
スポンサードリンク
Core i9 12900Kなど第12世代Alder Lake-S CPUに対応するZ690チップセット搭載マザーボードとしてASUSからリリースされた、105A対応Dr. MOSで構成される11フェーズの堅牢なVRM電源を搭載し、リアI/OのUSB Type-Cポート×2はThunderbolt4に対応するMini-ITXマザーボード「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」をレビューします。
VRM電源クーラーとしてリアI/Oカバーと一体化した超大型アルミニウム製ヒートシンクに加え、冷却ファンを内蔵するアクティブ冷却構造を採用した同マザーボードが、Core i9 12900Kに対応できるか、徹底検証していきます。

製品公式ページ:https://rog.asus.com/jp/motherboards/rog-strix/rog-strix-z690-i-gaming-wifi-model/
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI レビュー目次
1.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの外観・付属品
2.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの基板上コンポーネント詳細
3.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの検証機材
4.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOSについて
5.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのOC設定について
6.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの動作検証・OC耐性
7.ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのレビューまとめ
【注意事項】
同検証は2022年2月上旬に行っておりASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOSは1003を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://rog.asus.com/jp/motherboards/rog-strix/rog-strix-z690-i-gaming-wifi-model/helpdesk_bios
【2022年2月10日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1003で検証
【機材協力:ASUS Japan】
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの外観・付属品
まず最初にASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの外観と付属品をチェックしていきます。
外パッケージの蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、下段には各種付属品が入っていました。

マニュアルなど冊子類で必要なものが一通り揃っています。ASUS製のマザーボードなので定評のある詳細日本語マニュアルも付属します。その他にもコースター、ステッカーなどが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。

組み立てに関連する付属品としては、SATAケーブル2本、WiFiアンテナ、M.2 Q-LATCH、フロントI/Oケーブル、ROG USB2.0スプリッターケーブル、ROG STRIX フロントパネル SATAカードとなっています。


ASUSマザーボードの一部に付属する「Q-Connector」はパワースイッチやパワーLEDなどフロントI/Oの細かい端子を丸ごとマザーボードに装着できるので組み立て時にあると便利な付属品ですが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」にはフロントパネルケーブルという名前の機能的には同等品が付属します。

マザーボード全体像は次のようになっています。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIはMini-ITXフォームファクタのマザーボードです。

マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクはM.2 SSD用ヒートシンクと重なって同じ場所に設置されています。
従来よりも1層増えたトリプルデッカーデザイン(Triple-decker Design)と呼ばれる三層構造型ヒートシンクにより、2基のM.2スロットおよびM.2 SSDヒートシンクはPCHヒートシンクから分離され、PCHとM.2の排熱が互いに影響を及ぼすことを防止しています。



三層構造型ヒートシンクはリアI/Oカバーよりも高く、高さは50mm程度もあるので、トップフロー型空冷CPUクーラーを使用する人は干渉に注意してください。

ROG STRIXシリーズというと、日本語、英語、中国語など複数の言語によるサイバーテキストパターンが人を選ぶデザインでしたが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」では同デザインが無くなり、シンプルかつスタイリッシュなデザインに変わりました。
リアI/Oカバーを装飾するトッププレートは2019年後半頃から採用が始まった、マザーボードを斜めにカットするレインフォールパターンが設けられており、内蔵冷却ファンの吸気エアスリットとしての役割も果たします。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」はMini-ITXマザーボードながら、アルミニウム製でVRM電源クーラーヒートシンクも兼ねる大型リアI/Oカバーが装着されています。
リアI/Oカバー天面を支える側面こそネジ止めの2ピース構造ですが、VRM電源ヒートシンクからリアI/Oカバーの天面まではモノブロック構造で超巨大なVRM電源クーラーとなっています。またCPUソケットの上側と左側のヒートシンクはヒートパイプによって連結されています。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のリアI/Oカバーには、VRM電源ヒートシンクの放熱を補助する冷却ファンが内蔵されており、リアI/Oカバー天面の通気口から吸気するアクティブ冷却が採用されています。冷却ファンには独自にカスタマイズされ6万時間の長寿命を実現するDELTA製ファンが採用されています。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のVRM電源冷却ファンはBIOSメニュー上で「VRMヒートシンク ファン」として登録されており、VRM電源温度をソースにしたファン制御カーブの設定が可能です。標準設定のファン動作プロファイルは”標準”となっており、VRM電源温度が十分に低ければファンが完全に停止するセミファンレス動作にも対応しています。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIはスペースの限られるMini-ITXサイズながら、Intel第12世代CPU上位モデルにも対応できるよう、10+1フェーズの堅牢なVRM電源回路が実装されています。

CPUコア向け10フェーズには105A対応Dr. MOSが採用され、ごく高温にも耐久性を発揮する高品質合金チョークコイルとコンデンサ、VRM電源回路の発熱を効率的に拡散する10層PCB基板など構成素子や回路設計も高品質です。

16コア24スレッド倍率アンロックのCore i9 12900Kに対応とするZ690チップセット搭載の上位マザーボードではCPU電源としてEPS 8PIN+4PINや8PIN×2を要求するものも少なくありませんが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」はMini-ITXフォームファクタということもあり要求されるのはEPSコネクタは8PINが1つです。
また「ProCool II」と呼ばれる設計のEPS電源コネクタは、低インピーダンスなソリッドピンによってホットスポットの発生を抑制し、金属アーマーはコネクタの補強とともに熱拡散も補助します。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIには、マザーボード一体型リアI/Oバックパネル「プリマウントI/Oシールド」が採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。

