Intel SSD 665p 1TB


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QLC型NANDの第2世代となるQLC型96層3D NANDメモリチップを採用するNVMe M.2 SSD「Intel SSD 665p 1TB(型番:SSDPEKNW010T9X1)」をレビューします。第1世代QLC型SSDの前モデルIntel SSD 660pと比較してIntel SSD 665pがどれくらい高速化を果たしたのか、各種ベンチマーク比較で徹底検証していきます。
Intel SSD 665p 1TB review_09727_DxO


製品公式ページ:https://www.intel.com/content/www/us/en/products/memory-storage/solid-state-drives/consumer-ssds/6-series/ssd-665p-series.html
Intel SSD 665p_top




Intel SSD 665p 1TB レビュー目次


1.Intel SSD 665pについて
2.Intel SSD 665p 1TBの外観
3.Intel SSD 665p 1TBの検証機材と基本仕様


4.Intel SSD 665p 1TBのベンチマーク比較
5.Intel SSD 665p 1TBの連続書き込みについて
6.Intel SSD 665p 1TBの温度とサーマルスロットリングについて


7.Intel SSD 665p 1TBの実用性能比較
8.Intel SSD 665p 1TBのデータコピー・ゲームロード比較
9.Intel SSD 665p 1TBのレビューまとめ




Intel SSD 665pについて

「Intel SSD 665p」はメモリチップにQLC型96層3D NAND、メモリコントローラーにSIlicon Motion製SM2263ENが採用された、、M.2 2280フォームファクタでNVMe(PCIE3.0x4)接続の高速M.2 SSDです。
「Intel SSD 665p」にはSSD容量として1TB(型番:SSDPEKNW010T9X1)と2TB(型番:SSDPEKNW020T9X1)の2モデルがラインナップされています。

「Intel SSD 665p」は全体容量のうち最大14%を高速なSLCキャッシュ領域として使用でき、記憶領域の50%以上が使用済みになるとSLCキャッシュ容量が変動する可変SLCキャッシュ構造も採用されています。前世代660pでは最大でも総容量の10%だったので、SLCキャッシュはシンプルに大容量化しています。
Intel SSD 665p_SLC-Cache
「Intel SSD 665p」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出2000MB/s、シーケンシャル書込2000MB/s、ランダム読出250,000 IOPS、ランダム書込250,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
Intel SSD 665p_spec

「Intel SSD 665p」のMTBFは160万時間、書込耐性は1TBが300TBW、2TBが600TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。


Intel SSD 665p スペック一覧
容量 1TB
型番:SSDPEKNW010T9X1
2TB
型番:SSDPEKNW020T9X1
メモリー Intel/Micron製 QLC型 96層3D NAND
メモリコントローラー SIlicon Motion製SM2263EN
連続読出 2000MB/s
連続書込 1925MB/s 2000MB/s
4Kランダム読出 160,000 IOPS 250,000 IOPS
4Kランダム書込 250,000 IOPS
消費電力 40mW(アイドル) / 100mW(アクティブ)
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 160万時間
耐久性評価 300TBW 600 TBW
保証期間 メーカー5年



Intel SSD 665p 1TBの外観

まず最初にIntel SSD 665p 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
紙製のパッケージを開くとSSD本体は紙製スペーサーを介してさらにプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。
Intel SSD 665p 1TB review_09728_DxO
Intel SSD 665pのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は緑色です。
Intel SSD 665pの表面にはM.2端子右向きにして、右端にメモリコントローラー、その左下にDRAMキャッシュ、さらに左側に1TBでは2枚、2TBモデルでは4枚のメモリチップが実装されています。
Intel SSD 665p 1TB review_09729_DxO
メモリコントローラーには放熱補助のため薄い銅製プレートが貼られていました。
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Intel SSD 665pは最大容量の2TBモデルも含めて全容量で背面にはメモリチップ等の実装が一切なく、片面実装となっています。
Intel SSD 665p 1TB review_09730_DxO



