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Intelの2017年最新エンスー向けCPU SkyLake-X&KabyLake-Xに対応するX299マザーボードとしてASRockからリリースされた、Fatal1ty最上位モデルの基礎的な部分の高性能さはそのままに付加価値的な要素を省いてコスパを重視するミドルハイブランド”Taichi”シリーズの最新モデル「ASRock X299 Taichi」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。
製品公式ページ:http://www.asrock.com/mb/Intel/X299 Taichi/index.jp.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/X299 Taichi.pdf
10月以降は「ASRock X299 Taichi」からVRM電源と冷却クーラーを強化した「ASRock X299 Taichi XE」が発売済みなのでこちらがおすすめです。
ASRock X299 Taichi XE ATXマザーボード
ASRock
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ>
ちなみにASRockにおける「Taichi」ブランドの歴史は比較的新しくX299 Taichiでちょうど1周年くらいとなっています。16年6月に発売されたエンスー向けCPUであるIntel Broadwell-E対応の後期X99マザーボードとしてTaichiシリーズは初登場しました。
それでは「TaichiってASRockのマザボブランドの中でどんな位置づけなのか?」というと、ASRockではゲーミングマザーボードのブランドは「Fatal1ty」と名付けられており、その最上位として「Fatal1ty Professional Gaming」が存在します。X99やZ270のチップセットを搭載した「Fatal1ty Professional Gaming」と「Taichi」を見比べると一目瞭然なのですが、「Taichi」は「Fatal1ty Professional Gaming」から付加価値性の高い一部機能をオミットした廉価版という位置付けになっています。
なので今回レビューするX299 Taichiは、先日レビューしたゲーミングモデル最上位「ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」に対して、CPUのOCに関連したクロックジェネレーター「Hyper BCLK Engine III」や安定した電圧供給を支える13フェーズVRM電源など基礎的な部分はそのままに、10Gbイーサなど付加価値的な要素を外してコストパフォーマンスを重視したモデルとなっています。
・「ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」をレビュー
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel SkyLake-X&KabyLake CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザーボードBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は17年8月上旬に行っており「ASRock X299 TaichiのBIOS:P1.41を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:http://www.asrock.com/mb/Intel/X299 Taichi/index.jp.asp#BIOS
【17年8月13日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:P1.41で検証
ASRock X299 Taichi レビュー目次
1.ASRock X299 Taichiの外観・付属品
2.ASRock X299 Taichiの基板上コンポーネント詳細
3.ASRock X299 Taichiへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASRock X299 Taichiの検証機材セットアップ
5.ASRock X299 TaichiのBIOSについて
6.ASRock RGB LEDについて
7.ASRock X299 TaichiのOC設定について
8.ASRock X299 Taichiの動作検証・OC耐性
9.ASRock X299 Taichiのレビューまとめ
ASRock X299 Taichiの外観・付属品
まず最初にASRock X299 Taichiの外観と付属品をチェックしていきます。【今回はサンプル機がマザーボード本体のみのバルク品なので付属品については割愛します】
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock X299 TaichiはATXフォームファクタのマザーボードで、シルキーで滑らかなブラックのPCB基板を背景にしてグレーとツートンカラーになっています。PCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクもブラック&グレーのツートンカラーになっています。ASRock Taichiといえばブラック&ホワイトのコントラストの効いたモノトーンカラーでTaichiの名前通りマザーボード全体で太極図を模したデザインが特徴でしたが、X299 Taichiではホワイトの部分がグレーになっており名前の由来でもある太極図より、その構成要素の歯車が主張するデザインになっています。太極図を模したユニークデザインも売りの1つだったはずなのでTaichiファンにとっては残念かも。
リアI/Oカバーは特徴の少ない簡素なデザインです。ヘアライン入りアルミニウムのVRM電源ヒートシンクはクールな趣ですが同時に金色のX299の刻印が豪華さも演出しています。
ASRock X299 TaichiのVRM電源には、10コア20スレッド以上のIntel Core i9 CPUにも安定した電力供給が可能なように最大720A、1300Wの電源出力が可能な13フェーズVRM電源が実装されています。従来比で飽和電流を最大3 倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム65Aパワーチョークコイル」や12000時間の高寿命・高信頼性な「ニチコン製12Kブラックコンデンサ」などを採用しタフなOC耐性を実現します。
ASRock X299 Taichiで要求されるのはEPSコネクタは8PINが1つのみです。電源容量800W以下の電源ユニットではEPS端子が1基しかないものも多いので取り回しには優れますが、10コア以上のCore i9 CPUのオーバークロックまで視野に入れると追加で4or8PINが欲しいかも。