以下USB規格に関する説明がありますが『USB3.2 Gen2 = USB3.1 Gen2』、『USB3.2 Gen1 = USB3.1 Gen1 = USB3.0』と考えて基本的に問題ありません。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のリアI/Oに実装された2基のUSB Type-Cポートは次世代規格Thunderbolt4に対応しています。DisplayPort Alternate Modeによるビデオ出力に対応し(映像ソースはiGPU)、USB Power Delivery規格によって15W(5V/3A)の電力供給も可能です。

その他にも、USB3.1 Gen2規格に対応した2基のType-A端子(赤色)、USB3.1 Gen1規格に対応した3基のType-A端子(青色)、2基のUSB2.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに余裕で対応可能です。USB3.Xは無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので、USB2.0が少し離れた場所に設置されているのは地味に嬉しいポイントです。
iGPU用のビデオ出力として、HDMI 2.0×1、Thunderbolt4対応USB Type-C×2(DisplayPort1.4 Alternate Mode)の2系統を搭載しています。

有線LANには一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するIntel製LANコントローラー I225-V(Foxville)による2.5Gb LANが搭載されています。
さらに従来の2.4GHz帯と5GHz帯に加えて、グローバルに免許不要で使用可能な6GHz帯もサポートするWiFi 6E&Bluetooth5.2に対応した無線LAN(Intel AX210)も搭載しています。(注:2022年2月現在、日本国内では法令に基づく規制のため6GHz帯は使用不可。将来的に使用できるようになる予定)
接続規格としてはWi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax、2.4/5GHz/6GHzトライバンド、最大通信速度2400Mbps、Bluetooth 5.2に対応しています。リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。

Intel I225-V(Foxville)、Intel AX210など「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」に搭載されているネットワーク機器はWindows11の標準ドライバで動作します。
条件次第では問題になることもあるので詳しくはこちらの記事を参照してください。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は「USB BIOS FlashBack」に対応しています。所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続して、オンボードボタンを押すと「USB BIOS FlashBack」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの基板上コンポーネント詳細
続いて「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。「ASUS ROG STRIX B660-F GAMING WIFI」を始めとしてASUS製Z690マザーボードの多くは、Intel LGA1700標準のCPUクーラーマウントホールに加えて、従来のLGA1200/115X互換のマウントホールも併設されており、LGA1700対応マウント部品がないCPUクーラーも使用できます。
ROG MAXIMUSのようなハイエンドから、TUF Gaming/PRIMEのようなエントリークラスまで、LGA1200互換で設計されているので、CPUクーラー選びで迷ったらASUS製マザーボードにすると楽です。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」はシステムメモリの最新規格DDR5に対応しています。従来規格のDDR4と下方互換はなく使用できないので注意してください。
システムメモリ用のDDR5メモリスロットはCPUソケット右側に2基のスロットが設置されています。固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCIEスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。

PCIEスロットはグラフィックボードなどを設置するためのx16サイズスロットが1基のみ実装されています。帯域はCPU直結のPCIE5.0x16で排他利用はありません。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIにも最近のトレンドとしてx16サイズスロットには1kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように、従来のプラスチックスロットよりも垂直方向の力に対して1.6倍、水平方向の力に対して1.8倍も強靭になった補強用メタルアーマー搭載スロット「SAFESLOT」が採用されています。

AMD Radeon RX 6000シリーズGPUとAMD Ryzen 5000シリーズCPUの組み合わせがサポートするAMD Smart Access Memoryの名前の方が有名ですが、PCIE規格で策定されているVRAMフルアクセス機能「Re-Size BAR (Base Address Register)」にもASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIは対応しています。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIではUSB Type-C型インターフェースによってフロントパネルやSATAポートを増設する独自のライザーカード「ROG STRIX フロントパネル SATAカード」が採用されています。


電源スイッチなどフロントパネルヘッダーは「ROG STRIX フロントパネル SATAカード」に実装されていますが、同ライザーカードを使用しなくても電源はオン/オフできるよう、電源ボタン用ヘッダーはマザーボード上にも実装されています。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIにはSATAストレージ用の端子は4基搭載されています。SATA_1~4の4基はIntel Z690チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。

外観の章で簡単に触れたように、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のPCH部にはトリプルデッカーデザイン(Triple-decker Design)と呼ばれる三層構造型ヒートシンクが採用されていて、NVMe M.2 SSDに対応したM.2スロットは専用のM.2カード上に実装されています。このM.2カードにはファン端子、内部USB2.0、HDフロントオーディオなど各種ヘッダーも実装されています。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」では、高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットは専用M.2カードの上段と下段の2か所に計2基が設置されています。
M2_1は第12世代CPUで新たに追加されたCPU直結PCIE4.0x4レーンに接続されており、PCIE4.0x4接続のNVMe接続M.2 SSDに対応しています。
M2_2はチップセット経由PCIEレーンに接続されており、NVMe(PCIE4.0x4)接続とSATA接続のM.2 SSD両方に対応をサポートし、排他利用はありません。

・PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDのレビュー記事一覧へ

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のM.2スロットには表面と裏面ともにM.2 SSDヒートシンクが装着されており、M.2 SSDのサーマルスロットリング発生を抑制する効果が期待できます。
2つのM.2スロットはいずれも両面ヒートシンク設計を採用しており、背面金属プレートも表面同様にサーマルパッドを介してM.2 SSDと接します。

マザーボード右端には最新接続規格USB3.2 Gen2x2に対応する内部USB Type-Cヘッダーと、内部USB3.0ヘッダーが実装されています。

M.2スロットボード上に内部USB2.0ヘッダーが1基だけ設置されています。Corsair iCUEやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えているので、内部USB2.0が2基でも不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブの「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」がおすすめです。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」にはROG USB2.0スプリッターケーブルという内部USB2.0の分岐ケーブルが付属します。

ROG USB2.0スプリッターケーブルを使用すれば2基の内部USB2.0ヘッダーが使用できるように思えますが、「NZXT INTERNAL USB HUB (Gen3)」や「Thermaltake H200 PLUS」とは異なり、ROG USB2.0スプリッターケーブルは下の図のようにピンを延長分岐しているだけなので、実際には使い勝手の悪い分岐ケーブルです。ユーザーに対して誤解を招くという意味で、ない方がマシな付属品というのが正直なところ。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIはMini-ITXマザーボードながら、ALC4080やSavitech SV3H712によって、高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「SupremeFX」も採用されています。
ALC4080は従来のハイレゾオーディオ(HDA)インターフェイスの代わりにUSBインターフェイスを使用し、192〜384kHzのオーディオ解像度に対応します。ヘッドホンアンプにはSavitech社SV3H712を採用することで、THD+N性能が従来の-72dBから-83dBへと大幅に向上し、より低ノイズで微妙なニュアンスを再現可能になっています。
デジタル部とアナログ部の基板分離、ニチコン製オーディオクラスコンデンサの採用などヘッドホン・スピーカー出力の高音質化にも注力しており、最近のゲーミングマザボはサウンドボード要らずです。

冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上端とM.2カード上に計3基が設置されています。Mini-ITXマザーボードはファン端子が2基しかないものも多いので冷却を重視するユーザーには嬉しい数です。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」にはMini-ITXマザーボードながら、CMOSクリアボタンがリアI/Oに実装されているところも注目ポイントです。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの検証機材
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 12900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) Kingston FURY Beast DDR5 DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB(レビュー) |
OS | Windows 11 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れ、16GB×2枚組み32GBの大容量で6000MHz/CL36のメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS」を使用しています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで6000MHz OCに対応!

360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む

ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?

以上で検証機材のセットアップが完了となります。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOSについて
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOSにアクセスすると「アドバンスドモード(Advanced Mode)」という従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。
「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。

特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。

BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://rog.asus.com/jp/motherboards/rog-strix/rog-strix-z690-i-gaming-wifi-model/helpdesk_bios
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。


ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。
「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。

ちなみにWindows11の製品パッケージに付属するUSBメモリではUEFIで認識できないトラブルが発生することがあるようです。その場合はマイクロソフト公式ツールを使用して適当なUSBメモリでOSインストールメディアを作成すると上手くいきます。大型アップデート適用済みのインストールメディアに都度更新できるので1つ用意しておくのがオススメです。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のリセットスイッチは「Flexkey」と名付けられており、BIOS上から、「リセット」「AURA オン/オフ」、「DirectKey(起動してBIOSメニューを表示)」など押下時の機能を切り替えることができます。

従来のASUS製マザーボードでは「モニタ(Monitor)」のタブページを開くと、温度・電圧モニタリングやファン制御設定が一気に列挙されていたのですが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」を含め最新のIntel 500シリーズマザーボードでは、温度モニター、ファン回転数モニター、電圧・電流モニター、Q-Fan設定の4つの小項目に分けられ、より扱いやすくなっています。

マザーボード上のコンポーネント詳細でも紹介した外部温度センサーについてはBIOS上からも温度をモニタリングできます。簡易水冷(AIO水冷)ポンプ専用の項目も用意されており、ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIであれば冷却機能周りは空冷・水冷ともにほぼ全てBIOS上でコントロール可能です。



モニタ - Q-Fan設定の順にアクセスするとファン制御設定ページが表示されます。

BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子とCPU OPT端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、各種温度ソースからファンコントロールが可能です。

ファン制御モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されていますが、DC速度調整の場合は制御プロファイルを手動にすると、下限温度以下で冷却ファンを停止させる所謂セミファンレス機能を実現する「ファンの停止許可」の設定が表示されます。

ASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能「Q-Fan Control」があります。機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のVRM電源クーラーに内蔵された冷却ファンはBIOSメニュー上で「VRMヒートシンク ファン」として登録されており、VRM電源温度をソースにしたファン制御カーブの設定が可能です。
標準設定のファン動作プロファイルは”標準”となっており、VRM電源温度が十分に低ければファンが完全に停止するセミファンレス動作にも対応しています。
標準以外にも、サイレント、ターボなどのファン制御プロファイルを選択でき、手動では任意のファン制御設定が可能です。VRM電源冷却ファンもその他のファン端子と同様にファンを制御できます。

