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第3世代Ryzen CPUをサポートするB450チップセット搭載AM4マザーボードとしてASUSのエントリーゲーマー向けブランド”TUF GAMING”シリーズからリリースされた「ASUS TUF B450-PRO GAMING」をレビューしていきます。1万円程度で購入できるエントリーゲーマー向けモデルの「ASUS TUF B450-PRO GAMING」が、12コアRyzen 9 3900Xを安定して運用できるのか徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-B450-PRO-GAMING/
マニュアル:https://dlcdnets.asus.com/pub/ASUS/mb/SocketAM4/TUF_B450M-PRO_GAMING/J14788_TUF_B450-PRO_GAMING_UM_WEB.pdf
ASUS TUF B450-PRO GAMING レビュー目次
1.ASUS TUF B450-PRO GAMINGの外観・付属品
2.ASUS TUF B450-PRO GAMINGの基板上コンポーネント詳細
3.ASUS TUF B450-PRO GAMINGの検証機材
4.ASUS TUF B450-PRO GAMINGのBIOSについて
5.ASUS TUF B450-PRO GAMINGのOC設定について
6.ASUS TUF B450-PRO GAMINGの動作検証・OC耐性
7.ASUS TUF B450-PRO GAMINGのレビューまとめ
【注意事項】
同検証は19年10月中旬に行っており「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のBIOS:1820を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-B450-PRO-GAMING/HelpDesk_BIOS/
【2019年8月5日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1820で検証
ASUS TUF B450-PRO GAMINGの外観・付属品
まず最初にASUS TUF B450-PRO GAMINGの外観と付属品をチェックしていきます。2019年9月末にAmazonで購入した「ASUS TUF B450-PRO GAMING」は第3世代Ryzenに対応するBIOSへアップデートされたものに切り替わっており、「AMD Ryzen 3000 Desktop Ready」の表示がありました。国内Amazonをはじめ、TSUKUMO、PCショップアーク、ドスパラ、PCワンズ、パソコン工房、ソフマップなど主要なPCパーツ取り扱い通販であれば、第3世代Ryzenに対応済みのB450マザーボードが送られてくると考えて良いと思います。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のパッケージは一般的なN式箱で、蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、その下には各種付属品があります。
組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル2本、リアI/Oシールド、M.2 SSD固定用スペーサー&スクリューとなっています。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGはATXフォームファクタのマザーボードです。黒色のPCB基板にはデジタルな迷彩をイメージさせるイラストがプリントされています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のマザーボード右下に設置されたチップセット用ヒートシンクについてはデジタル迷彩パターンと並んでTUF Gamingを代表する、機械装甲を模したデザインが採用され、中央にはTUF Gamingのアイコンロゴが描かれています。
リアI/OにはTUF GAMINGのテキストロゴとアイコンロゴが描かれた機械的なデザインのプラスチック製カバーが装着されています。CPUソケットの左側と上側に実装されたVRM電源にはフィンカットされたアルミニウム塊型ヒートシンクが装着されています。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGには、6フェーズのVRM電源が実装されています。VRM電源回路を構成する素子にはミリタリーグレードで高耐久なTUF CHOKES、一般的なキャパシタよりも高温耐性の高い最大125度対応かつ寿命5000時間のTUF CAPACITORSが採用されています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」ではEPS電源端子は8PINが設置されています。700W以下のメインストリーム電源ユニットではEPS端子が1つしかないものもありますが、そういった電源ユニットと組み合わせても問題なく使用できます。
リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子として2基のType-A(水色)と1基のType-Cの計3端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と2基のUSB3.0 Gen1端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、VR HMDに十分対応可能です。USB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB3.X端子から少し離れたところに追加でUSB2.0端子を設置されているところが嬉しいポイントです。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGの基板上コンポーネント詳細
続いて「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。(PCIEレーン帯域や排他利用については第3世代Ryzenを使用した場合を記載します)システムメモリ用のDDR4メモリスロットはCPUソケット右側に4基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットは上から[N/A、x16、N/A、x1、x16、x1、x1]サイズが設置されています。上段のプライマリグラフィックボードを2段目のスロットに配置することで、大型ハイエンド空冷CPUクーラーとグラフィックボードの干渉を回避しています。
2段目のx16サイズPCIEスロットはチップセットのPCIEレーンに接続されており、PCIE2.0x4で使用できます。4段目/6段目/7段目の3基のx1サイズスロットの帯域はいずれもPCIE2.0x1です。5段目x16サイズPCIEスロット、3/6段目x1サイズPCIEスロット、M2_2(下段)スロットは帯域共有となっています。
