SilverStone IceMyst 360


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専用アクセサリ IMF70 ARGBによってVRM電源回路やシステムメモリの冷却を補助できる水冷ヘッドファンを自由自在に増設可能なAIO水冷CPUクーラー「SilverStone IceMyst 360(型番:SST-IM360-ARGB)」をレビューします。
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製品公式ページ:https://www.silverstonetek.com/jp/product/info/coolers/im360_argb/




レビュー目次


1.SilverStone IceMyst 360の外観・付属品
2.SilverStone IceMyst 360の水冷ヘッドと水冷チューブ
3.SilverStone IceMyst 360のラジエーターと冷却ファン

   ・SilverStone IceMyst 360のLEDイルミネーション

4.水冷ヘッド増設ファン IMF70 ARGBについて

5.SilverStone IceMyst 360の検証機材・セットアップ

6.SilverStone IceMyst 360のファンノイズと冷却性能
   ・IMF70 ARGBでメモリ、VRM電源、M.2 SSDの冷却性能を比較

7.SilverStone IceMyst 360のレビューまとめ



【機材協力:SilverStone】



SilverStone IceMyst 360の梱包・付属品

まずは「SilverStone IceMyst 360」の外観や付属品をチェックしていきます。
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SilverStone IceMyst 360の製品パッケージを開くと、外装の中にCPUクーラーや付属品に合わせた形のパルプモールドが入っていました。パルプモールドにぴっちりと内容品が収められており、必要最小限のパッケージサイズに抑えられています。
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マウントパーツを詳しく見ていくと、まずIntelプラットフォーム用のリテンションブラケットとLGA1200/115X用バックプレート、Intel LGA1700用バックプレートがあります。2種類のバックプレートはフレームに刻印があるので、それでどちらか見分けることが可能です。
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Intelプラットフォーム用のマウントパーツについては、加えてCPUソケット別で3種類、LGA1200/115X用、LGA1700用、LGA2066用のスタンドオフがあります。
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スタンドオフは見た目が酷似していますが、開封前ならビニール袋に記載があるので簡単に見分けられます。開封後にごちゃ混ぜになってしまった場合は、ローレット部分がひし形のものがLGA1700用、短い方のネジ山が細いものがLGA1200/115X用、逆に太いものがLGA2066用です。
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AMDプラットフォーム用のマウントパーツはリテンションブラケットとフック金具です。またローレットナット4個はIntel/AMDの両プラットフォームで使用します。
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「SilverStone IceMyst 360」には冷却ファンを固定するための長ネジが4本×3セットで計12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×3セットで計12本が付属します。
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「SilverStone IceMyst 360」は付属ファンをデイジーチェーン接続できる専用のファンケーブルが付属しています。
ファンと接続するロック付き8PINの独自端子が数珠つなぎになっており、そこからファン電源の4PINケーブルとARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。
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簡易水冷CPUクーラーでは水冷ベースプレートに予め熱伝導グリスが塗られているものも多いですが、「SilverStone IceMyst 360」にはユーザーが塗る熱伝導グリスが付属します。
「SilverStone IceMyst 360」は水冷ポンプの電源を3PINファン端子から取得する構造になっていますが、4PINペリフェラルから電源を取得できる変換ケーブルも付属します。近年のマザーボードはいずれも2A以上の出力で水冷対応ファン端子があるので変換ケーブルの出番はないと思いますが。
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LEDイルミネーション関連では、SATA電源による給電でARGB LEDのライティング制御が可能なコントローラーが標準で付属しています。
LEDイルミネーション関連のオプション的なケーブルとして、ARGB対応VD-G型汎用3PINヘッダーを2分岐するケーブル(マザーボードLEDヘッダーで制御するためのもの)、そして一部マザーボードの旧規格なARGB LEDヘッダーに接続するための変換ケーブルも付属します。
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簡易水冷CPUクーラー本体は水冷ヘッドとラジエーター共にビニール袋に包まれています。
ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
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SilverStone IceMyst 360の水冷ヘッドと水冷チューブ

