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VRR同期機能やVESA DisplayHDR 600に対応し、4K解像度かつ144HzリフレッシュレートでHDMI2.1ビデオ入力も搭載する32インチIPS液晶ゲーミングモニタ「Dell G3223Q」をレビューします。
期間限定でしたが6.7万円と激安で販売され、日本国内だけで数千ものオーダーが入ったとの噂まである話題沸騰のゲーミングモニタの実力を徹底検証します。
製品公式ページ:Dell 32 4K UHDゲーミング モニター - G3223Q
Dell G3223Q レビュー目次
1.Dell G3223Qの概要2.Dell G3223Qの開封・付属品
3.Dell G3223Qの液晶モニタ本体
4.Dell G3223QのOSD操作・設定
5.Dell G3223Qの発色・輝度・視野角
6.Dell G3223Qの144Hzリフレッシュレートについて
7.Dell G3223Qの応答速度・表示遅延
8.Dell G3223Qの可変リフレッシュレート同期について
9.Dell G3223QのHDR表示やCSゲーム機対応について
10.Dell G3223Qのレビューまとめ
Dell G3223Qの概要
「Dell G3223Q」は解像度が3840×2160の4K解像度、モニタサイズが32インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)で発色や視野角に優れたIPS液晶パネルが採用されており、95% DCI-P3(ΔE<3)、99% sRGB(ΔE<2)の非常に広い色域を実現し、工場出荷時にキャリブレーションも施されています。標準輝度は400nits(cd/m^2)、コントラスト比は通常1000:1、応答速度は4ms(GTG, OD:高速モード)、1ms(GTG, OD:最速モード)です。
「Dell G3223Q」はHDR表示にも対応しており標準輝度は440nit(cd/m^2)、HDR表示における最大輝度は600nits(cd/m^2)で、VESAがPCモニター向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDR 600を取得しています。
「Dell G3223Q」のリフレッシュレートはネイティブ144Hzに対応します。144Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
「Dell G3223Q」はゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証の取得は未定です。
「Dell G3223Q」のビデオ入力は1基のDisplayPort1.4、2基のHDMI2.1の3系統です。
またUSBハブとしてPCと接続するアップストリーム端子1つに加えて周辺機器を接続するためのダウンストリームUSB3.0端子が2基搭載されています。
「Dell G3223Q」のHDMIビデオ入力はver2.1なのでPlayStation 5やXbox Series X/Sを接続すると4K/120Hz表示に対応します。
「Dell G3223Q」はDisplayPort1.4で策定されている映像データの非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」に対応しています。DSCは映像データを非可逆圧縮しますが視覚的に画質を損なうことがなく、DisplayPortケーブル1本で4K解像度/144FPS/フルRGBの映像データの伝送が可能です。可変リフレッシュレート同期機能やHDR表示とも互換性があります。
「Dell G3223Q」の寸法はモニタスタンド込みで幅725mm x 高さ458〜558mm x 奥行247mm(モニタ本体の奥行は69mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整に対応しています。90度回転ピボットには非対応です。チルト角は上21度から下5度、スイーベル角は左右30度、高さ調整は最大100mmの範囲で調節可能です。モニタスタンドを含めた本体重量は9.2kg、モニタ単体重量は6.0kg前後です。100mm x 100mmのVESAマウントにも対応しており重量的にもモニタアームが使用可能です。
Dell G3223Qの開封・付属品
まずは「Dell G3223Q」を開封していきます。「Dell G3223Q」のパッケージサイズは幅90cm×高さ65cm×厚み36cmで、32インチモニタが入っている箱としては横幅が大きめです。重量は13kg程度です。上面には持ち手の穴はあるものの、成人男性でも1人で持ち運ぶのは少々大変だと思います。
「Dell G3223Q」はN式箱という構造になっておりスペーサーを外パッケージから引っ張り出す手間はありません。
パッケージを開くと液晶モニタ本体や付属品が収められた発泡スチロール製のスペーサーが現れます。スペーサーは2段になっており、上の段にはモニタスタンドやケーブルなどの付属品が、下の段には液晶モニタ本体が収められています。
「Dell G3223Q」は製品出荷前に95% DCI-P3(ΔE<3)、99% sRGB(ΔE<2)の品質になっていることを確認するため、ファクトリーキャリブレーションが行われており、カラーキャリブレーションレポートが同封されていました。
「Dell G3223Q」の付属品を簡単にチェックしておくと、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、USBアップストリームケーブル、ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。
各種ケーブルを個別に購入する場合のオススメ製品も紹介しておきます。
視覚損失のない非可逆圧縮機能DSCによって4K/144Hz/HDR 10bit RGBに対応するDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」を推奨しています。標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
HDMI2.1ケーブルについては「エレコム ウルトラハイスピードHDMIケーブル スリム CAC-HD21ESシリーズ」がおすすめです。標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
同製品は4.5mm径のスリムケーブルながら、HDMI2.1の正常動作を証明するUltra High Speed HDMIケーブル認証を取得しており、安心して使用できます。
当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
