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残像感を抑制し明瞭な画面表示を実現する独自機能DyAcに加えて、各種e-Sportsのディスプレイ設定を共有できるシェア機能 XL Setting To Shareに対応した、フルHD解像度で165Hzリフレッシュレートの27インチTN液晶ゲーミングモニタ「ZOWIE XL2731K」をレビューします。
165HzリフレッシュレートやDyAc (Dynamic Accuracy)、ゲーム画面の明暗(Black eQualizer)や色の鮮やかさ(Color Vibrance)を調整する機能によって、FPSやRTS/MOBAゲームに求められる視認性の良さ、エイム(照準)のし易さを確保できる、”勝つために設計された”ゲーミングモニタを徹底検証していきます。
製品公式ページ:https://zowie.benq.com/ja/product/monitor/xl-k/xl2731k.html
ZOWIE XL2731K (フルHD/165Hz/TN/DyAc)
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BenQ
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ZOWIE XL2731K レビュー目次
1.ZOWIE XL2731Kの概要
2.ZOWIE XL2731Kの開封・付属品
3.ZOWIE XL2731Kの液晶モニタ本体
4.ZOWIE XL2731KのOSD操作・設定
・ OSD設定共有機能 XL Setting to Shareについて
5.ZOWIE XL2731Kの発色・輝度・視野角
6.ZOWIE XL2731Kの165Hzリフレッシュレートについて
7.ZOWIE XL2731Kの応答速度・表示遅延
8.ZOWIE XL2731KのFreeSync/G-Sync CPについて
9.ZOWIE XL2731KのDyAcについて
10.ZOWIE XL2731Kのレビューまとめ
【機材協力:BenQ Japan】
ZOWIE XL2731Kの概要
「ZOWIE XL2731K」は解像度が1920×1080のフルHD解像度で画面サイズが27インチの液晶モニタです。液晶パネルタイプはノングレア(非光沢)、IPSパネルやVAパネルと比較して色再現性や視野角に劣るものの、応答速度が高速で競技性の高い対戦ゲームに最適なTNパネルが採用されています。コントラスト比は1,000:1、応答速度は1ms(GTG)、輝度は320nit(cd/m^2)です。「ZOWIE XL2731K」のリフレッシュレートはネイティブ165Hzです。165Hzの高リフレッシュレートによって応答速度が高速になるのでブレや残像がなくなってクッキリとした滑らかな表示です。60FPSでは識別の難しいゲーム内遠方で動くエネミーやオブジェクトの発見などが容易になるので、オンライン対戦FPSゲームなど競技性の高いPCゲームにおいて対戦相手よりも優位に立つことができます。
前モデルXL2546からの進化した要素として「ZOWIE XL2731K」はBenQ独自のモーションブラーリダクション機能「DyAc (Dynamic Accuracy)」機能を搭載しており、液晶モニタゆえの残像現象「ホールドボケ」を解消することで、残像感を抑えたより鮮明な表示を可能としています。
実用的な話としては、e-Sports向けゲーミングモニタブランドZOWIEを展開するBenQによると、FPSゲームにおいて銃を連射した時にリコイル(反動)によって着弾位置がバラつく「スプレー(Splay)」という現象に対して、マウス操作で制動しやすくなるそうです。
加えてゲーム中の見えにくい暗所や過度に明るい範囲の輪郭や明るさを適切に調整する「Black eQualizer」、彩度を調整する「Color Vibrance」によって、隠れている敵や障害物の視認性を改善できます。これらの設定については手動で調整もできますが、ゲームジャンルに合わせた組み合わせのプリセットが用意されています。
「ZOWIE XL2731K」はゲーミングPCやコンソールゲーム機のPlayStation 5やXbox Series X/Sを組み合わせることで利用可能な可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」にも対応しており、ティアリングがなくスタッタリングを抑えた快適で鮮明なゲーミング環境を実現できます。NVIDIA製GPUとの互換性を証明するG-Sync Compatible認証も取得については未定です。
「ZOWIE XL2731K」に搭載されたビデオ入力は3基のHDMI2.0と1基のDisplayPort1.2の4系統です。全てのビデオ入力がフルHD/165Hzに対応しています。
「ZOWIE XL2731K」はディスプレイ設定を共有できるシェア機能「XL Setting To Share」に対応しています。各種e-Sportsに最適化したディスプレイプロファイルをオンライン上で共有し、チームメイトや友人やファンと同じ画面設定でゲームをプレイすることが可能になります。
「ZOWIE XL2731K」では別売りオプション扱いですが、専用コントローラーS.SwitchによるOSD操作にも対応しています。S.Switchの新バージョンXS250では、スクロールホイールが左右チルトや押下クリックに対応するなど操作性が改善されており、それに合わせてモニタ側のUIも改良されています。
「ZOWIE XL2731K」の寸法はモニタスタンド込みで幅515mm x 高さ443mm~521mm x 奥行200mm(モニタ単体では63.5mm)となっています。付属モニタスタンドは上下チルト、左右首振りスイーベル、昇降高さ調整、ピボットに対応しています。チルト角は上23度から下5度、スイーベル角は左右45度、高さ調整は最大155mmの範囲で調節可能です。本体重量はモニタスタンドありで8.6kg、モニタスタンドなしの液晶パネル本体のみは4.8kgとなります。VESA100x100マウントにも対応しておりモニタアームも使用可能です。
ZOWIE XL2731Kの開封・付属品
まずは「ZOWIE XL2731K」を開封していきます。「ZOWIE XL2731K」のパッケージサイズは幅571mm×厚さ200mm×高さ521mmとなっており、27インチモニタが入っている箱としてはかなり大きく、重量も10kg程度です。パッケージサイズと重量は大きいですが、天面には持ち手がついているので、成人男性なら問題なく持ち運べると思います。
「ZOWIE XL2731K」はN式箱という構造になっておりスペーサーを外パッケージから引っ張り出す手間がないのが特徴的です。
パッケージを開くと液晶モニタ本体や付属品が収められた発泡スチロール製のスペーサーが現れます。スペーサーは2段になっており、上の段にはモニタスタンドやケーブルなどの付属品が、下の段には液晶モニタ本体が収められています。
「ZOWIE XL2731K」には、DisplayPortケーブル、ACケーブル、マニュアル冊子類が付属します。
「ZOWIE XL2731K」のビデオ入力はDisplayPort1.2、HDMI2.0×3の4つがありますが、付属するケーブルはDisplayPortケーブルの1本のみです。
各種ケーブルを個別に購入するのであれば、4K/120Hz対応のDisplayPort1.4ケーブルなら「サンワサプライ KC-DP14シリーズ」、HDMI2.0ケーブルなら「エレコム Premium HDMIケーブル スリムタイプ DH-HDP14ESBKシリーズ」がおすすめです。いずれも標準で付属するケーブルよりもケーブル径が細くて取り回しが良いので管理人も個人的に使用しており、おすすめのケーブルです。
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.0m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 1.5m
