【Switch2増設】 Samsung microSD P9 Express 512GBをレビュー。任天堂ライセンス商品と性能を比較

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Nintendo Switch 2の拡張ストレージとしても話題のmicroSD Express メモリーカード「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」をレビューします。

Switch 2の増設ストレージとして使用した時のゲームロード性能比較に加えて、スマホやアクションカメラ用メモリーカードとして使用した時に、写真・動画の大容量データをPCへ転送するコピー速度はどう変わるのか徹底検証していきます。

【機材協力:Samsung 国内正規代理店 ITGマーケティング】

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目次
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製品スペックや保証条件

「Samsung microSD Card P9 Express」の製品スペック概要について簡単にまとめました。

代理店公式ページ:
https://www.itgm.co.jp/product/microsd-p9-express.php

製品データシート/表

「Samsung microSD Card P9 Express」のデータシート/スペック一覧は次の通りです。

スクロールできます
Samsung microSD Card P9 Express スペック一覧
容量256 GB
型番:MB-MK256TーIT
*国内取り扱いなし
512 GB
型番:MB-MK512TーIT
インターフェースmicroSD
SD Express (NVMe PCIE3.0x1) / UHS-I
メモリーTLC型 3D NAND
連続読出800 MB/s
連続書込– MB/s
性能クラスSDスピードクラス: Class 10
UHSスピードクラス: U3
ビデオスピードクラス: V30
アプリケーション パフォーマンスクラス: –
SD Expressスピードクラス: 未取得
書込耐性*1– TB– TB
保証期間*2メーカー 3年
動作温度範囲0℃~45℃
物理耐久性能防水性
耐X線性
耐磁性
耐落下性
耐摩耗性(挿抜)

*1 保証TBW:Total Byte Written

*2 限定保証:ドラレコ、監視カメラ等の常時書き込み使用は対象外

*非公表かつ不明なスペックは”-(ハイフン)”を記載しています。

外観・付属品

まずは「Samsung microSD Card P9 Express」の外観や付属品について紹介していきます。

「Samsung microSD Card P9 Express」は薄い紙製パッケージで梱包されていて、上端をハサミで切って開封します。

正しい開封手順としては上端の破線(裏面に記載)に沿ってハサミで切ってください。

手で破るなど無理やりパッケージを開封して、中身のmicroSDカード本体にクラックが入り、故障してしまうケースも報告されているようです。microSDカードは決して頑丈ではないので、正しい手順で丁寧に開封してください。

続いて「Samsung microSD Card P9 Express」のメモリーカード本体をチェックしていきます。

シンプルにmicroSD Expressメモリーカードそのもので、表面にはメーカー・ブランドロゴ、容量、ビデオクラスやアプリケーションクラス等の認証ロゴが描かれています。

接続インターフェース

「Samsung microSD Card P9 Express」はSD Express (NVMe PCIE3.0x1)に対応したメモリーカードです。

microSDサイズかつ、通信方式としてSD Express (NVMe PCIE3.0x1)に対応しているので、Nintendo Switch 2の増設ストレージとして使用できます。

SD Expressは、従来のSD規格(UHS-I)やSD/microSDとの物理的な互換性を維持しつつ、800MB/s以上の高速アクセスを実現した次世代規格です。

同様にNVMe/PCIEを利用した高速メモリカードには高画質ミラーレス一眼カメラでCFexpressが普及しつつありますが、CFexpressはSD/microSDとは物理的にサイズが異なり、互換性がありません。

SD Expressメモリーカードは速度がUHS-I相当に制限されますが、一般的なUHS-I対応メモリーカードリーダーがあればPCでの読み書きは問題なく可能です。

UHS-I対応、SD/microSDデュアルスロット
USB Type-A版とType-C版がラインナップ
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物理的な耐久性

