Noctua NH-D12L



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NF-A12x25と同等性能のラウンドフレームファン搭載で、全高を145mmに抑えたコンパクトなサイドフロー型空冷CPUクーラー「Noctua NH-D12L」をレビューします。
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製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-d12l
互換性リスト:https://ncc.noctua.at/coolers/NH-D12L-69
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レビュー目次


1.Noctua NH-D12Lの梱包・付属品
2.Noctua NH-D12Lのヒートシンク
3.Noctua NH-D12Lの冷却ファン
4.Noctua NH-D12Lの外観


5.Noctua NH-D12Lの検証機材・セットアップ
6.Noctua NH-D12Lの各種クリアランス


7.Noctua NH-D12Lの冷却性能

8.Noctua NH-D12Lのレビューまとめ



補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



【機材協力: Noctua国内正規代理店 サイズ】



Noctua NH-D12Lの梱包・付属品

まずは「Noctua NH-D12L」の外観や付属品をチェックしていきます。
「Noctua NH-D12L」のパッケージはNH-U12AやNH-D15など既存のモデル同様に白地にブラウンのカラープリントのパッケージになっています。
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「Noctua NH-D12L」のパッケージの蓋は上開きです。CPUクーラー本体と付属品は全て個別の箱に小分けされ、パッケージを開くと最初に付属品用の箱が現れます。
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CPUクーラー本体は茶色段ボールのスペーサーに収められており、CPUクーラー本体を保護する段ボールは簡単な組み立て式です。各種付属品は内容品一覧が天面にプリントされた小分けパッケージに収められています。
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付属品用パッケージにはCPUクーラーマウントパーツ、ファンクリップなど「Noctua NH-D12L」の付属品が一通り入っています。
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マニュアルは各種プラットフォームに合わせた冊子が付属します。
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「Noctua NH-D12L」のCPUクーラーマウントパーツのうち、Intel製CPUプラットフォーム用は次のようになっています。
Intel LGA1700/LGA1200等で使用するバックプレート(NM-IBP4)、スクリューピラー(NM-IBT5)、固定クリップ(NM-ICS1)、Intel LGA1700用の青色プラスチックスペーサー(NM-IPS3)、Intel LGA1200用の黒色プラスチックスペーサー(NM-IPS1)、Intelプラットフォーム用マウントバー(NM-IMB3)、ローレットナット(NM-ITS1)、Intel LGA2066用スタンドオフスクリュー(NM-IBT2)が付属しています。
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AMD製CPUプラットフォーム用は次のようになっています。
AMD AM4用のグレー色プラスチックスペーサー(NM-APS4)、マウントバー固定ネジ(NM-ALS1)が付属しています。
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Noctua製CPUクーラーには78mmと83mmの2種類のピッチ(リテンションの幅)があり、「Noctua NH-D12L」は78mmピッチなので、マウントバーについてはIntelプラットフォーム用マウントバー(NM-IMB3 v3)、AMDプラットフォーム用マウントバー(NM-AMB6)の2種類が付属します。
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マウントパーツ以外の付属品は、同社製熱伝導グリス「NT-H1」、ファンを低速で動作させるための降圧変換ケーブル「Low Noise Adapter NA-RC14」*2、L字型プラスドライバー、エンブレムバッジシールでした。
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詳しくは後ほど紹介しますが、CPUクーラー本体を簡単にチェックしておきます。
「Noctua NH-D12L」はツインタワー型ヒートシンクの中央に120mm幅のラウンドフレームファンを搭載するという構成のサイドフロー型のCPUクーラーです。
細かくチェックしていくとヒートシンクのアルミニウム放熱フィンがニッケルメッキで防錆処理されておりその独特の光沢も目を引きます。
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「Noctua NH-D12L」の重量を確認してみたところ、ヒートシンク本体に付属ファンを装着した重さは865gでした。ちなみにヒートシンク単体の重さは686gです。
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参考までに、120mmサイズのハイパフォーマンスモデル「Noctua NH-U12A」は1144g、120mmサイズのスタンダードモデル「Noctua NH-U12S」は723g、150mmラウンドフレームファン搭載ハイエンドモデル「Noctua NH-D15」は1302gです。
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Noctua NH-D12Lのヒートシンク

