スポンサードリンク
12分割アドレッサブルLEDイルミネーションを搭載するメインストリーム向けDDR5メモリキット FURY Beast DDR5 RGBシリーズから、Intel XMP3.0による6000MT/sのメモリOCに対応する16GB×2枚組み=32GBのメモリキット「Kingston FURY Beast DDR5 RGB(型番:KF560C40BBAK2-32)」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.kingston.com/jp/memory/gaming/kingston-fury-beast-ddr5-rgb-memory
Kingston FURY Beast DDR5 RGB レビュー目次
1.Kingston FURY Beast DDR5 RGBの外観
2.Kingston FURY Beast DDR5 RGBのLEDイルミネーション
2.メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
3.Kingston FURY Beast DDR5 RGBのメモリOCを試す
4.Kingston FURY Beast DDR5 RGBのレビューまとめ
---【注意】--------------------------
メモリOCで有名なXMPプロファイルは「インテル エクストリーム・メモリー・プロファイル」の略称でありIntelの策定した規格なので、AMD Ryzen/Ryzen Threadripper環境において”XMPでOCする”等の表現をするのは厳密には正しくありません。
ただしXMPプロファイルに収録されたメモリ周波数とタイミングの設定値からAMD Ryzen環境に合わせたメモリOCプロファイルを自動生成する機能として、「ASUS D.O.C.P」や「MSI A-XMP」などが各社マザーボードのBIOS上に機能として用意されているので、AMD製CPU環境においてもXMPプロファイルを流用したメモリOCを当記事中では便宜上細かいことを気にせずに”XMPを使用したOC”などXMPとして表記します。
------------------------------------
*メーカーの事情でメモリ速度の単位を”MHz”ではなく”MT/s”としています。基本的に同じと考えて大丈夫です。
【機材協力:Kingston】
Kingston FURY Beast DDR5 RGBの外観
まず最初に「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」の外観をチェックしていきます。「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」はブリスターパックの簡易梱包となっています。
今回レビューする型番:KF560C40BBAK2-32は16GB×2枚組み32GB容量のメモリキットなので、ブリスターパックに2枚のメモリが収められています。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB KF560C40BBAK2-32」は16GB×2枚組み=32GBの2枚組メモリキットなので2枚のメモリが収められています。
Kingston FURYブランドの経緯について簡単に補足しておくと、KingstonのゲーミングブランドというとHyperXの名前で知られており、今回レビューするゲーミングPC向けハイパフォーマンスメモリ以外にも、マウス・キーボードやヘッドセットなど多くの製品が販売されていました。
2021年2月にゲーマー向け製品部門HyperXがHPに買収され、大半のゲーマー向け周辺機器の取り扱いは移譲されましたが、Kingstonの本業であるSSDやメモリの取り扱いは残ったので、HyperXブランドのメモリやSSDが2021年8月より順次リブランドされたという次第です。
HyperX時代にはミドルネームにFuryを冠する製品が多かったこともあり、Kingstonのゲーミング向けブランドは”FURY”として新生し、DDR4メモリではスタンダードゲーマー向けモデルがFURY Beast (RGB)、ゲーマー&OCer向けモデルはFURY Renegade (RGB)、モバイルPCやNUCなどで使用するSODIMMはFURY IMPACTとなりました。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」は、艶のあるブラックカラーで機械装甲のようなデザインの薄型アルミニウム製ヒートシンクを標準で搭載したOCメモリです。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」と先行して発売されたLEDイルミネーション非搭載のFURY Beast DDR5を比較すると、ヒートシンク側面デザインはほぼ共通ですが、LEDイルミネーションの光を拡散するディフューザーが上端に装着されている分だけ縦に大きくなっています。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」を真上から見るとLEDイルミネーションの発光を拡散する半透明ディフューザーがあり、その中央左寄りにはFURYのブランドロゴが描かれています。
FURY Beast DDR5はヒートシンク搭載ながら全高35mmのロープロファイル設計で大型空冷CPUクーラーとも高い互換性を備えた製品でしたが、「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」は全高42mmでヒートシンク搭載メモリとしては標準的な高さです。
ヒートシンクなしのDDR5メモリと比べると「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」の全高は約+10~11mmでした。
参考までにDDR4メモリですがFURYブランドのハイエンドOCメモリ FURY Renegadeと比較すると、デザイン面では「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のほうがシンプルです。
またメモリヒートシンクの厚みが小さいので、冷却性能はFURY Renegadeのほうが高く、メインストリーム向け製品と、高クロックOCに対応するハイエンド向け製品とで差別化も確認できます。Renegadeから6000MT/s超のXMPに対応したモデルが登場するのにも期待したいところ。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」を実際にマザーボードメモリスロットに装着するとこんな感じになります。
Kingston FURY Beast DDR5 RGBのLEDイルミネーション
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のLEDイルミネーションをチェックしていきます。「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のメモリモジュール上に実装されたLEDイルミネーションは12個のアドレスに分割されており、個別にライティング制御が可能なアドレッサブルLEDイルミネーションになっています。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」はソフトウェア制御を行わなくても、アドレッサブルな発光パターンでLEDイルミネーションが点灯します。標準発光パターンではCPUソケットを左、メモリスロットを右として、各メモリで下から上に7色に変化していきます。
