Samsung SSD 980 PRO 1TB


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2020年最新の100+層の第6世代V-NANDと新型メモリコントローラーElpisを採用し、次世代規格PCIE4.0x4接続で連続読み出し7GB/s、連続書き込み5GB/sに達したハイエンドNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO 1TB(型番:MZ-V8P1T0B/IT)」をレビューします。
PCIE4.0プラットフォームの登場から1年半、満を持して登場したPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDの大本命を、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDや前モデルSamsung SSD 970 PROと各種ベンチマークで徹底比較していきます。

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代理店公式ページ:https://www.itgm.co.jp/product/ssd-980-pro.php
製品公式ページ:https://www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp/ssd/consumer/980pro/

Samsung SSD 980 PRO_top





Samsung SSD 980 PRO 1TB レビュー目次


1.Samsung SSD 980 PROについて
2.Samsung SSD 980 PRO 1TBの外観
3.Samsung SSD 980 PRO 1TBの検証機材と基本仕様


4.Samsung SSD 980 PRO 1TBのベンチマーク比較
5.Samsung SSD 980 PRO 1TBの連続書き込みについて
6.Samsung SSD 980 PRO 1TBの温度とサーマルスロットリングについて


7.Samsung SSD 980 PRO 1TBの実用性能比較
8.Samsung SSD 980 PRO 1TBのデータコピー・ゲームロード比較
9.Samsung SSD 980 PRO 1TBのレビューまとめ




【機材協力:ITGマーケティング】



Samsung SSD 980 PROについて

「Samsung SSD 980 PRO」は、メモリチップにSamsung製3bit MLC型 第6世代V-NAND(100+層3D NAND)、メモリコントローラーにPCIE4.0対応のSamsung製Elpis Controllerが採用された、NVMe(PCIE4.0)接続でM.2 2280フォームファクタのM.2 SSDです。
「Samsung SSD 980 PRO」にはSSD容量として250GB(型番:MZ-V8P250BW)、500GB(型番:MZ-V8P500BW)、1TB(型番:MZ-V8P1T0BW)の3モデルが初期ラインナップ、さらに2TB(型番:MZ-V8P2T0BW)も投入が予定されています。

「Samsung SSD 980 PRO」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出7000MB/s、シーケンシャル書込5000MB/s、ランダム読出1,000,000 IOPS、ランダム書込1,000,000 IOPSの超高速アクセスを実現しています。
Samsung SSD 980 PRO_speed

「Samsung SSD 980 PRO」のMTBFは150万時間、書込耐性は250GBが150TBW、500GBが300TBW、1TBが600TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。

「Samsung SSD 980 PRO」にはメモリチップとしてSamsung製 第6世代V-NAND 3bit MLC、一般に言うところのTLC型100+層3D NANDが採用されています。TLC型NANDは従来のPROシリーズに採用されていたMLC型NANDに比べて書き込み性能で劣るため、TLC型SSDでは一般に搭載するNANDフラッシュメモリーの一部をSLCキャッシュとして使用して書き込み性能を底上げする機能が採用されていますが、「Samsung SSD 980 PRO」ではこのキャッシュ機能を強化し、必要に応じてSLCの領域を増減する「Intelligent TurboWrite」機能が採用されています。
Samsung SSD 980 PRO_Intelligent TurboWrite
「Intelligent TurboWrite」においてはキャッシュとなる疑似SLC領域は標準で数GBの容量が確保されますが、それを上回る大容量の書き込みアクセスが発生した場合にモデルによって定められた容量を追加でバッファ領域として利用できます。Samsung SSD 980 PROにおいて各モデルのSLC領域、可変領域、書込速度は次のテーブルのようになっています。
「Samsung SSD 980 PRO」Intelligent TurboWrite の仕様
容量
250GB 500GB 1TB 2TB
キャッシュ
サイズ
標準 4GB 6GB 6GB
可変領域 45GB 90GB 108GB 216GB
最大 49GB 94GB 114GB 222GB
連続書込 キャッシュ内 2700MB/s 5000MB/s 5100MB/s
キャッシュ外 500MB/s 1000MB/s 2000MB/s 2000MB/s