「Samsung microSD Card P9 Express」は防水性、耐衝撃性、耐挿抜、耐磁性、耐X線性など6種類の耐久性テストをクリアしています。

Nintendo Switch 2はポータブルゲーム機で外出先に持ち出すことも多いので、メモリカードの物理的な耐久性が高いのはシンプルに魅力です。

物理的な耐久性能
防水性(防湿性)深さ1メートル、25℃の塩水(3%)で72時間
防塵性非対応
耐衝撃性最大1メートルの高さから10回の落下耐性
曲げ耐性非対応
耐挿抜(摩耗性)10,000回の挿抜試験をクリア
耐温度動作時 0℃~45℃
非動作時 -40℃~85℃
耐X線最大100mGy
(空港のX線検査装置に相当)
耐磁性最大15,000ガウスで30秒間
(高磁場MRIに相当)
耐紫外線非対応
耐静電非対応

今のところ、microSD Expressメモリーカードに対応するカメラやスマートフォンはありませんが、SD Expressメモリーカードは従来のSD速度規格であるUHS-Iとして動作する後方互換性があります。

カメラ側には既存規格準拠の性能になりますが、対応カードリーダーと組み合わせればPCへの転送速度は高速化できるので、カメラやスマートフォンに使うのも全くの無駄というわけでもありません。

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メモリーカードの検証機材

「Samsung microSD Card P9 Express」の各種検証を行うテスト環境を紹介します。

テストベンチ機の詳細

PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。

スクロールできます
SSDテストベンチ機の構成
CPUAMD Ryzen 9 7950Xレビュー
CPUクーラーFractal Design Celsius S36 レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM レビュー
システムメモリG.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB
レビュー
マザーボードGIGABYTE X670E AORUS MASTERレビュー
ビデオカードPNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8
Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN
レビュー
システムストレージSamsung SSD 990 PRO 1TBレビュー
OSWindows 11 Pro 64bit 22H2
電源ユニットCorsair HX1500i 2022レビュー
ベンチ板STREACOM BC1レビュー

G.Skill Trident Z5 Neo RGB 【PR】

システムメモリの検証機材には、Ryzen 9000シリーズでも引き続きOCメモリのスイートスポットとアピールされている、メモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。

G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 9000/7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。
ARGB LEDイルミネーションを搭載したTrident Z5 Neo RGB、ラグジュアリーな外観のTrident Z5 Royal Neoといったバリエーションモデルもラインナップされています。

検証ストレージの設定

メモリーカードリーダー

SD Expressメモリーカードの検証にはメモリーカードリーダーとして「SanDisk PRO-READER SD Express Dual Card」を使用しています。

「SanDisk PRO-READER SD Express Dual Card」はSD Expressメモリーカード(NVMe PCIE3.0x1)の理想的な性能を発揮できるメモリーカードリーダーなので、一般的なUHS-I環境よりも8倍速くPCへデータ転送が可能です。

Switch 2のスクリーンショット・動画や、スマホ・アクションカメラの動画データを大量に作成してPCへ転送したい人にオススメのカードリーダーです。詳細レビューも公開しているので、SD Express対応カードリーダーを探している人は参考にしてみてください。

検証ストレージの接続場所と接続帯域

検証機材に使用しているマザーボード GIGABYTE X670E AORUS MASTERのリアI/OにはUSB 20Gbpsに対応したUSBポートがあります。

USBモバイルストレージ側の最大帯域がUSB 20Gbps以下、USB 10Gbps(旧 USB3.2 Gen2)やUSB 5Gbps(旧 USB3.0)など下方互換で対応できる製品は基本的にこのUSBポートに接続して検証しています。

検証ストレージのフォーマットについて

Windows OS機能でモバイルストレージをexFATにフォーマットする際、アロケーションユニットサイズを指定できます。

当サイトのレビューでモバイルストレージを検証する場合、特に補足がなければ、exFAT形式、アロケーションユニットサイズは512KBに統一し、検証前に再フォーマットしています。

Windows11によるフォーマットの既定アロケーションユニットサイズはストレージ容量によって変わるのですが速度重視で2TB容量の既定サイズで統一しています。

アロケーションユニットサイズとは

アロケーションユニットサイズとはデータ記録の最小単位です。

さらに詳しく

例えば1KBサイズのテキストファイルを4つ保存する場合、アロケーションユニットサイズが4KBだと、実際には16KBの容量を使用します。アロケーションユニットサイズが512KBなら2MBです。

アロケーションユニットサイズが小さい方が物理容量を最大限使用できます。

一方、モバイルストレージで一般的なexFAT形式の場合、4KBなど小さくすると、特にランダム性の高い書き込みアクセスにおいて大幅な速度低下が発生する傾向があります。逆に速くなるケースもあるものの、頻度も程度も小さい

