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Windows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について42種類の2020年最新SSDを使って一挙にベンチマーク比較し、本当に速いSSDはどれなのかチェックしていきます。
目次
1.PCMark10 Storage Testについて
2.SSD実用性能比較の検証機材
3.SSD実用性能のパフォーマンスサマリー
・PCMark10 Storage Testの比較データの見方と注意事項
4.SSDのシステムストレージとしての実用性能比較
5.SSDのゲームストレージとしての実用性能比較
6.SSDのデータストレージとしての実用性能比較
7.SSD実用性能比較のまとめ (走り書きで)
【執筆:2020年5月7日、最終更新:2020年7月24日】
PCMark10 Storage Testについて
まず最初に今回のストレージ実用性能の検証に使用するベンチマークソフト、UL Benchmark社からリリースされている「PCMark10 Storage Test」について紹介します。プレスリリース:https://benchmarks.ul.com/news/test-ssd-performance-with-new-pcmark-10-storage-benchmarks
製品公式ページ:https://benchmarks.ul.com/pcmark10
「PCMark10 Storage Test」は最新PCの総合的な性能を評価するベンチマークソフトPCMark10の新機能として2019年12月にリリースされた、リアルワールドなストレージ性能を評価するベンチマークです。
PCMark8にもオフィスアプリやPCゲームなどリアルワールドなストレージ性能を評価するベンチマーク機能が備わっていました。しかしながらPCMark8のストレージテストは設計が古く、近年主流になりつつある高速なNVMe SSDと、従来のSATA SSDやHDDと性能の違いを上手く評価できなかったので、最新アプリケーションへの対応などを含め「PCMark10 Storage Test」は最新の高速SSDについてリアルワールドなストレージ性能を評価できるよう再設計されました。
なお注意点としてPCMark8 Storage Testは一般ユーザー向けにも公開されていますが、「PCMark10 Storage Test」は2020年5月現在、ビジネスユーザーなど一部のみに公開されており一般ユーザーは使用できません。
「PCMark10 Storage Test」は、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows10 OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、17種類のテストを下記のように振り分けました。
PCMark 10 Storage Test テスト項目一覧 |
|
System | Windows 10 - Booting |
Adobe Acrobat - starting the application | |
Adobe Illustrator - starting the application | |
Adobe Photoshop Lightroom - starting the application | |
Adobe Photoshop - starting the application | |
Adobe After Effects - starting the application | |
Adobe Premiere Pro - starting the application | |
Game | Battlefield V - starting the game |
Call of Duty Black Ops 4 - starting the
game |
|
Overwatch - starting the game | |
Data |
Microsoft Excel - Using data in the storage |
Microsoft PowerPoint - Using data in the storage | |
Adobe Illustrator - Using data in the storage | |
Adobe InDesign - Using data in the storage | |
Adobe Photoshop (light use) - Using data in the storage | |
Adobe Photoshop (heavy use) - Using data in the storage | |
Adobe After Effects - Using data in the storage | |
Copy | Copying (write) seaqueatial data |
Making a copy of seaqueatial data (read-write test) | |
Copying (read) seaqueatial data to a secondary drive (read test) | |
Copying (write) random data |
|
Making a copy of random data | |
Copying (read) random data to another drive |
PCMark 10 Storage Testの23種類のテストのうち、上で大別したシステム/ゲーム/データに含まれていない6種類のテストはストレージのデータコピー性能を測定するものになっています。
これらのテストはCrystalDiskMarkに代表されるようなストレージのIO性能を測定するベンチマークに沿った結果が得られ、当サイトのSSDレビューで行ってきたWindows10エクスプローラー上でのファイルコピーテストとも結果は概ね一致します。
コピーテストの結果はIO性能に直結し、例えば連続データのコピーではNVMe SSDがSATA SSDよりも5倍近い性能を発揮するため、今回調べたい、従来のストレージベンチマークソフトでは検証が難しかった実用性能の比較、という趣旨に合わず(平均値をとる時に結果が引っ張られる)、またコピーテストには若干不具合があることが確認されている(ULには報告済みで、将来的に修正予定とのこと)等の事情があり、今回の比較においてはコピーテスト各種については使用せず、またコピーテストの結果も含むのでPCMark 10 Storage Testが公式に扱っている、総合評価を示すスコアも使用しません。
SSD実用性能比較の検証機材
SSDの実用性能比較の検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
今回のSSD実用性能比較に当たって、NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」を基準として評価を行っていきます。「Samsung SSD 970 PRO 1TB」はSamsung製2bit MLC型64層V-NANDメモリチップとSamsung製メモリコントローラーSamsung Phoenix Controllerを採用するNVMe M.2 SSDのプロフェッショナル向けハイエンドモデルにして、2020年最速NVMe M.2 SSDの呼び声も高い製品です。
・「Samsung SSD 970 PRO 1TB」をレビュー
ストレージ性能比較ではPCゲームのロード時間の比較も含まれるので、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
MLC/TLC/QLCのマルチビットセルやNVMe/SATA3.0など2019年最新のSSD事情について徹底解説しています。ストレージについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
・おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
・SSDレビュー記事の一覧へ <SATA SSD><NVMe SSD><M.2 SSD>
SSD実用性能比較のパフォーマンスサマリー
まずは42種類の2020年最新SSDについてSSD実用性能をベンチマーク比較したパフォーマンスサマリーをチェックしていきます。ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Testには概要で紹介したように23種類のテストがあり、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋しています。各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、総合的なSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
PCMark10 Storage Testの比較データの見方と注意事項
次の章からは個別のテストデータをチェックしていきますが、その前にPCMark10 Storage Testの比較データの見方と注意事項について簡単に紹介しておきます。
パフォーマンスサマリーと同様に個別データの比較においても、Samsung SSD 970 PRO 1TBを基準にした性能比率で各種SSDを比較しています。
各テストについて同じテスト9回分のデータがあるので、そのテストにおけるSSDの性能の安定性(もしくは測定結果自体の信頼性)の指標として、全体の平均性能と下3位の平均性能の差を取り「Diff-Worst」のラベルで掲載しています。Diff-Worstは全体の平均性能を基準としているので、例えば同じ5%であっても、平均性能が200%のストレージと、平均性能が100%のストレージでは後者のほうが安定性が低いという意味になります。
PCMark10 Storage Testを使用したSSDの実用性能比較に関して、各種ストレージは総容量のうち0%使用の状態でベンチマーク測定を行い、その結果を元に比較していすが、注意点として、一部のSSDではストレージ容量の使用率によって比較的大きい性能低下が確認されました。検証開始当時、この問題の発生を想定していなかったため測定データは基本的に0%使用の状態となっていますが、大幅な性能低下が確認できている製品については製品名に「*」を添えて50%使用の状態のデータを掲載しています。PCMark10 Storage Test自体がまだリリースされたばかりなので、現状ではこのような対応としていますが、折を見て使用済みデータ容量の扱いについては検討する予定です。
下はデータ使用量が0%の時と50%の時で各製品の実用性能を比較した結果になっています。大幅な性能低下が確認できる製品について、NANDメモリのメーカーやマルチレベル、DRAMバッファの有無は異なるのですが、共通する仕様としてSilicon Motion製のメモリコントローラーが採用されていました。
PCMark10 Storage Testに類似する、SSDの実用性能を評価できるベンチマークがないので、PCMark10 Storage TestがSilicon Motion製メモリコントローラーと相性が悪いのか、Silicon Motion製メモリコントローラーは使用済み容量が大きくなると0%使用時に比べて性能が低下するのか、どちらが原因かはわかりませんが、PCMark10 Storage Testの測定結果を見てSSDの性能を評価する上で注意が必要です。
なお2020年発売で最も新しいIntel SSD 665pもSilicon Motion製メモリコントローラーSM2263ENが採用されていますが、こちらは性能低下が確認できなかったので、2020年以降の新製品では解消されている可能性があります。
SSDのシステムストレージとしての実用性能比較
ここからは42種類の2020年最新SSDに関して、個別のテスト結果をチェックしますが、まずはPCMark10 Storage Testが含む23種類のテストのうち、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』としての性能を測定する7種類のベンチマーク結果を比較していきます。まずはシステムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、システムストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
次にシステムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を順番に見ていきます。
42種類の2020年最新SSDについて、Windows 10のOS起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Acrobatの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Illustratorの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Photoshopの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Photoshopの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe After Effectsの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Premiere Proの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
SSDのゲームストレージとしての実用性能比較
続いて42種類の2020年最新SSDに関して、PCMark10 Storage Testが含む23種類のテストのうち、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』としての性能を測定する3種類のベンチマーク結果を比較していきます。まずはゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、ゲームストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
次にゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を順番に見ていきます。
42種類の2020年最新SSDについて、Battlefield Vの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Call of Duty Black Ops 4の起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Overwatchの起動速度を比較したグラフが次のようになっています。
3つのテストの傾向を見比べると、Battlefield VとCall of Duty Black Ops 4はシーケンシャルアクセス強め、Overwatchはランダムアクセス感はあるもののやはりシーケンシャルアクセス強め、という印象を受けます。セーブ時点へのロードやファストトラベルのように不確定シーンではなく、ゲームを起動してからメインメニューまでで読み出しデータはほぼ固定なので、そういう傾向になるのかもしれません。
PCMark10 Storage Testのゲームストレージ性能は『ゲームの起動からメインメニューの表示まで』を測定するベンチマークとなっています。当サイトでは『メインメニューからプレイ可能になるまで』や『ファストトラベルからプレイ可能になるまで』を対象にPCゲームのロード時間比較を行ったことがありますが、それと比べて差がSSDの種類別で差が大きくなるのは意外でした。
HDDと検証機材の中で一番遅いSSDで性能差が3倍程度、という結果を見る限り、PCMark10 Storage Testもゲームストレージ性能測定として全くの的外れということもないと思うのですが。
・【SATA SSD vs NVMe SSD vs HDD】 ゲームロード時間を比較
SSDのデータストレージとしての実用性能比較
最後に42種類の2020年最新SSDに関して、PCMark10 Storage Testが含む23種類のテストのうち、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』としての性能を測定する7種類のベンチマーク結果を比較していきます。まずはデータストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取って、データストレージとしてのSSD実用性能としてパフォーマンスサマリーの比較グラフを作成しました。
次にデータストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を順番に見ていきます。
42種類の2020年最新SSDについて、Microsoft Excelの素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Microsoft PowerPointの素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Illustratorの素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe InDesignの素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Photoshop (light use)の素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe Photoshop (heavy use)の素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
42種類の2020年最新SSDについて、Adobe After Effectsの素材領域としての性能を比較したグラフが次のようになっています。
SSD実用性能比較のまとめ
42種類の2020年最新SSDについてPCMark10 Storage Testを使用してSSD実用性能をベンチマーク比較しましたが、その結果を見た管理人の感想をざっくりと書いていきます。(類似するベンチマークがないので、PCMark10 Storage Testが本当にリアルワールドなストレージ性能を綺麗に反映しているのか難しいところではありますが、ある程度信用できるという体で進めていきます。)SATA SSDについて
まずは分かりやすいところでSATA SSDについて見ていきます。32層3D NANDを採用する旧製品(比較データ中ではMicron 1100やPNY CS1311が該当)と比較して、近年主流な64層以上の3D NANDを採用した製のほうが基本的に高速、というのは違和感のない結果だと思います。
2020年現在、SATA SSDで最も主流な製品は「Samsung SSD 860 EVO」、「WD Blue 3D NAND SATA SSD(SanDisk SSD Ultra 3Dとはブランド違いで中身は同じ)」、「Crucial MX500」の3機種ですが、最速のSATA SSDは「Samsung SSD 860 EVO」でした。
総合性能を見ると多くのSATA SSDがSamsung SSD 970 PRO 1TBの60%前後で横並びに位置するのに対して、Samsung SSD 860 EVOは1TBモデルが80%以上、2TBモデルは何と90%を超えています。
同社の最新NVMe M.2 SSDであるSamsung SSD EVO Plusより高速なので、マジか?と疑う気持ちもわかるのですが、ゲーム性能やAdobe Photoshop (heavy use)のような大容量データを取り扱うテストではSamsung SSD EVO Plusの方が高速なので、細かいデータの取り扱い(ランダム性能)ではSATAもNVMeも規格上は大差がない?のが上手く影響したのではないかなと。
MLC型の「Samsung SSD 860 PRO」よりもSamsung SSD 860 EVOのほうが基本的に高速だったというのも予想外でした。とはいえ、他社のSATA SSDと比較すれば高速であり、書き込み耐性が高い、250GBや500GBなど小容量モデルにおけるSLCキャッシュ超過の書き込み速度低下が発生しない、といったメリットもあるので、信頼性重視や低容量なシステムストレージ用としてはこれまで通り推奨して問題ないかと思います。
QLC型NANDを採用するSATA SSDの「Samsung SSD 860 QVO」については2TBモデルは、現在主流なTLC型NAND採用製品と遜色ないどころか、他社製品を上回る性能を発揮するのですが、一方で、小容量な1TBモデルは32層3D NANDを採用する旧製品よりも遅いという残念な結果です。
NVMe M.2 SSDですがIntel 660pは1TBでも性能が高いので、1TBという数字は絶対的なものではありませんが、小容量なQLC NAND製品は注意が必要とは感じます。
NVMe M.2 SSDについて
続いて、結果が入り組んでいて傾向が読み取り辛いのですが、分かる範囲内でざっくりとNVMe M.2 SSDについて見ていきます。まず今回の検証において基準に使用している「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、Intel OptaneやSamsung ZET 893に及ばずとも3位は余裕でキープかと思いきや他製品と上位を競ったのは意外でした。ともあれ、やはり総合的に安定して高いポジションに付いています。
一方で最新のTLC型90+層3D NANDを採用する「Samsung SSD 970 EVO Plus」については1TBモデルが可もなく不可もなく中間的、2TBモデルは順位を落としました。SATA SSDのSamsung SSD 860 EVOは2TBモデルが非常に高速だったので、Samsung SSD 970 EVO Plusでこのような結果になったのは意外です。
Silicon Motion製コントローラーを採用した製品の性能も高く、一部はSamsung SSD 970 PRO 1TBを超える性能を示しますが、冒頭で書いたように使用済み容量が増えてくると10~20%程度の性能低下があるので、注意が必要です。
Silicon Motion製コントローラーを採用するSSDは使用済み容量が増えると性能を落とす傾向にありますが、「Kingston KC2000」はそれを差し引いても高速なので、これまで通り当サイトで推奨SSDとして扱ってもよさそうかなと思います。
NVMe SSDで特に気になったのは、当サイトではこれまで低発熱メモコンで高評価だった「WD Black SN750 NVMe SSD」です。平均値を取った総合性能でWD Black SN750 NVMe SSDの順位の低さに違和感を覚えて、個別テストの比較もチェックしてみたのですが、NVMe SSDの中で軒並み下位に位置する性能でした。
PCMark10 Storage Testに含まれる連続データのコピーテストでは上位に位置するので、PCMark10 Storage Testにおいてそもそも正常に動作していないということではなさそうです。
メインストリーム向けモデルですが同社の最新製品「WD Blue SN550 NVMe SSD」はSamsung SSD 970 PRO 1TBを基準に90%程度と良好なパフォーマンスを示しているので、最新モデルでは改善済みで、WD Black SN750に採用されているWD/SanDisk製コントローラーに原因があるのではないかと疑っています。(WD Black SN750と同時期に発売されたWD Blue SN500でも検証できればよかったのですが手持ちに機材がなく…)
QLC型NANDを採用したNVMe M.2 SSDについて、Samsung SSD 970 PRO 1TBを基準に、Intel 660p 1TBが106%(50%使用済みでは92.4%)、Crucial P1 1TBが89%で結果に大きく差が出たことも意外でした。これまではCrucial P1 1TBのほうが、使用済み容量に対する可変SLCキャッシュ容量が大容量で高評価だったのですが、それを覆えすレベルの違いです。
2020年に入ってIntelからは後継モデルIntel 665pが発売されましたが、50%使用済みの状態での性能低下が解消され、Intel 660pよりも高速化を果たしています。
Intel OptaneやSamsung 983 ZETについて
Intel Optane 900P/905PやSamsung 983 ZET(NVMe SLC)がワンツートップで上位を独占するというのは予想通りだと思います。この結果からも今回の実用性能比較で使用した17種類のテストはいずれもランダム性能(レイテンシ)が重要になっていると見て間違いなさそうです。実際に今回の比較では採用を見送りましたがPCMark10 Storage Testに含まれる連続データのコピーテストにおいて、Intel Optane 900P/905PはCDM等で3000MB/sを超える連続アクセススピードを発揮する最新の一般的なNVMe M.2 SSDより遅い結果でした。
容量単価が非常に高額で予算度外視にはなりますが、システム/ゲーム/データのあらゆる用途において性能を追求するならありなのかなと思います。
以上、『本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較』でした。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
本当に速いSSDはどれなのか、Windows10 OSやAdobeアプリやPCゲームの起動速度、素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について2020年最新SSD 35機種でベンチマーク比較。https://t.co/WDDGEphARE
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 7, 2020
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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SN750のスコアの低さは意外ですが,仕様が平凡な
intel760pが結構上位なのも不思議ですね.
両方とも所有しているので気になりました.