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iCUEによるファン制御や電力モニタリングに対応、50%負荷時に92%以上の優れた変換効率を証明する80PLUS Platinum認証取得で、電源容量1500Wのウルトラハイエンド電源ユニット「CORSAIR HX1500i(型番:CP-9020215-JP)」をレビューします。
セミファンレス機能 Zero RPMファンモード、専用アプリ iCUEによる電源パフォーマンスのリアルタイムモニタリングや電源冷却ファン制御に対応するなど、隙のないハイエンド電源ユニットです。
代理店公式ページ:
https://www.ask-corp.jp/products/corsair/power-supply/hxi-2022.html
https://www.links.co.jp/item/hx1500i-2022/
製品公式ページ:https://www.corsair.com/ja/ja/カテゴリー/製品/電源ユニット/HXi-Series-完全モジュール式-ATX-電源/p/CP-9020215-JP
CORSAIR HX1500i レビュー目次
1.CORSAIR HX1500iの外観や概要について
2.CORSAIR HX1500iのケーブルや電源端子について
・別売りケーブルでPCIE5.0電源(12VHPWR)にも対応
3.専用アプリ「iCUE」:セットアップと基本的な使い方
4.CORSAIR HX1500iのファン制御やOCP設定
5.CORSAIR HX1500iの負荷別のファンノイズについて
6.CORSAIR HX1500iのレビューまとめ
CORSAIR HX1500iの梱包・付属品
早速パッケージを開封してCORSAIR HX1500iの外観や付属品をチェックしていきます。「CORSAIR HX1500i」のパッケージの構造はN式箱で、天面を短辺方向に開くので開封時のスペースが最小限です。キャラメル箱型の外スリーブや長辺方向に開くN式箱でないのは個人的に好感が持てるところです。
旧HXiシリーズのパッケージは横長でキャラメル箱と呼ばれる外装スリーブに茶色のダンボール製内パッケージという構造になっており、若干開け難かったので地味に嬉しいポイントでした。
「CORSAIR HX1500i」はメーカー10年保証ですが、国内市場においても国内正規代理店のアスクやリンクスインターナショナルを介して同じく10年保証が提供されます。同製品を取り扱う代理店は2つあり、サポートの際には入手した製品の卸元に問い合わせる必要があります。
代理店のシールはサポートで必要になることがあります。シュリンクの上から貼り付けられていることが多いので、失くさないように納品書やレシートと一緒に保管して置いてください。
パッケージを開くと、左側にスポンジのスペーサーで保護された電源ユニットが、右側にはモジュラーケーブル各種とACケーブルが収められています。
プラグインケーブル以外に、固定ネジ、ACケーブル、内部USBケーブル、ケーブルタイが付属します。
「CORSAIR HX1500i」はWindows上で電力情報・温度・ファン速度のモニタリング、ファン制御、OCP設定が可能な専用ソフトウェアiCUEに対応しており、PCと接続するためのUSBケーブルが付属します。電源ユニット側はUSB Type-C端子、マザーボード側は内部USB2.0ヘッダーとなっています。
マザーボード上の内部USB2.0が不足している場合は内部USB端子を2基備えたCORSAIR Link用新型ハブ「CORSAIR Commander PRO」や内部USB増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」がおすすめです。
「CORSAIR HX1500i」本体をチェックしていきます。
「CORSAIR HX1500i」の電源ユニット本体は次のようになっています。
旧HXiシリーズはブルーをアクセントにした製品ロゴシールが貼られていましたが、「CORSAIR HX1500i」などHXi 2022年バージョンではシンプルな白色のメーカーロゴ&製品名テキストロゴに変わっています。
冷却ファンのファンガードも針金型から、筐体外装と一体化し、三角形を組み合わせたエアスリットに変わっています。
「CORSAIR HX1500i」の奥行は200mmです。ちなみに下位モデルHX1000i(2022)は奥行180mmです。
「CORSAIR HX1500i」は50%負荷時の変換効率が92%以上の80PLUS Platinum認証を取得しているとはいえ、電源容量1500Wの超大容量な電源なので、電源容量的には普通です。とはいえ奥行200mmというのはかなり大きい電源ユニットなので組み合わせるPCケースには注意してください。