Intel SSD 665p 1TBの検証機材と基本仕様

「Intel SSD 665p 1TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Strage Test Bench_1
Strage Test Bench_2

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


「Intel SSD 665p 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは953GBでした。
Intel SSD 665p 1TB_CDI



Intel SSD 665p 1TBのベンチマーク比較

「Intel SSD 665p 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「Intel SSD 665p 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Intel SSD 665p 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し2400MB/s、連続書き込み2000MB/sとなりました。製品仕様の通りの超高速な連続アクセススピードです。
Intel SSD 665p 1TB_CDM
Intel SSD 660p 1TB_CDM7
Samsung 970 PRO 1TB_CDM7Samsung 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Kingston KC600 1TB_CDM7WD Black SN750 NVMe SSD 1TB_CDM7
Samsung 860 EVO 1TB_CDM7Samsung 860 PRO 1TB_CDM7


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Intel SSD 665p 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD1_read
Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD1_write
Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD4_read
Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD4_write
Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD1Intel SSD 665p 1TB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Intel SSD 665p 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Intel SSD 665p 1TB_AS
Intel SSD 660p 1TB_AS
Samsung 970 PRO 1TB_ASSamsung 970 EVO Plus 1TB_AS
Kingston KC2000 1TB_ASWD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Samsung 860 PRO 1TB_ASSamsung 860 EVO 1TB_AS


PCMark8 ストレージテストについて、「Intel SSD 665p 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Intel SSD 665p 1TB_PCM8
Intel SSD 665p 1TB_PCM8_cp



Intel SSD 665p 1TBの連続書き込みについて

「Intel SSD 665p 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


「Intel SSD 665p」はマーケティング情報として公表されているように、全体容量のうち最大14%を高速なSLCキャッシュ領域として使用でき、記憶領域の50%以上が使用済みになるとSLCキャッシュ容量が変動する可変SLCキャッシュ構造も採用されています。
使用済み容量が75%を超えると1TBモデルにおいてSLCキャッシュが12GBまで減ってしまうので、大容量データを頻繁に取り扱うような環境には向きませんが、そうでなければ実用上は大きく問題になることのないSLCキャッシュ容量が確保されていると思います。
Intel SSD 665p_SLC-Cache
実際にQLC型96層3D NANDをメモリチップに採用する「Intel SSD 665p 1TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、総容量の50%以上を埋めた状態で大容量な書き込みテストを実行しても100GBの書き込みで速度低下が発生することはありませんでした。
Intel SSD 665p 1TB_HDT_50fill
ちなみに「Intel SSD 665p 1TB」においてSLCキャッシュ超過後の書き込み速度は200MB/s程度でした。QLC型64層3D NANDを採用していた前世代660pの1TBモデルではSLCキャッシュ超過後の書き込み速度は100MB/s程度だったので、最新の96層3D NANDによって書き込み速度の向上を果たしているようです。
これまでの傾向で言うと、Intel SSD 665pの2TBモデルはSLCキャッシュ超過後の書き込み速度としてSATA SSD相当の400MB/sをキープできそうです。
Intel SSD 665p 1TB_HDT_fall



Intel SSD 665p 1TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Intel SSD 665p 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「Intel SSD 665p 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。

Intel SSD 665p 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
M.2 SSD_temp_test
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。
Samsung 970 PRO 1TB_temp test

「Intel SSD 665p 1TB」の検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとして、2020年現在最速のNVMe M.2 SSDとして君臨している「Samsung SSD 970 PRO 1TB」において、上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung SSD 970 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung SSD 970 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、2周目以降に連続書き込み速度の計測で若干速度低下が確認できます。1周目ですでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えておりかなり高温です。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 970 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、「Samsung SSD 970 PRO 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は100度を上回り、左半分に実装されたメモリチップは70度半ばになっています。
Samsung SSD 970 PRO 1TB_FLIR