Windows OSの内蔵ストレージの場合、単純なシングルボリュームならNTFS形式かつアロケーションユニットサイズ 4KBで問題ありません。RAID0ボリュームを構築する場合は、アロケーションユニットサイズ128KB~1MBに大きくした方がCDMの連続スコアが伸びやすかったりします。

基本仕様

「Samsung microSD Card P9 Express」のWindowsボリューム容量、アウトボックス時のフォーマット状態など基本仕様について紹介します。

Windowsボリュームの容量

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」のexFATボリュームをWindows 11上で作成したところ、空き容量は477GBでした。

S.M.A.R.T.対応について

microSD ExpressカードはPCIEバスインターフェースとNVMe通信プロトコル採用から分かる通り、実質的にmicroSDカードの形をしたPC内蔵NVMe M.2 SSDです。

「Samsung microSD Card P9 Express」はM.2変換ボードを使用するとCrystalDiskInfoから普通にS.M.A.R.Tの健康状態を確認できます。

SD Expressカードリーダーを使用した時にS.M.A.R.Tの健康状態を確認できるかどうかは組み合わせて使用するカードリーダーの仕様やCrystalDiskInfoのソフトウェア対応次第です。

HMB対応について

『microSDカードの形をしたPC内蔵NVMe M.2 SSD』と書いた通り、microSD Expressカードも薄いカードの中にメモリコントローラーと記憶領域のメモリチップが内蔵されていますが、基本的にDRAMキャッシュは非搭載です。

Switch 2で使用した時にどうなるかは分かりませんが、M.2変換ボードを介してPC上で使用した場合、HMB(Host Memory Buffer)に対応していました。

「Samsung microSD Card P9 Express」でメモリーカードが指定する最適バッファサイズは256MB、実際に確保されるHMBバッファサイズも64MBでした。

アウトボックス時のフォーマット状態と添付ファイル

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は最初からexFATにフォーマット済みです。初期状態でアロケーションユニットサイズは256KBでした。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」はアウトボックス状態でフォーマット済みですが、ボリュームの中身は空なので、ゲーム機、スマホ、カメラ等にいきなり挿入してフォーマットし直しても特に問題ありません。

専用ソフトウェア

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は、Samsung製SSDでも使用するクライアントソフト Samsung Magicianに対応しています。

SD Express対応カードリーダー SanDisk PRO-READER SD Express Dual Cardを使用するとSamsung Magicianで正常に検出されません。一般的なUHS-I対応カードリーダーを使用してください。
*現行バージョン(8.3.2)では一部のみ対応しており、次のバージョンからフル対応予定とのこと。

Samsung Magicianでできることは、真贋判定機能、簡易的な健康状態チェック、ファームウェアアップデートです。ドライブの健康状態が表示されますが、S.M.A.R.T.の情報は確認できません。

真贋判定機能に対応

背面写真を見ての通り、「Samsung microSD Card P9 Express」の背面には”✓”マークが刻印されています。

任天堂ライセンス商品ではない普通の同社製メモリーカード製品と同じく、Samsung正規品かどうかを判別できる純正ツール「Samsung Card-UFD Authentication Utility」に対応しています。

現在はSamsung MagicianにCard-UFD Authentication Utilityが統合されています。

メモリカードリーダーを介してPCに「Samsung microSD Card P9 Express」を接続し、同ソフトウェアを使用することで、入手したSamsung製メモリーカードが本物かどうか、簡単に真贋判定が可能です。

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ベンチマークソフトで検証

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」の基本的な性能をベンチマークソフトで検証しました。

ストレージベンチマークを代表する1つ、CrystalDiskMarkで「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」の性能を検証しました。

CrystalDiskMarkのバージョンは8.0.4、設定はデータサイズ 1GiB、プロファイル defaultです。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は、SD Expressに対応したメモリーカードリーダーを組み合わせることで、CrystalDiskMarkベンチマークスコアは連続読み出し 840MB/s、連続書き込み 400MB/sを発揮できます。