M2_2(下段)スロット、5段目x16サイズPCIEスロット、4/6段目x1サイズPCIEスロットは帯域共有については、「M.2スロットのみを使用する」「5段目x16サイズPCIEスロットをPCIE2.0x4で使用する」「5段目x16サイズPCIEスロットをPCIE2.0x2にして、4/6段目x1サイズPCIEスロットも使用する」の3パターンから選択できます。M2_2(下段)スロットにストレージを装着すると自動的にPCIEスロットは使用できなくなります。
これらの帯域設定についてはBIOSから任意に指定が可能です。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGにはSATAストレージ用の端子は6基搭載されています。SATA6G_1~4の4基はAMD B450チップセットのコントローラーによる接続、SATA6G_5~6の2基はCPUのコントローラーによる接続となっており、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGには高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはCPUソケット下とチップセット下に並んで計2基が設置されています。M.2_1はNVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応し、SATA_5/6は排他利用となります。M.2_2はNVMe(PCIE2.0x4)に対応しており、4/5/6段目PCIEスロットと帯域共有です。
マザーボード下側には内部USB3.0ヘッダーと2基の内部USB2.0ヘッダーが設置されています。Corsair iCUEやNZXT CAM対応製品などUSB2.0内部ヘッダーを使用する機器も増えていますが、ASUS TUF B450-PRO GAMINGであればそれらの機器も問題なく使用可能です。内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」はエントリークラスのゲーミングマザーボードですが、Realtek S1200Aコーデックを採用した高音質ゲーミングオンボードサウンド機能を搭載しています。プレミアム品質の国産オーディオコンデンサを採用、デジタル部とアナログ部の基板分離などヘッドホン・スピーカー出力の高音質化にも注力しています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」では冷却ファンや簡易水冷クーラーポンプの接続用ファン端子はマザーボード上の各場所に計5基設置されています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」にはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、マザーボード右下のジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着しておいた方がよさそうです。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のマザーボード上にはRGB対応汎用4PIN LEDヘッダーが2基実装されており、当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「Phanteks Halos Lux RGB Fan Frames」など汎用LED機器によるLEDイルミネーションの拡張も可能です。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」などASUS TUF GAMINGブランドのマザーボードを主軸にASUSは主要な部品メーカーと連携して、オレンジのアクセントカラーとデジタル迷彩パターンをテーマにした一目で分かるユニークなスタイルで統一し、互換性と調和した美しさを実現する新しい製品エコシステム、「TUF GAMING Alliance」が結成されています。
公式ページ:https://www.asus.com/campaign/tuf-gaming/us/index.html
・Team製TUF GAMINGコラボ機器で自作PCをライトアップ
ASUS TUF B450-PRO GAMINGの検証機材
ASUS TUF B450-PRO GAMINGを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS TUF B450-PRO GAMING以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 9 3900X (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H150i PRO RGB (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、第3世代Ryzenに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
またRyzen環境におけるハイパフォーマンスなOCメモリとして昨年より定評のある「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」も3200MHz/CL14の高速・低遅延な動作がOCプロファイルを使用したオーバークロックで簡単に実現でき、第3世代Ryzen環境なら3600MHz/CL16に対応可能な伸びしろもあるので、第3世代Ryzen環境向けに引き続きオススメのDDR4メモリです。
・「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」をレビュー
レビュー後半の動作検証では12コア24スレッドモデルRyzen 9 3900Xを使用したOC検証も行いますが、CPUクーラーの検証機材には360サイズ大型ラジエーターを搭載するCorsair製AIO水冷CPUクーラー最上位モデル「Corsair H150i PRO RGB」を使用しています。
マザーボード備え付けの固定器具にCPUクーラーリテンションブラケットのフックをひっかけてハンドスクリューで締めるだけなので設置が非常にお手軽です。
360サイズラジエーター搭載の「Corsair H150i PRO RGB」と280サイズラジエーター搭載の「Corsair H115i PRO RGB」はいずれも冷却性能が高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているので第3世代Ryzen CPUとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
・「Corsair H150i PRO RGB」&「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen 9 3900Xを冷やせるか!?