さて本題のIntel SSD 665p 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるIntel SSD 665p 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Intel SSD 665p 1TBに関してソフトウェアモニタリングが可能な温度は最も高温になるメモリコントローラーではなくメモリチップの付近の温度になっているようです。
ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は確認できません。
Intel SSD 665p 1TB_temp
負荷テスト終盤におけるIntel SSD 665p 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。「Intel SSD 665p 1TB」の右端にあるメモリコントローラー温度は最大で80度前後、メモリチップは60度以下となっています。
Intel SSD 665p 1TB_FLIR
下は前モデル「Intel SSD 660p 1TB」同様の測定を行った時のサーモグラフィーですが、メモリチップ等の各種素子のレイアウトがほぼ共通なので似たような温度分布です。ただ、「Intel SSD 665p 1TB」は連続アクセスが高速化しているので若干温度上昇があるかと思いきや、メモリコントローラーの温度は微減でした。(測定誤差かもしれませんが)
Intel SSD 660p 1TB_FLIR

今回の負荷テストでは「Intel SSD 665p 1TB」でサーマルスロットリングによる速度低下こそ確認できなかったものの、メモリコントローラーが80度以上とそこそこ高温になるので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をオススメします。
最近のマザーボードはM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載しているものも多いですが、個別に購入する場合、PCIE拡張ボードタイプなら「AquaComputer kryoM.2 無印/evo」、マザーボードM.2スロットで使用するコンパクトタイプなら「「SilverStone SST-TP02-M2」などがオススメです。
M.2 SSDヒートシンクのレビュー記事一覧へ
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Intel SSD 665p 1TBの実用性能比較

「Intel SSD 665p 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Intel SSD 665p 1TB_PCM10_1_Summary
下はデータ使用量が0%の時と50%の時で各製品の実用性能を比較した結果になっています。PCMark10 Storage TestではSilicon Motion製メモリコントローラーを採用する製品において使用済み容量が大きくなると0%使用時に比べて性能が低下するという傾向がありました。
2020年発売で最も新しいIntel SSD 665pでは、Silicon Motion製メモリコントローラーSM2263ENが採用されていますが、性能低下は発生していませんでした。
Real World Storage Performance Summary - 50% Fill
Intel SSD 665p 1TBと前モデルIntel SSD 660p 1TBを個別Traceについて比較すると、ほぼ全てにおいて高速化を果たしているのがわかります。
Intel SSD 665p 1TB_vs-660p_50fill


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Intel SSD 665p 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Intel SSD 665p 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Intel SSD 665p 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較



Intel SSD 665p 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「Intel SSD 665p 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Kingston KC2000 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
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コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、3段目PCIEスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCIEスロットに検証ストレージを設置しています。
Copy_NVMe-NVMe_2019
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCIEレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe


「Intel SSD 665p 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Intel SSD 665p 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDと比較すると遅めの読み出し速度でした。
とはいえ前世代660pよりはしっかりと高速化しており、Intel SSD 665p 1TBはPCIE3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると2.5倍近い高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は1250MB/s程度となっています。
Intel SSD 665p 1TB_copy_1_movie_read
Intel SSD 665p 1TBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、所要時間34秒程度となっており、書き込みでも前世代660pより高速化を果たし、SATA3.0 SSDより3倍近く高速です。
Intel SSD 665p 1TB_copy_2_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Intel SSD 665p 1TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、動画ファイルの時と同様に定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDに比べて遅めです。とはいえ、やはり動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも2倍以上も高速な読み出し速度です。
Intel SSD 665p 1TB_copy_3_game_read
Intel SSD 665p 1TBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、定番のハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDと同等のパフォーマンスを発揮しました。100GB超の大容量なSLCキャッシュが主な要因ですが、SLCキャッシュ内であればランダム性のあるデータの書き込みも得意なようです。
Intel SSD 665p 1TB_copy_4_game_write