「CORSAIR HX1500i」の電源ユニット冷却ファンには現在主流な140mm角サイズ(135mm径)で、軸受けに流体動圧軸受(FDB:Fluid Dynamic Bearing)を採用、MTBF 100,000時間の高静音・長寿命ファンが搭載されています。
「CORSAIR HX1500i」は80PLUS Platinum認証の非常に優れた変換効率を生かして負荷50%(750W)以下においては、冷却ファンが停止するセミファンレス機能 Zero RPMファンモードにも対応しています。
「CORSAIR HX1500i」はATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なフルプラグイン式になっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。iCUE用のUSB Type-C端子も左上に実装されています。
「CORSAIR HX1500i」のACコンセントケーブルを装着する端子は自作PC電源で一般的なC13コネクタではなく、C19コネクタになっています。最大1500W対応電源なので基本的に付属のACケーブルを組み合わせるのが推奨ですが、どちらにせよC19のACケーブルを見つけるのは難しいので一応ご注意を。
コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。旧HXiシリーズの大きいロッカースイッチはテスト機材としてはかなり気に入っていたのですが、「CORSAIR HX1500i」では小型になっています。
CORSAIR HX1500iはPCIE補助電源やEPS電源など12V電源出力がシングルレール(ソフトウェア設定時)の最大125Aと非常にパワフルな電源ユニットです。
10コア以上のウルトラメニーコアCPUへ電力供給を行うEPS電源や、TGP300W超のウルトラハイエンドGPUへ電力供給を行うPCIE補助電源では、それだけで20Aを超える出力を要求することもありますが、「CORSAIR HX1500i」はそれらに対して安定した電力供給が可能な容量を備えています。
「CORSAIR HX1500i」は全てのコンデンサに日本メーカー製105℃電解コンデンサを採用しています。大きな電圧変動を受けても劣化しない電極箔に加え、低抵抗電解液の採用により超低ESR・超低インピーダンスを実現し、より長寿命で安定した電圧を提供します。
CORSAIR HX1500iのケーブルや電源端子について
「CORSAIR HX1500i」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。「CORSAIR HX1500i」に付属するプラグインケーブルは、ATX24PIN電源ケーブルだけ一般には比較的安価な製品に採用されることの多いスリーブまとめ型ケーブルとなっており、残りは全て高級電源に採用されることの多い省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブル(リボンケーブルで構成されています。
電力波形の安定化やノイズ低減のためコンデンサ等の素子を埋め込むのに適しているので、あえて取り回しの良いリボンケーブルではなくスリーブまとめ型ケーブルが採用されることもありますが、「CORSAIR HX1500i」のプラグインケーブルにはそういった素子の実装はありません。
「CORSAIR HX1500i」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
CORSAIR HX1500iの電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
CORSAIR HX1500iのATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのスリーブまとめ型ケーブルが採用されています。
PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「CORSAIR HX1500i」のプラグインケーブルではコネクタの側面に「PCIE」と「CPU」と表記されて、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
「CORSAIR HX1500i」にはEPS電源ケーブルとして650mmのケーブルが3本付属します。
メインストリーム向けでも高級なマザーボードではEPS電源として8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、「NZXT C1000 Gold」ではEPS電源8PIN端子は3基搭載されているので問題なく対応可能です。
EPS電源ケーブルのEPS端子をチェックすると、いずれも8PINを構成する2つの4PINはロックピンで簡単に固定・分離できる構造です。
