G-Syncモジュールの新機能 NVIDIA ULMB 2が従来のMBR機能からどう変わったのか、 FWアップデートによって対応するWQHD/360Hzのゲーミングモニタ ROG Swift 360Hz PG27AQNで試してみました。
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WQHD解像度で360Hzの超高速リフレッシュレートに対応するゲーミングモニタ「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」が、ファームウェアアップデートによってNVIDIA ULMB 2に対応しました。
新機能のNVIDIA ULMB 2が従来のMBR機能からどう変わったのか、 ROG Swift 360Hz PG27AQNで試してみました。
NVIDIA ULMB 2は一般に言うところのMotion Blur Reduction(モーションブラーリダクション、残像抑制)機能の1種です。
モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
MBR機能では明転時間が長いほど画面輝度が上がりますが、逆に明転時間が短いほど輝度が低くなる代わりに、よりクッキリした画面表示が得られます。
MBR機能を有効にした時の明瞭さは、NVIDIAのULMB 2 解説ポストではEffective Motion Clarityと呼ばれていますが、無効時のリフレッシュレートに対してDuty Cycleの逆数を掛けた値に概ね一致するとのこと。
一例として、リフレッシュ時間8msに対して明転時間が2msの場合、Duty Cycleの逆数は0.25なので、MBR有効な120Hzの画面表示は、MBR無効な480Hzの画面表示と同程度の明瞭さを発揮します。
ULMB 2とULMBとの違いは『垂直位置に応じた可変OD(Vertical Dependent Overdrive)』への対応です。
G-Syncモジュールによって、時間軸で画面更新が遅れる画面下側ほどOD補正が強くなり、上端が応答を終えたタイミングで全体がベスト応答になるように調整されています。
モーションブラーリダクション機能を有効にすると多くのPCモニタでは輝度を調整できなくなりますが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は上記のPulse Width設定とは別に、通常表示と同様に0~100の範囲内でディスプレイ輝度(明転時のバックライト輝度)を調整できます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」に搭載されたモーションブラーリダクション機能 NVIDIA ULMB 2については標準ではグレーアウトしており選択できませんが、PC側設定でG-Syncをオフにして、DisplayPort接続においてリフレッシュレートが最大値の360Hzも含め、120Hz以上の時に選択可能となります。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のNVIDIA ULMB 2では明転/暗転の割合を変更できる設定として、ULMB 2有効時に「ULMB 2 Pulse Width」の項目が表示されます。
ULMB 2 Pulse Widthは10~100の範囲内で10刻みで設定でき、100に近いほど明転時間が長く、10に近いほど明転時間が短くなります。
ULMB 2とULMBとの違いは『垂直位置に応じた可変OD(Vertical Dependent Overdrive)』への対応です。
G-Syncモジュールによって、時間軸で画面更新が遅れる画面下側ほどOD補正が強くなり、上端が応答を終えたタイミングで全体がベスト応答になるように調整されています。
そのためULMB 2を有効にするとOD設定はグレーアウトして自動制御になります。
まずはモーションブラーリダクション機能 NVIDIA ULMB 2が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」で360HzリフレッシュレートのNVIDIA ULMB 2が動作している時の様子を5760FPSスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPS(96倍速)で360Hz(6倍速)のモニタを撮影しているので、モニタの1フレームが更新されるまでを撮影した動画は16フレームに分割されます。
一般的なMBR機能では通常表示前後にバックライトを消灯した黒表示を挟むのですが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のMBR機能をハイスピードカメラで観測すると、水色がかった点灯(緑と青が点灯)と赤黒い消灯(赤だけが点灯)が交互に表示されているのが分かります。
視覚は時間平均されるので通常は画面が水色がかって見えたり、赤黒くみえたりすることはありませんが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のMBR機能は、このような性質があるため、まばたきするタイミングによっては、赤色もしくは水色の残像が見えることがあります。
