LOUQE RAW S1


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17×19cmの小フットプリントかつ
容積13.3Lのコンパクトサイズながら最長320mm/3スロット占有のフルサイズグラフィックボードを搭載可能な、Mini-ITX対応の縦長PCケース「LOUQE RAW S1」をレビューします。
CPUクーラーにはNoctua NH-L12 Ghost S1 Edition&NF-A12x15 PWMを使用し、Ryzen 9 5950XとRadeon RX 6900 XTの2021年最新AMD製パーツでコンパクトかつハイエンドなゲーミングPCを組んでみます。
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代理店公式ページ:https://techace.jp/index.php?route=product/product&product_id=3841
製品公式ページ:https://www.louqe.com/raw-s1/






LOUQE RAW S1の自作PC レビュー目次


1.LOUQE RAW S1について

2.LOUQE RAW S1の外観・梱包・付属品
3.LOUQE RAW S1の内部構造の概要

  ・Noctua NH-L12 Ghost S1 Editionについて

4.LOUQE RAW S1のグラフィックボード設置スペース
5.LOUQE RAW S1のストレージ設置スペース
6.LOUQE RAW S1の電源ユニット設置スペース
7.LOUQE RAW S1のファン設置スペース


8.LOUQE RAW S1の組み立て手順・ギャラリー
  ・Ryzen 9 5950X&RX 6900 XTを搭載したLOUQE RAW S1の冷え具合を試す

9.LOUQE RAW S1のレビューまとめ



【機材協力:Techace】



LOUQE RAW S1について

「LOUQE RAW S1」の概要を簡単で説明すると、『内部スペースを左右2分割のチャンバーとして、正面から見て左側にPSUとCPU&マザーボード、右側にグラフィックボードを配置することで最大320mm/3スロット占有のフルサイズなハイエンドグラフィックボードを搭載可能としながら、縦向き煙突構造によって17cm×19cmの小フットプリントと12Lのコンパクトサイズを実現するPCケース』です。
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「LOUQE RAW S1」は前後左右に繋ぎ目のない煙突構造のアルミニウム製外装フレームが採用されており、ユニボディ(UNIBODY)という名前でアピールされています。
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上下逆ですが、アルミニウム外装から、真っすぐに内部フレームを引き出す構造です。


「LOUQE RAW S1」はMini-ITXマザーボードに対応したPCケースで、寸法は幅172mm×高さ379mm×奥行191mm、容積は13.6Lと非常にコンパクトです。
縦長でフットプリントの小さいPCケースとして他社からリリースされている製品とサンプルイメージで簡単に比較すると下のようになります。「LOUQE RAW S1」はNZXT H1よりも横幅が小さく若干小型です。
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「LOUQE RAW S1」はライザーケーブル(標準付属品でPCIE4.0x16に対応)を介してマザーボードと背中合わせ、縦方向に設置することによって全長320mm/3スロット厚までのフルサイズのグラフィックボードに対応しています。また全高75mmまでの空冷CPUクーラーに対応しています。
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「LOUQE RAW S1」はメインフレーム上に1基の120mmファン、外装のトップに1基の140mmファンを排気用ケースファンとして設置できます。またストレージ積載能力については1基の2.5インチストレージを搭載可能です。
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LOUQE RAW S1の外観・付属品

まずは「LOUQE RAW S1」の梱包と付属品を簡単にチェックしておきます。
「LOUQE RAW S1」は製品名が描かれた白色段ボールのパッケージというシンプルな梱包です。Mini-ITX対応PCケースなので、幅332mm×奥行310mm×高さ484mmとパッケージサイズも比較的コンパクト、重量も5kg程度なので女性でも両手に抱えて持ち運べます。
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「LOUQE RAW S1」の付属品は、ネジセット、T10規格トルクスL字レンチ、マニュアルQRコードシートとなっておりシンプルです。
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続いて「LOUQE RAW S1」のPCケース本体の外観についてチェックしていきます。
「LOUQE RAW S1」は外形寸法が幅172mm×高さ379mm×奥行191mm、容積12リットルのコンパクトサイズかつ小フットプリントな、所謂、煙突型のPCケースです。
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「LOUQE RAW S1」のカラーバリエーションはロジウムグレー(Rhodium Grey)と呼ばれる少し緑色がかった灰色の1色のみで、同色で塗装されたアルミニウム製パネルを採用しています。アルミニウム外装にはベルベット風の表面になるようブラスト塗装が施されており。細かい粒子感はあるもののザラザラしているわけではなく、サラサラ寄りで手触りは良いと思います。
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フロントには通気口のないフラットパネルですが、左右後の3面パネルには不規則な縦長のエアスリットが広範囲に施されており、通気性は良好です
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天面も中央のロジウムグレーに塗装された部分はアルミニウム製パネルで、それを囲う黒色部分のみプラスチック製です。
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天面の中央パネルとプラスチック枠の隙間は排気用エアスリットが設けられています。
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「LOUQE RAW S1」のフロントパネルは中央下部に設置された丸型電源スイッチ以外に全く装飾はなく、非常にシンプルなデザインです。
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「LOUQE RAW S1」では外装のIOポートは非常に少なく、上記の電源スイッチを以外にあるのは、後方左右角にあるUSB3.2 Gen2対応Type-Cポートのみです。USB Type-Cハブを想定した設計だと思います。後ほど説明しますが、Type-Cポートは左右のどちらか、自由に固定位置を替えることが可能です。
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なお上記USB Type-CポートのPC側コネクタは内部USB Type-Cヘッダーではなく、PC側もUSB Type-Cなので、マザーボードリアIOのType-Cポートを延長するのに使用します。
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「LOUQE RAW S1」は底面内部に主要IOポートがまとめられており、電源スイッチがあるフロントパネルと反対の底面付近に各種ケーブルを通す隙間が設けられています。
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電源ユニットはPCケース天面付近に設置しますが、内部に備え付けられた延長ケーブルを介して、底面のAC端子からACケーブルを接続します。
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マザーボードやグラフィックボードのIOポートは全て下向きに配置されます。
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各IOポートから地面までのクリアランスは53mm程度です。DisplayPortケーブルはコネクタが大きいので地面と干渉する可能性が高く、注意が必要です。
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4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルについては、ケーブル径が細い「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」なら、地面と接してコネクタの根本部分がかなり強く曲がってしまうものの、地面と干渉してPCケース足がちゃんと接地しない、というようなことはありませんでした。
おすすめDisplayPort1.4ケーブル