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのBIOSについて
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付が変になっているかもしれませんが無視してください。また内容的に差異のないものは過去のスクリーンショットを流用しています。)
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
「F7」キーを押すとアドバンスドモードという従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。
次回起動時に初回から詳細モードを起動する場合は、「起動-ブート設定」にある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。
特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のBIOSバージョンは19年10月現在、最新版の「1820」がサポートページで公開されています。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/TUF-B450-PRO-GAMING/HelpDesk_BIOS/
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS TUF B450-PRO GAMINGのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出すればOSインストーラーが起動します。「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS TUF B450-PRO GAMINGのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子とCPU OPT端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、マザーボードなどその他の各種温度ソースからファンコントロールが可能です。
ファン操作モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されています。DC速度調整の場合は制御プロファイルを手動にすると、下限温度以下で冷却ファンを停止させる所謂セミファンレス機能を実現する「Allow Fan Stop」の設定が表示されます。
またASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能として「Q-Fan Control」が用意されています。設定可能な内容は上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能です。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのOC設定について
ASUS TUF B450-PRO GAMINGを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
第3世代Ryzen CPUについてはX570/X470/B450チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
・AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のオーバークロック設定は「Ai Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。「Ai Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のオーバークロック設定項目の最初にある「Ai Overclock Tuner」ではプルダウンメニューから「Auto(自動)/Default」「D.O.C.P.」の2つの設定モードが選択できます。Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。D.O.C.P.モードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。OC初心者はXMPを使用しないならAutoモード、XMPを使用するならD.O.C.P.モードを使用すればOKです。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
第3世代Ryzenは、CPU温度や電力に関して安定動作可能な相関関係を記したテーブルがCPU内部に用意されており、それに則した形で「Pure Power」や「Precision Boost(2)」といったRyzen CPUの独自機能により動作クロックや電力がリアルタイム制御されています。
例えばRyzen 9 3900XではCPUクーラー冷却性能の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は最大で4.6GHz、全コア負荷の場合はTDPの範囲内で変動しますが、軽いワークロードであればコア毎に4.5~4.2GHzで動作し、動画のエンコードなどCPUがフルパワーを発揮する重いワークロードでは冷却性能が十分ならベースクロックを上回る平均4.0GHz程度で動作します。
第3世代Ryzenや第2世代Ryzen/Ryzen Threadripper CPUの動作クロックに関する予備知識については下の記事で概要を解説しているので参考にしてください。
・「Precision Boost Overdrive」を徹底解説
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのコアクロックのOC設定方法はベースクロック(BCLK):100MHzに対する倍率指定となっており、0.25倍単位でCPUコアクロックの倍率を設定できます。「CPUクロック倍率(CPU Core Ratio): 40.00」と設定することでデフォルトのベースクロック100MHzの40倍で4.0GHzで動作します。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」では単コアブーストクロックを維持したまま、電力制限を解除することで全コア最大動作倍率を引き上げることができる「Precision Boost Overdrive」もBIOSから設定が可能で、設定ページが「Ai Tweaker」のわかりやすい場所に配置されています。
Precision Boost Overdriveを手動設定にすると、第3世代Ryzenにおいても前世代と同様に、電力制限上限値を指定する「PPT Limit (W)」、最大動作クロックの制限値に影響する「TDC Limit / EDC Limit (A)」を設定できます。
さらに第3世代Ryzenが新たにサポートする「Auto OverClocking Mode」に関する設定項目として、Precision Boost 2によるコアクロックの上昇幅を設定する「Max CPU Boost Clock Override」や、Precision Boost 2やXFRによる自動OC機能が効く温度閾値を引き上げる「Platform Thermal Throttle Limit」などのオプションが追加されています。
