ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming


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ASRockのゲーミングブランドFatal1tyの中でも最上位モデルとなる「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」のレビュー用サンプルをASRock社よりご提供いただけたのでレビューします。「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」は他社の同価格帯製品と比較しても大盛りな16フェーズのVRM電源と無線LANモジュールを標準搭載し5Gbpsイーサにも対応した豪華なネットワーク周りが魅力的なX370チップセット搭載AM4マザーボードです。
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製品公式ページ:http://www.asrock.com/mb/AMD/Fatal1ty%20X370%20Professional%20Gaming
マニュアル(英語):http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/Fatal1ty%20X370%20Professional%20Gaming.pdf
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【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Ryzen CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は17年6月上旬に行っておりASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSはver2.40を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。

なおASRockのAM4マザーボードの初期ロットではBIOSのアップデートが面倒な構造になっていたようですが、最新ロットでは「Instant FLASH」というBIOS上からのアップデートに対応しているので、簡単にBIOSのアップデートが可能です。
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【17年4月17日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOSver2.00で検証
【17年6月14日:追記】
BIOSver2.40で検証


ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming レビュー目次


1.ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの外観・付属品
2.ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの基板上コンポーネント詳細
3.ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの検証機材セットアップ
5.ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSについて
6.ASRock RGB LEDについて
7.ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのOC設定について
8.
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの動作検証・OC耐性
9.ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのレビューまとめ


ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの外観・付属品

まず最初にASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの外観と付属品をチェックしていきます。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingはマザーボードのパッケージとしては珍しくキャラメル箱と呼ばれる外箱に内パッケージという構造になっていました。
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内パッケージを開くと上段には各種付属品が入っていました。付属品を取り出すと2重底になっており下段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。
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マザーボード本体は衝撃から保護するスポンジの枠にケーブルタイでしっかりと止められているので、輸送時の破損などの心配もありません。
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マニュアル類は、英語のソフトウェアマニュアル、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
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ASRockのマザーボード製品では多言語マニュアルの日本語のページのほかに、詳細な日本語マニュアルがオンラインで公開されていることが多いのですが、4月11日現在、詳細なマニュアルは英語版しか公開されておらず、日本語は付属の多言語マニュアルに掲載されている一部ページのみとなっています。
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組み立て関連の付属品はSATAケーブル4本、リアI/Oパネル、スティック型WiFiアンテナ2本、M.2 SSD固定ネジ*2、SLI HBブリッジです。
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SLIブリッジについてはGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジがASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingには付属しています。
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リアI/Oシールドは表面はブラックと少しピンクっぽい色のカラーリングになっています。また裏面のマザーボードと接する部分にはスポンジなど緩衝材はありませんでした。3万円を超える高級マザーボードなのでスポンジを詰めておいて欲しいところ。
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マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingはATXフォームファクタのマザーボードで、シルキーで滑らかなブラックのPCB基板を背景にしてオレンジがかった独特の赤色とツートンカラーになっています。M.2スロット部分の基板プリント等は戦場基地をイメージさせるデザインです。PCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
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マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクは単純な赤色ではなく若干オレンジ掛かった赤色になっており独特な色味で、ブラックとツートンカラーになっています。ヒートシンク右にはASRockのゲーミングブランド「ASRock Fatal1ty」のブランドロゴが削り出されています。
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VRM電源部分に覆いかぶさるようして伸びる大型のリアI/Oカバーが重厚感を演出しており、真っ赤なVRM電源ヒートシンクとも上手く調和しています。アルミ製のVRM電源クーラーにはヒートシンク全体で効率的に放熱を行うため熱の拡散を速めるヒートパイプが組み込まれています。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのVRM電源フェーズ数は特盛16フェーズとなっており、8コア16スレッドのRyzen 7 CPUを大幅にオーバークロックしても安定した電力供給が可能な数が実装されています。
従来比で飽和電流を最大3 倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム60Aパワーチョークコイル」や低オン抵抗でCPU Vcore向けの電源をより効率的に供給できる「デュアルスタック MOSFET (DSM)」などでタフなOC耐性を実現します。
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AMD Ryzenはメインストリーム向け最上位の8コア16スレッド「Ryzen 7」からエントリー向けの「Ryzen 3」まで共通のマザーボードとなるので、X370チップセット搭載の上位マザーボードではRyzen 7のOCにも耐えるようにCPU補助電源はEPS 8PIN+4PINを要求するものも少なくありませんが、ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingで要求されるのはEPSコネクタは8PINが1つです。
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重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingは958gとなっており、同じくATXのMSI X370 XPOWER GAMING TITANIUMが1003g、ASUS ROG CROSSHAIR VI HEROが941gで平均的なATXマザーボードの重量でした。
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リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子についてはUSB3.0端子が6基が搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので少し離れた場所にUSB2.0を設置して欲しかったです。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingにはビデオ出力は設置されていないのでグラフィックボードが必須です。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子に加えて赤色の有線LAN端子で一般的な有線LANの5倍の速度を誇る5Gb/sに対応した「AQUANTIA 5G/s BASE-T イーサネット」も実装されています。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの基板上コンポーネント詳細

