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10コア20スレッド「Core i9 10900K」など第10世代Comet Lake-S CPUに対応するZ490チップセット搭載マザーボードとしてMSIからリリースされた、Mini ITXサイズながら90A対応Dr.MOSで構成される8フェーズVRM電源とアクティブ冷却VRM電源クーラーを採用、さらにリアI/OにThunderbolt3ポートを標準搭載する「MSI MEG Z490I UNIFY」をレビューしていきます。
製品公式ページ:https://jp.msi.com/Motherboard/MEG-Z490I-UNIFY
マニュアル:https://download.msi.com/archive/mnu_exe/mb/E7C77v1.0.pdf
MSI MEG Z490I UNIFY レビュー目次
1.MSI MEG Z490I UNIFYの外観・付属品
2.MSI MEG Z490I UNIFYの基板上コンポーネント詳細
3.MSI MEG Z490I UNIFYのCPUクーラー互換性
4.MSI MEG Z490I UNIFYの検証機材
5.MSI MEG Z490I UNIFYのBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について
7.MSI MEG Z490I UNIFYのOC設定について
8.MSI MEG Z490I UNIFYの動作検証・OC耐性
9.MSI MEG Z490I UNIFYのレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2020年6月上旬に行っておりMSI MEG Z490I UNIFYのBIOSはver110(サポートページでは7C77v11と表記)を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/MEG-Z490I-UNIFY#down-bios
【2020年6月17日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:110(サポートページでは7C77v11表記)で検証
【機材協力:MSI Japan】
MSI MEG Z490I UNIFYの外観・付属品
まず最初にMSI MEG Z490I UNIFYの外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
マニュアル類は、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
組み立て関連の付属品はSATAケーブル2本、ARGB対応VD-G型3PIN LEDケーブル、WiFi&Bluetoothアンテナ、M.2 SSD固定ネジです。
マザーボード全体像は次のようになっています。
MSI MEG Z490I UNIFYはMini-ITXフォームファクタのマザーボードです。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のチップセット部分には、覆うようにしてM.2 SSDヒートシンクが設置されており、その下に個別にPCHクーラーヒートシンクが装着されています。
Mini-ITXマザーボードは基板上スペースが限られているのでリアI/Oカバーを搭載しない製品が大半を占めますが、「MSI MEG Z490I UNIFY」にはMEG UNIFYシリーズでお馴染みの黒一色の金属製リアI/Oカバーが搭載されています。マザーボードのクーラーヒートシンクというと角張ったデザインが多い中で、「MSI MEG Z490I UNIFY」の丸みを帯びたデザインは非常にユニークに見えます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のリアI/Oカバーは単なる装飾ではなく、全体がアルミニウムでできており、上側VRM電源ヒートシンクとヒートパイプを介して連結しており、超巨大なVRM電源クーラーを構築しています。
「MSI MEG Z490 ACE」のリアI/Oカバーの内側には、VRM電源ヒートシンクの放熱を補助する冷却ファンが内蔵されており、通気口が設けられたリアI/Oカバー側から吸気するアクティブ冷却が採用されています。高耐久なダブルボールベアリングを採用する高品質な冷却ファンです。
「MSI MEG Z490 ACE」のVRM電源クーラー冷却ファンには「Zero Frozr Technology」と呼ばれるセミファンレス機能が採用されており、ファン動作モードとして「Balance Mode(標準設定)」や「Silence Mode」を選択すると、チップセット温度が閾値以下の場合に冷却ファンが停止します。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のVRM電源フェーズ数はMini-ITXサイズとしては頑張って8フェーズ(加えてiGPU用の2フェーズ)が実装されています。最大で10コア20スレッドとなるIntel第10世代Core i9シリーズを少なくとも定格運用可能なポテンシャルは備えていそうです。
「MSI MEG Z490I UNIFY」はVRM電源フェーズ数こそ少ないですが、VRM電源回路にハイサイド/ローサイドMOS-FETとドライバICをワンパッケージし、低発熱で定評のある「Dr. MOS」の90A対応版が使用されています。
その他にも、従来製品より電力効率を改善した「TITANIUM CHOKE III」、93%のエネルギー変換効率かつCPUクーラーと干渉し難い小型サイズキャパシタ「Hi-C CAP」、低ESRかつ10年以上の長寿命な日本製個体コンデンサなど厳選された高品質素子によって堅牢なVRM電源回路が構築されています。