手動モードにおいて、最小デューティサイクルを0にすると、VRM電源温度が下限温度以下の時にVRM電源冷却ファンを停止するので、セミファンレス動作のような設定も可能です。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのOC設定について
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のオーバークロック設定は「Ai Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。
「Ai Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のオーバークロック設定項目の最初にある「AI Overclock Tweaker」ではプルダウンメニューから「Auto」「Manual」「XMP」の3つの設定モードが選択できます。
Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。ManualモードはBCLK等の詳細なOC設定項目が解放される上級者向けの設定モードです。XMPモードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。
OC初心者はXMPを使用しないならAutoモード、XMPを使用するならXPMモードを使用すればOKです。

CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
Intel製CPUのコアクロックは定格では、負荷がかかっているコア数に対して最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定する”By Core Usage”という設定が採用されています。
一例として4コアCPUで負荷がかかっているコア数1~4に対する倍率として[45:43:43:42]のように設定されている場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作(BCLKが100MHzなら4.5GHz)、2つと3つの場合は43倍動作、4つの場合は42倍動作となります。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」がサポートするIntel第12世代Core-Sは高性能コアP-Coreと高効率コアE-Coreの2種類の混成でCPUが構成されています。
OC設定に関して言えば、P-CoreとE-Coreは従来のIntel製CPUが2つ内蔵されているイメージで、それぞれ個別に動作倍率を設定します。なお電圧設定はP-CoreのOCではコア電圧を昇圧するだけ、E-CoreもOCする場合はコア電圧に加えてL2キャッシュ電圧も昇圧します。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIではCPU内部クロック倍率の設定モードとして、マザーボードのお任せとなる「Auto」、全コアの倍率を同じに設定する「Sync All Cores」、負荷のかかっているコア数によって最大動作倍率を設定する「By Core Usage」、自動的にOC設定を最適化してくれる「AI Optimized」の4つのモードが存在します。

一般ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「Sync All Cores」モードを選択して「1コアの倍率制限値: 50」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその50倍の5.0GHzで全てのコアが動作します。

「By Core Usage」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能です。

第9世代以前のIntel製CPUではオフセットやアダプティブのような大雑把な調整しか不可能でしたが、Intel第12世代CPUのP-CoreではV/Fカーブ(動作周波数と動作電圧の関係)を細かく調整できるようになっています。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIでは「V/F Point Offset」の名前で同設定が配置されています。

現時点では既定の周波数に対して設定されたCPU個体毎のストック電圧に対して、+/-のオフセット電圧を設定できます。Core i9 12900Kの場合は800MHz、1800MHz、3600MHz、4000MHz、4200MHz、4800MHz、5300MHzに対してmV単位でコア電圧オフセット値を指定できます。
なお5300MHzについては7~11番のV-Fポイントが割り当てられていますが、7番と8番のV-Fポイントに同じ設定値を適用してください。(同時に操作してPOST失敗の場合は、降圧時は8番の設定を適用してから再度BIOSに入って7番、昇圧時はその逆、という手順で)
BCU倍率で最大倍率を既定最大値(53倍)より大きく設定した場合は11番も必要なら調整します。

Intel第11世代CPUで新たなターボブースト機能としてアピールされていたThermal Velocity Boostは、Intel第12世代CPUでは無効化されていますが、機能自体はマザーボードBIOS設定に残っている、というかさらに強化されています。

Thermal Velocity Boostは、”閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能”のように説明されますが、機能の実装としては通常のBy Core Usage倍率に対して、TVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍など設定値に応じて引き下げるという形になっています。

第12世代CPUではThermal Velocity Boostによって、個別コアに対して閾値温度/オフセット倍率のセットを2種類ずつ設定できます。

前世代のIntel第11世代CPUは拡張命令AVX-512に対応していましたが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」がサポートするIntel第12世代CPUは高効率コアE-Coreがアーキテクチャ上、AVX-512に対応できないので、Intel第12世代CPUシリーズ全体がAVX-512に非対応です。
元々は発熱が非常に大きいAVX-512に対応するために用意されていた設定ですが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」でも、AVX2実行時の発熱を低減する方法として、従来の倍率動作オフセットに加えて、Voltage Guardband Scaleと呼ばれる電力制限に近い機能を使用できます。

「AI Overclock Tweaker」から「Manual」モードもしくは「XMP」モードを選択するとベースクロック(BCLK)の設定項目が表示されます。デフォルトのAutoでは100MHzに固定されていますが、設定値の直打ち、もしくはプラスマイナスキーで操作することによって40~1000MHzの範囲内で設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。

キャッシュ動作倍率は「CPUキャッシュ最大動作倍率(Max CPU Cache Ratio)」から変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でキャッシュの動作周波数を設定できます。
なおIntel第12世代CPUにおいてキャッシュ動作倍率はE-Core動作倍率を上限として制限され、E-Core動作倍率に合わせてキャッシュの動作倍率も下がります。E-Coreを無効化すると従来CPUのように4.0GHz以上の高いキャッシュ動作倍率も可能です。