LOUQE RAW S1の内部構造の概要

「LOUQE RAW S1」の内部構造をチェックしていきます。
「LOUQE RAW S1」の外装パネルはT10規格のトルクスネジで固定されています。トルクスネジに対応したドライバーセットを持っていなくても、対応L字レンチが付属するので問題ありません。その他の付属ネジも基本的にトルクスネジなのでT10トルクスドライバーを1本用意しておいた方が組み易いと思います。
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「LOUQE RAW S1」を分解する手順の第1段階として、まずPCケースを逆さ向きにして、固定している針金を引っ張ってロックを外し、電源スイッチやUSBポートを取り外します。
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その後、底面付近の外周四隅にあるトルクスネジを取り外します。
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外装パネルとメインフレームは上記の針金ロックとトルクスネジで固定されているだけなので、これらを解除すると、筒状の外装パネルから、下方向へメインフレームを引き出すことができます。メインフレームには持ち手もあるので引き出すのも簡単です。
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「LOUQE RAW S1」は前後左右の主要な4面のユニボディパネルを取り外すことができるので、PCケース内部へのアクセサビリティーは非常に良好です。
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下写真は正面から見て左側チャンバーの様子ですが、PCケース天面に当たる右側に電源ユニットスペース、左側にマザーボードスペースがあります。
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逆に正面から見て右側チャンバーはグラフィックボード用のスペースになっています。左右チャンバーを分ける隔壁のフロント寄りにはネジ穴があるので、ショート基板グラフィックボードで干渉しなければ、2.5インチストレージを設置できます。
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正面から見て右側チャンバーの下にはマザーボードの設置スペースがあり、マザーボードトレイにはMini-ITXマザーボードに合わせて4つのスペーサーが予め装着されています。
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マザーボード固定用スペーサーは一般的な六角スタンドオフスクリューではなく、予めシャーシのマザーボードトレイ部分に固定されているので(ライザーケーブルを固定しているスタンドオフと同様に六角ベースが埋め込まれている)、マザーボード固定ネジと一緒に回ってしまう心配はありません。
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内部についてさらに少し詳しくチェックしていくため「LOUQE RAW S1」にMini-ITXマザーボードを設置してみました。「LOUQE RAW S1」はMini-ITX対応PCケースなので、当然ですがMini-ITXマザーボードを問題なく設置できます。
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ちなみにマザーボードの固定に使用する付属ネジもトルクスネジでした。L字レンチが付属するとはいえ、ここは普通のプラスネジにしておいて欲しかったところ。
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マザーボードを装着した状態で「LOUQE RAW S1」のマザーボードトレイ裏側を見ると、CPUクーラーメンテナンスホールはなく、CPUソケットの裏側は塞がっています。
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ライザーケーブルのスルーホールを兼ねて、M.2 SSD用ホールが広めに設けられていますが、組み合わせるマザーボードに依っては干渉して、そのままでは着脱できないかもしれません。
またM.2 SSD発熱が大きく80度以上の高温になることも多いNVMe M.2 SSDの真上をライザーケーブルが通り、ケーブルとM.2 SSDが接してしまう構造なので、背面スロットにM.2 SSDを装着した時にライザーケーブルが破損しないかは少し心配です。背面にSSDを設置する場合は干渉しない程度に薄いヒートシンクがあるSSDか、発熱が比較的少ないSATA接続のM.2 SSDを選択した方が良さそうです。
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「LOUQE RAW S1」はCPUクーラーの設置スペースとして、公式仕様によると全高75mm程度が確保されているとのことでしたが、実測では+5mm程度余分にスペースがありました。
CPUヒートスプレッダの高さでも若干前後する可能性はありますが、公式仕様の通り全高75mmまでのCPUクーラーなら問題なく設置できそうです。
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一例として、同社製GHOST S1専用クーラーNoctua NH-L12 Ghost S1 Editionは全高66mmなので十分な余裕を残しています。
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ちなみに「LOUQE RAW S1」については公式サイトからCPUクーラー性能テストの結果が公開されています。何種類かCPUクーラーセッティングがあるのですが、同社製GHOST S1専用クーラーNoctua NH-L12 Ghost S1 Editionにスリム120mmファンNoctua NH-A12x15 PWMを増設するとRyzen 9 3950Xを電源OFF時と同等のノイズレベルで安定して運用できるとのこと。
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ただし公式仕様のCPUクーラークリアランス75mmに対して、Noctua NH-L12 Ghost S1 EditionとNoctua NH-A12x15 PWMの組み合わせは全高が81mmになってしまいます。
実際に試してみたところ、ユニボディフレーム内側と冷却ファンの防振ゴムを擦らせながら強引に挿入する感じにはなりましたが、ギリギリで設置が可能でした。
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なおNoctua NH-L12 Ghost S1 editionには天面にファンを固定するためのファンクリップは付属しません。
Noctua NH-L12SというCPUクーラーに付属するファンクリップがあれば増設できるのですが、今のところ単品では入手できません。ヒートシンクが余ってしまい勿体ないものの、Noctua NH-L12Sを購入すれば、ファンクリップだけでなくNoctua NH-A12x15 PWMも手に入るので、Noctua NH-L12 Ghost S1 editionに増設したい人は検討してみてください。
Noctua NH-L12S