最大で10コア20スレッドとなるCore i9シリーズにも対応すべく、Z490チップセット搭載の上位マザーボードではEPS電源端子として8PIN+4PINや8PIN*2を実装しているものも少なくありませんが、「MSI MEG Z490I UNIFY」はMini-ITXフォームファクタということもあり、EPS電源端子は8PINが1つです。
「MSI MEG Z490I UNIFY」には一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
リアI/Oには最新のUSB3.2 Gen2規格に対応したType-A端子が1基設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB3.0端子と2基のUSB2.0端子が搭載されています。
ビデオ出力はHDMI1.4、DisplayPort、Thunderbolt3(USB Type-C DisplayPort Alternate Mode)の3系統が搭載されています。DisplayPortとThunderbolt3は4K解像度60FPSの出力に対応していますが、HDMI1.4は4K解像度30FPSが上限となります。
ネットワーク関連では有線LANとして、一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するRealtek製2.5Gbイーサ「Dragon 2.5 Gigabit LAN(RTL8125BG)」を搭載しています。
さらに次世代規格WiFi6に対応した無線LAN(Intel AX201)も搭載しています。接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHzデュアルバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.1に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」はリアI/OにThunderbolt3端子を標準搭載しているところも大きな特徴です。Thunderbolt3コントローラーは2020年最新世代のTITAN RIDGE(Intel JHL7540)が採用されています。
Thunderbolt3端子はUSB3.1 Gen2の4倍となる40Gbpsの超高速帯域による周辺機器との接続に加えて、Intel製CPUのiGPUによるビデオ出力と繋がっているのでUSB Type-CのDP Altビデオ出力も利用でき、USB Power Delivery3.0規格による15W(5V/3A)の電力出力にも対応します。
MSI MEG Z490I UNIFYの基板上コンポーネント詳細
続いて「MSI MEG Z490I UNIFY」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。まずはシステムメモリ用のDDR4メモリスロットですが、CPUソケット右側に2基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
グラフィックボードなどを設置するPCIEスロットはx16サイズスロット(PCIE3.0x16)が1基のみ実装されています。最近のトレンドとしてグラフィックボード用のx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるよう補強用メタルアーマーも採用されています。
SATAストレージ用の端子はマザーボード上に2基とライザーカード上に2基で、計4基(SATA_1~4)搭載されています。SATAストレージはいずれもIntel Z490チップセットコントローラーによる接続です。RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のM.2スロットはマザーボード表面のPCHクーラー上(M.2_1)と、マザーボード背面(M.2_2)の2か所に設置されています。M.2_1はNVMe(PCIE3.0x4)接続とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応していまが、SATA接続のM.2 SSDを使用した場合、SATA_2ポートが排他利用となります。M.2_2はNVMe(PCIE3.0x4)接続のM.2 SSDのみに対応しています。
マザーボード表面のM.2スロットにはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield Frozr」が設置されており、同ヒートシンクを使用することで、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングの発生を抑制する効果が期待できます。
マザーボード右端下寄りには内部USB3.1 Gen2ヘッダーと内部USB3.0ヘッダーが実装されています。
Mini-ITXマザーボードの多くに言える見落としの多いポイントですが、下の写真のようにCRYORIG C1などの大型トップフロークーラーと組み合わせる場合はメモリだけでなくUSB3.0ケーブルが干渉する場合もあるので注意が必要です。「MSI MEG Z490I UNIFY」の場合は内部USB3.0ヘッダーがグラフィックボードと干渉しない範囲内で可能な限りPCIEスロット側に寄せられている理想的なレイアウトでした。
内部USB2.0ヘッダーはライザーカード上に1基が実装されています。最近ではCorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えているので、内部USB2.0が1基で不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