続いて「Noctua NH-D12L」のヒートシンクをチェックしていきます。
「Noctua NH-D12L」のヒートシンクの放熱フィンは一般的なアルミニウム製ですがニッケルメッキ表面処理がされており、見た目に美しいだけでなく、汚れにくく錆びにくいというメリットもあります。Noctuaらしい質実剛健な工業製品的な美しさを全面に押し出したデザインです。
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PCケースのサイドパネル側から見える放熱フィン上部にはメーカーロゴのNoctuaが刻印されています。ニッケルメッキ処理が施されたアルミニウムフィルの光沢が最も映える場所ですが、手指油でくすんでしまいやすい場所でもあるのでご注意を。
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ヒートシンクの放熱フィンはベースコアを中心にして左右方向には対称な形状ですが、前後方向にはメモリスロット側にあたる前方のヒートシンクが薄く、ヒートパイプのU字も後方寄りにオフセットされており、Intel LGA115XやAMD AM4などCPUソケットの片側にメモリスロットがある環境において、ヒートシンク付きメモリと干渉し難い構造です。
放熱フィンのフィンピッチは狭すぎず広すぎずなちょうどいい塩梅で低速から高速まで幅広い冷却ファン動作に対応可能なピッチが採用されていました。側面は放熱フィンの末端が折り曲げ加工によって平面化されており、フィンを手で持った時に指を切る心配もありません。
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ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製のヒートパイプが前後へ5本ずつ計10本伸びています。
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「Noctua NH-D12L」のベースコアプレートはニッケルメッキの銅製です。
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CPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するため、ベースプレートの表面は平滑化されていますが、「Noctua NH-D12L」ではやや磨き跡も見え、完全な鏡面にはなっていません。
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ちなみに2019年以前にレビューしたNoctua製品では完全な鏡面でしたが、Chromax版も含めここ数年のものは磨き跡が見える表面処理になっており、これが仕様のようです。Noctuaがすることなので、冷却性能的には大差ないということでしょうか。

「Noctua NH-D12L」の銅製ベースプレートのサイズは縦38mm×横40mm程度となっており、縦長になったIntel第12世代CPUのIHSもカバーできる大きさです。(厳密には縦がコンマ数mm足りないのですが)
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「Noctua NH-D12L」をマザーボードに固定するためのリテンションには同社独自の簡単かつ安定した固定が可能な「SecuFirm2」という構造が採用されています。
「Noctua NH-D12L」にはIntel/AMDの各種プラットフォームで共通して使用するリテンションブラケットが標準で装着されています。スプリング付きスクリューが装着されており、付属のL字型ドライバーを使用して簡単かつ適切にCPUクーラーを装着可能となっています。
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Noctua NH-D12Lの冷却ファン

「Noctua NH-D12L」には冷却ファンとして、超硬質かつ軽量な新素材 Sterrox LCPの採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンのラウンドフレームモデル「Noctua NF-A12x25r PWM」が標準で1基付属しています。Noctua NF-A12x25r PWMはファン単品でも市販されています。
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Noctua NF-A12x25r PWMは定格2000RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって450~2000RPMの範囲内で速度調整が可能です。
また付属の低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)を接続すると降圧調整によって定格回転数が1700RPMに下がります。
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ベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードというNoctuaらしいカラーリングです。『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインですが、少なくともパッと見でNoctuaの存在を頭に刻み込むというブランド認知には一役買っていることは間違いありません。