「CORSAIR HX1500i」に付属するPCIE補助電源ケーブルは、8PINコネクタが1個で長さ650mmのストレートケーブルと、8PINからもう1つ8PINが分岐する長さが650+100mmのケーブルの2種類が付属します。PCIE補助電源の8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
「CORSAIR HX1500i」のPCIE補助電源ケーブルは、上記2種類のケーブルがそれぞれ3本ずつで計6本が付属しており、最大で9個の8PINコネクタを使用できます。
SATA電源ケーブルは4コネクタで全長750mm(450 + 100 + 100 + 100 mm)のケーブルが4本付属します。SATA端子は8基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
4PINペリフェラル電源ケーブルは4コネクタで全長750mm(450 + 100 + 100 + 100 mm)のケーブルが2本付属します。
「CORSAIR HX1500i」にはSATA電源や4PINペリフェラル電源のケーブルを接続できる6PINのプラグイン端子が6基あるのですが、上で紹介した通り、付属する電源ケーブルは4本のみです。
同じく6基のプラグイン端子があった旧モデルのHX1200iやHX1000iには6本の電源ケーブルがちゃんと付属していたので、ハイエンドクラスの製品と考えると少々残念なコストカットに感じます。
別売りケーブルでPCIE5.0電源(12VHPWR)にも対応
CORSAIR HX1500iは、別売りアクセサリの「CORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cable」を使用することで、PCIE5.0電源(12VHPWR)に対応します。GeForce RTX 4090などPCIE補助電源として12VHPWRを採用するグラフィックボードには、従来のPCIE補助電源8PINを3~4個使う変換ケーブルも付属していますが、このケーブルを使用すれば電源ユニットからケーブル1本だけでTGP450W以上のグラフィックボードに電力供給が可能になります。
CORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cable(長いので以下、CORSAIR 600W 12VHPWR Cable)は国内でも11月26日より発売予定です。
CORSAIR 600W 12VHPWR Cableのケーブル長は650mm程度でした。ケーブルは薄くて取り回しの良いリボンケーブルですが、ビニール被膜が硬めです。
CORSAIR 600W 12VHPWR Cableは「CORSAIR HX1500i」のPCIE補助電源/EPS電源用の8PINプラグインコネクタを2つ使用して、PCIE5.0電源(12VHPWR)コネクタへ電力供給を行います。
PCIE5.0電源(12VHPWR)は4ピンのサイドバンドシグナル(S3/S4)によって、電源側の最大供給可能電力が600W/450W/300W/150Wのどれなのか電源ユニットからPCIE拡張ボードへ伝えますが、少なくとも「CORSAIR 600W 12VHPWR Cable」のケーブル自体は規格最大値の600W給電に対応した電源ケーブルです。
*国内販売品や最新ロットでは12VHPWRコネクタに600Wの印字なしに変更されています。
CORSAIRとしては600W対応以外(450W対応など下位グレード)の電源ケーブルを販売しておらず、その予定もないとのことなので、印字なしの国内販売品も正式に600W対応です。
実際に「CORSAIR HX1500i (2022)」にCORSAIR 600W 12VHPWR Cableを組み合わせて、GeForce RTX 4090を接続してみたところ、グラフィックボードは正常に動作し、またRTX 4090に付属するPCIE 8PINの4分岐変換ケーブルを使用した時と同じく、450Wを超える電力制限の引き上げにも対応していました。
専用アプリ「iCUE」:セットアップと基本的な使い方
CORSAIRは同社製アプリケーション「iCUE (CORSAIR Utility Engine)」を基本とした独自のエコシステムを展開しています。今回検証する「CORSAIR HX1500i」だけでなく、CORSAIR製の電源ユニット、システムメモリ、CPUクーラー、ゲーミングキーボードなど様々な機器をiCUEによって制御でき、様々なイルミネーション機器のライティングを同期させることもできます。
iCUEはCORSAIRの公式ページからダウンロードできます。
iCUE ダウンロードページ:https://www.corsair.com/ww/ja/icue
公式ページからiCUEのインストーラーをダウンロードして、インストールするところはポチポチクリックしていくだけで簡単です。日本語にも対応しています。セットアップ後は再起動を求められるかもしれませんが、その際は一度再起動してから再度、iCUEを起動してください。