「MSI MEG Z490I UNIFY」はMini-ITXマザボながらオンボードサウンドにRealtek ALC1220オーディオコーデックによる高音質ソリューションが採用されオーディオ面でも充実しています。アナログ出力にはニチコン製オーディオ向けキャパシタなど高品質素子を採用、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプなどとの接続にも最適な光デジタル端子が設置されています。
冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上端に3基設置されています。Mini-ITXマザーボードはファン端子が2基しかないものも多いので冷却を重視するユーザーには嬉しい数です。
MSI MEG Z490I UNIFYにはMini-ITXマザーボードながら、CMOSクリアボタンがリアI/Oに実装されているところも注目ポイントです。
MSI MEG Z490I UNIFYの検証機材
MSI MEG Z490I UNIFYを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。MSI MEG Z490I UNIFY以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 10900K (レビュー) |
CPUクーラー | Corsair H100i PRO RGB(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x2 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK (2枚のみ使用) DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、XMP OCプロファイルによるメモリ周波数4000MHzかつメモリタイミングCL15の超低レイテンシなオーバークロックに対応する8GB×4=32GBのメモリキット「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」を使用しています。かなりピーキーなOC設定なので一般にはオススメし難い製品ですが。
・「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」をレビュー
高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは当サイトでも特にオススメしているDDR4メモリです。第3世代Ryzen向けにリリースされた製品ですが、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされていて、Intel第10世代Comet Lake-S CPU&Z490マザーボード環境でも高いパフォーマンスを発揮できるので、選んで間違いのないオススメなOCメモリです。
・「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
MSI MEG Z490I UNIFYのBIOSについて
MSI MEG Z490I UNIFYを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
BIOSに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。右上には表示言語変更のプルダウンメニューがあります。MSIマザーボードはASUSの次くらいにしっかりとローカライズされているので日本語UIも使いやすいと思います。
MSIのBIOS詳細モードでは「SETTING」「OC」「M-FLASH」「OC PROFILE」「HARDWARE」「BOARD EXPLORER」の6つのアイコンを選択することで中央のイラスト部分や画面全体に詳細設定項目が表示されるという構造になっています。キーボード操作も可能ですがマウス操作を重視したUIです。
MSI MEG Z490I UNIFYのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出は「SETTING」アイコンの「保存して終了」の項目内に存在します。ASUS、ASRock、GIGABYTEなどと違ってカーソルキーのみの移動で設定保存と退出関連の項目にサクッと移動できないのが少し不便に感じます。起動デバイスを指定して再起動をかける「Boot Override」機能があるのは使い勝手が良くて好印象です。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://jp.msi.com/Motherboard/support/MEG-Z490I-UNIFY#down-bios
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、詳細モード左下の「M-FLASH」を選択します。「M-FLASH」モードはBIOSとは完全に別で用意されており再起動するか尋ねられるので再起動します。ただし手動でOCを行っている場合は「M-FLASH」を選択しても一度設定をデフォルトに戻して再起動がかかるので、再度BIOSに入って「M-FLASH」を選択する必要があるようです。
再起動して「M-FLASH」に入ったら下のようにUSBメモリ内のBIOSファイルを選択してアップデートを実行すればBIOSのアップデートが完了します。なおBIOSアップデート後は自動でBIOSへ入らないので注意してください。アップデート後はOC設定なども初期化されてしまうので初回は自動でBIOSに入って欲しいです。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。
MSI MEG Z490I UNIFYのブートデバイス関連の設定は「SETTING」アイコンの「ブート」という項目にまとめられています。
起動デバイスの優先順位は「FIXED BOOT ORDER Priorities」という項目で、ハードディスクやDVDドライブなど大別した優先順位が設定可能となっており、その下にある「〇〇 Drive BBS Priorities」で同じ種類のデバイスについて個別の起動優先順位の設定を行えます。