続いて「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。
「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッドはプラスチックの外装で、シンプルな円柱形状です。外装はプラスチック製で、メタリックグレーのカラーリングで塗装されています。
全体的に単調な装飾になっていて、鏡面とか艶出しとのコントラストもないので、市販のシルバー系スプレー的塗装の印象というか、プラモのプラスチッキーな感じが強いかも。
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水冷ヘッド天面のプレートは360度自由に回転が可能です。SilverStoneのロゴは雪の結晶を模した中心対象の六角形なので、向きのズレはあまり気にならないと思いますが。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッドにおいて、天面のSilverStoneロゴ、天面プレートとの間にある半透明リングにはARGB LEDイルミネーションが内蔵されており、付属コントローラーやマザーボードなどARGBに対応したLEDコントローラーに接続すると、七色に発光させることができます。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッドからは、水冷ポンプへの給電および回転数取得用の3PINファン端子と、水冷ヘッドに内蔵されたLEDイルミネーションへの給電およびライティング制御用のARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。また後ほど紹介する水冷ヘッド増設ファンの給電および制御用のPWM対応4PINファン端子も伸びています。
LEDケーブルについてはコントローラーに接続するメス端子から、オス端子が分岐しており、1つのコントローラー側LED端子から複数のLED機器を接続できます。
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ちなみにARGB LEDケーブルと水冷ヘッド増設ファン用の4PINファン&LEDケーブルは、直出し式ではなく、ロック付きの独自8ピンコネクタによって水冷ヘッドに接続されており、使用しないなら取り外しも可能です。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷ポンプはPWM速度調整に非対応ですがDC降圧による速度調整には対応しており、最大(定格)ポンプ速度の3000RPM前後に対して、最小ポンプ速度を2200RPM程度まで下げることができます。
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「SilverStone IceMyst 360」のCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。
銅製ベースは鏡面磨き上げではなく、指で触ると僅かながらザラザラした感じはあるものの、近くのものが写り込む程度にはしっかり平滑化されています。
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「SilverStone IceMyst 360」の銅製ベースプレートは僅かに中央凸な形状になっています。同製品のOEM元ではありませんが、AIO水冷ヘッドのOEM元として当サイト的に定評のあるAsetek製ではお馴染みの構造です。
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少し補足しておくと、Intel第12~14世代CPUは縦長なCPU形状のため、ILMのリテンションによってCPUヒートスプレッダが反り、一部のCPUクーラーでは最大5度程度、冷却性能が下がることが話題になったので、その対策をアピールしているようです。
これについては平らなクーラーベースプレートと組み合わせた時に冷却性能低下が発生しやすく、Asetek製AIO水冷ヘッドやここ数年に発売されたNoctua製空冷などベースプレートが中央凸な形状のクーラーにはほとんど影響がないことも知られており、同じ構造を採用した「SilverStone IceMyst 360」も安定した冷却性能を発揮できます。
また、CPU反り(による冷却性能低下)対策にワッシャーMODや互換金属フレームなど製品保証や安定動作に影響のある作業が必要ないところもメリットです。


「SilverStone IceMyst 360」のリテンションブラケットはスライド構造で水冷ヘッドに着脱します。リテンションブラケットはIntel用(LGA1700/1200/115X/2066)とAMD用(AM5/AM4)の2種類です。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷チューブは水冷ヘッドの側面から出る構造になっています。
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L字エルボーの水冷ヘッド側はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は広めで同じ方向でも180度近くまで回すことができます。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷チューブには高耐久な耐熱性ゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
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「SilverStone IceMyst 360」の水冷チューブの長さは450mm程度で少し長めです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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水冷チューブの外径は12mm、ゴム製チューブにナイロンスリーブが巻かれています。10mm径ほどではないものの細めで丈夫なチューブなので曲げやすく取り回しにも優れています。かなり強く曲げてもチューブが折れて潰れなかったのでコンパクトなPCへ組み込む際にも苦労することはないと思います。
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SilverStone IceMyst 360のラジエーターと冷却ファン