インストールが完了したらデスクトップのショートカットアイコンからiCUEを起動します。
「CORSAIR DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」、「CORSAIR HX1200i」、「CORSAIR Commander PRO」などiCUE対応機器はホームというトップページに一覧表示されます。
画面左側にある「シーン」というプロファイルパネルからは複数の機器に対する設定をひとまとめにしたプロファイルを作成することができます。
上端バーの左にあるダッシュボードを選択すると、各種モニタリング情報を一覧表示できるダッシュボード画面が表示されます。
上端バーの右にある歯車アイコンを選択するとiCUEに関する一般設定がポップアップします。
センサーロギング機能もこの設定内に配置されています。ログファイルの保存場所、ログ間隔、ログ対象の選択など必要な設定項目は一通り揃っています。
ログの取得開始と停止も任意に実行できますが、いちいち『設定を開いて、センサーロギングに移動し』という手順は面倒なので、ロギングの開始と停止の切り替えボタンはホームやダッシュボードに配置しておいて欲しかったところ。
ホーム画面で各デバイスのアイコンを選択すると詳細設定画面が表示されます。
iCUEはCORSAIR Linkの後継アプリでもあるので、電源ユニットHX1200iやマルチコントローラー CORSAIR Commander PROなど従来CORSAIR Linkで操作していた機器に関する詳細設定も行えます。
専用アプリ「iCUE」:CORSAIR HX1500iのファン制御とOCP設定
専用アプリiCUEを使用したCORSAIR HX1500iのファン制御とOCP設定について紹介します。iCUEのトップページ上に表示されたCORSAIR HX1500iのアイコンを選択すると、CORSAIR HX1500iのファン制御や各種モニタリングを行える冷却ページが表示されます。
画面中央に並んでいる各種モニタリング値はいずれもiCUEのログ機能によってロギングが可能です。
「CORSAIR HX1500i」の設定ページからすぐにログを開始/停止できるようにショートカットスイッチを配置して欲しいところ。
画面中央に並んでいる各種モニタリング値のうちファン速度には制御プロファイルを選択するプルダウンメニューが表示されているので、それを展開すると「CORSAIR HX1500i」のファン制御プロファイルを変更できます。
ファン制御プロファイルは初期状態では標準設定のデフォルトのみですが、画面右下にある冷却プリセットの+アイコンを選択するとカスタムプリセットを追加できます。
「CORSAIR HX1500i」のファン制御は、電源温度など各種モニタリング値を制御ソースとしたファン回転数の比例カーブによる”カスタムカーブ”と、固定デューティ比で冷却ファンを制御する”固定%”の2種類から選択できます。
カスタムカーブではソース温度(20度~100度)に対して任意の6頂点でファンカーブを設定できます。ただしファン速度デューティ比は40%~100%の範囲内でしか指定できません。
「CORSAIR HX1500i」の場合は基本的に電源ユニット内部温度を制御ソースにすると思いますが、ファンカーブの下にあるセンサのプルダウンメニューからソース温度の変更も可能です。
デフォルトプリセットの場合、システムが起動してから電源負荷がファン始動閾値に達するまでファンか完全に停止するセミファンレス機能に対応し、またファン動作時も最小ファン速度は400RPM程度ですが、「CORSAIR HX1500i」のファン制御をカスタムプリセットで行う場合、最小ファン速度は900RPM程度となります。
「CORSAIR HX1500i」を使用する上で、静音性を重視するならデフォルトプリセットのままがベストです。カスタムプリセットは冷却性能重視で運用するためのオプション的な要素になると思います。
アラートタブでは「CORSAIR HX1500i」の電源温度をソースとして、指定値を超えた時に『LEDイルミネーションの発光カラーが変更される』、『PCをシャットダウンする』などのアラーム・セーフティ機能の設定が行えます。
デバイス設定タブを選択するとOCP設定が表示されます。「CORSAIR HX1500i」では+12V出力のOCP(過電流保護)の閾値をプラグイン端子(1つ1つor組み合わせ)ごとに設定する『マルチレールOCPと、全てのプラグイン端子をシングルレール扱いで1つの端子から大電流を出力できるようにする『シングルOCP』が選択できます。
マルチレールOCPはコネクタ1つから出力される電流を制限して接続機器が過電流によって破損するのを防止する機能です。
