Intel Core i7 7740X


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Intel Core-Xシリーズの下位モデルとなるKabyLake-Xから4コア8スレッドのCore i7 7740Xを検証機材として個人輸入したので早速OC検証を行ってみました。メインストリーム向けKabyLakeの最上位モデルi7 7700Kは殻割りによって5.0GHz常用が可能なCPUでしたが、KabyLake-X i7 7740Xのオーバークロック耐性はいかほどのものなのか簡単にレビューしていきます。 (とりあえず駆け足で)
i7 7740X 5.0GHz OC07928

Core i7 7740XのOCを行う環境としては、GIGABYTE X299 AORUS Gaming 7などで構成されているベンチ機を使用しました。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 7740X
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36
レビュー
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
マザーボード
GIGABYTE X299 AORUS Gaming 7
レビュー
ビデオカード MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair RM650i (レビュー

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
DSC07948


i7 7740X 5.0GHz OC07939


まずはBIOSから特に設定を行わずに定格(マザーボード別のデフォルト設定)で起動してみました。GIGABYTE X299 AORUS Gaming 7の場合は全コア同時コアクロック:4.5GHz、キャッシュ(アンコア)クロック:4.3GHz、コア/キャッシュ電圧:1.200Vで動作しました。
i7 7740X 定格
定格のi7 7740XのCinebenchスコアは990程度となりました。
i7 7740X 4,5GHz cinebench

続いてマザーボードBIOSから手動で設定を行ってコアクロックを5.0GHzにOCしてみました。KabyLake対応Z270マザーボードに比べて設定可能な項目が多いように見えましたが、KabyLake-Xでも基本的には「コアクロック(動作倍率)」「コア電圧」「ロードラインキャリブレーション」の3つを弄るだけで良いようです。
今回は「CPU動作倍率:50」「CPUコア電圧:1.24V固定」「ロードラインキャリブレーション:High」のお手軽設定でi7 7740Xを5.0GHzにお手軽オーバークロックしてみました。
i7 7740X_OC_BIOS (1)i7 7740X_OC_BIOS (2)i7 7740X_OC_BIOS (3)
なお今回はキャッシュクロックについては触っていません。今回の検証機(マザーボード)ではコア電圧が負荷によって変動するせいかキャッシュクロックを4.8GHzにすると動画のエンコードが終了してフルロードから低負荷へ移行する際にBSODが発生しました。GIGABYTE X299 AORUS Gaming 7ではコア電圧は直打ち形式になっていますが、オフセットや固定モードに関する設定項目がないため、このあたりについては他社ボードと比較したりと、まだ検証中です。


上の簡単設定で5.0GHzに無事オーバークロックできました。i7 7740Xを5.0GHzにOCすることで、Cinebenchのスコアは1090程度まで伸びています。海外ではすでに発売されているCPUなので先行情報やES品レビュー情報通りi7 7700Kよりも低電圧でOC可能という良好なOC耐性を発揮しました。
i7 7740X 5,0GHz cinebench

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7740Xの場合20分ほどです。エンコード中のファン回転数は一定値(1000RPM)に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

ストレステスト中にi7 7740XはOC設定別でCPU温度が次のようになりました。i7 7740Xは殻割りなしでもコアクロックを5.0GHz OCで最大温度65度に収まっています。参考記録としてキャッシュも4.8GHzにOCした時の温度も載せてあります。
7740X OC temp
CPUクーラーにはFractal Design Celsius S36を使用していますが、消費電力的に360サイズは過剰な放熱容量なので、仮に240サイズの簡易水冷やハイエンド空冷でもi7 7740Xの5.0GHzは十分冷やしきれる温度だと思います。

120サイズラジエーター搭載簡易水冷CPUクーラー「CoolerMaster MasterLiquid Pro 120」でもi7 7740Xを5.0GHzで運用可能かチェックしてみました。ファン回転数は1200RPMで固定しています。
i7 7740X 5.0GHz OC07945
i7 7740Xの5.0GHz, 1.240Vと非殻割りi7 7700Kの4.8GHz, 1.300Vの2つについてエンコードテスト中のCPU温度推移を比較したところ次のようになっています。
i7 7700Kでは4.8GHzあたりが非殻割り時の限界ですが、i7 7740Xは低電圧で高クロックを狙えるので5.0GHz OCでも120サイズラジエーターの簡易水冷CPUクーラーでギリギリ運用できそうです。240サイズ以上やハイエンド空冷CPUクーラーなら多少の余裕を持って運用できると思います。
7740X_7700K OC temp