Samsung SSD 980 PRO スペック一覧
容量 250GB
型番:MZ-V8P250B/IT
500GB
型番:MZ-V8P500B/IT
1TB
型番:MZ-V8P1T0B/IT
2TB
型番:MZ-V8P2T0B/IT
インターフェース
NVMe(PCIE4.0x4)
メモリー Samsung製 第6世代V-NAND 3-bit MLC (TLC型100+層3D NAND)
メモリコントローラー Samsung製 Elpis Controller
キャッシュ 256MB LPDDR4 512MB LPDDR4
1GB LPDDR4
2GB LPDDR4
連続読出 6400MB/s 6900MB/s 7000MB/s
連続書込 2700MB/s 5000MB/s 5100MB/s
4Kランダム読出
QD1T1 / QD32T16
22,000 IOPS /
500,000 IOPS
22,000 IOPS /
800,000 IOPS
22,000 IOPS /
1,000,000 IOPS
4Kランダム書込
QD1T1 / QD32T16
60,000 IOPS /
600,000 IOPS
60,000 IOPS /
1,000,000 IOPS
消費電力(avg) 5.0W (Read)
3.9W (Write)
5.9W (Read)
5.4W (Write)
6.2W (Read)
5.7W (Write)
6.1W (Read)
5.6W (Write)
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 150万時間
書込耐性 150TBW 300TBW 600TBW 1200TBW
保証期間 メーカー5年



Samsung SSD 980 PRO 1TBの外観

まず最初にSamsung SSD 980 PRO 1TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
パッケージの外観についてSamsung SSD 980 PROでも、Samsung製プロフェッショナル向けSSDのPROシリーズではお馴染み、赤色がアクセントカラーになっています。
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紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。
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Samsung SSD 980 PROのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
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Samsung SSD 980 PROの表面シールの下にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、その隣にDRAMキャッシュ、残り半分には2枚のメモリチップが実装されています。
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Samsung SSD 980 PROは250GBから1TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
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サーマルスロットリングの抑制に対しては、発熱と性能のバランスを調整する独自のアルゴリズム「Dynamic Thermal Guard」を採用するプロセッサレベルの対策だけでなく、基板背面に貼られた銅製シール「Copper Seal(銅箔層ヒートスプレディングラベル)」や、発熱の大きいメモリコントローラーのチップ表面にもニッケルメッキの金属プレートを施すといった物理的アプローチで放熱を補助・促進しています。
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Samsung SSD 980 PRO 1TBの検証機材と基本仕様

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0に対応するAMD Ryzen Threadripper 3970X&ASRock TRX40 Taichiなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X(レビュー
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
360サイズ簡易水冷 (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB
F4-3200C14Q-32GTZRX
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
3600MHz, 14-15-15-35-CR1
マザーボード
ASRock TRX40 Taichi(レビュー
ビデオカード Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 PRO 256GB
レビュー
OS Windows10 Pro 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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第3世代Ryzen Threadripper検証環境のシステムメモリには、第3世代Ryzenプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenや第3世代Ryzen Threadripperの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

第3世代Ryzen Threadripper関連の検証機材としてTRX40マザーボードには「ASRock TRX40 Taichi」を使用しています。「ASRock TRX40 Taichi」は自作PCマザーボード向けとしては初となる90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズの超堅牢なVRM電源回路、そして全高54mmの超大型かつアクティブ冷却ファン搭載のVRM電源クーラーを搭載しており、PBOによる全コア4GHzクロックアップを施したRyzen Threadripper 3990Xが運用可能な抜群のパフォーマンスを発揮します。各社がハイエンドモデルでE-ATXなど大型サイズを採用する中、標準のATXサイズで使い勝手の良いマザーボードとなっており、TRX40マザーボードの中でも特にオススメの1枚です。
「ASRock TRX40 Taichi」をレビュー。ATXサイズで32コアスリッパに完全対応!
ASRock TRX40 Taichi