Skylake-X i9 7900Xやさらに上位モデルのOC環境ではCPUへ電力供給を行うEPS端子だけでも20A以上の出力を要求されます。「ASRock X299 Taichi」の場合はEPS 8PIN端子1つでこの電力供給を賄うことになるので+12V出力がシングルレーンでOCPが40A程度の余裕がある電源ユニットと組み合わせる必要があるので注意してください。
重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASRock X299 Taichiは1063gで同じくATXサイズX299マザーボードでTaichiの上位モデルであるASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9は1115gなのでほぼ同じ重量でした。一方でATXサイズのX299マザーボードであるGIGABYTE X299 AORUS Gaming 7は1300gなのでこちらと比較するとやや軽量となっています。
リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子についてはUSB2.0端子が2基とUSB3.0端子が2基が搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。個人的に嬉しいポイントとしてはUSB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので少し離れた場所にUSB2.0が設置されています。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が2基も搭載されています。無線LANモジュールも標準搭載しており、接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、Bluetooth 4.2に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のスティック型アンテナを接続できます。
またリアI/Oには「BIOS FlashBack」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「BIOS FlashBack」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
ASRock X299 Taichiの基板上コンポーネント詳細
続いて「ASRock X299 Taichi」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用DDR4メモリスロットはCPUソケット両側に4基ずつで計8基のスロットが設置されています。
固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
ASRock X299 TaichiではクアッドチャンネルのSkyLake-XとデュアルチャンネルのKabyLake-Xに対応しておりCPUによってメモリモジュール数ごとの使用するメモリスロットのレイアウトが変わるので下記の表に従ってメモリを装着してください。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[N/A、x16、N/A、x16、x16、x1、x16]サイズのスロットが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。最下段のx16スロットの帯域はPCI-E2.0x4となっています。
2段目、5段目、7段目のPCI-EスロットのPCI-Eレーン配分は使用するCPUのレーン数44or28or16によって変化するので下の表を確認してください。44レーンCPU使用時は排他なしで4段目のPCI-Eスロットをx8帯域で使用できます。6段目のx1サイズスロットはPCI-E2.0x1帯域となっており全てのCPUで利用可能です。
グラフィックボード向けのx16スロットは2スロット、5スロットに配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
最近のトレンドとしてはグラフィックボード用のx16スロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるメタルアーマーが採用されています。ASRockの「STEEL SLOT」ではスロット全体に金属アーマーを装着して四隅をハンダで固定する構造になっています。(下写真はASRock Fatal1ty Z270 Gaming-ITX/acのもの)
ASRock X299 TaichiにはSATAストレージ用の端子は10基(0~7とA1~A2)搭載されています。SATA_0~7の8基はチップセットのIntel X299チップセットのコントローラーによる接続、SATA_A1~A2はASMedia製コントローラーによる接続です。SATA3_0~7はRAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはCPUソケット下、PCI-Eスロット間2か所の計3基が設置されています。M2_1、M2_2、M2_3はいずれもNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA接続M.2 SSDを使用する場合はSATA3_1、SATA3_0、SATA3_7端子と排他利用です。M2_1はCPU直結PCI-Eレーンで、16レーンCPUの場合はPCIスロットとの排他利用があります。M2_2とM2_3はチップセットPCI-Eレーンです。
CPUとチップセット間はIntel X299シリーズチップセットではX99から更新されたDMI 3.0で接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
X299チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 | チップセット接続の場合 | |
長所 | 複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の 同時アクセスでもフルスペック動作 |
IRSTによるハードウェアRAIDで 性能を上げることができる |
短所 | IRSTによるハードウェアRAID が構築できない (Intel製SSDではVROCで ソフトウェアRAIDが構築可能) |
複数のM.2 SSDから同時にアクセス がある場合、ストライプRAIDの場合 4GB/s程度がボトルネックになる |
ATX 24PIN端子のすぐ左には内部USB3.0ヘッダーが2基が設置されています。USB3.0端子のうち1つはSATA端子同様にマザーボード基板と平行に実装されています。
マザーボード下には内部USB2.0ヘッダーも2基設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、ASRock X299 Taichiであればそれらの機器も問題なく使用可能です。