Noctua NF-A12x25r PWMは、同社から発売済みのNF-A12x25 PWMをベースにしており、ファンブレード径はそのままに、ラウンド化、93mmx83mmピッチのネジ穴など小型ヒートシンクに最適な形状へとフレームを変更したバリエーションモデルです。
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冷却ファンのサイズは汎用120mmファンと同じです。乱流の発生により静音化を向上させるファンブレードに刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」も採用されています。
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またファンフレーム内側を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するそうです。ファンフレームの四隅には防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
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Noctua NF-A12x25シリーズではモーターハブが若干大型化され、中心部の材質をスチール製に、金色のアクスルマウントは真鍮製になっており補強が施されています。
軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、さらに真鍮製CNCベアリングシェルによって軸ブレをなくし、高い耐久性が実現されています。
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NF-F12 PWMでは直進整流効果が期待できる11枚羽の軸フレーム構造「Focused Flow frame」が採用されていましたが、Noctua NF-A12x25r PWMではファンブレード回転方向と直交する向きに4本の軸フレームが伸びているシンプルな構造が採用されています。
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Noctua NF-A12x25シリーズの最大の特徴は何といっても、0.5mmという限界に挑んだフレーム-ブレード間の隙間の小ささです。
この間隔が狭いほど漏れる空気は少なくなりエアの直進性も増すので、回転数に対する風量の効率が増し、静音性も向上するという、シンプルイズベストなアプローチになっています。
超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」をファンブレードの素材として採用することによって、ファンブレード回転時の振動が軽減され、中心軸からぶれず、遠心力による変形が発生しないので、フレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現しています。
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冷却ファンのヒートシンクへの固定方法はサイドフローCPUクーラーとしては一般的な針金のファンクリップを使用する方式です。冷却ファンのネジ穴にファンクリップ左右端のU字部分を引っかけます。
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あとはヒートシンクの溝にファンクリップ中央を引っかけるだけです。ファンクリップには中央に指をかけやすい凸形状があるので着脱も容易な構造になっています。
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「Noctua NH-D12L」はツインタワーヒートシンクの中央に1基のファンを搭載するという標準構成ですが、付属ファンと同等品の「Noctua NF-A12x25r PWM」も別売りアクセサリとしてラインナップされており、ヒートシンクにファンを増設することが可能です。保守部品の入手性という意味でも安心です。
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ファン単品のNoctua NF-A12x25r PWMには、低ファンノイズ変換アダプタ(L.N.A.)、PWM対応4PINファン端子2分岐Y字ケーブル、PWM対応4PINファン端子300mm延長ケーブル、防振ファンブッシュ「NA-AV2 anti-vibration mounts」、ファン固定用テーパーネジ4個が付属しています。
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増設用にファン単品のNoctua NF-A12x25r PWMを追加購入すれば、PWM対応4PINファン2分岐ケーブルも標準で付属しているので、ヒートシンクの前方&中央に設置されるNF-A12x25r PWMのファン電源は1つの4PINファン端子から取得できます。
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Noctua NH-D12Lの外観

ヒートシンクと冷却ファンの個別チェックも済んだところで、ヒートシンクへ冷却ファンを組み込んで「Noctua NH-D12L」の完成状態の外観や寸法をチェックしていきます。
「Noctua NH-D12L」はツインタワー型ヒートシンクの中央にラウンドフレームファンを搭載するという構成のサイドフロー型のCPUクーラーです。ヒートシンクのアルミニウム放熱フィンがニッケルメッキで防錆処理されておりその独特の光沢も目を引きます。
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冷却ファンが標準位置に配置されている場合は冷却ファンとヒートパイプ先端の最高位置はほぼ同じで、「Noctua NH-D12L」の全高は製品仕様通り145mmです。
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ツインタワー型ヒートシンクはどちらかというとハイエンド空冷CPUクーラーに多い構造ですが、「Noctua NH-D12L」は専用に設計されたラウンドフレームファンNoctua NF-A12x25r PWMを採用することによって120mm幅かつ、一般的な120mmサイズ空冷CPUクーラーの全高160mm程度に対して全高を145mmに抑えています。
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「Noctua NH-D12L」は、従来では92mmサイズ空冷CPUクーラーしか設置できなかった4UラックマウントサーバーケースやMini-ITX対応コンパクトPCケースにも搭載できるところが最大の特長です。
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Noctua NH-D12Lの検証機材・セットアップ

「Noctua NH-D12L」を検証機材のベンチ機にセットアップします。検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU
Intel Core i9 12900K
レビュー
AMD Ryzen 9 5950X
(レビュー)
M/B ASUS ROG MAXIMUS
Z690 HERO
レビュー
ASUS ROG Crosshair
VIII Dark Hero
レビュー
メインメモリ Kingston FURY Beast DDR5
KF560C40BBK2-32
レビュー
6000MHz, CL40-40-40-80-CR2
G.Skill Trident Z Neo
F4-3600C16Q-64GTZN
レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR1
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB


CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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「Noctua NH-D12L」のCPUクーラー設置手順についてはNoctua公式からYouTube上で各プラットフォーム毎に動画が公開されているのでこちらを参照するのが一番わかりやすいと思います。
下の動画はIntel LGA1700のものですが、Intel LGA115X/1200やAMD AM4の取り付け動画もNoctua公式チャンネルで配信されています。