エレコム PREMIUM HDMIケーブル スリムタイプ 2.0m
エレコム
「ZOWIE XL2731K」に付属するモニタスタンドはフレームとフットプレートの2つの部品で構成されています。
ベースプレートの円形の窪みにある、ロックスリットに合わせてフレームを挿入し、時計回りに回してロックをはめ、奥の方向にあるレバー付きのネジを締めれば組み立て完了です。ツールレスで簡単に組み立てることができます。
組み立てたモニタスタンドはモニタ本体の下側から斜めに挿入してロックをはめるだけで簡単に取り付けることができます。
モニタスタンドの取り外しは、根本の下にあるスイッチでロックを外して、装着した時と逆に動かして引き出すだけです。
ZOWIE XL2731Kの液晶モニタ本体
続いて「ZOWIE XL2731K」の液晶モニタ本体をチェックしていきます。「ZOWIE XL2731K」は若干狭めなフレームありデザインが採用されています。フレーム内パネル上には非表示領域が1mmほどあってフレームを含めると、左右の非表示領域の幅は14mm程度、上側は13mm程度、下側は18mm程度となっています。
またZOWIE XL2731Kのフレームは、内側が外に広がる方向に傾斜が付いており、かつ反射が起こり難い凹凸表面処理も施されているので、画面からの光反射が低減され、ゲーマーに最適な設計となっています。
従来モデルの背面は四角錘の下を切り取ったような角張ったシルエットでしたが、「ZOWIE XL2731K」では曲面になって柔らかい印象に変わりました。上部中央にはメタリックレッドのZOWIEロゴが描かれています。ゲーミングモニタとしてはシンプルで万人に受け入れられやすいデザインです。
モニタスタンドの上部には持ち運びに便利なハンドルがあります。フレーム下部の赤色のホール部分はACケーブルやビデオケーブルを通してまとめることができます。
「ZOWIE XL2731K」のモニタスタンドは昇降とチルトとスイーベルに対応していますが、不意に動かしてしまっても、各自の最適な設定へ簡単に戻すことができるマーカーがあります。
「ZOWIE XL2731K」は従来製品と比較してベースプレートを含めた奥行がコンパクトになり、またホームベース形状にすることでデスクトップを広く活用できるように改良されています。
「ZOWIE XL2731K」のモニタ本体の厚さは最薄部で22mm、最厚部で60mmほどでした。近年では最厚部50mmを切る液晶モニタもあるので、「ZOWIE XL2731K」は厚くはないものの薄くもない標準的な製品です。モニタ本体重量は4.8kg程度です。
液晶モニタ本体背面の中央から右にかけて下を向く方向で各種I/Oポートが設置されています。左側にはACケーブルを接続するための端子が設置されています。
「ZOWIE XL2731K」にはI/Oポートとして左から順に、Mini USBポート、ヘッドホン出力3.5mmジャック、HDMI2.0×3、DisplayPort1.2が設置されています。なお左端にあるUSB Type-Aポートはメーカーメンテナンス用なのでユーザーは使用しません。
また背面から見て右上には収納式のヘッドホンハンガーがあります。出っ張った摘みを引くとスティック状ヘッドホンハンガーを出すことができます。
「ZOWIE XL2731K」では従来製品よりも可動域を広めた付属モニタスタンドの調整機能も大きな特徴の1つです。
「ZOWIE XL2731K」の付属モニタスタンドの上下チルトの可動域は仕様通り下に5度、上に23度です。
「ZOWIE XL2731K」の付属モニタスタンドの左右スイーベルの可動域は左右90度(45度)に対応しています。
モニタの高さはモニタ本体とスタンドの付け根部分が上下に動く構造になっており、155mmの範囲内で調整できます。
付属のスタンドはピボットに対応しており、縦向きにして使用できます。
「ZOWIE XL2731K」はVESA100x100規格のVESAマウントに対応しておりサードパーティ製のモニターアームを使用できます。モニタ単体の重量も3.7kgほどなのでモニターアームを問題なく利用可能です。
モニターアームについては管理人は「Lumen MA-GS102BK」、もしくは色違いでほぼ同機能な「サンワダイレクト 100-LA018」という製品をおすすめしています。モニターアームというとエルゴトロン製が一番の売れ筋ですが、クランプのネジが下に伸びているタイプのモニターアームは机に干渉して使えないという問題があり、MA-GS102BKはクランプを上側から六角レンチで締めるタイプでテーブル下の隙間が狭いデスクでも使用できるので管理人も使っています。
「Lumen MA-GS102BK」はモニタとアームを接続する部分がクイックリリースのブラケット式になっていてモニタアームからモニタ本体の着脱が非常に簡単です。ピボット機能もあるので設置後にモニタを縦・横で向きを切り替えることもできます。ただ関節の滑りに若干難があるので潤滑剤を塗布するのがおすすめです。
あと「ZOWIE XL2731K」のVESAネジ穴は背面外装から窪んだ場所にあるので、外装とモニターアームなどのVESA接続機器が干渉する可能性があり、そういった場合はスペーサーを使用してください。
VESA100x100規格ではネジ規格もM4と決まっているのでM4のスペーサーであれば基本的に何でもいいのですが、別件で購入していたNUC用VESAマウント拡張ブラケット「SilverStone SST-MVA01 NUC用VESAマウント拡張ブラケット」に付属するスペーサーがちょうど使用できたので、管理人はこれを流用しています。M4ネジのスペーサーなら何でも使用できるのですが、「ZOWIE XL2731K」で使用できるスペーサーがよくわからないという人は2000円ほどしますが、とりあえずこれを買えば干渉を回避できます。
ZOWIE XL2731KのOSD操作・設定
「ZOWIE XL2731K」のOSD操作はモニタ背面左下(正面からみて右下の裏側)に設置されている3つのボタン&操作スティックや、S.Switchという専用の有線コントローラーを使用します。また「ZOWIE XL2731K」では別売りオプション扱いですが、専用コントローラーS.SwitchによるOSD操作にも対応しています。S.Switchの新バージョンXS250はスクロールホイールが左右チルトや押下クリックに対応するなど操作性が改善されています。
モニタ本体の操作スティックを押下するか、S.Switchのホイールを押下クリックすると画面右下にクイックメニューが表示されます。左端のメニューアイコンを選択すると詳細設定メニューに移ります。
クイックメニューには最初、モード/DyAc/輝度/Black eQualizerの4項目が登録されており、操作スティックの左右やS.Switchのホイール左右チルトで設定項目を選択できます。輝度やBlack eQualizerなど設置値が数値のものはスティック上下やホイール上下回転で設定値の変更が可能です。
クイックメニューの4つのショートカットアイコンに割り当てる機能はOSD設定から変更が可能です。モードのように数値設定でなく3つ以上の設定値がある場合は代表して3つの設定を選択する形になります。
モニタ背面のローテーションキーや、S.SwitchのS.Switchキーもショートカット設定キーとなっており、OSD設定から各キーに割り当てる設定項目を選択できます。
クイックメニューの左端にあるメニューアイコンを選択すると詳細設定メニューが表示されます。「ZOWIE XL2731K」の詳細設定メニューは液晶モニタの6分の1くらいの領域に大きく表示されるので文字が小さくて見えにくいなど操作性の心配はないと思います。
「ZOWIE XL2731K」の国内版は初めて起動した時にOSD言語として日本語が適用されています。もし別の言語だった場合も下記の手順で日本語UIに切り替えが可能です。