ASRock X299 Taichiはオンボードサウンドに「PURITY SOUND4」という高音質ソリューションが採用されています。アナログ出力はニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用し、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子が設置されています。
マザーボード基板右下にはPOSTエラーのチェックができるQ-Code LEDが設置されていますが、上位モデルのFatal1ty X299 Professional Gaming i9に実装されていたオンボードのスタート/リセットスイッチは省略されています。リアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に5基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット周辺にCPUファン端子、CPUオプションファン端子(水冷ポンプ対応)、マザーボード下部の外周にケースファン端子3基(右下は水冷ポンプ対応)の計5基です。
ASRock X299 Taichiには「Hyper BCLK Engine III」という外部ベースクロックジェネレータが実装されています。「Hyper BCLK Engine III」はオーバークロックにおいて正確なクロック波形の提供やBCLKの変更を可能にする便利なモジュールです。
ASRock X299 TaichiのUSB3.1端子はThunderbolt3には非対応ですが、マザーボード下側にTBT Headerがあるので、同社製のThunderbolt3拡張ボード「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)を使用することでThunderbolt3端子を増設可能です。
ASRock X299 Taichiへのパーツ組み込み
ASRock X299 TaichiにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「G.Skill Trident Z F4-3866C18Q-32GTZR」(レビュー記事)、CPUクーラーには「Fractal Design Celsius S36」(レビュー記事)を使用しています。
ASRock X299 Taichiの検証機材
ASRock X299 Taichiを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock X299 Taichi以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7900X 10コア20スレッド 定格全コア同時4.0GHz (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
検証機材のCPUにはX299マザーボードで使用可能なIntel Core-X CPUとして7月現在最上位モデルとなる10コア20スレッドの「Intel Core i9 7900X」を使用しています。検証機材のi9 7900XはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
・【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASRock X299 TaichiのBIOSについて
ASRock X299 Taichiを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASRock X299 TaichiのBIOSに最初にアクセスすると従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
ASRock X299 TaichiのBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
ASRock X299 TaichiのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
レビュー用サンプルのBIOSバージョンは「L1.01」でしたが、今回はBIOS「P1.41」にアップデートを行いました。最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:http://www.asrock.com/mb/Intel/X299 Taichi/index.jp.asp#BIOS
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock X299 Taichiのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock X299 TaichiのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
アドバンスドのストレージ設定からはSATAストレージだけでなく、M.2スロットに接続されたSATA接続M.2 SSDやNVMe接続M.2 SSDの一覧が確認できます。
Thunderbolt3拡張ボード「ASRock Thunderbolt 3 AIC」に対応しているので「アドバンスド」タブメニューの「Intel Thunderbolt Technology」からThunderboltの有効/無効を設定できます。
ファンコントロール機能について紹介します。
ASRock X299 Taichiのファンコン機能は設置されている5つのファン端子を個別に設定可能です。
「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、CPU_OPTとケースファン3基はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
各種モニターとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。
機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。
イルミネーション操作機能「ASRock RGB LED」について
ASRockでもマザーボード備え付けのLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープに対応したイルミネーション操作機能「ASRock RGB LED」が用意されています。ただしASRock X299 Taichiについてはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションはチップセットクーラーのみで控えめです。ASRock X299 Taichiではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションに加えて4PIN RGB LEDテープに対応した4PIN LEDヘッダーが2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。1端子あたり3A、36WまでのLED機器を接続可能です。
