Crucial X8 Portable SSD 2TB


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NVMe M.2 SSDを内蔵しUSB3.2 Gen2接続によって最大1050MB/sの高速転送に対応する外付けモバイルストレージ「Crucial X8 Portable SSD 2TB(型番:CT2000X8SSD9)」をレビューします。
「Crucial X8 Portable SSD 2TB」をUSB3.2 Gen2でPCの外付けストレージとすることによって、内蔵ストレージやUSBメモリと比較して、どれくらい高速に大容量データを取り扱うことができるようになるのか徹底検証していきます。

Crucial X8 Portable SSD 2TB review_04982_DxO


製品公式ページ:https://www.crucial.jp/products/ssd/x8-portable-ssd





Crucial X8 Portable SSD 2TB レビュー目次


1.Crucial X8 Portable SSD 2TBについて
2.Crucial X8 Portable SSD 2TBの外観・付属品
3.Crucial X8 Portable SSD 2TBの検証機材や動作環境について
4.Crucial X8 Portable SSD 2TBのファイルコピー性能について

  【追記】 フォーマットとアロケーションユニットサイズについて

5.Crucial X8 Portable SSD 2TBのレビューまとめ


*以下、USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。


【機材協力:Crucial】


Crucial X8 Portable SSDについて

「Crucial X8 Portable SSD」シリーズはUSB3.2 Gen2接続のモバイルストレージです。USB3.1 Gen2やUSB3.0などホスト側に対する下方互換も備えています。
「Crucial X8 Portable SSD」は容量別で500GB(型番:CT500X8SSD9)、1TB(型番:CT1000X8SSD9)、2TB(型番:CT2000X8SSD9)の3モデルがラインナップされています。
Crucial X8 Portable SSD_include

「Crucial X8 Portable SSD」は高速帯域10GbpsのUSB3.2 Gen2接続でPCと接続するので、最大でシーケンシャル読出1050MB/sの高速アクセスを実現しています。メーカーによる製品保証期間は3年間です。
Crucial X8 Portable SSD_speed

「Crucial X8 Portable SSD」シリーズはPCに接続するモバイルストレージとしてだけでなく、HDDを内蔵するコンソールゲーム機のPS4やXbox One Xとの互換性もアピールされており、ゲームインストール先として使用することでロード時間が短縮できるので、ゲーム機用の外付けストレージとしても推奨されています。
次世代機のPS5やXbox Series X/Sではネイティブ対応タイトルの起動には非対応なものの、内蔵SSDが満杯になった時にネイティブ対応タイトルの避難先としては使用できますし、旧型下方互換タイトルであれば起動も可能なので、次世代ゲーム機用の外付けストレージとしても最適な製品です。
Crucial X8 Portable SSD_game


Crucial X8 Portable SSD スペック
容量 500GB
(型番:CT500X8SSD9)
1TB
(型番:CT1000X8SSD9)
2TB
(型番:CT2000X8SSD9)
インターフェース
USB3.2 Gen2 対応
(USB3.1 Gen2やUSB3.0など下方互換あり)
コントローラー
(メーカー非公式)
Silicon Motion SM2263
ASMedia ASM2362(NVMe to USB3.1 Gen2変換)
メモリ
(メーカー非公式)
Micron製QLC型96層3D NAND
外形寸法
縦110mm x 横52mm x 高さ11.5mm
重量
101g
連続読出 1050MB/s
連続書込 -MB/s
MTBF -万時間
保証期間 メーカー3年



Crucial X8 Portable SSD 2TBの外観・付属品

まずは「Crucial X8 Portable SSD 2TB」の外観や付属品について紹介していきます。
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パッケージを開くと透明プラスチック製スペーサーの中央に「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のSSD本体が収められています。
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ポータブルSSD本体を取り出すと、その下からUSBケーブル、クイックマニュアルが現れます。
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「Crucial X8 Portable SSD 2TB」に付属するUSBケーブル品は長さ15cm程度の短いUSB Type-C to Type-Cケーブルで、USB Type-C to Type-A変換アダプタも付属します。
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続いて「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のポータブルSSD本体をチェックしていきます。
Crucial X8 Portable SSDシリーズの製品寸法は横110mm×縦54mm×高さ11.5mmです。小型スマートフォンくらいのサイズ感です。
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Crucial X8 Portable SSDシリーズの筐体はブラックカラーのアルマイト仕上げアルミニウム製ユニボディコアを採用し、流線形フォルムはスマートな外観と手触りが優れているだけでなく、効率的に放熱してパフォーマンスを最大化します。
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Crucial X8 Portable SSDシリーズの中央部を含む大部分は上述の通りアルミニウム製の金属筐体ですが、左右ラインはラバー加工が施された素材になっていて、ポータブルSSDを置いた時の滑り止めや、角をぶつけた時の緩衝の役割を果たします。Crucial X8 Portable SSDシリーズは耐衝撃性にも優れ、2mの高さからの落下に対しても試験済みで信頼性が高いとのこと。
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「Crucial X8 Portable SSD 2TB」の重量は102gです。コンパクトなサイズと比較して、金属外装なのでズッシリとした重さを感じます。
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Crucial X8 Portable SSDシリーズの右端にはUSBケーブルを接続するためのUSB Type-C端子が実装されています。SSD本体のType-C端子にType-C to Type-AケーブルやType-C to Type-Cケーブルを接続して使用します。
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Crucial X8 Portable SSDシリーズにはType-C to Type-AケーブルやType-C to Type-Cケーブルはそれぞれ1本ずつ標準で付属しますが長さは0.3mなので、1.0mなど長いケーブルが欲しい場合は「エレコム USB-Cケーブル C-C USB3.1Gen2」や「エレコム USB-Cケーブル A-C USB3.1Gen2」がオススメです。いずれもUSB3.1 Gen2(帯域10Gbps)を正式にサポートしています。
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エレコム USB3.1 Gen2ケーブル Type C to Type-C 0.5m/1.0m
エレコム USB3.1 Gen2ケーブル Type C to Type-A 0.5m/1.0m
エレコム
Amazon.co.jpで詳細情報を見る

ちなみに同製品を分解した海外レビューサイトによると、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は、メモリコントローラーにSilicon Motion SM2263、メモリチップにMicron製QLC型96層3D NANDを使用したNVMe M.2 SSD、つまり同社製QLC型NVMe M.2 SSDのCrucial P1 2TBの同等品を、ASMedia ASM2362によってUSB3.2 Gen2に変換するという構造になっています。
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NVMe M.2 SSD to USB



Crucial X8 Portable SSD 2TBの検証機材や動作環境について

「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のファイルコピー性能を検証する前に、同製品の検証機材や動作環境について紹介します。
「Crucial X8 Portable SSD 2TB」の各種検証を行う環境としては、AMD Ryzen Threadripper 3970XやASRock TRX40 Taichiで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen Threadripper 3970X
32コア64スレッド (レビュー
マザーボード
ASRock TRX40 Taichi
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C14Q-32GTZN
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
3600MHz, 16-16-16-36-CR1
CPUクーラー ENERMAX LIQTECH TR4 II 360
ELC-LTTRO360-TBP (レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー
ビデオカード Palit GeForce RTX 3090 GamingPro OC
レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー


Samsung SSD 980 PRO 1TB review_05418_DxO
Crucial X8 Portable SSD 2TB review_05529_DxO


「Crucial X8 Portable SSD 2TB」はアウトボックス時点でファイルシステムがexFATにフォーマット済みとなっており、使用可能な空き容量は1.81TBでした。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_CDI



Crucial X8 Portable SSD 2TBのファイルコピー性能について

続いて本題となる「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のファイルコピー性能を検証していきます。

ファイルコピー検証の前に、まずは「Crucial X8 Portable SSD 2TB」の基本的な読み出し性能と書き込み性能を確認するため、CrystalDiskMark7.0.0(デフォルト, Mix , 8GiB)のベンチマーク結果を比較してみました。
「Crucial X8 Portable SSD 2TB」をUSB3.2 Gen2で接続すると公式に発表されている仕様値通り、連続読み出しで1000MB/s越えの高速アクセスが実現できています。連続書き込み速度も900MB/s越えで高速です。
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Crucial X8 Portable SSD 2TB_CDM7_USB3
Crucial X8 Portable SSDシリーズに内蔵されているとの非公式情報もある同社製QLC型NVMe M.2 SSDのCrucial P1をPC内蔵ストレージとしてNVMe(PCIE3.0x4)で接続するとNVMe M.2 SSDとして連続読み出しと連続書き込みで2000MB/s前後のアクセススピードを発揮します。
NVMe-USB3.2 Gen2変換に対して内蔵SSDの性能がボトルネックになることはないのがベンチマークスコアからも確認できます。
Crucial P1 SSD 2TB_CDM7


「Crucial X8 Portable SSD 2TB」に対して大容量データの連続書き込みを実行してみたところ、使用済み容量がゼロの状態では100GBを超える大容量なSLCキャッシュを使用でき、理想的な800~900MB/s程度の書き込み速度を安定して発揮しました。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_HDT
「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のSLCキャッシュは使用済み容量に応じた可変容量ですが、1.4TB程度まで使用済みにした状態で50GB容量の動画ファイル×2をコピー書き込みしたところ、90GB程度まではSLCキャッシュの超過に依る書き込み速度の低下が発生することはありませんでした。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_SLC-Cache_1.4TB-Fill
残容量が300GB程度の状態でも実効値として60GB程度のSLCキャッシュを使用できます。SLCキャッシュを超過すると書き込み速度は160MB/s程度まで大きく低下してしまいますが、実用上はSLCキャッシュを超過する書き込みが発生することはまずないので、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」においてSLCキャッシュ超過後の書き込み速度低下で不便を感じることはないと思います。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_HDT_1.5TB-Fill


続いて本題となる外付けストレージの性能評価で最重要項目となるファイルコピーにおける読み出し・書き込みについて性能比較をしてみました。
ファイルコピー性能の比較対象として、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のUSB3.2 Gen2とUSB3.2 Gen1との2種類の接続状態に加えて、USB3.2 Gen2接続のモバイルストレージ「WD_BLACK P50 1TB」、NVMe M.2 SSDの「Crucial P1 SSD 2TB」と「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、2.5インチSATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA SSD 2TB」、USBフラッシュメモリの「SanDisk Extreme PRO USB3.1フラッシュメモリ 256GB」でも同様に検証を行いました。

検証に使用するデータとしては次のような50GBの動画ファイル、80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)、1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBのフォルダ、5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBのフォルダの4種類を使用しています。
Copy File_1
Copy File_2
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ Aquacomputer kryoM.2に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movie-game
IntelやAMDのメインストリーム向け環境では2つのNVMe M.2 SSDに対して同時にアクセスが発生した場合に、CPU-チップセット間の帯域がボトルネックになることがありますが、今回検証機材として使用するTRX40マザーボードではCPU直結PCIEレーンで両方を接続しているので、帯域がボトルネックになることがありません。
2つのSamsung SSD 970 PRO 1TBに対して同時に連続読み出しを実行したところ、理想的な3500MB/sを安定して発揮しています。
TR4_NVMe SSDx2_Copy

「Crucial X8 Portable SSD 2TB」など各種検証ストレージとSamsung 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイル、80GBのゲームフォルダ、各種画像フォルダなどのコピーに要した時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
動画ファイル(50GB)のコピー読み出しにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」によるコピー時間は63秒ほどとなっており、USB3.0接続SSDと比較して2倍以上、内蔵SATA SSDと比較しても40%高速な転送を実現しています。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_1_movie_read
動画ファイル(50GB)のコピー書き込みにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」によるコピー時間は85秒ほどで、USB3.0接続SSDと比較して約2倍、内蔵SATA SSDと比較しても20%高速な転送を実現しています。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_2_movie_write

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
ゲームフォルダ(80GB)のコピー読み出しにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」によるコピー時間は120秒程でした。動画ファイルのコピー読み出しと同様に、USB3.0接続SSDと比較して2倍以上、内蔵SATA SSDと比較しても40%高速な転送を実現しています。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_3_game_read
ゲームフォルダ(80GB)のコピー書き込みにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」はUSB3.0接続SSDを2倍近く上回るパフォーマンスを発揮しています。ただしUSB接続モバイルストレージはランダム性のある書き込みに弱い傾向があり、内蔵SSDと比較して相対的に性能を落としています。とはいえ内蔵SATA SSDと同等の書き込み速度なので、実用レベルで考えて遅いというわけではありません。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_4_game_write

