Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm


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38mm厚で放熱性能の高いラジエーターを採用するAIO水冷CPUクーラー Core Ocean T38シリーズから、汎用性の高い240サイズモデル「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」をレビューします。
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代理店公式ページ:https://techace.jp/4250197130516-JP
製品公式ページ:https://www.alphacool.com/shop/aios-sets/cpu-aio/29690/alphacool-core-ocean-t38-aio-240mm





レビュー目次


1.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの梱包・付属品
2.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの水冷ヘッドと水冷チューブ
3.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのラジエーターと冷却ファン


4.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの検証機材・セットアップ

5.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのファンノイズと冷却性能

6.Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのレビューまとめ



【機材協力:Alphacool 国内正規代理店 TechAce】



Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの梱包・付属品

まずはAlphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの外観や付属品をチェックしていきます。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は製品パッケージを開くと、外装の中にCPUクーラーや付属品に合わせた形のパルプモールドが入っていました。パルプモールドにぴっちりと内容品が収められており、必要最小限のパッケージサイズに押さえられています。
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マウントパーツを詳しく見ていくと、Intelプラットフォーム用では、リテンションブラケット、バックプレート、Intel LGA1700/1200/115X用スクリュー、Intel LGA2066用スクリューがあります。
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AMDプラットフォーム用では、リテンションブラケット、スクリュー、PVCワッシャーがあります。
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Intel/AMDの両プラットフォーム共通で使用するものは、スプリングと金属製ワッシャーとナットがあります。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は240サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、2基の冷却ファンを一括で制御できるように2分岐ケーブルが付属しています。あと熱伝導グリスも付属しています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本が付属します。
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CPUクーラー本体を取り出すと、水冷ヘッドからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
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ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
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Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの水冷ヘッドと水冷チューブ

続いて「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッド本体をチェックしていきます。
「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッドは黒色プラスチック製外装、立方体の角を1つだけ落とした形状でシンプルな外観です。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッドからは、水冷ポンプへの給電・制御用のPWM対応4PINファン端子と、水冷ヘッドに内蔵されたLEDイルミネーションへの給電およびライティング制御用のARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDケーブルが伸びています。LEDケーブルの先端はオス端子とメス端子の2本に分岐しています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッドに内蔵された水冷ポンプの給電および速度制御は4PINファン端子から行います。
水冷ポンプはPWM速度調整に対応しており、デューティ比を20~100%で調整した場合、ポンプ速度(回転数)を600~3200RPM程度で制御できます。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッドにはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷ヘッドに搭載されたLEDイルミネーションは、ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーがあるLEDコントローラーによるライティング制御に対応しています。
マザーボードについては同社のMSI Mystic Lightを始めとして、ASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusionなど国内主要4社マザーボードのライティング制御機能による操作が可能です。
ARGB_VD-G_3PIN_Header
またFractal Design Adjust 2のような市販のVD-G型3PIN LEDヘッダーのARGB対応LEDコントローラーでもライティング制御が可能です。
Fractal Design Adjust R1


「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のCPUと接触するベース部分は銅製ベースプレートが採用されています。
銅製ベースは鏡面磨き上げではなく、指で触ると僅かながらザラザラした感じはあるものの、しっかり平滑化されています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のリテンションブラケットはスライド構造で水冷ヘッドに着脱します。リテンションブラケットはIntel用(LGA1700/1200/115X/LAG1200/LGA2066)とAMD用(AM5/AM4)の2種類です。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷チューブは立方体の水冷ヘッドの側面(右下ロゴを正しい向きに見て3時の方向)からL字エルボーを介して出る構造になっています。
L字エルボーの水冷ヘッド側根本はロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離は広めでチューブも細いので同じ方向でも180度近くまで回すことができます。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷チューブには高耐久なFEP製チューブが採用され、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれているので、見栄えも良く、取り回しにも優れています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の水冷チューブの長さは400mm弱ほどです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップやリアだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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水冷チューブの外径は10.6mm程度と細く、折り曲げも容易でした。ただ強く曲げると内部が塞がっているかは分かりませんが、スリーブ内部でチューブ本体の曲げ部分が潰れた感じになったので曲げ過ぎには注意が必要です。
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Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのラジエーターと冷却ファン

続いてAlphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのラジエーター部分をチェックしていきます。
今回レビューする「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は240サイズラジエーターを採用したモデルですが、Alphacool Core Ocean T38 AIOシリーズには120/240/280/360/420のラジエーターサイズ別に計5モデルがラインナップされています。

「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のラジエーターは黒色外装で、側面にAlphacoolのメーカーロゴが描かれているだけというシンプルなデザインです。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の放熱フィンピッチは19FPIです。
密度が高い分、放熱フィンの放熱性能は高まりますが、静圧の低いケースファンや低回転数動作の場合、十分なパフォーマンスを発揮できない可能性もあるので注意が必要です。
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簡易水冷CPUクーラーのラジエーターの一般的な厚みは30mm前後ですが、「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は38mmと厚みの大きいラジエーターが採用されています。
付属品など25mm厚の冷却ファンと組みわせた場合、ファン&ラジエーターマウントスペースのクリアランスは63mmほど必要になります。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は240サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーなので、同社製の「Alphacool Core 120」という120mm角冷却ファンが標準で2つ付属します。
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Alphacool Core 120の定格(最大)回転数は2500RPM、PWM速度調整に対応し、0~2500RPMの範囲内で制御可能です。
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軸受けにはMTBF(平均故障間隔)が50,000時間で長寿命な油圧ベアリング(Hydraulic Bearing)を使用しています。固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制する効果があります。
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Alphacool Core 120からはPWM対応4PINファンケーブルが伸びています。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」には、冷却ファンを固定するための長ネジが4本×2セットで計8本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×2セットで計8本が付属します。
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冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。

冷却ファンをラジエーターに固定すると「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は下のようになります。
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Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの検証機材・セットアップ

Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmを検証機材のベンチ機にセットアップします。各種CPUクーラーの検証を行うベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU
Intel Core i9 13900K
レビュー
AMD Ryzen 9 7950X
レビュー
M/B ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO
レビュー
ASUS ROG CROSSHAIR X670E HERO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z5 Neo
F5-6000J3038F16GX2-TZ5N
DDR5 16GB×2=32GB (レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システム
ストレージ
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット
Corsair HX1200i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


ベンチ機のシステムメモリにはAMD EXPOによるメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」も使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
G.Skill Trident Z5 Neo

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。
Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
Samsung SSD 980 PRO 1TB


CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

CPU-Cooler-mount-ideal


前置きはこのあたりにしてベンチ機へAlphacool Core Ocean T38 AIO 240mmをセットアップします。


「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のCPUクーラーマウントにおいてIntel LGA1700環境では、Intel用リテンションブラケット、Intel用バックプレート、Intel LGA115X用スクリュー×4本、金属製ワッシャー×4個、ナット×4を使用します。
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まず下準備として水冷ヘッドにリテンションブラケットを装着します。
リテンションブラケットの金属フレーム自体はスライド構造で水冷ヘッドの溝にはめるだけです。順番は前後してもいいですが、リテンションブラケットのネジ穴にスプリングとワッシャーを挟んでハンドスクリューを挿し込み、さらにリテンションブラケットを挟む形でワッシャーでハンドスクリューを固定します。ハンドスクリューのネジ山は2段構造になっていてネジ頭側のネジ山がワッシャーと噛み合います。
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ハンドスクリューとワッシャー・スプリングはワッシャーによってリテンションブラケットに保持されるので、水冷ヘッドの固定中に脱落してバラける心配はありません。
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AMDプラットフォームの場合はプラスチック製ワッシャーが追加されますが下準備自体は同じです。
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続いてバックプレートには最初から両面テープが貼ってあるので、保護フィルムを剥がして、マザーボード裏面からCPUクーラー固定用ネジ穴に合わせて貼り付けます。
両面テープで貼り付けるのでちゃんと接着できていれば脱落することはありませんが、表面からスタンドオフで挟み込むなど、もっとしっかりした固定方法を採用して欲しかったところです。
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マザーボードを裏返してCPUソケット周辺のネジ穴に合わせてバックプレートを装着し、バックプレートを落とさないように注意して表に戻します。
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水冷ヘッドをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のCPUと接触するベース部分には、購入時点では保護フィルムで保護されています。CPUクーラー装着前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
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熱伝導グリスを塗ったらリテンションブラケットから延びるネジにバックプレートのネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。この位置合わせがPCケース内のようなスペースの限られる状態だと少々厄介です。
CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
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「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は水冷ヘッド自体のサイズが大きく、さらに右側面からL字エルボーを介して水冷チューブが伸びる構造なので、CPUソケットに最も近いメモリスロットと干渉してしまう可能性があります。
CPUソケット寄り2つ目のメモリスロットまで被さることはないので、メモリ2枚刺しなら問題ありませんが、厚みのあるメモリヒートシンクを搭載したメモリで4枚刺しとなると干渉する可能性が高そうなので注意してください。
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以上で、「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の装着は完了です。
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Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのファンノイズと冷却性能