今回は検証環境の1つであるIntel Core i9 12900Kに対応するIntel LGA1700プラットフォームを例にして「Noctua NH-D12L」の設置手順を簡単に紹介します。
「Noctua NH-D12L」はマルチプラットフォーム対応CPUクーラーなのでマウントパーツの種類がいくつかありますが、Intel LGA1700プラットフォームでは下写真に写っている、Intelプラットフォーム用マウントバー、バックプレート、スクリューピラー、固定クリップ、青色プラスチックスペーサー、ローレットナットを使用します。
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「Noctua NH-D12L」に付属するIntelプラットフォーム用バックプレート(NM-IBP4)は、Intel LGA1700とIntel GA1200/115Xの共用となっており、スクリューピラーを固定する溝が2通り設けられています。
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Intel LGA1700環境で使用する場合は、スクリューピラーを外側の溝に合わせて挿入し、スクリューピラーの底面とバックプレートを挟み込むように固定クリップを装着します。
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4ヶ所全てでIntel LGA1700に合わせてスクリューピラーを装着したらバックプレートの組み立ては完了です。
なお、!マークが描かれている面がマザーボードと向かい合わせになる、スクリューピラーのネジ山が上になるようにバックプレートは使用してください。
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バックプレートを組み立てたら、マザーボードを裏返してスクリューピラーをCPUソケット四隅のCPUクーラーマウントホールに挿入します。
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バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、Intel LGA1700用の青色プラスチックスペーサーを装着します。
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あとはマウントバーを乗せてからローレットナットで固定したら、CPUクーラーヒートシンク本体を装着する下準備は完了です。
マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易です。
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Intel LGA1700プラットフォームの場合、「Noctua NH-D12L」のCPUクーラーヒートシンクの向きはマウントバーの設置に合わせて各自で選択できます。
一般的なメモリスロットからリアI/Oに風が流れる方向(Orientation A)でヒートシンクを設置する場合は、上の写真のようにマウントバーをCPUソケットの上下に装着してください。
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「Noctua NH-D12L」がサポートするAMD AM4プラットフォームのセットアップについてはNoctua公式のガイド動画に任せるとして、小ネタでオススメのアクセサリを紹介しておきます。
Noctuaの国内正規代理店サイズからは、他社ブランドの製品になりますが、俗にいう”スッポン”を防止するための保護フレーム「ProArtist IFE2」が発売されています。
グリスでCPUクーラーヒートシンクのベースプレートに熱伝導グリスで吸着してしまったCPU本体が、ヒートシンクの取り外しの際に一緒にとれてしまう現象”スッポン”を防止できます。
Noctua製ではなく他社製品になりますが、「Noctua NH-D12L」などNoctua製空冷CPUクーラーとも互換性があるので、AMD AM4プラットフォームで組む時はオススメです。
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(2022年6月現在、現行品のProArtist IFE2はNoctuaのAM4マウントなど一部のCPUクーラーと組み合わせると、フレームがIHSよりも若干高くなりますが、CPUクーラーヒートシンク固定時にフレームは適度にたわむので、IHSとCPUクーラーベースプレートは問題なく接します。)




CPUクーラーをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
親和産業
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを乗せて、付属のL字型ドライバーでリテンションブラケットのネジ止めをします。
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ファンクリップでヒートシンクに冷却ファンを装着したらNoctua NH-D12Lの設置完了です。
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Noctua NH-D12Lの各種クリアランス

CPUクーラーの性能検証に入る前に、空冷CPUクーラーにはつきものである最上段PCIEスロットのグラフィックボードやヒートシンク搭載システムメモリとのクリアランス問題についてNoctua NH-D12Lの事情をチェックしていきます。

なお「Noctua NH-D12L」についてはNoctua公式から詳細な互換性ガイドも掲載されているので、こちらも参照してみてください。
互換性リスト:https://ncc.noctua.at/coolers/NH-D12L-69


PCIEスロットとのクリアランスについて

まずは「Noctua NH-D12L」とマザーボードのプライマリグラフィックボード用PCIEスロットとのクリアランスについてチェックします。
クリアランス検証には「Noctua NH-D12L」が対応する主要プラットフォームから代表して、Intel LGA1700の「MSI MEG Z690 UNIFY」、Intel LGA1200/115Xの「ASUS WS X390 PRO」、AMD AM4の「ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO」を使用しています。