続いてSilverStone IceMyst 360のラジエーター部分をチェックしていきます。
「SilverStone IceMyst 360」のラジエーターのデザインは一般的なもので、一部メーカーの製品に採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。
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今回レビューする「SilverStone IceMyst 360」は名前の通り360サイズラジエーターのモデルですが、IceMystシリーズからは240サイズ、280サイズ、420サイズを合わせた計4種類がラインナップされています。
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放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。
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ラジエーターの厚さは一般的な27mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファンマウントスペースのクリアランスは52mmほど必要になります。
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「SilverStone IceMyst 360」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、120mmサイズ冷却ファン(型番:CC12025H12S)が標準で3つ付属します。
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「SilverStone IceMyst 360」の付属ファンは、定格(最大)回転数が2000RPM、PWM速度調整に対応し、500~2200RPMの範囲内で速度調整が可能です。
半透明ブレードは軸受け部分に内蔵されたアドレッサブルLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色が行き渡ります。
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軸固定用の支柱は、ファンブレードの回転方向に対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
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ネジ穴部分に防振ゴムが貼られて防振性も確保されています。吸気面を最大化するようにフレーム内側は角がすり鉢状にカットされています。
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「SilverStone IceMyst 360」の付属ファンからは直接はケーブル類が伸びておらず、ファンフレーム角の1カ所(背面シールから見て右下の方向)にSilverStoneの独自規格であるロック付き8ピンヘッダーが実装されています。
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ここに付属の専用ケーブルを使用して、自作PCの汎用規格であるPWM対応4PINファン端子やARGB対応VD-G型3PIN汎用LED端子に変換する形です。3台のファンに対してケーブルは1対で済むので配線が非常に楽です。
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付属ケーブルにおいてファンに接続するロック付き8ピンコネクタは120mm程度の感覚で数珠繋ぎになっているので、デイジーチェーン的にスマートな配線が可能です。
見栄えが良く、配線しやすいというメリットはあるものの、接続端子が独自規格で付属ファンと共通のものは市販されていないため、CPUクーラーの保証期間が過ぎるとファンのうち1つが故障した時に同等品が手に入らなくなるので長期保守の観点からするとデメリットもあります。
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「SilverStone IceMyst 360」には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×3セットで計12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×3セットで計12本が付属します。ネジの規格はUNC No.6-32です。
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SilverStone IceMyst 360のLEDイルミネーション

「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションについて紹介していきます。
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「SilverStone IceMyst 360」に搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、標準で付属するARGB LEDコントローラーによって制御することが可能です。
コントローラーからはSATA電源ケーブルが伸びており、SATA電源を電源供給元として、「SilverStone IceMyst 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションへの電源供給とライティング制御が可能になっています。
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付属コントローラーには[+ , - , M]の3つのボタンがあります。「+」と「-」ボタンは設定値の変更、「M」ボタンで設定項目が変更できます。
「M」ボタンを3秒長押しすると消灯できます。 「+」ボタンの隙間から光が漏れているLEDの発光カラーは現在の設定モードを示しており、緑色は「発光パターン」、赤色は「変化スピード」、青色は「輝度」、黄色は「自動発光パターン(DEMO)モード」となります。
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「SilverStone IceGem 360」に付属する専用コントローラーから選択可能な発光パターンは以下の10種類です。
・「Rainbow(標準設定)」:七色のカラーサークルが時計回りに回転する(-を3秒長押しで戻る)
・「Breathing」:七色のカラーサークルが明滅する
・「Flashing」:七色のカラーサークルが明滅する
・「laying」:各アドレスが順に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Flowing」:全8色で各アドレスが順に発光カラーを切り替えていく
・「256 colors auto switching」:全体が七色に変化(+/-を3秒長押しで現在の色に停止/解除)
・「Rader」:各アドレスが順に点滅に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Color laying Red」:赤色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Color laying Green」:緑色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Color laying Blue」:青色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく

また「SilverStone IceMyst 360」の水冷ヘッドと冷却ファンに搭載されたLEDイルミネーションは、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーによるライティング制御に対応しています。
マザーボードについてはASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作が可能です。
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今回は付属の専用コントローラーを使用して「SilverStone IceGem 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションやライティング制御について紹介します。
「SilverStone IceMyst 360」のLEDイルミネーション制御に付属のLEDコントローラーを使用する場合、3台の冷却ファンからは付属ケーブルによって1本のLEDケーブルが伸びているだけなので、単純に水冷ヘッドとファンのLEDケーブルを接続し、そこからさらにLEDコントローラーを接続するだけです。(順番はどれでもかまいません)
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「SilverStone IceMyst 360」はシンプルな単色発光だけでなく、LED素子1球1球が個別カラーで発光するアドレッサブルなライティングにも対応しています。
ARGB LEDコントローラーも標準で付属しており、3つのスイッチを操作するだけで様々なライティングを実現できます。
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水冷ヘッド増設ファン IMF70 ARGBについて

今回紹介するAIO水冷CPUクーラー SilverStone IceMyst 360で使用可能な水冷ヘッド増設ファン「IMF70 ARGB(型番:SST-IMF70-ARGB)」について紹介します。
SilverStone IceMystシリーズはIMF70 ARGBを複数使用してCPUソケット周辺の冷却を自由自在に補強できるのが魅力なAIO水冷CPUクーラーなので、クーラー本体と一緒にIMF70 ARGBを3台提供いただきました。
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「IMF70 ARGB」の内容品は増設ファン本体と固定ピン×2本だけです。
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「IMF70 ARGB」はSilverStone IceMystの水冷ヘッドと同じ直径の円形固定部に、70mmサイズのファンが連結した、ひょうたん型です。(2つの径はほぼ同じですが)
円形固定部は黒色の支柱に対して、ファンと繋がっているガンメタルカラーの外装部分は自由回転する構造です。
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「IMF70 ARGB」は70mmサイズ、定格2800RPMのPWM速度調整対応ファンです。PWM速度調整によって500~2800RPMの範囲内で速度調整が可能です。
SilverStone IceMystの付属ファン同様に半透明ブレードは軸受け部分に内蔵されたアドレッサブルLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色が行き渡ります。
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「IMF70 ARGB」は固定部の中央にある7ピン端子によって、SilverStone IceMystの水冷ヘッドや下段のIMF70 ARGBと連結して重ねていく構造です。「IMF70 ARGB」のピンは1本折れているように見えますが7ピンで仕様通りです。あとピンにはカバーが付いているので装着前に外し忘れないように注意してください。
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「IMF70 ARGB」はSilverStone IceMystの水冷ヘッドから伸びるPWM対応4PINファン端子ケーブルによってファン本体が動作し、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルによって水冷ヘッドカバーと同期してライティング制御される構造です。
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SilverStone IceMystシリーズに「IMF70 ARGB」を増設する手順について説明していきます。
まずは水冷ヘッドに標準で装着されている天面プレートを垂直に持ち上げて取り外します。ファン&LED端子が現れるので、位置を合わせて「IMF70 ARGB」を被せてください。
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「IMF70 ARGB」の固定にはリベットピンと呼ばれるプラスチック製の固定器具を使用します。スリーブとピンで構成されていて、ピンを押し込むとスリーブの先端が開く構造です。
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「IMF70 ARGB」には2本のリベットピンが付属していますが、ファンを複数段重ねる場合は、2カ所ある穴のうち、片方だけにリベットピンを挿し込み固定します。リベットピンの挿し方として、先にスリーブ側を置くまで挿し込んでから、ピンでロックしてください。
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リベットピンで固定したら、さらに「IMF70 ARGB」を重ねます。
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「IMF70 ARGB」を複数段重ねる場合は下の段でリベットピンを挿さなかった方の穴にリベットピンを挿して固定します。
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以上の手順を繰り返し、最後に水冷ヘッドのカバーを装着したら「IMF70 ARGB」の増設は完了です。
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「IMF70 ARGB」を3段増設したところ、水冷ヘッドの全高は120mm程度になりました。1段で17~18mm程度全高が高くなります。
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SilverStone IceMystシリーズに「IMF70 ARGB」を組み合わせるとLEDイルミネーションはこんな感じになります。上で紹介した水冷クーラー自体のLEDイルミネーションと同様に付属コントローラーやマザーボード機能で同期してライティング制御が可能です。
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SilverStone IceMyst 360の検証機材とセットアップ