「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の検証環境については上述の通り、AMD Ryzen Threadripper 3970XやASRock TRX40 Taichiで構成されるテストベンチ機を使用していますが、M.2 SSDの設置方法として、ASRock TRX40 Taichiでは「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」、「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット7段目」の4つの候補があります。
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予備検証として、どのPCIEスロット・M.2スロットで検証を行うのが最適なのか調べてみたところ、一例としてPCMark10 Storage Testの結果を抜粋しますが、最も高速なのは「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」、それと僅かな差で2位、3位が「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」、「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット7段目」、最も遅いのは「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」という結果でした。
CrystalDiskMarkの測定結果においても上位3つは似たようなスコアになりますが、「PCH経由PCIEレーンのM.2スロット」だけは若干低めのスコアでした。
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実用上は大した差ではないのですが、比較検証に当たってはできるだけボトルネックや誤差になる要因は排除したかったので、今回の検証において検証ストレージはいずれも「CPU直結PCIEレーンのPCIEスロット5段目」に設置して測定を行っています。
性能的に近い「CPU直結PCIEレーンのM.2スロット」を選ばなかったのは、グラフィックボードの直下になるため着脱が手間であること、冷却面で確実性に欠ける(実用上は問題ないはずですが)こと等が理由です。
PCIE to M.2変換拡張ボードが必要になるので「Aquacomputer kryoM.2」を使用しています。同製品は仕様上、PCIE3.0x4対応品ですが、後ほど掲載するベンチ結果の通り、PCIE4.0x4接続NVMe M.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO 1TB」のポテンシャルをシッカリと発揮できることが確認できています。
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またSSD温度の検証を除いて、各SSDが性能を最大限に発揮できるようにスポットクーラーで風を当てた状態で測定を行っています。
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「Samsung SSD 980 PRO 1TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
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Samsung SSD 980 PRO 1TBのベンチマーク比較

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。
比較対象として同じくPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDのメモリコントローラーPhison PS5016-E16を搭載したリファレンスSSD(CFD PG3VNF、Corsair Force MP600、GIGABYTE AORUS NVMe Gen4 SSDなどが該当)を使用しています。
加えて現在主流なPCIE3.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、PCIE3.0x8対応AICカード型NVMe SSD「WD_BLACK AN1500 Add-in-Card 4TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し6600MB/s、連続書き込み5000MB/sとなりました。検証環境の問題なのか、製品仕様で謳われている7000MB/sの超高速読み出しには達しなかったものの、先行して発売されたPhison PS5016-E16を搭載したPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDを大幅に上回るスコアです。
連続アクセスも高速ですが、地味に目を見張った注目ポイントが4Kランダム読み出しで、既存のSSDだと高速な製品でも60MB/s程度に留まるのですが、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」は80MB/sオーバー、90MB/sに迫るスコアをマークしています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_CDM7
Phison PS5016-E16_CDM7
Samsung SSD 970 PRO 1TB_CDM7Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Crucial P5 1TB_CDM7WD Black SN750 1TB_CDM7
WD Black AN1500 4TB_CDM7Crucial MX500 1TB_CDM7

ちなみに、2020年現在最新バージョンのCrystalDiskMark7では惜しくも連続読み出し速度7GB/sをマークできませんでしたが、旧バージョンであるCrystalDiskMark6において「Samsung SSD 980 PRO 1TB」は7GB/s越えの連続読み出し速度を発揮しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_CDM6


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_ATTO_QD1_read
Samsung SSD 980 PRO 1TB_ATTO_QD1_write
Samsung SSD 980 PRO 1TB_ATTO_QD4_read
Samsung SSD 980 PRO 1TB_ATTO_QD4_write
Samsung SSD 970 PRO 1TB_ATTO_QD1Samsung SSD 970 PRO 1TB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_AS
Phison PS5016-E16_AS
Samsung SSD 970 PRO 1TB_ASSamsung SSD 970 EVO Plus 1TB_AS
Crucial P5 1TB_ASWD Black SN750 1TB_AS
WD Black AN1500 4TB_ASCrucial MX500 1TB_AS



