安価かつ高品質なグラボとして定評のあるEVGA製のGeForce RTX 20XXシリーズ(RTX 2080 Ti、RTX 2080、RTX 2070)搭載グラフィックボードで新たに採用された冷却ソリューション「EVGA iCX2 Cooler&Technology」について解説します。
EVGAでは前世代GTX10シリーズにおけるVRM電源周りの発熱問題を受けて新型GPUクーラーである「iCX Cooler」などを含む冷却ソリューション「iCX Technology」が採用された新モデルが追加投入されましたが、次世代のGeForce RTX 20シリーズを搭載したEVGA製グラフィックボードでは第1世代iCXをさらに発展させた「EVGA iCX2 Cooler&Technology」が採用されています。
「EVGA iCX2」の概要はオリジナル設計のGPUクーラー「iCX2 Cooler」、および温度センサーによる制御モニタリングに関連した「iCX2 Technology」の2つに大別することができます。
VRM電源の効率的な放熱を補助するヒートパイプを搭載したミドルプレートや、銅製ベースコアを採用したGPUクーラーヒートシンクなどブラッシュアップを遂げた「iCX Cooler&Technology」は前世代よりも14%高い冷却性能と19%高い静音性を実現しています。
iCX2 Cooling紹介ページ:https://www.evga.com/technology/icx2/
「EVGA iCX2」のオリジナル設計GPUクーラー「iCX2 Cooler」はEVGAが設計してきたGPUクーラーの集大成といっても過言ではない高品質設計です。
「iCX2 Cooler」ではグラフィックボード基板とGPUクーラーヒートシンク本体の間に挟まれたベースプレートが搭載されており、グラフィックボード基板上で発熱する全てのコンポーネントとベースプレートを介することによってヒートシンク本体への放熱を可能にします。第1世代iCXで採用されていたベースプレートから素材を改良することによって熱伝導効率は150%に改善されています。VRM電源部分に設置されたヒートパイプは迅速にVRM電源の発熱をヒートシンクへ移動させて取り除き、従来比165%の熱伝導を実現します。
「iCX2 Cooler」の放熱ヒートシンク本体には従来同様に、GPUコアからの高い熱伝導効率による熱移動を実現するニッケルメッキ処理済み銅製ベースプレート構造が採用され、ベースプレートからはさらに6本の銅製ヒートパイプが伸びることでヒートシンク放熱フィン全体へ高速に熱を拡散します。
「iCX2 Cooler」の放熱ヒートシンク本体では放熱フィンの形状も変更が加えられています。放熱フィンの端に折り目を付けてL字にする「L-ShapedFins」構造によって、グラフィックボード基板上のホットスポットに冷却ファンからの風が集中するように調整されています。また放熱フィン上に設けられた穴「Fin Holes/Harf Open Fin」によって放熱フィン内のエアフローの自由度が増して空気へより多く放熱できるようになります。
「iCX2 Cooler」の冷却ファンには流体動圧軸受(Hydraulic Dynamic Bearing)を採用した高寿命・高耐久性な冷却ファンが採用されています。デザイン的には賛否分かれるファンブレード上の”ε(E)”の文字はスリップストリームを生成することでノイズを軽減するようです。
これらの「iCX2 Cooler」の特徴を備えた上でファン数別に、2連ファンGPUクーラーを搭載した「XC/XC2」と3連ファンGPUクーラーを搭載した「FTW3」の2種類がラインナップされています。
さらに「XC/XC2」と「FTW3」の2機種には、18年現在のグラフィックボードとして標準的な2スロット占有の無印版と、2.75スロット厚のGPUクーラーヒートシンクで3スロット占有となる「Ultra」版がラインナップされ、「Ultra」版は標準無印版と比較して最大58%も放熱フィンの表面積が拡張されています。
「EVGA iCX2」ではオリジナル設計GPUクーラー「iCX2 Cooler」のハードウェア的な特徴に加えて、温度センサーや専用アプリケーションEVGA Precision X1を使用したファン制御に関する「iCX2 Technology」という特徴も備えています。「iCX2 Technology」ではグラフィックボード上のホットスポットを検出し、インタラクティブに冷却を最適化し、「Peace of Mind Gaming」の理念を実現します。
なお「iCX2 Technology」に対応するのはFTW3とXC2のみで、”2″の添え字がないXCは非対応なので注意してください。FTW3とXC2については9月以降に予約が開始されるようです。
ソース:https://forums.evga.com/No-iCX2-versions-available-m2846811.aspx#2848473
「iCX2 Technology」はiCXという名前の元になった”Interactive Cooling”の文字通り、従来のGPUコアだけの温度をチェックして冷却ファンを制御する方式をやめて、グラフィックボード基板上に追加で実装された9個の温度センサーを設置し、MCUによってGPUコアだけでなくVRAMやVRM電源など各ホットスポット温度に異常がないかチェックするようにPCB基板に改良が加えられています。
XC2/FTW3のGPUクーラーに搭載されたデュアル/トリプルファンは、グラフィックボード上に散りばめられた温度センサーをソースにして独立動作する「Asynchronous Fan Control」に対応しています。GPU温度が高いときは左側のファンが、VRM電源やVRAMの温度が高いときは右側のファンが高速に回転するといったように、発熱の大きい箇所に合わせてファン速度が個別に制御されます。
専用アプリケーション「EVGA Precision X1」を使用することで、追加の9個の温度センサーを加えた10か所の温度をモニタリングし、それらを温度ソースにしてカスタム設定でファンを非同期制御できます。マルチGPU環境の場合はグラフィックボード毎にも個別に設定が可能です。
さらに「iCX2 Technology」対応製品は「EVGA Precision X1」上で、PCIEスロットとPCIE補助電源からの供給電力のリアルタイムモニタリングにも対応しています。
以上、「EVGA iCX2 Cooler&Technology」についての解説でした。
RTX20XXシリーズの登場で国内価格高騰が再燃しそうなので、再び単純な価格面で個人輸入が断然お得になるかもしれません。グローバル3年保証があり高品質・高性能GPUクーラーを積んだEVGA製のグラフィックボードは同じ型番のGPUを搭載したグラフィックボードの国内最安値かそれ以下で購入できるとなれば、総合的に見てかなりコストパフォーマンスに優れた選択肢になるので検討してみてください。
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