Intel LGA1700環境ではCPUクーラーとグラフィックボードを設置するPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴の内周上端からPCIEスロットの上端までを測定して、「MSI MEG Z690 UNIFY」では約53.8mmです。
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「MSI MEG Z690 UNIFY」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Noctua NH-D12L」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
CPUクーラーとグラフィックボードの間にはまだ余裕があるので、各自で使用するIntel LGA1700系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約25mm以上あれば「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
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Intel LGA1200/115X環境ではCPUクーラーとグラフィックボードを設置するPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴の内周上端からPCIEスロットの上端までを測定して、「ASUS WS X390 PRO」では約38.8mmです。
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「ASUS WS X390 PRO」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Noctua NH-D12L」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
現在は上から2段目にグラフィックボード用PCIEスロットがあるレイアウトが主流なので、1段目に配置されている「ASUS WS X390 PRO」は若干特殊な例ですが、1段目にグラフィックボード用のPCIEスロットがあるマザーボードでも120mm幅の「Noctua NH-D12L」なら干渉することはないはずです。
各自で使用するIntel LGA1200/115X系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約26mm以上あれば「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
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AMD AM4環境ではCPUクーラーとPCIEスロットの間隔の基準値として、左下CPUクーラーネジ穴(標準搭載バックプレートのネジ穴)外周の下端からPCIEスロットの上端までを測定して、「ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO」では約38.2mmです。
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「ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO」において最上段のPCIEスロットにプライマリグラフィックボードを設置しても、「Noctua NH-D12L」とグラフィックボードが干渉することはありませんでした。
CPUクーラーとグラフィックボードの間にはまだ余裕があるので、各自で使用するAMD AM4系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約16mm以上あれば「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとグラフィックボードの干渉は発生しません。
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比較的大型な空冷CPUクーラーの多くに言えることですが、干渉しないとしてもCPUクーラーとグラフィックボードの隙間は狭いので、CPUクーラーの設置自体は問題ないのですが取り外しの際には少し困るかもしれません。
取り付けよりも取り外しで困るというのは大型空冷CPUクーラーのあるあるネタなので注意してください。取り外しの際はグラフィックボード固定爪の解除のためにプラスチックの定規など細くて固いものを事前に用意しておくことをお勧めします。
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システムメモリとのクリアランスについて

続いて空冷CPUクーラーではヒートシンク付きシステムメモリとの干渉が起きやすいので各種メモリを使用して、CPUクーラーとメモリの干渉の有無をチェックしていきます。
メモリクリアランスの検証機材として、ヒートシンク非搭載のバルクメモリに加えて、「Kingston FURY Beast」「Kingston FURY Renegade」、「Corsair VENGEANCE LPX」、「G.Skill Flare X」、「G.Skill Trident Zシリーズ」「Corsair VENGEANCE RGB PRO」「Corsair Dominator Platinum RGB」などを使用します。
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まずはCPUクーラーとメモリの高さ方向のクリアランスをチェックしていきます。
「Noctua NH-D12L」は前方のヒートシンクが薄く、全体的に後方寄りにオフセットされています。Intel LGA1700やAMD AM4などCPUソケット右側にメモリスロットがあるマザーボードについては、基本的にメモリスロットにヒートシンク自体が被さることはありません。
「Noctua NH-D12L」は標準構成で中央に1基の冷却ファンを設置するだけなら、メモリとの干渉は心配する必要はありません。
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一方で、「Noctua NH-D12L」はヒートシンク前方に冷却ファンを増設すると、増設した冷却ファンは確実にメモリスロットに被さってしまいます。
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「Noctua NH-D12L」ではファンを固定する高さをファンクリップの装着位置でオフセットして調節できますが、ヒートシンクなしのメモリでメモリ上端とファン下端が接する時に、ファンの上端がちょうどヒートシンク上端と一致して全高145mmになるか、誤差で+1,2mm程度余分に高くなります。
「Noctua NH-D12L」で前方にファンを増設する場合、Kingston FURY BeastやCorsair VENGEANCE LPXのようにロープロファイルなものであってもヒートシンクなしメモリとの差だけCPUクーラーの全高が大きくなるので注意が必要です。
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続いて各種プラットフォームに関してCPUクーラーとメモリの左右方向のクリアランスをチェックします。
Intel LGA1700環境ではCPUクーラーとメモリスロットの間隔の基準値として、右上CPUクーラーネジ穴の内周左端からメモリの左端までを測定して、「MSI MEG Z690 UNIFY」では約14.3mmです。
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「MSI MEG Z690 UNIFY」においてCPUソケットに最も近いメモリスロットにヒートシンク付きメモリを設置しても、「Noctua NH-D12L」とメモリが干渉することはありませんでした。
「Noctua NH-D12L」はリアI/O側にヒートシンク本体がオフセットする形状になっているので、Intel LGA1700系マザーボードで使用する分にはCPUクーラーとメモリが干渉することはないと思います。
CPUクーラーとメモリヒートシンク表面の間にはまだ余裕があるので、各自で使用するIntel LGA1700マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約12mm以上あれば、「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとメモリの干渉は発生しません。
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Intel LGA1200/115X環境ではCPUクーラーとメモリスロットの間隔の基準値として、右上CPUクーラーネジ穴の内周左端からメモリの左端までを測定して、「ASUS WS X390 PRO」では約17.1mmです。
RAM-Space_Intel LGA1151_ASUS WS X390 PRO
「ASUS WS X390 PRO」においてCPUソケットに最も近いメモリスロットにヒートシンク付きメモリを設置しても、「Noctua NH-D12L」とメモリが干渉することはありませんでした。
「Noctua NH-D12L」はリアI/O側にヒートシンク本体がオフセットする形状になっているので、Intel LGA1200/115X系マザーボードで使用する分にはCPUクーラーとメモリが干渉することはないと思います。
CPUクーラーとメモリヒートシンク表面の間にはまだ余裕があるので、各自で使用するIntel LGA1200/115Xマザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約12mm以上あれば、「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとメモリの干渉は発生しません。
DSC08150_DxO

