ASUS WS X299 SAGE


スポンサードリンク




前世代でASUS X99-E WSを使用していたユーザーにとっては待望のSkyLake-X CPUに対応する後継モデルで、x16サイズのPCI-Eスロットを全7段フル搭載するワークステーション向けの最強X299マザーボード「ASUS WS X299 SAGE」をレビューしていきます。管理人もメイン機には
ASUS X99-E WSしていたので、Skylake-X環境へメイン機をアップグレードする際に換装するX299マザーボードとして「ASUS WS X299 SAGE」を本命視していました。
ASUS WS X299 SAGE review_04290
全7段がx16サイズPCI-Eスロットで埋め尽くされた光景はやはり壮観です。ゲーマー向け最上位「ASUS ROG RAMPAGE VI EXTREME」やOC特化の「ASUS ROG RAMPAGE VI APEX」とは違った趣が「ASUS WS X299 SAGE」にはあります。個人的には触っていて一番わくわくするマザーボードです。
ASUS WS X299 SAGE review_04742


製品公式ページ:https://www.asus.com/Commercial-Servers-Workstations/WS-X299-SAGE/
マニュアル:dlcdnet.asus.com/pub/ASUS/mb/Socket2066/WS_X299_SAGE/Manual/E13519_WS_X299_SAGE_UM_WEB.pdf
1514501468

ASUS WS X299 SAGE CEB(E-ATX)マザーボード
ASUS
Amazon.co.jpで詳細情報を見る  <米尼
TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ
PCワンズ><パソコン工房>



【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel SkyLake-X&KabyLake-X CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザーボードBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年3月上旬に行っており「ASUS WS X299 SAGE」のBIOS:0402を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asus.com/Motherboards/WS-X299-SAGE/HelpDesk_BIOS/

【18年4月6日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:0402で検証




ASUS WS X299 SAGE レビュー目次


1.ASUS WS X299 SAGEの外観・付属品
2.ASUS WS X299 SAGEの基板上コンポーネント詳細
3.ASUS WS X299 SAGEへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASUS WS X299 SAGEの検証機材セットアップ
5.ASUS WS X299 SAGEのBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について
7.
ASUS WS X299 SAGEのOC設定について
8.ASUS WS X299 SAGEの動作検証・OC耐性
9.ASUS WS X299 SAGEのレビューまとめ



ASUS WS X299 SAGEの外観・付属品

まず最初にASUS WS X299 SAGEの外観と付属品をチェックしていきます。
ASUS WS X299 SAGE review_04291
ASUS WS X299 SAGEのパッケージはマザーボードの箱としては簡素な部類でいかにもサーバー・ワークステーション向けマザーボードと言った感じです。
ASUS WS X299 SAGE review_04292ASUS WS X299 SAGE review_04293

マニュアル・ドライバCDなどもシンプルです。管理人は海外から輸入したので英語マニュアルでした。ASUS製マザーボードなので詳細な日本語マニュアルに期待するユーザーも多いと思いますが、3月9日現在、PDFファイルでも日本語版は配布されていません。コースターやステッカーなどファングッズ的なものは一切付属しません。
ASUS WS X299 SAGE review_04712

基本的な組み立て関連の付属品としてSATAケーブル8本、リアI/Oパネル、M.2 SSD固定用スペーサー&スクリュー、M.2 SSD垂直マウントパーツ、Q-Connector、アドレッサブルLED用3PINケーブルがあります。
ASUS WS X299 SAGE review_04713
リアI/Oシールドは表面はシンプルなマットブラックのカラーリングになっています。また裏面のマザーボードと接する部分はスポンジが入っていました。
ASUS WS X299 SAGE review_04714_DxOASUS WS X299 SAGE review_04715_DxO
ASUS WS X299 SAGEにも付属する「Q-Connector」はパワースイッチやストレージLEDなど細かいPINをまとめてマザーボードに接続可能な便利なコネクタです。「Q-Connector」は組み立て時にあると便利ですがASUSマザーボードの中でも付属しないモデルもあるので事前にチェックがおすすめです。
ASUS WS X299 SAGE review_08396_DxOASUS WS X299 SAGE review_08395_DxO
「ASUS WS X299 SAGE」に実装されたM.2スロットのうち1つは垂直設置型のスロットになっており、付属の垂直設置マウンタを使用してM.2 SSDを装着します。
ASUS WS X299 SAGE review_04726_DxOASUS WS X299 SAGE review_04727
SLIブリッジについては最近発売されているマザーボードでは従来のSLIブリッジだけでなくGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応したSLI HBブリッジが付属するようになっており、ASUS WS X299 SAGEには0スロットスペース型SLI HBブリッジが入っていました。またGTX 10XXシリーズでは正式サポート外となっていますが、ASUS WS X299 SAGEはワークステーション向けに3Wayや4WayマルチGPU環境にも対応しているので3Wayと4Way-SLIブリッジも付属します。
ASUS WS X299 SAGE review_04716
標準で付属するSLI HB BRIDGEは0スロットスペースですが、同社から発売されている「ASUS ROG SLI HB BRIDGE 4スロット版」を使用すれば2スロットスペースでSLIを構築できます。マザーボード上の汎用4PIN LED端子と接続することでマザーボード備え付けLEDイルミネーションと同期操作も可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_00893ASUS WS X299 SAGE review_04724


また0スロットスペース、2スロットスペース、4スロットスペースに対応とバリエーションが豊富で、SLI端子に金属シールドが装着された「EVGA PRO SLI BRIDGE HB」もおすすめです。北米Amazonで販売されており公式に国内直送に対応しているので国内Amazon同様に購入できます。
ASUS WS X299 SAGE review_04721_DxOASUS WS X299 SAGE review_04723