その他にもケーブル径5.0mm以下でスリムな48Gbps対応HDMI2.1ケーブルについてまとめた記事も公開しているので、こちらも参考にしてみてください。
長さ5m以上でも安定した動作が期待できる光ファイバー式HDMI2.1ケーブルでイチオシは、「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」です。
「Cable Matters Active 8K HDMI Fiber Optic Cable」は、HDMI協会の公式認証であるUltra High Speed HDMI認証を取得、さらにXbox Series X/S互換製品認証も取得しており、ケーブル性能の保証としては隙の無いカンペキな製品です。
5mが7000円、10mが10000円で光ファイバー式HDMIケーブルとしては標準的なお値段で、 信頼性の高さも考慮したらかなりリーズナブルだと思います。
当サイトでもGeForce RTX 30搭載PC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正常動作を確認しています。
「Dell G3223Q」ではモニタ内にACアダプタが内蔵されており、電源ケーブルとしてC13コネクタ(自作PC電源ユニットと同じ)のACケーブルを使用します。
「Dell G3223Q」のモニタスタンドはメインフレームとフットフレームの2つの部品から構成されています。
メインフレーム端にフットフレームを挿入して、底面のネジを締めるだけで簡単にモニタスタンドを組み立てられます。ネジにはレバーが付いているのでドライバー不要で組み立てが可能です。
モニタスタンドを組み立てたら、「Dell G3223Q」のモニタ本体背面の溝に斜め下の方向からモニタスタンドを差し込めば取り付け完了です。
モニタ側の根本にあるスイッチを押下するとモニタスタンドのロックが解除されます。モニタスタンドを装着した時と逆に手前方向に斜め上へ引き上げればモニタスタンドが取り外し可能です。
Dell G3223Qの液晶モニタ本体
続いて「Dell G3223Q」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「Dell G3223Q」はフレームレス構造ですが、フレーム内パネル上には非表示領域があり、上左右の非表示領域の幅は7mm程度です。上左右は完全にフレームレスですが、下側にはフレームがあり、幅は18mm程度です。
「Dell G3223Q」はディスプレイサイズが32インチなので、一般的な27インチの4Kモニタよりも大迫力な映像を楽しめます。(下写真は31.5インチと27インチのモニタをPS5と並べた時の比較です)
「Dell G3223Q」の背面は同社ゲーミングブランドALIENWAREのような近未来SF感のある曲面デザインが採用されており、プラスチック外装ながら光沢のあるメタリックグレーで安っぽさは感じません。
「Dell G3223Q」のモニタスタンドにはケーブルホールがあるので、各種ケーブルをまとめることができます。
「Dell G3223Q」のモニタ背面、逆V字ラインにはLEDイルミネーションが内蔵されており、通電時は青色に点灯します。OSD設定にはLED関連の設定が用意されておらず消灯はできません。
「Dell G3223Q」のモニタ本体の厚さは最厚部で70mmほどと30インチ級の液晶モニタとしては比較的にスリムです。モニタ本体重量は6.0kg程度と大きいのでモニタアームを使用する場合は耐荷重に注意が必要です。
「Dell G3223Q」の背面には下向きに各種I/Oポートが実装されており、右から順番に、アップストリームUSB3.0端子×1、DisplayPort1.4×1、HDMI2.1×2、少し離れて左端にACケーブル接続端子が設置されています。
「Dell G3223Q」の底面、ビデオ入力端子の右下には、ダウンストリームUSB3.0端子×2、ヘッドホン・イヤホン用ステレオ音声出力3.5mmジャックが実装されています。
「Dell G3223Q」の付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右30度(60度)に対応していま
「Dell G3223Q」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に21度となっています。
モニタの高さはモニタ本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、全高で458mm〜558mmの範囲内で調整できます。
Dell G3223QはVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も6.0kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
なおVESAネジ穴が背面外装から窪んだ場所にあるモニタの場合、スライド式クイックリリースプレートを採用するモニターアームでは、背面外装とクリックリリースブラケットが干渉して設置できない可能性があります。また直接ネジ止めするタイプでも窪みの面積が狭くて、VESAブラケットとモニタ背面外装が直接干渉することも。
市販モニターアームのVESAブラケットがモニタ背面外装と干渉する場合はスペーサーやスタンドオフを使用してください。詳しくはこちらで。
オススメのモニターアームや調整機能が豊富なVESA汎用モニタースタンド、VESAマウントの干渉を避ける方法についてはこちらの記事で詳細に解説しているので、導入を検討している人は参考にしてください。
Dell G3223QのOSD操作・設定
「Dell G3223Q」のOSD操作はモニタ背面の左下(正面から見て裏側の右下)に設置されている操作スティックと4つのボタンを使用します。電源ボタンは底面に実装されています。OSD操作ボタン各種から離れた位置にあり、誤押下の心配がないのは地味に嬉しいポイントです。
「Dell G3223Q」はアウトボックス後の初回起動時にOSD言語選択が表示されます。
操作スティックを押下するとモニタ右下に詳細設定メニューが表示されます。詳細設定メニューは32インチ画面の16分の1ほど、文字自体も小さいので視認性はあまり良くありません。
「Dell G3223Q」はアウトボックス後の初回起動時に言語選択が表示されますが、誤って日本語以外を選択してしまった場合は下記の手順で日本語に変更が可能です。
Dell G3223Qは操作スティックを押下すると詳細設定メニューが直接表示されますが、その下にある4つのボタン(一番上は戻る操作ボタン、下3つはショートカットキー1~3)を押下すると、ショートカットメニューが表示されます。
ショートカットメニューに表示されたアイコンの通り、ショートカットメニューを押下すると各種ショートカット設定が表示されます。ショートカット設定なのにボタン操作が2度手間なのは少々腑に落ちませんが。