環境依存で若干差は出ますが、SD Express(NVMe PCIE3.0x1)の接続帯域として理想的な性能を発揮するメモリーカードです。カードリーダーとの相性、Intel/AMD環境の違いや接続するUSBポートでベンチマーク結果は多少変わります

連続読み出し 800MB/s以上というSD Express対応製品として理想的な性能を発揮します。

任天堂ライセンス商品のSamsung microSD Express Card 256GB for Nintendo Switch 2はCrystalDiskMarkベンチマークスコアが連続読み出し 790MB/s、連続書き込み 250MB/s程度です。

任天堂ライセンス商品よりも低発熱に

Samsung製microSD Expressカードは市販モデルのP9 Expressも任天堂ライセンス商品もダイナミックサーマルガード(DTG)という、温度によって動的に読み書き速度を変化させる温度制御機能(サーマルスロットリング)が採用されています。

パッシブ冷却なSanDisk製SD Express対応メモリーカードリーダーでCDMの測定を行うと、温度制御が細かいので、任天堂ライセンス商品は連続読み出しが安定せず、720MB/s程度に下がってしまいました。

温度によって細かく読み書き速度が制御されるところは同じですが、任天堂ライセンス商品よりも消費電力(発熱)が小さいからか、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は800MB/s以上の連続読み出し速度を安定して発揮できました。消費電力はSD Express対応メモリーカードリーダーではなく、M.2変換ボードで検証したデータです。

UHS-I後方互換で動作させた場合

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」をSD規格として一般的なUHS-I対応メモリーカードリーダーで動作させてベンチマーク測定を行いました。

SD Express対応メモリーカードに一般の仕様としてUHS-I規格に後方互換性があるので、速度は制限されますがmicroSD UHS-I対応ならスマホやアクションカメラでも使用できます。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」をUHS-I対応メモリーカードリーダーで使用した場合、連続読み出しと連続書き込みが90MB/s前後という一般的なUHS-I対応SDメモリーカード的な性能になりました。

なお一部のUHS-I対応microSDカードで120~200MB/sの読み書きが可能になるDDR200モードには非対応でした。

UHS-I対応、SD/microSDデュアルスロット
USB Type-A版とType-C版がラインナップ
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連続書き込み性能を検証

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」の連続書き込み性能を検証しました。

連続書き込み性能は最新スマホやアクションカメラで4K+の超高解像度な動画を長時間撮影する時に重要な性能です。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は260~290MB/s程度の連続書き込み性能を一貫して発揮できます。

GoPro HERO13 Blackの5.3K動画などスマホ・アクションカメラの動画撮影で必要なmicroSDカードの性能はビデオスピードクラス V30、つまり30MB/s程度なので、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は余裕でクリアしています。例えば、GoPro HERO13 Blackの5.3K動画のビットレートは20MB/s程度です。microSDカードに保存できるスマホ・カメラの場合、30MB/s以上が要求されることはありません。

30MB/sを超えるビットレートについては、Apple ProResのようにそもそもmicroSDへの保存がサポートされていないフォーマットになるので、気にする必要はありません

今後登場が予想されるイントラビデオ対応カメラの場合、SD Expressスピードクラス対応が要件になるかもしれません。「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」は認証こそ取得していませんが、E150の水準は余裕でクリア、E300にはギリギリで届くか届かないかという感じです。

連続書き込み性能についてさらに詳しく

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」はPC内蔵SSDのようにSLCキャッシュ機能が採用されているようです。

ただし、SLCキャッシュ容量はフォーマット直後ですら1GBだけしか確保されず、実際にデータを書き込んで使用済み領域がある状態では全く確保されません。(あってないようなSLCキャッシュなので実用的には大して影響はありませんが)

exFAT形式でSLCキャッシュが迷子になる挙動は一部のmicroSD Expressカードで確認していて、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」においてもファームウェア最適化の問題だと思います。

SLCキャッシュを超過する書き込みが発生すると書き込み速度が260~290MB/s程度に低下します。

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データコピー性能を検証

カメラ、スマホ用のメモリーカード性能評価で重要項目となるデータコピーにおける読み出し・書き込み性能を実際の写真・動画データを使用して検証しました。

検証にはフルサイズミラーレス一眼カメラの写真・動画データを想定して、10GBの動画ファイルが5つ入った約50GBの動画フォルダ、10MB~20MBの画像ファイル 2,000枚弱が入った約30GBの写真フォルダの2種類を使用しています。