「MOS fan bracket kit」を使用するとマザーボード固定ネジ穴を使用してVRM電源クーラーに40mm角もしくは50mm角の冷却ファンをスポットクーラーとして増設することが可能です。ASUS WS X299 SAGEには標準で40mm角の冷却ファンが付属します。
ASUS WS X299 SAGE review_04719_DxOMOS fan bracket kit
「ASUS WS X299 SAGE」にはASUS AURA Syncに対応したLED端子ヘッダーとしてRBG 4PIN汎用ヘッダーとアドレッサブル型3PINヘッダーの2種類が実装されていますが、延長ケーブルについてはアドレス指定対応LEDテープ用の独自3PINヘッダーを等間隔の3PINヘッダーに変換する延長ケーブルのみが付属します。
ASUS WS X299 SAGE review_08376_DxOASUS WS X299 SAGE review_08378_DxO
COMポートブラケットとUSB2.0ブラケットも付属します。ただし「ASUS WS X299 SAGE」のマザーボード上にはUSB2.0内部ヘッダーが実装されていないのでUSB2.0ブラケットがなぜ付属するのかは謎です。マニュアルにも記載があるので梱包ミスというわけでもなさそうですし……?
ASUS WS X299 SAGE review_04720_DxO


マザーボード全体像は次のようになっています。
ASUS WS X299 SAGEはATXよりも横幅が23mmほど大きい幅267mmのCEBフォームファクタのマザーボードです。CEBフォームファクタですがマザーボード固定ネジ穴自体はATXマザーボードと同じレイアウトなのでATX向けPCケースにも問題なく設置できることも多いですが、裏配線用のケーブルホールが基板の右側と被って使用できないケースもあるので注意していください。
ASUS WS X299 SAGE review_04725_DxO
PCH(チップセット)クーラーには中央にASUSロゴが刻印されたガンメタルカラーの大型クーラーが採用されています。前世代のASUS X99-E WSと同系統のデザインですが若干洗練された気配を感じます。
ASUS WS X299 SAGE review_04732
PCHクーラーはX299チップセットだけでなくチップセット左上と左下に配置された2基のPLXスイッチチップを冷却する機能も兼ねており、放熱面積を確保するためヒートパイプによる連結でCPUソケット下とCPUソケット右に放熱ヒートシンクが拡張されています。
ASUS WS X299 SAGE review_04733
「ASUS WS X299 SAGE」はワークステーション向けマザーボードということもあって装飾的な意味合いの強いリアI/Oカバーは装備されていません。VRM電源クーラーについてはチップセットクーラー同様にASUS X99-E WSのデザインを踏襲したガンメタルカラーのものが設置されています。
ASUS WS X299 SAGE review_04734
ASUS WS X299 SAGEには8フェーズのVRM電源が実装されています。ASUS製X299マザーボードとしては標準的、他社の上位X299マザーボードと比較すると若干少なめなVRM電源フェーズ数ですが、レビュー後半の動作検証においてはCore i9 7980XEのOCでVRM電源の電力供給の安定性やVRM電源クーラーの冷却性能を詳しくチェックしていきます。
ASUS WS X299 SAGE review_04735
18コア36スレッドCore i9 7980XEなどSkylake-X Core i9上位モデルを安定して運用するため、CPUソケット直上のVRM電源クーラーからヒートパイプによる連結で拡張された放熱ヒートシンクがリアI/O側に配置され、高い放熱効率を実現しています。
ASUS WS X299 SAGE review_04739
最大18コアのIntel SkyLake-X CPUに対応するX299マザーボードの中でもサーバー向け製品の最上位モデルということで多コア&高クロックCPUへ安定した大電力供給が行えるようにEPS電源は8PIN*2が配置されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
ASUS WS X299 SAGE review_04736


リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子については4基のUSB2.0端子と6基のUSB3.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04730

ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が2基搭載されています。無線LANについてはオンボードには非搭載となっています。

またリアI/Oには「USB BIOS FlashBack」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「USB BIOS FlashBack」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
USB BIOS FlashBack

重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASUS WS X299 SAGEは1377gでした。E-ATXサイズX299マザーボードのASUS ROG RAMPAGE VI EXTREMEは1630g、ATXサイズX299マザーボードのASUS PRIME X299-DELUXEは1109gなので、ASUS ROG RAMPAGE VI EXTREMEほどではありませんが、ATXを超える基板サイズかつ構成の豪華さの分だけ重量も大きくなっています。
ASUS WS X299 SAGE review_04731ASUS WS X299 SAGE review_02851ASUS PRIME X299-DELUXE review_08620


ASUS WS X299 SAGEの基板上コンポーネント詳細

続いて「ASUS WS X299 SAGE」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。
システムメモリ用DDR4メモリスロットはCPUソケット両側に4基ずつで計8基のスロットが設置されています。
ASUS WS X299 SAGE review_04743
メモリ固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
ASUS WS X299 SAGE review_04744ASUS WS X299 SAGE review_04745