「ASRock RGB LED」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。赤→緑→青に緩やかに変化するカラーサイクルについては「Cycling」ではなく「Wave」が対応しています。
「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRock X299 TaichiではBIOSの詳細モードでツールのRGB LEDからLEDイルミネーションの設定画面にアクセスすると、使用しているマザーボードに合わせて写真も表示され、グラフィカルなUIで専用アプリ同様にLEDイルミネーションの操作が可能です。余計なデスクトップアプリをインストールしたくないユーザーにとっては嬉しい機能だと思います。
ASRock X299 TaichiのOC設定について
ASRock X299 Taichiを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
ASRock X299 TaichiはSkyLake-XとKabyLake-Xの2種類のCPUに対応していますが、KabyLake-XのOC設定については基本的にZ270マザーボードの設定に準拠するため、当記事ではi9 7900XなどSkyLake-X CPUのOC設定について説明します。また一部で日本語UIに誤訳が含まれる場合があるのでBIOSのスクリーンショットでは英語UIを使用することがあります。
「ASRock X299 Taichi」などASRock製X299マザーボードのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューの項目にまとめられ、下位グループとして「CPU設定」「DRAM設定」「電圧設定」「FIVR設定」の4種類が用意されています。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
コアクロックの動作倍率を変更するためトップメニュータブ「OCツール」の「CPU設定」を開きます。ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「All Core Ratio(CPUクロック動作倍率): 44」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその44倍の4.4GHzで動作します。
「Per Core Mode」を有効にすると各コアに対して個別に動作倍率と電圧設定が可能です。電圧設定は固定電圧のoverrideモードと動作クロック比例のAdaptiveモードを指定できます。
ASRock X299 Taichiはベースクロック(BCLK)の調整にも対応しています。BCLK周波数の設定項目にて90~2000MHzの範囲内で0.05MHz刻みでベースクロックを指定できます。CPU動作クロックはベースクロックに対する動作倍率で決まるので、BCLK:110MHzにすると44倍で4.84GHz動作となります。
なお上位モデルの「ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」では90~1000MHzの範囲内でより細かく0.01MHz刻みでベースクロックを指定できたので、細かいBCLK OCを行いたい上級者ユーザーは「Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」を選ぶ方がいいのかもしれません。
キャッシュ動作倍率にあたる「メッシュ動作倍率(CPU Mesh Max OC Ratio)」を変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
またX299チップセットのOC設定で追加された項目としてPCI-EやDMI3.0の動作クロックの変更がありますが、ASRock X299 Taichiでは定格100MHとして、90~1000MHzの範囲内で0.05MHz刻みで手動で設定可能でした。
その他にもCPUコアクロックの動作に関連する設定項目として「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」、「Intel SpeedStep Technology」、「Intel Speed Shift Technology」なども用意されています。
またCPU設定の下の方には「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASRock X299 Taichiではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
続いてコア電圧の調整を行います。
電圧設定の予備知識としてIntel SkyLake-X CPUでは統合電圧レギュレータ(FIVR)がCPU上に実装されており、マザーボードVRMから供給されるCPU全体への電圧を源泉にして、CPU各コアやメッシュなど個別のユニットに対して異なる電圧レールで電力が供給されます。CPU全体への電圧(1.800~1.900V程度)とCPUコアへの電圧(1.000~1.300V程度)は似た名前で別の設定項目として用意されているので電圧設定を行う際は間違えないように注意して下さい
ASRock X299 TaichiではOCツールの「電圧設定」と「FIVR設定」がOCに関連する電圧設定を行うページになっています。
CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock X299 Taichiでは「FIVR設定」にある「CPU Vcore Voltage」の項目を変更します。
「電圧設定」にも「CPU入力電圧(CPU input Voltage)」というそれらしい設定項目がありますが、こちらは上で説明したようにCPU全体に対する入力電圧となっています。BIOS:P1.41ではコアクロックの動作倍率を変更すると固定モード(Fixed Mode)、2.100Vの昇圧設定に自動で変更されてしまいます。基本的に1.800~1.900V前後で十分なはずなのでコアクロックのOCを行う場合は1.800~1.900V前後の固定モードに手動で設定をおすすめします。
「CPU Vcore Voltage」にはマニュアルの設定値を固定する「固定(override)」モードとCPUに設定された比例値にオフセットかける「アダプティブ(adaptive)」モードの2種類が使用できます。電圧は固定値/オフセット値を0.001V刻みで設定可能です。10コアi9 7900XをOCする場合のCPUコア電圧の目安としては非殻割りでは1.200V、殻割りクマメタル化では1.260~1.300V程度が上限になると思います。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