基本的には初期設定のマルチレールOCPで問題ありませんが、PCIE補助電源やEPS電源でコネクタ1つからの出力が大きく、OCPによって予期せずシステムがダウンする場合はシングルOCPに切り替えることで症状を回避できます。
CORSAIR HX1500iのファンノイズ
「CORSAIR HX1500i」の負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。「CORSAIR HX1500i」の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce RTX 3050、GeForce RTX 3060 Ti、GeForce RTX 3070、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon RX 6800 XT、Radeon RX 6900 XTなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spy/Extreme グラフィックテスト1を15分以上ループさせています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。
なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
・ラトックシステムのスマホ対応ワットチェッカー第2世代を試す
電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「CORSAIR HX1500i」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400Wはもちろん、TGP300W超のRTX 3080/3090を搭載した500W負荷どころか、1000W前後の電源負荷さえもノイズレベルは32dB以下という極めて優れた静音性を発揮しました。
公式仕様のファンカーブを見ると1200W負荷辺りからファンノイズが上昇し始めるようですが、日本国内の一般家庭コンセント出力的に1000~1200W負荷がせいぜいなので、「CORSAIR HX1500i」は実用的には負荷全域においてほぼ無音で運用できると言ってもいい静音性だと思います。
「CORSAIR HX1500i」の電源ユニット冷却ファンのファン速度は主に電源負荷に比例しており、1,2秒の遅延挿入はあるかもしれませんが、基本的に負荷に応じて即座にファン速度が変動します。(あとセーフティとしての温度制御の可能性も)
ファン速度は電源負荷に比例するので、電源負荷が乱高下するとファン速度も乱高下してしまうのですが、「CORSAIR HX1500i」は電源負荷が1000W未満ならセミファンレス時と大差ないノイズレベルに収まるので、基本的に問題にはならないと思います。(1000~1200W以上の負荷と低負荷の間で乱高下するような状態は滅多にないと思いますし)
「CORSAIR HX1500i」はTGP300W超のグラフィックボードにCore i9 12900Kなどメインストリーム向け最上位CPUを組み合わせた時のピーク負荷に近い700W程度の消費電力でもファンノイズは30db以下に収まります。
シングルグラフィックボード環境なら電源ユニットのファンノイズが煩く感じることはまずない、というかPCケース内からファンの動作を認識するのも難しいレベルだと思います。
「CORSAIR HX1500i」は1000W以上の負荷でも32dB以下という圧巻の静音性でした。
「CORSAIR HX1500i」は標準動作モードにおいて、負荷50%(750W)以下で冷却ファンが停止するセミファンレス機能 Zero RPMファンモードに対応しています。
「CORSAIR HX1500i」のファン速度は基本的に電力負荷に比例して変動しますが、セミファンレス動作は内部温度依存で変化するようです。
内部温度がセミファンレス動作可能温度(閾値1)を超えるまでは750W以上の電源負荷でもファンが停止し続けます。内部温度が閾値1を超え、同時に電源負荷が750Wを超過するとファンが始動します。(単純な猶予時間によりファン始動の遅延かもしれません)
一方で、電源負荷が750W以下であっても内部温度が臨界温度(閾値2)を超過すると強制的にファンが始動します。600W程度の負荷をかけ続けてみたところ、だいたい40分くらいでファンが始動しました。
電源負荷が閾値を超えてファンが一度始動すると、閾値よりも十分に低い電源負荷になってもすぐにはファンは停止しません。ファンが停止する条件は低負荷の状態で20分程度経過することのようです。なおPCをシャットダウンしてから起動しなおすとすぐにファンが停止した状態になります。
セミファンレス機能に対応した電源ユニットの一部ではファン始動時、瞬間的にファンが全速になり大きなファンノイズを発することがありますが、「CORSAIR HX1500i」は始動時の急激なファン速度の変化もなく、静かに始動します。
