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連続読み出し7.45GB/sの超高速アクセスと980 PROより50%優れた電力効率を実現するハイエンドNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 990 PRO 1TB(型番:MZ-V9P1T0BW)」をレビューします。
製品公式ページ:https://semiconductor.samsung.com/jp/consumer-storage/internal-ssd/990-pro/
Samsung SSD 990 PRO 1TB レビュー目次
1.Samsung SSD 990 PROについて
2.Samsung SSD 990 PRO 1TBの外観
3.Samsung SSD 990 PRO 1TBの検証機材と基本仕様
4.Samsung SSD 990 PRO 1TBのベンチマーク比較
5.Samsung SSD 990 PRO 1TBの連続書き込みについて
6.Samsung SSD 990 PRO 1TBの消費電力と温度
7.Samsung SSD 990 PRO 1TBの実用性能比較
9.Samsung SSD 990 PRO 1TBのレビューまとめ
【機材協力:Samsung SSD 国内正規代理店 ITGマーケティング】
Samsung SSD 990 PROについて
「Samsung SSD 990 PRO」は、メモリチップにSamsung製TLC型3D NAND、メモリコントローラーにPCIE4.0x4帯域のNVMe接続に対応するSamsung独自コントローラーが採用された、NVMe(PCIE4.0x4)接続でM.2 2280フォームファクタのM.2 SSDです。「Samsung SSD 990 PRO」にはSSD容量として1TB、2TB、4TBの3モデルがラインナップされています。1TBモデルは北米で179ドルからとのこと。また最大容量の4TBモデルは少し遅れて2023年に発売となります。
PlayStation 5の拡張スロット互換サイズなヒートシンクを標準搭載した990 PROのバリエーションモデル「Samsung SSD 990 PRO with Heatsink」もラインナップされています。
「Samsung SSD 990 PRO」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出7450MB/s、シーケンシャル書込6900MB/s、ランダム読出1,400,000IOPS、ランダム書込1,550,000IOPSの超高速アクセスを実現しています。
「Samsung SSD 990 PRO」は前モデル980 PROと比較して最大で50%も電力効率が向上しており、省電力性能の高さもアピールされています。
TLC型SSDでは一般に搭載するNANDフラッシュメモリーの一部をSLCキャッシュとして使用して書き込み性能を底上げする機能が採用されていますが、「Samsung SSD 990 PRO」ではこのキャッシュ機能を強化し、必要に応じてSLCの領域を増減するIntelligent TurboWrite機能が採用されています。
Intelligent TurboWriteにおいてはキャッシュとなる疑似SLC領域は標準で数GBの容量が確保されますが、それを上回る大容量の書き込みアクセスが発生した場合に容量モデル毎に定められた容量を追加でバッファ領域として利用できます。
「Samsung SSD 990 PRO」の場合は1TBモデルなら最大114GB、2TBモデルなら最大226GBをSLCキャッシュとして使用できます。
「Samsung SSD 990 PRO」のMTBF(平均故障間隔)は150万時間、書込耐性は1TBが600TBW、2TBが1200TBW、4TBが2400TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Samsung SSD 990 PRO スペック一覧 |
|||
容量 | 1TB MZ-V9P1T0BW |
2TB MZ-V9P2T0BW |
4TB MZ-V9P4T0BW |
ヒートシンク付き | MZ-V9P1T0CW |
MZ-V9P2T0CW |
MZ-V9P4T0CW |
インターフェース |
M.2, NVMe (PCIE4.0x4) |
||
コントローラー |
Samsung in-house Controller |
||
メモリー | Samsung製 TLC型 V-NAND | ||
DRAMキャッシュ | 1GB LPDDR4 |
2GB LPDDR4 | 4GB LPDDR4 |
連続読出 | 7450MB/s | ||
連続書込 | 6900MB/s | ||
4Kランダム読出 QD1 / QD32 |
22,000 IOPS / 1,200,000 IOPS |
22,000 IOPS / 1,400,000 IOPS |
22,000 IOPS / 1,600,000 IOPS |
ラ4Kランダム書込 QD1 / QD32 |
80,000 IOPS / 1,550,000 IOPS |
80,000 IOPS / 1,550,000 IOPS |
80,000 IOPS / 1,550,000 IOPS |
消費電力 (Read/Write) |
5.4W / 5.0W | 5.8W / 5.1W | 6.5W / 5.7W |
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 150万時間 | ||
耐久性評価 | 600TBW | 1200TBW | 2400TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Samsung SSD 990 PRO 1TBの外観
まず最初に「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。パッケージの外観についてSamsung SSD 990 PROでも、Samsung製プロフェッショナル向けSSDのPROシリーズではお馴染み、赤色がアクセントカラーになっています。
紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は保証規定書およびインストールガイドとなっています。
Samsung SSD 990 PROのSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
Samsung SSD 990 PROの表面シールの下にはM.2端子の側から順にメモリコントローラー、その隣にDRAMキャッシュ、残り半分には2枚のメモリチップが実装されています。
Samsung SSD 990 PROは1TBモデルと2TBモデルのいずれも、メモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です。(2023年発売予定の4TBモデルについては今のところ不明)
サーマルスロットリングの抑制に対しては、発熱と性能のバランスを調整する独自のアルゴリズム Dynamic Thermal Guardを採用するプロセッサレベルの対策だけでなく、基板背面に貼られた銅製シール Copper Seal(銅箔層ヒートスプレディングラベル)や、発熱の大きいメモリコントローラーのチップ表面にもニッケルメッキの金属プレートを施すといった物理的アプローチで放熱を補助・促進しています。
Samsung SSD 990 PRO 1TBの検証機材と基本仕様
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するIntel Core i9 12900K&ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 12900K (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS DDR5 16GB*2=32GB (レビュー) 6000MHz, 36-36-36-76 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HERO (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) |
OS | Windows11 Pro 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れ、16GB×2枚組み32GBの大容量で6000MHz/CL36のメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 RGB F5-6000U3636E16GX2-TZ5RS」を使用しています。
・「G.Skill Trident Z5 RGB」をレビュー。XMPで6000MHz OCに対応!
検証環境については上述の通り、Intel Core i9 12900KやASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはM.2-PCIE変換拡張ボード「Aquacomputer kryoM.2」を介して、CPU直結PCIE5.0レーンに接続された5段目のPCIEスロットに設置しています。
「Aquacomputer kryoM.2」はPCIE3.0x4対応製品として2016年に発売されたヒートシンク付き変換ボードですが、品質が高く、PCIE4.0x4で安定動作することを確認しています。
なおPCIE AIC型のNVMe SSDも同じPCIEスロットに設置し、SATA接続ストレージは普通にマザーボードのSATA端子に接続しています。
ASUS ROG MAXIMUS Z690 HEROにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Intel第12/11世代CPUのCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0/4.0x16レーン(x8×2に分割可能)に加えて、CPU内にNVMe M.2 SSD用のPCIE4.0x4レーンがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このCPU直結PCIE4.0x4レーンが最速となります。
PCIE4.0やPCIE3.0までのM.2 SSDだけを検証するのであれば、このM.2スロットを使用するのが最適なのですが、PCIE AIC型や2022年中にも登場が噂されているPCIE5.0対応SSDの検証も想定して、CPU直結PCIE5.0x8レーンに接続された5段目のPCIEスロットを使用しています。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」のボリュームをWindows11上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。
「Samsung SSD 990 PRO」などSamsung製SSD向けには純正クライアントアプリケーション Samsung Magicianが配布されています。
Samsung SSD 990 PRO 1TBのベンチマーク比較
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。まずはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し7144MB/s、連続書き込み6812MB/sとなりました。4Kランダム読み出しも90MB/s以上と非常に高速です。
連続読み出しが仕様値の7450MB/sよりも若干低いですが、今回のテストシステムがIntel第12世代CPU&Z690に対して、公式スペックはAMD Ryzen 5000&X570環境で測定されています。
PCIE4.0対応SSDの連続性能は使用するプラットフォームによって6800~7300MB/sで変動するので、この程度であれば測定誤差の範囲内です。
なお「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を検証していて、CrystalDiskMark8のテストサイズを8GiBにした場合に速度低下を確認しました。
同じ設定でもAllとSEQ1M Q81Tのみを実行した場合で結果が大きく異なり、AllではMixの連続アクセス2つの速度が大幅に低下しました。
現在のファームウェア 0B2QJXD7では何らかの条件で高速なSLCキャッシュが上手く割り当てられず、性能が低下する現象があるように思います。
前モデル980 PROと比較しても全体的に性能は向上しており、特に連続書き込みアクセスは大幅に高速化しているのが分かります。
以下、各種比較対象SSDのベンチマークスコアになっています。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
以下、各種比較対象SSDのベンチマークスコアになっています。
Samsung SSD 990 PRO 1TBの連続書き込みについて
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
最新のTLC型NANDをメモリチップに採用する「Samsung SSD 990 PRO 1TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、製品仕様でも紹介されているように書き込み開始直後は6000MB/s近い書き込みスピードを発揮しており、使用済み容量が0GBで始まると、その後100GB以上もSLCキャッシュを使用できることが分かります。
使用済み容量が0GBの状態から書き込みを続けていくと(100GBの動画フォルダをSLC1~の連番フォルダへ順番に別のSSDからコピーすると)、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」では120GB程度をSLCキャッシュとして使用でき、超過後の書き込み速度は1600~1700MB/s程度に下がりました。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」は空き容量を200GBまで減らした状態で100GBの連続データの書き込みを行っても、使用済みSLCキャッシュが十分に開放された状態であれば、速度低下なく100GBのデータを書き込むことができました。
空き容量が200GBの状態で、エクスプローラーで100GBのデータを実際に書き込んでも100GB程度は書き込み速度は2000~2500MB/sのまま速度低下なく書き込みできました。バックグラウンドでSLCキャッシュの開放が行われているとしても、実際に100GB程度をSLCキャッシュとして使用できていることには変わりありません。
また空き容量100GBより少し大きい状態で同じように書き込みを行うと、60GB程度をSLCキャッシュとして使用できました。
TLC型SSDのSLCキャッシュは可変容量であっても通常、空き容量の1/3程度が上限になるので(3bitのマルチレベルセルを1bitにするので当然)、空き容量200GBの状態で100GB書き込んで速度低下しないことがあるというのはかなり不思議です。
TLCキャッシュとしても共有される空き容量とは別に、少なくとも30GB程度、空き容量として表示されないSLCキャッシュ用の領域がありそうです。
Samsung SSD 990 PRO 1TBの消費電力と温度
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の消費電力についてチェックしていきます。NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
「GPU Power Tester」はその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2-PCIE変換ボードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するライザーケーブルからさらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、CPU/MB/SSDなど使用する機材によってはSSDの動作が不安定になることがあるのですが、この方法なら改造前のM.2-PCIE変換ボードと同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
消費電力の測定負荷についてはCrystalDiskMark8.0.4a (1GiB, +Mix)を使用していますが、各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
なおCrystalDiskMark、特に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプはワーストケースに近いSSD負荷です。実用シーンの一例として3DMark Storage Benchmark中の負荷はそれよりも大幅に低い消費電力を示します。
CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の消費電力は、大きくなりやすい連続読み出しや連続書き込みのアクセスで平均5.0W程度です。最大でも5.6W程度に収まるので最大読み書きが7GB/sに達するPCIE4.0対応SSDとしては省電力性能に優れた製品です。
前モデル980 PROと比較すると4Kランダム(Q1T1)の消費電力は微増ですが、それ以外の消費電力は低下していることが分かります。
消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
Samsung SSD 990 PROは前モデル980 PROと比較して連続アクセスにおける電力効率が最大50%向上していることが公式にアピールされていましたが、当サイトの検証結果でも「Samsung SSD 990 PRO 1TB」は40%近く電力効率が上がっており、連続アクセスではトップクラスの省電力性能でした。
実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったという理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。
なおヒートシンク標準搭載のM.2 SSDについてはこれまで通り、CrystalDiskMark等を負荷にして温度検証も行います。
マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。
Samsung SSD 990 PRO 1TBの実用性能比較
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage BenchmarkはWindows10 OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
PCMark10 Storage Benchmarkは、NVMe SSDなど最新の高速ストレージについて、Windows OSの起動、OfficeやAdobe系ソフトなどアプリケーションの起動、PCゲームの起動、OfficeやAdobe系ソフトで使用する素材データ領域としての読み出し・書き込み性能といった、実用的なストレージ性能を測定するベンチマークソフトとなっており、”Trace”と呼ばれる23種類のテストで構成されています。