3つのショートカットキーに割り当てる機能はOSD詳細設定メニューから変更が可能です。
「Dell G3223Q」のOSDメニューには大きく分けて、「ゲーム」「輝度/コントラスト」「入力信号」「ディスプレイ」「PIP/PBP」「オーディオ」「メニュー」「カスタマイズ」「その他」の9つの項目が用意されています。
Dell G3223Qの画質モードはトップメニューにあるゲームタブ内、「プリセットモード」の名前で配置されています。
プリセットモードには初期設定の「標準」に加えて、ゲーム種類別に「FPS」「MOBA/RTS」「RPG」「SPORTS」、ゲームに合わせて任意に色設定を調整可能なカスタムプロファイル「ゲーム1~3」、イラスト・動画などクリエイター向けの「作成者」、調整済み/マニュアル設定の色温度を適用できる「寒色」「暖色」「ユーザーカラー」の12種類が用意されています。
上記プリセットモードとは排他利用で「コンソールモード」という動作モードも用意されています。PlayStation 5やXbox Series X/Sといったコンソールゲーム機との互換性を高める機能です。DP1.4ではオフ、HDMI2.1(1)ではオンのように、ビデオ入力毎に設定できます。
「Dell G3223Q」においてゲーム関連の設定はゲームのタブ内で個別設定として用意されています。
ゲーム向上モードという設定項目からは、リアルタイムの画面リフレッシュレートを表示する「フレームレート」(可変リフレッシュレートが有効な場合、OSD表示がリアルタイムで変化する)、カウントダウンを表示する「タイマー」があります。OSDで照準を表示する機能がないのは残念です。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、Dell G3223Qでは「応答時間」の名前で設置されており、高速/超速/最高速の3段階で設定できます。
可変リフレッシュレート同期機能は「AMD FreeSync Premium Pro」の名前で設定項目が配置されています。
暗所を明るく(白く)表示して視認性を改善する「Dark Stabilizer (ダークスタビライザー)」機能も利用できます。Dark Stabilizerは0~3の4段階で設定が可能です。0は無効で、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。
PIP/PBP機能について
「Dell G3223Q」は2つのビデオ入力を画面上に同時に表示する「PIP/PBP」にも対応しています。PIP/PBPを有効にするとリフレッシュレートは60Hz上限となり、HDR表示は排他利用になります。
PBPでは主画面(左)と副画面(右)の表示比率を”50% - 50%”、”75% - 25%”、”25% - 75%”、”67% - 33%”、”33% - 67%”の5種類から選択できます。
Windows PCなど16:9アスペクト比以外にも対応するビデオ出力機器の場合、1920×2160や2560×2160といった解像度でフルサイズ表示が可能です。
16:9アスペクト比固定のゲーム機の場合、上下にストレッチすることなく、左右幅が最大になるようにリサイズされます。ネイティブ解像度でない場合の最大解像度は比率に依らず1920×1080です。
PIPでは副画面の表示位置は右上/右下/左上/左下、表示サイズは全画面1/16の小サイズと全画面1/4の第サイズの2種類で、計8種類から選択できます。サブ画面の最大解像度は表示サイズに依らず1920×1080のフルHDです。
PIP/PBPを有効にした時のビデオ入力が主画面となり、副画面は残り2つから自由に選択できます。ビデオ入れ替えを選択すると主画面と副画面のビデオ入力が入れ替わります。
「Dell G3223Q」のヘッドホン出力から出る音声のソースは主福から任意に選択できます。
画質設定は主画面の設定に依存しますが、コントラストだけは副画面に対して個別に調整が可能です。
Dell G3223Qの発色・輝度・視野角
Dell G3223Qの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがDell G3223Qの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「Dell G3223Q」に採用されているIPS液晶パネルはTN液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性や視野角など一般に画質に直結する性能が優れている反面、価格が高価になりがちな液晶パネルです。TN液晶パネルに比べて応答速度が遅めなので、60Hzオーバーのリフレッシュレートを実現しているIPS液晶パネル採用ゲーミングモニタは少ないため、輪をかけて高価です。とはいえ画質とリフレッシュレートを両立できるので、予算に糸目をつかないエンスーゲーマー勢に好まれています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説 - ゲーミングモニタの選び方[4]
「Dell G3223Q」は144Hzの高速リフレッシュレートながら、IPS液晶パネルが採用されているので視野角も良好です。
「Dell G3223Q」の発色について、プリセットモードの”標準”や”FPS”では固定となっていますが、”ゲーム1~3”では色温度(RGB強度)を任意に調整できます。
プリセットモード毎に調整可能な内容は異なりますが、PCゲーミング用途でゲームジャンル別の既定プロファイルの色味が合わないのであれば、”ゲーム1~3”を選択して各自で調整すればOKです。
色温度は「利得(ゲイン/Gain)」の設定項目で主に調整が可能です。一例として白色が黄色く感じる場合は、赤と緑の数値を数%程度下げてみてください。
青を100%のまま、赤と緑を95~98%くらいで調整すると、日本人が好む傾向の、青みのある白色になると思います。
その他にも「オフセット」「色相」「彩度」などの色調整にも対応しています。
「Dell G3223Q」はゲーミングモニターシリーズの製品ですが、イラスト製作や動画編集といったクリエイター向けのプリセットモードとして「作成者」モードが用意されています。
作成者モードを選択すると、「色空間」「ガンマ」「統一性補正」の3つの小設定項目が表示されます。
色空間の設定ではsRGBとDCI-P3の2種類を選択でき、95% DCI-P3(ΔE<3)、99% sRGB(ΔE<2)の色域・精度を実現する動作モードです。付属レポートに記載されているファクトリーキャリブレーションはこれらの動作モードで適用されます。
「作成者」モードでは2種類のプリセットを切り替えることしかできず、RGBの利得・オフセット・彩度などの調整はできません。