あとデフォルト設定では自動になっている「電圧設定」の「ロードライン・キャリブレーション(負荷時のコア電圧の低下を防ぐ機能)」は添え字が小さくなるほど補正が強くなるので、レベル2からレベル5を選んでください。補正最大のレベル1ではVRM電源温度の発熱が急激に増加するためVRM電源が水冷orLN2極冷の場合のみ使用してください。レベルを上げる(添え字は下がります)ほどCPUやVRM電源の発熱が大きくなりますが、温度についてはサーマルスロットリングの保護機能もありますし、OC時に最も安定しやすいので冷やせる範囲内でレベルを上げておくのが良いと思います。
またSkyLake-X CPUのキャッシュクロックにあたるメッシュクロックをOCする場合は、CPUコア電圧とは別に「FVIR設定」で用意されている「CPUメッシュ電圧(CPU MESH Voltage)」を設定します。CPUメッシュ電圧を盛るとCPUコア電圧とは独立に発熱が増える(CPU温度が上がる)ので注意してください。CPUメッシュ電圧もCPU電圧同様に「固定(override)」モードと「アダプティブ(adaptive)」モードが選択できます。
CPUメッシュ電圧の目安としてはi9 7900Xの場合は定格メッシュ周波数の2400MHzでは0.900V程度、3200MHzまでOCすると1.200V程度が要求されます。BIOS:P1.41ではメッシュ電圧をAutoのままメッシュクロックのOCを行うとPOSTでハングしたので手動設定推奨です。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASRock X299 Taichi」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
ASRock X299 Taichiでは「自動(カスタム設定)」「XMP」の2種類からメモリの動作クロックとタイミングを設定できます。
「自動」では多くのDDR4メモリで動作クロック2133~2666MHzでメモリごとに設定されたタイミングによる定格動作となり、「XMP」は各メモリメーカーが一定環境で動作確認を行ったメモリのオーバークロックプロファイルが適用されます。「自動」が事実上のカスタム設定モードになっており、最大4400MHzまでの動作クロック設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、40倍設定時の動作周波数は4000MHzから4800MHzに上がります。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Reflash Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「電圧設定」にあるDRAM電圧AB/CDの項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
X299環境のクアッドチャンネルでメモリのオーバークロックを行う場合、高メモリクロックでタイミングを詰めていくとPOSTをクリアできても4枚or8枚のうち一部しかメモリが認識されないままPOSTクリアしてWindowsが起動する場合があります。CPU-ZやAIDA64メモリベンチで32GB、クアッドチャンネルと誤表示されるため、メモリOC後に全てのメモリモジュールが正常に動作しているか確認する場合はタスクマネージャーの「パフォーマンス-メモリ」から装着した容量が表示されているかを見てください。
ここで正常にメモリ容量が表示されない場合はメモリ周波数を下げる、タイミングを緩める、メモリ電圧を盛るなどOC設定の見直しが必要です。
Intelの前世代エンスー向けCPU Broadwell-Eではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」を1.200V前後に盛ると動作が安定したのですが、Intel SkyLake-X i9 7900Xやi7 7800Xで管理人が確認した限りでは定格の0.900V前後のままで問題ありませんでした。ただBIOSのヒントでは盛るとメモリOCが安定すると書いてあるので上手くいかない場合は調整してみるといいかもしれません。
今のところX299環境では不具合を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO」や「チップセット電圧(PCH Core)」を盛ると安定するかもしれません。
ASRock X299 Taichiの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASRock X299 Taichiを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定したところ、ASRock X299 Taichiの起動時間は30秒ほどした。多機能なエンスー向けマザーボードの起動時間としては遅いというほどではありませんが、POST時間に少し時間がかかっている印象です。
続いてASRock X299 Taichiを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 7900XのOC設定は「CPUクロック倍率:46」「CPUコア電圧:1.200V(Override Mode)」「メッシュ倍率:32」「メッシュ電圧:1.180V(Override Mode)」「CPU入力電圧:1.800V(Fixed Mode)」「CPUロードラインキャリブレーション: レベル2」「メモリ周波数:3800MHz」「メモリ電圧:1.400V」「メモリタイミング:18-19-19-38-CR1」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASRock X299 Taichiの環境(BIOS:P.141)でメモリ周波数を3800MHzにOCしてメモリタイミング:18-19-19-38-CR1に詰めることができました。
10コア20スレッド「Intel i9 7900X」のコア4.6GHz/メッシュ3.2GHz、メモリ周波数3800MHz、メモリタイミング18-19-19-38-CR1でCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7900Xの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock X299 Taichiを使用することでCore i9 7900Xを全コア同時4.6GHz、メッシュ3.2GHz、メモリ3800MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1500RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してASRock X299 TaichiのVRM電源温度をチェックしてみました。
