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PlayStation 5でHDR表示や120FPSに対応し、4Kエミュレートも利用可能、PCやXbox Series X/Sなら可変リフレッシュレート同期機能も使えるフルHD/165Hzの24.5インチIPS液晶ゲーミングモニタ「BenQ MOBIUZ EX2510S」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.benq.com/ja-jp/monitor/gaming/ex2510s.html
BenQ MOBIUZ EX2510S レビュー目次
1.BenQ MOBIUZ EX2510Sの概要2.BenQ MOBIUZ EX2510Sの開封・付属品
3.BenQ MOBIUZ EX2510Sの液晶モニタ本体
4.BenQ MOBIUZ EX2510SのOSD操作・設定
5.BenQ MOBIUZ EX2510Sの発色・輝度・視野角
6.BenQ MOBIUZ EX2510Sの165Hzリフレッシュレートについて
7.BenQ MOBIUZ EX2510Sの応答速度・表示遅延
8.BenQ MOBIUZ EX2510SのFreeSync/G-Sync CPについて
9.BenQ MOBIUZ EX2510SのMBR機能について
10.BenQ MOBIUZ EX2510SのHDR表示やCSゲーム機対応について
11.BenQ MOBIUZ EX2510Sのレビューまとめ
【機材協力:BenQ】
BenQ MOBIUZ EX2510Sの概要
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は解像度が1920×1080のフルHD解像度で、画面サイズが24.5インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されています。コントラスト比は通常1,000:1、応答速度は1ms (MPRT)、2ms (GTG)、輝度は400nits(cd/m^2)です。「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDR表示に対応しています。VESAがPCモニター向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDRは取得していません。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のリフレッシュレートはネイティブ165Hzに対応します。165Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、レーシングゲーム・スポーツゲームやFPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証も取得については未定です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のビデオ入力はDisplayPort1.2×1とHDMI2.0×2の3系統です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の物理解像度はフルHDですが、HDMI2.0ビデオ入力は4Kエミュレートに対応しているので、PlayStation 5やXbox Series Xを接続した時に4K/60Hzのゲーミングモニタのように扱うこともできます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」にはtreVoloと呼ばれる高音質ソリューションが採用されています。2.5W×2の高音質な内蔵スピーカーに加えて、treVoloオーディオチームによって厳選のチューニングが施されたオーディオニーズ別5種類のサウンドモードというソフトウェアを組み合わせた「treVolo オーディオシステム」が搭載されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の寸法はモニタスタンド込みで幅558mm x 高さ391~521mm x 奥行217mm(モニタ単体では64mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整に対応しています。90度回転ピボットにも対応しています。チルト角は上20度から下5度、スイーベル角は左右20度、高さ調整は最大130mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで5.6kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは3.4kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。
BenQ MOBIUZ EX2510Sの開封・付属品
まずは「BenQ MOBIUZ EX2510S」を開封していきます。「BenQ MOBIUZ EX2510S」のパッケージサイズは幅78cm×厚さ16cm×高さ51cmとなっており、24.5インチモニタが入っている箱としては若干大きめで、重量は8kg程度です。
パッケージサイズは大きめですが、側面には持ち手が付いているので成人男性なら問題なく持ち運べると思います。
各種付属品はスペーサーに蓋もなく収められているので、保護スペーサーをパッケージから取り出す際は、付属品が脱落しないように、付属品のある面が上になるように確認してから引き出してください。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」には、HDMIケーブル、ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。加えて後ほど説明しますが、IOポートカバーも付属しています。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
「BenQ MOBIUZ EX2510S」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されています。
フットプレートをフレームに差し込んで底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
モニタスタンドを組み立てたら、「BenQ MOBIUZ EX2510S」のモニタ本体背面の溝に斜め下の方向からモニタスタンドを差し込めば取り付け完了です。
モニタスタンドの取り外しは、根本の下にあるスイッチでロックを外して、装着した時と逆に動かして引き出すだけです。
BenQ MOBIUZ EX2510Sの液晶モニタ本体