「Dell G3223Q」はプリセットモードの作成者やコンソールモードにおいてガンマの調整にも対応しており、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6の5段階で選択できます。
統一性補正は液晶パネル個体差で異なるディスプレイ輝度の均一性を補正する機能です。
同機能を有効にすることで、付属キャリブレーションレポートに記載されているように25分割輝度マップで輝度の差異が97~102%の範囲に収まるように調整されます。暗い場所を基準にして明るい場所を下げる補正なので、最大輝度は若干低下します。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。
検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
「Dell G3223Q」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「Dell G3223Q」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度30~40%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度70%前後です。
SDR表示で最大輝度が450cd/m^2以上なので非常に明るいモニタです。
製作者モードで使用できるディスプレイ輝度の均一性補正機能を有効にすると、最大輝度は300cd/m^2程度に下がり、設定値に対する輝度も変化します。
「Dell G3223Q」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
「Dell G3223Q」は中心から同心円状に外へ向かって輝度が下がる傾向、また右端の輝度低下が大きめですが、最大差分でも20%以内に収まるので輝度の均一性は悪くありません。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「Dell G3223Q」については全体を白表示にしても左右端ギリギリまでいかないと暗さを感じませんが、やはり左右端が少し暗い印象はあります。全体白表示なので強調されていますが、カラフルな画面が表示される実用シーンでは特に問題にならない程度だと思います。
「Dell G3223Q」のプリセットモードのうちクリエイター向けでその名の通り”作成者”モードには、ディスプレイ輝度の均一性を補正する機能があるので試してみました。
sRGBとDCI-P3のどちらの色空間モードでも、ディスプレイ輝度の均一性補正を有効にすると劇的に改善が見られました。
無効時は30%程度だった差分10%以内の領域が、90%以上に増えており、等高線マップの平坦さを見ても違いは一目瞭然です。
ディスプレイ輝度の均一性補正を有効にすることで、中央だけでなく四隅&四辺の輝度低下も大きく改善しています。
画面中央の白色点が約120cd/m2になるOSD設定において「Dell G3223Q」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
続いて「Dell G3223Q」の色域と色の正確性を検証してみました。
まずはモニタのOSD設定をプリセットモード:ゲーム1、ディスプレイ輝度のみ120cd/m^2になるように調整し、任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。
「Dell G3223Q」は標準モードでそのまま使用しても100% sRGBに加えて、89% Adobe RGB、92% DCI-P3という非常に広い色域をカバーしています。
色の正確性は平均ΔEが1.62となっており、悪くはありませんが、そこそこという感じです。X-Riteによると『ΔE=1程度で2つの色を横にくっつけて見比べた時に違いが判別できるレベル』とのこと。
参考までに作成者モードのsRGBとDCI-P3にした場合、色域と色精度の測定結果は次の通りです。
なお「Dell G3223Q」のプリセットモードで各種ゲームジャンルやゲーム1~3のカスタムモードなど、作成者モード以外を選択すると、標準的な2.2から大きくズレたガンマカーブになります。色精度を求める場合は作成者モードを選ぶか、カラーキャリブレーションでズレを補正してやる必要があります。
(ガンマカーブをOSDから選択できるのは作成者モードもしくはコンソールモードですが、コンソールモードのガンマ2.2はなぜか実測でガンマ2.4にズレている)
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
「Dell G3223Q」では色温度を標準設定(暖かい)にするとRGBの強さに差が大きいとアラートが出たので、手動で調整できるユーザー設定モードでR(赤)=98, G(緑)=97, B(青)=100としてキャリブレーションを行いました。
X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション前の色の正確性はΔE 1.62でしたが、カラーキャリブレーション後にX-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 0.4と非常に優秀な数値です。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
一般的な液晶パネル(IPS/VA/TNに依らず)であれば下画像の左側のように青のピークだけが強く、残りの分離が弱い波形になりますが、LG製Nano-IPSで有名なKSF蛍光体や、Quantum Dot(量子ドット)といった最新技術が採用された液晶パネルは各色の分離が良く、ピークも急峻になります。
「Dell G3223Q」については緑がややなだらかなものの、赤と青のピークは急峻で、一般的なIPS液晶パネルよりも赤緑青の3色の分離が良好です。
「Dell G3223Q」のディスプレイパネルについてはIPSという分類以外の詳細は不明でしたが、赤色ピークの左に小さい山がある特長から推測するに、KSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルのようです。
ちなみに「Dell G3223Q」を分解した海外レビューによると液晶パネルはAUO製(M320QAN02.C)です。
AUO製の4K/144Hz対応液晶パネルというと量子ドット技術(Quantum Dot Technology)が採用されているものが有名ですが、KSF蛍光体を採用する新種です。
ここ最近で発売の相次いでいるHDMI2.1搭載4K/144Hz液晶モニタのパネルとしては、LG製KSFp 27インチ、Innolux製KSFp 28/31.5インチ、AUO製QD 32インチに続いて、4番目のパネルとなります。
Dell G3223Qの144Hzリフレッシュレートについて
