Honeywell純正PCM PTM7950でGPUを冷やしてみた。

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ハイエンド自作PCにもマッチするプロユース向け新ブランド、親和産業 MNMプロスペックから発売された、Honeywell純正 PTM7950を採用するPCM(相変化素材)シート「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」をレビューします。

PCM(相変化素材)シート Honeywell PTM7950は一般的なサーマルグリスの代わりとして、TGP 400W超のGPUを冷やすことができるのか、同じく同社取り扱いのThermal Grizzly製ハイエンドグリス Kryonautと比較して冷却性能を徹底検証してみました。

【機材協力:親和産業】

製品公式ページ:
https://www.shinwa-sangyo.co.jp/products/thermal-sheet/mnm-ptmp-h79a5

Honeywell純正PCM PTM7950
サイズ:約23mm×23mm
販売ページリンク
目次
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PERIHELION PCMについて

最初に「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」の概要や製品の実物について簡単に紹介します。

「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」はPCMシートが劣化しないように2重でジップパックにも封入されていますが、親和産業のタグがあるビニール袋に封入してあるという単純な梱包です。

内容品はPCMシート 2枚と保護フィルムを剥がすためのシール2枚のみです。取り扱い説明は製品説明シールのQRコードからダウンロードする形になっていて冊子等は付属していません。

取り扱い説明書:
https://www.shinwa-sangyo.co.jp/sswp/wp-content/uploads/PERIHELION-PHASE-CHANGE-MATERIAL.pdf

Intel向けとAMD向けの2サイズ

「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」にはCore Ultra 9 285KなどIntel Core Ultra 200シリーズCPUに最適なサイズにカットされた「MNM-PTMP-H79V1」と、Ryzen 9 9950XなどAMD Ryzen 9000シリーズCPUに最適なサイズにカットされた「MNM-PTMP-H79A5」の2種類が現在ラインナップされています。

今回入手したのはAMD製CPU向けの「MNM-PTMP-H79A5」です。予め23mm×23mmの正方形にカットされています。

AMD製CPUの最新環境であるAM5ソケット、Ryzen 9000/7000シリーズCPUだけでなく、1つ前の世代のAM4ソケットのRyzen 5000/3000シリーズにも対応するサイズです。

一方でIntel製CPU向けの「MNM-PTMP-H79V1」は31mm×19mmで縦長長方形にカットされています。最新のIntel Core Ultra 200シリーズから遡ってIntel第12/13/14世代の縦長なCPU形状に最適なサイズです。

伸びるので小さめのサイズでOK

PCM(相変化素材)シート「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」は常温下では固形シートですが、45度以上の高温でゲル(液体)状に変化してヒートスプレッダやCPU/GPUダイ全体へ広がります。

5mm程度小さいサイズにカットされていても余裕でカバーできるので小さめのサイズで問題ありません。

今回の検証ではCPUではなく、PCMシートをシリコンダイに直接乗せるグラフィックボード(GPU)を使用していますが、最初の熱入れによってGPUダイ全体に薄く広がり、GPUクーラーヒートシンク側の写真を見ての通り、GPUダイとベースプレートの隙間を埋めるのに余った分はこんもりと外へ押し出されています。

PCM(相変化素材)は常温下では固めのゴムのような感じに固まってしまいます。

Honeywell PTM7950について

「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」はPCM(相変化素材)のパイオニアであるHoneywell(ハネウェル)が製造するPCMシートの中でも最高性能を発揮し、電子機器のTIMとして最適な”PTM7950”の純正品を採用した製品です。

Honeywell PTM7950は昨年から海外など一部の自作erでも話題になっていました。

Aliexpress等から並行輸入的に購入できるももの、そういった出所不明品には偽物が混ざっていたりするので、国内代理店 親和産業からちゃんと正規品を購入できるところはシンプルに魅力です。

Honeywell純正PCM PTM7950
サイズ:約23mm×23mm
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PCM(相変化素材)の特長

今回レビューするPCMシートや一般的なシリコングリスなど各種TIM(熱伝導素材)の特長を簡単にまとめると次のテーブルの通りです。

各種TIMでそれぞれに一長一短ありますが、

PCMシートは高性能・長寿命・非導電と総合的にバランスが良い素材です。

シリコングリスと比べればやや割高ですが、性能や耐久性を重視した高級グリスも値上がり傾向なのでPCMシートも決して悪くないコスト感です。

各種TIMの特長
PCMシート
(相変化素材)
シリコングリス液体金属個体シート
(グラフェンなど)
冷却性能結局、金属面に直接が一番冷える
耐久性早ければ1,2年で劣化
ポンプアウト塗り易い低粘度ほど発生しやすい
絶縁性導電性のものもある
コスト

冷却性能はシリコングリスと同等以上

自作PC向けCPUクーラーやGPUクーラーのようにベースプレートが適切な形状かつ平滑化されている場合、結局は金属面が接している状態が理想である以上、グラフェンなど個体シートよりもシリコングリスの方が冷えるケースが多かったです。