「ZOWIE XL2731K」のOSDメニューには大きく分けて、画質モードを選択する「モード」、色調整を行う「カラー設定」、ゲーム関連の表示設定を行う「画像」、画質モードに対する設定値の自動保存等を設定する「保存」、入力やアスペクト比を設定する「表示」、クイックメニューやショートカットキーの設定を行う「カスタム」、その他の設定を行う「システム」の7つの項目が用意されています。
「ZOWIE XL2731K」の画質モードは「FPS1」「FPS2」「RTS」「ゲーマー1」「ゲーマー2」「ゲーマー3」「動画」「標準」の8つのプロファイルがあります。標準設定はFPS1です。
ゲーマー1~3の画質モードは個別OSD設定を任意に記録して設定の組み合わせをプロファイル化できます。個別のゲームに最適化したプロファイルをS.Switchの1~3ボタンと連動しているのでS.Switchから1クリックで切り替えが可能です。
一般にオーバードライブと呼ばれる応答速度を調整する機能は、「ZOWIE XL2731K」では従来のBenQモニタ製品同様に「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されており、強さの順にプレミアム、高、オフの3段階で設定できます。ほぼ全ての画質モードにおいて標準設定は高設定となっています。
暗所を明るく(白く)表示して視認性を改善する「Black eQualizer」機能については0~20の21段階で設定が可能です。0は無効で、レベルを上げるほど明るく(白く)なります。設定値については画質モードによって異なります。
画面の鮮やかさやトーンを調整することで視認性を改善する「色の鮮明さ(Color Vibrance)」機能については0~20の21段階で設定が可能です。
中央値の10は機能無効で、レベルを上げるほど彩度が強調され、レベルを下げるほど彩度が下がってモノクロ風に近づきます。
モーションブラーリダクション機能「DyAc」については補正の強さ順にプレミアム、高、オフの3段階で設定でき、ほぼ全ての画質モードにおいて標準設定はプレミアム設定となっています。
「ZOWIE XL2731K」のDyAcはリフレッシュレートが100Hzから165Hzの時に使用でき、加えて輝度や応答速度のOSD設定も自由に行うことが可能です。
「ZOWIE XL2731K」は可変リフレッシュレート同期機能に対応しており、システム設定の中に「Adaptive-Sync」の名前で設定項目が配置されています。「Adaptive-Sync」はDyAcとは排他利用です。
「ZOWIE XL2731K」のOSD操作ではボタンを押下した時にピッとブザーが鳴りますが、OSDメニューからブラーのオン/オフの切り替えが可能です。
最近のゲーミングモニタに便利機能として採用の多い定番のOSDクロスヘア表示や、可変リフレッシュレート同期機能の動作確認に便利な、リアルタイムリフレッシュレートをOSD表示する機能は、「ZOWIE XL2731K」に搭載されていないのは少し残念です。
OSD設定共有機能「XL Setting to Share」について
「ZOWIE XL2731K」はディスプレイ設定を共有できるシェア機能「XL Setting To Share」に対応しています。各種e-Sportsに最適化したディスプレイプロファイルをオンライン上で共有し、チームメイトや友人やファンと同じ画面設定でゲームをプレイすることが可能になります。「XL Setting To Share」を使用すると、オンライン上、GoogleドライブのようなクラウドにアップロードされたOSD設定プロファイルを共有でき、e-Sportsプロ選手がVALORANTやフォートナイトなど個別のゲームで使用しているのと全く同じOSD設定でプレイできるのが特徴です。
例えば、今回レビューしているものとは別モデルですが、「ZOWIE XL2546K」ではプロeスポーツチームZETA DIVISIONから各選手がVALORANTで使用しているOSD設定プロファイルが公式ページで配布されています。
XL Setting To Shareを使用する上でPCとモニタの通信にはVESAが策定した「DDC/CI (Display Data Channel Command Interface)」という汎用規格が使用されており、USBケーブルの接続など物理的な環境構築において別途作業は必要ありません。DDC/CIはDisplayPortとHDMIの両方がサポートしています。
モニタ側の設定として、一応OSD設定にDDC/CIのオン・オフ設定があるのでここはオンにしておく必要がありますが、標準設定がオンになっています。
PC側のソフトウェアセットアップとして、公式ページからダウンロードしたXL Setting to Shareのアプリケーション実行ファイルをそのまま起動します。インストール作業は必要ありません。
日本語UIにも対応しているので、使い方はほぼUIを見ての通りですが、左側に設定のインポート、右側に設定のエクスポートが配置されています。
設定エクスポートでは現在のモニタOSD設定が出力でき、「XL2731K-」に続く文字列を入力することでエクスポートのボタンが押せるようになります。
逆にインポートは、「ファイルの選択欄へドラッグ&ドロップ」もしくは「+アイコンでエクスプローラーを開く」、の手順でプロファイルを登録します。(プロファイルはXL Setting to Share実行ファイルと同じ場所のSettingFilesフォルダに保管される)
3つのなかで保存したいゲームモードを選択したら、そのゲームモードに適用したいプロファイルを選択し、右に表示される目のアイコンを選択します。
モニタのモードが切り替わるため一瞬暗転しますが、指示に従って操作していけばプロファイルの適用が完了します。
ZOWIE XL2731Kの発色・輝度・視野角
ZOWIE XL2731Kの発色・輝度・視野角など画質についてチェックしていきます。直接的な画質ではありませんがZOWIE XL2731Kの液晶パネルは光沢のあるグレアではなくアンチグレアタイプなので暗転時に自分の顔などが映り込みません。
液晶パネルには大きく分けてIPS液晶パネルとVA液晶パネルとTN液晶パネルの3種類があり、各社個別の製品によって個体差はあるものの、この3つの液晶パネルの特性を簡単にまとめると次のテーブルのようになります。
「ZOWIE XL2731K」に採用されているTN液晶パネルはIPS液晶パネルやVA液晶パネルと比べると色再現性、コントラスト比、視野角など一般に画質に直結する性能は劣っている傾向があります。代わりに価格面では他2つよりも安価であることに加え、応答速度が高速であるというメリットがあります。
とりわけ応答速度についてはIPS液晶パネルやVA液晶パネルを大きく上回るので、高リフレッシュレートなモニタの多くでTN液晶パネルは採用されており、『競技ゲーマー向けの液晶モニタといえば、TN液晶モニタ』と言っても過言ではありません。
そのためTN液晶パネルを採用した製品は、解像度やモニタサイズの割りに安価な液晶モニタ製品、高速リフレッシュレートで比較的高価なゲーマー向け液晶モニタ製品に二分化しています。
液晶パネルの簡易比較表 | |||
IPS | VA | TN | |
色再現性 | ◎ | 〇 | △ |
コントラスト | 〇 | ◎ | △ |
視野角 | 〇 | 〇 | △ |
応答速度 | 〇 | △ | ◎ |
価格 (高RR) |
△ (×) |
△ | 〇 |
液晶パネルの種類による性能の違いについてはこちらの記事も参照してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[4] IPS/VA/TN液晶パネルを比較解説
「ZOWIE XL2731K」で使用されているTN液晶パネルはIPS液晶パネルやVA液晶パネルと比較すると色再現性など発色の面では若干劣る傾向がありますが、真正面から見るかぎりではそこそこ綺麗です。
ただし「ZOWIE XL2731K」の視野角についてはやはりTN液晶パネルなので見る方向によっては大きく色が破綻してしまいます。