「Dell G3223Q」の最大の特徴の1つである144Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「Dell G3223Q」の特徴の1つである”144Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
1秒間に144回の画面更新を行う144Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「Dell G3223Q」ではNVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.4のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzなどに自由に設定できます。
ゲーミングPCとゲーミングモニタの接続にはDisplayPortを使用するのが現在の主流ですが、「Dell G3223Q」に搭載された2基のHDMIビデオ入力は最新規格HDMI2.1に対応しており、4K/144FPSの映像伝送が可能です。
NVIDIA GeForce RTX 30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのHDMI2.1ビデオ出力と接続した場合、「Dell G3223Q」はフルRGBで4K/144Hzの表示に対応します。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。
主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
なお「Dell G3223Q」で4K解像度/144FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「Dell G3223Q」を使用するのであれば2022年最新のハイエンドGPUであるNVIDIA GeForce RTX 3080やAMD Radeon RX 6800 XTがおすすめです。
・GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
・Radeon RX 6000シリーズのレビュー記事一覧へ
非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について
視覚損失のない非可逆圧縮伝送機能「Display stream compression (DSC)」について説明しておきます。Dell G3223Qの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「Dell G3223Q」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「Dell G3223Q」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
「Dell G3223Q」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「応答時間」の名前で設置されています。高速/超速/最速の3段階で設定できます。
「Dell G3223Q」のオーバードライブ設定は標準設定の”高速”が推奨設定です。”超速”や”最速”に引き上げることで、過渡応答は高速になるもののオーバーシュートの残像が出てしまいます。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
まずは簡単にシャッタースピードを十分に速くして「UFO Test: Ghosting」の様子を写真撮影してみたところ、「Dell G3223Q」を144Hzリフレッシュレート、オーバードライブ設定を”高速”で動作させると、ベストケースでは、薄っすらと1つ前の像が見える程度でした。
4K/144HzでGTG 1msというスペックのくくりで言えばLG製やInnolux製の液晶パネルを採用する製品には若干及びませんが、一方で同じAUO製液晶パネルでも量子ドット技術採用の製品よりは高速です。
さらに「Dell G3223Q」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
「Dell G3223Q」のリフレッシュレートをネイティブ対応する最大値の144Hzにした時、オーバードライブ設定は”高速”が最適設定です。さらに補正の強い”超速”に変更するとオーバーシュートの逆像が大きく発生します。144Hz限定ですが”最速”も実際に使ってみて違和感がなければ悪くありません。
可変リフレッシュレート同期機能を使用する場合、負荷に応じて60FPS~144FPSでフレームレート/リフレッシュレートが変動しますが、「Dell G3223Q」では”高速”が最適なOD設定です。
144Hz固定なら”最速”も検討してもいい感じの応答でしたが、60~120Hzではオーバーシュートで盛大に滲むのでVRR同期を有効にするなら非推奨です。
ここからはSONY DSC-RX100M5の960FPS(16倍速)よりもさらに高速な5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラを使用して「Dell G3223Q」の応答速度を比較検証していきます。
5760FPSスーパースローでも144Hz時のオーバードライブ設定について確認しておくと、960FPSスーパースローでも見た通り、”高速”が最適な応答を見せ、”超速”だと過渡応答は速くなりますがオーバーシュートによる逆像が非常に強く発生してしまいます。
144Hzリフレッシュレート時に限定ですが、”最速”がオーバーシュートで逆像は出るものの、”超速”ほど色滲みがありません。実際に動体を目で追った時にクッキリ感が増すので、144Hzリフレッシュレートで固定する場合、違和感がなければ”最速”でもいいと思います。
続いて5760FPS(96倍速)のスーパースローモーションカメラで同等スペックの液晶モニタと応答速度を比較します。
予備知識として2022年現在、4K/144Hz/HDMI2.1搭載ゲーミングモニタには、「LG 27GP950-B」などLG製パネル、「ASUS TUF Gaming VG28UQL1A」や「Acer Nitro XV282K KV」などInnolux製パネル、「ASUS ROG Swift PG32UQ」や「MSI Optix MPG321UR-QD」などAUO製パネルの3種類があり、LG製とInnolux製パネルが1ms GTGの公称スペックで実際に応答速度も最速、AUO製は少し遅いものの量子ドット採用で発色が最優という特長に分けられます。
「Dell G3223Q」との比較対象には、同じく4K解像度/144Hz対応の「ASUS TUF Gaming VG28UQL1A」と「LG 27GP950-B」と「ASUS ROG Swift PG32UQ」を使用し、144Hzリフレッシュレートで統一しています。
