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プロフェッショナル向けNVIDIA RTXシリーズからAda Lovelace世代のアーキテクチャを採用、TGP130Wで1スロットにおさまるスリムGPUクーラーを搭載するGPU「NVIDIA RTX 4000 Ada Generation」を写真ベースでレビューします。
製品公式ページ:https://www.nvidia.com/ja-jp/design-visualization/rtx-4000/
代理店公式ページ:
https://www.ask-corp.jp/products/nvidia/nvidia-quadro/nvidia-rtx-4000-ada.html
https://www.elsa-jp.co.jp/products/detail/nvidia-rtx-4000-ada-g/
NVIDIA RTX 4000 Ada レビュー目次
1.NVIDIA RTX 4000 Adaの外観
2.NVIDIA RTX 4000 AdaのGPU概要
3.NVIDIA RTX 4000 Adaのベンチマーク
【機材協力:PNY 国内正規代理店 アスク】
NVIDIA RTX 4000 Adaの外観
早速、「NVIDIA RTX 4000 Ada」を開封していきます。「NVIDIA RTX 4000 Ada」の付属品はPCIE5.0電源変換ケーブル(12VHPWR to PCIE 8PIN×1)とDisplayPort to HDMI2.0変換ケーブルです。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPUクーラーの外装はマットな黒色塗装が施された金属製です。
側面はスリット状に加工されており、RTX 2000 Adaなど下位モデルの鏡面ツヤツヤや、前世代のゴールド風塗装とは趣が異なり、より重厚感があります。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」は全長241mmです。
PCIE補助電源が長さ方向に実装されているので、ケーブル分もクリアランスが必要ですが、付属の12VHPWRケーブルを使用しても+30~40mm程度なので、従来のフルサイズグラフィックボード(270mm程度)に対応する環境なら問題なく設置できると思います。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」はPCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+数mm以下に収まっており、PCケースサイドパネルとの干渉についても心配はありません。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPUクーラーには右端に60mmサイズのブロアーファンが設置されています。ブロアーファンによってGPUクーラーの正面と背面の両方から吸気して、GPUクーラー内のヒートシンクを通り、クーラー外装の左端にあるスリットや、PCIEブラケットからケース外へ排気するエアフロー構造です。
同社GeForceシリーズなど一般向けグラフィックボードは基本的に2スロット占有のGPUクーラーを採用していますが、「NVIDIA RTX 4000 Ada」はPCIEスロットを2スロットだけ使用するスリム設計です。
名前が似ている「NVIDIA RTX 4000 Ada」とNVIDIA RTX 4000 SFF Adaをサイズ比較するとこんな感じです。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」は補助電源コネクタとして、16PIN(12+4PIN)でPCIE5.0補助電源と呼ばれることの多い、最新電源コネクタ 12VHPWRを1基搭載しています。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」はTGP130WのGPUとなっておりPCIE補助電源を必要としますが、名前の似ているRTX 4000 SFF AdaはTGP70Wで補助電源不要です。間違えないように注意してください。
12VHPWRに対応した電源ユニットと組み合わせた場合、電源ケーブル1本だけでスマートに配線が可能です。
12VHPWRに対応する電源ケーブルが付属する自作PC向け電源ユニットは2024年5月現在では数は増えているものの、数年前のグラフィックボードを搭載した既存環境からのアップグレードとなると当時の電源はネイティブ対応できないケースが大半になるはずです。
ただ、「NVIDIA RTX 4000 Ada」には現在主流なPCIE 8PIN補助電源に変換するケーブルが標準で付属しています。
この変換ケーブルを使用することで、従来のPCIE 8PINを1基以上使用できる電源ユニットやPCシステムであれば「NVIDIA RTX 4000 Ada」を組み込むことが可能です。
あとはGPUクーラー側面を見ると、「NVIDIA RTX 4000 Ada」にはPCIEブラケットのすぐ傍にだけQuadro Sync 2用、ステレオシャッター用のコネクタが実装されています。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のビデオ出力はDisplayPort1.4×4の4基が実装されています。
NVIDIA RTX 4000 Ada SFFや下位モデルのNVIDIA RTX 2000 AdaはMiniサイズのDisplayPortですが、「NVIDIA RTX 4000 Ada」は標準サイズです。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」はHDMIポートは非搭載ですが、標準でDisplayPortをHDMI2.0に変換するケーブルが付属しています。
付属の変換ケーブルはHDMI2.0への変換となっており、SDRなら4K/60Hz/8bit RGBに対応しますが、HDRではYUV422等にカラーフォーマットが圧縮されます。
4K/60Hz/HDR 10bit RGBやSDRの4K/120Hzに対応したHDMI2.1変換のケーブルやアダプタがAmazon等で購入できます。UGREENかCable Mattersのものなら品質的にも信頼できると思います。