液晶パネル正面から上方向にズレると比較的浅い角度でも全体的に白みがかかっていき、最終的には色が破綻して見れない絵になってしまいます。白背景テキストが一般的なWebページやドキュメントでは少しでも上方向に角度が付くと、文字が判別しにくくなったり、かなり色味が変わったりします。
上からに比べて実用上は発生しにくいケースですが、下から見ると少し角度が付くだけで色調が破綻して、おおざっぱなRGBと黒色以外は判別できなくなります。
液晶パネル正面から左右にズレると角度が大きくなるにつれて画面が黄ばんで暗くなります。カラフルなページでは特に気にならないのですが、白色では目に見えて黄色く感じます。また「ZOWIE XL2731K」はこの黄ばみが強い気がしました。
同じ144Hz+対応ゲーミングモニタでも、近年、各社より発売されているIPS液晶パネル採用製品と比較すると、視野角という意味で見やすさは大きく劣るので注意が必要です。
「ZOWIE XL2731K」の発色について、色温度の標準設定である”通常”で、白色が極端に黄色や青色がかって見えることもなく、特に違和感はありませんでした。色温度設定には薄青/通常/薄赤の3種類のプリセットがありますが、これらを切り替えても発色に違和感がある場合は、ユーザー設定でRGBのバランスを好みに合わせて整えてください。
「ZOWIE XL2731K」はガンマカーブ設定にも対応しており、5種類の設定値があります。ガンマ1~ガンマ5はそれぞれガンマの値が1.8、2.0、2.3、2.5、2.7に相当するようなモードになっており、ガンマ3が標準設定です。
ここからはカラーキャリブレータを使用して、色域・色再現性・輝度・コントラスト・均一性など画質に直結するモニタの性能について詳細な検証結果を見ていきます。なおこれらのモニタ性能(特に輝度の均一性)については同じ製品であっても個体差が大きいのでご注意ください。検証にはカラーフィルター式(色差式)のX-Rite i1 Display Pro PlusとDatacolor SpyderX、そして分光式(スペクトロメーター)のX-Rite i1 Basic Pro 3を使用しています。
余談ですが、分光式のi1 Basic Pro 3は20万円程と非常に高価ですが、一般的な用途であればイラスト製作や写真編集でカラーキャリブレーションを行う場合、カラーフィルター式のX-Rite i1 Display ProかDatacolor SpyderX Proで測定精度は十分です。ユーザー数の多さで面倒が少ないのはX-Rite i1 Displayだと思います。
「ZOWIE XL2731K」のディスプレイ輝度について白色点の輝度をOSD設定別で測定しました。OSD上の輝度設定10%刻みで0%~100%の輝度変化は次のようになっています。
「ZOWIE XL2731K」において、一般に見やすい明るさと言われる120cd/m^2は輝度30%前後、室内照明に依りますが個人的に見やすいと感じる明るさの180~200cd/m^2は輝度50%程度です。
「ZOWIE XL2731K」のディスプレイ輝度の均一性(Uniformity)を検証しました。画面中央の輝度が約120cd/m^2になるOSD設定において、画面を横7×縦5の35分割として各位置の白色点の輝度を測定し、120cd/m^2を基準にしたパーセンテージで等高線マップにしています。
液晶モニタにおいて輝度の低下が特に大きい四隅&四辺は、上のような領域分割測定では見落とされてしまうので、同様に中央120cd/m^2を基準にして個別に測定したところ次のようになりました。
「ZOWIE XL2731K」については(下の写真は全体が白表示なので実用シーンよりもやや強調されていますが)、画面上の大半は輝度低下20%未満に収まるので、体感の均一性はかなり良いと思います。端ギリギリまで行くと右上と左上は輝度が20%近く落ちているので暗さを感じるかもしれません。
画面中央の白色点が約120cd/m^2になるOSD設定において「ZOWIE XL2731K」のブラックレベルを測定したところ次のようになりました。ブラックレベルの測定にはX-Rite i1 Display Pro Plusを使用しています。
またこの時のコントラスト比も算出したところ次のようになっています。なおコントラスト比に大きく影響するブラックレベルはコンマ2桁での測定になるため測定精度が若干怪しく、ブラックレベル0.01の差でコントラスト比が大きく変わるので参考程度と考えてください。
続いて「ZOWIE XL2731K」の色域と色の正確性を検証してみました。
ZOWIE XL2731Kの場合、標準設定のFPSモード等はゲーム内での視認性に特化しているため画質モードを標準に変更しています。また「ZOWIE XL2731K」はガンマカーブの設定も可能ですが、以降は一般的なガンマ2.2相当となるようにガンマ3モードで測定を行います。ディスプレイ輝度は120cd/m^2になるように調整しています。
任意のカラープロファイルを適用しない場合、次のようになりました。「ZOWIE XL2731K」は標準モードでそのまま使用しても97% sRGBをカバーしています。
色の正確性は平均ΔEが1.58となっており若干誤差は大きいようです。X-Riteによると『ΔE=2~3程度で2つの色を離して見比べた時に違いが分かるレベル』とのこと。
次にX-Rite i1 Basic Pro 3を使用してカラーキャリブレーションを行いました。キャリブレーション設定は下のスクリーンショットの通りですが、i1 Profilerの標準設定をそのまま採用しています。
色温度は標準設定のままでRGBの強さは適切と表示されました。
X-Rite i1 Basic Pro 3によってカラーキャリブレーションで作成したICCファイルを適用し、同じくX-Rite i1 Basic Pro 3で行った品質検証(色の正確性の検証)の結果は次のようになっています。X-Rite i1 Basic Pro 3は分光式(スペクトロメーター)のカラーキャリブレータなので、測定精度はこちらの方が高いはずです。
上の測定結果ではカラーキャリブレーション前の色の正確性はΔE 1.58でしたが、カラーキャリブレーション後にX-Rite i1 Basic Pro 3で測定した色の正確性はΔE 0.7と優秀な数値です。
また分光型測色計(スペクトロメーター)で測定した輝度120cd/m^2における白色点のカラースペクトラムが次のようになっています。
カラースペクトラムから発色の良いモニタを見分けるざっくりとしたポイントは『RGB各色のピークが鋭く立ち上がり、かつ高さが同程度であること』です。一般的な液晶モニタは白色LEDバックライト(青色LEDを光源として赤緑(≒黄)蛍光体を組み合わせて白色を生成する)を採用しているので青色のピークが高くかつ鋭くなります。白色を基準として測定した場合、緑と赤のピークの高さは色温度のOSD設定で若干上下します。以上から簡単化すると『緑と赤のピークが鋭くなっているかどうか』をチェックすればカラースペクトラムの良し悪しがざっくりと判定できます。
「ZOWIE XL2731K」のカラースペクトラムについては青色ピークの立ち上がりは鋭いものの、緑と赤の分離が弱く、また青に比べてピークも低いという一般的な液晶モニタらしい特徴です。
ZOWIE XL2731Kの165Hzリフレッシュレートについて
「ZOWIE XL2731K」の最大の特徴の1つである165Hzリフレッシュレートについてチェックしていきます。まずは「ZOWIE XL2731K」の特徴の1つである”165Hzリフレッシュレート”について、その意味自体は特に説明せずとも読者はご存知だと思いますが、一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、165Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.6倍となる1秒間に165回の画面更新を行います。