Samsung SSD 980 PRO 1TBの連続書き込みについて

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


3bit MLC型、所謂、TLC型の100+層3D NANDをメモリチップに採用する「Samsung SSD 980 PRO 1TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は5000MB/sに達する書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が120GB程度に達すると可変容量な最大SLCキャッシュを超過するため書き込み速度は2000MB/s前後まで減少しました。
SLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下するとはいえ、低下後ですら2000MB/sという十分な速さを実現しており、SATA3.0規格の理想的な書き込み速度を3倍以上も上回る高速アクセスを実現しています。競合他社の製品ではSLCキャッシュ容量は10GB前後しかないものが多いので、そういった製品と比較すると10倍近く大容量なSLCキャッシュがある「Samsung SSD 980 PRO 1TB」のほうが大容量データの書き込みにおける実用的な快適さは上回ると思います。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_HDT
ちなみに「Samsung SSD 980 PRO 1TB」で使用可能な総容量の半分を上回る500GBのデータ書き込みを行った状態で同様のテストを行っても、最大120GB程度のSLCキャッシュを利用できました。その代わり超過後の書き込み速度が若干下がっているのは、おそらくSLCキャッシュの開放(TLC領域へのデータ移動)で一部が占有されているからではないかと思います。とはいえ十分に高速かつ大容量です。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_HDT_50Fill

Samsung SSD 980 PROのSLCキャッシュ機能Intelligent TurboWriteについては、容量モデル別にSLCキャッシュ容量の仕様が公表されています。
容量下位モデルの250GBでは最大キャッシュ容量49GBを超過すると書き込み速度が500MB/s程度まで低下し、理想的なSATA SSDと同程度になってしまいます。大容量書き込み時の書き込み速度を重視するのであれば容量500GB以上のモデルを選択するのがオススメです。
「Samsung SSD 980 PRO」Intelligent TurboWrite の仕様
容量
250GB 500GB 1TB 2TB
キャッシュ
サイズ
標準 4GB 6GB 6GB
可変領域 45GB 90GB 108GB 216GB
最大 49GB 94GB 114GB 222GB
連続書込 キャッシュ内 2700MB/s 5000MB/s 5100MB/s
キャッシュ外 500MB/s 1000MB/s 2000MB/s 2000MB/s



Samsung SSD 980 PRO 1TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
アクセススピードが数GB/sに及ぶ非常に高速なNVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られています。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をソフトウェアモニタリングとサーモグラフィーカメラを使用して検証します。

Samsung SSD 980 PRO 1TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ASRock TRX40 Taichiのマザーボード上、下段M.2スロットに設置して測定を行いました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB review_05466_DxO
測定時の検証負荷としてはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用し、間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値はHWiNFOを使用してログを取得します。
NVMe SSD_temp test

PCIE4.0x4接続に対応するNVMe M.2 SSDは従来のPCIE3.0x4対応製品と比較しても発熱が大きいので、マザーボード備え付けヒートシンクや市販のM.2 SSDヒートシンクによる冷却補助が推奨されています。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」については”適切なエアフロー”があれば公式には問題ないとのこと。
今回は推奨されるヒートシンク使用時の検証結果を確認する前に比較参考のサンプルとしてヒートシンクなしかつエアフローなしという、素の状態の「Samsung SSD 980 PRO 1TB」でも同テストを行ってみました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB review_05432_DxO
ヒートシンクを搭載しない場合、Samsung SSD 980 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。
Samsung SSD 980 PRO 1TBではメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能になっているようです。ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は発生していませんが、3周目以降に連続書き込み速度の計測後に若干速度低下が確認できます。2周目開始直後、すでにメモリコントローラーの温度は100度に達し、メモリチップも70度を超えていてかなり高温です。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_temp_1_without-HS
負荷テスト終盤におけるSamsung SSD 980 PRO 1TBのサーモグラフィーは下のようになっています。サーモグラフィーでもソフトウェアモニタリング同様に、Samsung SSD 980 PRO 1TBの右端にあるメモリコントローラー温度は100度近くまで達し、左半分に実装されたメモリチップは70~80度を示しています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_FLIR_without-