続いて「BenQ MOBIUZ EX2510S」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「BenQ MOBIUZ EX2510S」は概ねフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は8mm程度です。下側にはドットメッシュ状のパネルが装着されたフレームがあり、幅は25mm程度です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の背面に注目するとMOBIUZシリーズを象徴するX字で4分割されたスタイリッシュなデザインです。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のモニタスタンドにはケーブルホールがあるので、各種ケーブルをまとめることができます。
また「BenQ MOBIUZ EX2510S」のI/Oポートは外装パネルを大きく切り開く形で配置されていますが、付属のI/Oポートカバーによって背面から見てもスタイリッシュに仕上がります。I/Oポートカバーはプラスチックのツメでツールレスに簡単に着脱できます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のモニタ本体の厚さは最薄部で30mm、最厚部で70mmほどと最近の液晶モニタとしては標準的な厚みです。モニタ本体重量は3.4kg程度と軽量です。
BenQ MOBIUZ EX2510SにはtreVoloスピーカーと呼ばれる高音質な内蔵ステレオスピーカー(2.5Wx2)というハードウェアと、treVoloオーディオチームによって厳選のチューニングが施されたオーディオニーズ別3種類のサウンドモードというソフトウェアを組み合わせた「treVolo オーディオシステム」が搭載されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」に搭載されたスピーカーには、スピーカーの反応を速くし、力強いサウンドと自然な音を実現するデュアルコイル構造とデュアルマグネット構造が採用され、マグネットにはネオジム磁石が使用されています。
一般に近年薄型化の傾向のあるモニタではコンパクトで低出力なスピーカーしか搭載されていませんが、「BenQ MOBIUZ EX2510S」では内蔵スピーカーの音質が重視され、長く表面積を広くとったアルミニウム合金製コーンが搭載されています。
またウーファーのエンクロージャーは小型でも優れた低音を生み出すことが可能なスピーカーダクトを備えたバスレフ型構造(公式にはPorted Designと呼ばれる)が採用されています。アルミニウム合金製コーンとバスレフ型構造によって小さなスペースでも迫力ある重低音を響かせます。
treVoloスピーカーにはTrue Soundという独自技術も採用されており、内蔵されたDSPチップによって低ビットレートの録音または高圧縮レベルによる高周波数データの損失を検出した場合、高周波成分を補正してくれます。
ソフトウェア面でも、もともとBenQ内でスピーカーを作成していたtreVoloオーディオチームの経験を活用して厳選のチューニングが施されたオーディオプリセットが用意されています。OSD設定から、ゲーム、シネマ、ライブ/ポップの3つのサウンドモード(イコライザープリセット)が選択できます。
シネマモードは、特に映画を見るために設計されており、音声を調整してボーカルの質を高め、会話をクリアにし、低音を強化します。ゲームモードでは、音の定位と臨場感のある音声が強調されます。ライブ/ポップモードはリアルなライブ会場のような臨場感を演出するよう最適化されています。
モニタ本体背面のモニタスタンドフレームの根本の直下には下向きに各種I/OやAC端子が配置されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」にはビデオ入力等のI/Oポートとして左から順に、ヘッドホン出力用3.5mmジャック、2基のHDMI2.0ビデオ入力、1基のDisplayPort1.2ビデオ入力が実装されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右20度(40度)に対応しています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に20度となっています。
モニタの高さはモニタ本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で391mm〜521mmの範囲内で調整できます。
付属のスタンドは90度ピボットに非対応ですが、モニタを水平にできるよう、ピボット方向に数度の微調整が可能です。
BenQ MOBIUZ EX2510SはVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も3.4kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
なおVESAネジ穴が背面外装から窪んだ場所にあるモニタの場合、スライド式クイックリリースプレートを採用するモニターアームでは、背面外装とクリックリリースブラケットが干渉して設置できない可能性があります。また直接ネジ止めするタイプでも窪みの面積が狭くて、VESAブラケットとモニタ背面外装が直接干渉することも。
市販モニターアームのVESAブラケットがモニタ背面外装と干渉する場合はスペーサーやスタンドオフを使用してください。詳しくはこちらで。
オススメのモニターアームや調整機能が豊富なVESA汎用モニタースタンド、VESAマウントの干渉を避ける方法についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、導入を検討している人は参考にしてください。
BenQ MOBIUZ EX2510SのOSD操作・設定
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のOSD操作は、正面から見て右下方向のモニタ背面に設置されている操作スティックを主に使用します。操作スティックの下には電源ボタン、上にはルーピングキーと呼ばれるビデオ入力選択のショートカットキーがあります。操作スティックと誤って電源スイッチを押下してしまうことがあるので、電源スイッチは少し離れた場所に設置して欲しかったところ。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」では操作スティックを押下もしくは左右に倒すとクイックメニューが表示されます。(上下に倒すと音量調整のショートカットメニューが表示されます) また操作スティックの左隣にあるルーピングキーと呼ばれるショートカットキーを押下するとビデオ入力選択のショートカットメニューが表示されます。
クイックメニューの一番下にある「メニュー」を操作スティックで選択するとモニタ右下に詳細設定メニューが表示されます。詳細設定メニューは24.5インチ画面の6分の1ほど、文字自体も大きいので視認性は良いと思います。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は国内正規品であればアウトボックス時点で日本語UIが適用されているはずです。誤って日本語以外を選択してしまった場合は下記の手順で日本語に変更が可能です。
BenQ MOBIUZ EX2510SのOSDの特長として、OSD詳細設定にアクセスしなくても頻繁に使う項目を調整できる「クイックメニュー」や、ビデオ入力毎にクイックメニューのレイアウトを個別調整可能な「シナリオ」という機能が採用されています。
各ビデオ入力に割り当て可能なクイックメニューは「標準」、「ゲーム」、「シネマ」の3種類のプロファイルがあります。標準設定では「ゲーム」のプロファイルが割り当てられています。
OSD詳細設定の「入力」から各ビデオ入力を選択後に操作スティックをさらに右に倒すと、各クイックメニューに割り当てるプロファイルを選択できます。
ルーピングキー(1.)の入力切替やクイックメニューの最上段(2.)にあるカラーモードの2つは固定ですが、クイックメニューの2段目から4段目までの3項目は各プロファイルで自由に機能を選択できます。
ビデオ入力毎にクイックメニューのプロファイルを割り当てる機能は「シナリオ」と名付けられています。シナリオをオフにすると、全てのビデオ入力には標準のプロファイルが適用されます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のOSDメニューには大きく分けて、「入力」「クイックメニュー」「カラーモード」「Eye Care」「オーディオ」「システム」の6つの項目が用意されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の画質モードはトップメニューにあるカラーモードから選択できます。
プロファイルは、「ゲームHDRi」「シネマHDRi」「Display HDRi」といったHDR表示関連のモード(SDRソースの場合はHDR風になる)、「FPS」「RPG」「レーシング」といったゲームジャンル別のモード、さらに「カスタム」「sRGB」「M-Book」「ePaper」を加えた10種類が用意されています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」において、ゲーム関連や発色関連の各種OSD設定はカラーモードの各種プロファイル内に配置されています。
一般的なモニタOSDと違って、トップメニューから項目を探しても見つからないので注意してください。またカラーモード毎にグレーアウトして選択できない項目が予め決まっています。各自で自由に設定したい場合はカスタムが一番調整可能な項目の多いカラーモードです。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」においてゲーム関連の設定は各カラーモードプロファイル内で個別設定として用意されています。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「BenQ MOBIUZ EX2510S」では従来のBenQモニタ製品同様に「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されており、0~3の4段階で設定でき、数字が大きくなるほど補正が強くなります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はモーションブラーリダクション機能に対応しており、「ブレ削減」という名前で設定が用意されています。リフレッシュレートが100Hz以上の時に使用でき、ブレ削減を有効にするとVRR同期は無効化されます。
暗所を明るく(白く)表示して視認性を改善する「Black eQualizer」機能についてはFPSモードでのみ利用できます。Black eQualizerは0~10の11段階で設定が可能です。0は無効で、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
FPSモード以外のカラーモードでは類似の機能としてLight Tunerという設定が用意されています。Black eQualizerは黒レベルを引き上げて視認性を高めますが、Light Tunerは輝度・コントラスト・彩度を引き上げて明暗を強くする感じの調整です。
Light Tunerは-10~0~10の21段階で設定が可能です。0は無効で、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
画面の鮮やかさやトーンを調整することで視認性を改善する「色の鮮明さ(Color Vibrance)」機能については0~20の21段階で設定が可能です。
中央値の10は機能無効で、レベルを上げるほど彩度が強調され、レベルを下げるほど彩度が下がってモノクロ風に近づきます。
BenQ MOBIUZ EX2510Sの発色・輝度・視野角
BenQ MOBIUZ EX2510Sの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがBenQ MOBIUZ EX2510Sの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は165Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の発色について、色温度の標準設定である”通常”で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることもなく、特に違和感はありませんでした。
色温度設定には寒色(薄青)/通常/暖色(薄赤)の3種類のプリセットがありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はガンマカーブ設定にも対応しており、5種類の設定値があります。ガンマ3が標準設定です。ガンマ1~ガンマ5はそれぞれ実測ガンマの値が1.9、2.1、2.3、2.6、2.8に相当するようなモードになっています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は測光センサーによる輝度や色温度の自動調整機能「B.I. +(ブライトネスインテリジェンス プラス)」も用意されています。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 3は20万円程と非常に高価ですが、一般的な用途であれば測定精度は十分なので、イラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度30%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度60%前後です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は最大差分でも20%以内に収まるので中央の大半については輝度の均一性は悪くありません。個体差の影響も大きいですが、今回のサンプル機は左端や右上に寄ると輝度が下がる傾向です。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」については、やはり左右端、特に左上と右上が少し暗い印象です。全体白表示なので強調されているものの、輝度低下が30%程度を超えるとカラフルな表示でも注視すると輝度低下に気付くと思います。悪いというほどではないものの、やはり3万円程度のゲーミングモニタなので価格相応という感じです。
