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安価かつ高性能でハイコストパフォーマンスな空冷CPUクーラーメーカーとして特に国内で定評のあるサイズ(Scythe)からリリースされた、コンパクトで汎用性の高い240サイズラジエーターを採用する簡易水冷CPUクーラー「APSALUS G6」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。簡易水冷CPUクーラーでは性能の高さに定評のあるAsetek社の第6世代水冷ヘッドを採用した「APSALUS G6」の冷却性能を、Core i9 9900KやRyzen 7 2700Xなど最新のメインストリーム向けCPUを使用して徹底検証していきます。

製品公式ページ:https://www.scythe.co.jp/product/cpu-cooler/apsalus-g6/
マニュアル:https://www.scythe.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/manual_apsalus-g6.pdf
レビュー目次
1.APSALUS G6の梱包・付属品
2.APSALUS G6の水冷トップと水冷チューブ
3.APSALUS G6のラジエーターと冷却ファン
4.APSALUS G6をセットアップ
5.APSALUS G6のLEDイルミネーション
6.APSALUS G6のファンノイズと冷却性能
7.APSALUS G6のレビューまとめ
補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
APSALUS G6の梱包・付属品
まずはAPSALUS G6の外観や付属品をチェックしていきます。製品パッケージを見ると外装の中にCPUクーラーや付属品に合わせた形のパルプモールドが入っていました。240サイズなど大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのパッケージはかなり大きいものが多いですが、短辺方向に開く外装パッケージなので開封スペースも最小限です。APSALUS G6は中身のパルプモールドにぴっちりと内容品が収められており、必要最小限のパッケージサイズに押さえられています。


上の写真のパッケージ内左側にある小分けのビニール袋にマウントパーツなど付属品が入っていました。
マウントパーツを詳しく見ていくと、Intelプラットフォーム用のリテンションブラケットとIntel LGA115X用のバックプレート(および保護スポンジシール)、AMDプラットフォーム用のリテンションブラケット、各種プラットフォームのスタンドオフおよびハンドスクリューがあります。

水冷トップ固定用のネジ類については、ハンドスクリューの他にプラットフォーム別でスタンドオフが4種類付属します。左から順に、両端に同じ長さで同じ規格のネジ山があるものがIntel LGA115X用、片方のネジ山が短いものがIntel LGA2011-3/2066用、片方にソケットが付いているものAMD AM4用、両端に同じ長さで異なる規格のネジ山があるものがAMD AM3 etc用となっています。

LGA115X用のバックプレートはネジ穴部分がスライドするようになっており、旧CPUソケットのLGA1366などを搭載するマザーボードにも対応しています。


「APSALUS G6」にはAM4用マウントパーツも標準で付属します。ソケット付きスタンドオフが付属しており、AMD用リテンションブラケットもネジ穴2つのひょうたん形でAM4対応となっています。

APSALUS G6には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本、ワッシャーが4個×2セットで計8個が付属します。

ケーブル類として、APSALUS G6は水冷ラジエーターに2基の120サイズ冷却ファンを搭載する240サイズ簡易水冷CPUクーラーなので、2基のファンを1つのファン端子に接続するためのPWM対応4PINファンのY字2分岐ケーブルが付属します。加えて、水冷トップと冷却ファンのRGB LEDイルミネーションを接続するために、RGB対応汎用4PIN LEDヘッダーの3分岐ケーブルと、RGB対応汎用4PINのオス型アダプタが1つ付属します。

簡易水冷CPUクーラー本体は水冷トップとラジエーター共にビニール袋に包まれています。

今回のサンプル品ではラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがありませんでしたが、ラジエーターの放熱フィンの一部に凹みがあると冷却性能に問題が出るほどではないものの几帳面な人にとっては気になる部分なので、他社製品の梱包ですが、こんな感じに厚紙などでラジエーターは個別に保護しておいて欲しいところ。
APSALUS G6の水冷トップと水冷チューブ
続いて「APSALUS G6」の水冷トップ本体をチェックしていきます。「APSALUS G6」の水冷トップは黒色プラスチックの外装で、流線形のシンプルな形状です。天面にはLEDイルミネーションのディフューザーを兼ねて白色半透明な素材で「SYTHE APSALUS G6」のメーカー&製品名ロゴが描かれています。


「APSALUS G6」の水冷トップは高さが40mm程度と背が若干低いのも特徴の1つです。

APSALUS G6の水冷トップからは、水冷ポンプへの給電および回転数取得用の3PINファン端子と、水冷トップに内蔵されたLEDイルミネーションへの給電およびライティング制御用のRGB対応汎用4PIN LEDケーブルが伸びています。

APSALUS G6の水冷ポンプは上述の通り3PINファン端子から電源供給を行うので、マザーボードのPWM信号による速度調整には非対応ですが、電圧制御による速度調整には対応しています。ファン速度の検出値が2倍になっていますが、定格(最大)ポンプ回転数は仕様通り2800RPM前後に対して、電圧制御60%にするとポンプ回転数を1900RPMに下げることもできます。


APSALUS G6のCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。保護フィルムではなくプラスチックのカバーで保護されていました。標準で熱伝導グリスが均等に塗られているので、こだわりがなければ初回使用時は個別にグリス購入の必要はありません。


「APSALUS G6」には簡易水冷市場の大手メーカーであるAsetek社のノウハウがさらに凝縮された最新の第6世代(Generation6)の銅製水冷ヘッドが採用されています。CPUヒートスプレッダと接する水冷ブロックのベースプレートは銅製です。表面は滑らかですが鏡面磨き上げにはなっていませんでした。

Intelプラットフォーム用とAMDプラットフォーム用のブラケットの2種類が付属します。水冷トップの歯車状の溝に合わせてリテンションブラケットをはめて、時計回りに回すと固定、半時計周りに回すと解除となり、リテンションブラケットは水冷トップから簡単に着脱できます。

「APSALUS G6」の水冷チューブは水冷トップの天面のロゴを正しい方向にした時に、9時の方向の側面から出る構造になっています。

水冷チューブは水冷トップの片側から出る構造になっており、L字エルボーの水冷トップ側はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は広めでチューブも細いので同じ方向でも180度近くまで回すことができます。


水冷チューブの長さは350mmほどです。マルチファンラジエーター採用簡易水冷のチューブ長は400mmくらいの製品が多いですが、「APSALUS G6」は50mmほど短くなっており、大きいPCケースに搭載する場合は注意が必要かもしれません。

水冷チューブは外径は10mm、内径は5mm程度で、ゴム製チューブにナイロンスリーブが巻かれています。細くて丈夫なチューブなので曲げやすく取り回しにも優れています。かなり強く曲げてもチューブが折れて潰れなかったのでコンパクトなPCへ組み込む際にも苦労することはないと思います。他社の簡易水冷CPUクーラーよりもチューブ外径が小さいのでチューブの取り回しにも優れています。


APSALUS G6のラジエーターと冷却ファン
続いてAPSALUS G6のラジエーター部分をチェックしていきます。ラジエーターのデザインは一般的なもので、Cooler MasterやCorsairなどの簡易水冷クーラーの一部モデルに採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。


「APSALUS G6」の放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点で言うと少し密度が高いと感じました。密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。

管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチと比較すると、「APSALUS G6」のフィンピッチのほうが細かいのがわかると思います。

ラジエーターの厚さは一般的な27mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファン&ラジエーターマウントスペースのクリアランスは52mmほど必要になります。

APSALUS G6には同社製120mm角冷却ファン「AYA-KAZE」の4ピンRGBモデル(型番:AYA-KAZE12-RGB)が2つ付属します。同一品は市販されていないのが少し気になります。

「AYA-KAZE (4ピンRGBモデル)」は400~1500RPMで速度調整可能なPWM対応4PIN型120mmファンです。半透明ブレードは軸受け部分に内蔵されたLEDイルミネーションの光を拡散し、ブレード全体に鮮やかな色が行き渡ります。

「AYA-KAZE (4ピンRGBモデル)」には35℃の環境下でMTBF 5万時間と高耐久かつ高寿命な流動体軸受け(Hydraulic Bearing)ベアリングが採用されています。軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。

「AYA-KAZE (4ピンRGBモデル)」のネジ穴部分には防振ゴムが貼られて防振性も確保されています。

「AYA-KAZE (4ピンRGBモデル)」からは黒色スリーブが施されたPWM対応4PINファンケーブル(長さ500mm)に加えて、ファンに内蔵されたLEDイルミネーションに給電およびライティング制御するためのRGB対応汎用4PIN LEDケーブルが伸びています。LEDケーブルの先端にはメス端子からオス端子ケーブルがY字に分岐しています。

APSALUS G6には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本、ワッシャーが4個×2セットで計8個が付属します。

冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。
「APSALUS G6」の水冷ラジエーターに冷却ファンを設置するとこんな感じになります。

APSALUS G6の検証機材・セットアップ
APSALUS G6を検証機材のベンチ機にセットアップします。各種CPUクーラーの検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1![]() |
||
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
AMD Ryzen 7 2700X (レビュー) |
M/B | ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO (Wi-Fi) (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-14-34-CR1 |
グラフィックボード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
|
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
・「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー

CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
- LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
- マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
- 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか
上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

前置きはこのあたりにしてベンチ機へAPSALUS G6をセットアップします。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のIntel第9世代CPUに対応するLGA1151ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番内側でした。

バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷トップを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。Intel LGA1151(LGA115X)プラットフォームでは一番左にある両側のネジ山が同じなスタンドオフを使用します。

下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。

マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易になっています。

AMD Ryzen CPUに対応するAM4マウントで使用する場合は、マザーボード表面に標準で備え付けられたCPUクーラー固定器具を外して、背面のバックプレートはそのまま流用し、付属のソケット付きスタンドオフを装着するだけで準備完了です。


Intelのエンスー向けCPUである第9世代Core-Xに対応するX299チップセット搭載LGA2066プラットフォームではCPUソケットこそ前世代のLGA2011-3とは異なるもののCPUクーラーのネジ穴レイアウトは共通なので、LGA2066とLGA2011-3の共用スタンドオフをマザーボード備え付けのネジ穴に装着すればマウントパーツの設置完了です。

水冷トップをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。

グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
APSALUS G6の水冷トップの固定ネジはツールレスな大型ハンドスクリューなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。

「APSALUS G6」では水冷トップの左側面から水冷チューブの出ていますが、水冷チューブのL字エルボーの左端はLGA1151のCPUクーラー固定ネジ穴の位置から大きくははみ出していません。Intel LGA1151の「ASUS WS Z390 PRO」やAMD AM4の「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO」においてはVRM電源クーラーと干渉することはありませんでした。
水冷ヘッド自体も小さくL字エルボーを含めても左側への膨らみは小さいので、十分なクリアランスが確保されており、Intel LGA115XやAMD AM4のVRM電源クーラーや、Intel LGA2066の左側メモリスロットとの干渉は概ね起こらないと思います。

簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。

以上でAPSALUS G6のベンチ機へのセットアップ完了です。

APSALUS G6のLEDイルミネーション
「APSALUS G6」のLEDイルミネーションについてチェックしていきます。「APSALUS G6」では水冷ヘッドの「SYTHE APSALUS G6」のメーカー&製品名ロゴと、2基の冷却ファンの軸受け部分にRGB LEDイルミネーションが内蔵されています。


「APSALUS G6」のRGB LEDイルミネーションは、付属のケーブルを使用してRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーに接続することで、ライティング制御が可能です。マザーボードについてはASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作が可能です。


ASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなどのライティング制御機能ソフトから、HyperX FURY RGB SSDの発光カラーや発光パターンを自由に設定できます。



APSALUS G6のファンノイズと冷却性能
本題となるAPSALUS G6の冷却性能についてチェックしていきます。検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。

電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。
APSALUS G6のラジエーター冷却ファンとエアフローファンのファンノイズを個別に測定したところ次のようになりました。APSALUS G6はラジエーター冷却ファンを1100RPM前後に収まるようにすると静音動作で運用できると思います。

上のグラフでは冷却ファンを付属の「AYA-KAZE (4ピンRGBモデル)」から、「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装したケースについてもファンノイズとファン回転数の関係を掲載していますが、「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて500PRM~600RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。「Noctua NF-A12x25 PWM」は1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。

Intelの最新メインストリーム向けCPUである第9世代CoffeeLake Refresh-Sの最上位モデル8コア16スレッド「Core i9 9900K」で「APSALUS G6」の冷却性能を検証していきます。
検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。定格運用の95W程度では大きな差は出ませんが、大幅にOCした場合は最大で10度前後の差が出ます。
・Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証


Core i9 9900Kの動作設定は「短期間/長期間電力制限:200W」「メモリ周波数3600MHz」「メモリタイミング16-16-16-36-CR2」「メモリ電圧:1.350V」としています。


OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合は20分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

「APSALUS G6」のファン回転数を1000RPMに固定してストレステストを実行したところ、殻割りクマメタル&銅製IHS化したCore i9 9900Kの電力制限を解除して全コア4.7GHzで動作させても、「APSALUS G6」はCPU温度を最大64度、平均61.2度に収めることができました。「APSALUS G6」に標準搭載されている冷却ファンは定格(最大)ファン回転数が1400RPMなのでまだ余力を残していますし、Core i9 9900Kの軽いオーバークロックの実用にも耐える優秀な冷却性能を発揮しています。

続いてAMDの最新メインストリーム向けCPUである第2世代Ryzenの最上位モデル8コア16スレッド「Ryzen 7 2700X」で「APSALUS G6」の冷却性能を検証していきます。