続いて1KB~1MBの画像ファイル10,000枚が入った3GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは1KB~1MBと比較的小さいのでゲームフォルダのコピーテストよりもベンチマークのランダム性能が重要になります。ただし合計サイズが3GBと小さいのでキャッシュ性能もコピー速度に効いてきます。
小容量画像ファイルを多数含むフォルダ(3GB)のコピー読み出しにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のコピー時間は21秒ほどとなっており、内蔵SATA SSDと同等の読み出し速度を実現しています。USBストレージながらランダム性能の高さが分かり、コンソールゲーム機の外付けストレージとしても期待できそうな結果です。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_5_pic3g_read
小容量画像ファイルを多数含むフォルダ(3GB)のコピー書き込みにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のコピー時間は58秒ほどとなっており、比較対象として載せている、同じくUSB3.1 Gen1接続にしたWD_BLACK P50 1TBと比較して大分時間がかかっています。
「Crucial X8 Portable SSD 2TB」の内蔵NVMe M.2 SSDとされるCrucial P1 2TBを直接PCのM.2スロットに搭載して同様のコピーテストを実行しても、その他のNVMe M.2 SSDと大きな差は出ないので、Crucial X8 Portable SSDに使用されているNVMe to USB3.1 Gen2変換コントローラーがランダムな書き込みを苦手としているのではないかと思います。 詳しくは追記で説明していますが原因はアロケーションユニットサイズでした。
USB接続ストレージは細かい多数のファイルのコピー書き込みが苦手ですし、3GB程度だと書き込みキャッシュが効いてくるのでPC内蔵SSDが優位です。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_6_pic3g_write

最後にデジタルカメラで撮影した原寸ファイルを想定した5MB~8MBの画像ファイル1,000枚が入った7GBのフォルダのコピーについてですが、1つ1つのファイルサイズは5MB以上で比較的大きいので、完全にシーケンシャル性能というわけではありませんが、シーケンシャルに近い形でアクセスが発生します。やはりキャッシュ性能も効いてきます。
比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダ(7GB)のコピー読み出しにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のコピー時間は11秒程度でした。USB3.0接続SSDの2倍近い性能であり、内蔵SATA SSDよりも大幅に高速です。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_7_pic7g_read
比較的大きい画像ファイルを多数含むフォルダ(7GB)のコピー書き込みにおいて、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は17秒ほどのコピー時間を要しています。
多くのテストでUSB3.1 Gen1接続にしたWD_BLACK P50 1TBを多少上回る性能を発揮している「Crucial X8 Portable SSD 2TB」ですが、3GB画像(1KB~1MB)フォルダのコピー書き込みほどではないものの、7GB画像(数MB)フォルダのコピー書き込みでもやはり若干速度を落としている印象です。
USB接続ストレージは細かい多数のファイルのコピー書き込みが苦手ですし、3GB程度だと書き込みキャッシュが効いてくるのでPC内蔵SSDが優位です。
Crucial X8 Portable SSD 2TB_copy_8_pic7g_write


【追記】フォーマットとアロケーションユニットサイズについて

「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は購入時点での初期フォーマットとしてファイルシステム自体は一般的なexFATなのですが、アロケーションユニットサイズが128KB(もしくは4096B)となっており、この設定がファイルコピー性能に大きく影響していました。

アロケーションユニットサイズはドライブの右クリックメニューで表示されるフォーマットによってWindows10 OSの場合、128KB、256KB、512KB……と複数の候補から選択できます。フォーマットを行うとアロケーションユニットサイズを変更できますが、初期化作業のためストレージ内のデータは全て消えるので注意してください。
また現在のアロケーションユニットサイズは、コマンドプロンプトを管理者実行してチェックしたいドライブパス(アルファベット)に対して、『chkdsk E:』と入力すると確認できます。
allocation unit size

アロケーションユニットサイズとは保存領域の最小単位です。例えばアロケーションユニットサイズが512KBの時に、700KBのファイルを保存すると1ユニット512KBを超過するので2ユニットで保存されます。2ユニットの総容量は1024KBですが、差分の324KBは使用できないデータ領域となってしまいます。
物理容量に対して保存できるデータ量を最大化するにはアロケーションユニットサイズは小さい方が良いのですが、アロケーションユニットサイズを小さくするとアクセススピードが遅くなる傾向があります。
最適なアロケーションユニットサイズは何かと言われると難しいのですが、以下の検証結果のようにファイルコピー速度を重視するのであれば、Windows10においてexFATにおける既定サイズとして適用される512KBを選択するのが良いようです。