続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen CPUのオーバークロックで変更する電圧設定については、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリクロックやRyzen APUに搭載される統合GPUの動作周波数に影響すると「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
AMD Ryzen CPUでオーバークロックを行う場合に変更する電圧設定については基本項目が「CPUコア電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみと非常に簡単化されています。加えてASUS TUF B450-PRO GAMINGでは「Digi+ VRM」の項目からその他多くの電圧設定が可能です。
CPUコアクロックのOCに関連するコア電圧のOC設定としては、ASUS TUF B450-PRO GAMINGではCPUコア電圧(CPU Core Voltage / APU 電圧)の項目を変更します。CPUコア電圧ではマニュアルの設定値を固定する「マニュアル」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モードの2種類が使用できます。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGでCPUコアクロックのOCを行う場合、コア電圧設定モードとして通常はマニュアルモードを推奨します。マニュアルモードの場合は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またCPUのOCに関連する追加の電力設定としてASUS TUF B450-PRO GAMINGでは、コアクロックと電圧の設定項目の中間あたりに「Digi+ VRM」が配置されています。
コアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「Digi+ VRM」内に「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、補正の強度としてAuto, Regular, Medium, High, Extremeの5段階が用意されています。電圧降下の補正は強くすると、OCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。Mediumあたりから始めて安定する設定値を模索していくのがおすすめです。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、ASUS TUF B450-PRO GAMINGでは正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、ASUS TUF B450-PRO GAMINGなどの一部のASUS製マザーボードでは「Ai Overclock Tuner」のプルダウンメニューに、メモリに収録されたXMPプロファイルからRyzen環境でも使用可能なメモリOCプロファイルを自動生成する「D.O.C.P」という独自機能があります。「Ai Overclock Tuner」から「D.O.C.P」モードを選択することで、自動生成されたOCプロファイルによるメモリOC設定の適用が可能です。
「Ai Overclock Tuner」のAutoモードやManualモードにおいて「DRAM Frequency」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなど周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大4200MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて下の方にスクロールしていくと表示される「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「GearDownMode」をEnabledに設定すると動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM Voltage」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
AMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(CPU NB/SOC Voltage)」も1.100V~1.200V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。CPUコア電圧同様にマニュアルの設定値を固定する「マニュアル」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モードの2種類が使用でき、0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
また第3世代Ryzen CPU環境ではメモリ周波数3600MHzまではInfinity Fabric周波数が1:1で同期しますが、3733MHz以上では2:1で同期し、Infinity Fabric周波数がメモリ周波数の半分になります。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」では「FCLK Frequency」をメモリ周波数の半分に指定することで3733MHzや3800MHzのメモリ周波数においてもInfinity Fabric周波数の1:1同期が可能になります。
ASUS TUF B450-PRO GAMINGの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところやOC設定の基本についての紹介はこのあたりにしてASUS TUF B450-PRO GAMINGを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。主要4社のB450チップセット搭載AM4マザーボードのうち、1万円前後で購入できる各社で最も売れ筋の4モデル、「ASRock B450 Steel Legend」「ASUS TUF B450-PRO GAMING」「GIGABYTE B450 AORUS ELITE」「MSI B450 TOMAHAWK MAX」については詳細な比較記事を公開しています。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」を含め、マザーボード毎の起動時間、メモリOC耐性、VRM電源温度など実際のマザーボード性能についてはこちらの記事で詳しく比較しているので参照してください。
・主要4社B450マザーボードを徹底比較!第3世代Ryzenにイチオシはどれか?
ASUS TUF B450-PRO GAMINGのレビューまとめ
最後に「ASUS TUF B450-PRO GAMING」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- TUF GAMINGシリーズらしいミリタリー風デザイン
- Ryzen 9シリーズに対応可能なVRM電源
- メモリOCは3600MHz/CL14で安定動作
- Ryzen 9 3900Xの負荷に対してパッシブ空冷のままVRM電源温度は80度以下
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット「SAFESLOT」
- 1万円程度で安価な第3世代Ryzen対応マザーボード
- CMOSクリアのオンボードスイッチがない
- 無線LANは非搭載
- M.2 SSDヒートシンクは非搭載
第3世代Ryzen CPUをサポートするB450チップセット搭載AM4マザーボードとしてASUSからリリースされた「ASUS TUF B450-PRO GAMING」は、エントリーゲーマー向けとなるTUF Gamingブランドの製品であり1万円程度の廉価もでるなので付加価値的要素こそ省略されているものが多いですが、同クラスの競合製品よりも低温で動作可能な優れたVRM電源を備えておりB450マザーボードでRyzen 9シリーズを運用したいユーザーには一押しのモデルです。
ASUS製マザーボードではお馴染みですがBIOSやマニュアルの日本語ローカライズ品質は主要4社の中でも随一となっており、BIOSのテキストベースUIの使い勝手も良好です。ゲーマー向けROG STRIXと言うと比較的高価で上級者向け製品のイメージが強いかもしれませんが、「ASUS TUF B450-PRO GAMING」は初心者にも優しいマザーボードだと思います。
手動OCを行わずとも高性能なCPUクーラーを組み合わせた時に自動的にクロックアップする第3世代Ryzen CPUと組み合わせるB450マザーボードの評価において、CPUへ電力供給を行うVRM電源回路の品質やVRM電源クーラーの冷却性能が重要なファクターになるのは言うまでありません。
「ASUS TUF B450-PRO GAMING」では12コア24スレッドCPUのRyzen 9 3900Xに対して、6フェーズVRM電源によって安定した電力供給を行うことができました。
VRM電源クーラーについては同社の上位モデルと比較すると簡素な設計のフィンカットが施されただけのアルミニウム塊型ヒートシンクですが、Ryzen 9 3900Xの長期的な負荷に対してVRM電源温度は80度以下に収まっているので、VRM電源付近に直接風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境であってもRyzen 9シリーズをパッシブ空冷のままで運用できます。
メモリOCについては、メモリ周波数に同期するIF周波数も含めて考えれば第3世代Ryzen環境用メモリとしては最速と言えるメモリ周波数3600MHz/メモリタイミング14-15-15-35-CR1が、検証機材メモリ「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」に収録されたOCプロファイルを適用することで簡単に実現できました。
また3200MHz/CL14のOCに対応し第1/2世代Ryzen向けハイパフォーマンスOCメモリとしては鉄板だった「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」を使用した場合は、メモリ周波数3600MHz/メモリタイミング16-16-16-36-CR1で安定動作させることができました。
AMD公式から第3世代Ryzen環境のメモリ速度としてはスイートスポットと評価される3600MHz/CL16に、周波数と主要タイミングのみの簡単なOC設定で詰めることができたので、「ASUS TUF B450-PRO GAMING」をはメモリOC耐性(BIOS自動設定の精度)も余裕で及第点をクリアしていると思います。
以上、「ASUS TUF B450-PRO GAMING」のレビューでした。
検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン 定格2000RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua
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<TSUKUMO:PWM/ULN><PCショップアーク>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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質問よろしいでしょうか?
去年12月に初めてPCを自作しました
Ryzen3 3200G
メモリ16GB
ASUS TUF B450-PRO GAMING
M.2 P1 CT500P1SSD8JP(PCIe 3.0 x4)
GTX1060 6G(PCI Express x16)CPU側
GTX750Ti(PCI Express x16)
電源500W
M.2_2に新たにM.2を拡張したいと思っています
拡張した場合GTX750Tiは自動的に使えなくなりますか?
それともBIOSで帯域を設定すれば共存できるでしょうか
GTX750Tiは録画配信用で使っています
また、M.2_2スロット(PCIe 2.0 x4)だと速度の上限はどのくらいでしょうか?