AMD AM4環境ではCPUクーラーとメモリスロットの間隔の基準値として、右上CPUクーラーネジ穴(標準搭載バックプレートのネジ穴)外周の右端からPCIEスロットの右端までを測定して、「ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO」では約22.2mmです。
RAM-Space_AMD AM4_ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO
「ASUS ROG CROSSHAIR VIII Dark HERO」においてCPUソケットに最も近いメモリスロットにヒートシンク付きメモリを設置しても、「Noctua NH-D12L」とメモリが干渉することはありませんでした。
「Noctua NH-D12L」はリアI/O側にヒートシンク本体がオフセットする形状になっているので、AMD AM4系マザーボードで使用する分にはCPUクーラーとメモリが干渉することはないと思います。
CPUクーラーとメモリヒートシンク表面の間にはまだ余裕があるので、各自で使用するAMD AM4系マザーボードにおいて、上で測定したCPUクーラーとPCIEスロットの間隔が約19mm以上あれば、「Noctua NH-D12L」を設置してもCPUクーラーとメモリの干渉は発生しません。
DSC08146_DxO


今回検証で使用した各種DDR4メモリと「Noctua NH-D12L」のクリアランスに関する互換性を簡単にまとめると次の表のようになります。
Noctua NH-D12Lのメモリ互換性
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高さ
全高
HS
厚み
Intel 1700
AMD AM4
ファン増設
ヒートシンクなし 31mm -
Kingston FURY Beast 34mm
+3mm
2.9mm
Corsair VENGEANCE LPX 34mm
+3mm
3.0mm
G.Skill Flare X
G.Skill Ripjaws V
39mm
+8mm
3.1mm
Kingston FURY Renegade 42mm
+11mm
3.4mm
G.Skill Trident Z
RGB/Royal/Neo

43mm
+12mm
3.6mm
Corsair Vengeance
RGB PRO
49mm
+18mm
2.9mm
Corsair Dominator
Platinum RGB
54mm
+23mm
3.4mm



Noctua NH-D12Lのファンノイズと冷却性能

本題となるNoctua NH-D12Lの冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
DSC08156_DxO

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Noctua NH-D12L」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
CPU-Cooler_Noise-Test
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

「Noctua NH-D12L」のファンノイズを測定したところ次のようになりました。
「Noctua NH-D12L」は冷却ファンを1400~1600RPM前後に収まるようにするとノイズレベル35dB前後となり、静音動作で運用できると思います。

120mmサイズ空冷の標準モデルNH-U12Sの冷却ファンをNF-A12x25 PWMに換装した時のノイズレベルも載せていますが、「Noctua NH-D12L」とほぼ同じでした。
Noctua NH-D12L
またヒートシンク前方に別売りアクセサリのNoctua NF-A12x25r PWMを増設すると、「Noctua NH-D12L」の標準構成と比較して100RPM分だけノイズレベルが上昇するという結果でした。
デュアルファン構成はファン同士の気流が干渉して高周波ノイズが生まれることも多いのですが、「Noctua NH-D12L」では体感でもそういうこともなく、シンプルにノイズレベルが100RPM分だけ上昇する感じです。
DSC08158_DxO