続いて「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。
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固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingではA1、A2、B1、B2と配置されているDDR4メモリスロットのうち、A2とB2から埋めるようにと指示があるので注意してください。Ryzen対応のAM4マザーボードでは信号反射などの影響からこのようなメモリスロットの埋め方が推奨されているようです。
ASRock AM4 メモリ

グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[x1、x16、N/A、N/A、x16、x1、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16スロットの帯域はPCI-E2.0x4となっています。
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グラフィックボード向けのx16スロットは2スロット、5スロットに配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
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最近のトレンドとしてはグラフィックボード用のx16スロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるメタルアーマーが採用されています。ASRockの「STEEL SLOT」ではスロット全体に金属アーマーを装着して四隅をハンダで固定する構造になっています。(下写真はASRock Fatal1ty Z270 Gaming-ITX/acのもの)
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingにはSATAストレージ用の端子は10基(0~7とA1~A2)搭載されています。SATA_0~7の8基はチップセットのAMD X370チップセットのコントローラーによる接続で、SATA_A1~A2はASMedia製コントローラーによる接続です。
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高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセット左に2基設置されています。赤色のM.2スロットはNVMe(PCI-E3.0x4)とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応しています。一方で緑色のM.2スロットはNVMe(PCI-E2.0x4)のみ対応です。緑色のM.2スロットはver2.0のx4帯域接続なので最新のNVMe M.2 SSDを接続しても連続リード等の高速動作では仕様値の半分の性能しか発揮できない場合があります。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingに関して、PCI-Eスロットや各種ストレージ端子の排他利用についてまとめると次のようになっています。
  • GPU用PCIスロットは[x16, N/A]or[x8, x8]帯域
  • 最下段のPCI-Ex16スロット(帯域は2.0x4)は下段のM.2スロットと排他利用

USB3.0端子はATX 24PIN端子のすぐ左に2基設置されています。
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マザーボード下には内部USB2.0端子も2基設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingであればそれらの機器も問題なく使用可能です。リアI/OにUSB端子が少ない分、マザーボード上の内部USB端子は2.0と3.0ともに充実しているので各自で空きのPCIスロット等に増設すればUSB端子が不足するということはないと思います。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingにはX370マザーボードの上位機種としては珍しくWiFi無線LAN&Bluetooth対応のモジュールも実装されています。Wi-FiはIEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetoothはver4.2に対応しています。付属のスティック型アンテナと組み合わせることでコンパクトながら検出力の強い無線環境を簡単に構築できます。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingはオンボードサウンドに「Creative Sound Blaster Cinema 3」という高音質ソリューションが採用されています。アナログ出力はニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用し、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子が設置されています。
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マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるQ-Code LEDとOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードとスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。
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リアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
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冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に5基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット周辺にCPUファン端子CPUオプションファン端子(水冷ポンプ対応)、マザーボード下部の外周にケースファン端子3基(左上は水冷ポンプ対応)の計5基です。
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メモリスロットのすぐ左下にはRyzen CPUの一部モデルに付属するLEDイルミネーション対応Wraithクーラーを接続するための汎用4PIN LEDヘッダーが実装されています。またその隣にある「USB_5」ヘッダーは本来、Wraith Max CPUクーラーとの接続に使用するための端子ですが、実態は内部USBヘッダーなのでNZXT KrakenやCorsair H110iなどとの接続にも使用できます。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingには「Hyper BCLK Engine II」という外部ベースクロックジェネレータが実装されています。「Hyper BCLK Engine II」はオーバークロックにおいて正確なクロック波形の提供やBCLKの変更を可能にする便利なモジュールです。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingへのパーツ組み込み

ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。
DDR4メモリには「Corsair Dominator Platinum Special Edition」(レビュー記事)、CPUクーラーには「Corsair H110i」(レビュー記事)を使用しています。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの検証機材

ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 7 1800X (レビュー
CPUクーラー Corsair H110i
レビュー
メインメモリ Kingston HyperX Fury DDR4
HX424C15FB2K2/16
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー予定)
CPUベンチ用
ビデオカード
ASUS GeForce GT730
ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK
システムストレージ
CFD SATA SSD 120GB
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair RM650i (レビュー

280サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「Corsair H110i(型番:CW-9060026-WW)」はAMD Ryzen 7発売当初からAM4マウントに対応しており、同製品をCorsair社からRyzen CPUやAM4マザーボードの検証機材としてご提供いただいたので、同レビューでも検証機材として使用しています。個別レビュー記事も公開中です。
Ryzen対応の最強簡易水冷「Corsair H110i」をレビュー
Ryzen対応の最強簡易水冷「Corsair H110i」をレビュー

検証機材のCPUにはAM4マザーボードで使用可能なAMD Ryzen CPUの最上位、8コア16スレッドの「Ryzen 7 1800X」を使用しています。またCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSについて

ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。)

ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSに最初にアクセスすると従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
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レビュー用サンプルのBIOSバージョンは「1.50」でした。公式ページで最新版の「2.40」が公開されているので最新版にアップデートしました。ASRockのAM4マザーボードの初期ロットではBIOSのアップデートが面倒な構造になっていたようですが、最新ロットでは「Instant FLASH」というBIOS上からのアップデートに対応しているので、簡単にBIOSのアップデートが可能です。
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BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
http://www.asrock.com/mb/AMD/Fatal1ty%20X370%20Professional%20Gaming/index.jp.asp#BIOS

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
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USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
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ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
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OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
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BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

アドバンスドのストレージ設定からはSATAストレージだけでなく、M.2スロットに接続されたSATA接続M.2 SSDやNVMe接続M.2 SSDの一覧が確認できます。
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ファンコントロール機能について紹介します。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのファンコン機能は設置されている5つのファン端子を個別に「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
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「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、CPU_OPTとケースファン3基はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
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各種モニターとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。
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機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。
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ASRock RGB LEDについて

ASRockでもAMD AM4マザーボードやIntel 200シリーズマザーボードから備え付けのLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープに対応したLEDイルミネーション操作機能「ASRock RGB LED」が追加されました。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションに加えて4PIN RGB LEDテープに対応した4PIN LEDヘッダーが3基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載してるLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。出力が何Wまでかについては記載がないので不明です。
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「ASRock RGB LED」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。赤→緑→青に緩やかに変化するカラーサイクルについては「Cycling」ではなく「Wave」が対応しています。
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「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
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個別設定や全パーツの同期設定など自由にLEDイルミネーションの発光カラーとパターンを設定できます。
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ASRock RGB LEDにはBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整をデスクトップアプリ同様に行えるという特徴があったのですが、「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」についてはBIOS:2.40で機能が追加されたもののグラフィカルUIではなくテキストベースUIでした。LEDイルミネーション関連は流石にグラフィカルUIにして欲しいので次回の更新を待ちたいです。
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下はASRock Z270 SuperCarrierのものですが、BIOSの詳細モードでツールのRGB LEDからLEDイルミネーションの設定画面にアクセスすると、使用しているマザーボードに合わせて写真も表示され、専用アプリ同様にLEDイルミネーションの操作が可能です。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのOC設定について

ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


AMD Ryzen CPUについてはX370チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
AMD Ryzen Masterユーティリティ

ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。OCツールのページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧の順番で設定項目が表示されます。
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CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。

AMD Ryzen CPUについても定格では同様に例えばRyzn 7 1800Xでは、冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.0GHz、全コア負荷の場合は3.7GHzで動作します。しかしながら当レビュー記事執筆時点(4月13日)ではBIOSとRyzen専用OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」ともにRyzen CPUは全コア同時のコアクロック設定しか行えませんでした。

ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の指定値を直に打ち込み形になっていました。「CPU Frequency and Voltage Change」の項目を「手動」に変更すると「CPU Frequency」の項目が表示されます。例えば「4025」のように「CPU Frequency」を設定すると4025MHzで動作するように設定されます。コアクロックは25MHz間隔で指定可能です。「CPU Frequency」はコアクロックを打ち込む形になっていますが実態は1/100の倍率を指定しています。4000を打ち込んだ場合は40倍でBCLKが100MHzなら4.0GHz、110MHzなら4.4GHz動作になるので設定の際は注意してください。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingでベースクロック(BCLK)を変更する場合は「Overclock Mode」を手動(Manual)に変更すると、「APU/PCIE Frequency」という設定値名でベースクロックの設定欄が表示されます。100~200MHzの範囲内でベースクロックを変更可能です。
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ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingではBIOSがver2.00以降であれば、AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。
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動作させるコア数をプルダウンメニューから指定することが可能な「Down Core Control」の項目は、トップメニュータブの「アドバンスド」から「AMD CBS」、「Zen Common Options」を選択していくと表示されます。8コアCPUのRyzen 7を使用している場合は2コア([1+1]or[2+0])、3コア([3+0])、4コア([2+2]or[4+0])、6コア([3+3])が選択可能です。
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続いてコア電圧の調整を行います。
ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingではOCツールの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
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CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingでは「CPU Frequency」のすぐ下にある「CPU Voltage」の項目を変更します。(電圧設定の箇所にもコア電圧の項目がありますが、そちらは自動のままにするか、固定モードで同じ値を入力してください。)
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。AMD Ryzen CPUのコア電圧は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
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CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
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あとデフォルト設定では自動になっている「ロードライン・キャリブレーション(負荷時のコア電圧の低下を防ぐ機能)」はレベル1を指定してください。レベルを上げる(添え字は下がります)ほどCPUの発熱が大きくなりますが、温度についてはサーマルスロットリングの保護機能もありますし、OC時に最も安定しやすいのでとりあえずレベル1にするのがおすすめです。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_8


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では非対応ですが、ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingではXMPプロファイルの項目が表示されており、おそらくXMPプロファイルから適当なOCプロファイルを自動生成しているものと思われます。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_9
ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingはBIOS:2.40でAGESA 1.0.0.6に対応しているのでメモリクロックをプルダウンメニューから最大4000MHz(40倍)までの動作クロック設定が可能です。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_10
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_11
なおメモリクロックもCPUコアクロック同様にBCLKに対する倍率なので、BCLKを変更することでBCLK:100MHz時の3200MHz上限から、例えばBCLK:120MHzにすると上限3840MHzに引き上げられます。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_12ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_13
DDR4メモリについては3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350VにDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。ちなみにAMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(CPU NB電圧)」も適度に盛ってやるとメモリOCが安定するそうです。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_oc_14

「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」のBIOS:2.40ではメモリ周波数とメモリタイミングを「OCツール」内の設定項目ではなく、「アドバンスド」の下層にある「DRAM Timing Configuration」から行う必要があります。今後のBIOSで改善されると思いますが、現時点では下の記事に従って設定するのがおすすめです。
ASRockのAGESA 1.0.0.6対応マザーボードでメモリOCをする方法
ASRockのAGESA 1.0.0.6対応マザーボードでメモリOCをする方法



ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところやOC設定の基本についての紹介はこのあたりにしてASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはBIOS上の起動設定を次のようにしてOSの起動時間を測定しました。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_bios_7

ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの起動時間は18秒ほどとなりました。
これまで検証したX370チップセット搭載AM4マザーボードの中でも最速クラスの起動時間となっており、Intel KabyLake対応高性能マザーボードの環境と比較しても速い部類です。





続いてASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Ryzen 7 1800XのOC設定は「BCLK周波数:100」「CPU動作周波数:4000」「CPUコア電圧:1.425V固定」「CPUロードラインキャリブレーション: レベル2」「メモリ周波数:1600MHz(3200MHz)」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:18-18-18-18-38」としています。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (1)ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (2)ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (3)


上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
検証機材のメモリ「Kingston HyperX Fury DDR4 HX424C15FB2K2/16」はXMP2400MHzのメモリなので3200MHzで正常動作ということでかなり相性が良いようです。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (5)
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (6)

AMD Ryzen CPUの発売当初(と言ってもほんの3か月前ですが)はマザーボードとメモリの相性問題が厳しく、Samsung Bダイ等一部の相性の良いメモリを除くと、シングルランクかつ2枚組のデュアルチャンネルでも2666MHzで動作させるのが難しいという状況でした。
AMD Ryzen Memory OC
しかしながら6月に入っていリリースされたAGESA 1.0.0.6のマイクロコードに対応するBIOSにアップデートすることでこういったメモリ相性問題の状況が一変しています。管理人の手元にあるメモリでOCを実行したところ「Corsair VENGEANCE LPX(型番:CMK16GX4M2B3200C16)」と「HyperX Predator(型番:HX433C16PB3K2/16)」で容易に3200MHzにオーバークロックすることができました。XMP3200MHz以上のメモリであればほぼ問題なく3200MHzで動作させることができそうな手ごたえを感じます。
14972858821497286210


Ryzen 7 1800Xの4.0GHz、メモリ3200MHzでCinebenchも問題なくクリアできました。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_test_OC (4)