本題となるAlphacool Core Ocean T38 AIO 240mmの冷却性能と静音性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のファンノイズをファン回転数別で測定しました。検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。

Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのラジエーター冷却ファンのファンノイズを測定したところ次のようになりました。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmはラジエーター冷却ファンを1100~1300RPM前後に収まるようにするとノイズレベル35dB前後となり、静音動作で運用できると思います。
Alphacool Core Ocean T38 AIOの水冷ヘッドは外装カバーがプラスチック製となっており、大きなカバーに対して内部は空洞なので、ポンプを最大速度で動かすと動作音が若干反響しました。800RPM以下でノイズレベルが下がらなくなるのはそれがボトルネックになっているからです。PCケースに入れた時にポンプノイズが気になるかどうかは微妙な線です。
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上のグラフの通り、冷却ファンを付属品から「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて300PRM~400RPM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。
またベージュ&ブラウンの独特なカラーリングが苦手という人には、NF-A12x25とほぼ同等品で黒一色なカラーリングの「Thermaltake TOUGHFAN 12」がオススメです。
HP-Fan


続いて「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてHandBrakeによるx264動画エンコードを使用しています。
4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3並列実行のようにメニーコアでもCPUに遊びが生じないよう動画エンコードの並列実行数は適宜調整しています。なおテスト中の冷却ファンや水冷ポンプの回転数は一定値に固定します。
Intel Core i9 13900K_Stress
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。


まずはIntel第13世代Raptor Lake-S最上位モデル、24コア32スレッドCPUの「Intel Core i9 13900K」を使用して、Intel第13世代Core-S環境における、「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の冷却性能を検証していきます。

Core i9 13900Kの動作設定はPL1/PL2:253Wの定格動作とし、メモリOC設定については検証機材メモリ「G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」に収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング30-38-38-96、メモリ電圧1.350Vです。メモリコントローラー周波数UCLKは1:1同期、Infinity Fabric周波数FCLKは2000MHzです。

Core i9 13900Kを定格設定のPL1/PL2:253Wで動作させると、フル負荷時にP-Core All 5.2GHz、E-Core All 4.1GHz程度となり、Cinebench R23のスコアは39000前後になります。またこの動作設定において上で紹介したx264エンコードによるストレステストを実行すると、EPS電源経由の消費電力は300W前後に達します。
Intel Core i9 13900K_def_Cinebench R23
Intel Core i9 13900K_def_Power

「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のラジエーター冷却ファンを1400RPM(ポンプ速度は最大)に固定してストレステストを実行したところ、定格動作であるPL:253WのCore i9 13900KのCPU温度は最大96度、平均90.3度に収まりました。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Core i9 13900K_253W_1
高温ではあるものの安定動作しており、サーマルスロットリングが発生する臨界温度100度よりは低いので、CPU Package Powerは253W前後に張り付き、実動CPUコアクロックはP-Core All 5.2GHz、E-Core All 4.1GHz程度でした。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Core i9 13900K_253W_2

Core i9 13900KやCore i7 13700Kは定格のまま運用すると絶対性能を重視した設定なのでCPU消費電力がかなり高くなりますが、CPU Package Powerを180~200Wまで下げてもマルチスレッド性能の低下は10%程度であり、PL:155Wもあれば定格設定からゲーム性能が下がることもありません。
Intel Core i9 13900K_Performance_per-and-game
なのでCore i9 13900Kの動作倍率は定格設定のまま、長期間電力制限PL1を200Wに制限したケースについて検証してみました。短期間電力制限PL2は定格と同じく253W、短期間電力制限時間Tauは56秒としています。
Intel Core i9 13900K_PL-200W_BIOS