ちなみに上の検証ではASRock TRX40 Taichiに標準で搭載されているチップセット冷却ファンSB Fanを完全に停止させていますが、ヒートシンクなしでM.2 SSD剥き出しの状態でも、SB Fanを2400RPM程度(標準設定の最低速度でファンノイズはほぼない)で回転させるだけで温度は20度くらい下がりました。公式には”適切なエアフローがあればOK”とことでしたが、ヒートシンクなしでも近くにエアフローがあるだけでこんなに冷え方に差があるのかと驚きました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_temp_2_with-SBFan
Samsung SSD 980 PRO 1TB_FLIR_with-SBFan

続いて発熱の大きいPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDで推奨されるヒートシンク搭載時について、Samsung SSD 980 PRO 1TBの温度やサーマルスロットリングの有無をチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるSamsung SSD 980 PRO 1TBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。上述の通り、Samsung SSD 980 PRO 1TBに関してはメモリコントローラーとメモリチップの2種類の温度についてソフトウェアモニタリングが可能です。
ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる速度低下は確認できず、メモリコントローラーおよびメモリチップはいずれも最大でも60度台に収まっています。これくらい温度が低ければ安心して長期運用が可能だと思います。
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サーモグラフィーで確認できるヒートシンクの表面温度は50度前後、ヒートシンク全体に熱が均一に拡散している様子が分かります。
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繰り返しになりますが、従来のPCIE3.0x4よりもさらなる高速化を果たしたPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDは発熱も増しており、マザーボード備え付けヒートシンクや市販のM.2 SSDヒートシンクとの併用が推奨されます。
最近のマザーボードはM.2 SSDヒートシンクを標準で搭載しているものも多いですが、個別に購入する場合、PCIE拡張ボードタイプなら「AquaComputer kryoM.2 無印/evo」、マザーボードM.2スロットで使用するコンパクトタイプなら「「SilverStone SST-TP02-M2」などがオススメです。
M.2 SSDヒートシンクのレビュー記事一覧へ
M.2 SSDヒートシンク


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Samsung SSD 980 PRO 1TBの実用性能比較

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_1_Summary
PCMark10 Storage Testでは、Silicon Motion製メモリコントローラーを採用する製品に多いのですが、一部製品において使用済み容量が大きくなると0%使用時に比べて性能が低下するという傾向が見られることがありました。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」については総容量のうち50%以上が使用済みになっていても、PCMark10 Storage Testのスコアに大きな変化はなく誤差か、数%未満の微減でした。使用済みデータが増えてきた状態の実用シーンでも性能が大幅に下がる心配はなさそうです。
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Samsung SSD 980 PRO 1TBと前モデルSamsung SSD 970 PRO 1TBをPCMark10 Storage Testの個別Traceについて比較(Samsung SSD 970 PRO 1TBを100%として性能差をパーセント表示)すると、ほぼ全てにおいて大幅な高速化を果たしているのが分かります。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_vs-970PRO
また1年以上前にPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDとして世界初の製品化を果たしたPhison PS5016-E16コントローラー採用リファレンスSSDと比較しても、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」は軒並み大幅な高速化を果たしています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_vs-Phison PS5016-E16


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較



Samsung SSD 980 PRO 1TBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「Samsung SSD 980 PRO 1TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
比較対象として同じくPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDのメモリコントローラーPhison PS5016-E16を搭載したリファレンスSSD(CFD PG3VNF、Corsair Force MP600、GIGABYTE AORUS NVMe Gen4 SSDなどが該当)を使用しています。
加えて現在主流なPCIE3.0x4対応NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、PCIE3.0x8対応AICカード型NVMe SSD「WD_BLACK AN1500 Add-in-Card 4TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタAquacomputer kryoM.2に設置したSamsung SSD 980 PRO 1TBを使用しています。