コピー検証の具体的な手順

コピー検証の具体的な手順を説明します。

  • 検証ストレージをフォーマットして十分に放置
  • 最初に検証ストレージへのコピー書き込みを行う
  • 各テストデータの書き込み後、毎回、10分間のインターバルを置く
  • 全てのテストデータを書き込んだら、コピー相手のSSDをフォーマット
  • 同様に10分間のインターバルを置いてから、コピー読み出しを行う

空き容量依存のSLCキャッシュ容量やSLCキャッシュ開放速度といったSLCキャッシュ構造は製品によって異なります。

実用シーンでは容量の使用状況によって書き込み性能は今回の検証結果と変わる可能性があります。

コピー相手のSSDについて

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。

検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。

コピー相手のSSDは独立したCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、PCIE接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。

コピー相手SSDのCrucial T700 2TBは十分にSLCキャッシュ容量が大きく、開放も速いので読み出し、モバイルストレージ相手のコピー検証において、読み書き共にボトルネックになることはありません。

動画フォルダのコピー(10GB×5)

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」で50GBの動画フォルダのコピー速度を検証しました。

動画ファイルは1つ1つのファイルがGB単位の大容量なので実際のコピーではCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。

動画フォルダのコピー読み出しにおいて、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」によるコピー時間は74秒ほど、読み出し速度は705MB/s程度です。

実際のファイルコピーでもUHS-I環境と比較して8倍程度も高速になっており、SD Expressとして理想的な性能です。

動画フォルダの書き込み性能について

メモリーカードにおいてPC上の書き込み検証は実用的な重要性は低く、参考程度のデータです。

動画フォルダのコピー書き込みにおいて、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」によるコピー時間は189秒ほど、書き込み速度は276MB/s程度です。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」はSLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下するので、読み出しに比べて伸びが小さいですが、一般的なUHS-I規格のSDメモリーカード環境より3倍以上も高速です。

写真フォルダのコピー(30GB, Files:2K)

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」で30GBの写真フォルダのコピー速度を検証しました。

画像ファイル1つ1つは先の動画ファイル1つに比べると大幅に小さいですが、高解像度なミラーレス1眼カメラで撮影したJPEG撮って出し画像の場合、1枚が10~20MB程度なのでやはりCrystalDiskMarkベンチマークでいうと連続読み出し・連続書き込み性能が重要になります。

写真フォルダのコピー読み出しにおいて、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」によるコピー時間は46秒ほど、読み出し速度は663MB/s程度です。

ファイル数が多いもののほぼシーケンシャル読み出し的なアクセスなので、先の動画フォルダのコピー読み出し同様にUHS-I環境に対して8倍近く高速で、SD Expressとして理想的な性能です。

写真フォルダの書き込み性能について

メモリーカードにおいてPC上の書き込み検証は実用的な重要性は低く、参考程度のデータです。

写真フォルダのコピー書き込みにおいて、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」によるコピー時間は121秒ほど、書き込み速度は255MB/s程度です。

動画フォルダのコピー書き込みで説明したように、メモリーカード側の製品仕様が理由でCDMスコアに比べて伸び悩んでしますが、一般的なUHS-I規格のSDメモリーカード環境より3倍以上も高速です。

メモリーカードリーダーとの相性問題

検証機材の章でも紹介した通り、ファイルコピー性能の検証にはSD Express対応メモリーカードリーダーとしてSanDisk PRO-READER SD Express Dual Cardを使用しています。

任天堂ライセンス商品同様に、市販モデルの「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」もメモリーカードリーダーとの相性が悪いのか、サーマルスロットリングの解除フラグが誤作動して読み出し性能が大幅に低下する現象を確認しています。

あくまでファイルコピー(読み出し)の性能差です。Switch 2で使用する場合は影響ありません。

メモリーカードリーダーとの相性問題でサーマルスロットリングの解除フラグに誤作動が生じているらしく、PC上でもM.2変換ボードでNVMeストレージとして直接扱う分には素直に動作しているため、同様にSD ExpressカードをNVMeストレージとして直接扱うSwitch 2で使用する時も問題はないはずです。