画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「BenQ MOBIUZ EX2510S」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
続いて「BenQ MOBIUZ EX2510S」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずモニタのOSD設定はカスタムモードを選択して、Light Tunerを0に、ディスプレイ輝度が120cd/m^2になるように調整しています。Light Tunerの補正を無効化していることを除けばカスタムモードの標準設定のままとなっており、OSD設定から任意に指定できる色関連の設定をデフォルトにした状態です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は標準モードでそのまま使用しても98% sRGBに加えて、78% Adobe RGB、81% DCI-P3という広い色域をカバーしています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は色域の広さは非常に優秀なのですが、色の正確性は平均ΔEが4.18とかなりズレが大きくなっています。X-Riteによると『ΔE=5程度で2つの色をかわるがわる見比べた時違いが分かるレベル』とのこと。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はPCゲーミングや映画視聴向けで迫力ある表示になるように最適化(色の調整)が施されているので、イラストレーターなど色の正確性が求められる用途では微妙です。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」で色の正確性が悪いのは、ガンマカーブのズレが原因です。今回の検証ではカスタムモードなどのカラーモードで選択できるガンマ設定を”3”にしていますが、一般的なガンマ2.2カーブとのズレがかなり大きくなっています。
ガンマ2.3相当の”3”設定だけでなく、ガンマ2.1相当の”2”設定など各種設定で入力RGB40以上でのズレが大きく、カラーモードをsRGBにした場合だけ(この時ガンマ設定はグレーアウト)、ガンマカーブがガンマ2.2の標準カーブに近づきます。
カラーモードをsRGBにすると色域がsRGBとピッタリ一致するので、Adobe RGBやDCI-P3を基準にするとカバー率が下がります。ガンマカーブが正常になるので、色の正確性は改善しますが、それでも平均ΔEは1.45程度です。
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」では色温度を標準設定でRGB強度が最適との表示だったので、そのままの設定でキャリブレーションを行いました。
X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション前の色の正確性はΔE 4.18でしたが、カラーキャリブレーション後にX-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 3.1に改善しました。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はカスタムモードなど色域が制限されないカラーモードにおいてガンマカーブが適切でなく、そのまま使用すると色精度が微妙ですが、カラーキャリブレーションを施せば、一応そこそこの色精度を得ることができます。
そもそもゲーマー向けブランドの製品なので当然と言えばそうですが、イラストレーターなど色の正確性が求められる用途には不向きなモニタです。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
一般的な液晶パネル(IPS/VA/TNに依らず)であれば下画像の左側のように青のピークだけが強く、残りの分離が弱い波形になりますが、LG製Nano-IPSで有名なKSF蛍光体や、Quantum Dot(量子ドット)といった最新技術が採用された液晶パネルは各色の分離が良く、ピークも急峻になります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のカラースペクトラムについては青色ピークの立ち上がりは鋭いものの、緑と赤の分離が弱く、また青に比べてピークも低いという一般的な液晶モニタらしい特徴です。
BenQ MOBIUZ EX2510Sの165Hzリフレッシュレートについて
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の最大の特徴の1つである165Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「BenQ MOBIUZ EX2510S」の特徴の1つである”165Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
1秒間に144回の画面更新を行う144Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」ではNVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.2のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを165Hzなどに自由に設定できます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDMI2.0ビデオ入力についてもフルHD解像度で165Hzリフレッシュレートに対応しています。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。
主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
なお「BenQ MOBIUZ EX2510S」で4K解像度/144FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「BenQ MOBIUZ EX2510S」を使用するのであれば2021年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 3080やAMD Radeon RX 6800 XTがおすすめです。
・GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
・Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
BenQ MOBIUZ EX2510Sの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「BenQ MOBIUZ EX2510S」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「BenQ MOBIUZ EX2510S」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されています。0~3の4段階で設定でき、数字が大きくなるほど補正が強くなります。標準設定は”1”になっています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のオーバードライブ設定は標準設定の”1”から”2”や”3”に引き上げることで、若干、応答速度が高速になるものの、低いリフレッシュレートではオーバーシュートの残像が多少出てしまいます。ただ、”1/2/3”の設定値では実用上、大した差はありません。
実際に”2”や”3”を使ってみて、違和感がなければ設定値を引き上げても良いですし、大した差ではないので標準設定の”1”で決め打ちにしてもいいと思います。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「BenQ MOBIUZ EX2510S」を165Hzリフレッシュレート、オーバードライブ設定を”AMA:3”で動作させると、ベストケースでも1つ前までの残像が薄っすらと見えました。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は製品スペックが1ms(MPRT)、2ms(GTG)なので、最新の1ms(GTG)なゲーミングモニタと比較するとやや遅めではありますが、スペック相応と言えばその通りです。
120Hzリフレッシュレートならオーバードライブ設定を”AMA:1”において、ベストタイミングでほぼ現在のフレームだけが表示される感じです。
ASUS VG279QのようなフルHD/144Hz+/IPS液晶ゲーミングモニタの初期製品だと2つ3つ前のフレームが残像で残っていたので、それと比べれば「BenQ MOBIUZ EX2510S」は大幅に優秀です。
一方でASUS TUF Gaming VG259Qのように1ms GTGを謳う製品に近い応答を見せる(パネルの素性が良く、ODのチューニングも最適な)ゲーミングモニタもあるので、後発製品としてはこのレベルを期待したかったところです。
さらに「BenQ MOBIUZ EX2510S」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は90~165Hzの高速リフレッシュレートにおいて、オーバードライブの設定値を標準の”1”から”2”や”3”に引き上げても応答速度は大して変化しません。
逆に60Hzリフレッシュレートにおいても”2”や”3”にすると多少、オーバーシュートによる逆像は強まりますが、実用的に強く違和感を覚えるほどではないと思います。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のオーバードライブ設定については、実際に使ってみて問題がなければ、”2”や”3”に設定値を引き上げても良いですし、面倒なら標準設定の”1”で決め打ちにしてもいいと思います。
「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3ms、360Hzの場合は5.6msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「BenQ MOBIUZ EX2510S」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「BenQ MOBIUZ EX2510S」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「BenQ MOBIUZ EX2510S」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「BenQ MOBIUZ EX2510S」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は標準的な60Hzから144Hz/165Hzのハイリフレッシュレートまで理想的なディスプレイ表示遅延を発揮しています。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
BenQ MOBIUZ EX2510SのFreeSync/G-Sync CPについて
続いて「BenQ MOBIUZ EX2510S」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は48Hz~144Hzの範囲内で「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」など可変リフレッシュレート同期に対応しています。
なお、2021年12月現在、GeForce Driver 497.29ではG-Sync Compatible認証を未取得でした。
NVIDIA環境からは「BenQ MOBIUZ EX2510S」のHDMI2.0ビデオ入力に接続時はVRR同期を使用できませんが、AMD製GPU環境やXbox Series X/SではVRR同期を使用できます。
当然、AMD製GPU環境でもAMD FreeSyncを有効化できます。DisplayPortとHDMI共に可変リフレッシュレート同期機能の対応フレームレートは48Hz~144Hzの範囲内です。
可変リフレッシュレート同期機能が正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「BenQ MOBIUZ EX2510S」のOSDメニューから確認できるリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになるので、機能が正しく動作しているかはここを見て確認してください。
AMD FreeSyncの使い方
可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方
可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
なおG-Sync Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。
