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3DMarkやPCMark 10で有名なUL Solutionsのプロフェッショナルユーザー向けベンチマーク「UL Procyon」に新機能として、AI画像生成ソフト Stable Diffusion 1.5/XLに対応したベンチマーク AI Image Generation Benchmarkが追加されたので、最新のNVIDIA GeForce RTX 40シリーズやAMD Radeon RX 7000シリーズを含む30種類以上のグラフィックボードを使用して性能を比較してみました。
AI関連というか画像生成には思うところも色々あってこれまでスルーしてきたのですが、普段からグラボ・CPU・SSDなど各種レビューでお世話になっているUL製ベンチが登場ということで検証してみました。
目次
1.AI画像生成のグラボ選びは”時間”をお金で買うこと
・VRAM容量次第で足切り的にAI画像生成でできることが制限される
2.UL ProcyonやAI画像生成ベンチマークについて
3.Procyon AI画像生成ベンチマークでグラボの性能比較
4.Stable Diffusionベンチ(引用データ)を解説
・Stable Diffusion 1.5のベンチマーク結果を解説
・Stable Diffusion XLのベンチマーク結果を解説
5.Procyon AI画像生成ベンチに意味はある? 何が分かるのか
6.Stable Diffusionの推奨グラボやPCは?【PR】
AI画像生成のグラボ選びは”時間”をお金で買うこと
PCゲーム用にグラフィックボードや高性能なゲーミングPCを購入するというのは、”体験”に対してお金を払う行為です。- 高性能なグラボ → より高画質、より滑らかな映像
- 支払ったお金がより良い体験になる
一方でAI画像生成においては、いくつかの条件を満たせば出力される画像は同じなので、主に生成速度という”時間”をお金で買うことになります。
- 高性能なグラボ → より高速に画像を生成できる
- 支払ったお金で時間を節約できる
- +大容量なVRAMほど、できることが増える
GeForce RTX 4070で10秒に1枚の画像を生成できる場合、より安価なGeForce RTX 3060/4060は2倍の20秒かかり、高価なGeForce RTX 4090なら半分の5秒以下に短縮できます。
2024年4月現在の国内価格から生成速度のコストパフォーマンスを算出すると、VRAM容量が12GBのGeForce RTX 4070/SUPER、VRAM容量が8GBのGeForce RTX 4060/Tiが高いことが分かります。
いくつかの条件を満たせば出力される画像は同じ、と書きましたが、主に注意すべきは『1.GPUのメーカーや世代が同じである』、『2.VRAM容量が足りている』の2点です。
『1.GPUのメーカーや世代が同じである』については、画像生成含め生成AIの分野では現状、NVIDIA製GPUがスタンダードな状態ですし、新品としてグラフィックボード単体やPCを購入できるGeForce RTX 40/30シリーズなら出力結果は同じなので、現状では特に気にする必要はありません。
特に注意が必要なのは『2.VRAM容量(ビデオメモリ、グラフィックボード搭載メモリ)が足りている』ことです。
VRAMはGPUとセットで固定スペックとして決められている、グラフィックボード上に実装されたメモリです。グラフィックボードを買い替える以外で増設することはできません。
Stable Diffusion1.5で高精度(狙った構図や人・服装などの再現性)や高解像度を実現するためにControlNetなど拡張機能を使用したり、高解像度に対応した最新バージョン Stable Diffusion XLで画像生成をするには相応に大容量なVRAMが必要になります。
VRAM容量が足りていれば生成速度は上のグラフ通りになりますが、不足すると性能グラフと比較して相対性能が10%~20%下がるのはまだいい方で、場合によっては1枚の画像生成に数十分から数時間のように非現実的なレベルで生成速度が低下する、そもそもVRAMオーバーフローのエラーで画像が生成できない、ということになります。
Stable DiffusionをローカルPCで使用するWeb UIとしてはAUTOMATIC1111がデファクトスタンダードですが、ControlNetを作成したlllyasviel氏による、VRAM使用量を減らせるカスタム版「Stable Diffusion WebUI Forge」も公開されていたり、ググればいくつかヒットするようにVRAM要求についてはソフトウェアレベルでの対策も存在します。