「ASUS WS X299 SAGE」の最大の特徴としてグラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは7段全てがx16サイズになっています。
ASUS WS X299 SAGE review_04740
7段のx16サイズスロットのPCI-Eレーン配分は単純で、1/3/5/7の奇数段スロットのみを使用する場合はPLXスイッチチップによる動的分配ですが、4つのスロットはいずれもPCI-E3.0x16帯域で接続されます。一方で2/4/6の偶数段を1つでも使用する場合は、1段目のスロットのみPCI-E3.0x16接続となり、残りは全てPCI-E3.0x8接続となります。PCI-Eスロット以外のインターフェースとの排他利用はありません。
ASUS WS X299 SAGE_PCI-E
PCI-E3.0x16接続が可能なマルチグラフィックボード向けのx16スロットは1段目、3段目、5段目、7段目に配置されており、0スロットスペース型SLI HBブリッジが付属するので標準では1段目と3段目でNVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 TiやGTX 1080などを使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04722
ただし0スロットスペースの場合、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用する場合は下段グラフィックボードが上段グラフィックボードのエアフローを妨げてしまい、GTX 1080 Tiで採用の増えている2.5~3スロット占有グラフィックボードはそもそも設置ができません。空冷環境でマルチGPUを構築するのであればエアフロー的にも最適な2スロットスペース型SLI HBブリッジの購入をおすすめします。
ASUS WS X299 SAGE review_04724ASUS WS X299 SAGE review_04723



「ASUS WS X299 SAGE(BIOS:0402)」にはM.2 SSD4枚刺しが可能な拡張ボード「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」に対応するためのPCIE帯域分割の設定項目がありませんでした。PLXスイッチチップを経由しているため帯域分割には対応できないのかもしれません。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_14

ASUS WS X299 SAGEにも最近のトレンドとしてx16サイズスロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように、従来のプラスチックスロットよりも垂直方向の力に対して1.6倍、水平方向の力に対して1.8倍も強靭になった補強用メタルアーマー搭載スロット「SAFE SLOT」が採用されています。
ASUS SAFE SLOT
「SAFE SLOT」はPCI-Eスロットのプラスチックパーツ側面に金属製のフレームが埋め込まれており、金属フレームの四隅を半田付けで固定する構造になっています。(下写真はASUS ROG Strix Z270I Gamingのもの)
ASUS WS X299 SAGE review_04775
また1段目PCI-Eスロットの上には、グラフィックボードなどPCI-Eスロットに設置した拡張カードへ安定した電力供給を行うための追加電源としてマザーボードと平行にPCIE補助電源6PINコネクタのオプション電源端子が用意されています。オプション扱いですがマルチGPU構成で組む場合は接続したほうがよさそうです。
ASUS WS X299 SAGE review_04763

「ASUS WS X299 SAGE」の2段目と3段目のPCI-Eスロット間にはThunderbolt3増設拡張ボードと接続するためのTB3 Headerがあるので、「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)や「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」(レビュー)を使用することでThunderbolt3ポートの増設が可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04766
ただしThunderbolt3増設拡張ボードを使用するにはBIOSから設定を行う必要があり、BIOS:0402ではThunderbolt3増設拡張ボードは2段目のPCI-Eスロットにしか接続できません。2スロット以上を占有するグラフィックボードを1段目に配置する場合は物理的に排他利用になるので注意してください。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_15

ASUS WS X299 SAGEにはSATAストレージ用のSATAポートは8基搭載されています。SATA_0~7の8基はいずれもIntel X299チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
ASUS WS X299 SAGE review_04749
ASUS WS X299 SAGEには高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットがメモリスロット横とチップセット下の2か所に計2基設置されています。M2_1M2_2はいずれもNVMe(PCI-E3.0x4)のM.2 SSDにのみ対応しています。2基のM.2スロットはIRSTによるハードウェアRAIDに対応しています。
ASUS WS X299 SAGE review_04750ASUS WS X299 SAGE review_04751

また17年最新マザーボードでは実装の減りつつあるNVMe対応U.2端子がASUS WS X299 SAGEには2基も実装されています。U.2端子については44レーンCPUのみ利用が可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04761
CPUとチップセット間はIntel X299シリーズチップセットではX99から更新されたDMI 3.0で接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
X299_Brock Diagram
X299チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
またIntel X299プラットフォームでは新たに「Intel VROC(Virtual RAID on CPU)」という仮想RAID機能がサポートされておりCPU直結PCI-Eレーンに接続されたNVMe SSDでもハードウェアRAIDが構築可能になっています。ただし複数ストレージを単一ストレージとして使用してリード・ライト速度を向上させるRAID 0についてはX299マザーボードで標準サポートとなっておりそのまま使用可能ですが、冗長性を確保するためのRAID 1を利用するためには「Standard Key」、RAID 1やRAID 5を利用するためには「Premium Key」という物理キーを購入してマザーボード上の端子に装着する必要があります。
ASUS WS X299 SAGE review_02084ASUS WS X299 SAGE review_02085
簡単にまとめるとM.2スロットがどこに繋がっているかで次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 チップセット接続の場合
長所  複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の
 同時アクセスでもフルスペック動作
 IRSTによるハードウェアRAIDで
 性能を上げることができる
短所  IRSTによるハードウェアRAID
 が構築できない
 (有料キーの増設でVROCによる
  ハードウェアRAIDが構築可能)
 複数のM.2 SSDから同時にアクセス
 がある場合、またはRAID0の場合
 4GB/s程度がアクセス速度上限になる
複数のM.2 SSDを同時にフルアクセスさせたい場合は、PCI-E→M.2アダプタを使用するなどしてCPU直結のM.2スロットを用意し、マザーボード備え付けのM.2スロットと組み合わせるなど工夫が必要です。

チップセット下にはUSB3.1対応内部ヘッダーと部USB3.0ヘッダーが設置されています。内部USB2.0ヘッダーは1基も実装されていないので、CorsairLinkやNZXT CAMに対応してUSB2.0内部ヘッダーで接続する製品の利用が難しくなっています。USB3.1対応内部ヘッダーはいらないのでUSB2.0内部ヘッダーをASUS X99-E WSと同様に2基実装して欲しかった!
ASUS WS X299 SAGE review_04752
USB2.0内部ヘッダーを利用する機器を接続したい場合は、内部USB3.0-内部USB2.0ヘッダー変換ケーブルを使用する必要があります。2基以上の内部USB2.0ヘッダーを使用したい場合はさらに。不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB(レビュー)」を使用する必要があります。
NZXT INTERNAL USB HUBASUS WS X299 SAGE review_04777