最近では競技ゲーマー向け製品で240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも普及しつつあり、さらには、それを1.5倍に上回る360Hzの超々高速なリフレッシュレート対応製品も各社から販売されています。
1秒間に165回の画面更新を行う165Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。上の章で詳しく検証したようにリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hz環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
「ZOWIE XL2731K」ではNVIDIA GeForce RTX30シリーズやAMD Radeon RX 6000シリーズなど最新グラフィックボードのDisplayPort1.2もしくはHDMI2.0のビデオ出力に接続することによって、モニタリフレッシュレートを144Hzや165Hzなどに自由に設定できます。
「ZOWIE XL2731K」にはDisplayPortビデオ入力に加えてサブ入力として3基のHDMIビデオ入力もありますが、いずれもHDMI2.0に対応しているのでフルHD/165Hzの表示が可能です。
モニタリフレッシュレートの設定は、NVIDIA製GPUの場合は上のスクリーンショットのようにNVIDIAコントロールパネルから、AMD製GPUの場合はWindowsのディスプレイ設定から行います。
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて144Hzや240Hzなど高リフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとして、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるという例は直感的にもわかりやすいメリットですが、その他にもゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。
下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
表示遅延が小さいメリットとしては、視認と操作の繰り返し応答が良くなることに加えて、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
240~360Hz・FPSでシステム遅延が小さい環境の攻撃側に敵(守備側)が見えているのに対して、一般的な60Hz・FPSでシステム遅延が大きい環境の守備側は敵(攻撃側)が見えていない様子がハッキリと映っています。
主観の画面表示を基準にしてみると、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
なお「MSI Oculux NXG253R」でフル解像度/240FPSを狙うには、元から軽めのPCゲームや画質設定を下げた最新PCゲームであってもグラフィックボードのGPU性能はかなり高い水準で要求されます。
ゲーミングモニタとして「MSI Oculux NXG253R」を使用するのであれば2021年最新GPUであるNVIDIA GeForce RTX 3060 TiやAMD Radeon RX 6700 XTがおすすめです。
・GeForce RTX 30シリーズのレビュー記事一覧へ
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ZOWIE XL2731Kの応答速度・表示遅延
次にゲーミングモニタのハードウェア性能として特に重要な、「ZOWIE XL2731K」の応答速度や表示遅延についてチェックしていきます。まずは「ZOWIE XL2731K」の応答速度について検証していきます。
なおゲーミングモニタを選ぶ、もしくはモニタの応答速度や残像を評価する上で重要な予備知識である『液晶モニタの応答速度とオーバードライブ機能』についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
「ZOWIE XL2731K」のOSDメニュー上ではオーバードライブ機能は「AMA (Advanced Motion Accelerator)」の名前で設置されており、強さの順にプレミアム、高、オフの3段階で、ほぼ全ての画質モードにおいて標準設定は”高”設定となっています。
「ZOWIE XL2731K」のオーバードライブ設定は”高”が最適な設定です。どのリフレッシュレートでも”オフ”にすると応答遅れによる残像が生じ、”プレミアム”にするとオーバーシュートによる逆像がより強く出てしまいます。
応答速度の確認には「UFO Test: Ghosting」を使用します。同テストではUFOが移動する背景カラーを選択できますが、今回の検証ではブラック/グレー/ホワイトの3色を選択しています。
背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
「ZOWIE XL2731K」に採用されているTN液晶パネルは傾向として応答速度が速いのですが、最大リフレッシュレートの165Hz、オーバードライブ設定も最適値の”高”で動作させると、オーバーシュート感のある残像が強めに1つと、さらに薄っすらと2つ前の像も見えました。背景カラーが黒寄りだと応答速度は高速ですが、グレーや白など明るい色になるとやや遅めな応答になる傾向です。
ここからは「ZOWIE XL2731K」のリフレッシュレートを変えてみたり、他の液晶モニタを比較対象にしたりしながら、「UFO Test: Ghosting」の様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、比較してみます。
「ZOWIE XL2731K」のリフレッシュレートを最大値の165Hzにした時に最適なオーバードライブ設定は”高”設定です。オーバードライブ設定を最大設定の”プレミアム”に変更するとオーバーシュートの逆像がかなり強く出ました。またオフにすると残像感が強くなります。
ハイリフレッシュレートで理想的な応答を見せるオーバードライブ設定は相対的に補正が強過ぎるため、リフレッシュレートを下げるとオーバーシュートが発生してしまうことが多いですが、「ZOWIE XL2731K」では165Hzで最適な応答を見せる”高”設定は、144Hzならリフレッシュレートの数値に大きな差はないので同程度でした。
60Hzだと通常はオーバーシュートが強く出るはずなのですが、「ZOWIE XL2731K」では異なる補正が適用されるのか、オーバーシュート感はあるものの比較的に綺麗な応答を見せます。
次に2020年以降、各社より発売の相次いでいるフルHD解像度かつ144Hz+対応のIPS液晶モニタを代表してASUS TUF Gaming VG259と比較してみました。
黒背景に見られるようにTN液晶パネルの方がIPS液晶パネルよりも圧倒的に高速なシーンがあるので、オシロスコープ等で電子的に測定した平均GTGではTN液晶パネル採用製品のほうが応答速度が速くなる傾向にあります。
しかしながら中間応答を想定したグレー背景を見ると、純粋な応答遅れによる残像かオーバーシュートの逆像かという違いはあるものの、「ZOWIE XL2731K」よりもIPS液晶のASUS TUF Gaming VG259のほうが高速に見える結果です。
また「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。
測定には240Hz未満のモニタではSONY DSC-RX100M5の960FPSスーパースローモーションを使用していますが、240Hzを超えるモニタでは5760FPSのスーパースローモーションを使用しており、その場合は末尾に”*”マークを添えています。
評価の目安として、”1000msをリフレッシュレートで割って2倍した数値”よりも測定値が小さければ、画面更新に応答速度が追いついています。60Hzの場合は33.3ms、120Hzの場合は16.6ms、144Hzの場合は13.9ms、240Hzの場合は8.3msを下回っていればOKです。
まずは背景カラーがブラックの時の「ZOWIE XL2731K」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがブラックの場合は各液晶パネルにおいて応答速度は高速な数値を示すので、概ね理想的な応答を確認することになります。
続いて背景カラーがホワイトの時の「ZOWIE XL2731K」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがホワイトの場合の応答速度は、ドキュメントやウェブページでテキストをスクロールした時の文字の滲み度合いの参考になります。
最後に背景カラーがグレーの時の「ZOWIE XL2731K」やその他の比較対象モニタの応答速度の計測結果となります。背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
最後に「ZOWIE XL2731K」の表示遅延(内部遅延)について測定を行いました。
モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
システム表示遅延やディスプレイ表示遅延の測定には、フォトセンサーを使用した特殊な測定機器「PC Gaming Latency Tester」を使用しています。当サイトのレビュー用に特注した機器なので、詳細についてはこちらの記事を参照してください。
「ZOWIE XL2731K」やその他の比較モニタのディスプレイ表示遅延の測定結果は次のようになりました。測定方法的に遅延が2ms以下であればディスプレイ内部の表示遅延は誤差の範囲内で十分に小さいと考えてOKです。
「ZOWIE XL2731K」やその他の比較モニタのシステム表示遅延の測定結果は次のようになりました。この測定値は一般的なPCゲームにおける操作から画面表示の変化までの遅延に一致します。
グラフの通りリフレッシュレートを上げると応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいということが分かると思います。
ZOWIE XL2731KのFreeSync/G-Sync CPについて
続いて「ZOWIE XL2731K」が対応する可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」についてチェックしていきます。「ZOWIE XL2731K」は製品公式ページにおいて対応の有無も含めてアピールされていませんが、FreeSyncやG-Sync Compatibleといった可変リフレッシュレート同期機能に実は対応しています。ただし「ZOWIE XL2731K」の最大の魅力であるモーションブラーリダクション機能DyAcとは排他利用です。
またXbox Series X/Sなど対応機器を接続した場合、HDMIビデオ入力でも可変リフレッシュレート同期機能を利用できます。
モニタの画面更新(リフレッシュ)に関する基本的な予備知識や、「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」と「NVIDIA G-Sync Compatible」の関係についてはこちらの記事を参考にしてください。
・ゲーミングモニタの選び方[3] FreeSyncとG-Sync Compatibleについて
なお当サイトのレビューではNVIDIA環境について、G-Syncモジュールが搭載されたモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能を単純にG-Syncと呼び、AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)に対応したモニタにおける可変リフレッシュレート同期機能はG-Sync CompatibleもしくはAdaptive-Syncと呼びます。またドライバでそのモニタが正式にサポートされている場合はG-Sync Compatible認証取得済みと補足します。
「AMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)」には対応可能なフレームレート(リフレッシュレート)の上限と下限が製品ごとに設定されており、「ZOWIE XL2731K」は48Hz~165Hzの範囲内で可変リフレッシュレート同期に対応しています。また「AMD FreeSync」に対応するビデオ入力はHDMI2.0とDisplayPort1.2の両方です。
2021年以降ではHDMIでも対応する製品も増えていますが、「ZOWIE XL2731K」でNVIDIA G-Sync Compatibleに対応するビデオ入力はDisplayPortのみです。
以下、「ZOWIE XL2731K」でAMD FreeSync / NVIDIA G-Sync Compatible (VESA Adaptive-Sync、HDMI Variable Refresh Rate)を使用する手順について説明しますが、共通の確認事項として、OSD設定で「Adaptive-Sync」の項目をオンにしてください。同設定項目は標準ではオフになっています。
AMD FreeSyncの使い方
可変リフレッシュレート同期「AMD FreeSync」を有効化する手順について説明します。AMD製GPU搭載PCの場合はRadeon設定のウィンドウ右上にある歯車アイコンを選択、トップメニュータブからディスプレイを選択の手順で表示される「Radeon FreeSync」のスライドスイッチから機能を有効化します。
また上で紹介した参考記事中で解説しているように、AMD FreeSyncではテアリング解消とマウス遅延低減のどちらを優先するかで垂直同期の有無を各自で選択する必要があります。垂直同期は通常ゲーム内設定でON/OFFの切り替えが可能ですが、ドライバ側が上書きしてゲーム内からは切り替えられない場合があります。ゲーム内で設定して希望通りの動作にならない時はRadeon Settingsのゲームプロファイルもチェックしてください。
NVIDIA G-Sync Compatibleの使い方
可変リフレッシュレート同期「NVIDIA G-Sync Compatible」を有効化する手順について説明します。2019年1月15日以降の最新ドライバによってNVIDIA GeForce環境でもAdaptive-Syncが利用可能になりました。ドライバの更新に合わせてG-Sync Compatible認証を取得するモニタが増えています。
417.71以降の最新ドライバをインストールして、DisplayPortビデオ出力にAdaptive-Sync対応モニタを接続すると、G-Sync対応モニタを接続した時と同様にAdaptive-Syncを有効化するための設定が、NVIDIAコントロールパネル上の「G-Syncの設定」に表示されます。
「G-SYNC、G-SYNCとの互換性を有効化(Enable G-SYNC, G-SYNC Compatible)」のチェックボックスをチェックして、下のモニタアイコンに使用するモニタの名前が表示・選択されていることを確認し、適用をクリックすればNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを有効化できます。
なおG-Sync Compatible認証を取得していない一般のAMD FreeSync/VESA Adaptive-Sync対応モニタでも、互換性が検証されていないと注記が表示されますが、NVIDIA製GPU環境においてAdaptive-Syncを利用できます。
AMD FreeSync/NVIDIA G-Sync Compatibleの効果