動画を見ての通り、「Dell G3223Q」に採用されている液晶パネルは上述の3つに当てはまらない、KSF蛍光体構造のAUO製パネルです。
量子ドット構造のAUO製パネルよりは高速ですが、LG製やInnolux製と比べると応答速度では劣るという中間に位置する性能です。
一方、発色では量子ドット構造のAUO製パネルが最も優れ、KSF蛍光体構造の中ではLG製には劣るものの、Innolux製よりも優秀という具合です。
「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3ms、360Hzの場合は5.6msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「Dell G3223Q」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「Dell G3223Q」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「Dell G3223Q」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「Dell G3223Q」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「Dell G3223Q」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「Dell G3223Q」は120Hzや144Hzの高速リフレッシュレートで理想的なディスプレイ表示遅延を発揮していますが、60Hzでは14~15ms程度余分に遅延が生じています。操作に違和感を覚えるほどではありませんが。
「Dell G3223Q」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
Dell G3223Qの可変リフレッシュレート同期について
続いて「Dell G3223Q」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「Dell G3223Q」は48Hz~144Hzの範囲内で「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」など可変リフレッシュレート同期に対応しています。2022年3月現在、GeForce Driver 512.15でG-Sync Compatible認証は未取得でした。
従来のNVIDIA製GPUではHDMI経由でG-Sync Compatibleは利用できないケースが多かったのですが、HDMI2.1では伝送技術の規格の一部としてVRR同期が内包されているので、「Dell G3223Q」ではHDMI経由でもG-Sync Compatibleを利用できます。
AMD製GPU環境でもAMD FreeSyncを有効化できます。可変リフレッシュレート同期機能の対応フレームレートは48Hz~144Hzの範囲内です。
NVIDIA G-Syncが正常に動作してリフレッシュレートが可変になると、「Dell G3223Q」のゲーム向上モードの機能の1つであるフレームレートによってオーバーレイ表示されるリアルタイムリフレッシュレートがフレームレートに合わせて変動するようになります。
可変動作リフレッシュレート同期機能が正常に動作しているかは、フレームレート(リアルタイムリフレッシュレート)がゲーム内フレームレートに合わせて変動しているかどうかを見て確認してください。
以下、「Dell G3223Q」で可変リフレッシュレート同期機能を使用する手順について説明しますが、共通の確認事項として、OSD設定で「AMD FreeSync Premium Pro」の項目をオンにしてください。
Dell G3223QのHDR表示やCSゲーム機対応について
最後に「Dell G3223Q」のHDR表示やCSゲーム機の対応(4Kエミュレートなど)についてチェックしていきます。HDR表示やCSゲーム機対応について | |
HDMI ver, ポート数 |
HDMI2.1 (24Gbps) ×2 |
HDR表示 | 対応 |
VRR同期 | 併用可能 |
カラーフォーマット DisplayPort1.4 |
4K/144Hz/10bit RGB |
カラーフォーマット HDMI2.1 |
4K/120Hz/12bit RGB |
ピーク輝度(実測) | 685cd/m^2 |
輝度認証 | VESA DisplayHDR 600 |
ローカルディミング | 対応(1D型) |
4Kエミュレート | 4Kネイティブ対応 |
PlayStation 5 | 4K/120FPS対応, YUV420 |
Xbox Series X/S | 4K/120FPS対応 |
HDR表示への対応やカラーフォーマットについて
「Dell G3223Q」はHDR表示に対応しており、VESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDR 600を取得しています。「Dell G3223Q」にはHDR表示に関連して、Smart HDRという設定項目があります。オフ以外の4種類いずれかが選択されている場合にHDR映像ソースに対応したモニタとしてビデオ出力機器から認識されます。
各HDRモードではディスプレイ輝度の項目がグレーアウトし、輝度制御が半自動になります。またHDRモードではプリセットモードやコンソールモードによる色設定の調整も排他利用になります。
4種類のHDR画質モードの中ではゲームHDRモードが多少マシですが、それでもSDR表示の時の鮮やかさと比べると、色味がくすんだ感じになります。
「Dell G3223Q」のHDR表示の発色は本来、プリセットモードとは関係なく、4種類のHDRモード毎に自動調整されるはずなのですが、SDR表示におけるプリセットモードを”作成者”、色空間を”sRGB”にしないと、彩度が低く表示されてしまいます。
ゲーム1~3等の各種プリセットモード、作成者モードのDCI-P3の全てで彩度が低くなってしまうので、HDR表示モードに切り替わった時に、sRGBエミュレート(色域の制限)がオンになってしまうファームウェアバグではないかと思います。
PCの場合は、デスクトップ作業はSDR、ゲームや動画でHDRという風に切り替えるはずなので面倒なのですが、プリセットモードはビデオ入力毎に割り当て可能なので、PlayStation5などHDR対応ゲーム機を接続するHDMIビデオ入力は作成者モード(sRGB)にしておくのがオススメです。