Windows10ファイルシステムのエクスプローラーを使用したコピー速度は2GB/s前後で上限になり(2スレッド並列コピーすると少し変わってくるのですが)、PCIE3.0x4接続のSamsung SSD 970 PRO 1TBと比較して、Phison PS5016-E16搭載リファレンスモデルに準拠したPCIE4.0x4対応NVMe M.2 SSDでも優位な性能が確認できなかったため、同テストにおけるコピー相手ストレージは長らく「Samsung SSD 970 PRO 1TB」で統一しました。
しかしながら、同テストについて各種ストレージで検証を行う前に、980 PRO 1TBと970 PRO 1TBの2種類だけに絞って予備検証の比較を行ったところ、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の優位性がハッキリと確認できたので、コピー相手ストレージとして選択しました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_copy_vs-970PRO
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手のSamsung SSD 980 PRO 1TBと同じくNVMe SSDの場合は、ASRock TRX40 Taichiの1段目PCIEスロットにグラフィックボード、5段目PCIEスロットに検証ストレージ、以上はこれまでの検証と共通ですが、7段目PCIEスロットにコピー相手ストレージのSamsung SSD 980 PRO 1TBを設置しています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB review_05424_DxO
ASRock TRX40 Taichiにおいて5段目のPCIEスロットと7段目のPCIEスロットはいずれもCPU直結PCIEレーンに接続されているのでデータコピーにおいて帯域がボトルネックになることはありません。また余談ですが、TRX40環境の場合はCPU-PCH間がPCIE4.0x8レーンで接続されているので、仮に2つのNVMe(PCIE4.0x4) SSDが両方ともPCHに接続されていたとしても帯域的には問題がありません。
Samsung SSD 980 PRO 1TB review_04328_DxO
TRX40-Platform


「Samsung SSD 980 PRO 1TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 980 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Samsung SSD 980 PRO 1TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、長らく首位をキープし続けていたSamsung 970 PRO 1TBよりも20%近い高速化を果たしています。Windowsエクスプローラー上でのコピーはソフトウェア側がボトルネックになりつつある中でさらに数字を伸ばしてきたのは感動的です。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_copy_1_movie_read
Samsung SSD 980 PRO 1TBは動画ファイルのコピー書き込みにおいて、0.1秒という誤差レベルの差で次点となりました。読み出しを行うコピー相手が「Samsung SSD 980 PRO 1TB」なので比較対象各種も高速な書き込み速度を発揮しており、TLC型NANDで共通しているせいか、上位層のスコアは固まっています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_copy_2_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Samsung SSD 980 PRO 1TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、次点に10%以上の差をつけて最速の読み出し速度を発揮しています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_copy_3_game_read
Samsung SSD 980 PRO 1TBBはゲームフォルダのコピー書き込みにおいて、やはり最速クラスの性能を発揮しています。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_copy_4_game_write


続いてPCゲームのロード時間について、通常では実際のゲームでロード時間の比較検証を行うのですが、今回は割愛することにしました。
下のグラフを見ての通り、当サイトで採用している従来通りの測定方法では最速のIntel Optane 905Pと、その次に高速なSamsung SSD 970 PROでも1秒弱の差しかありません。
当レビューにおけるこれまでの傾向からすると「Samsung SSD 980 PRO 1TB」は970 PROよりは速いはずなのですが、一方でランダム性能の差からいってIntel Optane 905Pを超えるとは考えにくいというのは妥当な推測だと思います。
検証環境が変わっているので一からの測定となるため実施するとなるとかなり大変で、精度を求めた時の測定労力に見合った面白い結果が得られるとも思えないので今回は省略することにしました。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_game
なおゲームストレージとしての性能についてはPCMark10 Storage Testを使用した実用性能比較の章でも比較していますが、当サイト独自の検証結果とはストレージ種類別の性能差の傾向が異なります。
理由については、PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、今回の比較では『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間となっているからではないかと思います。特定のデータをロードすることが決まっているならPCMark10 Storage Testのように高速化の恩恵を受けやすく、ファストトラベルのようにユーザーの行動によってランダムに変わる読み出し内容だと、現状のSSDではなかなか差が出しにくいようです。
Samsung SSD 980 PRO 1TB_PCM10_3_Summary_Game