続いてコア電圧の調整を行います。
Intel第12世代CPUにおいてCPUコア(P-CoreとE-Coreの両方)とキャッシュ(Ring、L3キャッシュ)への電圧は共通なので、CPUコアクロックやキャッシュクロックのOCに関連する電圧設定として、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」では「CPU Core/Cache Voltage」を調整します。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIではCPUコア電圧をマニュアルの設定値に固定する「Manual」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「Offset」モード、ターボブースト時にのみ昇圧を行う「Adaptive」モードの3種類が使用できます。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIでCPUコア/キャッシュクロックのOCを行う場合、CPUコア電圧の設定については設定が簡単で安定しやすいので固定値を指定するManualモードがおすすめです。
Core i9 12900KをOCする場合、CPUコア電圧の目安として、P-Coreを固定倍率の全コア5.0GHzで1.150V前後、全コア5.1GHzで1.200前後で動作が安定します。360サイズ簡易水冷CPUクーラーを使用して長期的に冷やせるという意味では、最大で1.250~1.300V程度が上限になると思います。

加えて、Intel第12世代CPUではL2キャッシュの電圧だけ個別に設定が用意されており、E-CoreのコアクロックをOCする場合は「CPU L2 Voltage」も昇圧します。
L2キャッシュ電圧の目安としてE-Coreを固定倍率で全コア4.0GHzにした時の設定値は1.100~1.150Vくらいで動作が安定します。

CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。

またCPUのOC/DCに関連する電力設定としてASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIではコアクロックと電圧の設定項目の中間あたりに「Digi+ VRM」と「CPU電力詳細設定」の2つがあります。

コアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「Digi+ VRM - ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、補正の強度としてLevel 1~Level 8の8段階になっており、Levelが大きくなるほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。

「External Digi+ Power Control」ではその他にも「CPU VRM スイッチング周波数」「CPU VRM スペクトラム拡散」「CPU VRM 可動フェーズ設定」などCPUのオーバークロック時にマザーボードVRMからの電力供給を安定させる設定項目が用意されています。

その他にもCPUコアクロックをOCする場合は「CPU SVID」を無効化すると、OC時の動作が安定しやすくなるようです。

また「CPU電力詳細設定」には「瞬間許容電力制限値(Short Duration Power Limit)」「許容電力上限値(Long Duration Power Limit)」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。
電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIでは手動でコアクロックのOCを行った場合はパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。

メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIでは「AI Overclock Tweaker」からXMPモードを選択することでOCメモリに収録されたXMPプロファイルによるメモリのオーバークロックが可能です。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」などASUS製Z690マザーボードではXMPプロファイルの適用にXMP1とXMP2の2つのモードがあります。
XMP1では16-16-16-36-1Tのような主要タイミングのみが適用され(その他は全てマザーボードによる自動設定を適用)、XMP2ではその他のサブタイミングもXMPプロファイルの通りに適用されます。

「AI Overclock Tweaker」のAutoモードやManualモードにおいて「DRAM Frequency」の設定値がAutoになっている場合は、使用するメモリにSPD情報として収録されているメモリ周波数(DDR4なら2133~3200MHz、DDR5なら4800MHzなど)およびタイミングによる定格動作となります。
手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから5000MHz以上の動作クロック(倍率)設定が可能です。
メモリ周波数もBCLKに対する倍率で動作周波数が決まっているので、BCLKを標準値の100MHzから120MHzに上げると、44倍設定時の動作周波数は4000MHzから5280MHzに上がります。

Intel第12世代CPUのメモリコントローラー(IMC)周波数は、メモリ周波数に対して1:1対応のGear1(メモリ周波数が3200MHzならメモコンも3200MHz)、1:2対応のGear2(メモコンが1600MHz)、1:4対応のGear4(メモコンが800MHz)という3つの動作モードがあります。
DDR5メモリはGear2とGear4、DDR4メモリではGear1とGear2をサポートします。

DDR5のGear2やDDR4のGear1でメモリ周波数とIMC周波数を引き上げたい場合の豆知識として、IMCのOC耐性は厳密には周波数ではなく動作倍率に依存します。(第12世代CPUではIMC周波数にそのまま依存しているかも)
メモリ周波数とIMC周波数はリファレンスクロック(100MHz or 133MHz)に対する動作倍率で決まるため、3600MHzの場合はリファレンスクロック133MHzでIMC倍率が27倍となります。
リファレンスクロック100MHzでメモリ周波数を3800MHzや4000MHzにするとIMC倍率が38倍や40倍となってしまいますが、リファレンスクロック133MHzにするとメモリ周波数が上と同程度の3733MHzでもIMC倍率は28倍、3866MHzでもIMC倍率は29倍に下がるのでIMCのOC耐性からするとハードルが下がります。

メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。

メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な3タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。

高メモリクロックのOC時にWindowsの起動や軽い動作までは安定するものの、メモリストレステストでエラーが出る程度の状態であれば、「CAS Write Latency (tCWL)」をいくつか引き上げることで安定する可能性があります。

メモリの周波数OCを行う際は「DRAM電圧(DRAM VDD Voltage)」の項目を昇圧します。
DDR5メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を5000MHz以上にOCする場合はメモリ電圧を1.250~1.300Vに盛ってください。
DDR4メモリに対応したマザーボードでメモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。

加えてメモリ周波数やIMC周波数をOCする時に調整した方がいい電圧設定として、DDR5メモリ対応マザーボードの場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」、「DRAM VDDQ(DRAM VDDQ Voltage)」、「CPU VDD2(Memory Controller Voltage)」、「CPU VDDQ(IVR Transmitter VDDQ Voltage)」の4つを調整すると良いようです。
CPU VDDQについては単純に昇圧すればいいというわけではなく、メモリ設定に応じてスイートスポットのようなものがあるかもしれないので設定の際は注意してください。


ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」にCore i9 12900Kを組み込んだ場合のBIOS標準設定における動作についてですが、P-Coreは1コアまで52倍、全8コアで49倍の動作倍率になっており、CPUコア動作倍率は仕様値通りです。しかしながら電力制限については完全に無効化されています。
BIOS標準設定ではCore i9 12900KはP-Core All:4.9GHz、E-Core All:3.7GHzに貼りついて動作するため、CPU消費電力は200W超に達します。

TDPに対して全コア最大動作倍率が高く設定されているCPUに電力制限を適用してIntelの公式仕様通りに使用したい場合、例えばCore i9 12900Kでは長期間電力制限を125W、短期間電力制限時間を56sに設定してください。

なおASUS Multicore Enhancementを「Disabled - Enforce All limits」にしても、Intel公式仕様通りの電力制限が適用されます。(Multicore Enhancementについては、単コア最大動作倍率を全コア最大動作倍率に適用、というのが従来の機能でしたが)

電力制限以外にもCPU動作に大きく影響する項目についてまとめました。
Turbo Boost Max 3.0はアクティブなタスクに対して単コア最大動作倍率など最も高速に動作している(電圧特性に優れた)コアを割り当てる機能です。
Thermal Velocity Boostは閾値温度70度以下においてブーストクロックを引き上げる機能と説明されていますが、機能の実装としてはBy Core Usage倍率に対してTVB Ratio Clippingという設定によってCPU温度が閾値以上の時に動作倍率を-1倍に(正確にはCPU毎に設定された倍率に)引き下げるという形になっています。
AVX Voltage Guardband Scaleは該当するAVX命令実行時のコア電圧を調整する機能です。0~255の整数値で設定し、定格設定は128です。128以下では低電圧化、128以上では高電圧化します。(マザーボードに依っては1.00を基準に0.01~1.99で設定)
低電圧化というよりもAVX実行時の電力制限(AVX限定のPL1)に近い動作なので、Scale=1でもクラッシュすることはありませんが、性能は低下するものと思われます。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI (BIOS:1003) Core i9 12900Kの標準動作設定 |
||
標準設定 | 定格 | |
単コア最大倍率 | 52 | 52 |
全コア最大倍率 | 49 | 49 |
Turbo Boost Max 3.0 | On | On |
TVB Ratio Clipping (70度以上で-1倍) |
Off | Off |
PL1, PL2, Tau | No, No, - |
241W, 241W, 56s |
AVX Offset | 0 | 0 |
AVX512 Voltage Guardband | 128 (設定値は0~199で100) |
128 |
備考 |
特になし |
続いてASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
CPUにOC設定を適用した際のCPU温度やVRM電源温度に関するストレステストについては、下記の動画エンコードを使用しています。
なおIntel第12世代CPUの場合、動画エンコードに比べてCinebench R23 30分ストレステストの方が負荷が大きく、安定動作に必要なコア電圧で10~20mV、CPU消費電力で30W程度の差が生じます。
ストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)をソースとしてAviutl+x264を使ってエンコードを行います。Core i9 12900Kは16コア24スレッドのCPUなので、同じ動画のエンコードを3つ並列して実行し、30分程度負荷をかけ続けます。ストレステスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

まずは単純に上記の「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」の標準設定のままCore i9 12900Kを動作させてみました。
メモリOC設定については検証機材メモリ「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS)」に収録されたOCプロファイルを適用し、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング36-36-36-76-CR2、メモリ電圧1.300Vです。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」はVRM電源に冷却ファンを搭載していますが、検証時点ではHWiNFOによってモニタリング&ロギングできなかったので、BIOS設定から2800~3000RPM程度になるようファン速度を固定しました。ファン径が非常に小さいので、これくらいのファン速度であればCPUクーラーなどに紛れてしまい、ファンノイズは気にならないはずです。

上記の動作設定においてストレステスト中のCPU温度やCPU使用率のログは次のようになりました。CPUクーラーにはCorsair H150i PRO RGB を使用し、冷却ファンNoctua NF-A12x25 PWのファン回転数は1500RPMで固定しています。
マザーボードにASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用すると、標準設定で電力制限が完全に無効化されておりCPU Package Powerは210~220W前後に達するので、まず前提としてCPUを冷やすためにマルチファンの簡易水冷CPUクーラーは必要になりますが、VRM電源温度などマザーボード原因でスロットリングが発生することはなく、Core i9 12900KをP-Core All:4.9Hz、E-Core All:3.7GHzで安定して動作させることができました。


またCore i9 12900Kを上記設定で動作させた時の負荷テスト終盤において、ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのVRM電源周辺温度はどれくらいなのか、サーモグラフィカメラ搭載スマートフォン「CAT S62 PRO」を使用してチェックしました。
CPU消費電力が200Wを超過するVRM電源負荷に対して、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は105A対応Dr. MOSで構成される超堅牢な11フェーズVRM電源回路とアクティブ空冷VRM電源クーラーという標準装備だけで、VRM電源温度はソフトウェアモニタリングとサーモグラフィの両方で70度台前半に収めることができました。
Mini-ITXサイズではVRM電源回路の実装スペースが限られるので、Core i9 12900Kのフルロードで発生する200W超の負荷を冷やすのはなかなか難しいのですが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は標準設定のままでもVRM電源温度にはかなり余裕があります。

Core i9 12900KのマニュアルOCについては市販CPUクーラーで最高性能の360サイズ簡易水冷でもCPU消費電力250W程度がCPU温度を80~90度に収めることができる上限となっており、CPUコア電圧にすると1.200~1.250V程度が上限になります。DIY水冷でも1.300Vを超えると厳しいはずです。
この電圧に対してはCPU個体差にもよりますが、安定動作が可能なコアクロックは5.0~5.1GHz程度なので、全コア動作倍率の設定を行うと、標準動作の単コア5.2GHzブーストによるシングルスレッド性能が損なわれてしまいます。
全コア動作倍率設定&CPUコア電圧固定(Override)はやはり設定の手軽さが魅力で、Cinebench等でベンチマークスコアを狙うのには最適ですが、実用的に単コア5.2GHzの性能をキープしたいのであれば、By Core Usage設定で多コア負荷時の動作倍率を5.0~5.1GHzへ引き上げて(安定動作するようなら単コア最大動作倍率も5.3GHzに)、V-Fカーブ設定で48倍~53倍動作時の電圧をマイナスオフセットするのがオススメです。
ベンチマークスコアを重視するなら固定倍率かつ固定電圧のOCが最適ですが、実用的にはシングル性能が優秀なBy Core Usage&V-FカーブでOCを行うのがオススメです。
ただ、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」はMini-ITXマザーボードなので、今回は動作倍率は定格のままV-Fカーブを使用した低電圧化(低消費電力化)の一例を紹介します。
Core i9 12900KのOC設定は「V-F Curve: Ratio x48 -90mV, Ratio x53 -90mV」としています。メモリのOC設定は「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」です。
加えてCPU消費電力(CPU Package Power)が200Wを長期的に上回ることがないように「PL1:200W, PL2:250W, Tau:56s」を保険として設定しました。PL1の数値は各自の環境でCPU温度を見ながら調整してみてください。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」におけるV-Fカーブの調整について、今回は90mVという単純に電圧の数値だけ見ると、かなり大きいマイナスのオフセットをかけています。BIOSバージョン等で設定値が変わるので、各自で行う場合は下記の手順に従ってください。
V-Fカーブ操作の正しい手順としては、まずは調整していない状態でCinebench等の短時間の負荷をかけ、HWiNFOなどのモニタリングソフトでP-Core X VIDやVcoreの数値を確認します。その値を基準にしてマイナスオフセットの数値を調整してみてください。目安としてP-Core All 4.9GHzの場合は負荷をかけた時のVIDが1.200V前後になる設定値を探ります。

またP-Core All 5.0GHzまでならV-Fカーブの調整だけで安定すると思いますが、5.1GHzにするとHWiNFO上で確認できるマザーボードのタブ内のVcoreの電圧が不足するようでクラッシュする可能性があります。V-Fカーブだけで上手くいかない場合は、CPU Voltageの項目をオフセットで適当に盛ってみてください。

16コア24スレッド「Intel i9 12900K」をBy Core Usage&V-F Curveで定格動作倍率のまま、全コア負荷時のCPUコア電圧を-90mVオフセット、さらに電力制限をPL1:200W, PL2:300W, Tau:56sとしていますが、Cinebench R23のマルチスレッドスコアは27500程度、シングルスレッドスコアは2020程度となっており、マザーボード標準設定から減少はありません。

この設定においてストレステスト中のCPU温度やCPU使用率のログは次のようになりました。
マザーボードにASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用すると、Core i9 12900Kを定格動作倍率のまま48~53倍動作時について-90mVの低電圧化設定を施してストレステストをクリアできました。

PL1:200Wの電力制限も施していますが、今回の低電圧化設定かつ動画エンコード程度の負荷であれば、CPU Package Powerは200Wを十分に下回るので、実動コアクロックはP-Core All:4.9Hz、E-Core All:3.7GHzに綺麗に張り付いています。

「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」の場合は200W超のCPU消費電力でもVRM電源温度は70度台前半に収まるので今回の低電圧化はCPU温度を下げるのが主な目的でしたが、低電圧化によってCPU消費電力が下がればVRM電源への負荷も当然軽くなるので、VRM電源温度も70度以下に下がっています。

続いて「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のメモリOC性能についてもチェックしておきます。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIの環境(BIOS:1003)のOC検証では検証機材メモリとして16GB2枚組み32GB容量のDDR5メモリキット「G.Skill Trident Z5 RGB(型番:F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS)」を使用しています。
同メモリに収録されたOCプロファイルによって、メモリ周波数6000MHz、メモリタイミング36-36-36-76-CR2という初期DDR5メモリでは最速に近い高パフォーマンスなOC設定が安定動作しました。

ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIのレビューまとめ
最後に「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- DDR5メモリに対応したMini-ITXサイズのZ690マザーボード
- Core i9 12900KのP-Core All:4.9GHz、E-Core All:3.7GHzで安定動作
- 200W超のCPU消費電力でもVRM電源温度は70度台に収まる
- DDR5メモリ(Samsung)で6000MHz/CL36のメモリOCが安定動作
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCIEスロット
- ヒートシンク付きのPCIE4.0対応M.2スロットを2基搭載
- Thunrderbolt4対応Type-C端子×2をリアI/Oに標準搭載(iGPU経由でビデオ出力も可能)
- Intel製2.5Gbイーサ(Intel I225-V)をリアI/Oに標準搭載
- WiFi 6E&Bluetooth5.2対応無線LAN(Intel AX210)を標準搭載
- ALC4080やSavitech SV3H712による高音質オンボードサウンドSupremeFX
- リアI/OにCMOSクリアのハードウェアスイッチを搭載
- ROG USB2.0スプリッターケーブルは実用的に微妙
- CPUソケット周辺のヒートシンクが大きいので空冷CPUクーラーは干渉に注意
- 税込み5.4万円ほどと高価
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は、Mini-ITXサイズながら105A対応Dr. MOSで構成された11フェーズVRM電源回路を搭載し、第12世代Alder Lake-S CPUの最上位、16コア24スレッド「Core i9 12900K」の性能を十分に引き出します。
最新規格のDDR5メモリをサポートしており、600シリーズマザーボードの中でもZ690はV-Fカーブによる低電圧化に対応しているので、冷却面でリソースの限られるMini-ITXのコンパクトシステムにおいてCore i9 12900Kなど第12世代CPU上位モデルの性能を最大限引き出したい人に最適なマザーボードです。
また一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するIntel製2.5Gb有線LAN、次世代規格WiFi 6Eに対応したIntel AX210無線LAN、40Gbpsの高速帯域でeGPUや4Kビデオ出力にも対応するThunderbolt4、ALC4080やSavitech SV3H712による高音質オンボードサウンドSupremeFXなどを搭載し、ハイエンドATXマザーボードに引けを取らないほど高性能な各種コンポーネントをコンパクト基板へてんこ盛りに詰め込んだ製品に仕上がっています。
ASUS製マザーボードではお馴染みですがBIOSやマニュアルの日本語ローカライズ品質は主要4社の中でも随一となっており、BIOSのテキストベースUIの使い勝手も良好です。上位ゲーマー向けROG STRIXシリーズと言うと高価で上級者向け製品のイメージが強いかもしれませんが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は初心者にも優しいマザーボードだと思います。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のBIOS標準設定でCore i9 12900Kを動作させると、PL1:241W制限が無効化されます。BIOSから手動設定を行えばIntel公式仕様値通りに動作させることが可能です ただし、Intel第12世代CPUのK付きモデルはPL1=PL2=Max Turbo Powerなので、Core i9 12900KやCore i7 12700Kを使用する場合、どちらにせよ発熱は大きく、組み合わせるCPUクーラーは240サイズ以上の簡易水冷CPUクーラーが推奨されます。
ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFIを使用した検証機では、Mini-ITXマザーボードながら16コア24スレッドのIntel Core i9 12900KのP-Coreを4.9GHz、E-Coreを3.7GHzの定格動作のまま負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性を評価する上で重要なファクターになるVRM電源について、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」は非常に優秀な性能を発揮しました。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」であれば、PCケースやCPUクーラーのサイズといったMini-ITX環境の条件において現実的なCPU消費電力200Wまでの負荷に対して、VRM電源周りは標準装備のままでCore i9 12900Kを問題なく運用できます。
Core i9 12900Kを定格動作倍率のP-Core:4.9GHzで運用すると低電圧化を施しても、EPS電源経由のCPU消費電力は200Wに迫りますが、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」ではその強烈なVRM電源負荷に対しても、105A対応Dr. MOSなどで構成される11フェーズの超堅牢なVRM電源回路が適切に熱を分散します。
リアIOに覆い被さる超大型VRM電源ヒートシンク、CPUソケット上左のアルミニウム塊型ヒートシンクを連結するヒートパイプなどVRM電源クーラーの設計も工夫され、さらに標準で冷却ファンを内蔵するアクティブ冷却構造によって、標準装備だけでVRM電源温度を70度台に収めることができました。
「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」がサポートするDDR5メモリが登場したばかりということもあって評価が難しいのですが、検証機材に使用しているG.Skill Trident Z5 RGB (型番:F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS)のXMPプロファイルによって、初期のDDR5メモリとしては最速クラスの高パフォーマンス設定であるメモリ周波数6000MHz/CL36が安定動作したので、現状、メモリOC回りで不足を感じることはないはずです。
以上、「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」のレビューでした。

記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
105A対応Dr. MOSで構成される11フェーズの堅牢なVRM電源を搭載し、リアI/OのUSB Type-Cポート×2はThunderbolt4に対応するMini-ITXマザーボード「ASUS ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」をレビューhttps://t.co/re5qut4ar5 pic.twitter.com/KNEYpG0Yah
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 9, 2022
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン
Noctua NF-A12x25 LS-PWM 120mmファン
Noctua
Techace公式通販 で詳細情報を見る
<
関連記事
・Intel第12世代Alder Lake-Sのレビュー記事一覧へ
・Intel第11世代Rocket Lake-Sのレビュー記事一覧へ

・Intel第10世代Comet Lake-Sのレビュー記事一覧へ

・【できる!自作PC】最新CPUの選び方とオススメCPUを徹底解説

・Core i9 10900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証

・おすすめの自作PCマザーボードを徹底解説

(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク