Lexar NM620 2TB



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最新3D NANDメモリチップを採用したハイパフォーマンスNVMe M.2 SSD「Lexar NM620 2TB(型番:LNM620X002T-RNNNG)」をレビューします。一般的なストレージベンチマークに加えて、PCゲームやAdobeアプリの実用性能、SLCキャッシュの使い勝手など徹底検証していきます。
DSC05746_DxO



製品公式ページ:https://www.lexar.com/jp/portfolio_page/ssd-nm620/





Lexar NM620 2TB レビュー目次


1.Lexar NM620について
2.Lexar NM620 2TBの外観
3.Lexar NM620 2TBの検証機材と基本仕様


4.Lexar NM620 2TBのベンチマーク比較
5.Lexar NM620 2TBの連続書き込みについて


6.Lexar NM620 2TBの実用性能比較

7.Lexar NM620 2TBのレビューまとめ



【機材協力:Lexar】



Lexar NM620について

「Lexar NM620」はメモリチップに最新3D NANDが採用された、NVMe(PCIE3.0x4)接続でM2280フォームファクタのM.2 SSDです。
「Lexar NM620」にはSSD容量として256GB(型番:LNM620X256G-RNNNG)、512GB(型番:LNM620X512G-RNNNG)、1TB(型番:LNM620X001T-RNNNG)、2TB(型番:LNM620X002T-RNNNG)の3モデルがラインナップされています。

「Lexar NM620」シリーズのアクセススピードは、最大でシーケンシャル読出3300MB/s、シーケンシャル書込3000MB/s、ランダム読出300,000 IOPS、ランダム書込256,000 IOPSの超高速アクセスを実現しています。

「Lexar NM620」シリーズのMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は256GBが125TBW、512GBが250TBW、1TBが500TBW、2TBが1000TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。


Lexar NM620 スペック一覧
容量 256GB
(LNM620X256G-RNNNG)
512GB
(LNM620X512G-RNNNG)
1TB
(LNM620X001T-RNNNG)
2TB
(LNM620X002T-RNNNG)
コントローラー
Innogrit IG5216
メモリー Micron製 TLC型 96層3D NANDメモリチップ
キャッシュ
-MB -MB -MB -MB
連続読出 3300MB/s
連続書込 1300MB/s 2400MB/s 3000MB/s
4Kランダム読出 92,000 IOPS/s 200,000 IOPS/s 300,000 IOPS/s
4Kランダム書込 240,000 IOPS/s 256,000 IOPS/s
消費電力 -
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 150万時間
耐久性評価 125TBW 250TBW 500TBW 1000TBW
保証期間 メーカー5年
※一部スペックはロットで変わる可能性があります。



Lexar NM620 2TBの外観

まず最初にLexar NM620 2TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
Lexar NM620シリーズは紙製パッケージに、プラスチック製スペーサーという、NVMe M.2 SSDとしては一般的な梱包です。
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Lexar NM620シリーズのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
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Lexar NM620シリーズの表面にはM.2端子を右端として、右からメモリコントローラーと4枚のメモリチップが実装されています。DRAMキャッシュレスなのでDRAMチップは搭載していません。
DSC05748_DxOs
Lexar NM620シリーズは500GBから最大容量の2TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
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Lexar NM620 2TBの検証機材と基本仕様

「Lexar NM620 2TB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Strage Test Bench_1
Strage Test Bench_2


「Lexar NM620 2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは1.63TBでした。
Lexar NM620 2TB_CDI



Lexar NM620 2TBのベンチマーク比較

「Lexar NM620 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Kingston KC2500 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Crucial P5 1TB(レビュー)」、「WD Black SN750 NVMe SSD 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark7.0.0f (8GiB)について、「Lexar NM620 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Lexar NM620 2TB」のベンチマークスコアは連続読み出し3100MB/s、連続書き込み2800MB/sとなりました。
Lexar NM620 2TB_CDM7
Lexar NM620 2TB_CDM7Samsung 970 EVO Plus 1TB_CDM7
Crucial P5 SSD 1TB_CDM7WD Black SN750 NVMe SSD 1TB_CDM7
Samsung 860 EVO 1TB_CDM7Samsung 860 PRO 1TB_CDM7

CrystalDiskMark7では連続読み出しが仕様値の3300MB/sに届いていませんが、NVMe SSDに最適化したアクセスタイプにテストが更新されている最新バージョンのCrystalDiskMark8を使用しても、「Lexar NM620 2TB」の連続読み3160MB/s程度でした。
公表されている仕様値には若干届きませんが、具体的な速度測定のソフトウェアや環境が公表されていないので、100~200MB/s程度の差は誤差だと思います。
Lexar NM620 2TB_CDM8


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Lexar NM620 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Kingston NV1 1TB_ATTO_QD1_read
Kingston NV1 1TB_ATTO_QD1_write
Kingston NV1 1TB_ATTO_QD4_read
Kingston NV1 1TB_ATTO_QD4_write
Lexar NM620 2TB_ATTO


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Lexar NM620 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Lexar NM620 2TB_AS
Lexar NM620 2TB_ASSamsung 970 EVO Plus 1TB_AS
Crucial P5 SSD 1TB_ASWD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Samsung 860 PRO 1TB_ASSamsung 860 EVO 1TB_AS



Lexar NM620 2TBの連続書き込みについて

「Lexar NM620 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。

TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2020年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)

このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。


最新3D NANDをメモリチップに採用する「Lexar NM620 2TB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、ストレージが空の状態では40GBの連続書き込みでも3GB/s程度の書き込み速度を安定して発揮しました。(Lexar NM620 2TBとHD Tune Proの相性が悪く50GB以上で上手くSLCキャッシュが割り当てられないため)
Lexar NM620 2TB_SLC-cache
使用済み容量0GBの状態で50GB動画ファイル×2を連続してコピーしていったところ、400GB程度を書き込んだところで、書き込み速度の低下が発生しました。以降はSLCキャッシュの開放が完了するまで、書き込み速度は1000MB/s程度に低下します。
Lexar NM620 2TB_write
SLCキャッシュが解放されるまで待ってから、今度はWindows上ボリュームで使用済み容量1TB(空き容量800GB)の状態で上記と同じく書き込みを行ったところ、150GB程度を高速なSLCキャッシュとして使用できました。
キャッシュ超過後の書き込み速度については、超過前後での書き込みアクセスや空き容量が影響しますが、前回のSLCキャッシュ超過から十分に時間が経っていれば500~1000MB/s程度をキープできるようです。SLCキャッシュを超過する大容量な書き込みアクセスが重なると一時的に100MB/s程度まで下がることもあります。
Lexar NM620 2TB_write_2
最終的に空き容量300GBの状態で、「Lexar NM620 2TB」に対して40GB容量の書き込みを行ってもSLCキャッシュを超過することはありませんでした。
「Lexar NM620 2TB」では空き容量に対して15~20%程度のSLCキャッシュが使用できるようです。数十GB以上のSLCキャッシュを超過しても500~1000MB/s程度の書き込み速度を維持でき、一度SLCキャッシュを超過しても、SLCキャッシュの開放にかかる時間も短いので、容量の大きさだけでなく総合的に使いやすいSLCキャッシュ構造です。
Lexar NM620 2TB_SLC-cache_300GB-Free



Lexar NM620 2TBの実用性能比較

「Lexar NM620 2TB」の実用性能をPCMark10 Storage Testを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage TestはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。

PCMark10 Storage Testは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark10 Storage Test_trace

ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Kingston NV1 1TB_PCM10_1_Summary


システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Kingston NV1 1TB_PCM10_2_Summary_System

ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Kingston NV1 1TB_PCM10_3_Summary_Game

データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
Kingston NV1 1TB_PCM10_4_Summary_Data

当レビュー記事中では簡単に、総合、システム、ゲーム、データの4種類のサマリーのみを取り挙げていますが、PCMark10 Storage Testの測定データの取り扱いに関する注意、リアルタイムでの最新データ(当レビュー記事のデータは執筆当時のものなので、新製品の比較データは掲載されていない)、個別のTraceの比較データについては下の記事で解説しているので、詳細についてはこちらを参照してください。
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較


PCMark10 Storage Testは『ゲームクライアントの起動からスタートメニューまで』のロード時間に対して、下の比較のように『スタートメニューから任意のセーブ状況まで』のロード時間では傾向が少し変わります。
SSD対HDDで2~3倍の時間差が生まれるのに対して、SSDの中では、QLCよりもMLC、SATAよりもNVMe、NANDよりもOptaneのようにして高速になる傾向は見受けられますが、それでもせいぜい1,2割程度と、実用的にはランダム要因な誤差に吸収されるくらいの時間差です。 今後PCゲームがさらに高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。

The Witcher 3ではグラフィック設定をフル解像度/最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からノヴィグラドの広場まで』のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、『スタートメニューのロード画面からシベリアの荒野まで』のロード時間を比較しています。


Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。




Lexar NM620 2TBのレビューまとめ

最後にNVMe M.2 SSD「Lexar NM620 2TB(型番:LNM620X002T-RNNNG)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 連続読み出し3.3GB/sと連続書き込み3.0GB/s(最大)
  • SLCキャッシュが大容量で、使用済みキャッシュの開放も速い
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • SLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する(おそらくTLC型)
    1TBモデルの場合は超過後の書き込み速度は500~1000MB/s程度

「Lexar NM620 2TB」を検証してみたところ、基本的なベンチマークや実用性能比較を見ての通り、NVMe SSDなのでSATA SSDよりは概ね高速ですが、DRAMキャッシュを搭載した国内でも有名どころの製品には及びません。


「Lexar NM620 2TB」は最新3D NANDメモリが採用されていること以外は、採用NANDチップの情報がありませんが、SLCキャッシュ超過後の書き込み速度を見たところTLC型3D NANDを採用しているようです。
「Lexar NM620 2TB」のSLCキャッシュ容量は空き容量によって変化し、Windows上ボリューム1.8TBのうち、0GB使用済みの状態なら400GB以上、1TB使用済みの状態でも150GB以上という大容量なSLCキャッシュ(おそらく空き容量の15~20%程度)が使用できます。
キャッシュ超過後の書き込み速度も超過前後での書き込みタスク次第でやや変化しますが500~1000MB/s程度と十分に高速ですし、使用済みキャッシュの開放も速いので、SLCキャッシュの超過後も含めて使い勝手が良いSSDだと思います。

DRAMキャッシュレスなので2021年最新SSDと比較するとアクセススピードや実用ベンチでは見劣りしますが、PCIE3.0対応NVMe SSDとしては十分な連続読み書き3GB/s前後はマークしており、SLCキャッシュの構造(使い勝手)に関してはかなり優良なので、大容量データの保守・保管用ストレージとしては使い勝手が良い製品だと思います。


以上、「Lexar NM620 2TB」のレビューでした。
Lexar NM620 2TB



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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