SilverStone IceMyst 360を検証機材のベンチ機にセットアップします。検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU
Intel Core i9 13900K
レビュー
AMD Ryzen 9 7950X
レビュー
M/B ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO
レビュー
ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N (レビュー
DDR5 16GB*2=32GB
6000MHz, CL30-38-38-96
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー
OS Windows 11 Home 64bit
電源ユニット
Corsair HX1500i 2022 (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を使用しています。
Samsung SSD 990 PROは、PCIE4.0対応SSDで最速クラスの性能を発揮し、なおかつ電力効率は前モデル980 PRO比で最大50%も向上しており、7GB/s超の高速アクセスでも低発熱なところも魅力な高性能SSDです。 これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。性能も電力効率もトップクラス!
Samsung SSD 990 PRO 1TB



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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前置きはこのあたりにしてベンチ機へSilverStone IceMyst 360をセットアップします。

最新のIntel Core CPU(第12~14世代)が対応するLGA1700プラットフォームでは、水冷ヘッドを固定する下準備として下のマウントパーツを使用します。
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まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。
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バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷ヘッドを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。
「SilverStone IceMyst 360」にはプラットフォーム別でいくつかのスタンドオフが付属していますが、Intel LGA1700プラットフォームではローレット部分の滑り止め加工がひし形のスタンドオフを使用します。
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下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。
マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易な構造です。
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水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。


グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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「SilverStone IceMyst 360」のCPUと接触するベース部分には、購入時点では保護フィルムで保護されています。CPUクーラー装着前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
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熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるスタンドオフにリテンションブラケットのネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
SilverStone IceMyst 360の水冷ヘッドの固定ネジはツールレスな大型ローレットナットなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。
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AMD Ryzen CPUに対応するAM4/AM5マウントについては、AMDプラットフォーム用のブラケットを水冷ヘッドに装着してから、マザーボードに標準で備え付けられている固定器具へフックを引っかけるだけなので装着は非常に簡単です。
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水冷ヘッド側面から水冷チューブの出ている簡易水冷CPUクーラーでは最左端にあるメモリスロットの距離次第で水冷トップ右のチューブエルボーとメモリが干渉してCPUクーラーを設置できない場合がありますが、「SilverStone IceMyst 360」は標準レイアウトがリアIO側となっており、逆向きに配置したとしても十分なクリアランスが確保されているので、概ね干渉は起こらないと思います。
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簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷ヘッドの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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SilverStone IceMyst 360のファンノイズと冷却性能

本題となる「SilverStone IceMyst 360」の冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「SilverStone IceMyst 360」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

「SilverStone IceMyst 360」のラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。
「SilverStone IceMyst 360」はラジエーター冷却ファンを1300~1400RPM前後に収まるようにするとノイズレベル35dB前後となり、静音動作で運用できると思います。
なお個体差もあるかもしれませんが、今回の検証ではファン速度を1500RPM前後にすると、ファーンという金管楽器のような唸り音が発生しました。特定速度で発生することもあるようなので、各環境で発生した場合はその速度は避けるようにファン速度制御を変更してみてください。
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水冷ヘッド増設ファン IMF70 ARGBについては下写真のように3台を設置してファン速度に対するノイズレベルを測定しました。IMF70 ARGBのファン速度は下側の横軸を見てください。ラジエーターファン速度は1000RPMで固定しています。
IMF70 ARGBを3台設置していますが、ファン速度が1600RPM未満であれば、ファンノイズは聞こえるか聞こえないかくらいでした。
70mm径の小さいファンなのでノイズレベルの数字は小さいですが、1700~2100RPMくらいになると高周波なので風切り音はファン動作を認識できる程度になりますが、PCケース内なら気にならない程度です。2200~2400RPMを超えると環境によってはファンノイズが耳障りになるかもしれません。
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当サイト的には「Noctua NF-A12x25 PWM」や「Thermaltake TOUGHFAN 12」のような静圧の高さも重視した設計の高性能冷却ファンへの換装もオススメです。
1台あたり2000~4000円ほどと高価ですが、標準ファンと同じノイズレベルにおいて300PRM~400RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。
HP-Fan