当サイトでは同ベンチマークを使用した評価に当たって、ストレージの用途を、Windowsや各種アプリケーションをインストールする『システムストレージ』、PCゲームをインストールする『ゲームストレージ』、各種アプリケーションで使用する素材を保存しておく『データストレージ』の3種類に大別し、23種類のうち17種類のテストを下記のように振り分けました。
なおPCMark10 Storage Benchmarkでは一部製品において使用済み容量が大きくなるとフォーマット直後の0%使用時に比べて性能が低下することがあるので、空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を前モデル980 PROと、PCMark10 Storage Benchmarkの個別Traceについて比較(対象を100%として性能差をパーセント表示)すると下のグラフのようになっています。
後継モデルなので当然と言えばその通りですが、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」はほぼ全てで前モデル980 PROに勝ち越しています。
システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「Samsung SSD 990 PRO 1TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。
3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
下記クリック展開で、2020年から2021年頃の検証結果ですが、現在でも概ね当てはまると思うのでSSD/HDDのゲーム性能の違いを参考までに。
FORSPOKENのテクノロジーデモでアピールされていますが、DirectXの新API「DirectStorage」が採用されれば、高速NVMe M.2 SSDのメリットも高まると思うのですが。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」はPCIE4.0対応NVMe M.2 SSDなので、PlayStation 5の拡張スロットによってストレージ増設にも使用できます。詳しくはこちらの記事で。
Samsung SSD 990 PRO 1TBのレビューまとめ
最後に「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最大性能で連続読み出し7.4GB/s、連続書き込み6.9GB/s
- 前モデルよりも最大50%優れた電力効率(当サイト検証でも40%程度の向上を確認)
- PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチで最速クラスの性能
- PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
- SLCキャッシュは100GB以上を使用でき、使用後の開放も速い
- メーカー正規保証期間が5年間
- ファームウェア 0B2QJXD7ではSLCキャッシュ割り当てがやや不安定?
- TLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は1500MB/s程度 - 容量単価は高め
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、連続読み出しと連続書き込みが最大7GB/s前後というハイエンドPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
Samsung PROシリーズというとPC向けSSD、特にNVMe M.2 SSDでは常に最速の位置をキープし続ける存在で、980 PROも間違いなく高性能な製品ではあったものの、少しして登場した後発の競合製品の後塵を拝する状況が続いていました。
そんな中で満を持して登場した「Samsung SSD 990 PRO」はPCMark10や3DMarkの実用性能テストで同社前モデル980 PROを大幅に上回り、WD_BLACK SN850XやSeagate FireCuda 530やSK Hynix Platinum P41(Solidigm P44 Pro)といった、これまで最速の地位にあった競合製品と比較しても同等以上の性能を発揮し、特にシステム/データストレージとして強力なパフォーマンスを発揮します。
「Samsung SSD 990 PRO」はただ高速化するだけでなく、前モデル980 PROと比較して最大50%も電力効率が改善しており、7GB/sの高速アクセスでも低発熱なところも魅力です。
大型ヒートシンクを標準で搭載しているハイエンドなゲーミングマザーボードはもちろん、Mini-ITXなどのスモールフォームファクタな自作PCでも安心して使用できます。
Samsung SSD 990 PROにはTLCタイプ3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、容量可変のSLCキャッシュを超過すると、1TBモデルなら1500MB/s程度まで書き込み速度は低下します。
「Samsung SSD 990 PRO 1TB」は基本的に100GB以上のSLCキャッシュを使用でき、なおかつSLCキャッシュ超過後でも書き込み速度が1500MB/s程度と高速なので、実用的にSLCキャッシュ超過による性能低下で不便を感じることはないはずです。
以上、「Samsung SSD 990 PRO 1TB」のレビューでした。
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7.4GB/s超高速アクセスと980 PROより50%優れた電力効率を実現するハイエンドNVMe M.2 SSD「Samsung SSD 990 PRO 1TB」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) December 22, 2022
前モデル980 PROなどPCIE4.0対応最新SSDと性能を徹底比較。https://t.co/kxgP4hTG4p pic.twitter.com/ro2SlZlJUT
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