ASUS独自の高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「Crystal Sound 3」も採用されています。日本製オーディオコンデンサを採用し、オーディオパートはマザーボードから物理的に分離され、左右のオーディオチャンネルがレイヤー分けされることでクリアな音質を実現します。光学デジタルによるデジタル音声出力もあるので高級なヘッドホンアンプユーザーにも満足のいく構成です。
ASUS WS X299 SAGE review_04754
マザーボード左下にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。その隣にはCMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでOC設定をミスっても簡単に初期化が可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04756
冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計7か所設置されていました。水冷ポンプ用ファン端子「W_PUMP+」には簡易水冷の水冷ポンプや本格水冷用のD5/DDCポンプなどにも電力供給できます。H_AMP_FAN端子は36W(3A)の高出力に対応しています。
ASUS WS X299 SAGE_Fan
マザーボード右下には本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が実装されています。ASUSのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので管理人は以前から水冷ユーザーにお勧めしています。(関連記事
ASUS WS X299 SAGE review_04759
パワースイッチの右隣にあるEXT_FAN端子には別売りオプションパーツの冷却ファン&サーモセンサー拡張ボード「ASUS FAN EXTENSION CARD」を装着してマザーボードのファンコン機能によって操作可能なファン端子やコントロールソース温度となる温度センサーを拡張できます。
ASUS WS X299 SAGE review_02828




ASUS WS X299 SAGEへのパーツ組み込み

ASUS WS X299 SAGEにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。
DDR4メモリには「G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK」(レビュー)、CPUクーラーには「Corsair H150i PRO RGB」(レビュー)を使用しています。
ASUS WS X299 SAGE review_04773
ASUS WS X299 SAGE review_04769
ASUS WS X299 SAGE review_04770
ASUS WS X299 SAGE review_04771
ASUS WS X299 SAGE review_04772



ASUS WS X299 SAGEの検証機材

ASUS WS X299 SAGEを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS WS X299 SAGE以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 7980XE
18コア36スレッド (レビュー

CPUクーラー Corsair H150i PRO RGB
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4200C19Q2-64GTZKK
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

検証機材のCPUにはX299マザーボードで使用可能なIntel Core-X CPU最上位モデルで18コア36スレッドの「Intel Core i9 7980XE」を使用しています。検証機材のCore i9 7980XEはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー

Core i9 7980XE DelidCore i9 7980XE_Delid_ba

レビュー後半の動作検証では上で紹介した殻割りクマメタル化済みのCore i9 7980XEを使用したOC検証も行いますが、CPUクーラーには2018年1月に発売されたばかりの新製品でCorsair製簡易水冷CPUクーラーの最上位モデルとなる360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」を使用しています。冷却性能も高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているのでCore i9上位モデルとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
360サイズの最強簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
Corsair H150i Pro


CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
ASUS WS X299 SAGE review_04767


グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9 review_08122


以上で検証機材のセットアップは完了です。
ASUS WS X299 SAGE review_04774



ASUS WS X299 SAGEのBIOSについて

ASUS WS X299 SAGEを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。
(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)

ASUS WS X299 SAGEのBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_1
「F7」キーを押すとアドバンスドモードという従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_2
次回起動時に初回から詳細モードを起動する場合は、「起動-ブート設定」にある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_3

ASUS WS X299 SAGEのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_4
特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_5
3月11日現在、ASUS WS X299 SAGEのサポートページでは最新版「0402」が公開されているのでアップデートしました。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_6

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asus.com/Motherboards/WS-X299-SAGE/HelpDesk_BIOS/

USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール - ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからアップデートでBIOSファイルを選択します。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_7
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_8
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_9



ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS WS X299 SAGEのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_10




BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS WS X299 SAGEのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。

またSkylake-X&X299プラットフォームからサポートされるようになったソフトウェアRAID機能「VROC」に対応するための設定項目としてASUS製X299マザーボードでは「CPU Storage Configuration」が用意されています、「ASUS ROG RAMPAGE VI EXTREME」や「ASUS PRIME X299-DELUXE」ではM.2 SSD4枚刺しが可能な拡張ボード「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」に対応するPCIE帯域分割の設定項目がありましたが、「ASUS WS X299 SAGE(BIOS:0402)」ではこの設定項目がありませんでした。PLXスイッチチップを経由しているため帯域分割には対応できないのかもしれません。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_14
「ASUS WS X299 SAGE」には標準で付属しませんが、「ASUS ThunderboltEX 3」、「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)、「GIGABYTE GC-ALPINE RIDGE」(レビュー)などThunderbolt3拡張ボードを使用する場合は、「詳細ーThunderbolt Configuration」でThunderbolt3拡張ボードを刺しているスロットを選択する必要があります。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_15

LEDイルミネーションについてはデフォルトではOSのシャットダウンやスリープ時もLEDが点灯しますが、「When system is in sleep, hibernate and soft off states」の項目をOFFにすることでスリープ時やシャットダウン時のみLEDイルミネーションをOFFにすることができます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_14
なおシャットダウン・スリープ時のLEDの点灯・消灯設定はWindows上の「AURA Sync」から設定が可能でアプリからの操作が優先されます。ASUS Aura Syncソフトウェアの「シャットダウン時」タブがスリープやシャットダウン時(スリープや休止も含む)のLEDイルミネーションの設定になっています。ここから設定を行うことでASUS WS X299 SAGEでもシャットダウン・スリープ時のLEDイルミネーションの消灯が可能です。AURA Syncについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
AURA Sync Off