続いて「Noctua NH-D12L」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
CPU Cooler_Stress Test


まずはIntel第12世代Alder Lake-S最上位モデル、16コア24スレッドCPUの「Intel Core i9 12900K」を使用して、Intel第12世代Core-S環境における、「Noctua NH-D12L」の冷却性能を検証していきます。
DSC08475_DxO
Core i9 12900Kの動作設定はZ690マザーボードの多くで適用されている電力制限無効化とし、メモリのOC設定は「メモリ周波数:6000MHz(IMCはGear2)」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:40-40-40-80-CR2」にしました。
Core i9 12900K_BIOS_Test

16コア24スレッド「Intel i9 12900K」を定格動作倍率かつ電力制限無効化とすると、P-Core All 4.9GHzの動作になるので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは27600程度になります。シングルスレッドスコアは2020程度です。
この設定でx264動画エンコードを行うと、VRM電源への影響が大きいEPS電源経由の消費電力は250~260Wに達します。
Core i9 12900K_PL-No_Cinebench R23
Core i9 12900K_PL-No_Power

「Noctua NH-D12L」のファン速度を1600RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、Core i9 12900KのCPU温度は最大101度、平均94.5度に達しました。
最大ファン速度が2000RPMなので多少の余力はあるとはいえ、「Noctua NH-D12L」の標準構成のままだとCore i9 12900Kの電力制限無効化のようにCPU消費電力が200Wを大幅に超過するCPUを冷やすのは厳しい感じです。
Noctua NH-D12L_temp_12900K_PL-No_1
ストレステスト中のCPU消費電力(CPU Package Power)は230~240W程度で、CPU温度は高温ではあるものの強制的にコアクロックに制限がかかる臨界温度100度より低いので、コアクロックはP-Core All:4.9Hz、E-Core All:3.7GHzに綺麗に張り付いています。
Noctua NH-D12L_temp_12900K_PL-No_2

Core i9 12900Kの動作倍率は定格設定のまま、長期間電力制限PL1を180Wや200Wに制限したケースについて検証してみました。短期間電力制限PL2は250W、短期間電力制限時間Tauは56秒としています。
Core i9 12900K_BIOS_PL
参考までに16コア24スレッド「Intel i9 12900K」を今回の検証で最も電力制限の厳しいPL1:180Wとすると、実動平均値でP-Core All 4.6~4.7GHzの動作になるので、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは26600程度になります。シングルスレッドスコアは2020程度、電力制限の有無では変化しません。(PL1が十分に高いので)
この設定でx264動画エンコードを行うと、VRM電源への影響が大きいEPS電源経由の消費電力は200Wに達します。
Core i9 12900K_PL-180W_Cinebench R23
Core i9 12900K_PL-180W_Power

「Noctua NH-D12L」のファン速度を1600RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、各電力制限設定においてCPU温度の推移は次のようになりました。
CPU Package Power(=PL1)が230~240Wで推移する電力制限無効化ではベンチ板測定でもCPU温度が90度を超えてしまいますが、PL1を200Wに設定すれば長期的な負荷に対して80度台後半、さらに電力制限を強めてPL1を180Wに設定すれば80度台前半に収まります。
「Noctua NH-D12L」で静音性も維持しつつ80度以下でCPUをしっかり冷やす、という条件になると、Core i9 12900KなどIntel第12世代CPUの場合はPL1:180W程度を目安に設定するのが良さそうです。
Noctua NH-D12L_temp_12900K_vs-PL

さらに「Noctua NH-D12L」のヒートシンク前方にNoctua NF-A12x25r PWMを増設したデュアルファン構成についても検証してみました。
「Noctua NH-D12L」に搭載した2基のファン速度を1600RPMに固定した状態でストレステストを実行したところ、各電力制限設定においてCPU温度の推移は次のようになりました。
同じファン速度でファンを1基増設しているので、「Noctua NH-D12L」の標準構成よりもCPU温度は当然低下しています。
電力制限無効化において標準構成ではCPU温度は90度後半から100度に達していましたが、NF-A12x25r PWMを増設したデュアルファン構成では最大でも90度程度に収まっています。
Noctua NH-D12L_DF_temp_12900K_vs-PL