まずは同マザーボードにおけるデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。X299マザーボードの多くはデフォルト設定で全コア4.0GHzで動作するものが多いですが、ASRock X299 Taichiでは140W制限下で動作するため、平均して3.6~3.8GHz程度での動作となります。
デフォルト設定の動作ではコアクロックが抑えられているのでVRM電源周りの発熱についても控えで、VRM周りに風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境でも負荷時60度前後なので安心して使用できます。
続いてi9 7900Xを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。同マザーボードに限った話ではありませんが、SkyLake-Xでi9 7900X以上のモデルをOCする場合はスポットクーラーを使用してVRM電源部分の冷却推奨です。VRM電源の温度が一定値を超えると保護機能が起動してコアクロックが強制的に下げられます。ちなみにASRock X299 Taichi環境でi9 7900Xを4.6GHzまでOCするとシステム全体の消費電力が360Wに達します。
まずはマザーボード全体についてですが、ASRock X299 Taichiではチップセットなどの温度は特に問題なさそうです。
続いて肝心のVRM電源温度ですが、i9 7900Xを全コア4.6GHzにOCしていますがスポットクーラーとして120mmファンを1800RPMで回しているのでVRM電源周りの温度は70度前後に収まっていました。ソフトウェア読みのVRM電源温度も70度前後だったのでASRock X299 Taichiについてはスポットクーラーを使用して適切に冷やしてやればi9 7900XのOC運用も問題なさそうです。なおロードラインキャリブレーションをレベル1に設定すると発熱が大幅に増えるのでi9 7900XのOC時はレベル2からレベル5に設定してください。
ASRock X299 Taichiのレビューまとめ
最後に「ASRock X299 Taichi」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラック&グレーメインのクールなデザイン
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
- 10コアi9 7900X 4.6GHz、メモリクロック3800MHz OCで安定動作
- 最大出力1300Wに対応する13フェーズのVRM電源
- 「Hyper BCLK Engine III」で高精度なBCLKの調整が可能
- 高速NVMe接続のM.2スロットが3基設置されている
- NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用のSLI HBブリッジが付属する
- VRM電源クーラーが小さいのでi9 7900XのOC時はスポットクーラーの併用を推奨
(交換用大型ヒートシンクの配布を検討してもらえると嬉しい) - BCLK設定の刻み幅はASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9が0.01MHzに対して、
ASRock X299 Taichiは0.05MHzなのでOC上級者は注意が必要かも
SkyLake-X CPU対応X299マザーボード「ASRock X299 Taichi」は、ASRockのX299ロンチマザーボード最上位のASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9から付加価値的な機能を省きつつも、基本的な機能を手堅く揃えた高コストパフォーマンスなミドルハイX299マザーボードとして仕上がっています。
Taichiといえばブラック&ホワイトのコントラストの効いたモノトーンカラーでTaichiの名前通りマザーボード全体で太極図を模したデザインが特徴でしたが、X299 Taichiではホワイトの部分がグレーになっており名前の由来でもある太極図より、その構成要素の歯車が主張するデザインになっています。シンプル寄りなデザインになり万人受けしやすくなってはいるものの、太極図を模したユニークデザインも売りの1つだったはずなのでTaichiファンにとっては残念かもしれません。
ASRock X299 Taichiを使用した検証機では10コア20スレッドのi9 7900Xを全コア4.6GHz、メッシュ3.2GHzに、メモリ周波数も3800MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
i9 7900Xと組み合わせて使用した場合、ASRock X299 Taichiにおけるデフォルト設定ではTDP140Wの制限内で動作するためCPU温度とVRM電源温度はいずれも低めに収まるので、空冷CPUクーラーや120/140サイズのコンパクトな簡易水冷CPUクーラーでも運用可能となっておりデフォルト設定でも扱いやすいマザーボードだと思います。
またi9 7900XのOCについてもVRM電源周りの発熱自体はありますがスポットクーラーさえ適切に運用すればi9 7900Xの4.6GHz OCでも70度前後に抑えることができるのでi9 7900XのOC環境としては比較的使いやすいマザーボードだと思います。
ASRock X299 TaichiのBIOSではクラシカルなUIが採用されており、翻訳が少しおかしいところはあるものの日本語ローカライズもされて、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。
以上、「ASRock X299 Taichi」のレビューでした。
10月以降は「ASRock X299 Taichi」からVRM電源と冷却クーラーを強化した「ASRock X299 Taichi XE」が発売済みなのでこちらがおすすめです。
ASRock X299 Taichi XE ATXマザーボード
ASRock
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Intel Core i9-9920X Processor 12コア24スレッド BX80673I99920X
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X299シリーズのマザーボード販売ページ
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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill Trident Z RGB DDR4メモリ
G.Skill Trident Z Black DDR4メモリ Skylake-X対応
G.Skill
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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