ただしHDMI2.1変換でも基本的に4K/120HzではHDRで10bit RGBにできない(DP1.4の32.4Gbpsに対して32Gbpsもしくは24Gbpsへ変換かつDSC使用不可)、VRRには非対応等の制限があります。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」には黒色の金属製バックプレートが装着されています。
なおグラフィックボードの重量はNVIDIA RTX 4000 SFF Adaが322g、NVIDIA RTX A4000が505gに対して、「NVIDIA RTX 4000 Ada」は527gでした。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」を、同じくPCIEスロット1つに収まる前世代同クラスのRTX A4000と比較すると、外観やサイズはほぼ同じです。
サイズは基本的に同じなので、RTX A4000のユーザーは「NVIDIA RTX 4000 Ada」へのアップグレードも容易です。
注意点があるとすれば補助電源で、RTX A4000はPCIE 6PIN×1ですが、「NVIDIA RTX 4000 Ada」は12VHPWRもしくは、付属の変換ケーブルを使用してもPCIE 8PIN×1が必要になります。
近年の環境(電源ユニット)ならPCIE 6PINには8PINにする分岐が付いているはずなので、特に問題にはならないと思いますが。
あと見た目の違いとしてもう1点、側面デザイン以外にも、「NVIDIA RTX 4000 Ada」ではグラフィックボード背面に基板を保護する金属製バックプレートが追加されています。小さいチップコンデンサ等も大量に実装されているので、誤って破損する心配がなく安心です。
NVIDIA RTX 4000 AdaのGPU概要とベンチマーク
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のスペックについて簡単に確認しておきます。「NVIDIA RTX 4000 Ada」はAD103コアもしくはAD104コアが使用されており、CUDAコア数は6144、GPUコアクロックはベース1500MHz、ブースト2175MHzです。VRAMには20GB GDDR6メモリ(ECC対応)を搭載し有効メモリクロックは18.0GHzです。メモリーバス幅は160bitなのでメモリ帯域は360GB/sです。
TGP130Wの低消費電力なので全長240mmかつシングルスロットというスリムなサイズを実現しています。PCIE補助電源は必要かつ12VHPWRを搭載していますが、付属変換ケーブルによってPCIE 8PIN×1でも動作します。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」についてはNVIDIA純正モデルしか存在しません。そのため、当然、ブーストクロックは2175MHzです。(公式スペックとしては非公表ですが)
パワーリミット(TGP)は定格と同じ130Wで、手動設定による電力制限の解除には非対応です。
GPU-ZをリリースしているTechpowerupのデータベースによると「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPUコアはAD104とのことですが、上のスクリーンショットの通り、今回入手したものはAD103コアとして認識されました。
GPU-Z 2.5.9.0の誤検出の可能性もありますが、AD103コアのRTX 4070が市場に出回っているという情報もあるので、AD103コアの「NVIDIA RTX 4000 Ada」が存在することもおかしくはありません。
ちなみに昨年5月に私費購入したRTX 4000 SFF AdaのGPUコアは同じバージョンのGPU-ZでAD104コアとして検出されています。
ついでに比較用に前世代 RTX A4000のGPU-Zのスクリーンショットです。
GeForce RTX 40シリーズと同じく、Adaアーキテクチャを採用する「NVIDIA RTX 4000 Ada」は、GPUコアの増強、コアクロックの高速化といった3Dグラフィックス関連の強化に加えて、新たな特長としてハードウェアエンコーダに最新の第8世代NVEncが実装されています。
第8世代NVEncはAV1コーデックのエンコードに対応したところが、RTX 30シリーズの第7世代NVEncとの大きな違いです。(AV1コンテンツのデコード/再生はRTX 30シリーズですでに対応済み)
映像編集ソフトではDavinci Resolve、ビデオキャプチャソフトではOBS Studioなどが最新バージョンにおいてGeForce RTX 40シリーズによるAV1エンコードに対応しています。
AV1は従来のH.264(x264)よりも40%程度も圧縮効率に優れており、OBS Studioの場合、従来のH.264(x264)形式によってフルHD解像度で作成したコンテンツも、同等のビットレート、同等の映像品質で、AV1形式ならWQHD解像度にできます。
また従来との大きな違いとして、「NVIDIA RTX 4000 Ada」など一部のRTX 40シリーズGPUはハードウェアエンコーダNVEncが”2基”実装されているところも大きな注目ポイントです。
2基の最新NVEncが実装されてGPUは、Davinci ResolveなどデュアルNVEncによる書き出しに対応した映像編集ソフトを組み合わせることで、RTX 30シリーズと比較して2倍以上高速になるとのこと。
ゲーマー向けGeForceシリーズと違い、「NVIDIA RTX 4000 Ada」などプロフェッショナル向け製品には同時エンコードセッション数の制限がありません。(一部例外あり)