詳細は別記事にまとめています。

Switch 2で検証

「Samsung microSD Card P9 Express」をSwitch 2の増設ストレージとして使用した時の性能を比較検証します。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」をSwitch 2の増設ストレージに使用すると477GBを新たにストレージとして使用できました。

実際のゲームロード時間を比較

Switch 2ネイティブ対応タイトルや初代Switch後方互換タイトルのゲームロード時間を本体内蔵メモリーと比較します。

ゲームロード時間の比較には、

  • ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム 【Switch 2】
  • マリオカート ワールド 【Switch 2】
  • DAEMON X MACHINA TITANIC SCION 【Switch 2】
  • ゼノブレイド2 【Switch 1】
  • 大乱闘スマッシュブラザーズDX 【Switch 1】

以上の5タイトルを使用しています。

Switch 2 ゲームロード時間の比較方法詳細

Switch 2 ネイティブ対応ゲーム

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダムについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』、『マップのファストトラベル後にプレイ可能になるまで』の時間を測定しています。

マリオカート ワールドについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、スタートメニューが表示されるまで』、『グランプリ このはカップを開始してオープニングムービーが表示されるまで』、『スタートメニューのフリーランマップからキノピオファクトリー選択して操作可能になるまで』の時間を測定しています。

なお『スタートメニューが表示されるまで』についてはランダムで決まる背景デモのマップによってロード時間が1~2秒変わって誤差が大きいので参考程度です。

DAEMON X MACHINA TITANIC SCIONについては、『ロードから特定のセーブデータを選択し、プレイ可能になるまで』の時間を測定しています。

初代Switch 後方互換対応ゲーム

ゼノブレイド2については、『Switch 2のホーム画面から起動し、ニューゲームやコンティニューなどを選択するスタートメニューが表示されるまで』、『コンティニューを選択してからプレイ可能になるまで』、『マップのファストトラベル後にプレイ可能になるまで』の時間を測定しています。

大乱闘スマッシュブラザーズDXについては、『Switch 2のホーム画面から起動し、スタートメニューが表示されるまで』の時間を測定しています。

インストール速度の比較

加えてSD Expressメモリカードにバックアップしたゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(約20GB)を本体メモリーにコピーする速度も検証しました。

比較対象はオンラインダウンロードです。1Gbpsの光回線にはユーザーの多いフレッツ光&OCNプロバイダ(IPoE対応)を使用しています。

Swtich 2でフォーマット

SD ExpressメモリーカードはexFAT形式であれば、Windows PCでフォーマットしてもNintendo Switch 2で使用できますが、今回の検証ではNintendo Switch 2の機能でフォーマットし直しています。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」をSwitch 2の増設ストレージとして使用した時のゲームロードやコピーインストールの性能を本体内蔵メモリーと比較すると次のようになっています。

「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」はSwitch 2の増設ストレージとして問題なく動作します。

ゼルダの伝説 ティアキン Switch 2エディションのように1秒未満しか差がないゲームであれば、SD Expressカードから起動しても体感的に遅くなったと感じることはありませんし、測定誤差で逆転することもあります。

マリオカート ワールドでは1秒前後遅れて、複数回のロード検証でも誤差で逆転しない程度に差が出ましたが、体感的にはあまり影響はないよう思います。(フリーランのファストトラベルは5秒前後で1秒くらい変わるので気付くかも)

一方で、DAEMON X MACHINA TITANIC SCIONのように3~4秒程度と、体感でも”なんかちょっと遅い”と気付く程度にロードが遅くなることもあるようなので、よく遊ぶゲームは本体保存メモリーに保存するのがオススメです。

Switch 2で一番速いのは本体保存メモリー

Nintendo Switch 2は記憶領域として、256GB容量の本体保存メモリー、最大2TBのSD Expressメモリーカードを使用できますが、ゲームソフト物理メディアのゲームカードを含めて、読み出し速度が一番速いのは本体保存メモリーです。

よく遊ぶゲームは本体保存メモリーに、スクショ・動画やゲームバックアップは最大2TBのSD Expressカードに、と使い分けるのがSwitch 2の賢い使い方です。