ともあれ、グラフィックボードのVRAM容量次第で足切り的にAI画像生成でできることが制限されることも事実なので、上記グラフの通り、”時間をお金で買う”ことに加えて、VRAM容量についても用途に応じて予め検討する必要があります。
VRAM容量については使用するAIモデル、拡張機能、WebUIなど条件次第で変わるので、ザックリと下記のようなカテゴライズで選択するのがオススメです。
- 8GB: SD1.5による簡単な画像生成、VRAM要求を軽くできるWebUI Forgeの利用
- 12GB: SD1.5でControlNetなど拡張機能を多く使用する画像生成
- 16GB: SD XLによる画像生成(WebUI Forgeも必要かも)
- 24GB: SD XLによる画像生成でControlNetなど拡張機能を多く使用する画像生成
VRAM容量が12GBのGeForce RTX 4070/SUPERはコスパが高く、VRAM容量的にもバランスが良い製品です。
一方で、上位GPUのGeForce RTX 4080 SUPERやGeForce RTX 4090は生成速度のコスパは下がるものの、単純に生成速度は高速化しますし、16GB/24GBの大容量なVRAMによって”AI画像生成でできることが増える”という点も押さえておいてください。
RTX 4060は8GB、RTX 4070は12GBのようにVRAM容量は基本的にGPU性能に比例して、上位GPUほど大容量が実装されていますが、GeForce RTX 4060 Tiの16GB版のように上位ナンバリングよりも大容量なVRAMを備えたミドルクラスGPUというものも存在します。
前世代ですがRTX 3080でも10GBしかVRAMがないのに対して、現在も購入できるGeForce RTX 3060は12GBのVRAMを備えています。
生成速度はGPU性能相応(ゲーム性能とほぼ同じ)ですが、WebUI ForgeなどVRAM要求を減らす対策が少なく、物理スペックでゴリ押しするしかなかった初期においてVRAM容量が理由で足切りに合わずに済んだので、AI画像生成において高コスパな製品としてRTX 3060の名前がよく挙がるのもそれが理由です。
GeForce RTX 4060 Tiの場合は、例外的に全く同じGPUコアのスペックで、VRAM容量だけが異なる8GB版と16GB版の2種類のVRAM容量バリエーションが展開されています。
『生成速度は多少遅くてもよい』、『グラボに割ける予算が限られている』などの条件・理由でVRAMが大容量な上位GPUを選べない時は検討してみてください。
あと、BTO PCのスペックで単にメモリ(DDR5やDDR4)として記載されている項目はVRAMではなくシステムメモリなので間違えないように注意してください。
UL ProcyonやAI画像生成ベンチマークについて
UL Solutions、そのPCベンチマーク部門は3DMark FireStrike/TimeSpyやPCMark 10といった、高性能PC、高性能グラフィックボードに興味がある人なら確実に目にしたことのある超有名ベンチマークソフトを展開しているソフトメーカーです。「UL Procyon」は同社が展開するからプロフェッショナルユーザー向けのベンチマークです。
Adobe Premiere ProやAdobe Lightroom Clasic、Adobe Photoshopの動画・画像編集に関する実用性能ベンチマークから始まり、現在ではAI性能にも手を広げる、まさに”プロフェッショナルユーザー向けパフォーマンステスト集”です。
3DMarkやPCMark 10と違って、一部機能の無料公開されていたり、数千円で個人ユーザーがリーズナブルに使用できるソフトではないのですが、法人系や大手サイトのCPU、GPUレビューでベンチマーク結果の比較を見たことがある人もいると思います。
ともあれ、そんなプロ向けベンチマーク「UL Procyon」の新機能として2024年3月に追加されたのが、AI画像生成ソフト Stable Diffusionに対応した、グラフィックカード(GPU)のパフォーマンスを測定する新ベンチマーク AI Image Generation Benchmark(AI画像生成ベンチマーク)です。
AI画像生成ソフトとしては現在最もポピュラーなのは2022年登場のStable Diffusion 1.5ですが、1000x1000程度の高解像度でも高精度な画像生成が可能になったStable Diffusion XLも2023年に登場しています。
UL ProcyonのAI Image Generation Benchmarkには2024年4月現在のバージョンにおいて、中程度とハイエンド、2種類のパフォーマンステストが含まれており、前者はStable Diffusion 1.5を、後者はStable Diffusion XLを使用してGPU性能をテストします。
将来はさらにAI画像生成テストを追加して、他のパフォーマンスカテゴリをサポートすることも検討されています。
AI画像生成などGPUに推論させるランタイム(AI Inferrence Engine)は、NVIDIA製GPUのTensorRT、AMD製GPUのROCm(Radeon Open Compute)、Intel製GPUのOpenVINOなど自社GPUに特化(性能を最大化)したものが展開されていますが、UL ProcyonのAI Image Generation Benchmarkがサポートするのは今のところ、TensorRTとOpenVINO、そしてどのメーカー製GPUでも使用できるDirectMLによるONNXの3種類です。AMD製GPUを検証する際はROCmは利用できず、汎用のONNXを使用することになります。
UL Procyon自体がWindows OS環境を前提にしたベンチマークソフトとなっており(Mac OSにも一部対応しているものの)、AMDのROCmは現時点で実質的にUbuntu(Linux)環境専用、Windows環境においてAI関連機能がサポートされていないので仕方ないのですが。
GPU負荷(およびVRAM要求)が中程度となる、Stable Diffusion 1.5を使用したベンチマークについては、512x512解像度の画像を同時に4枚で4回、計16枚を生成(Batch Size:4, Batch Count:4)します。
ベンチマークのデフォルト設定ではBatch Size(1度で同時に生成する画像数)が4になっており、今のところProcyonのGUI上でカスタム設定には非対応ですが、コマンドラインとカスタムxmlによってBatch Sizeを1や2にしてベンチマークも実行できます。
グラフィックボードに搭載されるVRAM容量として8GB以上が要求されています。
実際にGeForce RTX 4060などVRAM容量が8GBのグラフィックボードでも、共有メモリフォールバックを無効化して、エラーなくベンチマークが完了したので、近年のミドルクラスGPUなら問題なくベンチマーク測定が可能です。
VRAM容量が6GBのグラフィックボードで共有メモリフォールバックを無効化してベンチマークを実行すると、エラーで終了してしまいます。ただ、実のところ、Stable Diffusion 1.5のベンチマークについてはVRAM容量が6GBでも共有メモリフォールバックを使用すればエラーは出ず、GPU性能相応の速度で画像生成が可能でした。
生成コマンドやAIモデルにも依り、拡張機能のControlNetやHires fixを使えばVRAM要求は増しますし、逆にStable Diffusion WebUI Forgeを使えば、VRAM要求を抑えたりできるので、実用シーンにおいて実際に要求されるVRAM使用量は使い方次第ですが、ミドルクラスGPUまでを対象にしたAI画像生成のエントリー環境向けベンチとして”8GB以上のVRAM”というのは妥当な足切り水準だと思います。
一方で、GPU負荷(およびVRAM要求)がハイエンドとなる、Stable Diffusion XLを使用したベンチマークについては、1024x1024解像度の画像を1枚ずつ16回、計16枚を生成(Batch Size:1, Batch Count:16)します。
グラフィックボードに搭載されるVRAM容量としてTensorRTは10GB以上ですが、OpenVINOとONNXは16GB以上がベンチマーク仕様として要求されています。
Stable Diffusion XLを使用したベンチマークは前述の通り、NVIDIA製GPU環境(TensorRT)において推奨VRAM容量は10GB以上になっていますが、VRAM容量が10GBのGeForce RTX 3080や11GBのGeForce RTX 2080 Tiで共有メモリフォールバックを無効化してベンチマークを実行すると、エラーでベンチマークを完走できません。
ただ、Stable Diffusion XLを使用したベンチマークではGeForce RTX 4060 TiなどVRAM容量が8GB以下のGPUは実用性が無くなるレベルで低速化するのと違い(そのため測定対象外としています)、VRAM容量が10GB~11GBのGPUについては共有メモリフォールバックを有効にしても、無効で完走する12GB以上のGPUと比較して、GPU性能に応じた性能スケーリングになります。
そのため、VRAM容量が10GB~11GBのGPUについて測定対象外とせず、共有メモリフォールバックを有効にしてベンチマークを行っています。
Procyon AI画像生成ベンチマークでグラボの性能比較
UL Procyon AI Image Generation Benchmarkのグラフィックボード別ベンチマークの結果をチェックしていきます。UL Procyon AI Image Generation BenchmarkによるStable Diffusion性能の検証システムはIntel Core i9 14900K、メモリ周波数5600MHz(DDR5)のテストベンチ機に統一しています。
テストベンチ機の構成 | |||
CPU | Intel Core i9-14900K (レビュー) |
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マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS Z790 HERO (レビュー) |
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CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
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メインメモリ | Crucial DDR5 Pro Overclocking CP2K16G60C36U5B (レビュー) DDR5-5600 16GB*2=32GB |
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システムストレージ(共通) | Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー) |
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OS(共通) | Windows 11 Home 64bit | ||
電源ユニット(共通) | Corsair HX1500i 2022 (レビュー) | ||
ビデオカード | NVIDIA GeForce |
AMD Radeon |
Intel Arc |
RTX 4090 RTX 4080 SUPER RTX 4080 RTX 4070 Ti SUPER RTX 4070 Ti RTX 4070 SUPER RTX 4070 RTX 4060 Ti 16GB RTX 4060 8GB RTX 6000 Ada(後日測定) RTX 4000 Ada RTX 4000 SFF Ada RTX 2000 Ada RTX 3090 RTX 3080 Ti RTX 3080 10GB RTX 3070 Ti RTX 3070 RTX 3060 Ti RTX 3060 12GB RTX 3050 8GB RTX A4000 RTX 2080 Ti RTX 2080 SUPER RTX 2070 SUPER RTX 2060 SUPER RTX 2060 6GB |
RX 7900 XTX RX 7900 XT RX 7800 XT RX 7700 XT RX 7600 RX 6900 XT RX 6800 RX 6700 XT RX 6600 XT |
Arc A770 16GB Arc A750 8GB |
|
GPUドライバ | GeForce Driver 551.86 |
Adrenalin Edition 24.3.1 | Intel Graphics Driver 31.0.101.5382 |
検証にはGPUメーカーや世代の異なる30種類以上のグラフィックボード(GPU)を使用しています。
グラフィックボード(GPU)の型番から世代や性能がよくわからない、という人はこちらの記事を参照してみてください。
ちなみに上の一覧表の通り当記事ではNVIDIAのプロ向けRTXシリーズ(旧Quadroブランド)の最新Ada Generation製品についてもRTX 6000 Ada(後日追記予定)やRTX 4000 Adaなど検証しています。
Stable DiffusionなどAI画像生成の場合、ビデオメモリのECC対応は重要ではないので、生成速度やVRAM容量のコスパではGeForce製品に劣りますが、エントリークラスのRTX 2000 Adaでも16GB容量の大容量VRAMを搭載しているのでAI画像生成にも余裕で対応できます。
プロ向けRTX専用機能やECC対応メモリが必要になる用途とAI画像生成の両方で使用する予定、という人は参考にしてみてください。
2024年最新のアッパーミドルGPUであるNVIDIA GeForce RTX 4070を基準にしたStable Diffusion1.5における生成速度の相対性能は次のようになっています。RTX 40シリーズだけ見れば十分という本音もありつつ、計35種類のGPUで比較しています。
パーセンテージになっていますが、簡単に言い換えれば、8~10万円のRTX 4070 12GBが10秒で1枚の画像を生成できる場合、4~5万円のRTX 4060やRTX 3060 12GBは20秒かかり、逆に高価な上位GPUのRTX 4080なら7~8秒、RTX 4090なら5秒以下に短縮できます。