ちなみにNVIDIAのゲーマー向けGPUであるGeForceシリーズはRTX 40シリーズ以前では3セッションに制限されていましたが、2023年3月に5セッション、2024年1月には8セッションへと最新ドライバを適用することで同時エンコード可能数が増えています。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」などプロフェッショナル向けNVIDIA製GPUはゲーマー向けGeForceと同じくGeForceドライバで動作しますが、NVIDIAコントロールパネル上に、NVIDIA MosaicやGPU Usage Modesといったプロフェッショナル向けGPU専用の項目(左側のワークステーションという項目)が表示されます。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」をPCゲーミング用GPUとして使用する場合は、NVIDIAコントロールパネル上のGPU使用率の管理(GPU Usage Modes)で『グラフィックニーズとコンピューティングニーズに使用する』を必ず選択してください。
ゲーム専用なら、もう一方の『グラフィックタスク専用にする』のほうが最適そうに見えて紛らわしいのですが、こちらを選択するとレイトレーシングやDLSSに非対応なGPUとして認識されたり、一部のゲームが起動時にクラッシュします。
NVIDIA RTX 4000 Adaのベンチマーク
「NVIDIA RTX 4000 Ada」について少しだけベンチマーク測定・比較やGPUクーラー性能を紹介しておきます。性能や世代が近く、比較対象になりそうな10種類のGPUでベンチマーク測定を行い、「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPU性能を検証してみました。
ゲーマー向けベンチマークを使用していますが、AI画像生成や学術計算の類でもVRAM容量が不足しないのであればだいたい同じような傾向になります。
「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPU性能はGeForce RTX 3070 8GBよりも10%程度高く、GeForce RTX 3070 Tiと同程度です。最新のRTX 40シリーズではRTX 4060 TiとRTX 4070の間で、RTX 4060 Ti寄りな性能になっています。
プロ向けRTXにおいて前世代同クラスのRTX A4000と比較すると、シングルスロットの同サイズかつ低消費電力になりながら、30%以上の性能向上を果たしています。
ちなみにファイナルファンタジーXIV 黄金のレガシーの公式ベンチマークを試してみたところ、「NVIDIA RTX 4000 Ada」はフルHDやWQHDの最高品質でも100FPS+のハイフレームレートで快適にプレイできる性能でした。
GPU性能そのものはゲーマー向けGeForceシリーズでいうところのGeForce RTX 3070を10%超える程度ですが、「NVIDIA RTX 4000 Ada」は20GBと大容量なVRAMを搭載しています。
10GB以上(メモリフォールバック無効の場合は12GB以上)のVRAMが必要になるので、現在のゲーマー向けミドルクラスGPUで一般的な8GBではVRAM不足でエラーになりますが、UL ProcyonのStable Diffusion XLベンチマークも「NVIDIA RTX 4000 Ada」なら問題なく完走できました。
AI画像生成においても、「NVIDIA RTX 4000 Ada」は前世代RTX A4000よりも30%以上高速に画像を生成しつつ、16GBから20GBに増えたVRAM容量によって高解像度、高精度な画像生成が可能になります。
UL ProcyonによるStable Diffusion 1.5/XLのベンチマークについては30種類以上のGPUを使用した比較検証記事を公開しているので、こちらも参照してみてください。
最後に、「NVIDIA RTX 4000 Ada」のGPUクーラー冷却性能や静音性について簡単にチェックしておきます。
3DMark TimeSpy StressTestで20分程度に渡たりフル負荷をかけたところ、GPU温度は76度程度、ファン速度は2300~2400RPM程度でした。
同じく1スロットの同サイズである前世代のRTX A4000と比較すると、RTX A4000はGPU温度制限の上限である84度に達し、ファン速度も2600~2700RPM程度なので、Ada世代のワットパフォーマンスの高さ、コンパクトモデルでも温度的に扱いやすいという長所を確認できる結果です。
ファンノイズのノイズレベルを測定したところ、37dB程度でした。60mm程度の小径ファンなので2400RPM程度ならさほど高周波ノイズ感もなく、PCケースに組み込んでしまえば、ほとんど気にならない程度の音量だと思います。
300RPM程度の差ですが、前世代RTX A4000は40dBを超えているので、「NVIDIA RTX 4000 Ada」へ換装した後の体感的な静音性には結構違いがあり、静かになったと実感できると思います。
ストレステスト中の「NVIDIA RTX 4000 Ada」の実動コアクロックは2034MHzです。CUDAコア数は同等でもTGP
には大きな差があるので、RTX 4000 SFF Adaの実動コアクロックは1392MHz程度です。
GPU消費電力は130W程度となっており、電力制限値であるTGPに10W程度の差があるので、RTX A4000よりも実動時の消費電力は10W以上も下がっています。
PCIE補助電源は6PIN×1から8PIN×1(12VHPWR)に増量されていますが、電源ユニットの電源容量に対する要求的には下がっているので、アップグレード対象としてその点を心配する必要はありません。
以上、「NVIDIA RTX 4000 Ada」のレビューでした。
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TGP130Wで1スロットにおさまるスリムGPUクーラーを搭載するプロ向けNVIDIA RTX AdaシリーズGPU「NVIDIA RTX 4000 Ada Generation」を写真ベースでレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 24, 2024
3DMark、FF14黄金のレガシー、AI画像生成 Stable Diffusionなどベンチマークも少し。https://t.co/pbeIPKjv7v
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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