「Dell G3223Q」はDisplayPort1.4 DSCに対応しているので、最新グラフィックボードを搭載したゲーミングPCと接続した場合、4K/144HzのHDR表示において、RGB 10bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
また「Dell G3223Q」のHDMI2.1ビデオ入力の伝送レートはフルスペックの48Gbpsではなく24Gbpsですが、視覚損失のない非可逆圧縮機能 Display Stream Compression (DSC) 1.2aに対応しています。
最新グラフィックボードと接続した場合、4K/120Hz/HDR表示においてRGB 12bitのカラーフォーマットに対応します。G-Sync Compatibleなど可変リフレッシュレート同期機能も併用が可能です。
HDRについて簡単に説明すると、HDR(ハイダイナミックレンジ)というのは、RGBの光の三原色の映像情報に加えて、輝度(明るさ)の情報が備わった映像ソースのことです。
従来の表示機器や映像ソースでは10^3程度のダイナミックレンジしかありませんでしたが、HDRに対応することでダイナミックレンジが10^5程度と100倍近く拡張され、従来よりも細かい階調で明るさや暗さを表現できるようになり、「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるように画面の明るさを操作することで、白飛びや黒潰れをなくして高画質を実現しています。
HDRに関する説明は色々とあると思いますが、管理人は『明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗く』と大雑把に理解しています。
「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」するということは必ずしも”見えやすく”なるわけではありません。というか暗い場所は暗くなるので必然、暗い部分は見えにくくなります。逆に明るい場所が明るくなったら見えやすくなるかというと、再現可能な輝度の領域が増すので、ディスプレイによる描画は現実に近づきますが、太陽を覗き込んだ時のように特に明るい場所の周辺は光で潰れて(目の調光機能的な問題で)見えにくくなります。もちろん明暗が分かれることで境界線がクッキリして見えやすくなる場合もあります。
一部のゲーミングモニタに暗所を明るく(白く)して見えやすくする機能があるように、HDR表示は見やすさには直結しないので、見やすさという意味で画質が良くなるのかというと、その点はケースバイケースです。SDRダイナミックレンジの範囲内で平滑化されていた時に比べて、暗い部分が強調されることを考えると見えにくさの方が体感しやすい気がします。
HDRは原理的にはモニタから見える映像を”リアル”に近づける機能です。ただし実際のところはモニタ個別の色調設定などの都合で鮮やかになり過ぎたり色味が変わったりするので、「実際の視覚と同じ」という意味でリアルかというと疑問符が付くのですが。「明るい場所は明るく、暗い場所は暗く」なるので立体感は増して、平面表示の中に奥行を感じやすくなるという点ではリアルな表示に近づきます。個人的にはHDR表示の効果はSDRに比べて、鮮やかになって、立体感が増すと感じています。
4Kモニタの広告をフルHDモニタで見る以上に、SDRモニタでHDRについて体感的に理解することは困難です。なのでHDRについては店頭など実機で体験して気に入れば購入するくらいが正直なところおすすめです。HDRについては正直に言って”百聞は一見に如かず”な機能です。SDRモニタ上で調べるよりもHDR表示の実機を見て気に入るかどうかが全てな機能だと思います。
HDR表示におけるディスプレイ輝度やローカルディミングについて
「Dell G3223Q」はVESAがPCモニタ向けに展開している輝度認証のVESA DisplayHDR 600を取得しています。VESAがMicrosoft Store上で無料アプリとして公開しているVESA DisplayHDR Compliance Testsから、「Dell G3223Q」のディスプレイ輝度の扱いが確認できました。(データの読み方については管理人も怪しいので参考までに)
近年のモニタにおいてHDRモードのディスプレイ輝度は高輝度領域の広さや高輝度表示の継続時間に依存するので、i1 Display Pro Plusを使用してHDR時の最大輝度を条件別で測定してみました。なお持続最大輝度は十数秒後で測定しているのでもう少し下がる可能性もあります。
「Dell G3223Q」は高輝度領域が全体の場合、ピーク輝度と長時間の両方で680cd/m^2という非常に明るい表示が可能です。
10%部分(周辺は暗転)の場合は少し輝度が下がりますがそれでも630cd/m^2で、VESA DisplayHDR 600の基準値を十分にクリアする高輝度です。
VESA DisplayHDRの認証を取得するモニタの中には、OSD設定で用意された”DisplayHDR○○モード”のようなHDR動作モードでしか、基準輝度を超えないものもありますが、「Dell G3223Q」はゲームHDRなどその他のHDRモードでも600cd/m^2以上の高輝度を発揮可能です。
「Dell G3223Q」の4つのHDR画質モードはいずれもバックライト部分駆動(ローカルディミング)に対応しており、HDRモードに切り替わると自動的に有効になります。
その中でもDisplayHDR 600はその名前の通りVRSA DisplayHDR 600に準拠した動作モードとなっており、表示内容に応じて特に積極的にバックライトが制御されます。
「Dell G3223Q」のローカルディミング(バックライト部分駆動)は短冊状に分割するだけの一次元型で分割数は8分割と少ないので小さい輝点に対して広範囲のバックライトが点灯してしまいます。
DisplayHDR 600モードは縦に輝点がなければバックライトが消灯しているのが分かります。ローカルディミングのゾーン数が少ないので動画を見ての通り、輝点に対してかなりの広範囲でバックライトが点灯してしまいます。
ローカルディミングを採用するのであれば、フルアレイ型で少なくとも100単位のゾーン数は実現して欲しかったところです。
なお、ゲームHDRなど他のHDRモードもローカルディミングには対応しているものの、バックライトを消灯する方向の制御はあまり積極的ではなく、画面端に小さい輝点があるだけでも、全体のバックライトが点灯します。完全に暗転状態であればバックライトが消灯するのですが。
DisplayHDR 600モード以外のHDRモードにおけるローカルディミングは高輝度部分の輝度を上げるために動作する感じです。
CSゲーム機接続時の4KエミュレートやHDCP対応について
「Dell G3223Q」に搭載された2基のHDMIサブ入力はいずれもHDMI2.1に対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせた場合、4K/120Hzの表示が可能です。PlayStation 5のHDMI2.1ビデオ出力の帯域は規格上限の48Gbpsではなく32Gbpsなので4K/120Hzにおけるカラーフォーマットは最大でYUV422となりますが、「Dell G3223Q」のビデオ入力の帯域上限が24Gbpsであり、PlayStation 5は圧縮伝送機能DSCに対応していないので、「Dell G3223Q」とPlayStation 5を組み合わせた時の4K/120HzのカラーフォーマットはYUV420になってしまいます。
Xbox Series X/SやPlayStation 5のようにゲーム機が対応していればVRR同期機能も利用できます。
Dell G3223Qのレビューまとめ
最後に「Dell G3223Q」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ32インチで4Kゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 発色や視野角に優れたIPS液晶パネル
- 実測で92% DCI-P3、88% Adobe RGBの広色域
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はDisplayPort1.4とHDMI2.1×2の計3系統
- DP1.4はDSC機能によって4K/144Hz/10bit RGB/HDR/VRRに完全対応
- HDMI2.1は4K/144Hz/12bit RGB/HDR/VRRに完全対応 (PCでDSC対応時)
- 可変リフレッシュレート同期機能に対応(48FPS~144FPS)
- HDR輝度認証のVESA DisplayHDR 600を取得
- HDMI2.1搭載なのでPS5やXbox SXを接続時は4K/120FPSやVRR同期に対応
- モニタ本体重量6.0kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- 標準値下げやクーポン割り引き次第で6.7万円で購入できるかも (次回予定は未定)
- 背面のLEDイルミネーションは消灯できない
- HDMI2.1の帯域が24Gbpsなので、PS5と組み合わせた時に4K/120HzでYUV420になる
- ローカルディミングは1次元型で分割数も少ない
「Dell G3223Q」は3840×2160の4K解像度ながらネイティブ144Hzの高速リフレッシュレートで動作し、DP1.4 DSCやHDMI2.1によって4K/144HzをフルRGBで表示しながら、可変リフレッシュレート同期機能に加えて、DisplayHDR 600認証を取得する高輝度なHDRにも対応するというハイエンドゲーマー待望の欲張りスペックを実現した製品です。
「Dell G3223Q」はゲーミングモニタではまだ採用の少ない次世代規格HDMI2.1対応ビデオ入力を搭載しており、PlayStation5やXbox Series X/Sを接続した場合、4K/120FPSの表示が可能、またゲーム機が対応していれば可変リフレッシュレート同期機能も使用できます。大型テレビを置けない私室で、PlayStation5やXbox Series X/Sを使いたい人には最適なモニタです。
「Dell G3223Q」は可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」に対応しています。VRR同期対応フレームレートとして48FPS~144FPSの幅広いフレームレートをカバーしており、60FPS前後しか維持できない最新の高画質な重いゲームから、100FPS以上を維持できる競技性の高い軽めなゲームまで、テアリングやスタッターのないクリアで滑らかな表示を実現します。
また「Dell G3223Q」はDELL製モニタの中ではALIENWAREブランドの下位という位置づけながら、ゲーミングモニタブランドの製品ですが、”作成者”のプリセットモードではsRGBやDCI-P3の色空間に高精度で対応し、輝度均一性の補正機能を搭載するなどクリエイティブな作業にも対応可能なポテンシャルを備えています。
もちろんHWキャリブレーションに対応したガチのクリエイター向け製品には及びませんが、プレイ動画の編集などでゲーマーがそういったモニタ性能を要求することは珍しくない昨今なので、プリセットモードの切り替えだけで、ゲーミングモニタとクリエイティブモニタの2役をこなせるのは魅力だと思います。
「Dell G3223Q」は国内発売された4K/144Hz/HDMI2.1搭載ゲーミングモニタとしては、第4番目の液晶パネル、量子ドット(QD)パネルを先行して投入したAUOによるKSF蛍光体(KSFp)パネルが採用されています。
各種パネルの特長を簡単にまとめるとこんな感じです。
応答速度: LG製KSFp = Innolux製KSFp > AUO製KSFp >> AUO製QD
発色: AUO製QD >> LG製KSFp > AUO製KSFp > Innolux製KSFp
発色: AUO製QD >> LG製KSFp > AUO製KSFp > Innolux製KSFp
AUO製の量子ドット(QD)パネルを採用する製品は14~15万円と非常に高価なので、応答速度と発色において中間的な性能のパネルを採用したモニタが10万円以下で購入できるなら十分に競争力があると思います。
DELLの製品はパソコンしかりモニタしかり、値下げとクーポンの合わせ技で価格変動が大きく、価格を兼ね合わせての評価が難しいのですが、とりあえず3月11日の販売開始から数日の間、6.7万円という激安価格で購入できた人は確実に元をとれる製品だと思います。
ただ10万円前後となるとスペック的には妥当な価格ですが、ASUSやMSIからInnolux製KSFpパネル採用で同程度の価格、HDMI2.1 48GBpsのフルスペック、OSD設定も充実といった製品が出ているので、悩むところです。
以上、「Dell G3223Q」のレビューでした。
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VRR同期機能やDisplayHDR 600に対応し、4K/144HzでHDMI2.1ビデオ入力も搭載する32インチIPS液晶ゲーミングモニタ「Dell G3223Q」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 15, 2022
6万円台の激安で買えたゲーミングモニタは本当にお買い得だったのか、実力を徹底検証https://t.co/LLvOVGO7YY pic.twitter.com/qR7I8Sm2DT
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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