
高画質・高解像度ゲーミングの実力は如何に!?
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5月17日に解禁となった先行レビューで大概の情報は出尽くしていますが、隙間を埋めるようなニッチなところを突くレビューができたらいいなと思いつついろいろ検証しています。
GTX1080のレビュー第三回は次世代Pascalで刷新され、いまだ国内外でレビューの少ない新型SLIの実力を試していきます。
新型SLIの仕様やハードウェアについて
GTX1080から新たに採用された高帯域のSLIについて具体的な仕様は次のようになっています。ソース:http://www.hardwarezone.com.sg/m/feature-preview-nvidia-geforce-gtx-1080-sli-benchmarked
変更点は大きく次の2つになります
- SLIの動作周波数が400MHzから650MHzに拡張
- SLI端子を2重に用いる「dual-link SLI mode」の追加
まず1点目「SLIの動作周波数が400MHzから650MHzに拡張」 についてですが、Maxwell以下のNVIDIAの旧型GPUではSLIブリッジを用いたマルチGPU間で同期を行う動作周波数は400MHzでした が、GTX1080を始めとしてPascal以降の新型GPUで650MHzに一律で拡張されています。ASUSやEVGAからリリースされていたSLI Bridge(LED Bridge等と呼ばれている)の売り文句とは違い、新型SLIでは実際に高解像度・高リフレッシュレートにおけるSLI動作の安定・性能向上が見込めます。
加えて、この帯域の拡張は新型のSLIブリッジを使用する必要はなく、旧型のSLIブリッジを使用してGTX1080をつないだ場合も650MHzの帯域でリンクされるとNVIDIAが語っています。
In fact, NVIDIA says that certain older SLI bridges – custom bridges with LED lighting to be specific – will also be able to operate at 650MHz when used with the GeForce GTX 1080.

次に「SLI端子を2重に用いる「dual-link SLI mode」の追加」 について説明します。すでに知られているように従来の2way-SLIでは各GPUのSLI端子1つを接続するだけでしたが、新型のSLIブリッジは2つ のGPUを接続する際に各GPUに搭載された2つの端子を使用するようにハード自体が変わっています。下画像の新型SLIブリッジは「High Bandwidth SLI Bridge」(略称:SLI HB)と呼ばれています。

このハード面における接続方法の変更に伴い、従来のSLIモードとは別に、SLI端子を2つずつ使ってGPU間で2重に接続を行うモード「dual-link SLI mode」が追加されました。ではこの「dual-link SLI mode」は新型SLIブリッジでないと動作しないのか?というとそんなことはなく、従来のSLIブリッジを2つ並列接続してしまえば問題なく「dual-link SLI mode」で動きました。実際のところは出てみないとわかりませんが、「High Bandwidth SLI Bridge」は従来のSLIブリッジが2つ並んだLEDブリッジで性能的な差異はないような気がします。というか性能差があるなら同時発売すると思いますし……。
新型SLI「dual-link SLI mode」を試す
Pascalで新たに採用された「dual-link SLI mode」を試してみました。GTX1080についてはOCは全くしていない定格の状態です。GTX1080は市販されている従来のフラットケーブル型SLIブリッジを2本購入して、それで接続を行いました。

2本で繋いでSLIを有効化しても、NVコンパネ上では「dual-link SLI mode」に関する項目は何も表示されませんでした。試しにSLIブリッジ1本でSLI有効化すると、2本の場合は表示されなかった注意書きが出てきます。一応、従来のSLIブリッジを2本接続することで「dual-link SLI mode」は有効になっているようです。

そうとわかればSLIブリッジ1本で接続した場合と、2本で接続した場合のベンチマークスコアの差を比較すればOKですね。早速FireStrike Ultraを回してベンチマーク比較を実行しました。
従来のSLIモードのスコア

「dual-link SLI mode」のスコア

「dual-link SLI mode」では従来のSLIモードに比べて400スコアが上昇していることが確認できました。市販のフラットケーブル型SLIブリッジを余分に購入するだけでOKなのでお手軽です。
ちなみに980ti定格(1200MHz)のSLIでFireStrikeUltraベンチマークを回すとグラフィックスコアは7500程度になるようです。(CPUが違うので総合スコアは無視してください)