続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。
FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。
またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。
BenQ MOBIUZ EX2510SのMBR機能について
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はモーションブラーリダクション機能に対応しています。モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
「BenQ MOBIUZ EX2510S」に搭載されたモーションブラーリダクション機能「ブレ削減」は、144Hzや120Hzなどリフレッシュレートが100Hz以上の時に選択できます。ブレ削減を有効にするとVRR同期は無効化されます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のモーションブラーリダクション機能では輝度やオーバードライブ設定はグレーアウトせず、通常時と同様に設定を変更できます。
まずはモーションブラーリダクション機能が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」の165HzリフレッシュレートでMBR機能が動作している時の様子を5760FPSスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPSで144Hzのモニタを撮影しているので、モニタの1フレームが更新されるまでを撮影した動画は35フレームに分割されます。
前述の通り35フレーム周期で1リフレッシュとなっていますが、明転時間は11フレーム、暗転時間は24フレームです。明暗比率は1:2なのでゲーミングモニタのMBR機能としては標準的です。なお輝度設定を変更した場合、明暗比率はそのままで、明転時のバックライト輝度が明るくなります。
またモーションブラーリダクション機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はMBR機能を使用しても最大250cd/m^2という十分な輝度を発揮でき、また通常時と同様に輝度は0%~100%で調整できるので、暗い環境から明るい環境まで幅広く対応できると思います。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」に搭載された「ブレ削減」などモーションブラーリダクション機能は、人の目の錯覚が引き起こす残像やボヤケを解消する機能なので、写真や動画を見せて残像が抑制されている様子を実際に見せるというような解説は厳密には不可能です。
そのためレビューでは管理人が試用してみたインプレッションを伝えることくらいしかできないのですが、MBR機能を有効にすると動いている物体の輪郭がクッキリとして確かに視認しやすくなりました。下の写真は管理人が「UFO Test: Strobe Crosstalk」を見た時の感覚を表現したイメージ図ですが、MBR機能を有効にすると輪郭のボヤケがなくなってネイティブスピードでも倍速ハイスピード動画のスローモーションで輪郭を追っている時に近い感覚で追従して見ることができました。
BenQ MOBIUZ EX2510SのHDR表示やCSゲーム機対応について
最後に「BenQ MOBIUZ EX2510S」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。HDR表示やCSゲーム機対応について | |
HDMI ver, ポート数 |
HDMI2.0×2 |
HDR表示 | 対応 |
VRR同期 | 併用可能 |
カラーフォーマット DisplayPort1.2 |
フルHD/165Hz/10bit RGB |
カラーフォーマット HDMI2.0 |
フルHD/165Hz/12bit RGB |
ピーク輝度(実測) | 419cd/m^2 |
輝度認証 | - |
ローカルディミング | 非対応 |
4Kエミュレート | 4Kエミュレート対応 |
PlayStation 5 | 4K/60FPS、フルHD/120FPS対応 |
Xbox Series X/S | 4K/60FPS、フルHD/120FPS対応 |
HDR表示への対応やカラーフォーマットについて
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDR表示に対応しています。VESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDRは取得していません。「BenQ MOBIUZ EX2510S」は映像ソース機器から常時、HDR信号を受け付けるように認識されますが、HDR映像の入力があると画像モードがHDRモードへ自動的に切り替わります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDRソースを検出した時に設定できる画像モードとして、「ゲームHDRi」「シネマHDRi」「HDR」の3つのモードが用意されています。
ゲームHDRiモードとシネマHDRiモードはその名の通りゲームや映画と言った映像ソースに最適化されています。BenQ独自のHDRテクノロジーであるHDRiによって、画像のコントラストと鮮明度を向上させ、より詳細な表示を可能とし、暗い部分では隠れている部分を鮮明に表示し、明るい部分は露出オーバーならないよう調整しているとのことです。
「ゲームHDRi」「シネマHDRi」「HDR」の3つのモードはモニタ右端に設置されたHDRiスイッチで表示されるショートカットメニューからも切り替えが可能です。
「HDR」ではSDR表示同様に輝度の調整が可能ですが、「ゲームHDRi」「シネマHDRi」ではディスプレイ輝度の項目がグレーアウトし、輝度制御が半自動になります。
またHDRモード毎に一部のゲーミング機能や色設定も排他利用(グレーアウト)になります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はDisplayPort1.2ビデオ入力で接続した場合、フルHD/165HzのHDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
また「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDMI2.0ビデオ入力で接続した場合、フルHD/165HzのHDR表示において、RGB 12bitのカラーフォーマットに対応します。NVIDIA環境は非対応ですが、AMD環境ではFreeSyncによるVRR同期も併用可能です。
HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。