CORSAIR HX1500iのレビューまとめ
最後に「CORSAIR HX1500i」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量1500W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のウルトラハイエンド電源
- +12Vは125Aのシングルレール出力
- シングルグラフィックボード環境の500W以下の負荷に対してノイズレベルは30dB未満
- 1000~1100Wの負荷でもノイズレベルは32dB以下
- セミファンレス機能に対応、電源負荷50%以下でファンが停止
- iCUEによる電力モニタリングやファン制御に対応
- 10年間の長期保証
- 電源ユニット本体の奥行が200mmと大きい
- ATX 24PIN電源ケーブルは黒色スリーブまとめ型で太い
- プラグイン端子は6基あるがSATA/4P電源のケーブルが4本しか付属しない
- PCE5.0電源(12VHPWR)ケーブルは別売り
- 税込み6万円と非常に高価(2022年8月現在)
「CORSAIR HX1500i」は50%負荷時の変換効率が92%以上の80PLUS Platinum認証を取得かつ電源容量も1500Wの大容量、+12V出力はシングルレール125Aとなっており、GeForce RTX 3090/3080やRadeon RX 6900/6800 XTなどTGP300W超級グラフィックボードにも余裕で対応できます。
NVIDIA/AMDともにPCゲーミングにおけるマルチGPUのサポートを事実上中断しているので数年前のようにマルチGPUゲーミングPCに最適、とは言えませんが、クリエイターやAI研究のような用途では複数グラフィックボードを使用することもあり、HDDを数十台搭載するような大型サーバー機などにも対応できるので、サーバー・ワークステーション向け電源ユニットとしても最適な製品だと思います。
冷却ファンの静音性についても「CORSAIR HX1500i」は極めて優れた性能を発揮しました。一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度から、TDP300W超な最新ハイエンドGPU環境における500W程度、さらには700W程度というハイエンドゲーミングPCのピーク負荷まで、一般的なPCゲーミングシーンで想定される負荷に対してノイズレベル30dB未満に収まりました。
「CORSAIR HX1500i」は冷却ファンの制御において標準でセミファンレス機能 Zero RPMファンモードに対応しており、電源負荷750W以下において冷却ファンを完全に停止させることが可能です。TGP300W超のハイエンドグラフィックボードを搭載しても余裕でセミファンレス閾値以下に収まります。
セミファンレスで問題になりがちな、ファン始動時の急激なファン速度の上昇や、始動と停止を繰り返すことで(落差が大きいため)耳障りに感じるといった現象もありません。
ハイエンド電源として少し気になるところがあるとすれば、NVIDIAやAMDの次世代ハイエンドGPUから採用が噂されているPCIE5.0補助電源(12VHPWR)ケーブルが付属しないことでしょうか。
別売りアクセサリのCORSAIR 600W PCIe 5.0 12VHPWR Type-4 PSU Power Cableで対応は可能であるものの、やはりハイエンド電源なので標準で付属して欲しいところ。
前HXiシリーズは2014年の発売から2022年現在まで、なんと10年間長期保証の終了1歩手前までハイエンド電源ユニットとして最前線を走り続けたという自作PC界隈では稀に見るロングセラー製品でしたが、さらに大容量になった最上位モデル「CORSAIR HX1500i (2022)」や「CORSAIR HX1000i (2022)」は後継モデルとして見劣りするところのない製品に仕上がっていると思います。
以上、「CORSAIR HX1500i」のレビューでした。
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80PLUS Platinum認証取得で、電源容量1500Wのウルトラハイエンド電源ユニット「CORSAIR HX1500i」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) August 7, 2022
TGP300W超グラボを搭載する環境において静音動作が可能なのか徹底検証。https://t.co/p7mjpqNiu5 pic.twitter.com/P24oC1N6gL
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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