Noctua NH-L12 Ghost S1 Editionについて

Noctuaからは同社のロープロファイル高性能CPUクーラーNH-L12をベースにして、LOUQE GHOST S1シリーズに最適化された専用モデル「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」が発売されており、LOUQE RAW S1とも互換性があります。
今回はLOUQE RAW S1と同じく、Noctua製品の国内正規代理店でもあるTechaceより、「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」も検証機材としてサンプル機をお借りしました。
Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition

代理店公式ページ:https://techace.jp/index.php?route=product/product&product_id=3762
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-l12-ghost-s1-edition

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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」のパッケージは 同社既存の一般モデル同様にカラープリントのパッケージになっています。外パッケージを開くと、まず付属品が収められた小分けパッケージが現れ、その下にはCPUクーラー本体が収められています。
CPUクーラー本体は茶色段ボールのスペーサーに収められており、CPUクーラー本体を保護する段ボールは簡単な組み立て式です。各種付属品は内容品一覧が天面にプリントされた小分けパッケージに収められています。
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CPUクーラーマウント関連を除く付属品は、同社製熱伝導グリス「NT-H1」、ファンを低速で動作させるための降圧変換ケーブル「Low Noise Adapter NA-RC14」、L字型プラスドライバー、エンブレムバッジシールでした。
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CPUクーラーマウント関連の付属品としては、Intelプラットフォーム用マウントバー(NM-IMB3)、Intel LGA1200用プラスチックスペーサー(ブラック、NM-IPS1)、Intel LGA1200用バックプレート(NM-IBP2)、AMDプラットフォーム用マウントバー2種(NM-AMB10、NM-AMB11)、AMD AM4用プラスチックスペーサー(グレー、NM-APS4)、AMD AM/FM用プラスチックスペーサー(ホワイト、NM-APS5)、AMDプラットフォーム用スクリュー(NM-ALS1)、マウントバー固定用ハンドスクリューナットとなっています。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」はトップフロー型空冷CPUクーラーですが、冷却ファンがヒートシンクの下にあるので高品位なヒートシンクが全面に出た造形です。細かくチェックしていくとヒートシンクのアルミニウム放熱フィンがシルバーアルマイトで防錆処理されておりその独特の光沢も目を引きます。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」はニッケルメッキの施された銅製ベースコアから、同じくニッケルメッキ銅製のヒートパイプが4本伸びています。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」のベースコアプレートはニッケルメッキの銅製です。CPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するために平滑化されていますが、同社のNH-U12AやNH-D15など同社のハイエンド製品と比較すると鏡面の度合いは低めです。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」の冷却ファンはベースコアと放熱ヒートシンクに挟まる形でヒートシンクの下に設置されています。固定方法は同社製CPUクーラーでお馴染みの針金クリップです。
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冷却ファンの振動ノイズを抑制するため、ヒートシンク側には細長い半透明な防振ラバーパッドが貼り付けられていました。
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Noctua NH-L12 Ghost S1 Editionに標準で付属する冷却ファンは92mm角25mm厚の「Noctua NF-B9 PWM」です。「Noctua NF-B9 PWM」はファン単品でも市販されており、CPUクーラー付属品は市販品と同等スペックで定格1600RPM、PWM速度調整によって300~1600RPMの範囲内で回転数を制御できます。
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なお定格回転数は1600RPM(±10%)とのことでしたが、実際にマザーボードファン端子に接続してみると、最大で1900RPM近くまで回転速度が上がり、PWM速度調整で80%前後が1600RPMでした。
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CPUクーラーを固定するためのリテンションブラケットはベースコアにネジ止めされており、固定ネジ自体も脱落防止機構があります。Mini-ITXマザーボードの狭いスペースでの装着し易さもちゃんと考慮された設計です。
冷却ファンを装着した状態で放熱フィンがないホール部分からファンブレードと干渉することなく、リテンションブラケットのネジにアクセスできます。この辺りの設計の上手さも流石Noctuaといったところ。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」は専用に最適化された空冷CPUクーラーなので、LOUQE GHOST S1に搭載可能な全高の限界である66mmピッタリサイズです。組み合わせるPCケースが「LOUQE RAW S1」なら余裕を持って搭載できます。
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「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」のメモリクリアランスを確認しておくと、「LOUQE RAW S1」において推奨されるPCIEスロットのほうにヒートパイプ先端が向くレイアウト(下写真の左)なら、一般的なMini-ITXマザーボードでメモリスロット上に冷却ファンが被さる心配はありません。
「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」は縦横両方の設置に対応していますが、一般的なトップフロー型CPUクーラーで一般的なメモリスロット側にヒートパイプ先端が向くレイアウト(下写真の右)の場合、CPUソケット寄りのメモリスロットに冷却ファンが被さる可能性が高いので非推奨です。
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LOUQE RAW S1はマザーボードPCIEスロットにグラフィックボード自体ではなくライザーケーブルを装着するので、CPUクーラーヒートシンクがPCIEスロットに被さっても問題ないので、この向きが「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」の推奨レイアウトです。
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ヒートシンク自体の全高方向のメモリに対するクリアランスについて、公式仕様では全高48mmまでのスペースがありますが、実際は冷却ファンを固定しているファンクリップがあるので2,3mm間隔は狭くなります。全高43mmのG.Skill Trident Zは数mmの余裕を残して干渉することなく設置できました。
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以上、「Noctua NH-L12 Ghost S1 Edition」の概要について紹介しましたが、同CPUクーラーをマザーボードに固定する手順や、今回のサンプルビルドに使用するRyzen 9 5950Xと組み合わせた時の冷却性能(CPUの冷え具合)については、組み立てとビルドギャラリーの章で解説します。