「dual-link SLI mode」で高解像度ゲーミング
上の検証で「dual-link SLI mode」では高解像度において性能が向上することが確認できたので、今度は実際に2015年から2016年に発売された高画質PCゲームを高解像度で試すことにしました。検証に使ったゲームは遠景の描画が圧倒的なアサシンクリードシリーズの最新作「Assassin's Creed Syndicate」、現在進行形でDLCによる拡張の進んでいる「The Division」、PCゲーム界で最強クラスの売り上げを誇る「GTA5」、最新高画質技術の詰め込まれた「Rise of the Tomb Raider」、そして本日、最後の大型DLCが配信される「The Witcher 3」の5タイトルです。(レビュー間に合ってよかった。)解像度はウルトラワイド3440*1440のUWQHDとして垂直同期を無効化しています。利用した液晶モニターは「Acer PredatorX34」です。純粋な描画能力を測るためG-Syncも無効にして測定を行っています。
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日本エイサー(2016-01-22)各ゲームで数分間のプレイを行い、コアクロック、温度、GPU使用率など各種のデータログを採取してわかりやすくグラフにまとめまていきます。とりあえずプレイ時の動画がこちらになります。
「Assassin's Creed Syndicate」 : 最高設定(実用的にはAAをMSAAx4ではなくFXAAを推奨)
「Assassin's Creed Syndicate」プレイ時のFPS推移は次のようになりました。

「Assassin's Creed Syndicate」プレイ時のコアクロック、GPU使用率、GPU温度の推移グラフが次のようになっています。GPU使用率はほぼ100%に張り付いて良好です。コアクロックは徐々に下がっていき最終的には1600MHz台になってしまいます。

「The Division」 : グラフィック設定はULTRA以上MAX寄り。動画中で設定表示
「The Division」プレイ時のFPS推移は次のようになりました。

「The Division」プレイ時のコアクロック、GPU使用率、GPU温度の推移グラフが次のようになっています。GPU使用率は90~80程度です。もうひと踏ん張りしてほしい。コアクロックは徐々に下がっていき最終的には1600MHz台になってしまいます。

「GTA5」 : グラフィック設定はULTRA以上MAX寄り。動画中で設定表示
「GTA5」プレイ時のFPS推移は次のようになりました

「GTA5」プレイ時のコアクロック、GPU使用率、GPU温度の推移グラフが次のようになっています。GPU使用率は基本的に100%付近に張り付くのですが、たまに乱れました。コアクロックは徐々に下がっていき最終的には1600MHz台になってしまいます。

「Rise of the Tomb Raider」 : DX11、FXAA以外は最高設定
「Rise of the Tomb Raider」プレイ時のFPS推移は次のようになりました。

「Rise of the Tomb Raider」プレイ時のコアクロック、GPU使用率、GPU温度の推移グラフが次のようになっています。GPU使用率が非常に残念なことになっています。1/4は遊んでいるという事実。代わりにコアクロックは1800MHz台で安定しています。

「The Witcher 3」 : 最高設定、高画質MOD「HD Reworked Project」あり
「The Witcher 3」プレイ時のFPS推移は次のようになりました。

「The Witcher 3」プレイ時のコアクロック、GPU使用率、GPU温度の推移グラフが次のようになっています。GPU使用率は2つのうちどちらかが100%近くに張り付くのですが、もう一方は90%ほどになるようです。比較的良好だと思います。GPU使用率、GPU温度は共に高いですが、コアクロックは1800MHz前後で安定したままでした。不思議な傾向ですね。

以上5つのログをみたところゲームごとに違いはあるものの共通して主GPUの温度は副GPUよりも5度ほど高い温度になっています。コアクロック、GPU使用率が同じでもこのような結果になりちょっと不思議です。GPUを入れ替えてFireStrikeを回しても同じ結果になったのでSLIの仕様らしいです。
各ゲームの平均FPSは次のようになりました。「Assassin's Creed Syndicate」のみ平均60FPSを割っていますが実用的ではないAA設定を採用して負荷をかけていたので、FXAAに変更すれば20~30FPSは上がります。他タイトルについても平均FPSは余裕で60FPSを超えてきていますね。