続いて、高解像度な画像生成に対応する最新バージョン Stable Diffusion XLにおける生成速度の相対性能を見ていきます。先ほど同様に2024年最新のアッパーミドルGPUであるNVIDIA GeForce RTX 4070を基準にグラフにまとめました。
Stable Diffusion XLはVRAM容量を大きく要求するため、NVIDIA製GPUは10GB未満、AMD/Intel製GPUは16GB未満が足切りになって、先ほどよりも数が減っていますが、それでも21種類のGPUで検証しています。
同じBatch Size:1でもSD1.5より高負荷なので、RTX 4090やRTX 4080 SUPERなど上位GPUの相対性能が伸びること自体は間違いではないのですが、UL ProcyonのStable Diffusion XLベンチではRTX 4070が全体の傾向と比較して10%程度性能を落とす感じになったので、RTX 3090を基準にしたグラフのほうが相対性能の把握には適切かもしれません。
Stable Diffusion1.5のBatch Size:4もそうですが、高負荷なワークロードかつGPUコア性能に対してメモリ帯域やメモリバス幅が不足すると、相対的に5%~10%程度性能を落とすことがあるようです。
RTX 4070の場合、一般にRTX 4070 SUPERとの性能差は10%~15%程度ですが、Stable Diffusion XLでは25%程度と比較的に大きい差があり、GPUスペック的に64基と80基で違いの大きいROP数の不足が影響しているように思います。
Stable Diffusionベンチ(引用データ)を解説
UL Procyon AI Image Generation Benchmarkによって30種類以上のグラフィックボードを性能比較してみましたが、本当にStable Diffusionの実用シーンにおける性能を反映しているのか、気になる人も多いと思います。アニメ系美少女キャラクターのAIイラスト生成にフォーカスした内容ですが、ちもろぐ(chimolog.co)で公開されているStable Diffusionのグラボ別ベンチマーク(2024年4月20日)はかなりデータ量があるので、それを引用して”UL Procyon AI Image Generation Benchmarkからグラボの何が分かるのか”、解析してみました。
chimologのグラボ別Stable Diffusionベンチマークはデータ量がかなり多いので、グラボ・GPUに詳しくない人だと面食らうというか、『RTX 3060 12GB、RTX 4070、RTX 4090の松竹梅がオススメ』という結論以外は雰囲気以外あまり分からない、という人も多いのではと思います。
UL Procyonによるベンチマークデータと比較する前に、当サイトでは普段あまりやらない記事作成ですが、ついでに今回は同ベンチマークの膨大なデータを分かり易くまとめ直し、何が分かるのか解説していきます。
まず、同ベンチマーク比較にはGPU負荷やVRAM要求が異なる8種類のベンチマークがあります。簡単にまとめると下記の通りです。
- 【VRAM:中】 Stable Diffusion1.5、512×512
- 【VRAM:中】 Stable Diffusion1.5、512×768
- 【VRAM:中】 Stable Diffusion1.5、512×768、LoRA
- 【VRAM:中】 Stable Diffusion1.5、512×768、LoRA+ControlNet
- 【VRAM:極大】 Stable Diffusion1.5、1024×1536、LoRA+ControlNet+HiresFix
- 【VRAM:大】 Stable Diffusion XL、1024×1024
- 【VRAM:大】 Stable Diffusion XL、1024×1536、LoRA
- 【VRAM:極大】 Stable Diffusion XL、1024×1536、LoRA+ControlNet
各ベンチマークに対して、推論速度(it/s)と、生成イラストの最終仕上げ処理も含む総生成時間(秒)の2種類のデータがありますが、引用元では推論速度と総生成時間が比例していないケースが散見され、UL Procyon AI Image Generation Benchmarkでも総生成時間で各GPUが評価されるので、以下の解説でも総生成時間のデータだけを使用しています。
UL Procyonのベンチマーク結果同様に特定GPUを基準にした相対値で見ていきますが、参考までに、基準として使用することの多いGeForce RTX 4070 12GBとGeForce RTX 3090 24GBの1分間で生成可能な画像枚数の絶対値は下記グラフの通りです。