CPU Package Powerが253W前後で推移する定格設定ではベンチ板測定でもCPU温度が90度を超えてしまいますが、PL1を200Wに設定すれば長期的な負荷に対して80度前後に収まります。PL1:200Wの設定なら電力制限の影響が大きいマルチスレッド性能も性能低下は10%未満です。
「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」で静音性も維持しつつ80度以下でCPUをしっかり冷やす、という条件になると、Core i9 13900KなどIntel第13世代CPUの場合はPL1:180~200W程度を目安に設定するのが良さそうです。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Core i9 13900K_200W_1
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Core i9 13900K_200W_2


続いてAMD Ryzen 7000シリーズ最上位モデル、16コア32スレッドCPUの「AMD Ryzen 9 7950X」を使用して、AMD Ryzen 7000シリーズ環境における「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の冷却性能を検証していきます。
Ryzen 9 7950Xの動作設定は定格のまま、メモリOC設定については検証機材メモリ「G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」に収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング30-38-38-96、メモリ電圧1.350Vです。メモリコントローラー周波数UCLKは1:1同期、Infinity Fabric周波数FCLKは2000MHzです。

この設定においてRyzen 9 7950XのCinebench R23のマルチスレッドスコアは38000ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したx264エンコードによるストレステストを実行すると、EPS電源経由の消費電力は210~240W前後に達します。
AMD Ryzen 9 7950X_def_Cinebench R23
AMD Ryzen 9 7950X_def_Power

「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のラジエーター冷却ファンを1400RPM(ポンプ速度は最大)に固定してストレステストを実行したところ、Ryzen 9 7950XのCPU温度は95度前後に達しました。
CPU温度は高温ですが「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」が特殊(冷却性能が低い)というわけではありません。
Ryzen 9 7950XはCPUにフル負荷がかかるシーンだと閾値温度95度もしくはPPT:230Wを上限として動作しますが、市販製品で最高クラスの冷却性能を発揮する360サイズAIO水冷CPUクーラーを組み合わせても基本的にCPU温度がボトルネックとなります。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Ryzen 9 7950X_1
「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」の場合もやはりRyzen 9 7950XのCPU温度は95度前後に達しますが、その状態でCPU Package Powerが平均195W程度で推移しており、コアクロックも全コア5.1GHz程度の実動値で安定して動作しています。
上を目指せばCPU Package Powerが200W超で安定するCPUクーラーもありますが、性能的には誤差の範囲内なので、「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」はCPU消費電力が200W前後になるRyzen 9 7950Xのポテンシャルを十分に引き出せる冷却性能を備えている、と評価して良い結果です。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm_temp_Ryzen 9 7950X_2



Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mmのレビューまとめ

最後に「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 水冷ヘッドにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載
  • 一般的なものより10mm程度大きい38mm厚のラジエーター
  • 200~250WのCore i9 13900Kを運用可能な冷却性能
  • 200W前後のRyzen 9 7950Xを運用可能な冷却性能
悪いところor注意点
  • 水冷ポンプは最大速度にした時にノイズレベルがやや高い
  • 水冷ヘッドが大きいのでCPUソケット寄りのメモリスロットと干渉する可能性あり
  • Intel LGA1700/1200でバックプレートの固定が両面テープ
  • 水冷ヘッドの固定でネジの位置合わせがしにくい

冷却性能の検証結果からもわかるように「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」は、200Wクラスの電力負荷になるメインストリーム向け最上位CPUのCore i9 13900KやRyzen 9 7950Xに対応可能な冷却性能を実現しています。

今回レビューしたのは汎用性の高い240サイズですが、Alphacool Core Ocean T38シリーズにはPCケースリアにも設置可能なコンパクトサイズの120サイズや、さらに高冷却性能な280サイズ/360サイズ/420サイズも展開されており、ユーザーにニーズに合わせてラジエーターサイズを選択できます。

Alphacool Core Ocean T38 AIOは優れた冷却性能を実現しており、安価に購入できるところは評価できるのですが、水冷ヘッドの固定については正直なところネガティブな評価です。
AMD AM5のようにバックプレートが標準でネジ止めされているなら別ですが、付属バックプレートを使用する必要があるIntel LGA1700/1200やAMD AM4では水冷ヘッドを固定するまでは両面テープによる接着に頼る必要があり、またリテンションブラケットから伸びる固定ネジをバックプレートのネジ穴の位置に合わせる微調整もPCケース内のような限られたスペースでは作業し難くいので、もう少し工夫して欲しかったところ。

以上、「Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm」のレビューでした。
Alphacool Core Ocean T38 AIO 240mm




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「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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