各ゲームプレイ時のGPU使用率の平均値は次のようになりました。「Rise of the Tomb Raider」以外は90%以上で安定しています。「Rise of the Tomb Raider」はほんとにもうちょっと頑張って……。

各ゲームプレイ時の最小コアクロック、最大コアクロック、あと各ゲームでプレイ時間を一定にしていないのであまり参考にならないと思いますが平均コアクロックが次のようになりました。GPU温度についてはいずれも80度を超えますが、コアクロックの最小値に大きく違いがあるのが興味深いです。GPU温度とGPU使用率以外にコアクロックの抑制を決定する要素があるのでしょうか?(PowerLimitの影響かも)

SLIとは関係ありませんが、VRAMとシステムメモリの使用量は次のようになりました。「The Witcher 3」は他に劣らず高画質なのにVRAM使用量が少ないです。システムメモリは16GB以上必須です。

GTX1080 SLIのまとめ
GTX1080の新型SLI「dual-link SLI mode」によって従来のSLIよりも性能が伸びることが確認できました。また実ゲームでの比較は行えなかったものの、FireStrikeのベンチマークスコアとDX11ゲームの実ゲーム性能は比較的綺麗に比例するためGTX1080のSLIは980tiやTitanXのSLIよりも高解像度において”コアクロックが高い数値で安定するなら”十分に高い性能であることが期待できると思います。不安要素として実ゲームの多くで見られた1600MHz台へのコアクロックの低下が挙げられます。GTX1080のDirectX12ベンチ検証を行った際にGTX1080のダウンクロックを行ったのですが、その際は‐300MHzにダウンクロックしたGTX1080はTitanXや980tiと同程度の性能になっており、今回の1600MHz台という数字を考えるとFEは冷却性という面で正直”ベンチ番長”じゃないか?という疑いもよぎります。1600MHz台でもGTX980tiやTitanXを超えては来るはずですが、定格運用で長時間ゲームをした場合、期待された性能向上が実現するかは微妙です。というかイベントの2.1GHzが67度は誇張し過ぎやで。

ただしこのコアクロックの低下は基本的にはあくまでGPU温度に依存する問題であり、冷却さえしっかりできていれば高いコアクロックで安定することが簡易水冷化を行った先行レビューで報告されています。

水冷化を行う前提であるならすでに水枕がEKWBやaquacomputerからリリースされており、ユーザー数も多いリファレンス基板のGTX1080を購入する意味はあると思います。また簡易水冷化についても基本的にリファレンス基板に対応したブラケットしか販売されないのでその場合もリファ一択でしょう。(ただし5月31日現在、GTX1080FEのファンの回転数が乱高下する問題があるので注意してください。)
水冷化やクーラー換装を行わないのであれば、冷却性のボトルネックによるコアクロックの低下が危惧されるリファレンス基板よりは早ければ1,2週間後には販売が開始されるであろうオリジナルファン搭載のAIBモデルを購入するのが無難な選択だと思います。
GTX1080の地力の高さや新型SLIによる性能の向上を実感できた検証になったのは満足ですが、同時に温度によるボトルネックが影を落とす結果になりました。
次回についてはファン回転数の問題が解決されたら水冷化レビューを行う予定です。
【追記】
消費電力の比較するのを忘れていました。FireStrikeのCombined testを行ったときの消費電力は次のようになっています。左:GTX1080 SLI(X99-E WS)、右:TitanX(R5E)です。マザーボードが違いますが、X99-E WSのほうが電気食うので問題なし。定格であれば200Wも下がりました。パネェ。700W電源でもSLIで運用できそう。


<できる!個人輸入 ② アメリカ Amazon(通称:米尼)の使い方>

GTX1080のレビュー記事
・NVIDIA最新グラボ GTX1080をレビュー。第一回は開封の儀とSLIのセットアップ
・GTX1080をレビュー ~DirectX12の性能編~
・GTX1080のファン回転数が乱高下する件【要確認】
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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”コアクロックが高い数値で安定するなら”かな?