可変リフレッシュレート同期機能「AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatible」の効果やメリットについて説明していきます。機能的にはほぼ同じなので以下まとめてFreeSyncと呼ぶことがあります。AMD FreeSync (VESA Adaptive-Sync) / NVIDIA G-Sync Compatibleの検証に際してはリプレイ機能があって同一シーンで検証がしやすいので「Project Cars 2」を使用しています。またフレームレートやテアリングの発生の様子を確認しやすいように、画面左上にはGPUフレームレートOSD、画面左端にはGPUフレームバッファで色の変わるカラーバーが表示されるようにしています。加えてモニタが対応していればモニタOSDのリフレッシュレート表示機能も使用します。
画面右上のフレームレートはGPUフレームバッファから算出されているので必ずしもリフレッシュレートとは一致しません。画面左端のカラーバーは連続するフレーム間、つまりn番目とn+1番目のフレームではそれぞれ異なる色になっているため、同時に複数色のカラーバーが表示されている画面はテアリングが発生していることを意味します。
まずは同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の違いを分かりやすく体感してもらうため、モニタリフレッシュレート60HzにおいてGPU側出力フレームレートが30FPS~60FPSの間で変動するようにして、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して、画面表示の様子を比較してみました。
同期なしでは盛大にテアリングが発生し、垂直同期ではスタッター(カクつき)が発生しているのがわかります。一方でFreeSyncと垂直同期の両方を有効にした場合はテアリングもスタッターも発生しません。ただし例外として動画で50秒以降のフレームレートが40FPSを下回るとAMD FreeSyncの対応フレームレート外となるためスタッターが発生しています。またFreeSyncのみを有効にして垂直同期は無効の場合、同期なしと比べて圧倒的にテアリングが減っているのがわかります。ただし対応フレームレート内であっても稀にテアリングが発生し、対応フレームレート外では同期なし同様にテアリングが発生します。
続いて144Hzリフレッシュレートにおいて、GPU側出力フレームレートが100FPS前後で変動するようにして、先ほど同様に同期なし、垂直同期、FreeSync、FreeSync+垂直同期の様子を16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影して比較してみました。
FreeSync有効であれば同期なしのテアリングや垂直同期のスタッターに悩まされることなく滑らかで綺麗な映像が表示できています。FreeSyncの60Hz/50FPS前後と144Hz/100FPS前後を比較すると当然ですが後者の方がコマ割りが増えるので16倍速スローモーションでもスムーズに見えます。
FreeSyncのみを有効した時に映像フレームレートが対応フレームレート範囲外になるとテアリングが発生しますが、リフレッシュレートを上回ってしまう場合については、Radeon設定のRadeon Chillの最大FPSに”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
なおNVIDIA GeForce環境でAdaptive-Syncを利用する場合も、フレームレートがリフレッシュレートを超過するとテアリングが発生するので、テアリングを完全になくすには垂直同期を有効化する必要があります。もしくは垂直同期無効においてテアリングをなくすには、NVIDIAコントロールパネルの「Max Frame Rate」に”リフレッシュレートから3,4FPSを引いた値”を指定してください。(グローバル設定だけでなくゲームタイトル別に設定が可能)
これの設定以外にもRivaTunerやNvidia Profile Inspectorを使用してゲーム内フレームレートがモニタリフレッシュレートを上回らないように設定することも可能です。
下の比較はいずれもFreeSyncが有効になっているのでスタッターもなく滑らかですが、単純にFreeSyncだけを有効にすると対応フレームレートの上限となるリフレッシュレートを超えた時にテアリングが発生します。
リフレッシュレートが144Hz(フレームレートの上限が144FPS)の場合は120FPS~140FPSが上限になるようにフレームレートに制限をかければ、マウス操作を低遅延しつつ、テアリングの発生も最小限に抑えて快適なゲームプレイが可能です。
またPUBGやCS:GOのようなオンライン対戦FPSや格闘ゲームなど1,2フレームを争う競技性の高いPCゲームでは、表示遅延(入力遅延)が発生する垂直同期は嫌われる傾向にありますが、144Hzや240Hzといったハイリフレッシュレートモニタにおいて、同期機能を無効化した場合に発生するテアリングがどのように影響するのか検証してみました。
テアリングはモニタ表示更新中のフレームバッファの更新で発生しますが、目で見た時の違和感はn番目とn+1番目のフレームの絵の差に影響されます。コマ割りが細かくなる高フレームレートではn番目とn+1番目の絵の違いは当然、低フレームレートの場合よりも小さくなります。そのため50FPSでは画面の分断のように知覚できたテアリングは、200FPSのような高フレームレートでは細かいノイズのような形で知覚されます。
100FPSを超える高フレームレートでは大きな分断に見えるテアリングの代わりに、細かいノイズのように感じるテアリングが増えてきます。『細かいノイズの発生程度であれば高リフレッシュレートモニタのテアリングは実用上は大した問題ではなく、可変リフレッシュレート同期機能は不要である』という意見がありますが、高リフレッシュレートモニタのアドバンテージとして先に解説した「ゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性」と合わせて考えると、このノイズの有無は遠方の細かいエネミーやオブジェクトの発見に影響します。なので高リフレッシュレートモニタを使用するのであれば可変リフレッシュレート同期機能はあったほうがいい、というのが管理人の意見です。
ZOWIE XL2731KのDyAcについて
「ZOWIE XL2731K」にはZOWIE独自モーションブラーリダクション機能の改良版となる「DyAc (Dynamic Accuracy)」が実装されています。登場当初こそ『ゲーム中の動きに”Clarity(明瞭さ)”を提供する』という売り文句を除けば、同機能に関する詳細な仕様についてはBenQからは公表されていませんが、現在では『DyAcは、CRT(ブラウン管)の現像原理をシミュレーションしたバックライトコントロール技術に基づいて、残像感軽減効果を生み出す独自技術です』と紹介されており、実際に動作を確認してみても「DyAc (Dynamic Accuracy)」は一般に言うところのMotion Blur Reduction(モーションブラーリダクション、残像抑制)機能の1種でした。
DyAc紹介ページ:https://zowie.benq.com/ja/what-is-dyac.html
モーションブラーリダクション機能についてはこちらの記事で簡単に紹介しているので、よくわからないという人は先に確認してみてください。
・ゲーミングモニタの選び方[2] モーションブラーリダクションについて
「ZOWIE XL2731K」のモーションブラーリダクション機能「DyAc」については補正の強さ順にプレミアム、高、オフの3段階で設定でき、ほぼ全ての画質モードにおいて標準設定はプレミアム設定となっています。「ZOWIE XL2731K」のDyAcはリフレッシュレートが100Hzから165Hzの時に使用でき、加えて輝度や応答速度のOSD設定も自由に行うことが可能です。
「ZOWIE XL2731K」のDyAcはHDMIビデオ入力にも対応しているので、PlayStation 5やXbox Series X/Sで120FPS表示した時にDyAcを併用可能です。
まずはモーションブラーリダクション機能「DyAc」が具体的にどのような動作をしているのか確認していきます。「ZOWIE XL2731K」で165HzリフレッシュレートのDyAcが動作している時の様子を5760FPSのスーパースローモーションムービーで撮影してみました。5760FPSで165Hz動作のモニタを撮影しているので、モニタが1回更新されるまでを撮影した動画は約35フレームに分割されます。
まずはDyAcの設定を”高”設定にしたところ、モニタが1回更新されるまで35フレームのうち9フレーム程度が完全に明転し、残りの26フレーム程度が完全に暗転しているのが分かります。
輝度は0~100%で調整できますが明転/暗転時間に変化はなく、明転時のバックライト輝度だけが変化します。120Hzや144Hzで動作時は比率はそのままに1リフレッシュの時間に合わせて明転と暗転の時間が変わります。
一方でDyAcの設定を”プレミアム”設定にしたところ、35フレームのうち6フレーム程度が完全に明転し、残りの29フレーム程度が完全に消灯しているのが分かります。なお輝度も0~100%で調整できますが明転時間に変化はなく、明転時のバックライト輝度だけが変化します。
黒フレーム挿入によるMotion Blur Reduction機能では、残像感を低減させる効果が期待できる反面、バックライトを消灯するので時間平均の輝度が下がって画面が暗くなるというデメリットが指摘されます。
「ZOWIE XL2731K」のDyAcは機能を有効にすると最大でも輝度は100cd/m^2とかなり低い値まで下がってしまいます。室内利用で一般的に推奨される輝度が120cd/m^2程度なので、やはり「ZOWIE XL2731K」でMBR機能を使用した時の輝度は低めです。
DyAc無印がDyAc+に比べて輝度が低いのか、というと、旧モデルXL2546はDyAc無印ですが、最大輝度は350cd/m^2だったので、DyAc無印やDyAc+を有効にしたときの最大輝度は完全にモデルに寄って異なるようです。
DyAc/DyAc+はZOWIEシリーズの大きな売りの1つなので、同機能を使用した時の最大輝度についても製品仕様として公表して欲しいところ。
「ZOWIE XL2731K」に搭載された「DyAc」などモーションブラーリダクション機能は、人の目の錯覚が引き起こす残像やボヤケを解消する機能なので、写真や動画を見せて残像が抑制されている様子を実際に見せるというような解説は厳密には不可能です。
そのためレビューでは管理人が試用してみたインプレッションを伝えることくらいしかできないのですが、「DyAc」を有効にすると動いている物体の輪郭がクッキリとして確かに視認しやすくなりました。下の写真は管理人が「UFO Test: Strobe Crosstalk」を見た時の感覚を表現したイメージ図ですが、「DyAc」を有効にすると輪郭のボヤケがなくなってネイティブスピードでも倍速ハイスピード動画のスローモーションで輪郭を追っている時に近い感覚で追従して見ることができました。
ZOWIE XL2731Kのレビューまとめ
最後に「ZOWIE XL2731K」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 画面サイズ27インチでゲーミングモニタとしてはちょうどいいサイズ
- 応答速度に優れたTN液晶パネル
- 液晶パネルは反射防止のアンチグレア
- ビデオ入力はDisplayPort1.2とHDMI2.0×3の計4系統
- 全てのビデオ入力においてフルHD解像度で165Hzリフレッシュレートの高速動作
- 可変リフレッシュレート同期機能AMD FreeSync(VESA Adaptive-Sync)に対応
(DisplayPortとHDMIで48FPS~165FPSの範囲内で対応) - 明るいモーションブラーリダクション機能「DyAc」を搭載
- プロや友達と同じ設定でプレイできるシェア機能「XL Setting to Share」
- コンパクトなベース採用や可動域が広がって改良された付属モニタスタンド
- モニタ背面に収納式のヘッドホンハンガーを搭載
- モニタ本体重量4.8kgかつVESAマウント対応でモニターアームを使用可能
- TN液晶パネル採用なので視野角が狭く、発色もIPS液晶採用製品に劣る
- フルHDで27インチサイズはドットピッチがやや粗く感じる
- DyAc有効時の最大輝度は100cd/m^2程度と暗い
- OSDクロスヘアやリアルタイムリフレッシュレートなど便利機能はなし
「ZOWIE XL2731K」はe-Sportsのために設計されたゲーミングモニタだけあって、Black eQualizerやColor Vibranceなど視認性を改善する機能が数多く、より効果的に搭載されています。
ZOWIE製ゲーミングモニタはe-Sports大会標準モニタとして採用され、プロゲーマーも使用しているので、比較的に安価な価格帯で”プロゲーマーやe-Sports大会と同じ環境でプレイできる”ことが「ZOWIE XL2731K」の最大の魅力だと思います。
ZOWIEがDyAc(+)としてブランディングするモーションブラーリダクション機能については、有効時に最大300cd/m^2を超える、環境照明に左右されない輝度の高さを当サイトでは独自要素として高く評価していたのですが、「ZOWIE XL2731K」はDyAcを利用できるものの、有効時の輝度は100cd/m^2程度と低いのが残念でした。せめて200cd/m^2程度の明るさがあれば室内利用なら十分、と評価できたのですが。
モーションブラーリダクション機能DyAc(+)が目当てであれば、上位モデルで高価になりますが、最大輝度が300cd/m^2以上の「ZOWIE XL2746K」や「ZOWIE XL2546K」を選択するのをオススメします。
「ZOWIE XL2731K」は新機能XL Setting to Shareによって簡単に他ユーザーと同じモニタ設定でプレイが可能です。e-Sportsプロゲーマーが厳選した各ゲームに最適な設定でプレイして勝利を目指すだけでなく、コロナの影響下にあって一堂に集まって対戦ゲームとはいかない昨今、オンライン上の友達と設定を共有したりもでき、”おうちでPCゲーミング”がいっそう捗るゲーミングモニタだと思います。
一方でやはりTN液晶パネルは視野角が狭く、発色もIPS液晶パネルに劣るので、画面の見やすさではIPS液晶モニタに軍配が上がります。厳密にチェックしていくと応答速度はTN液晶パネルの「ZOWIE XL2731K」の方が高速ですが、グレー背景での応答速度比較で見たように一般的なゲームシーンを想定すると意外と見え方に差がないと感じる可能性もあります。
e-Sports大会も視野に入れて”勝つことこそ至上命題”というユーザーであれば「ZOWIE XL2731K」を使用する価値はあると思いますが、ブラウジングなど普段使いもしたい、綺麗な画面で高画質PCゲームもプレイしたい、ということであれば高リフレッシュレート対応のIPS液晶モニタ(BenQ MOBIUZシリーズなど)を選択するのが無難です。
以上、「ZOWIE XL2731K」のレビューでした。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
残像低減機能DyAcやディスプレイ設定シェア機能 XL Setting To Shareを利用できる。165Hzリフレッシュレート対応ゲーミングモニタ「ZOWIE XL2731K」をレビュー。プロや大会と同じ環境でプレイできるのが最大の魅力!https://t.co/HCulabRrAv pic.twitter.com/sr01wB5Ocy
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) September 20, 2021
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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