを組み込んで「Fractal Design Define 7」を使用した自作PCを組んでみたのでその作成例のギャラリーとなります。
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Fractal Design Define 7 review_06614_DxO
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Fractal Design Define 7 review_06624_DxO



Fractal Design Define 7のレビューまとめ

最後に「Fractal Design Define 7」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • シンプルでスタイリッシュ、フルフラットの”エレガントなスカンジナビアデザイン”
  • 防音性の高いソリッドパネルと内部を一望できる強化ガラスパネルの2モデルがラインナップ
  • ボールキャッチによってサイドパネルは容易に着脱可能
  • PWM制御に対応したファンコントローラーハブ「Nexus+ PWM Fan Hub」を標準搭載
  • マザーボード側からのケーブルを隠すストレージプレートやPSUシュラウド採用
  • ストレージ重視と水冷用オープンの2種類のレイアウトの切り替えに対応
  • 天面は静音性重視のソリッドパネルと通気性重視のエアスリットパネルを選択できる
  • 専用アダプタを使用したスロットイン型の電源ユニット設置構造を採用
  • 標準でも2.5インチ2基、3.5インチ5基で計7基のストレージを設置可能
  • 最大では2.5インチ4基、3.5インチ15基で計19基のストレージを設置可能
  • トップ/フロント/ボトムはマルチファン大型水冷ラジエーターに対応
  • トップ/フロント/ボトムには着脱の容易な防塵ダストフィルター搭載
悪いところor注意点
  • オープンレイアウト時にストレージプレート上のパネルの着脱(マルチブラケットも)が面倒
  • ストレージレイアウトではPCケーストップに280mmサイズ簡易水冷が使用できない
  • 120/140mmにちょうどの幅でないとラジエーターを天面ブラケットに固定できない可能性あり
  • ストレージプレート裏のストレージトレイは4点止めにして欲しかった

まず最初に語るべきはネーミング。往年のロングセラーPCケース Define R5の後継モデルという位置付けながら、ゼロベースで開発されて最新トレンドをふんだんに取り込んだため、もはや新シリーズになってしまって期待通りに評価されにくかった前モデルDefine R6に対して、同社を代表するDefine Rシリーズの看板を捨てて、新生リファレンスシリーズとして「Fractal Design Define 7」をリリースしたことは、英断だったというのが管理人の評価です。今後はDefine 7を基本モデルとして、大型マザーボードに対応するハイエンドモデルDefine 7 XLのようにサイズやフォームファクタ違いの製品が展開されていくようです。
(PCケースの構造に着目すると、Rを引き継ぎながらもゼロベースだったDefine R6に対して、Rを排したDefine 7はDefine R6のブラッシュアップ版というべき設計だったので、Rを捨てるなら前モデルで捨てるべきだったとも言えますが)

「Fractal Design Define 7」の最も特徴的な構造は、静音性重視のソリッドパネルと通気性重視のエアスリットパネルの2種類の天面パネル交換と、モジュラー式ストレージプレートによるストレージレイアウトとオープンレイアウトの切り替えの2つで、これらを軸にして変幻自在なビルドスタイルを実現しています。
Define R6も同じ特徴を備えたPCケースでしたが、「Fractal Design Define 7」は後継というよりも上位互換という表現のほうがしっくりくるくらいにブラッシュアップされたところが多いです。フロントパネルのアルミニウムプレートの形状、ドアパネルのヒンジ、サイドパネルの開閉構造、ボトムエアスリットの拡張、シャドウベイの増設、天面の着脱式ブラケットとU字フレーム化、2種類の天面パネルが付属、などなど改良点は挙げていくときりがありません。

「Fractal Design Define 7」は前モデルDefine R6と同様にビルドスタイルの自由度が売りで、細部が多岐に渡ってブラッシュアップされたPCケースです。組み出したらあれもこれもと試したくなる中毒性の高い変幻自在な万能型PCケース「Fractal Design Define 7」は自分の考える最強の自作PCを構想し実現したいユーザーにおすすめなPCケースだと思います。

以上、「Fractal Design Define 7」のレビューでした。
Fractal Design Define 7


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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