LOUQE RAW S1のグラフィックボード設置スペース

「LOUQE RAW S1」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。
まず概要を簡単に紹介すると、「LOUQE RAW S1」では中央の隔壁でチャンバー分けされた右側が丸ごとグラフィックボード用スペースになっています。マザーボードと背中合わせにしてグラフィックボードを配置するタイプのPCケースなので、標準でPCIEスロットを延長するライザーケーブルが付属しています。
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「LOUQE RAW S1」ではグラフィックボードの設置スペースとして、内寸的には最大で長さ方向に320mmまでのスペースが確保されています。
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PCIEスロットは2スロット分だけが開口していますが、厚みのクリアランスとしては3スロットスペースが確保されており、TGP300W超で3スロットを占有する最新のハイエンドグラフィックボードにも対応しています。
GeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTといった最新のハイエンドグラフィックボードは2.5スロット以上の厚みのものしか基本的にありませんが、「LOUQE RAW S1」なら長さ320mmの条件さえクリアできれば問題なく設置できるはずです。
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グラフィックボードなどPCIE拡張ボードは一般的にPCIEブラケットの上側をネジ止めしますが、「LOUQE RAW S1」では下側を大型ローレットナットで挟み込むというユニークな構造が採用されています。
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PCIEライザーケーブルというと分岐の有無はあれど幅広なリボンケーブルと印象が強いですが、「LOUQE RAW S1」のものはコバルトカラーのリード線で構成されているところが特に目を引きます。
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このライザーケーブルは「Cobalt PCI-e Gen 4+ riser cable」と名付けられています。高温に耐えうるコバルト(青色)カラーの被膜、ノイズを抑制する銅製バリア膜、銀メッキが施された銅線部分など、2020年最新規格のPCIE4.0規格の要求を十分に上回る品質を実現しています。
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「LOUQE RAW S1」は全長320mmまで、3スロット占有のグラフィックボードに対応しているので、全長299mmのASUS TUF-RTX3090-O24G-GAMINGを問題なく設置できました。厚み方向のクリアランスも問題ありません。
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長さ270mmのRadeon RX 6900 XT リファレンスモデルであれば、かなりの余裕をもってスペースに収めることができました。右端にスペースが余るので電源ケーブルの取り回しも安心です。
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「LOUQE RAW S1」は最長320mm対応ですが、フロント寄りのスペースに電源ケーブルの余剰を収納できるので、実用的には280mm程度を上限に搭載するグラフィックボードを選択するのがオススメです。
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今回のサンプルビルトでは「Cooler Master V850 SFX Gold」を使用しましたが、自作PC初心者だと上述のPCIE補助電源コネクタ付近のケーブルの取り回しで苦戦する可能性が高いので、万全を期すなら、非常に柔らかくて取り回しの良いショートケーブルキット「SST-PP05-E」を使用できるSilverStone製のSFX(-L)電源ユニットを使用するのがオススメです。
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LOUQE RAW S1のストレージ設置スペース