その点、PCMシートは40~50度程度の比較的に低い温度でゲル状に液化するので、シリコングリスと同等以上の冷却性能を発揮できます。

ドライアウトの劣化がなく高耐久

長期的な性能維持や耐久性についてはメーカーラボ等の検証結果を見る限りシンプルにシリコングリスの上位互換です。

一般的なシリコングリスと違ってドライアウトやブリードアウト、つまり経年劣化による性能低下がなく、長期間に渡って安定した冷却性能を維持できます。

今回レビューするHoneywell PTM7950については150℃で1000時間ベーキング試験及び温度サイクル(-55℃〜+125℃) 1000回も合格する高耐久です。

ポンプアウト耐性が高くGPUにも最適

加えて融点以下に下がって再び固体化する時に収縮するため、PCM(相変化素材)はポンプアウトが生じ難いというメリットもあります。

ポンプアウトとは高温・低温サイクルを繰り返すことで熱収縮によってシリコングリス等のTIMが外に押し出されていき、シリコンダイ(ヒートスプレッダ)とクーラーベースプレートの間に隙間ができてしまう現象です。粘度が低く、塗り易いとされるシリコングリスで発生しやすいです。当然、TIMのない隙間は大きな熱抵抗となり、冷却性能が低下してしまいます。

ただCPUのようにシリコンダイとCPUクーラーの間にヒートスプレッダがあるような条件だとポンプアウトはそれほど問題になりません。

逆に影響が大きいのはグラフィックボードです。

グラフィックボードのようにGPUダイとクーラーベースプレートが直接に接する場合はポンプアウトによってシリコンダイそのものが局所的に高温になってしまうからです。

NVIDIA製GPUもAMD製GPUもホットスポット(ジャンクション)温度を制御ソースの1つとしているので、それが変に上昇するとファン速度の上昇(乱高下)やサーマルスロットリングによる性能低下に繋がります。

絶縁性なので安心

同じように冷却性能や耐久性が高いTIMとして液体金属もありますが、”金属”の名前の通り、液体金属は導電性があるのでシリコンダイ周辺の回路素子に触れてしまうとショートで破損させてしまいます。

PCM(相変化素材)はそもそも絶縁性の素材ですし、融点以上で液状化しても粘性の高いゲル状にしかならないので液垂れして周辺に広がり過ぎる心配もありません。

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PERIHELION PCMの使い方

PCM(相変化素材)シート「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」の使い方を解説します。

取り扱い説明書:
https://www.shinwa-sangyo.co.jp/sswp/wp-content/uploads/PERIHELION-PHASE-CHANGE-MATERIAL.pdf

PCMシートは10度~30度程度の常温下ではサーマルパッドのような固形シート状の素材です。

ただし温度が融点45度に近づくほど柔らかくなり、破れやすく、貼り付けが難しくなるので、作業直前までは冷蔵庫で冷やしておくのがオススメです。

GPUにはAM5用サイズでOK

冒頭でも書いたように今回はシリコンダイとクーラーベースプレートが直接に接するグラフィックボードのTIM交換にPCM(相変化素材)シート「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」を使用してみました。

グラフィックボードは現行から2世代前となりますが、GeForce RTX 3090です。

RTX 3090(GA102)のGPUダイサイズは約24mm×26mmなので、AMD AM5環境向けで23mm正方形の「MNM-PTMP-H79A5」がほぼピッタリサイズです。

先に書いた通り、PCMシートは最初の熱入れでゲル状に液化して全体に広がります。

GPUに使用する場合はGPUダイに対して上下左右に5mm程度余白を残すくらいのサイズがあれば十分です。

RTX 5090(GB202)はRTX 3090(GA102)よりも縦に長いですが、おそらく「MNM-PTMP-H79A5」で足りると思います。ちなみにRTX 4090(AD102)はRTX 3090(GA102)よりも小さいです。

そういう感じなのでGPU用にHoneywell PTM7950を使用したい人は「MNM-PTMP-H79A5」を買えば問題ありません。逆にPCMシートが大き過ぎる場合はハサミで適宜カットしてください。

Honeywell純正PCM PTM7950
サイズ:約23mm×23mm
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PCMシートでグラボ換装してみる

話を「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」の使い方に戻します。

フィルム剥がしシールをPCMシートの保護フィルムの片側に貼り付けて、シールを貼っていない方のフィルムをPCMシートから剥がしてください。PCMシートは厚み2.5mmと非常に薄く、破れやすいので慎重に剥がしてください。

熱入れでゲル状に液化するので、個体シートと違って端が破れたり、中央が切れてしまってもさほど問題ありません。

片側のフィルムを剥がしたらPCMシートをGPUダイの中央に合わせて押し付けます。GPUダイにピッタリと引っ付いたら慎重にシールを引っ張って逆型のフィルムも剥がしてください。

綺麗にフィルムを剥がしたら貼り付け完了、あとはGPUクーラーを装着するだけです。

グラフェンなど個体シートに比べると綺麗に貼るのに少々難易度が上がりますが、メチャクチャ難しいわけでもありませんし、結局、ゲル状に液化して広がるので、多少破れても気にしなくてOKです。

高温負荷で熱入れして完成

PCMシートに換装してGPUクーラーを装着したら、GPU温度が60~80度以上になるように適当に負荷をかけてPCMシートをゲル状に液化させ、GPUダイとクーラーの隙間に薄く伸び広がらせます。

負荷をかけて放置して冷やすのサイクルを10~20回繰り返すことで最適な状態になるとのことですが、筆者が検証した感じでは2,3回もやればほぼ完成という感じでした。

ちなみに熱入れ(バーンイン)前はかなり高温(特にホットスポット温度が)になると思っていたのですが、今回の検証では最初からバーンイン前と比べてせいぜい+5度程度しか差がない感じでした。

バーンイン前の状態で負荷をかけ過ぎて壊れるほど高温になることはなさそうなので、バーンインの作業について神経質になる必要はありません。

PERIHELION PCMの冷却性能

PCM(相変化素材)シート「PERIHELION PHASE CHANGE MATERIAL」の冷却性能を検証しました。

既に書いたように今回、GeForce RTX 3090を使用していますが、AIBモデルはZOTACのフラグシップモデル「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」となっており、リファレンスのTGP 350WからTGP 420WへとファクトリーOCが施されています。

GeForce RTX 5090のTGP 575Wには流石に及びませんが、400W超をちゃんと冷やせるなら、だいたいのGPUの換装にも耐えると思いますし、RTX 5090も問題ないと思います。

一定の負荷を長時間かけ続けたいので、3DMark TimeSpy Extremeのグラフィックテスト1を20分間ループさせ続けるというストレステストで検証しました。

PCMシートは換装直後ではなく、事前に熱入れ(バーンイン)して適切に伸び広がった状態にしてあります。

まずはGPUクーラーファン速度を一定に固定してストレステストを行った結果です。

PERIHELION PCM(Honeywell PTM7950)は高性能シリコングリス Thermal Grizzly Kryonautと同等以上の性能を発揮しました。

これくらいの温度差になると室温の影響でよく分からなくなるのですが、PCケース吸気やグラフィックボード周辺に設置している温度センサーの読み値的には1度以内ではあるもののシリコングリスのほうが有利になる(温度が低くなる)ような状態でした。

筆者が検証した感触としては、PERIHELION PCM(Honeywell PTM7950)はThermal Grizzly Kryonautよりも冷却性能が高いと思います。

ファン速度を自動制御にした場合

参考までにGPUクーラーファン速度を自動にした場合の検証結果です。

こちらは1度程度の差ですが、Thermal Grizzly KryonautよりもPERIHELION PCM(Honeywell PTM7950)のほうが冷えるという結果になり、ファン速度も僅かながら低速になりました。

ただログを見るとPERIHELION PCM(Honeywell PTM7950)の時のGPU消費電力が5W程度ですが、ファン固定時や、ファン自動自のThermal Grizzly Kryonautよりも低くなっていました。GPU温度次第でコアクロックやコア電圧が動的に変化するので、その辺りの微妙なバランスで温度差が開いただけの可能性もあります。

とはいえ、PCMシート(Honeywell PTM7950)が高性能シリコングリスと同等以上に冷えるという筆者の所感には変わりありません。

直接的な比較はできませんが、過去に400W超のCPUで比較検証した時に、グラフェン製の個体シートは2~5度程度の温度差でシリコングリスに及ばなかったことを考えると、同等以上の冷却性能を発揮できるPCMシートの優秀さを実感できます。

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レビューまとめ

PCMシートは数年スパンの長期使用においても性能低下の心配が基本的になく、グラフェン等の個体シートと違ってハイエンドシリコングリスと同等以上の冷却性能を発揮します。

数ヵ月以内の短期的に着脱を繰り返す場合はシリコングリスのほうがコストや取り回しで上回りますが、普通の人は一度組んだら、壊れたり、不調(冷却性能の低下)がなければそのまま使うはずなので、性能と耐久性に優れたPCMシートを選ぶ意味はあると思います。

各種TIMの特長
PCMシート
(相変化素材)
シリコングリス液体金属個体シート
(グラフェンなど)
冷却性能結局、金属面に直接が一番冷える
耐久性早ければ1,2年で劣化する
ポンプアウト塗り易い低粘度ほど発生しやすい
絶縁性導電性のものもある
コスト

個人的に特にオススメなのはグラフィックボードのTIM換装です。

ポンプアウトによるホットスポット温度の上昇に耐性があるので、何らかの理由でGPUクーラーを分解したり、経年劣化でグラボの冷え具合が悪くなった時に新たに塗布するTIMとしてPCMシートは非常にオススメです。

以上、『Honeywell純正PCMシート PTM7950でGPUを冷やしてみた』でした。

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サイズ:約23mm×23mm
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