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NVIDIAのゲーマー向け次世代GPU”GeForce RTX 20XXシリーズ”の最上位モデルGeForce RTX 2080 TiとGeForce RTX 2080でNVLink BridgeによってマルチGPU機能SLIを使用した時の性能を測るべく、最新高画質PCゲーム13種を使用してベンチマーク測定を行い、前世代のGeForce GTX 1080 TiのSLIと性能を比較してみました。
NVIDIA NVLink Bridgeについて
NVIDIAのゲーミングGPUであるGeForce GTXシリーズではマルチGPU機能「NVIDIA SLI」の有効化においてグラフィックボードに実装されたSLI端子を専用のSLI Bridgeで接続する方式が採用されていましたが、18年最新の次世代GPU”RTX 20XXシリーズ”からは、GTX 10XXシリーズで採用されたSLI端子2重接続のSLI HB Bridgeを帯域で大幅に上回る「NVLink」がインターフェースとして新たに採用されました。なおNVIDIAのワークステーション・プロフェッショナル向けGPUであるQuadroやTesraに採用されているNVLinkを使用したマルチGPUと異なり、RTX 20XXシリーズのNVLinkは単純に広帯域な接続インターフェースとして使用されているだけでマルチGPUの機能的には従来のSLIを踏襲しています。そのためVRAMは2倍に増えませんし、2つのGPUは単一GPUとして動作することもありません。
RTX 20XXシリーズから採用となったNVLink端子とGTX 10XXシリーズまで採用されていたSLI端子は物理的な構造が全く異なっており、RTX 20XXシリーズでマルチGPUを構築するには専用のNVLink Bridgeを新たに用意する必要があります。
RTX 20XXシリーズでマルチGPUを構築するためのNVLink BridgeについてNVIDIA純正品は国内では発売未定ですが、北米NVIDIA公式通販では3スロットと4スロットの2種類が79ドルですでに発売されています。これまでSLIブリッジが39ドルで購入できたのでNVLink Bridgeの価格は2倍になっており、RTX 20XXシリーズでマルチGPU機能を使用するためのライセンス料と考えると若干ひっかかります。
NVIDIA公式のNVLink Bridgeについては日本国内で正規に入手することは難しいですが、すでにASUSとGIGABYTEとMSIから各社オリジナルのNVLink Bridgeが国内で発売されています。EVGAのNVLink Bridgeも北米Amazonから国内直送で購入が可能です。
・「ASUS ROG NVLINK BRIDGE」をレビュー
・「GIGABYTE AORUS NVLINK BRIDGE」をレビュー
・「MSI NVLink GPU Bridge」をレビュー
NVIDIA公式のNVLink Bridgeについて製品パッケージやブリッジ本体は次のようになっています。SLI HBブリッジでは金属シールド付き端子だったのが、NVLink Bridgeでは普通のプラスチック端子になったとことは価格の上昇も踏まえて残念でした。
NVLink SLIの検証機材について
RTX 2080 TiやRTX 2080のNVLink SLI検証を行うテストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i7 7700K (レビュー) |
CPUクーラー |
Intel TS15A (レビュー) |
Noctua NH-U12S Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
G.Skill Trident Z F4-3600C15D-16GTZ DDR4 8GB*2=16B (レビュー) |
ストレージ |
【システム】 Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) 【ゲームデータ】 SanDisk SSD Ultra 3D SATA SSD SDSSDH3-2T00-J25 (レビュー) |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
RTX 2080 TiとRTX 2080のNVLink SLIの性能について
GeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードについて、3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。FireStrike | Extreme | Ultra | |
RTX 2080 Ti SLI |
54348 | 30532 | 15349 |
RTX 2080 Ti |
34731 | 16656 | 8219 |
RTX 2080 SLI |
47275 | 24468 | 12295 |
RTX 2080 |
27101 | 13007 | 6309 |
GTX 1080 Ti SLI |
50916 | 26572 |
13255 |
GTX 1080 Ti |
28250 | 13692 | 6740 |
GeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードについて、3DMarkのDirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Async Off |
Extreme | |
RTX 2080 Ti SLI |
24887 | 23820 | 12476 |
RTX 2080 Ti |
13997 | 12980 | 6574 |
RTX 2080 SLI |
20963 | 19520 | 9813 |
RTX 2080 | 10883 | 10152 | 4975 |
GTX 1080 Ti SLI | 18930 |
17652 | 8873 |
GTX 1080 Ti |
9527 |
8875 | 4432 |
実ゲームを用いたベンチマーク測定は4K(3840*2160)解像度で行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったゲームタイトルは、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)、Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(超高設定プリセット)、The Witcher3(最高設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット)以上の12タイトル、およびカスタムSLIプロファイルを適用したFinal Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効)です。