長期間電力制限PL1を180Wや200Wに制限したケースについて、「Noctua NH-D12L」の標準構成と、NF-A12x25r PWMを増設したデュアルファン構成について比較するとこんな感じです。
同じファン速度であれば、CPU消費電力で20W程度を余分に冷やせるようになり、同じ電力制限なら4~5度前後のCPU温度低下が期待できます。
Noctua NH-D12L_temp_12900K_vs-DF



Noctua NH-D12Lのレビューまとめ

最後に「Noctua NH-D12L」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • Noctua空冷らしい無骨なデザインでニッケルメッキのヒートシンクが美しい
  • 38mm×40mmの大型銅製ベースプレートと5本の6mm径ヒートパイプ
  • 120mm角と同等のラウンドフレームファン搭載で全高145mm
  • NF-A12x25r PWM搭載で一般的な120mmサイズCPUクーラーよりも静音性が高い
  • 120mmサイズ冷却ファン採用の標準サイズなのでオールラウンドに対応可能
  • 120mm幅なので基本的にグラフィックボードとの干渉は発生しない
  • Intel LGA1700/1200やAMD AM4環境では基本的にメモリとの干渉は発生しない
  • Core i9 12900KやRyzen 9 5950Xで200W前後の負荷を運用可能な冷却性能
  • リテンションブラケットはCPUクーラーに固定済み
  • CPUクーラーマウントパーツは単独でマザーボードに固定され脱落しない
悪いところor注意点
  • 1.3万円程度と120サイズ空冷CPUクーラーとしては高価(2022年6月現在)

「Noctua NH-D12L」は、検証結果の通り200W程度の発熱を静音性を維持したまま冷やせる性能を備えており、メインストリーム向け最上位CPUのCore i9 12900KやRyzen 9 5950Xにも十分に対応可能なCPUクーラーです。

「Noctua NH-D12L」は専用に設計されたラウンドフレームファンNoctua NF-A12x25r PWMを採用することによって120mm幅かつ、一般的な120mmサイズ空冷CPUクーラーの全高160mm程度に対して全高を145mmに抑えています。
従来では92mmサイズ空冷CPUクーラーしか設置できなかった4UラックマウントサーバーケースやMini-ITX対応コンパクトPCケースにも搭載できるところが最大の特長です。

「Noctua NH-D12L」は120mm幅のラウンドフレームファンを搭載しており、ツインタワー型で前後の奥行きは大きいものの後方にオフセットするヒートシンク形状なので、Intel LGA1700/1200やAMD AM4の環境であればグラフィックボードとメモリともに基本的に干渉フリーなところも魅力です。

中央ファンのみの標準構成ならメモリとは基本的に干渉フリーで使用できますし、ヒートシンク前方にNF-A12x25r PWMを増設したとしても、ヒートシンク非搭載のDDR4/DDR5メモリであれば、全高の増加なし(もしくは1,2mmの増加)で使用できます。

ニッケルメッキで表面処理された大型のアルミ放熱フィンを搭載するヒートシンクは工業製品的な美しさがあるものの、Noctuaを代表するベージュ&ブラウンのカラーリングの冷却ファンはかなりユニークなので「Noctua NH-D12L」は総じて人を選ぶデザインだと思います。

全高145mmで120mmサイズ空冷CPUクーラーの性能を実現しているところは評価に値するものの、価格は税込み1.3~1.5万円と非常に高価なので、160mm前後の一般的な120サイズ空冷CPUクーラーを搭載できる環境であれば、素直に普通の120サイズ空冷CPUクーラーを選んだ方がコスパが高い、という点はシンプルにネックだと思います。
Noctua公式も同製品のリリース時に”Mini-ITX対応PCケースとの互換性の高さ”を訴求しているものの、”全高160mm非対応でNH-D12Lは搭載できるPCケース”というのが実はレアケースです。全高160mmが無理だと一気に全高120mm未満とか、いっそ同社のNH-L9シリーズのような全高50mm以下になる、というのが実状なので。
従来では92mm以下の空冷CPUクーラーを搭載する必要があった4Uラックマウントサーバーケースに120mmサイズ空冷と同等の「Noctua NH-D12L」を搭載できる、というのが本当のメインターゲットな製品なのかなと思いました。

以上、「Noctua NH-D12L」のレビューでした。
Noctua NH-D12L


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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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