マザーボード上のコンポーネント詳細でも紹介した外部温度センサーについてはBIOS上からも温度をモニタリングできます。簡易水冷(AIO水冷)ポンプ専用の項目も用意されており、ASUS WS X299 SAGEであれば冷却機能周りは空冷・水冷ともにほぼ全てBIOS上でコントロール可能です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_17
BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子とCPU OPT端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、外部温度センサーなどの各種温度ソースからファンコントロールが可能です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_18
ファン操作モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されていますが、DC速度調整の場合は制御プロファイルを手動にすると、下限温度以下で冷却ファンを停止させる所謂セミファンレス機能を実現する「Allow Fan Stop」の設定が表示されます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_19
またDIY水冷では標準的な水冷ポンプであるD5ポンプやDDCポンプを運用可能な電力出力に対応した水冷ポンプファン端子が外部温度センサーによるファンコントロールに対応したところは注目ポイントです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_20
ASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能「Q-Fan Control」があります。機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_21



イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について

ASUS製マザーボードの上位機種にはマザーボード備え付けLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PINイルミネーション機器およびアドレッサブル3PIN対応イルミネーション機器に対応したライティング操作機能「ASUS AURA Sync」が用意されています。
「ASUS WS X299 SAGE」ではマザーボード備え付けLEDイルミネーションは実装されていませんが、RGB対応汎用4PINヘッダーやアドレッサブルLED対応3PINヘッダーに接続されたLED機器のライティング制御が可能です。
ASUS WS X299 SAGE review_04757
ASUS WS X299 SAGEに搭載されたLEDイルミネーションや汎用ヘッダーに接続された機器は発光カラーや発光パターンを専用アプリのAURA Syncから同期操作可能になっています。AURA Syncはマザーボードのサポートページから最新版をダウンロードできます。
サポート:https://www.asus.com/Motherboards/WS-X299-SAGE/HelpDesk_Download/

専用アプリである「AURA Sync」を使用することで、色を指定した固定色発光、カラーサイクル等の発光パターンプリセット、温度や音楽に合わせた発光変化など自由度の高いイルミネーション設定が可能です。
ASUS AURA Sync_1
ASUS AURA Sync_2ASUS AURA Sync_3ASUS AURA Sync_4

またマザーボード上に設置された汎用RGB LED 4PINヘッダーやアドレス指定対応3PINヘッダーを使用することで当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」など汎用LED機器によるLEDイルミネーションの拡張も可能です。ASUS Aura Syncに対応する機器についてはASUSの公式ページで一覧が公開されています。
ASUS Aura Sync対応機器:https://www.asus.com/campaign/aura/jp/Sync.html
ASUS WS X299 SAGE review_04757
ASUS製マザーボードのアドレッサブル3PIN LEDヘッダーで使用可能なアドレッサブルLEDテープについては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」が動作することが確認できています。
ASUS WS X299 SAGE review_04416

BitFenix Alchemy 3.0 アドレッサブルLEDテープ 30cm
BitFenix Alchemy 3.0 アドレッサブルLEDテープ 60cm
BitFenix
Amazon.co.jpで詳細情報を見る

当サイトでレビュー記事を公開中のG.Skill製DDR4 OCメモリ「G.Skill Trident Z RGB」もASUS Aura Syncによるイルミネーション同期設定に対応しています。
「G.Skill TridentZ RGB DDR4」OCメモリをレビュー
Skill TridentZ RGB

下は「ASUS ROG ZENITH EXTREME」で「G.Skill Trident Z RGB」を使用した例ですが、ASUS AURA Syncのウィンドウ上側にDRAMの項目が表示されて「G.Skill Trident Z RGB」も同期操作が可能になります。ColorCycleのような全体同期型の発光パターン以外にも、「G.Skill Trident Z RGB」は各DRAM毎に4分割アドレッサブルLEDが実装されているので個別制御も可能です。
ASUS AURA Sync_6
ASUS WS X299 SAGE review_01018ASUS WS X299 SAGE review_01019ASUS WS X299 SAGE review_01020

ASUSのLEDイルミネーション機能「AURA Sync」については汎用イルミネーション機器の使用方法や導入例などを下の記事でも紹介しているので、詳しくはこちらを参照してください。
ASUS製のLEDイルミネーション操作機能「AURA Sync」の使い方
ASUSのLEDイルミネーション同期操作機能「AURA Sync」の使い方



ASUS WS X299 SAGEのOC設定について

ASUS WS X299 SAGEを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


「ASUS WS X299 SAGE」のオーバークロック設定は「AI Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。「AI Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_1

「ASUS WS X299 SAGE」のオーバークロック設定項目の最初にある「AI Overclock Tweaker」ではプルダウンメニューから「Auto」「Manual」「XMP」の3つの設定モードが選択できます。Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。ManualモードはBCLK等の詳細なOC設定項目が解放される上級者向けの設定モードです。XMPモードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。
OC初心者はXMPを使用しないならAutoモード、XMPを使用するならXPMモードを使用すればOKです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_2

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。

ASUS WS X299 SAGEではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「Auto」、全コアの倍率を同じに設定する「Sync All Cores」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「By Core Usage」、各コアに対して動作倍率とコア電圧を個別設定可能な「By Specific Core」の4つのモードが存在します。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_3