一般的にはWindows OSの入った「UEFI:HardDisk:Windows Boot Manager(〇〇)」を最上位に設定して、その他の起動デバイスは無効化しておけばOKです。
Windows 10 OSのインストール手順(BIOSにおける設定)についても簡単に紹介しておきます。
Windows 10のOSインストールメディア(USBメモリ)については「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」という名前になります。「UEFI USB Key:UEFI: 〇〇」を起動優先順位の最上位に設定してください。
起動優先順位でインストールメディアを最上位に設定したら設定を変更してBIOSから退出します。ただMSI MEG Z490I UNIFYはブートデバイスを指定できるBoot Overrideを使用できるので直接OSインストールメディアを起動デバイスとして指定して再起動してもOKです。
ちなみにWindows10の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようなのでそういうときはこちらの記事に従ってMS公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、MSI MEG Z490I UNIFYのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
MSI MEG Z490I UNIFYのファンコントロールや各種コンポーネント温度のハードウェアモニタリングはトップメニューの「HARDWARE」アイコンからアクセスできます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のファンコントロール機能は下のスクリーンショットのようにグラフィカルUIのみが用意されています。
ファンカーブの設定には画面中央のグラフから頂点座標をマウスで直接操作するか、少し分かり難いのですが、右にある温度とファン速度(デューティ比or電圧)を直接数値入力するかのどちらかで行います。
「MSI MEG Z490I UNIFY」にはモニタリング可能な温度が5種類も用意されています。
「MSI MEG Z490I UNIFY」に搭載された3基のファン端子については、いずれも個別にファン制御モードをPWM制御とDC制御から選択でき、ファンコントロールソース温度やヒステリシス(Step Up/Down Time)の設定もできます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」に搭載されたファン端子はファンコンソース温度として、CPU温度、MOS(VRM電源)温度、PCH(チップセット)温度などの4種類から選択できます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」ではVRM電源クーラーに搭載された冷却ファンについても、BIOS上で「MOS」として表記されており、ファン制御が可能です。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のチップセットクーラー冷却ファンについては、他のファン端子と異なり、ファンカーブを自分で設定するのではなく「Silence Mode」「Balance Mode(標準設定)」「Boost Mode」の3つのプリセットと、ファン回転デューティ比を固定する「Manual Mode」の4つの動作モードを選択する形式になっています。
MSI製マザーボードのファンコントロール機能はグラフィカルUIでわかりやすく設定できるよ、という機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。
ただ個人的にはテキストUIで数値直打ちが好きなので管理人がMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つです。
あと細かいところですがBIOS内のスクリーンショットをF12キーで撮影できますがスクリーンショットファイルの名前がタイムスタンプではなく保存するUSBメモリのルートに存在するファイルで重複しない連番なのが少し使い難かったです。間違って上書き保存してしまうことがあるのでタイムスタンプにして欲しいです。
イルミネーション操作機能「MSI Mystic Light」について
「MSI MEG Z490I UNIFY」はマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PIN/アドレッサブルRGB対応汎用3PINイルミネーション機器を操作可能なライティング制御機能「MSI Mystic Light」に対応しています。MSI MEG Z490I UNIFYにはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションはありませんが、MSIのライティング制御機能「MSI Mystic light」による操作に対応したARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーが2基実装されています。
「MSI MEG Z490I UNIFY」で使用可能なアドレッサブルLEDテープとしては、国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」や「AINEX アドレサブルLEDストリップライト」が動作することが確認できています。
MSI Mystic Lightに対応する機器についてはMSIの公式ページで一覧が公開されています。
MSI Mystic Light対応機器:https://jp.msi.com/Landing/mystic-light-motherboard#mystic