「LOUQE RAW S1」のストレージ設置についてチェックしていきます。
「LOUQE RAW S1」のストレージ設置スペースは、中央の隔壁上、電源ユニットスペースの真下に2.5インチストレージを1台設置できるだけです。
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なおSATA通信・電源端子回りのシャーシの切抜きのうち、SATA通信端子の右端の切抜きが浅く、端子に被さっているため、SATAケーブルのコネクタ形状によってはシャーシと干渉する可能性があります。ここは干渉しないように、しっかりと調整しておいて欲しかったところです。
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今回のサンプルビルドに使用する「ASUS ROG STRIX B550-I GAMING」をはじめとして、多くのMini-ITXマザーボードにおいて使用可能なM.2 SSDは最大でも2枚なので、「LOUQE RAW S1」でPCを組む場合、搭載可能なストレージは2.5インチストレージとM.2 SSDを合わせて最大3基となります。
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LOUQE RAW S1の電源ユニット設置スペース

「LOUQE RAW S1」の電源ユニット設置についてチェックしていきます。
「LOUQE RAW S1」ではPCケース左側チャンパーの天面寄りに電源ユニットの設置スペースがあり、延長ケーブルを介してPCケース後方でACケーブルを接続する構造です。
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電源ユニット固定ブラケットと向かい合わせで120mmファン固定ブラケットがあります。「LOUQE RAW S1」は製品仕様上、SFX電源とSFX-L電源に対応していますが、ファン使用時のクリアランスは130mmしかないので、SFX-L電源は使用できません。ファンを使用しなければ最大160mm程度のスペースを使用できます。
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また電源ユニットとシャーシの間には25mm程度の隙間があります。7mm厚の2.5インチSATA SSDを設置しても各種電源ケーブルを配線するスペースとしては十分で、このスペースを活用すれば、グラフィックボード側チャンバーへPCIE補助電源ケーブルを上手く配線できます。
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今回のサンプルビルドはRyzen 9 5950XとRadeon RX 6900 XTを搭載するので、電源ユニットには奥行100mmのSFXサイズながら大容量850Wの「Cooler Master V850 SFX Gold」を使用します。
「Cooler Master V850 SFX Gold」をレビュー
Cooler Master V850 SFX Gold

奥行100mmの「Cooler Master V850 SFX Gold」を搭載した場合、プラグインコネクタ面と向かい合うファンブラケットとの距離は30mm程度でした。なお、スペースが分かりやすいように装着したままで写真を撮影していますが、電源ユニットと向かい合うファン用ブラケットは着脱が可能なので、プラグインケーブルの着脱自体は容易に行うことができます。
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ギリギリな感じではありますが、一応、問題なく電源ケーブルを配線できます。ATX 24PIN電源ケーブルはリード線の数も多く特に曲げ難いので「Cooler Master V850 SFX Gold」でも30mmのスペースに収めるのは少々苦労しました。
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またAC延長ケーブルのL字コネクタについて「Cooler Master V850 SFX Gold」はスムーズに延長ケーブルを配線できるベストなレイアウトでした。
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Cooler Master V850 SFX Gold review_04573_DxO

今回のサンプルビルトでは「Cooler Master V850 SFX Gold」を使用しますが、電源ケーブルの取り回しで苦戦する可能性が高いので、万全を期すなら、非常に柔らかくて取り回しの良いショートケーブルキット「SST-PP05-E」を使用できるSilverStone製のSFX(-L)電源ユニットを使用するのがオススメです。
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LOUQE RAW S1のファン設置スペース

「LOUQE RAW S1」のケースファンの設置スペースについてチェックしていきます。

「LOUQE RAW S1」ではメインフレームの隔壁にファン用のホールが設けられており、左右チャンバーを跨ぐ形で120mm角ケースファンを排気ファンとして設置できます。
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マザーボード&電源ユニット用チャンバーでは、電源ユニットのブラグイン端子と向かい合う形になります。固定用ブラケットがファンガードの役割も果たすので、ファンブレードと電源ケーブルが接触する心配はありません。
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詳しくは組み立て手順に関する章で説明しますが、電源ユニット側のファン固定ネジが電源ユニットと向かい合う形で塞がってしまうので、120mmファンを使用する場合、「LOUQE RAW S1」の組み立て手順はやや複雑になります。電源ユニット&ケーブルのスペースも狭いので難易度は高めです。組み立ての簡単化を考えると外側からネジ止めできる構造にしておいて欲しかったところです。
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ちなみにナット付きのファン固定ネジを別途用意すれば組み立ての難易度はかなり下がります。「LOUQE RAW S1」で120mmファンを使用する場合、ナット付きのファン固定ネジを用意しておくのを強く推奨します。
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また「LOUQE RAW S1」ではオプションとしてPCケース天面にも140mmファンを設置できます。天面の金属プレートはプラスネジで固定されているだけなので簡単に取り外しができ、天面プレートを外すと140mm角互換のネジ穴が現れます。
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140mmファンはPCケースの内側からテーパーネジを使って固定します。
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一応、天面には140mmファンを設置できるものの排気ファンとして設置すると見た目が不格好になり、ファンケーブルの配線も問題があり、実際のところ実用的なオプションではありません。
同社のGHOST S1のように天面に140mmファンを設置しても外見に違和感が出ないよう、トップハットを用意してもらいたいところです。
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LOUQE RAW S1の組み立て手順・ギャラリー