By Core Usage」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能になっており、負荷時のコア数と最大動作倍率のセットを最大8セット設定できます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_4
By Specific Core」では各コアに対して動作倍率とコア電圧を個別設定可能なモードです。各コアに対して最大動作倍率だけでなく、コア電圧も設定することができ、通常の電圧設定同様に「Manual(固定電圧)」「Adaptive」「Offset」の電圧モードが選択できるところが特徴的です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_5

ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合はSync All Cores」モードを選択して「ALL-Core Ratio Limit: 45」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその45倍の4.5GHzで全てのコアが動作します。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_6

「AI Overclock Tweaker」から「Manual」モードもしくは「XMP」モードを選択するとベースクロック(BCLK)の設定項目が表示されます。デフォルトのAutoでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで80~300MHzの範囲内で設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_8

キャッシュ(メッシュ)動作倍率は「最大CPUキャッシュ倍率」と「最小CPUキャッシュ倍率」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_7


続いてコア電圧の調整を行います。
電圧設定の予備知識としてIntel SkyLake-X CPUでは統合電圧レギュレータ(FIVR)がCPU上に実装されており、マザーボードのVRMから供給されるCPU全体への電圧を源泉にして、CPU各コアやメッシュなど個別のユニットに対して異なる電圧レールで電力が供給されます。CPU全体への電圧(1.800~1.900V程度)とCPUコアへの電圧(1.000~1.300V程度)は似た名前で別の設定項目として用意されているので電圧設定を行う際は間違えないように注意して下さい
Intel-FIVR

CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASUS WS X299 SAGEでは「CPUコア電圧(CPU Core Voltage)」の項目を変更します。「CPU Input Voltage」という項目もありますがこちらは上で説明したようにCPU全体への入力電圧なので基本的にAutoのままで放置してください。
ASUS WS X299 SAGEではCPUコア電圧にマニュアルの設定値を固定する「Manual」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「Offset」モード、ターボブースト時にのみ昇圧を行う「Adaptive」モードの3種類が使用できます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_9

ASUS WS X299 SAGEでコアクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するManualモードがおすすめです。10コア20スレッドのCore i9 7900Xや12コア24スレッドのCore i9 7920XをOCする場合のCPUコア電圧の目安としては非殻割りでは1.200V、殻割りクマメタル化では1.260~1.300V程度が上限になると思います。18コア36スレッドのCore i9 7980XEなど上位モデルの場合は発熱も大きくなり殻割りクマメタル化でも1.200V程度が上限になります。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_10

CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
vc

SkyLake-X CPUのキャッシュクロックをOCする場合は、CPUコア電圧とは別に「CPUキャッシュ電圧(CPU Cache Voltage)」を設定します。CPUキャッシュ電圧を盛るとCPUコア電圧とは独立に発熱が増える(CPU温度が上がる)ので注意してください。CPUキャッシュ電圧もCPUコア電圧同様に「Manual」「Offset」「Adaptive」の3種類のモードから電圧設定が可能です。
CPUキャッシュ電圧の目安としてはCore i9 7900XやCore i9 7920Xの場合は定格メッシュ周波数の2400MHzでは0.900V程度、3200MHzまでOCすると1.200V程度が要求されます。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_12

またCPUのOC/DCに関連する電力設定としてASUS WS X299 SAGEではコアクロックと電圧の設定項目の中間あたりに「CPU SVIDサポート」と「External Digi+ Power Control」と「CPU電力詳細設定」の3つがあります。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_11

「CPU SVIDサポート」についてはヘルプテキストにCPUコアクロックのオーバークロック時は無効化した方がよいと記載されています。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_13
コアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「External Digi+ Power Control」の「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、補正の強度としてLevel 1~Level 8の8段階になっており、Levelが大きくなるほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。Level 5あたりから始めて安定する設定値を模索していくのがおすすめです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_13
「External Digi+ Power Control」ではその他にも「CPU VRM スイッチング周波数」「CPU VRM スペクトラム拡散」「CPU VRM 可動フェーズ設定」などCPUのオーバークロック時にマザーボードVRMからの電力供給を安定させる設定項目が用意されています。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_14

また「CPU電力詳細設定」には「瞬間許容電力制限値(Short Duration Power Limit)」「許容電力上限値(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASUS WS X299 SAGEでは手動でコアクロックのOCを行った場合はパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_15


メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。

メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASUS WS X299 SAGE」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。

ASUS WS X299 SAGEでは「AI Overclock Tweaker」からXMPモードを選択するとに設定することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_16

「AI Overclock Tweaker」のAutoモードやをManualモードにおいて「DRAM Frequency」の設定値をAutoにすると、多くのDDR4メモリでは動作周波数2133~2666MHzとなり、タイミングについてもメモリごとに設定された定格動作となります。手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大4400MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_17

メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_18

メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Reflash Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_19
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM CH AB/CD Voltage」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_20

X299環境のクアッドチャンネルでメモリのオーバークロックを行う場合、高メモリクロックでタイミングを詰めていくとPOSTをクリアできても4枚or8枚のうち一部しかメモリが認識されないままPOSTクリアしてWindowsが起動する場合があります。CPU-ZやAIDA64メモリベンチで32GB、クアッドチャンネルと誤表示されるため、メモリOC後に全てのメモリモジュールが正常に動作しているか確認する場合はタスクマネージャーの「パフォーマンス-メモリ」から装着した容量が表示されているかを見てください。
memory OC check
ここで正常にメモリ容量が表示されない場合はメモリ周波数を下げる、タイミングを緩める、メモリ電圧を盛るなどOC設定の見直しが必要です。