MSI MEG Z490I UNIFYに搭載されたLEDイルミネーションや汎用ヘッダーに接続されたイルミネーション機器は発光カラーや発光パターンを専用アプリ「Dragon Center」から同期操作可能です。Dragon Centerは公式ホームページやマザーボードのサポートページから最新版をダウンロードできます。
Dragon Center公式DL:https://jp.msi.com/Landing/mystic-light-rgb-gaming-pc/download
「Dragon Center」の左側メニューに表示されている「Mystic Light」を選択するとライティング制御の設定ページが表示されます。「Dragon Center」による発光パターン・発光カラーの設定を行うUIは次のようになっています。
静的発光など全体の発光カラーが一致する発光パターンについては右側のカラーパレットから発光カラーが設定でき、アドレッサブルな発光パターンでも変化スピードや明るさが設定できます。画面右のマザーボード写真がそのままライティングのプレビューになっているので設定がさらに容易になっています。
「Dragon Center」ではマザーボードプレビューの左上に、Mystic Light Sync対応機器の同期設定アイコンや、マザーボードの個別部位の選択プルダウンメニューが配置されています。
「Dragon Center」のライティング制御で選択可能な発光パターンは30種近くと非常に豊富です。
MSI MEG Z490I UNIFYのOC設定について
MSI MEG Z490I UNIFYを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
MSI MEG Z490I UNIFYではオーバークロック関連の設定項目はトップメニューの「OC」アイコンに各種設定がまとめられています。下にスクロールしていくと概ね「コアクロック→メモリ→電圧」の順番で並んでいます。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
OCメニューのトップには「OC Explore Mode」という項目があり一般的なOC設定の可能な「Normal」モードに加えて、一部の高度なOC設定項目を解除できる「Expert」モードがあります。今回は「Expert」モードで紹介していきますが、基本的なOC設定は「Normal」モードでも十分行えるので初心者は無理せず「Normal」モード推奨です。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
「MSI MEG Z490I UNIFY」ではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、標準では全コア動作倍率を指定するAll Coreモードだけが表示されます。
ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は、NormalモードもしくはExpertモードのAll Coreにおいて「CPUの内部倍率を変更」の項目で動作倍率を45と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその45倍の4.5GHzで動作します。
All CoreモードやPer Coreモードでは通常、CPUコア負荷率に応じて動作倍率を下げる省電力機能が働きますが、「MSI MEG Z490I UNIFY」では、「CPU Ratio Mode」の設定項目から省電力機能による動作倍率の変動が発生する「Dynamic Mode」に加えて、指定の最大動作倍率に張り付き動作となる「Fixed Mode」を選択できます。
OC Explore ModeでExpertを選択すると、「CPU Ratio Apply Mode」の項目名でいくつかの動作倍率モードを選択できるようになります。
「MSI MEG Z490I UNIFY」では、全コアの倍率を同じに設定する「All Core」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「Turbo Ratio」(一般に言うところのBy Core Usage)、定格のBy Core Usage倍率に対して一律に倍率オフセットを適用する「Turbo Ratio Offset」、コア別に倍率を適用する「Per Core」の4種類が選択できます。
キャッシュ動作倍率にあたる「キャッシュ動作倍率(BIOS:A11ではRing Ratioと表記されています)」を変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
CPUクロック動作倍率の下にある「CPUベースクロック(CPU Base Clock)」の項目ではその名の通りベースクロック(BCLK)を変更可能です。デフォルトでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで0.05MHz刻みで設定できます。
CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
「CPU Base Clock Apply Mode」ではBIOS設定を保存してから退出して再起動後にBCLKの変更を適用する「Next Boot」とリアルタイムで設定変更を反映させる「Immediate」の2つのモードを選択できます。
その他にもBCLK設定の下にある「Clockgen Features」を選択するベースクロックに関する詳細な設定項目が表示されます。管理人のOCerレベルではよくわかりませんが上級者にとっては嬉しい機能かも。