ただ、120~144Hzくらいだと明転・暗転時の特殊な色味に気付くこともありますが、240~360Hzの超ハイリフレッシュレートだとほとんど気付きません。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」にはKSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルが使用されています。
液晶パネルのバックライトにおいて青色LEDから白色光を生成する蛍光体は色々とあり、一般にその応答は高速なのですが、KSF蛍光体は赤色成分の応答が遅いので上のような表示になっています。(液晶パネルの応答とは別の現象で、バックライトの輝度が変化した時にだけ影響します)
『赤色成分の応答が遅い』という性質を分かりやすく確認するため、白黒赤緑青の5色の帯の静止画を表示して、KSF蛍光体の液晶パネルにMBR機能を有効にしました。下の静止画を単純に表示しているだけなので、液晶画素自体には一切変化がありません。
144Hzを5760FPSで撮影した1リフレッシュ、40フレームのうち変化が分かりやすいように一部を抜粋していますが、見ての通り、緑色と青色は1/5760単位で1~2フレーム以内に点灯と消灯が可能です。一方で赤色は緑・青色が点灯してからゆっくりと明るく、逆に消灯してからゆっくりと暗くなっています。
白色は赤緑青の三原色の合成なので、MBRの点灯タイミングは水色がかり、消灯タイミングは赤黒くなります。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」ではULMB 2 Pulse Widthから明転/暗転の割合を変更できるので、40/60/80/100の4段階について測定した結果を並べてみました。
いずれも前述の通り16フレーム周期で1リフレッシュとなっていますが、明転時間は、Pulse Width:40では2フレーム、Pulse Width:40では2.5フレーム、Pulse Width:70では3.5フレーム、Pulse Width:100では4.5フレーム程度となっています。
明転時間が最長のPulse Width:100でも明暗比率はおおよそ1:2~2.5なのでゲーミングモニタのMBR機能としては標準的な比率となっており、Pulse Widthを下げる方向は輝度を犠牲にしてよりクッキリした表示を得るためのオプショナルな設定のようです。
Pulse Widthの設定値が同じであれば120Hzや240Hzでも明暗比率は同じなので、後述のディスプレイ輝度はリフレッシュレートの設定値に依らず、ほぼ同じになります。
黒フレーム挿入によるMotion Blur Reduction機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」はNVIDIA ULMB 2を使用しても、輝度:100%かつULMB 2 Pulse Width:100に設定すれば300cd/m^2程度と十分に明るい画面表示が可能です。(下グラフでASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNとPG259QNの横軸はPulse Width)
加えて、上のグラフのように最大輝度はULMB 2 Pulse Widthの設定値に依存しますが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は通常時と同様にディスプレイ輝度(明転時のバックライト輝度)を0%~100%で調整できるので、Pulse Widthによってお好みのクッキリ感を選びつつ、ディスプレイ輝度の微調整が可能です。
画面の上端、中央、下端でそれぞれ明転時の過渡応答をチェックしてみたところ、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」では、画面の上端付近の過渡応答の状態がベストタイミングでした。
画面中央から下端にかけてモーションブラー機能を使用していても残像(所謂、ストロボクロストーク)が生じています。2枚目の写真を見ての通り、垂直に15分割して、上から4列目くらいが最も綺麗に表示できています。
あとNVIDIA ULMB 2は従来機能と比較した時に特徴として、垂直位置に応じた可変オーバードライブがありますが、下端の過渡応答を見ても、いまいち、その恩恵が分かりません。
上端でストロボクロストークが発生するのを避けるため、上端に合わせてタイミングを調整しているにしても、可変オーバードライブで中央から下端にかけての明転時の応答はもう少し上手く調整できたように思います。もしくは中央にタイミングを合わせても良かったのではないかなと。
参考までに、フルHD/360HzのIPS液晶ゲーミングモニタ Alienware AW2521HのULMBで同様に検証した結果が次のようになっています。