Intelの前世代エンスー向けCPUのBroadwell-Eではメモリ周波数を3000MHzから3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を1.200V前後に盛ると動作が安定したのですが、Intel SkyLake-XのCore i9 7900XやCore i9 7980XEで管理人が確認した限りでは定格の0.900V前後のままで問題ありませんでした。
あと今のところX299環境では不具合を確認できていませんが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO(CPU IO Voltage)」や「チップセット電圧(PCH Voltage)」を1.100~1.200Vに盛ると安定するかもしれません。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC_21
PCI-E拡張ボード、各種ストレージ、USB接続機器など拡張・周辺機器が増えて動作が安定しない場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」「VCCIO(CPU IO Voltage)」「チップセット電圧(PCH Voltage)」の3種類を昇圧すると安定する場合があるので試してみてください。


ASUS WS X299 SAGEの動作検証・OC耐性

BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASUS WS X299 SAGEを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。

まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、ASUS WS X299 SAGEの起動時間は40秒ほどした。多機能なエンスー向けマザーボードの宿命ですがPOST時間に時間がかかっているので起動時間は遅めです。


続いてASUS WS X299 SAGEを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。


Core i9 7980XEのOC設定は「CPUクロック倍率:44」「CPUコア電圧:1.100V(固定モード)」「メッシュ倍率:30」「メッシュ電圧:1.100V(固定モード)」「CPU SVIDサポート: Disabled」「ロードラインキャリブレーション: Level6」「CPU VRM スペクトラム拡散: Disabled」「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.420V」「メモリタイミング:19-19-19-39-CR2」としています。
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC Test (1)ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC Test (2)
ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC Test (3)ASUS WS X299 SAGE_BIOS_OC Test (4)


上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_1
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_2

ASUS WS X299 SAGEの環境(BIOS:0402)でメモリ周波数を4000MHzにOCしてメモリタイミング:19-19-19-39-CR2に詰めることができました。
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_memory
ちなみに検証機材メモリにはASUS ROG RAMPAGE VI EXTREMEがQVLリストに載っているXMP4200MHz対応のOCメモリ「G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK」を使用していますが、ASUS ROG RAMPAGE VI EXTREMEの環境においても、CPUにCore i9 7980XEを使用した場合はメモリ周波数4000MHzまでしか正常に動作させることができませんでした。Windows起動時のクルクルが表示されて即落ち、デスクトップが表示されてからフリーズなど個体差があったので、7980XEでも当たり石であれば正常に動作するかもしれません。
発売時期的にF4-4200C19Q2-64GTZKKは7900Xを基準に選別されているメモリだと思いますが、Core i9 7900XだけでなくCore i9 7920XでもXMPプロファイルが正常に動作したので、LCCとHCC関係なくコア・スレッド数が増えると高周波数でメモリは動作し難くなるようです。
ASUS WS X299 SAGE_OC test_mem4200_7900XASUS WS X299 SAGE_OC test_mem4200_7920X


18コア36スレッド「Intel i9 7980XE」のコア4.4GHz/メッシュ3.0GHz、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング19-19-19-39-CR2でCinebenchも問題なくクリアできました。
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_Cine

続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7980XEの場合9分ほどなので同じ動画のエンコードを3つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 7980XE_Test

ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASUS WS X299 SAGEを使用することでCore i9 7980XEを全コア同時4.4GHz、メッシュ3.0GHz、メモリ4000MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1400RPMで固定しています。
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_temp


スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してASUS WS X299 SAGEのVRM電源温度をチェックしてみました。
まずは同マザーボードにおけるデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。ASUS WS X299 SAGEではデフォルトでTDPによる制限がかかって、Core i9 7980XEは全コア3.0GHz動作となります。
1520452785
Core i9 7980XEのデフォルト設定の動作ではTDPによる制限があるのでコアクロックもさほど高くなく、実際のCPU消費電力も200W程度なのでVRM電源周りの発熱についても控えでVRM電源周りの温度はせいぜい60度程度に収まっています。デフォルト設定での運用についてはパッシブ空冷のままでも問題ないと思います。
ASUS WS X299 SAGE_7980XE_def_FLIR_1
ASUS WS X299 SAGE_7980XE_def_FLIR_2
あと「ASUS WS X299 SAGE」にはチップセットとPCI-Eスロットの中間に2基のPLXスイッチチップが実装されておりこの部分の発熱も大きいので、サーモグラフィーでマザーボード全体の温度をチェックしてみました。やはり前世代のASUS X99-E WS同様に「ASUS WS X299 SAGE」でもPLXスイッチチップ周辺はパッシブ空冷の場合55度前後に達しました。故障の心配をするほどの温度ではありませんが、可能ならスポットクーラーで冷やしたいところです。
ASUS WS X299 SAGE_7980XE_def_FLIR_3

続いてCore i9 7980XEを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。同マザーボードに限った話ではありませんが、SkyLake-XでCore i9 7900X以上のモデルをOCする場合はスポットクーラーを使用してVRM電源部分の冷却推奨です。VRM電源の温度が一定値を超えると保護機能が起動してコアクロックが強制的に下げられます。ちなみにASUS WS X299 SAGE環境でCore i9 7980XEを4.4GHzまでOC、かつメモリも4000MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が500Wに達します。
ASUS WS X299 SAGE_OC Test_powerASUS WS X299 SAGE review_04778
さて肝心のVRM電源温度ですが、Core i9 7980XEを全コア4.4GHzに、加えてメモリ周波数も4000MHzにOCしていますが、スポットクーラーとして120mmファンを1500RPMで回していてもVRM電源温度は90度前後まで達しました。ソフトウェア読みでも80度後半に達しており、今回の検証ではVRM電源温度原因でコアクロックの強制低下は発生しませんでしたがVRM電源の空冷冷却には限界を感じる結果です。
ASUS WS X299 SAGE_7980XE_OC_FLIR_1
ASUS WS X299 SAGE_7980XE_OC_FLIR_2