続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第10世代CPUではCPUコアとキャッシュへの電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定として、「MSI MEG Z490I UNIFY」では「CPU Core Voltage」や「CPU Core Voltage Mode」の項目を変更します。
「MSI MEG Z490I UNIFY」ではCPUコア電圧をマニュアルの設定値に固定する「Override」モードが標準動作ですが、Expertモードを選択すると、CPUに設定された比例値にオフセットかける「Offset」モード、ターボブースト時にのみ昇圧を行う「Adaptive」モードなどを使用できます。
「MSI MEG Z490I UNIFY」でCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するOverrideモードがおすすめです。10コア20スレッドCore i9 10900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安としては最大で1.300~1.350V程度が上限になると思います。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またコアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい電圧設定項目として「DigitALL power」がCPUコア電圧の設定欄の直上にあります。
「DigitALL power」内で特に調整した方がよい項目として「CPUロードラインキャリブレーション」があります。CPUロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能です。補正の強度としてMode1~Mode8まで設定可能となっており、Mode1を補正最大として、添え字の数字が小さくなるほど補正が強くなります。補正を強くするほどOCの安定性は増しますがCPUの発熱も大きくなるので、Mode3あたりを最初に使っておいて、ストレステストのCPU温度をチェックしながら補正を調整するのがおすすめです。
またCPU動作倍率設定の下にある「Advanced CPU Configuration」の下層には「短時間電力制限(Short Duration Power Limit)」「長時間電力制限(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、MSI MEG Z490I UNIFYではCPUコアクロックをOCするとパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「MSI MEG Z490I UNIFY」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
MSI MEG Z490I UNIFYでは「Extreme Memory Profile(X.M.P)」という項目をEnabledに設定することでXMPによるメモリのオーバークロックが可能です。
XMPを使用せず、「DRAM Frequency(DRAM周波数)」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されている動作クロック2133~2666MHzなど周波数およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大8533MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM CH AB/CD Voltage」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
過去のIntel CPUではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU SA Voltage)」を盛るとメモリOCが安定したのですが、Intel第10世代CPU環境における「VCCSA」の影響は今のところよくわかりません。Auto設定で安定しない場合は昇圧を試してみても良いかもしれません。
また今のところZ490環境では不具合を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCIE拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO(CPU VCCIO Voltage)」や「チップセット電圧(PCH Core Voltage)」を盛ると安定するかもしれません。
MSI MEG Z490I UNIFYの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてMSI MEG Z490I UNIFYを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効にしてOSの起動時間を測定したところ、MSI MEG Z490I UNIFYの起動時間は14秒ほどした。MSI MEG Z490I UNIFYは起動が非常に高速です。
「MSI MEG Z490 ACE」にCore i9 10900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、Intel Extreme Tuning Utilityから確認したところ、2コアまでは53倍、全10コアで49倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。しかしながら電力制限については無効化されていたので、BIOS標準設定ではCore i9 10900Kは全コア4.9GHz、CPU消費電力200Wオーバーで動作します。
TDPに対して全コア最大動作倍率が高く設定されているCPUに電力制限を適用してIntelの公式仕様通りに使用したい場合、例えばCore i9 10900Kでは長期間電力制限を125W、短期間電力制限時間を58sに設定してください。