下は「Crucial X8 Portable SSD 2TB」でアロケーションユニットサイズを128KBと512KBにした時のCrystalDsikMark7.0のベンチマーク結果です。この種のベンチマークではアロケーションユニットサイズの影響は多少あるものの、測定誤差と見分けが付きにくいというのが正直なところです。
Crucial X8 Portable SSD 2TB(128KB)_CDM7
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_CDM7

上の章で行ったWindowsエクスプローラー上での実際のファイルコピーテストを、アロケーションユニットサイズの128KBと512KBで比較した結果が次のようになっています。
単一動画ファイルのような連続性の高いアクセスでは大きな差は出ないのですが、ランダム性の強い書き込みアクセスではアロケーションユニットサイズ128KBで大幅に速度を落とします。
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_1_movie_read
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_2_movie_write
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_3_game_read
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_4_game_write
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_5_pic3g_read
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_6_pic3g_write
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_7_pic7g_read
Crucial X8 Portable SSD 2TB(512KB)_copy_8_pic7g_write







Crucial X8 Portable SSD 2TBのレビューまとめ

最後に「Crucial X8 Portable SSD 2TB(型番:CT2000X8SSD9)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • USB3.1 Gen2接続により連続リード1000MB/sの高速アクセスを実現
  • USB3.1 Gen1(USB3.0)接続と比較して実際のファイルコピーにおいて最大2倍も高速に
  • 外部電源不要なUSB端子からのバスパワー駆動
  • 堅牢な金属製外装のエンクロージャー
  • 下方互換もあるのでPS4やXbox Oneの外付けストレージとして使用できる
  • HDD内蔵ゲーム機なら外付けストレージにすることでゲームロード時間を最大で半分に短縮
悪いところor注意点
  • USBフラッシュメモリと比べるとサイズは大きい
  • 初期アロケーションユニットサイズが原因でランダム書き込みが遅い可能性がある
    WindowsシステムのexFATフォーマットで512KBに指定すると解消できる

「Crucial X8 Portable SSD 2TB」を検証してみたところ、帯域10Gbpsの高速規格USB3.2 Gen2接続に対応ということもあって、同規格をサポートするUSB端子を搭載した2020年最新マザーボードやモバイルPCと組み合わせると基礎的なベンチマークでは最大1GB/sを超えるアクセススピードを発揮しました。
実際のファイルコピーにおいても、50GBの動画ファイルや80GBのゲームフォルダのコピーにおいて、USB3.2 Gen2接続の「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は、一般的なUSB3.1 Gen1接続の外付けストレージやUSBメモリよりも2倍近い高速転送を可能にしています。

またUSB3.1 Gen2など最新規格に対応していても内蔵SSDが古くて性能が微妙というケースは割とよくあるのですが、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は非公式情報ながら内蔵SSDとして自作PC向けに同社から市販されているCrucial P1 SSDが採用されているらしいというのも魅力です。
連続読み出しと連続書き込みが2.0GB/s前後という優れた性能により、USB3.1 Gen2変換に対して内蔵SSDが性能のボトルネックになることがありません。

QLC型NANDが採用されたSSDなので連続した大容量書き込みによってSLCキャッシュ容量を超過してしまうと書き込み速度が200MB/s未満までガクッと落ちるという弱点がありますが、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」は速度低下の条件であるSLCキャッシュの容量は使用済み容量に比例するものの通常100GB以上あり、残り容量が300GBの状態でも60GB程度も使用できるという大容量なので、実用上、SLCキャッシュを超過することはないというのも魅力です。

また「Crucial X8 Portable SSD 2TB」はコンソールゲーム機との互換性もアピールされています。最新ゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sではネイティブ対応タイトルの起動には非対応なものの、内蔵SSDが満杯になった時にネイティブ対応タイトルの避難先としては使用できますし、旧型下方互換タイトルであれば起動も可能なので、次世代ゲーム機用の外付けストレージとしても最適な製品です。

以上、「Crucial X8 Portable SSD 2TB」のレビューでした。
Crucial X8 Portable SSD 2TB








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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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