絶対値を見ると引用データのLoRA&ControlNETの数字がUL Procyonに近いのですが、UL公式に確認したところ、Stable Diffusionの標準AIモデルのみ使用しており、LoRAもConrtolNETも使用していないとのこと。
引用データではxformers等の高速化オプション機能も使用しているようなので、その辺りで差が出ているのではないかと思います。
ともあれGeForce RTX 4070 12GBやGeForce RTX 3090 24GBを基準にする場合、Stable Diffusion1.5なら毎分20~30枚、Stable Diffusion XLなら毎分3~6枚程度の生成速度が基準と考えればOKです。
Stable Diffusion 1.5のベンチマーク結果を解説
まずはStable Diffusion1.5のベンチマーク結果について解析・解説していきます。引用元でStable Diffusion1.5を使用しているベンチマークは5種類ありますが、VRAM容量24GBで十分に大きいGeForce RTX 3090を基準に各種GPUを相対性能にして昇順に並べたのが次のグラフです。
見ての通り、学習モデル・拡張機能としてLoRA+ControlNet+HiresFixを使用し、高解像度でAI画像生成を行っているベンチマークを除いて、4種類のベンチマークはGPU毎にスケーリングが綺麗に一致しています。
Stable Diffusion XLのベンチマーク結果を解説
続いて、高解像度の高精度な画像生成に対応する新バージョン Stable Diffusion XLのベンチマーク結果について解析・解説していきます。SD1.5同様にStable Diffusion XLの3種類のベンチマークについて、VRAM容量24GBで十分に大きいGeForce RTX 3090を基準に各種GPUを相対性能にして昇順に並べました。性能スケーリングの参考値としてStable Diffusion1.5で拡張機能なしのベンチマークの相対性能も併記しています。
一般的なWebUIのAUTOMATIC1111でStable Diffusion XLを使用するとGPU性能の傾向がよく分からないグラフになるので、Stable Diffusion XLのベンチマーク結果をForge版のものに置き換えたのが次のグラフです。
Stable Diffusion XLでもForge版のスケーリングはSD1.5の時と同様にGPU性能に比例して綺麗にならんでいるのは一目瞭然ですね。
- SD XLはVRAM要求がSD1.5よりも大きい(GPU負荷も高い)
- VRAMが足りていればSD XLでもSD1.5と同じように各種GPUがスケーリングする
UL Procyon AI画像生成ベンチに意味はある? 何が分かるのか
多少寄り道もしつつ、前章ではStable Diffusionのベンチマーク結果をグラフにまとめ直して解析・解説してきましたが、特に確認したかったことが何かというと、- VRAM容量が足りていれば、生成速度は一定のスケーリングに収束する
じゃあ次に何をするか、察しの良い方はお気づきだと思いますが、Stable Diffusion 1.5/XLのベンチマーク結果とUL Procyon、それぞれの相対性能を並べてみます。
”VRAM容量が足りている”という条件なのでベンチマーク結果からは『SD1.5(A1111), 512x768』、『SD XL(Forge), 1024x1536, LoRA』、『SD XL(Forge), 1024x1536, LoRA+ControlNET』の3種類を抜粋し、UL Procyon(SD1.5)と並べています。
見ての通り、RTX 3090を基準にした相対性能のスケーリングは、UL ProcyonもStable Diffusion 1.5/XLのベンチマーク結果もほぼ一致しています。
つまり、UL Procyonのベンチマーク結果はVRAM容量が足りている時の理想的なGPU性能、生成速度として理解すれば実用的な意味があると言えます。
実際に試してみた結果、VRAM不足で性能低下が発生しているかどうか、どの程度性能が低下するか、という情報が有益であること自体を否定するつもりはありません。
一方で、”UL Procyonのベンチマーク結果に対してVRAMが足りない時の情報が抜けている”という指摘に意味があるかと言うと、拡張機能の利用、ソフトウェアの更新(改良)、後継ソフトウェアの登場などでVRAMに対する要求は細かく変化するので、冒頭に書いた通り、VRAM要求については下記のような大雑把なカテゴライズで済ませるほうがGPU選択の基準としては適切だと思います。
- 8GB: SD1.5による簡単な画像生成、VRAM要求を軽くできるWebUI Forgeの利用