またマザーボード等を含めたシステム全体の消費電力比較では、低電圧で回る分i7 7740Xは同じく5.0GHzにOCした状態でi7 7700Kよりも低い消費電力で動作できるようです。CPU温度の検証結果と照らし合わせても齟齬のない数値かなと思います。
7740X OC power

あと副次的な部分ですが流石10コア以上のCore i9 CPU対応X299マザーボードと言うべきか、i7 7740Xを5.0GHzにOCする程度であれば1時間ほど負荷をかけ続けてもVRM電源温度はVRM電源周りに直接風の当たらない簡易水冷CPUクーラーを使用しても50度前後に収まりました。 (近々、10コアOCでヒイヒイ言わせてやるぜ)
i7 7740X FLIR


以上、今回の検証結果を駆け足で報告していきましたが、
Core-Xシリーズの中で”要らない子”扱いされていたKabyLake-XのCore i7 7740Xですが、最低条件を120サイズラジ簡易水冷として、ハイエンド空冷や240サイズ以上の簡易水冷など高性能なCPUクーラーと組み合わせれば殻割りなしでもコアクロック5.0GHzで常用が狙えるシングルスレッド性能最強なCPUと考えると意外に悪くないCPUではないかと思いました。  (管理人はどちらにせよ割るのですが)
CPUの個体差はあると思いますがi7 7700Kが相当な当たり石でもないと非殻割りで5.0GHz常用が難しいことを考えると殻割りレスで5.0GHz以上を狙えるi7 7740Xにはかなりの存在感を感じます。とはいえ現状ではやはりX299マザーボードの高価格帯がネックです。Z270レイアウトでKabyLake-X専用X299マザーボードが2.0~2.5万円前後で出てくればPCゲーム特化プラットフォームとして一気に化けるのではないかと。
i7 7740X 5.0GHz OC07929




X299シリーズのマザーボード販売ページ
Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ><パソコン工房





補足:X299マザーボードのPCI-E帯域について

Core  i7 7740XはX299プラットフォーム対応CPUの中でも最も高クロックを狙いやすく、当然シングルスレッド性能が最も高いCPUになっているので、PCゲーム特化のCore-X CPUとして有力な候補になると思います。ただしX299マザーボードでCPU直結PCI-Eレーンが16レーンのKayLake-Xを使用する場合のシングルGPU、マルチGPU時のPCI-Eレーン配分はマザーボード毎に異なるので注意が必要です。
以下、X299ロンチマザーボードのPCI-E帯域配分の簡易一覧表です。
X299マザーボードのKabyLake-X使用時
GPU用PCI-Eレーン配分


シングル マルチ
ASUS PRIME X299-DELUXE x16 x8, x8
PRIME X299-A x16 x8, x8
ROG STRIX X299-E GAMING x16 x8, x8
TUF X299 MARK 1 x16 x8, x8
TUF X299 MARK 2 x16 x8, x8
ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9 x16 x8, x4
X299 Taichi x16 x8, x4
Fatal1ty X299 Gaming K6 x16 x8, x4
X299 Killer SLI/ac x16 x8, x8
GIGABYTE X299 AORUS Gaming 3 x8 x8, x4
X299 AORUS Gaming 7 x8 x8, x4
X299 AORUS Gaming 9 x16 x8, x8
MSI X299 GAMING M7 ACK x8 x8, x8
X299 GAMING PRO CARBON AC x8 x8, x8
X299 TOMAHAWK x8 x8, x8
X299 SLI PLUS  x8 x8, x8

PCI-E帯域によるボトルネックはさほど大きくありませんが、マザーボード選択の時点で帯域は選べるのでシングルGPU環境を構築するならx16帯域、マルチGPU環境を構築するならx8, x8帯域のマザーボードを選ぶのがおすすめです。
PCI-E帯域

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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