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 1800Xの場合15分ほどなので同じ動画で4周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用することでRyzen 7 1800Xを全コア同時4.0GHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_OC_temp
管理人の設定が悪いのかもしれませんが、ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming環境では比較的高めにコア電圧を盛らないと4.0GHzで安定させることができませんでした。CPU温度から見ても実際に高いコア電圧がかかっており、一部他社製品ではもう少し低いコア電圧でも4.0GHzで安定動作させることができたCPU個体を使用しているのでコアクロックOCの安定性については今後のBIOSアップデートに期待したいです。


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してストレステスト終盤のASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのマザーボード上の各所の温度をチェックしました。8コア16スレッドのRyzen 7 1800Xを4.0GHzにOCしていますが、簡易水冷CPUクーラー環境でもVRM電源部分の温度は70度半ばに収まっています。
ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming_FLIR (1)
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ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingでは特盛16フェーズのVRM電源に上手く負荷が分散しており製品公式ページのアピール通り高負荷が長時間続いても良好な温度を維持しています。ちなみに管理人が個人的に購入して検証を行った某G社マザボ(実質6フェーズ)では100度、某M社マザボ(10フェーズ)では80度半ばになりました。
ASRock X370 Professional Gaming_p_4



ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingのレビューまとめ

最後に「ASRock Fatal1ty X370 Professional Gaming」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ブラック&レッドのゲーミングマザーボードらしいデザイン
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
  • 検証機ではRyzen 7 1800Xの全コア同時4.0GHz OCで正常動作
  • 16フェーズVRM電源の温度は長時間の高負荷でも70度半ばに収まる
  • 起動時間が18秒と高性能X370 AM4マザーボードの中でも最速クラス
  • M.2スロットが2基設置されている (うち1基はPCI-E2.0x4帯域)
  • NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用SLI HBブリッジが付属する
  • Wi-FiはIEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetoothはver4.0に対応した無線LAN搭載
  • 安定のIntel製ギガビットイーサに加えて、5Gb/sの「AQUANTIAイーサ」を搭載
  • 【17年6月】AGESA 1.0.0.6対応でメモリ相性問題の大幅緩和が期待できる
悪いところor注意点
  • 日本語マニュアルの冊子は付属せず、PDFファイルも用意されていない
     (多言語マニュアルの日本語ページはある)
  • リアI/OにUSB2.0端子がないのでワイヤレスUSB機器との干渉が心配
  • 欲を言えば水冷向けに外部温度センサーに対応して、ファンコンのソースに使用できる機能が欲しい


ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingを使用した検証機ではRyzen 7 1800Xの全コア4.0GHzのオーバークロックで安定動作を実現するなど高いパフォーマンスが求められる最新のゲーミングPC事情にも答えられる性能を発揮してくれました。ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingくらい多機能かつ高性能なマザーボードとなると、AMD Ryzen CPUの中でも最上位となる8コア16スレッドのRyzen 7シリーズと組み合わせたいところです。
AGESA 1.0.0.6のマイクロコード対応でメモリ相性問題が大幅に緩和されており、管理人が検証した限りではXMP3200MHz以上のメモリであれば、3200MHzが余裕で実現できそうな手ごたえを感じたので、メモリ周りについても安心して大丈夫だと思います。

他社製品で採用の少ない無線LAN&Bluetoothモジュールを標準で搭載しており、有線LANコントローラーとして定評のあるIntel製を採用した1Gbpsイーサに加えて、一般的な有線LANの5倍の速度を誇る5Gbpsに対応した「AQUANTIA 5G/s BASE-T イーサネット」を搭載など、ネットワーク関連の充実ぶりはASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingの最大の魅力の1つだと思います。

ASRock Fatal1ty X370 Professional GamingのBIOSではクラシカルなUIが採用されており、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。BCLKの指定やSMTのON/OFFなど一通りのOC設定が可能ですが、CPUコアクロックのOCに関連するCPUコア電圧の設定欄が2か所あり違いが判らないのが少し困ります。あと管理人の設定が悪いだけかもしれませんが、当サイトでレビュー済みの他社マザーボードと比較して少し多めにコア電圧を盛らないと4.0GHzで安定させることができませんでした。このあたりも今後のBIOSアップデートで改善されていくことに期待したいです。



【まとめの続きについてはBIOSの成熟やWindow OSのRyzen CPU向けアプデを待って追記予定です】






・AM4マザーボード:   
  <Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク
  <PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房



ASRock Fatal1ty X370 Professional Gamingから5Gbpsイーサやオンボードスイッチなど一部の付加価値的な機能をオミットしてコストを抑えたリーズナブルな高性能マザーボードASRock X370 TaichiもRyzen 5 CPUとの組み合わせなどでお勧めできると思います。




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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