Ryzen 7 2700Xの動作設定は「Precision Boost Overdrive:有効」「XMPプロファイル(メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1):有効」としています。


「APSALUS G6」のファン回転数を1000RPMに固定してストレステストを実行したところ、Ryzen 7 2700XのPrecision Boost Overdrive有効下で、「APSALUS G6」はCPU温度を最大75度、平均動作クロック4.0GHz前後で安定動作させることができました。
Ryzen 7 2700XはCPU温度(Tdie)が75度未満になるように電力制御されるのでCPU温度自体は主要な指標にはなりませんが、Ryzen 7 2700Xの定格動作において冷却性能に応じた自動OC機能XFRが最大限に機能した時の全コア動作クロックが3.9GHz前後に対して、PBOによってその上限を解除した状態で4.0GHzで安定動作しているので、ここから「APSALUS G6」の高い冷却性能がはっきりと確認できます。

なおIntel Core i9 9900KやAMD Ryzen 7 2700XなどTDP100Wクラスのメインストリーム向け最上位CPUの冷却に「APSALUS G6」を使用する場合、CPU自体の冷却は上述の通り十分なのですが、これらのCPUはVRM電源への負荷も大きく、VRM電源周りが高温になることが予想されます。
マザーボードスペーサーのネジ穴を利用して固定できるフレキシブルファンアーム「サイズ 弥七」をスポットクーラーに使用することによって、VRM電源が弱めな比較的安価なマザーボードでもCore i9 9900KやRyzen 7 2700Xのような最上位CPUを運用できるようになるので、「APSALUS G6」と一緒に使用するのがおすすめです。


・スポットクーラー用ファンアーム「サイズ 弥七」をレビュー

APSALUS G6のレビューまとめ
最後に240サイズ簡易水冷CPUクーラー「APSALUS G6」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ロープロファイルでシンプルな構造の水冷ヘッド
- 水冷ヘッドと冷却ファンにRGB LEDイルミネーションを搭載
- 電力制限解除で全コア4.7GHz動作のCore i9 9900Kを運用可能な冷却性能
- PBO有効で全コア4.0GHz動作のRyzen 7 2700Xを運用可能な冷却性能
- バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
- 水冷ヘッドの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
- ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
- 水冷ポンプのPWM速度制御には非対応(DC速度制御には対応)
冷却性能の検証結果からもわかるように「APSALUS G6」は2019年最新のメインストリームCPU最上位である8コア16スレッドのIntel Core i9 9900KやAMD Ryzen 7 2700Xの定格動作はもちろん、電力制限解除やPBO有効による軽いオーバークロックであっても静音性を維持したまま余裕で対応可能な冷却性能を発揮しています。今回は検証から外しましたが、10コアを超えるエンスー向けCPUのIntel第9世代Core-Xであっても定格のTDP165Wから軽いOCの消費電力200W程度であれば十分に運用できるはずです。
「APSALUS G6」は最新のミドルタワーPCケースであれば、ほぼ搭載可能な汎用性の高い240サイズラジエーター採用モデルであり、水冷ポンプの電力供給にSATA電源や4PINペリフェラル電源ではなく、マザーボードファン端子が使用できるなど、導入ハードルの低さが魅力で、ハイコストパフォーマンスな空冷CPUクーラーを多数輩出するサイズらしい製品だと思います。
導入の容易さに加えて、「APSALUS G6」は簡易水冷CPUクーラーのOEM先としては高い冷却性能で定評のあるAsetek社の最新第6世代の水冷ヘッドを搭載しており、2万円を超える他社のAsetek社OEMで独自機能満載なハイエンドモデルとそん色ない冷却性能が期待できるところも魅力です。
マウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUクーラーを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。
「APSALUS G6」について欲を言えば、冷却ファンの静音性があまり高くなく、1200~1400RPMでも唸るような風切り音が出ること、水冷ポンプがPWM速度制御に対応していないことなどが少々残念でした。RGB LEDイルミネーションについては可もなく不可もない評価ですが、個人的には水冷ヘッドのみで、ファンのほうは純粋にファン性能に投資したほうがよかったかなと。
「APSALUS G6」は汎用性の高い240サイズラジエーター採用モデルかつ水冷ポンプの電力供給にマザーボードファン端子が使用できる『導入の容易さ』、Asetek社の最新第6世代の水冷ヘッドを搭載した『優れた冷却性能』の2つを兼ね備えており、メインストリーム向け最上位CPUが8コア16スレッドになったメニーコア時代2019年に真っ先に検討したい定番CPUクーラーだと思います。
以上、「APSALUS G6」のレビューでした。

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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて
「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。関連記事
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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