続いてMSI MEG Z490I UNIFYを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 10900KのOC設定は、「MSI MEG Z490I UNIFY」では標準設定で電力制限が無効化されているので特に手を加えません。メモリのOC設定はG.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKのOCプロファイルを適用し、「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.500V」「メモリタイミング:15-16-16-36-CR2」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
MSI MEG Z490I UNIFYの環境(BIOS:1.30)においてメモリのオーバークロックを行ったところ、G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVKのOCプロファイルによる、メモリ周波数を4000MHz、メモリタイミング:15-16-16-36-CR2の超低レイテンシで安定動作を確認できました。「MSI MEG Z490I UNIFY」はセカンド・サードタイミングのオートフィルの精度が非常に優秀です。
また同メモリキットを使用してBIOSから『メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング16-16-16-36-CR2、メモリ電圧1.450V』のようにメモリ周波数と主要タイミングのみのカジュアル設定で4000MHz/CL16のOCを適用したところ、こちらも無事に安定動作を確認できました。
10コア20スレッド「Intel i9 10900K」の電力制限無効化 全コア4.9GHz、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング15-16-16-36-CR2でCinebench R20も問題なくクリアできました。
続いてこの設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。Core i9 10900Kは10コア20スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを2つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。
最初から「MSI MEG Z490I UNIFY」のBIOS標準設定である電力制限を無効化した場合についてですが、ソフトウェアモニタリング上のVRM電源温度は最大57度に収まり、全コア最大動作倍率の4.9GHzに張り付くCore i9 10900Kが安定動作しています。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
また「MSI MEG Z490I UNIFY」はVRM電源クーラーにアクティブ冷却ファンを内蔵していますが、小径のファンが2000RPM以下で回転する程度なので、ファンノイズが気になることはそうそうないはずです。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してMSI MEG Z490I UNIFYのVRM電源温度をチェックしてみました。
「MSI MEG Z490I UNIFY」は標準設定で電力制限が無効化されているので、最初からCore i9 10900Kの電力制限を無効化して全コア4.9GHzにクロックアップした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。MSI MEG Z490I UNIFY環境でCore i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzにクロックアップ、かつメモリも4000MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が250Wに達します。
そんなCPU消費電力200W超級のVRM電源負荷に対して、「MSI MEG Z490I UNIFY」は90A対応Dr. MOSで構成される堅牢な8フェーズVRM電源回路と、2基のアクティブ冷却ファンを搭載するVRM電源クーラーのみで、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングで57度前後、サーモグラフィーのホットスポットでも70度前後に収めることができました。
「MSI MEG Z490I UNIFY」であれば、Mini-ITX対応PCケースで一般的に搭載できる最大サイズとなる240サイズ簡易水冷で運用可能なCore i9 10900Kの電力制限無効化による全コア4.9GHzへのコアクロックにも標準装備のみで十分に対応が可能です。
MSI MEG Z490I UNIFYのレビューまとめ
最後に「MSI MEG Z490I UNIFY」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- Mini-ITXサイズのZ490マザーボード
- 90A対応Dr. MOSで構成される8フェーズの堅牢なVRM電源回路
- リアI/Oカバー一体型ヒートシンクとアクティブ冷却ファンで構成されるVRM電源クーラー
- メモリ周波数4000MHz/CL15で安定動作
- 4000MHz/CL16がカジュアル設定で安定動作、タイミングのオートフィル精度が優秀
- 10900Kの電力制限無効化による全コア4.9GHzでもVRM電源温度は70度前後に収まる