Switch 2の記憶領域について、さらに詳しく

Nintendo Switch 2の本体メモリーはUFS3.1というストレージ規格が使用されています。比較的新しい高性能スマートフォンのストレージにも採用されている規格です。

UFS3.1は理論値最大が2900MB/sですが、スマホ等の実際に製品化されたものを見ると実効値で連続読み出しが1200~2000MB/s程度です。

Switch 2もおそらくそれくらいの速度なので、初代Switchの本体保存メモリー(eMMC HS400モードで400MB/s程度)に対して、3~5倍も高速になっています。

本体メモリーの方がSD Expressカードよりも1.5倍以上高速です。

一方で拡張スロットについて、Nintendo Switch 2のSD ExpressカードスロットはNVMe PCIE3.0x1帯域に対応していて、実効値で連続読み出しが800MB/s程度です。初代SwitchのSD UHS-Iはせいぜい100MB/sなので8倍以上も高速です。

Nintendo Switch 2のストレージ仕様

Switch 2

Switch (OLED/Lite)
種類本体拡張本体拡張
規格UFS3.1micro SD ExpresseMMC HS400micro SD
UHS-I
容量256GB最大 2TB64GB / 32GB最大 1TB
速度1200MB/s以上800MB/s400MB/s100MB/s

SD Expressカードはキャプチャーボタンで撮影したスクリーンショットや動画を直接保存する場所として指定できます。

一番高速なSwitch 2の本体保存メモリーは、よく遊ぶゲームの保存先に使用したいので、画像・動画データやゲームバックアップで容量を圧迫されなくなるのは、SD Expressカードで保存領域を拡張するメリットです。

SD Expressの発熱って大丈夫?

従来よりも8倍も高速化しているmicroSD Expressカードの発熱について気になる人も多いと思います。

Switch 2で使用する時にmicroSD Expressカードが発熱によって動作不安定なる心配はないと考えてOKです。

そう考えていい理由は次の2つです。

SD Expressカードの冷却も考慮されたハードウェア設計

Nintendo Switch 2はmicroSDスロット配置やグラファイトシートなど3つのハードウェア設計によって、microSD Expressカードを効率的に冷やせるように最適化されています。

  • SoCなど熱源から離れたmicroSDスロット配置
  • 吸気口の近くに配置して冷えやすく
  • グラファイトシートを利用した熱拡散ヒートシンク

熱源から遠く、冷やし易い位置にあり、外付けのヒートシンクもあるので、カメラやスマホ、SDカードリーダーでmicroSDカードを使用するよりもSwitch 2は発熱的には優しい環境です。

そもそもゲーム中のストレージ消費電力は大きくない

もう1点、そもそもの話、ゲーム中のストレージ消費電力(発熱)はそれほど大きくありません。

下の記事はPlayStation 5にM.2 SSDを増設してゲームプレイ中の消費電力をモニタリングした例ですが、どちらもPCIEバスインターフェースとNVMe通信プロトコルを採用しているので、microSD ExpressカードはM.2 SSDがmicroSDサイズになったと考えて問題なく、傾向はほぼ一致するはずです。

ゲーム中のストレージ消費電力は基本的にCrystalDiskMarkで言うところの4Kランダム(Q1T1)読み出しとアイドル状態の消費電力を行き来する感じになります。

スタートメニューからロードした直後やファストトラベル時など、連続読み出し的な大きな消費電力が発生するのはほんの一瞬、長くても数秒程度です。

なので検証負荷のうち3/4で連続アクセス的な大きな消費電力が発生し、それが数分以上も続くCrystalDiskMarkをストレージの温度検証に使用するのはゲームシーンを想定するなら完全に誤りです。

大手の法人メディアでもよくやる失敗なので鵜呑みにしないように注意してください。

ニンテンドー eショップのオンラインサーバーからダウンロードすると20GB容量のゲームで約18分かかりますが、SD Expressカードからコピーすれば4分弱と1/4以下の時間で完了します。

ダウンロードやコピーの速度について

10ギガ光回線でも検証してみましたが、ニンテンドー eショップのオンラインサーバーからゲームをダウンロードする速度は200Mbps(25MB/s)程度が上限に、1ユーザー当たりの帯域が制限されているようです。

またSD Expressカードから本体保存メモリーへのコピー速度は100MB/s程度、本体保存メモリーからSD Expressカードへのコピー速度は70MB/s程度が上限です。

本体保存メモリーだけでプレイする場合、容量が足りなくなって削除したゲームは毎回10GB容量当り10分以上かけてダウンロードし直す必要があります。家族が同じ回線で動画を見ていたり、夜間や休日でインターネット回線/サーバーが混雑していればもっと時間がかかるかもしれません。

SD Expressカードにバックアップしておけば10GB容量当り2,3分以内で確実に遊べます。本体保存メモリーの容量を空けるために同容量のゲームをバックアップする時間を加えても、所要時間は半分以下です。

こういうちょっとした待ち時間を削減でき、何を残して何を削除するか取捨選択する手間がなくなるところもSD ExpressメモリーカードでSwitch 2の容量を増設するメリットです。

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レビューまとめ

最後に「Samsung microSD Card P9 Express」を検証してみた結果のまとめです。

良いところ / 特長

  • 任天堂ライセンス商品よりも大容量な512GB
  • SD Expressで理想的な、連続読み出し 800MB/s以上
  • 連続書き込み性能は260~290MB/s程度
  • データコピーでUHS-IのSDカードより8倍も高速
  • UHS-I対応カードリーダーに後方互換性あり
  • 防水性など5種類の耐久性テストをクリア
  • メーカー正規保証期間は3年間

悪いところ / 注意点

  • SanDisk製SD Express対応メモリーカードリーダーと相性が悪い
    • サーマルスロットリング解除フラグが誤作動する可能性 【詳細
  • SLCキャッシュを超過すると書き込み速度が低下
    • SLCキャッシュ容量は1GBだけなのでないに等しい
  • SD Expressスピードクラスの認証なし
    • Switch 2には関係ないし、対応カメラもいまのところ未発売

価格 (レビュー記事公開時点)

  • 512GB容量で1.5万円程度
    • 512GBのmicroSD Expressカードでは最安値クラス

Nintendo Switch 2の増設ストレージとして問題なく動作します。

「Samsung microSD Card P9 Express」はNintendo Switch 2において、ゲームのインストールと起動、スクリーンショット・動画の保存を行う増設ストレージとして正常に動作しました。

Nintendo Switch 2の製品仕様的にゲームのロードが最も速いのは本体保存メモリーなので、よく遊ぶゲームはここに保存したいですが、使用できる容量は231GBしかなく、ゲームインストールデータだけでなく、スクリーンショット・動画、セーブデータ等も容量を食います。

SD Expressカードはゲームのインストール先だけでなく、キャプチャーボタンで撮影したスクリーンショットや動画を直接保存する場所としても指定できるので、最も高速な本体保存メモリーを圧迫しないことが最大の役割であり、導入するメリットです。

任天堂ライセンス商品よりも大きい512GBの大容量モデルがラインナップされる「Samsung microSD Card P9 Express」ならその役割を十分に果たせます。

従来規格 UHS-Iよりも8倍高速にコピーが可能

SD Expressメモリーカードリーダーを組み合わせれば、UHS-I規格のSDメモリーカード環境と比較して、「Samsung microSD Card P9 Express」は8倍も高速に動画や写真のデータをPCへ転送できます。

最新スマホやGoProなど高画質アクションカメラで4K+の超高解像度な動画を撮影した場合、1時間で動画ファイルのサイズは約50GBに達します。

撮影時の性能としてはUHS-I規格(V30対応)のSDカードでも十分ですが、撮影データを編集するためにいざPCへ転送となると、UHS-I規格なら1時間の動画データ転送に10分以上もかかるところ、SD Expressなら1分半程度で完了してしまいます。

最新スマホやGoProなど高画質アクションカメラで大量の動画、写真を撮影して、Vlogをしているクリエーターにとって、撮影機器側がSD Expressに対応していなくても、PCへ転送する段階で作業をよりスムーズにしてくれます。

費用対効果も検討する必要はありますが、時間効率が重要になるプロのクリエイターにとっては地味に強力なツールだと思います。

以上、「Samsung microSD Card P9 Express 512GB」のレビューでした。

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