- 12GB: SD1.5でControlNetなど拡張機能を多く使用する画像生成
- 16GB: SD XLによる画像生成(WebUI Forgeも必要かも)
- 24GB: SD XLによる画像生成でControlNetなど拡張機能を多く使用する画像生成
あとは”時は金なり(高価で高性能なGPUほど高速に生成できる)”です。
生成速度をお金で買うという形で、予算に応じて購入するGPUを選択するのが分かり易くて良いかなと。
長々と説明してきましたが、突き詰めると2024年現在のAI画像生成用グラボ選びは、冒頭でも掲載した、このグラフだけ分かっていれば十分です。
Stable Diffusionの推奨グラボやPCは? 【PR】
最後に、Stable Diffusion 1.5やStable Diffusion XLで快適にAI画像生成が可能なグラフィックボードやPCスペックについて簡単にまとめておきます。今回、UL ProcyonのStable Diffusionベンチマークによる各種グラフィックボードの検証に当たり、GeForce RTX 4060 Ti 16GBなど一部のGPUについてはサードウェーブ(ドスパラ)に機材協力いただいたので、AI画像生成にも使用できる高性能GPU搭載ゲーミングPC GALLERIA(ガレリア)からオススメの製品を紹介していきます。
Stable Diffusion 1.5/XLによるAI画像生成入門で特にオススメなのは、GeForce RTX 4070 SUPER 12GBを搭載する「GALLERIA RM7C-R47S」や「GALLERIA XA7C-R47S」、GeForce RTX 4070 12GBを搭載する「GALLERIA RM7C-R47」です。
VRAM容量も12GBあれば、AI画像生成でだいたいの用途に通用しますし、GPU性能と価格のバランスも良いので入門にはイチオシです。
GPU性能(生成速度)は多少遅くても良いので、予算を抑えたい、大容量VRAMが欲しい、という人にはGeForce RTX 4060 Ti 16GBを搭載する「GALLERIA RM5C-R46T RTX4060Ti 16G搭載」がオススメです。
AI画像生成で生成速度はとにかく速く、Stable Diffusion XLで拡張機能も使用して高解像度・高精度で大量に画像生成をしたいという人には、かなり高価になりますが、VRAM容量24GBで2024年現在最速のGeForce RTX 4090を搭載した「GALLERIA ZA7C-R49」を検討してみてください。
ゲーミングPC GALLERIA(ガレリア)を含め、ドスパラのBTO PCは”翌日出荷、カスタマイズしても納期そのまま”など、国内随一の納期速度を誇っているので早く欲しいユーザーにとっては有力な候補です。
またGALLERIAの最新PCケース SK/SKMは自作PCユーザーの目線から見ても非常に拡張性が高く、ユーザビリティーに優れた設計になっていて、見た目もスマートでカッコいいので、自作PC専用筐体を採用するBTO PCメーカーの中でも特にオススメです。
グラフィックボード単品を購入して既存システムのアップグレードをするという場合も、ドスパラ専売のPalit製グラフィックボードはオススメです。
まず各GPU搭載オリファンモデルの中でも最安値となっており、コストパフォーマンスを重視する人は真っ先に検討すべき製品です。
GPUクーラーの性能についてはレビュー記事を参照してもらいたいのですが、RTX 40シリーズのPalit製オリファンモデルは、Dual/JetStream/GameRockなどランクにも依るものの、基本的に静音性も十分なレベルの製品ばかりなので心配ありません。
PCゲーミングにフォーカスした内容ですが、オススメのグラフィックボードや選び方についてはまとめ記事も公開しているので参考にしてみてください。
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Stable Diffusionの性能を検証するUL ProcyonのAI画像生成ベンチマークで最新のGeForce RTX 40やプロ向けRTX Adaを含む30種類以上のGPUのイラスト生成速度を徹底比較。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 19, 2024
Stable Diffusionにオススメなグラボはどれか、コスパやVRAM容量など選び方も解説します。https://t.co/39RCTa0kYy pic.twitter.com/uTt5Q8kd72
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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