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット「MSI PCI Express Steel Armor slots」
- NVMe対応M.2スロットを2基搭載
- WiFi6、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth5.1に対応した無線LAN搭載
- Thunderbolt3対応USB Type-C端子をリアI/Oに標準搭載
- Realtek製2.5Gbイーサ(RTL8125B)をリアI/Oに標準搭載
- CMOSクリアスイッチをリアI/Oに搭載
- 製品価格が3万円ほどと高価
- HDMIビデオ出力はver1.4なので4K/30FPSが上限
「MSI MEG Z490I UNIFY」はMini-ITXサイズながら、90A対応Dr. MOSで構成される8フェーズVRM電源、一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するRealtek製2.5Gbイーサ、次世代規格WiFi6に対応したIntel AX201無線LAN、USB3.1 Gen2の4倍の帯域を実現するThunderbolt3端子などを搭載し、ハイエンドATXマザーボードに引けを取らないほど高性能な各種コンポーネントをコンパクト基板へてんこ盛りに詰め込んだ製品に仕上がっています。
ATX版MEG Z490 UNIFYの血脈を感じさせる質実剛健な黒一色のカラーリングに加えて、マザーボードでは珍しい丸みを帯びたリアI/Oカバー&クーラーヒートシンクが目を引くデザインもまた魅力です。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のBIOSデザインについては好みの問題かと思いますが、マウス&キーボード環境を想定したグラフィカルなUIが採用されており管理人的には少し使いづらいと感じてしまいました。個人的にMSIマザボを敬遠してしまう理由の1つではあるのですが、グラフィカルUIが好きなユーザーにとっては嬉しい仕様だとも思うので個々人の好みで評価は分かれるところです。
「MSI MEG Z490I UNIFY」のBIOS標準設定(ver110)でCore i9 10900Kを動作させるとTDP125W制限が無効化されます。BIOSから手動設定を行えばIntel公式仕様値通りに動作させることが可能ですが、電力制限無効化の場合、CPUクーラーは240サイズ以上の簡易水冷CPUクーラーが推奨されるくらいの発熱が生じるので注意が必要です。
MSI MEG Z490I UNIFYを使用した検証機では10コア20スレッドのIntel Core i9 10900Kを電力制限無効化で全コア4.9GHzへのクロックアップ、さらにメモリ周波数も4000MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「MSI MEG Z490I UNIFY」はMini-ITXサイズながら非常に優秀な冷え具合を発揮しました。「MSI MEG Z490I UNIFY」であれば240サイズなどのマルチファン簡易水冷と組み合わせてもVRM電源温度を気にすることなくCore i9 10900Kをフル活用できます。
10コア20スレッドのCore i9 10900Kを電力制限無効化によって全コア4.9GHzにクロックアップすると、EPS電源経由のCPU消費電力が200Wを超えますが、「MSI MEG Z490I UNIFY」ではその強烈なVRM電源負荷に対しても、90A対応Dr. MOSなどで構成される8フェーズの堅牢なVRM電源回路が適切に熱を分散します。
Mini-ITXサイズの限られた実装スペースの中、VRM電源ヒートシンクの役割を果たす金属製リアI/Oカバー内にアクティブ冷却ファンを内蔵し、さらにヒートパイプ連結によって上側ヒートシンクを拡張するという構造のVRM電源クーラーによって、標準装備のみでVRM電源温度を70度前後に収めることに成功しています。VRM電源冷却ファンは標準設定のままでも十分な静音性を実現しており、この辺りのチューニングも流石MSIという感じです。
メモリOCについては、メモリ周波数と主要タイミングのみを指定するカジュアルOC設定で、デュアルチャンネル4枚刺しのメモリ周波数4000MHzにおいてメモリタイミング16-16-16-36-CR2まで詰めることができ、さらに「G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK」に収録されたメモリ周波数4000MHz/メモリタイミングCL15の超低レイテンシなXMPプロファイルも安定動作しました。
「MSI MEG Z490I UNIFY」はBIOSにお任せになることの多いセカンド・サードタイミングのオートフィルの精度も優秀なのだと思います。
以上、「MSI MEG Z490I UNIFY」のレビューでした。
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MSI MEG Z490I UNIFY レビュー
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 21, 2020
良い
✅90A対応Dr. MOSによる8フェーズVRM電源
✅10900Kの電力制限無効化でもVRM電源温度は70度前後
✅メモリ周波数4000MHz/CL15で安定動作
✅Thunderbolt3をリアI/Oに標準搭載
悪いor注意
⛔HDMIビデオ出力はver1.4なので4K/30FPSが上限https://t.co/br2uTb6vZ2
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Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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