続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme

The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。


Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。


以上の条件で「Intel SSD 665p 1TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ゲームロード時間を測定して比較してみたところ、SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。
今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
Intel SSD 665p 1TB_game
なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、今回の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。



Intel SSD 665p 1TBのレビューまとめ

最後にNVMe M.2 SSD「Intel SSD 665p 1TB(型番:SSDPEKNW010T9X1)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • SATA SSDよりも高速な読み書き2.0GB/s(最大)
  • 空き容量依存で可変容量のSLCキャッシュ構造、1TBモデルは最大140GB
  • QLC型NAND採用なので安価
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • QLC型なので大容量の連続書き込みではSLCキャッシュ超過後に大幅な速度低下が発生する
    1TBモデルは超過後の書き込み速度が200MB/s程度
  • QLC型なので一般的なTLC型と比較して書き込み耐性の保証値が小さい

「Intel SSD 665p 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くにおいて、前世代660pを上回るパフォーマンスをしっかりと発揮してくれました。
CrystalDiskMarkやデータコピーテストなどIO性能に直結するものでは、連続3GB/sを超えるハイエンドTLC型NVMe M.2 SSDに対して、製品スペック通り後れを取ります。しかしながら、SSDの実用性能をベンチマーク比較するPCMark10 Storage TestではSamsung SSD 970 PROの99%程度という優れた性能を発揮しており、”取り扱うデータがSLCキャッシュを超過しない”という条件下であればオールラウンドに活躍が期待できます。

「Intel SSD 665p 1TB」には4bitマルチレベルセルのQLCタイプ96層3D NANDが採用されていて、3bitマルチレベルセルのTLC型SSDと同様に、SLCキャッシュを超過するような大容量書き込みにおいて、書き込み速度の低下が発生します。
「Intel SSD 665p 1TB」のSLCキャッシュは、全体容量のうち最大14%を高速なSLCキャッシュ領域として使用でき、記憶領域の50%以上が使用済みになるとSLCキャッシュ容量が変動する形(75%を超えると12GBで固定)になっているので、そうそうSLCキャッシュを超過する場面に遭遇することはないと思います。
とはいえ「Intel SSD 665p 1TB」の場合、SLCキャッシュ超過後は200MB/s程度まで書き込み速度が大幅に急落するので、QLC型SSDは大容量データの書き込みが頻繁に発生しないことを確認の上で使用するのを推奨します。

QLC NANDの弱点として仕様上の書き込み耐性の低さが気になるところですが、実際にTLC型に比べて書き込み不可の故障発生が早いのかというと、QLC型NANDを初めて採用した前モデルIntel SSD 660pがすぐに壊れたというような話を今のところ特に聞きません。信頼性が要求される用途ではTLC型もしくはMLC型が推奨なのかもしれませんが、一般自作PC向けのストレージとしては実用レベルだと判断してもいいと思います。

NVMe M.2 SSDはSATA SSDよりも高速な反面、サイズの小ささも相まって非常に高温になるという弱点がありますが、「Intel SSD 665p 1TB」は連続アクセスが2GB/s程度に抑えられているので、3GB/s越えのハイエンド製品に比べて低温・低発熱で扱いやすいところも魅力の1つだと思います。

「Intel SSD 665p 1TB」はSATA SSDとハイエンドNVMe M.2 SSDの間を縫うようなポジションを期待される製品となっており、性能面でも価格面でもその要求は満たせているので、SATAより高速なシステムストレージを安価に導入したいのであれば検討する価値はあると思います。
ただ、同様のポジションに位置するWD Blue SN550のようなTLC型SSDの競合製品と比較すると、QLC型NAND採用による価格面での強みが感じられず、一方で”もしもSLCキャッシュを超過するケースに遭遇したら”というデメリットのほうがむしろ感じてしまうのが、ツライところなのかなとも思いました。


以上、「Intel SSD 665p 1TB」のレビューでした。
Intel SSD 665p 1TB


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