液晶パネルの応答速度は「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」の方が高速なので、比較すると、Alienware AW2521Hは垂直位置のどれも残像があるのですが、こちらは画面中央付近の列で明転時の過渡応答がベストタイミングになるように調整されていることが見て取れます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は液晶パネルそのものの応答速度が非常に高速で低残像感ですし、また360Hzの超高速リフレッシュレートでもMBR機能が利用できるという長所はあるものの、NVIDIAが”ULMB 2”と第2世代であることをアピールするだけの飛躍があったかというと微妙な気がします。
当サイトでは独自ツールの機械式スライダーによって高精度かつ再現性の高いスライダー撮影でMBR機能や応答速度で明瞭さがどう変わるのか検証しています。
NVIDIAによるとMBR機能を使用した場合、明転・暗転のデューティ比の逆数倍したリフレッシュレートと同等の明瞭感を得られるとのことでしたが、確かに120HzリフレッシュレートでもULMB 2を使用することで格段に明瞭さが増し、スライダー撮影の写真を見比べても素の360Hzと遜色ありません。
240Hzや360Hzの超高速リフレッシュレートでULMB 2を使用するとさらに明瞭感は向上します。
明瞭感というよりも、静止した状態で画面を撮影したものにかなり近似した”解像感”と表現するほうが適切な見え方です。
なおASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNの最適化の問題ですが、360Hzでは滑らかかつ低遅延にはなるものの、明転タイミングが微妙でストロボクロストークによる残像・ボケがあるので、MBR使用時の明瞭感は240Hzのほうが良いかもしれません。
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・「Alienware AW3821DW」をレビュー。G-Sync Ultimateで究極の没入感
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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WQHD解像度で360Hzの超高速リフレッシュレートに対応するゲーミングモニタ「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」が、ファームウェアアップデートによってNVIDIA ULMB 2に対応しました。
新機能のNVIDIA ULMB 2が従来のMBR機能からどう変わったのか、 ROG Swift 360Hz PG27AQNで試してみました。
NVIDIA ULMB 2について
NVIDIA G-Syncモジュール搭載ゲーミングモニタの一部で使用可能なゲーマー向けの新機能として、モーションブラーリダクション機能「NVIDIA Ultra Low Motion Blur 2 (NVIDIA ULMB 2)」が2023年5月に登場しました。NVIDIA ULMB 2は一般に言うところのMotion Blur Reduction(モーションブラーリダクション、残像抑制)機能の1種です。
モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
MBR機能では明転時間が長いほど画面輝度が上がりますが、逆に明転時間が短いほど輝度が低くなる代わりに、よりクッキリした画面表示が得られます。
MBR機能を有効にした時の明瞭さは、NVIDIAのULMB 2 解説ポストではEffective Motion Clarityと呼ばれていますが、無効時のリフレッシュレートに対してDuty Cycleの逆数を掛けた値に概ね一致するとのこと。
一例として、リフレッシュ時間8msに対して明転時間が2msの場合、Duty Cycleの逆数は0.25なので、MBR有効な120Hzの画面表示は、MBR無効な480Hzの画面表示と同程度の明瞭さを発揮します。
ULMB 2とULMBとの違いは『垂直位置に応じた可変OD(Vertical Dependent Overdrive)』への対応です。
G-Syncモジュールによって、時間軸で画面更新が遅れる画面下側ほどOD補正が強くなり、上端が応答を終えたタイミングで全体がベスト応答になるように調整されています。
モーションブラーリダクション機能を有効にすると多くのPCモニタでは輝度を調整できなくなりますが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は上記のPulse Width設定とは別に、通常表示と同様に0~100の範囲内でディスプレイ輝度(明転時のバックライト輝度)を調整できます。
ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNについて
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は国内では2023年2月発売の製品なので初期出荷ロットはアウトボックス状態でNVIDIA ULMB 2に対応していませんが、公式ページで配布されているファームウェアアップデートによって、NVIDIA ULMB 2を使用できるようになります。「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」に搭載されたモーションブラーリダクション機能 NVIDIA ULMB 2については標準ではグレーアウトしており選択できませんが、PC側設定でG-Syncをオフにして、DisplayPort接続においてリフレッシュレートが最大値の360Hzも含め、120Hz以上の時に選択可能となります。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のNVIDIA ULMB 2では明転/暗転の割合を変更できる設定として、ULMB 2有効時に「ULMB 2 Pulse Width」の項目が表示されます。
ULMB 2 Pulse Widthは10~100の範囲内で10刻みで設定でき、100に近いほど明転時間が長く、10に近いほど明転時間が短くなります。
ULMB 2とULMBとの違いは『垂直位置に応じた可変OD(Vertical Dependent Overdrive)』への対応です。
G-Syncモジュールによって、時間軸で画面更新が遅れる画面下側ほどOD補正が強くなり、上端が応答を終えたタイミングで全体がベスト応答になるように調整されています。
そのためULMB 2を有効にするとOD設定はグレーアウトして自動制御になります。
まずはモーションブラーリダクション機能 NVIDIA ULMB 2が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」で360HzリフレッシュレートのNVIDIA ULMB 2が動作している時の様子を5760FPSスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPS(96倍速)で360Hz(6倍速)のモニタを撮影しているので、モニタの1フレームが更新されるまでを撮影した動画は16フレームに分割されます。
一般的なMBR機能では通常表示前後にバックライトを消灯した黒表示を挟むのですが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のMBR機能をハイスピードカメラで観測すると、水色がかった点灯(緑と青が点灯)と赤黒い消灯(赤だけが点灯)が交互に表示されているのが分かります。
視覚は時間平均されるので通常は画面が水色がかって見えたり、赤黒くみえたりすることはありませんが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」のMBR機能は、このような性質があるため、まばたきするタイミングによっては、赤色もしくは水色の残像が見えることがあります。
ただ、120~144Hzくらいだと明転・暗転時の特殊な色味に気付くこともありますが、240~360Hzの超ハイリフレッシュレートだとほとんど気付きません。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」にはKSF蛍光体(LG製Nano-IPSで有名)の技術を採用した液晶パネルが使用されています。
液晶パネルのバックライトにおいて青色LEDから白色光を生成する蛍光体は色々とあり、一般にその応答は高速なのですが、KSF蛍光体は赤色成分の応答が遅いので上のような表示になっています。(液晶パネルの応答とは別の現象で、バックライトの輝度が変化した時にだけ影響します)
『赤色成分の応答が遅い』という性質を分かりやすく確認するため、白黒赤緑青の5色の帯の静止画を表示して、KSF蛍光体の液晶パネルにMBR機能を有効にしました。下の静止画を単純に表示しているだけなので、液晶画素自体には一切変化がありません。
144Hzを5760FPSで撮影した1リフレッシュ、40フレームのうち変化が分かりやすいように一部を抜粋していますが、見ての通り、緑色と青色は1/5760単位で1~2フレーム以内に点灯と消灯が可能です。一方で赤色は緑・青色が点灯してからゆっくりと明るく、逆に消灯してからゆっくりと暗くなっています。
白色は赤緑青の三原色の合成なので、MBRの点灯タイミングは水色がかり、消灯タイミングは赤黒くなります。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」ではULMB 2 Pulse Widthから明転/暗転の割合を変更できるので、40/60/80/100の4段階について測定した結果を並べてみました。
いずれも前述の通り16フレーム周期で1リフレッシュとなっていますが、明転時間は、Pulse Width:40では2フレーム、Pulse Width:40では2.5フレーム、Pulse Width:70では3.5フレーム、Pulse Width:100では4.5フレーム程度となっています。
明転時間が最長のPulse Width:100でも明暗比率はおおよそ1:2~2.5なのでゲーミングモニタのMBR機能としては標準的な比率となっており、Pulse Widthを下げる方向は輝度を犠牲にしてよりクッキリした表示を得るためのオプショナルな設定のようです。
Pulse Widthの設定値が同じであれば120Hzや240Hzでも明暗比率は同じなので、後述のディスプレイ輝度はリフレッシュレートの設定値に依らず、ほぼ同じになります。