続いて「SilverStone IceMyst 360」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてHandBrakeによるx264動画エンコードを使用しています。
4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行のようにメニーコアでもCPUに遊びが生じないよう動画エンコードの並列実行数は適宜調整しています。なおテスト中の冷却ファンや水冷ポンプの回転数は一定値に固定します。
Intel Core i9 13900K_Stress
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。


まずはIntel第13世代Raptor Lake-S最上位モデル、24コア32スレッドCPUのIntel Core i9 13900Kを使用して、Intel第13世代Core-S環境における、「SilverStone IceMyst 360」の冷却性能を検証していきます。

DSC00616_DxO

Core i9 13900Kの動作設定はPL1/PL2:253Wの定格動作とし、メモリOC設定については検証機材メモリ「G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」に収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング30-38-38-96、メモリ電圧1.350Vです。

Core i9 13900Kを定格設定のPL1/PL2:253Wで動作させると、フル負荷時にP-Core All 5.2GHz、E-Core All 4.1GHz程度となり、Cinebench R23のスコアは39000前後になります。またこの動作設定において上で紹介したx264エンコードによるストレステストを実行すると、EPS電源経由の消費電力は300W前後に達します。
Intel Core i9 13900K_def_Cinebench R23
Intel Core i9 13900K_def_Power


「SilverStone IceMyst 360」のラジエーター冷却ファンを1400RPM(ポンプ速度は最大)に固定してストレステストを実行したところ、定格動作であるPL:253WのCore i9 13900KのCPU温度は最大88度、平均84.3度に収まりました。
SilverStone IceMyst 360_temp_Core i9 13900K_253W_1
高温ではあるものの安定動作しており、サーマルスロットリングが発生する臨界温度100度よりは低いので、CPU Package Powerは253W前後に張り付き、実動CPUコアクロックはP-Core All 5.2GHz、E-Core All 4.1GHz程度でした。
SilverStone IceMyst 360_temp_Core i9 13900K_253W_2

Core i9 13900KやCore i7 13700Kは定格のまま運用すると絶対性能を重視した設定なのでCPU消費電力がかなり高くなりますが、CPU Package Powerを180~200Wまで下げてもマルチスレッド性能の低下は10%程度であり、PL:155Wもあれば定格設定からゲーム性能が下がることもありません。
Intel Core i9 13900K_Performance_per-and-game
なのでCore i9 13900Kの動作倍率は定格設定のまま、長期間電力制限PL1を220Wに制限したケースについて検証してみました。短期間電力制限PL2は定格と同じく253W、短期間電力制限時間Tauは56秒としています。
Intel Core i9 13900K_PL-200W_BIOS

CPU Package Powerが253W前後で推移する定格設定ではベンチ板測定でもCPU温度が90度前後に達しますが、PL1を220Wに設定すれば長期的な負荷に対して70度台後半に収まります。PL1:220Wの設定なら電力制限の影響が大きいマルチスレッド性能も性能低下は10%未満です。
「SilverStone IceMyst 360」で静音性も維持しつつ80度以下でCPUをしっかり冷やす、という条件になると、Core i9 13900KなどIntel第13世代CPUの場合はPL1:200~220W程度を目安に設定するのが良さそうです。
SilverStone IceMyst 360_temp_Core i9 13900K_220W_1
SilverStone IceMyst 360_temp_Core i9 13900K_220W_2


続いてAMD Ryzen 7000シリーズ最上位モデル、16コア32スレッドCPUのAMD Ryzen 9 7950Xを使用して、AMD Ryzen 7000シリーズ環境における「SilverStone IceMyst 360」の冷却性能を検証していきます。
DSC00614_DxO

Ryzen 9 7950Xの動作設定は定格のまま、メモリOC設定については検証機材メモリ「G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」に収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング30-38-38-96、メモリ電圧1.350Vです。メモリコントローラー周波数UCLKは1:1同期、Infinity Fabric周波数FCLKは2000MHzです。

この設定においてRyzen 9 7950XのCinebench R23のマルチスレッドスコアは38000ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したx264エンコードによるストレステストを実行すると、EPS電源経由の消費電力は210~240W前後に達します。
AMD Ryzen 9 7950X_def_Cinebench R23
AMD Ryzen 9 7950X_def_Power

「SilverStone IceMyst 360」のラジエーター冷却ファンを1400RPM(ポンプ速度は最大)に固定してストレステストを実行したところ、Ryzen 9 7950XのCPU温度は95度前後に達しました。
CPU温度は高温ですが「SilverStone IceMyst 360」が特殊(冷却性能が低い)というわけではありません。
Ryzen 9 7950XはCPUにフル負荷がかかるシーンだと閾値温度95度もしくはPPT:230Wを上限として動作しますが、市販製品で最高クラスの冷却性能を発揮する360サイズAIO水冷CPUクーラーを組み合わせても基本的にCPU温度がボトルネックとなります。
SilverStone IceMyst 360_temp_Ryzen 9 7950X_1
「SilverStone IceMyst 360」の場合もやはりRyzen 9 7950XのCPU温度は95度前後に達しますが、その状態でCPU Package Powerが平均208W程度で推移しており、コアクロックも全コア5.0~5.1GHz程度の実動値で安定して動作しています。
「SilverStone IceMyst 360」はCPU消費電力が200W前後になるRyzen 9 7950Xのポテンシャルを十分に引き出せる冷却性能を備えている、と評価して良い結果です。
SilverStone IceMyst 360_temp_Ryzen 9 7950X_2


IMF70 ARGBでメモリ、VRM電源、M.2 SSDの冷却性能を比較

性能検証の最後に、SilverStone IceMystシリーズの水冷ヘッドに装着可能なエアフローファンIMF70 ARGBを増設することで、システムメモリ、VRM電源、M.2 SSDがどれくらい冷えるようになるのか、ファンなしのシンプルなAIO水冷クーラー状態と比較検証してみました。
DSC00613_DxO
DSC00612_DxO

まずはシステムメモリとVRM電源回路について、上で行ったCPU温度の検証同様に動画エンコードを負荷にして、IMF70 ARGBのファン速度を2000RPMに固定し、ファンなしの状態と比較しました。
システムメモリもVRM電源回路もIMF70 ARGBで冷却を補助することによって、温度は20度前後も低下しています。
高負荷時に温度が原因で動作が不安定になるような環境で改善策として有用であることはもちろん、今回、検証に使用しているASUS ROG CROSSHAIR X670E HEROやG.Skill Trident Z5 Neoはファンなしの状態でも安定動作する高性能な製品ですが、そういった高性能な部品でもIMF70 ARGBを組み合わせればさらに冷やせます。
SilverStone IMF70 ARGB_temp_1_SYS-RAM
SilverStone IMF70 ARGB_temp_2_VRM
IMF70 ARGBとファンなしの2つでストレステスト終盤のサーモグラフィーを撮影してみましたが、マザーボード上各部の温度差は一目瞭然です。
SilverStone IceMyst 360_FLIR_7950X_wtFAN
SilverStone IceMyst 360_FLIR_7950X_woFAN


続いてM.2 SSDについてですが、検証には高発熱であることで知られるPCIE5.0対応SSDを使用しました。
具体的にはCrucial T700 ヒートシンク搭載版を使用していますが、Phison PS5026-E26を採用しているPCIE5.0対応SSDはどれも似たような発熱です。
DSC00615_DxO
SSD負荷はPCゲーミング時の実用的な負荷を想定して、『4Kランダム(Q1T1)の読み出しを2分と5分、その間に4秒間の連続読み出し(Q8T1)を挟む』という内容です。CDMや単純な連続アクセスとは違うので、詳しくはこちらの記事を参照してください。


Crucial T700 ヒートシンク搭載版に上記のようなPCゲーミング想定の実用負荷をかけ、IMF70 ARGB(2000RPM)とファンなしを比較したところ、15分程度で30度を超える温度差になりました。
Phison PS5026-E26を搭載するPCIE5.0対応SSDは4Kランダム読み出しでも4~5WというPCIE4.0対応SSDの連続アクセスに近い消費電力が発生するので、差が大きく出たというのもあります。
とはいえ、CPUソケット直下のM.2スロットはCPU直結PCIEレーンに接続されていてシステムストレージとして使用されることが多く、同時にグラフィックボードからの熱の影響も受けやすい位置なので、その冷却を補助できるのは魅力だと思います。
SilverStone IMF70 ARGB_temp_3_SSD



SilverStone IceMyst 360のレビューまとめ

最後に簡易水冷CPUクーラー「SilverStone IceMyst 360」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 水冷ヘッドと付属ファンにARGB LEDイルミネーションを搭載
  • 水冷ヘッド天面ロゴの向きは自由回転できる
  • 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。曲げやすく潰れにくい
  • 200~250WのCore i9 13900Kを運用可能な冷却性能
  • 200W前後のRyzen 9 7950Xを運用可能な冷却性能
  • バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
  • 水冷ブロックの固定はローレットナットでツールレス固定可能
  • 【別売り】 増設ファン IMF70 ARGBで水冷ヘッド周りの冷却を補強可能
悪いところor注意点
  • 付属ファンとラジエーターの組み合わせでは一定ファン速度で、うなり音が発生
  • ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
  • 税込み2.7万円ほどと高価(2023年10月現在)

冷却性能の検証結果からもわかるように「SilverStone IceMyst 360」は、200Wクラスの電力負荷になるメインストリーム向け最上位CPUのCore i9 13900KやRyzen 9 7950Xに対応可能な冷却性能を実現しています。
Intel製CPUについては少し前に発売された最新の第14世代CPUではありませんが、ハイクロックになったマイナーアップデートなので、Core i9 13900KでPL:220~250Wが運用できるなら、Core i9 14900Kも同じ電力設定で運用できます。

今回レビューしたのは冷却性能に優れた大型ラジエーターの360サイズですが、SilverStone IceMystシリーズにはデュアルファンでPCケースの設置スペース的に汎用性の高い240サイズや280サイズ、国内では製品数が少ない超大型の420サイズも展開されており、ユーザーにニーズに合わせてラジエーターサイズを選択できます。

「SilverStone IceMyst 360」を含め、IceMystシリーズの最大の特長は別売りアクセサリ IMF70 ARGBを使用することで、360度自由に位置を調整可能なエアフローファンを水冷ヘッドに増設できるところです。
7000MHz超のハイクロックなOC DDR5メモリは高温時にPMICの熱耐性の影響で動作不安定になる、連続読み書きが10GB/sを超えるPCIE5.0対応SSDは4Kランダムでも従来の連続アクセスに近い消費電力が生じる、など近年ではCPU周りにも高温になりやすい高性能パーツが増えているので、それを狙って冷却を補強できるのは大きな魅力だと思います。

「SilverStone IceMyst 360」は水冷ヘッドと冷却ファンにARGB LEDイルミネーションを搭載しているので、簡単にARGB LEDでライトアップする魅せるゲーミングPCを構築できるところも魅力です。


以上、「SilverStone IceMyst 360」のレビューでした。
SilverStone IceMyst 360



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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。




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