Kingston FURY Beast DDR5 RGBは「赤外線同期テクノロジー(Infrared Sync technology)」という独自機能によって、ソフトウェア制御がない状態で時間が経過しても、全てのメモリモジュールの発光タイミングが綺麗に一致します。
他社製品では標準のアドレッサブルな発光パターンは時間の経過とともに各メモリモジュール間で色の遷移のタイミングがズレてくるのですが、Kingston FURY Beast DDR5 RGBならソフトウェア制御なしでも各メモリモジュールが同期した綺麗なライティングが可能です。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」の赤外線通信素子はメモリ端子の切り込み付近に実装されています。
Intel X299やAMD TRX40のように、メモリスロットがCPUソケットの左右に分かれている場合は、右側だけや左側だけであれば同期がとれるのですが、左右に分かれているメモリ同士は同期がとれず、時間の経過とともに発光にズレが生じます。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のLEDイルミネーションのライティング制御については、純正ソフトウェアのKingston FURY CTRLに加えて、ASRock Polychrome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど主要4社のマザーボードで使用可能なライティング制御機能とも互換性があります。
Kingston FURY CTRL公式ページ:https://www.kingston.com/jp/gaming/fury-control
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」はKingston FURY CTRLを使用することでレインボーやスペクトルのようなアドレッサブルRGBの発光パターンに加えて、メモリ上に実装された12分割アドレスに対して個別に発光カラーを適用することもできます。
メモリOC検証機材、メモリOCの基本と手順
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」の定格動作やXMP/手動設定を使用したオーバークロックの検証を行う前に、検証機材の紹介と、メモリOCの基本・手順についての説明をしておきます。「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」の検証を行う環境としては、Core i9 12900K&Z690マザーボードで構成される検証機を用意しました。
テストベンチ機の構成 | ||
CPU |
Intel Core i9 12900K (レビュー) |
- |
M/B | ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO (レビュー) |
- |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
- |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) | |
OS | Windows 11 Home 64bit | |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
メモリについては必要な容量(現在のゲーミングデスクトップPCなら16~32GBあれば十分)さえ満たせば、OCによる性能の向上はCPUやGPUのOCに比べると実感しにくい部類である、というのがIntel環境における通説でした。そのため管理人も一口にOCメモリと言っても性能向上を狙うよりはオシャレなヒートシンク目当てに自作PCの装飾的な感覚で購入するのが個人的にはオススメな買い方だと思っていました。
しかしながらAMD RyzenおよびAMD Ryzen Threadripper環境では、『Infinity FabricというCPU内外のコンポーネントを相互接続するインターコネクトの動作周波数がメモリ周波数に同期する』という構造上、メモリ周波数がエンコードや3Dゲームを含めた総合的なパフォーマンスに大きく影響することが知られています。
またIntel環境においても144FPS~240FPSのハイフレームレートなPCゲーミングではCPUボトルネックの緩和にメモリ周波数のOCが効いてきます。
OCメモリの選び方や具体的なオーバークロックの設定方法については、こちらの記事を参考にしてください。
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説
Kingston FURY Beast DDR5 RGBのメモリOCを試す
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB(型番:KF560C40BBAK2-32)」をIntel第12世代Core&Z690マザーボードの検証機材にセットアップしてメモリオーバークロックの動作検証を行っていきます。OCプロファイルによるメモリ周波数6000MT/s/メモリタイミングCL40のオーバークロックに対応する16GB×2=32GBメモリキット「Kingston FURY Beast DDR5 RGB(型番:KF560C40BBAK2-32)」については、SK Hynix製メモリモジュールが採用されていました。
(製品型番およびスペックはそのままでも、メモリモジュールについてはロットやバージョンで変更される可能性があります。)
前置きはこの辺りにして「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」を使用し、メモリOCを実践していきます。
Intelのメインストリーム向けCPUである第12世代Core-Sの16コア24スレッドモデルCore i9 12900KとZ690マザーボードの環境で「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」のOCプロファイルによるOCを実践してみました。Intel Z690マザーボードにはASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROを使用しています。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROの環境では、XMPプロファイルを適用するだけで16GB×2枚組み32GBで6000MT/s/CL40のメモリOCが安定動作しました。
Intel第12世代CPUでDDR5メモリを使用した場合、IMC周波数はGear2もしくはGear4で動作しますが、今回のOC検証ではAuto設定のままでもIMC周波数は2:1で同期するGear2でした。