黒フレーム挿入によるMotion Blur Reduction機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」はNVIDIA ULMB 2を使用しても、輝度:100%かつULMB 2 Pulse Width:100に設定すれば300cd/m^2程度と十分に明るい画面表示が可能です。(下グラフでASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNとPG259QNの横軸はPulse Width)
加えて、上のグラフのように最大輝度はULMB 2 Pulse Widthの設定値に依存しますが、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は通常時と同様にディスプレイ輝度(明転時のバックライト輝度)を0%~100%で調整できるので、Pulse Widthによってお好みのクッキリ感を選びつつ、ディスプレイ輝度の微調整が可能です。
画面の上端、中央、下端でそれぞれ明転時の過渡応答をチェックしてみたところ、「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」では、画面の上端付近の過渡応答の状態がベストタイミングでした。
画面中央から下端にかけてモーションブラー機能を使用していても残像(所謂、ストロボクロストーク)が生じています。2枚目の写真を見ての通り、垂直に15分割して、上から4列目くらいが最も綺麗に表示できています。
あとNVIDIA ULMB 2は従来機能と比較した時に特徴として、垂直位置に応じた可変オーバードライブがありますが、下端の過渡応答を見ても、いまいち、その恩恵が分かりません。
上端でストロボクロストークが発生するのを避けるため、上端に合わせてタイミングを調整しているにしても、可変オーバードライブで中央から下端にかけての明転時の応答はもう少し上手く調整できたように思います。もしくは中央にタイミングを合わせても良かったのではないかなと。
参考までに、フルHD/360HzのIPS液晶ゲーミングモニタ Alienware AW2521HのULMBで同様に検証した結果が次のようになっています。
液晶パネルの応答速度は「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」の方が高速なので、比較すると、Alienware AW2521Hは垂直位置のどれも残像があるのですが、こちらは画面中央付近の列で明転時の過渡応答がベストタイミングになるように調整されていることが見て取れます。
「ASUS ROG Swift 360Hz PG27AQN」は液晶パネルそのものの応答速度が非常に高速で低残像感ですし、また360Hzの超高速リフレッシュレートでもMBR機能が利用できるという長所はあるものの、NVIDIAが”ULMB 2”と第2世代であることをアピールするだけの飛躍があったかというと微妙な気がします。
NVIDIA ULMB 2で明瞭さはどう変わるのか
モーションブラーリダクション機能は、人の目の錯覚が引き起こす残像やボヤケを解消する機能なので、写真や動画を見せて残像が抑制されている様子を実際に見せるというような解説は難しいのですが、カメラのスライダー撮影によって疑似的に体感する明瞭さを再現できます。当サイトでは独自ツールの機械式スライダーによって高精度かつ再現性の高いスライダー撮影でMBR機能や応答速度で明瞭さがどう変わるのか検証しています。
NVIDIAによるとMBR機能を使用した場合、明転・暗転のデューティ比の逆数倍したリフレッシュレートと同等の明瞭感を得られるとのことでしたが、確かに120HzリフレッシュレートでもULMB 2を使用することで格段に明瞭さが増し、スライダー撮影の写真を見比べても素の360Hzと遜色ありません。
240Hzや360Hzの超高速リフレッシュレートでULMB 2を使用するとさらに明瞭感は向上します。
明瞭感というよりも、静止した状態で画面を撮影したものにかなり近似した”解像感”と表現するほうが適切な見え方です。
なおASUS ROG Swift 360Hz PG27AQNの最適化の問題ですが、360Hzでは滑らかかつ低遅延にはなるものの、明転タイミングが微妙でストロボクロストークによる残像・ボケがあるので、MBR使用時の明瞭感は240Hzのほうが良いかもしれません。
記事が参考になったと思ったら、Xポストの共有(リポストやいいね)をお願いします。
G-Syncモジュールの新機能 NVIDIA ULMB 2が従来のMBR機能からどう変わったのか、 FWアップデートによって対応するWQHD/360Hzのゲーミングモニタ ROG Swift 360Hz PG27AQNで試してみました。https://t.co/Lduh7Sm2sS
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 20, 2023
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・「Alienware AW3821DW」をレビュー。G-Sync Ultimateで究極の没入感
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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