コンパクトPCケースは手順を誤るとケーブルが装着できなくなって最初の方からやり直しになったり、一般的なATX対応ミドルタワーPCケースに比べて組み立てが急に難しく(面倒に)なるので、手際よく上手に組めるよう「LOUQE RAW S1」の組み立て手順について解説していきます。
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今回のサンプルビルドではCPUクーラーに「Noctua NH-L12 Ghost S1 edition」を使用するので、まず最初に、マザーボードへCPUとメモリを装着しておきます。使用する場合はM.2 SSDも最初に装着しておいてください。
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続いてNoctua NH-L12 Ghost S1 EditionのCPUクーラー固定パーツをマザーボードに装着します。
Noctua NH-L12 Ghost S1 Editionはマルチプラットフォーム対応CPUクーラーなのでマウントパーツの種類がいくつかありますが、AMD AM4プラットフォームでは下写真に写っている、AMDプラットフォーム用マウントバー(NM-AMB10とNM-AMB11のどちらかを使用)、AMD AM4用プラスチックスペーサー(グレー、NM-APS4)、Intel LGA115X用バックプレート(NM-IBP2)、AMDプラットフォーム用スクリュー(NM-ALS1)を使用します。
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AMD AM4プラットフォームではマウントバーが長いもの(NM-AMB11)と短いもの(NM-AMB10)の2種類がありますが、CPUソケットに対してどの向きでCPUクーラーを固定するかで使用するマウントバーが変わります。
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Noctua NH-L12 Ghost S1 EditionをAM4プラットフォームに固定する際は、AM4マザーボードに標準で装着されているCPUクーラー固定器具を取り外しますが、バックプレートは流用します。
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プラットフォームによって固定に使用するパーツが若干異なりますが、CPUクーラーの固定方向に合わせてマウントバーをCPUソケット周りに装着するという手順は共通です。
Noctua NH-L12 Ghost S1 Editionのクリアランスの解説で紹介したように、AMD AM4プラットフォームの場合は基本的に長い方のマウントバーを使用して縦に装着します。
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ちなみにグリスでCPUクーラーヒートシンクのベースプレートに熱伝導グリスで吸着してしまったCPU本体が、ヒートシンクの取り外しの際に一緒にとれてしまう現象、俗にいう”スッポン”を防止するための保護フレーム「ProArtist IFE2」が発売されています。
Noctua製ではなく他社製品になりますが、Noctua NH-L12 Ghost S1 EditionなどNoctua製空冷CPUクーラーとも互換性があるので、AMD AM4プラットフォームで組む時はオススメです。


マザーボードに各種パーツを装着して下準備が完了したら、PCケースからメインフレームを取り出します。
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メインフレームを取り出したら、先ほど各種パーツを組み込んだマザーボードをマザーボードトレイに設置します。
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フロントI/Oの各種ケーブルやライザーケーブル、必要な数のSATA通信ケーブルをマザーボードに接続します。
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2.5インチSATA SSDを使用する場合はこのタイミングでストレージの設置とケーブルの接続も済ませます。
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また120mmファンを使用する場合もこのタイミングで装着しておいてください。
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次は電源ユニットの設置に移ります。今回のサンプルビルドでは電源ユニットとして上でも紹介した、変換効率Gold認証/電源容量850Wのハイパフォーマンスながら奥行き100mmとコンパクトなSFX電源ユニット「Cooler Master V850 SFX Gold」を使用します。
「LOUQE RAW S1」で電源ユニットを設置する時に見落としやすいポイントとして、先にPCIE電源ケーブルを電源ユニットに装着しておき、電源ユニットとPCケース隔壁の間を通すようにしてPCケース天面側からグラフィックボード用チャンバーに取り回します。
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「LOUQE RAW S1」で120mmファンを排気ファンとして使用する場合、ファン固定ネジの構造上、電源ユニット固定ブラケットを外して、電源ユニットに装着してから、メインフレームに固定し直すという手順を踏む必要があります。
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電源ユニットに固定ブラケットを装着したら、プラグイン端子に各種電源ケーブルを接続し、電源スペースにケーブルが上手く収まるように調整しながら、電源ブラケットをメインフレームに固定し直します。120mmファン使用時はケーブルを収めるスペースが狭く、この作業が非常に大変です。
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120mmファン使用時の組み方として以上が正規の手順ですが、ナット付きのファン固定ネジを別途用意すれば、電源ユニット側にナットを入れることで、最後に120mmファンを固定できるようになるので、組み立て手順は簡単になります。
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ナット付きのファン固定ネジを使用する場合は、電源固定ブラケットはメインフレームに装着したまま、ファン固定ブラケットのみを取り外し、SATA SSDの設置と各種電源ケーブルの仮組みを済ませます。
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電源ケーブルが電源ユニット下やプラグイン端子手前のスペースに収まるよう、上手く調整しながら電源ユニットを固定します。先ほどと違って電源ユニットの正面にファン固定ブラケットがなく、フリーな状態なのでケーブルを収納するための微調整が用意です。
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電源ユニットを固定したら、ファン固定ブラケットを装着します。
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ナット付きのファン固定ネジを使用すれば電源ユニットを固定し終えた後でも、下写真のように電源側へナットを入れることでファンを固定できます。
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残すはCPUクーラーとグラフィックボードの設置だけですが、ここまで持ってこれれば後は簡単です。
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続いてCPUクーラー、今回のサンプルビルドではNoctua NH-L12 Ghost S1 editionを設置していきます。
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_apply
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen 9 3900Xを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen 9 3900X

サーマルグリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを固定します。マウントバーのネジとリテンションブラケットとネジ穴が合うようにヒートシンクを乗せて、リテンションブラケット左右のネジを締めます。
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さらに今回のサンプルビルドでは、Noctua NH-L12 Ghost S1 editionのヒートシンク上にNoctua NH-A12x15 PWMを増設してみました。なおNoctua NH-L12 Ghost S1 editionには天面にファンを固定するためのファンクリップは付属しません。
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Noctua NH-L12SというCPUクーラーに付属するファンクリップがあれば増設できるのですが、今のところ単品では入手できません。ヒートシンクが余ってしまい勿体ないものの、Noctua NH-L12Sを購入すれば、ファンクリップだけでなくNoctua NH-A12x15 PWMも手に入るので、Noctua NH-L12 Ghost S1 editionに増設したい人は検討してみてください。
Noctua NH-L12S

ともあれNoctua NH-L12Sのファンクリップを使用することで、Noctua NH-L12 Ghost S1 editionのヒートシンク上にNoctua NH-A12x15 PWMを増設できました。
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後はグラフィックボードを設置してメインフレームの組み込みは完了です。
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 「LOUQE RAW S1」は最長320mm対応ですが、フロント寄りのスペースに電源ケーブルの余剰を収納できるので、実用的には280mm程度を上限に搭載するグラフィックボードを選択するのがオススメです。
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今回のサンプルビルトでは「Cooler Master V850 SFX Gold」を使用しましたが、電源ユニット下への電源ケーブル収納や、PCIE補助電源コネクタ付近のケーブルの取り回しで苦戦する可能性が高いので、万全を期すなら、非常に柔らかくて取り回しの良いショートケーブルキット「SST-PP05-E」を使用できるSilverStone製のSFX(-L)電源ユニットを使用するのがオススメです。
SST-PP05-E_SST-PP05-L

「SilverStone SX700-PT」をレビュー。Platinum認証SFX電源を徹底検証
SilverStone SX700-PT


ここまで組んだら最後に電源ユニットのロッカースイッチがONになっているか必ず確認してください。挿入後にもう1度メインフレームを取り出すのはそこそこ手間なので、メインフレーム挿入前にシステム起動チェックもした方がいいかも。
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CPUクーラー、グラフィックボード、各種ケーブルなどと干渉していないか注意しつつ、ユニボディパネル内にメインフレームを挿入していきます。
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全高81mmになるNoctua NH-L12 Ghost S1 EditionとNoctua NH-A12x15 PWMの組み合わせも、ユニボディフレーム内側と冷却ファンの防振ゴムを擦らせながら強引に挿入する感じにはなりましたが、ギリギリで設置が可能でした。
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「LOUQE RAW S1」に3スロット占有フルサイズグラフィックボードと専用空冷クーラーNoctua NH-L12 Ghost S1 Edition&NF-A12x15 PWMを使用して自作PCを組むとこんな感じになります。
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Ryzen 9 5950X&RX 6900 XTを搭載したLOUQE RAW S1の冷え具合を試す

今回、Ryzen 9 5950XとRX 6900 XTを組み合わせて構築したLOUQE RAW S1のサンプルビルドについて、CPUとGPUの冷却性能を簡単にチェックしてみました。
サンプルビルドではCPUクーラーにNoctua NH-L12 Ghost S1 Edition&NF-A12x15 PWMを使用し、また排気ファンにThermaltake TOUGHFAN 12を増設しています。
公式のCPUクーラーテストを参考に、ファンはいずれもマザーボードファン端子に接続しているのでファン速度はCPUクーラー冷却ファンを1000RPM、NF-A12x15 PWMを800RPM、ケースファンを800RPMに固定しました。