Samsung SSD 980 PRO 1TBのレビューまとめ

最後にNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 980 PRO 1TB(型番:MZ-V8P1T0B/IT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • NVMe(PCIE4.0x4)規格として理想的な読み出し7.0GB/s、書き込み5.0GB/s(最大)
  • 4Kランダム読み出しがMLC/TLC型の一般SSDでは初の88MB/sに(CDM7)
  • PCMark10ストレージテストによる実用性能で970 PROを30%以上も上回る
  • ファイルコピー性能でも(特に読み出し速度で)、970 PROよりも高速に
  • TLC型SSDなのでNVMe M.2 SSDとして標準的な価格帯
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
    1TBモデルの場合は114GBのキャッシュ容量で、超過後の書き込み速度は2000MB/s程度
  • Samsung PROシリーズながらTLC型になり、書き込み耐性が従来比で下がっている
  • マザーボード備え付けや市販のM.2 SSDヒートシンクとの併用を推奨

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークや実際の性能検証の多くにおいて、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDや、Samsung PROシリーズの前モデルSamsung SSD 970 PROを明確に上回る性能を発揮しました。
SSD実用性能を測定するPCMark10ストレージテストでもSamsung SSD 970 PROを40%近くも上回る性能を発揮し、堂々の最速更新を果たした「Samsung SSD 980 PRO 1TB」はPCIE4.0x4接続NVMe M.2 SSDの大本命と言っても過言ではありません。


「Samsung SSD 980 PRO 1TB」にはTLCタイプのSamsung製100+層3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した1TBモデルでは容量可変で最大114GBのSLCキャッシュを超過する連続した大容量な書き込みアクセスでは理想値5000MB/sから2000MB/sまで書き込み速度が低下します。とはいえSATA3.0規格の理想的な書き込み速度の3倍なので十分高速です。
単純にキャッシュ外の書き込み速度を見ても最速クラスであり、かつキャッシュ容量が最大114GBと、大半の競合製品よりも大きいので、実用上の快適性ではSamsung SSD 980 PROの方が上回る場面が多いのではないかと思います。

ただし容量下位モデルの250GBではキャッシュ外の書き込み速度が500MB/sになっており、理想的なSATA SSDと同程度になってしまうため容量上位モデルに比べて見劣りします。NVMe SSDである以上、SATA SSDよりは高速な動作を期待したいところなので、キャッシュ内速度のスペックにも差があることを踏まえて、最低でも500GBモデルを選択するのが管理人的にはオススメです。

「Samsung SSD 980 PRO 1TB」はPROシリーズながら初のTLC型SSDになったので、従来から考えると保証される書き込み耐性が下がっていたり、SLCキャッシュ超過後の書き込み速度の低下が発生したりと弱点と呼べる部分もあるのですが、ストレージ性能自体は長らく最速の座をキープしていた970 PROに世代交代を言い渡すのに十分、というか960PROvs970PROよりも明確な差があり、TLC型であることに対する当初の性能面での不安は綺麗さっぱりと払拭されました。

PCIE4.0対応SSDについてもアーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDが、Samsung SSD 970 PROと比較してCDM等で測定されるIO性能くらいしか見るところがなくあまり評価は高くなかったのですが、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」の登場でその評価も一変しました。
すでにAMD Ryzen環境はPCIE4.0対応NVMe SSDをサポートしており、Intel環境でも次の第11世代CPU環境でサポートが公表されているので、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」はPCIE4.0対応NVMe SSDとして買って間違いのない製品だと思います。

以上、「Samsung SSD 980 PRO 1TB」のレビューでした。
Samsung SSD 980 PRO 1TB



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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