従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。
「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。
HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。
HDR表示におけるディスプレイ輝度やローカルディミングについて
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はVESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDRを取得していません。VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「BenQ MOBIUZ EX2510S」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
近年のモニタにおいてHDRモードのディスプレイ輝度は高輝度領域の広さや高輝度表示の継続時間に依存するので、i1 Display Pro Plusを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。なお持続最大輝度は十数秒後で測定しているのでもう少し下がる可能性もあります。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は全体と10%部分、長時間の持続輝度のいずれも420cd/m^2の明るさで大きな変動はありませんでした。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」はHDR表示においてローカルディミングや可変バックライトには対応していません。
CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について
「BenQ MOBIUZ EX2510S」のサブ入力として設置されている2基のHDMI端子はHDMI2.0で、4Kエミュレートに対応しています。モニタの物理的な解像度が垂直1080なので実際の表示自体は当然フルHDにダウンスケールされますが、PlayStation 5やXbox Series X/Sに接続した場合、4K/60FPS対応モニタとして認識され、4K解像度のビデオ出力が可能です。
PlayStation 5やXbox Series X/Sのビデオ出力設定を4K解像度にすると、最新のデジタル著作権保護HDCP2.3に対応し、Ultra HD Blu-rayなど著作権保護のあるコンテンツも再生が可能になります。
PlayStation 5を「BenQ MOBIUZ EX2510S」に接続した場合、フルHD/120FPSに対応します。
Xbox Series X/SではフルHD/120FPSに加えて、可変リフレッシュレート同期機能も利用できます。
BenQ MOBIUZ EX2510Sのレビューまとめ
最後に「BenQ MOBIUZ EX2510S」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ24.5インチでフルHD解像度ゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角に優れたIPS液晶パネルで、99% sRGBの広色域
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI2.0×2の計3系統
- DP1.2はフルHD/165Hz/10bit RGB/HDR/VRRに対応
- HDMI2.0はフルHD/120Hzや、4Kエミュレートで4K/60Hz/HDRに対応
- 可変リフレッシュレート同期機能に対応(48FPS~165FPS)
- HDR表示における最大輝度は400cd/m^2 (HDR輝度認証は取得なし)
- PS5やXbox SXを接続時は4Kエミュレートで4K/60FPSに対応
- CSゲーム機でもフルHDなら120FPSに対応、VRR同期も使用可能
- モニタ本体重量3kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- 2チャンネルの高音質スピーカーを搭載
- 税込み3.0万円と安価 (2022年1月現在)
- 左右端の輝度低下が若干大きい
- ガンマカーブが特殊なのでイラスト関連など色の正確性が求められる用途には不向き
- OSDクロスヘアやリアルタイムリフレッシュレートなど便利機能はなし
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は1920×1080のフルHD解像度、ネイティブ165Hzの高速リフレッシュレート、IPS液晶というスペックで、それ自体は2022年現在では珍しくありませんが、製品価格が3万円前半とコストパフォーマンスに優れたゲーミングモニタです。
「BenQ MOBIUZ EX2510S」は、物理解像度がフルHDなのでダウンスケールはされてしまいますが、HDMI2.0ビデオ入力は4Kエミュレート機能に対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sといった最新CSゲーム機を接続した場合に4K/60FPS/HDRに対応したゲーミングモニタとして使用できます。
またネイティブ対応解像度のフルHDならPlayStation 5やXbox Series X/Sで120FPS対応のゲーミングモニタとしても使用でき、さらにXbox Series X/Sのように接続機器が対応していればHDMIビデオ入力において可変リフレッシュレート同期機能も利用できます。
PlayStation 5やXbox Series X/Sと組み合わせて使用するフルHD解像度のゲーミングモニタを予算3万円程度で探している、ということであれば、「BenQ MOBIUZ EX2510S」はオススメできる製品です。
以上、「BenQ MOBIUZ EX2510S」のレビューでした。
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【3万円で買う、PS5用ゲーミングモニタ!】
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 13, 2022
PlayStation 5でHDR表示や120FPSに対応し、4Kエミュレートも利用可能なフルHD/165Hzの24.5インチIPS液晶ゲーミングモニタ「BenQ MOBIUZ EX2510S」をレビュー。
PCやXbox Series X/Sなら可変リフレッシュレート同期機能もhttps://t.co/YU0iI2zYOl pic.twitter.com/9mkcJadq3c
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