まずはCPUの冷却性能について、Ryzen 9 5950Xを標準設定(マザーボードはASUS ROG STRIX B550-I GAMINGでBIOS:2404)で動作させて、動画のエンコードで30分程度に渡ってフル負荷をかけ続けました。
LOUQE GHOST S1 MK3_cpu-stress_ss

CPU温度は80度に達していますが、16コア32スレッドCPUのRyzen 9 5950XがCPUコアクロック(HWiNFOのEffective Clock)は実動平均3.6~3.7GHz程度で安定しています。
LOUQE RAW S1_cpu-stress_temp_1
LOUQE RAW S1_cpu-stress_temp_2
またLOUQE公式が主張するように、CPUクーラー冷却ファンを1000RPM、NF-A12x15 PWMを800RPM、ケースファンを800RPMに固定すると、電源オフ時のノイズレベル33dBに対して、動作時のファンノイズは33.8dB程度でした。TDP100WクラスのCPUも十分な静音性で運用できる、と考えていい結果だと思います。
LOUQE RAW S1_cpu-stress_fan-noise
なお今回のサンプルビルドに使用した電源ユニットの「Cooler Master V850 SFX Gold」は電源ユニット内部の温度依存でファン速度が決まるため、小型筐体内部でCPUやGPUから熱の転写を受けやすい「LOUQE RAW S1」のような環境ではファンノイズが大きくなってしまい、むしろここがファンノイズのボトルネックでした。

続いてGPUの冷却性能について、これは搭載するグラフィックボードのGPUクーラーにも依るところが大きいのですが、今回は上に掲載している写真の通り、「AMD Radeon RX 6900 XT」のリファレンスモデルで検証を行いました。ケースファンのファン速度だけCPUのテストよりも引き上げて1400RPM程度としています。
約30分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Extreme Stress TestでGPU温度やファン速度をチェックしたところ、安定動作は問題なかったのですが、GPU温度は90度前後、GPUクーラー冷却ファンも2000RPMに達しました。
ファン速度を引き上げればTGP300WクラスのGPUも運用できるのですが、静音性はトレードオフになる感じです。全長300mmかつ3スロット占有のグラフィックボードを搭載できるので物理的にはRTX 3080やRX 6800 XTのようなTGP300W超のハイエンドGPUに対応するとはいえ、静音性を重視するならTGP250W以下に収めるのが無難だと思います。
LOUQE RAW S1_gpu-stress_temp



LOUQE RAW S1のレビューまとめ

最後に「LOUQE RAW S1」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ガンメタルカラーベースで、縦長煙突形状のスタイリッシュなデザイン
  • 容積13.6Lのコンパクトサイズ、幅172mm×奥行191mmの小フットプリント(高さ379mm)
  • 最長320mm/3スロット占有のフルサイズグラフィックボードを搭載可能なスペース
  • 付属ライザーケーブルはPCIE4.0x16互換
  • 標準で全高75mmまでの空冷CPUクーラーに対応
    実際には全高81mmのNH-L12 Ghost S1 Edition&NF-A12x15に対応
  • 1基の2.5インチストレージを搭載可能
悪いところor注意点
  • DisplayPortケーブルは地面と干渉する可能性が高い
  • 固定ネジがT10規格のトルクスネジ(L字レンチが標準で付属)
  • グラフィックボードの固定は弱いので、振動や衝撃のある持ち運びには不向きかも
  • 電源ケーブルの取り回しが難しい
  • 120mmファンの固定構造が組み立てを難しくしている(ナット&長ネジを推奨)

「LOUQE RAW S1」は13.6Lのコンパクトサイズ、幅172mm×奥行191mmの小フットプリントという限られたペースの中で”3スロット占有フルサイズグラフィックボードを搭載できる”という2021年最新のハイエンドPCの構築において一つの水準となる条件を満たす優秀なPCケースです。2021年最新のハイエンドグラフィックボードであるGeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTを搭載できます。

「LOUQE RAW S1」にはCPUクーラーオプションとして、ハイエンド空冷の雄、NoctuaによってGHOST S1専用に設計された空冷CPUクーラーNoctua NH-L12 Ghost S1 EditionにNF-A12x15 PWMを増設するという構成も用意されているので、TDP100Wオーバーのメインストリーム向け最上位CPUにも十分な静音性を維持しつつ対応できるところも魅力です。

「LOUQE RAW S1」は前後左右のユニボディパネル取り外せばPCケース内部のメインフレームにフルアクセスが可能なので一見組み易そうに見えますが、2.5インチSSDや120mmファンなど全部盛りすると電源ケーブルの取り回しが高難度になります。
初心者にはハードルがやや高めですが、ケーブルが取り回し易いSilverStone製電源ユニット&ケーブルキットならハードルは下がるので、ビルド手順の章も参考にしつつがんばってみてください。

以上、「LOUQE RAW S1」のレビューでした。
LOUQE RAW S1


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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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