Battlefield 1(最高設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Far Cry 5(最高設定プリセット&TAA)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(超高設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
The Witcher3(最高設定)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
また参考までにカスタムSLIプロファイルを使用してFinal Fantasy XVについても測定を行いました。Final Fantasy XVのカスタムSLIプロファイルについてはユーザーが作成したものがSteamフォーラムなどでいくつか公開されていますが、管理人はこのSLIプロファイルを推奨しています。Hairworksが正常に動作しないのと、プロンプトの写真が崩れますが動作は比較的安定しています。
SLIプロファイル:https://jisakuhibi.jp/Final-Fantasy-XV-include-TAA-SLI-Profile.nip
カスタムSLIプロファイルの使い方については、NVIDIA Profile Inspector(DLページ)を使用してSLIプロファイルのインポートを行い、最後にApplyを選択します。
Final Fantasy XV(最高設定プリセット、NVIDIA GameWorks無効、カスタムSLIプロファイル)に関するGeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIを含めた各グラフィックボードのベンチマーク結果です。
GeForce RTX 2080 Ti、GeForce RTX 2080、GeForce GTX 1080 TiのシングルGPUとマルチGPU SLIの計6種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、GeForce RTX 2080 Ti NVLink SLIは前世代最上位GTX 1080 Tiを2倍以上も上回る圧倒的なパフォーマンスを実現していました。
GeForce RTX 2080 Ti NVLink SLIであればASUS ROG SWIFT PG27UQやAcer Predator X27など4K/120Hz/G-Sync HDRに対応する18年現在至高のゲーミングモニタの実力を遺憾なく発揮できます。
RTX 2080 TiとRTX 2080とGTX 1080 TiについてマルチGPU SLIのシングルGPUに対する性能スケーリングを算出してみました。シングルGPUの性能がほぼ同じなRTX 2080とGTX 1080 TiのマルチGPU性能スケーリングは164%と175%でした。GTX 1080 TiはシングルはFounders Edition、マルチGPUは簡易水冷&オリファンなのでスケーリングが若干高くなることを考慮しても、RTX20シリーズのマルチGPUスケーリングは若干悪い気がします。RTX 2080 Tiはさらに1割程度スケーリングが低くなっていますが、これについてはCPUボトルネックで一部ゲームにおいてFPSが頭打ちになっているのも影響していると思います。
GeForce RTX 2080 TiのNVLink SLIやGeForce RTX 2080のNVLink SLIの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。右下スクリーンショットのように、この状態でCPUに負荷をかけても測定値が変動しないのでCPUによる消費電力の変動は基本的に含まれないと考えて大丈夫です。
測定負荷にFireStrike Extreme ストレステスト(マルチGPUではFireStrike Ultra ストレステスト)を使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としたところ、測定結果は次のようになりました。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷はマルチGPUの場合、測定値より100~200W上回る場合があるので電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
RTX 2080 Ti NVLink SLIの消費電力は560W、最大瞬間負荷は689W、RTX 2080 NVLink SLIの消費電力498W、最大瞬間負荷は573Wとなっており、いずれもシングルGPU時のほぼ2倍の消費電力&最大瞬間負荷なので妥当な数値です。瞬間最大負荷については実際には測定値からマルチGPUの場合、+100~200Wは増加する可能性があり、ここにCPUやストレージなどの消費電力も加わるので、RTX 2080 TiでNVLink SLIを構築するのであれば1000Wクラスの電源ユニットは用意したほうがいいと思います。
以上、『RTX 2080 TiとRTX 2080のNVLink SLI性能をベンチマーク比較』でした。
・RTX 2080 Ti 販売ページ:
<Amazon><PCショップアーク><パソコン工房>
<TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ><ソフマップ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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1.RTX用とQuadro、Tesla用のNVlink Bridgeで性能差があるかどうか、そもそも動作可能か
2.OC耐性の高いGPUと低いGPUを意図的に組み合わせてNVIDIA Scannerを行った際のNVLinkの有無での挙動
3.ここまで行くとTitan Xpでも重すぎたVRMark Blue Roomがどこまでいくか
について検証お願いします。
余談ですが2080Ti NVLinkでもボトルネックにならないくらい
未だに第一線で活躍できる7700Kの優秀さも目立ちます