続いて「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」の手動OCにチャレンジしてみます。
手動OCではメモリ電圧を1.350V以上に盛っていくのですが、Kingston FURY Beast DDR5 RGBのヒートシンクはOCメモリとしては比較的に簡素な仕様なので、熱要因でのメモリエラーの可能性を排除するため、スポットクーラーで冷やしながら検証しました。
まずは簡単にXMPプロファイルをベースにメモリタイミングを詰めてみたところ、主要メモリタイミングを変更するだけのカジュアル設定で、メモリ周波数を6000MT/s、メモリタイミング:36-36-36-96-CR2へとOC設定を引き上げることができました。
これくらいの設定であればメモリのOC耐性に個体差があってもメモリ電圧を多少盛るだけで対応できると思います。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」の手動OCとして、さらにメモリ周波数6400MT/sにチャレンジしてみました。
メモリ周波数/主要メモリタイミングおよびメモリ電圧だけのカジュアル設定でサクッと、とはいかず、いくつかサブタイミングも調整していますが、メモリ周波数を6400MT/s、メモリタイミング:36-39-39-102-CR2で安定動作も確認できました。メモリ電圧を1.430Vとかなり盛っていますが。
個体差もあると思いますが、「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」には手動OCの余地があり、電圧を盛ってサブタイミングをいくつか調整すればメモリ周波数6400MT/sで(もしくはさらに上の周波数でも)安定動作しそうです。
Kingston FURY Beast DDR5 RGBのレビューまとめ
最後に「Kingston FURY Beast DDR5 RGB(型番:KF560C40BBAK2-32)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 12分割アドレッサブルLEDイルミネーションを搭載
- 赤外線同期テクノロジーによってソフトウェアなしでも七色の変化が同期する
- 専用ソフトウェア FURY CTRLでライティング制御が可能
- ASRock Polychrome RGB SyncやMSI Mystic LightなどMBのライティング制御機能に対応
- 簡単にメモリのOCが可能なXMP3.0プロファイルを収録
- 5つのうち2つのプロファイルはユーザーが自由に書き換え可能
- Intel第12世代CPU環境でXMPによって6000MT/s, CL40が正常動作
- Intel第12世代CPU環境で手動OCによって6400MT/s, CL36が正常動作
- 2022年7月現在、DDR5メモリ一般に極端に品薄で、容量単価もDDR4より高い
- 赤外線同期テクノロジーによる同期はCPUソケットを挟むと機能しない
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB (KF560C40BBAK2-32)」の検証ではメーカー動作確認済みのOCプロファイルを使用することによって、Intel第12世代Core-S&Z690マザーボード環境においてメモリ周波数6000MT/s ,CL40のオーバークロックが手軽に行え、安定動作が確認できました。
「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のXMP 6000MT/s対応モデルには初期DDR5メモリとしてOC耐性の高さに定評のあるSK Hynix製メモリモジュールが採用されていますが、ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROの環境ではいくつかサブタイミングの調整も行ったものの、比較的に簡単なOC設定でメモリ周波数6400MT/sも安定しました。
XMPプロファイルによるOCが対応するのはメモリ周波数6000MT/sですが、メモリ電圧を盛っていけばメモリ周波数6400MT/s以上に手動OCできるポテンシャルはあるように思います。
12分割アドレッサブルLEDイルミネーションで色鮮やかにライトアップすることができるKingston FURY Beast DDR5 RGB」はPCをオシャレに装飾したいユーザーにとって非常に魅力的な製品です。
七色に変化するRGBもしくはアドレッサブルな発光パターンを標準にしているLEDイルミネーションは数多く存在するものの、いずれも時間経過とともに各メモリの発光カラーや変化にズレが生じますが、「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」は独自の赤外線同期テクノロジー(Infrared Sync technology)」によって、ソフトウェア制御がない状態で時間が経過しても、全てのメモリモジュールの発光タイミングが綺麗に一致します。
専用アプリFURY CTRLによるライティング制御も使い勝手が良くカスタマイズ性も高いですが、ソフトウェアを使わずそのまま導入するLEDイルミネーション搭載メモリの入門機としてもオススメできるメモリです。
以上、「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」のレビューでした。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
12分割ARGB LEDを搭載し、6000MHzのメモリOCに対応する16GB×2枚組みメモリキット「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) July 18, 2022
XMP3.0や、手動設定による6400MHzのメモリOCで徹底検証https://t.co/K1nkdgkqpV pic.twitter.com/W5LSz33FzS
関連記事
・【できる!メモリOC】 OCメモリの選び方から設定まで完全解説・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで6000MHz OCに対応!
・「Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」をレビュー
・「XPG LANCER DDR5」をレビュー
・Micron純正なDDR5メモリ「Crucial CT2K16G48C40U5」をレビュー
・「Kingston FURY Beast DDR5 RGB」をレビュー
・「G.Skill Ripjaws S5 DDR5」をレビュー
・「G.Skill Trident Z RGB F4-4000C14D-32GTZR」をレビュー
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C16Q-64GTZN」をレビュー
・「Team T-FORCE Xtreem ARGB DDR4」をレビュー
・「Crucial Ballistix」をレビュー。8枚256GBで3600MHz/CL16が安定動作!
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク