KIOXIA製TLC型3D NAND BiCSとInnoGrit製メモリコントローラーRainierを採用し、連続読み出しが最大7000MB/sに達するゲーマー向けPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD「PLEXTOR M10PGN 2TB(型番:PX-2TM10PGN)」をレビューします。
製品公式ページ:http://www.goplextor.com/jp/Product/Detail/M10P(GN)
代理店公式ページ:https://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_3517.php
PLEXTOR M10PGN 2TB レビュー目次
1.PLEXTOR M10Pシリーズについて
2.PLEXTOR M10PGN 2TBの外観
3.PLEXTOR M10PGN 2TBの検証機材と基本仕様
4.PLEXTOR M10PGN 2TB のベンチマーク比較
5.PLEXTOR M10PGN 2TBの連続書き込みについて
6.PLEXTOR M10PGN 2TBの消費電力と温度
7.PLEXTOR M10PGN 2TBの実用性能比較
8.PLEXTOR M10PGN 2TBのデータコピー・ゲーム性能比較
【機材協力:PLEXTOR 国内正規代理店アユート】
PLEXTOR M10Pシリーズについて
「PLEXTOR M10P」シリーズは、メモリチップにKIOXIA製TLC型3D NAND BiCS、メモリコントローラーにInnoGrit Rainierを採用する、M.2 2280フォームファクタのNVMe(PCIE4.0x4)接続M.2 SSDです。512GB/1TB/2TBの3種がラインナップされており、いずれも片面実装です。
「PLEXTOR M10P」シリーズには、ヒートシンクなしM.2 SSD「M10PGN」に加えて、ヒートシンク付きM.2 SSD「M10PG」、HHHL拡張ボード型「M10PY」の3モデルが展開されており、各モデルに512GB/1TB/2TBの容量がラインナップされています。
HHHL拡張ボード型「M10PY」はPCIE専用基板ではなく、LEDイルミネーション内蔵の大型ヒートシンクを搭載したM.2-PCIE拡張ボードにM10PGNが搭載されたモデルになっています。なお保証シールで封印されているので「M10PY」から内蔵されているM.2 SSDの取り出しは行えません。
「PLEXTOR M10P」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出7000MB/s、シーケンシャル書込5000MB/s、4KBランダム読出650,000 IOPS、4KBランダム書込550,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
「PLEXTOR M10P」シリーズのMTBF(平均故障時間)は250万時間、書込耐性は512GBが320TBW、1TBが640TBW、2TBが1280TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
PLEXTOR M10PGN / M10PG / M10PY スペック比較 | |||
容量 | 512GB PX-512M10PGN |
1TB PX-1TM10PGN |
2TB PX-2TM10PGN |
HS付きM.2 SSD | PX-512M10PG | PX-1TM10PG | PX-2TM10PG |
PCIE AIC | PX-512M10PY | PX-1TM10PY | PX-2TM10PY |
フォームファクタ | M10PGN / M10P(G) : M.2 SSD M10P(Y) : HHHL AIC(M.2-PCIE変換ボード&M.2 SSD) |
||
インターフェース | NVMe PCIE4.0x4 | ||
コントローラー | InnoGrit Rainier | ||
メモリ | KIOXIA製TLC型3D NAND BiCS | ||
DRAMキャッシュ | 512MB DDR4 | 1024MB DDR4 | 2048MB DDR4 |
連続読み出し | 7000MB/s | ||
連続書き込み | 4000MB/s | 5000MB/s | |
ランダム読み出し | 650,000 IOPS | ||
ランダム書き込み | 530,000 IOPS | 550,000 IOPS | |
消費電力(Max) | DC 3.3V 2.9A | DC 3.3V 3.2A | |
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 250万時間 | ||
耐久性評価 | 320TBW | 640TBW | 1280TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
PLEXTOR M10PGN 2TBの外観
まず最初にPLEXTOR M10PGN 2TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。
PLEXTOR M10PGNのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は緑色になっています。
「PLEXTOR M10PGN」の表面にはM.2端子のすぐ傍にDRAMキャッシュ、その隣にメモリコントローラー、逆側半分には2枚のメモリチップが実装されています。
PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのメモリコントローラーというとSamsungやWDなど内製コントローラーがあるメーカー以外では、PHISON製コントローラーが最も有名ですが、「PLEXTOR M10PGN」にはInnogrit社製IG5236というコントローラーが採用されています。メモリチップはKIOXIA製TLC型3D NAND BiCSです。
「PLEXTOR M10PGN」は今回レビューする2TBモデルを含め、512GBから2TBまで全容量を通して、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です。
PLEXTOR M10PGN 2TBの検証機材と基本仕様
「PLEXTOR M10PGN 2TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するIntel Core i9 12900K&ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 12900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 6000MHz, 36-36-36-76 |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ | Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
OS | Windows11 Pro 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れ、16GB×2枚組み32GBの大容量で6000MHz/CL36のメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS」を使用しています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで6000MHz OCに対応!
検証環境については上述の通り、Intel Core i9 12900KやASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはM.2-PCIE変換拡張ボード「Aquacomputer kryoM.2」を介して、CPU直結PCIE5.0レーンに接続された5段目のPCIEスロットに設置しています。
「Aquacomputer kryoM.2」はPCIE3.0x4対応製品として2016年に発売されたヒートシンク付き変換ボードですが、品質が高く、PCIE4.0x4で安定動作することを確認しています。
なおPCIE AIC型のNVMe SSDも同じPCIEスロットに設置し、SATA接続ストレージは普通にマザーボードのSATA端子に接続しています。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Intel第12/11世代CPUのCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0/4.0×16レーン(x8×2に分割可能)に加えて、CPU内にNVMe M.2 SSD用のPCIE4.0x4レーンがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このCPU直結PCIE4.0x4レーンが最速となります。
PCIE4.0やPCIE3.0までのM.2 SSDだけを検証するのであれば、このM.2スロットを使用するのが最適なのですが、PCIE AIC型や2022年中にも登場が噂されているPCIE5.0対応SSDの検証も想定して、CPU直結PCIE5.0x8レーンに接続された5段目のPCIEスロットを使用しています。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは1.81TBでした。
PLEXTOR M10PGN 2TBのベンチマーク比較
「PLEXTOR M10PGN 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。
まずはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」のベンチマークススコアは製品仕様の通り、連続読み出し7000MB/s、連続書き込み5000MB/sとなりました。
後述のPCMark10や3DMarkによる実用性能テストで非常に高い性能を発揮するので意外ですが、数値自体は高速ではあるものの、4Kランダム読み出しが80MB/s程度でした。
以下、各種比較対象SSDのベンチマークスコアになっています。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
PLEXTOR M10PGN 2TBの連続書き込みについて
「PLEXTOR M10PGN 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。
TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
最新のMicron製 TLC型 176層3D NANDをメモリチップに採用する「PLEXTOR M10PGN 2TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は5000MB/sを上回る書き込みスピードを発揮しており、使用済み容量が0GBで始まると、その後100GB以上もSLCキャッシュを使用できることが分かります。
使用済み容量0GBの状態からデータを連続で書き込んでいった時のSLCキャッシュの挙動を確認するため、連番のテストフォルダを作成して、そこへ順番に100GB(10GB×10)の動画ファイルを別のストレージからコピーしてみました。
この方法でSLCキャッシュの容量を確認してみたところ、120GB程度までSLCキャッシュとして使用することができ(SLCキャッシュは順次開放されていく)、超過後の書き込み速度は1300MB/s程度に下がりました。
空き容量を減らしながら都度、100GBの書き込みでSLCキャッシュ容量を確認してみたところ、「PLEXTOR M10PGN 2TB」は空き容量900GBで90GB程度、空き容量400GBで40GB程度をSLCキャッシュとして使用でききました。SLCキャッシュ超過後の書き込み速度は1300~1500MB/s程度です。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」は最初、100GB以上をSLCキャッシュとして使用できますが、空き容量が1000GBを下回ると空き容量の10%程度に制限されます。
SLCキャッシュ超過後も1000~1500MB/sの書き込み速度を維持できるので、実用的に不便を感じることはないと思いますが、可変容量にしても空き容量の20%くらいは常に使えればよかったと思います。
PLEXTOR M10PGN 2TBの消費電力と温度
「PLEXTOR M10PGN 2TB」の消費電力についてチェックしていきます。
NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
「GPU Power Tester」はその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2-PCIE変換ボードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するライザーケーブルからさらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、CPU/MB/SSDなど使用する機材によってはSSDの動作が不安定になることがあるのですが、この方法なら改造前のM.2-PCIE変換ボードと同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
消費電力の測定負荷についてはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)を使用していますが、各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
なおCrystalDiskMark、特に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプはワーストケースに近いSSD負荷です。実用シーンの一例として3DMark Storage Benchmark中の負荷はそれよりも大幅に低い消費電力を示します。
CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「PLEXTOR M10PGN 2TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」の消費電力は、連続読み出しの時に最も大きくなり、平均6.8W程度です。書き込みや混合の連続アクセスでも6.0~6.5W程度、さらに4Kランダム(Q1T1)が2.0W以上と、PCIE4.0対応SSDの中でも消費電力の大きめです。あとアイドル時の消費電力が2.0W弱とこれまで測定したSSDの中では最大でした。
冷やせないというわけではありませんが、あまり簡素なM.2 SSDヒートシンクだと放熱が追いつかない可能性もあるので、組み合わせるヒートシンクは注意して選びたいところ。
消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」のヒートシンク非搭載版についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったという理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。
マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。
PLEXTOR M10PGN 2TBの実用性能比較
「PLEXTOR M10PGN 2TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。
PCMark10 Storage BenchmarkはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10 Storage Benchmarkは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
なおPCMark10 Storage Benchmarkでは一部製品において使用済み容量が大きくなるとフォーマット直後の0%使用時に比べて性能が低下することがあるので、空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「PLEXTOR M10PGN 2TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」をPCIE4.0対応SSDの競合製品Samsung SSD 980 PROと、PCMark10 Storage Benchmarkの個別Traceについて比較(対象を100%として性能差をパーセント表示)すると下のグラフのようになっています。
ほぼ全てで勝ち越しており、特にクリエイティブアプリのデータ用としてはかなり強い性能を発揮しています。
システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「PLEXTOR M10PGN 2TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「PLEXTOR M10PGN 2TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「PLEXTOR M10PGN 2TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
PLEXTOR M10PGN 2TBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「PLEXTOR M10PGN 2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
まずはデータコピーに関する実性能比較となります。検証には、総容量が約50GBの動画フォルダ(10GBの動画ファイルが5つ)、総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダの2種類を使用しています。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
書き込み先/読み出し元の相手になるストレージが必要なので、コピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタAquacomputer kryoM.2に設置したSamsung SSD 980 PRO 1TBを使用しています。マザーボード上の設置位置としてはIntel Z690チップセット経由のPCIE4.0x4レーンです。
「PLEXTOR M10PGN 2TB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 980 PRO 1TBとの間で50GBの動画フォルダおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次の通りです。
まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows11エクスプローラーのファイルシステム的にコピー速度は3GB/sで頭打ちになるので(複数に分けて並列実行するとスケーリングしますが)、PCIE3.0/4.0対応NVMe SSD間では大きな差は付きにくいのですが、それでも「PLEXTOR M10PGN 2TB」はトップクラスの性能を発揮しています。
続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「PLEXTOR M10PGN 2TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。
3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「PLEXTOR M10PGN 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
下記クリック展開で、2020年から2021年頃の検証結果ですが、現在でも概ね当てはまると思うのでSSD/HDDのゲーム性能の違いを参考までに。
FORSPOKENのテクノロジーデモでアピールされていますが、DirectXの新API「DirectStorage」が採用されれば、高速NVMe M.2 SSDのメリットも高まると思うのですが。
「WD_BLACK SN770 NVMe SSD 1TB」はPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDなので、PlayStation 5の拡張スロットによってストレージ増設にも使用できます。詳しくはこちらの記事で。
PLEXTOR M10PGN 2TBのレビューまとめ
最後にPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDの「PLEXTOR M10PGN 2TB(型番:PX-2TM10PGN)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。
良いところ
- 最大性能で連続読み出し7.0GB/s、連続書き込み5.0GB/s (1TB/2TBモデル)
- PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチで最速クラスの性能
- PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
- 空き容量の10%をSLCキャッシュとして使用可能 (最大でも120GB程度)
- メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
- PCIE4.0対応SSDの中でも消費電力は大きめ
- TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は1300MB/s程度
「PLEXTOR M10PGN 2TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、連続読み出しが最大7GB/s前後というハイエンドPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
PCMark10や3DMark、ファイルコピーといった実用性能テストでも、WD_BLACK SN850やSeagate FireCuda 530など現状で最速クラスの製品を引き離し、特にクリエイティブアプリのデータ用ストレージとして非常に高い性能を発揮しています。
PLEXTORのSSDは過去の製品でもPCMark8などの実用性能テストで高い性能を発揮する(高いスコアを出す)傾向があり、一方でファイルコピーテストはいまいち振るわなかったりしたので半信半疑なところもあったのですが、PLEXTOR M10PGNは一般的なベンチマークやファイルコピーテストでも優秀な成績を出しているので、結果は信用してもいい気がします。
なおPLEXTOR M10Pシリーズは競合のPCIE4.0対応SSDと比較しても高い性能に比例して、消費電力が大きいところは少々注意が必要です。(とくにヒートシンク非搭載のM10PGN)
最近の自作PC用マザーボードと備え付けのM.2 SSDヒートシンクは各社が設計に力を入れているので基本的に問題ないと思いますが、簡素なヒートシンクだと放熱が追いつかない可能性もあります。
PLEXTOR M10PシリーズにはTLCタイプ3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、容量可変のSLCキャッシュを超過すると、書き込み速度は1000~1500MB/s程度まで低下します。
SLCキャッシュとして使用できるのは空き容量の10%程度(最大でも120GB程度)なので、空き容量が500GBを切ってくると超過するケースも増えそうですが、SLCキャッシュ超過時に速度が低下しても1000~1500MB/s程度の書き込み速度をキープできるので、実用的に不便を感じることはないはずです。
以上、「PLEXTOR M10PGN 2TB」のレビューでした。
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KIOXIA製TLC型3D NAND BiCSとInnoGrit製メモリコントローラーRainierを採用するゲーマー向けNVMe M.2 SSD「PLEXTOR M10PGN 2TB」をレビュー。PCIE4.0対応最新SSDと性能を徹底比較。https://t.co/ByOfhTevTd pic.twitter.com/vRRKbRYvGY
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) April 28, 2022
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