VRM電源の回路設計やフェーズ数にもよるものの、コアクロックとメモリ周波数を両方OCしてもCPU消費電力が400W前後に収まるCore i9 7900XやCore i9 7920Xまでであればスポットクーラーによる空冷冷却でも運用できそうですが、Core i9 7980XEなど上位モデルについてはコアクロックとメモリ周波数を両方OCするとEPS電源経由のCPU消費電力が500Wを上回るため、モノブロック型水冷ブロックやVRM電源水冷ブロックによるVRM電源の水冷は必須になると思います。



ASUS WS X299 SAGEのレビューまとめ

最後に「ASUS WS X299 SAGE」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ブラック&グレーの質実剛健な落ち着いたデザイン
  • x16サイズPCI-Eスロットを全7段にフル搭載
    PLXスイッチによって[x16,x16,x16,x16]もしくは[x16,x8,x8,x8,x8,x8,x8]の帯域で動作
  • 外部センサーと搭載で水温ソースのファンコンも可能なので水冷PCにも最適
  • 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット「SAFE SLOT」
  • 18コアCore i9 7980XE 4.4GHz、メモリクロック4000MHz OCで安定動作
  • 高速NVMe接続のM.2スロットが2基設置されている
  • 高速NVMe接続のU.2端子が2基設置されている
  • スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
  • NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用のSLI HBブリッジが付属する
悪いところor注意点
  • Core i9 7900XやCore i9 7920XをOC時はスポットクーラーの併用を推奨
    Core i9上位モデルでメモリやキャッシュもOCする場合はVRM電源の水冷を推奨
  • マザーボードサイズはATXより幅が20mm程長いCEBなのでPCケースとの干渉に注意
  • 内部USB2.0ヘッダーがない
  • 多機能マザーボードなので起動時間は少々遅め
  • ASUS HYPER M.2 X16 CARDなど帯域分割系の拡張ボードは使用できない(BIOS:0402)

「ASUS WS X299 SAGE」は何といっても全7段にフル搭載されたx16サイズのPCI-Eスロットが魅力なワークステーション向けX299マザーボードです。CPU直結のPCI-Eレーン数はSkylake-Xの上位モデルであっても最大44レーンですが、PLXスイッチチップを介することで、4段を使用した[x16,x16,x16,x16]もしく7段を使用した[x16,x8,x8,x8,x8,x8,x8]の帯域での動作を実現しており、PCI-E拡張性では文句なしに最強のX299マザーボードです。
ASUS X99-E WSと比較してPCI-Eスロットにメタルアーマーが実装され、M.2スロット2基とU.2端子2基が排他利用なしで搭載され、Skylake-X&X299でメモリOC耐性が3000MHz程度から4000MHzまで上がったりと、前世代のASUS X99-E WSからの乗り換えを想定すればASUS WS X299 SAGEは基本的に文句のない構成です。ただ管理人的に唯一のマイナスポイントはUSB2.0内部ヘッダーがないところです。USB3.1内部ヘッダーはいらないので、せめてUSB2.0内部ヘッダーを1つ、欲を言えば2つ実装して欲しかったところ。

「ASUS WS X299 SAGE」を使用した検証機では18コア36スレッドのIntel Core i9 7980XEを全コア4.4GHzに、メモリ周波数も4000MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性については上述の通りCore i9 7980XEで全コア4.4GHzへのオーバークロック、メモリ周波数4000MHzを達成しているのでOC耐性については及第点は十分にクリアしていると思います。
ただしCore i9上位モデルのOCにおいてコアクロックだけでなくキャッシュやメモリも大幅にOCする場合、EPS電源経由のCPU消費電力が500Wを大幅に超える可能性が高く、スポットクーラーによるアクティブ冷却を追加したとしても空冷冷却ではVRM電源が90度を超えてしまいます。ここまでくるともう水冷が必須です。
しかしながら「ASUS WS X299 SAGE」についてはEKWBやBitspowerなど主要な水冷パーツメーカーからは対応水冷ブロックがリリースされていないのでCore i9上位モデルのOCはハードルが高そうです。BitspowerはASUS X99-E WS用のモノブロックをリリースしていたので今後、「ASUS WS X299 SAGE」用のモノブロックに期待できるかもしれませんが。

Skylake-X登場から半年以上たってやっと管理人的な大本命のX299マザーボードが手に入ったので、メイン機をCore i7 6950X&ASUS X99-E WS環境から、Core i9&ASUS WS X299 SAGE環境にアップグレードしました・CPUについては7920Xか7980XEで悩んだのですが、冷やしやすさとコアクロックを優先して7920Xを選択しましたが、CPUとメモリを大幅にOCしてから5日ほど経過を見ても安定しています。

以上、「ASUS WS X299 SAGE」のレビューでした。
ASUS WS X299 SAGE



ASUS WS X299 SAGE CEB(E-ATX)マザーボード
ASUS
Amazon.co.jpで詳細情報を見る  <米尼
TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ
PCワンズ><パソコン工房>



X299シリーズのマザーボード販売ページ   
 <Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク> 
 <PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房> 


検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill Trident Z RGB DDR4メモリ
G.Skill Trident Z Black DDR4メモリ
G.Skill
PCショップアーク で詳細情報を見る
ドスパラ><PCワンズ:RGB / Black><Amazon





関連記事

Intel Core-X対応X299マザーボードのレビュー記事一覧
Intel Core-X対応X299マザーボードのレビュー記事一覧

【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
Delid Master

18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー
18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク