GTX 1080 Ti SLI



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NVIDIA GeForce GTX 10XXシリーズのナンバリング最上位となるGTX 1080 TiのオリファンモデルとしてGIGABYTEから発売された「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G (型番:GV-N108TAORUS X-11GD)」を先日レビューしましたが、私費で購入した1台に加えて、メーカーから1台お借りできたので、同製品を使用してGTX 1080 TiのSLIについて詳細にレビューしていきます。
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製品公式ページ:http://www.gigabyte.jp/Graphics-Card/GV-N108TAORUS-X-11GD#kf
AORUS GeForce GTX 1080 Ti



グラフィックボード単体のレビュー記事についてはこちらをご参照ください。
狙うはGTX1080Ti最速!「GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition」をレビュー
GTX 1080 Ti GIGABYTE AORUS Xtreme




GTX 1080 Ti SLI レビュー目次


1.GTX 1080 Ti SLIの検証機材について
2.GTX 1080 Ti SLI環境の冷却について
3.GTX 1080 Ti SLIのゲーム性能
4.GTX 1080 Ti SLIのレビューまとめ

補足.PCI-E帯域やCPU性能のボトルネックについて




GTX 1080 Ti SLIの検証機材について

GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11Gを使用したGTX 1080 TiのSLI環境構築においてグラフィックボード以外の構成パーツには以下を使用しています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機2
OS Windows10 64bit Home

CPU

i7 7700K
Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー)(BIOS:1, 2
ASUS ROG
MAXIMUS IX FORMULA
レビュー
CPUクーラー Cooler Master
MasterLiquid Pro 120 (レビュー
メインメモリ Corsair VENGEANCE RGB 8GB×2=16GB
XMP 3466MHz OC
型番:CMR16GX4M2C3466C16 RGB (レビュー
システムストレージ
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 Intel SSD 540シリーズ
SATA M.2 SSD 240GB
電源ユニット
Corsair HX1200i
レビュー
PCケース Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t
レビュー

SLIブリッジにはGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応したSLI HBブリッジとしてGIGABYTEから先日リリースされたばかりのRGB LEDイルミネーション対応の「AORUS SLI HB bridge RGB」を使用しています。
(CFDの保証シールを正面に貼るのは止めて欲しい……)
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AORUS SLI HB bridge RGBは1スロットスペース版と2スロットスペース版が販売されているので使用しているマザーボードのPCI-Eスロットレイアウトに合わせて購入してください。
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表面はスタイリッシュなデザインでAORUSロゴの鷲のマークがRGB LEDイルミネーションに対応しており、SLI端子部分も金属シールド仕様の高品質なSLI HBブリッジです。
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「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G」と「AORUS SLI HB bridge RGB」を使用して上で紹介した検証機材でSLI環境を構築すると次のようなPCが完成しました。
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「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G」と「AORUS SLI HB bridge RGB」は専用アプリ「AORUS Engine」によるLEDイルミネーションの同期操作機能に対応しています。たまにPC起動後にSLI HBブリッジのLEDが点灯しないことがありますが、同ソフトからLED発光をOFFにしてからONに戻すと点灯しました。
AORUS Engine
「Consistent(定常発光)」、「Breathing(ゆっくり明滅)」、「Flashing(点滅)」など発光パターンが選択でき、カラーバーやRGBの値から発光カラーも自由に操作できます。ただしグラフィックボード単体では設定可能な「Circling(七色に変化)」はSLI HB Bridgeと組み合わせた場合、使用できなくなります。
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GTX 1080 TiのSLI環境の冷却について

GTX 1080 Tiのゲーミング性能を検証する前に、GTX 1080 TiのSLI環境の冷却について紹介します。
NVIDIA GeForce GTX 10XXシリーズのナンバリング最上位となるGTX 1080 Tiはリファレンス機のFounders Editionですらグラフィックボード1枚あたりの消費電力が250WとなっておりマザーボードのPCI-Eスロットという隣接した位置に複数のグラボが設置されると当然、冷却面で厳しくなります。
GTX 1080 Ti Founders Edition発売当初に実際に1スロットスペースでSLI環境を構築して、GPU温度、ファン回転数、消費電力について簡単に検証も行いました。
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GTX 1080 Ti Founders EditionでSLIを構築した時の結果の1つを抜粋して簡単に紹介すると、SLI時は上段に設置されたグラフィックボードの冷却が難しく、上段のGPUにサーマルリミットがかかります。この状態は今回レビュー機材として使用するGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtremeなど内排気空冷オリファンモデルでSLIを構築する場合も共通に起こることなので覚えておいてください。
サーマルリミットがかかると設定された温度以下で動作するように消費電力に制限がかかり、コアクロックも低下するので当然ゲームのフレームレートが下がります。

GTX 1080 Ti SLI_temp
上のようにGTX 1080 TiでSLI環境を構築する場合は冷却面での制約から上段GPUの冷え具合が全体のパフォーマンスに対して支配的になるので、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtremeを使用したSLI環境の冷却関連のチェックでは上段に設置した方のGPU温度やコアクロックを見ていきます。

GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtremeは3スロット占有GPUクーラーが採用されていますが、同様にGTX 1080 Tiのオリファンモデルでは2.5~3スロットを占有するGPUクーラーを搭載したグラフィックボードが各社からリリースされており、これらは実際にシングルグラフィックボードで使用する場合は2スロット占有クーラー搭載機種よりも高い静音性と冷却性能が発揮できます。
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GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtremeなど2.5~3スロットを占有するGPUクーラーを搭載したグラフィックボードでSLI環境を構築する場合に1スロットスペースか2スロットスペースどちらを選択するべきなのかについても、1スロットスペースの「ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA」と2スロットスペースの「ASRock Z270 SuperCarrier」を使用して比較してみました。
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以上、前置きが長くなりましたが、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtremeを使用したSLI環境の冷却に関して「1スロットスペースのサイドパネルなし」、「2スロットスペースのサイドパネルあり」、「2スロットスペースのサイドパネルなし」、「GTX 1080 Ti Founders EditionのSLI(サイドパネルあり)」以上4種類の比較結果をチェックしていきます。検証の負荷としてFireStrike Extremeグラフィックテスト1を10~20分間ループさせています。
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まずはGPU温度の比較が次のようになっています。
3スロット占有グラボを使用したSLI環境において隣接グラボとの間隔がなくなる1スロットスペースではPCケースのサイドパネルを取り払った状態でもGPU温度が90度を超えました。3スロット占有グラフィックボードでSLI環境を構築する場合、1スロットスペースのマザーボードを使用することは避けた方が無難です。一方で1スロット分の間隔ができる2スロットスペースでは80度半ばの温度になっています。
GTX 1080 Ti SLI Temp
ファン回転数の比較結果を見ると、2スロットスペースのサイドパネルなしですら2300RPM前後のファン回転数になっておりファンノイズ的にはGTX 1080 Ti Founders Editionを使用したSLI環境と差はありません。
GTX 1080 Ti SLI Fan
GPU温度の上昇に伴ってGPUコアクロックが低下していくことも確認できました。GPU温度やファン回転数では似た数値を見せたGTX 1080 Ti AORUSとGTX 1080 Ti FEでしたがコアクロックには大きな差がでており、GTX 1080 Ti FEが1500MHz程度までコアクロックが落ちるのに対して、GTX 1080 Ti AORUSでは1スロットスペースのサイドパネルありでも1700MHz以上を維持しており、3スロット占有GPUクーラーの冷却性能が高いこともわかります。
GTX 1080 Ti SLI clock
消費電力ついても冷却性能が高い順に大きな消費電力(発熱)を排熱できるという結果に準じた推移が示されています。GTX 1080 Ti AORUSのSLIでは本来700W前後の消費電力となるはずですが、排熱が追い付かないため消費電力に制限がかかって550~600W程度まで消費電力が下がっています。GTX 1080 Ti AORUSのデフォルトのTDPは300WなのでSLI環境においては250W以下の消費電力にしか対応できないことを示しています。
GTX 1080 Ti SLI power
最後に一番重要になってくるパフォーマンスについてですが、GTX 1080 Ti AORUSによるSLIの2スロットスペースのサイドパネルあり/なしともにテスト開始直後のフレームレートが150FPSを超えているのに対してテスト後半では130FPS後半まで下がっています。排熱の制限から本来期待されるパフォーマンスよりも10%程度低いパフォーマンスしか発揮できないようです。
GTX 1080 Ti SLI FPS

あと副次的な部分ですがGTX 1080 TiでSLI環境を構築するとPCケース内の熱源が増えるので、当然CPUの冷却にも影響があります。
GTX 1080 Ti SLI cpu


GTX 1080 TiのSLIについては、単独なら抜群のパフォーマンスを発揮する2.5~3スロット占有で冷却性能に優れるグラフィックボードを使用していても、上段に設置されたGPUの冷却がやはり難しいのでコアクロックが下がり200~250W程度の消費電力に制限されるため、期待されるより10%程度低いパフォーマンスになることが予想されます。
今回は検証機材にGTX 1080 Ti AORUSを使用していますがこの現象は同製品に限った話ではなく3スロット占有のグラボならほぼ全ての製品で発生する問題です。またクーラー単体の冷却性能が3スロット占有に比べて低くなる2スロット占有ならより深刻になると考えられます。少なくとも2.5~3スロット占有グラフィックボードでSLI環境を構築する場合はGPUの間隔がなくなる1スロットスペースではなく、1スロット分の間隔があく2スロットスペースでの環境構築を強く推奨します。またサイドパネルの有無で冷却能力に差が出ていることからわかるようにPCケース内の吸排気も十分に行う必要があります。
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ただGTX 1080 TiでSLIを構築する場合は可能であれば、冷却の厳しい上段には簡易水冷グラフィックボードを使用するか、ハードルが上がりますが本格水冷の導入も検討したいところです。

2スロットスペースのマザーボードは数が少ないですが、Intel Core i7 7700Kに対応するZ270チップセット搭載マザーボードとしては今回、検証機材として使用している「ASRock Z270 SuperCarrier」や当サイトでもレビュー記事を公開している「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」などがあります。Broadwell-E対応X99マザーボードであれば「ASUS ROG RAMPAGE V EDITION 10」などです。
PCI-Eスロットレイアウトでは2/5段の1スロットスペースが主流で、2スロットスペースマザーボードはエンスーユーザー向けの高級品が多いですが、3スロット占有のGTX 1080 TiでSLI環境の構築を検討しているユーザーは2スロットスペースマザーボードの導入も一緒に検討するのがおすすめです。

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ASRock Z270 SuperCarrier

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以上のように、GTX 1080 TiのSLIと一言で言っても万全の状態で期待通りのパフォーマンスを実現しようとすると、冷却面で乗り越えるべきハードルは少なくありません。SLIによる性能アップ自体はこれから紹介するように非常に魅力的なものですが、SLI環境の構築については計画的に行うことをおすすめします。



GTX 1080 Ti SLIのゲーム性能

GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11Gを使用したSLI環境の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。

まずFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークの4K・最高品質のスコアはGTX 1080 TiのSLI環境であれば非常に快適の水準である7000を余裕で超えて17000近いスコアをはじき出せます。
GTX 1080 Ti SLI_ff14
フレームレートの推移をチェックしてみても最小FPSが60FPSを下回ることなく安定しています。
GTX 1080 Ti SLI_ff14_FPS


3DMark FireStrikeのベンチマーク比較になります。
GTX 1080 Ti SLI_bench_fs

FireStrike Extreme Ultra
GTX 1080 Ti SLI
55128 28401 14196
GTX 1080 Ti 29492 14565 7275
GTX 1080 22463 10715 5323
GTX 1070 18211 8697 4307


3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
GTX 1080 Ti SLI_bench_ts

TimeSpy Asyncなし 性能伸び率
GTX 1080 Ti SLI
20003 18446 108%
GTX 1080 Ti 10081 9444 107%
GTX 1080
7382 7047 105%
GTX 1070 5884 5657 104%



続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHD、ウルトラワイドQHD(UWQHD, 3440*1440)、4K(3840*2160)の4種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。 

ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Syndicateグラフィック設定)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、The Divisionグラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定プリセット)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raiderグラフィック設定)、Titanfall 2グラフィック設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3グラフィック設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット)以上の11タイトルです。

Assassin's Creed Syndicateグラフィック設定)のベンチマーク結果です。
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Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
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The Divisionグラフィック設定)のベンチマーク結果です。
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For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
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Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_gr

Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_mec

Rise of the Tomb Raiderグラフィック設定)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_rottr

Titanfall 2グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_tf2

WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_wd2

The Witcher3グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_wit3

Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)のベンチマーク結果です。
GTX 1080 Ti SLI_game_xgow4


GTX 1080 Ti SLIとGTX 1080 Tiについて実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、GTX 1080 Tiのシングルでは最新高画質PCゲームの最高設定で60FPSを達成するのが難しいUWQHDや4K解像度において、GTX 1080 Ti SLIはGTX 1080 Tiのシングルよりも60~70%以上高速という結果になりました。FPSが上がりすぎてCPUボトルネックの影響が出始めるフルHDに対して、60FPS前後に近づいていく超高解像度でより高いパフォーマンスを発揮できます。
GTX 1080 Ti SLI_pefsum

とりわけ4K解像度におけるGTX 1080 Ti SLIは17年最新のPCゲームを含めて最高グラフィック設定であってもPCゲームにおける快適プレイ環境の水準である平均60FPSを上回っています。
GTX 1080 Ti SLI_4K


GTX 1080 Ti SLIのレビューまとめ

最後に「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G (型番:GV-N108TAORUS X-11GD)」を使用したGTX 1080 Ti SLIを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 17年最新の高画質PCゲームを4K解像度・最高設定で快適にプレイ可能なグラフィック性能
  • GTX 1080 Tiのシングルと比較して超高解像度においては160~170%以上の性能
  • プレイ動画録画機能「NVIDIA Shadow Play」なら4K解像度のプレイ動画も録画可能
悪いところor注意点
  • 3スロット占有GPUクーラー搭載モデルでも十分な冷却環境の構築が難しい
  • GTX 1080 Tiを2枚使用するので導入予算は20万円と高額

17年最新の高画質PCゲームでは超高解像度の4K解像度や21:9アスペクト比のウルトラワイド解像度(3440*1440)でリフレッシュレート100HzのゲーミングモニタなどGTX 1080 Tiであってもシングルでは性能が追い付かないという場面もあります。フルHDやWQHDなどではCPUボトルネックが支配的になりGTX 1080 TiでSLI環境を構築しても効果が小さい場合もありますが、UWQHDや4Kなどの超高解像度においてはGTX 1080 Ti SLIはGTX 1080のシングル環境よりも60~70%以上高いパフォーマンスを発揮できます。
GTX 1080 Ti SLI_pefsum
その圧倒的なパフォーマンスの反面、GTX 1080 Tiはシングルボードでも250~300Wという大きな発熱(消費電力)を伴うので、GTX 1080 Ti SLI環境は3スロット占有の大型グラフィックボードを使用しても十分な冷却が難しいという問題もがあります。GTX 1080 Ti SLIを十分に冷やして万全のパフォーマンスを発揮ほうが、1枚10万円のGTX 1080 Tiを2つ用意する予算よりもハードルとしては高いかもしれません。

冷却が難しいという導入のハードルは存在するものの、シングルでは達成困難な4Kや高解像度の高リフレッシュレートのハイエンドゲーミング環境を満たす最後の手段としてGTX 1080 Ti SLIは検討してみる価値は十分にあると思います。
ROTTR_2016_11_13_19_26_38_714bf1 2016-11-13 19-22-18-09
TheDivision 2016-11-13 19-37-48-33witcher3 2016-11-13 19-33-01-25
Titanfall2 2016-11-13 19-17-33-21ACS 2016-11-13 19-29-48-48

以上、「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G」を使用したGTX 1080 Ti SLIのレビューでした。
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・GTX 1080 Ti販売ページ:   
  <Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク
  <ドスパラ><PCワンズ><パソコン工房





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補足:PCI-E帯域やCPU性能のボトルネックについて

2017年現在GTX 1080 TiやTITAN X Pascalのようなグラフィック性能が非常に高いグラフィックボードをマルチGPUとして搭載するPCへの採用が推奨されるCPUの候補は次の5つとなります。メインストリーム向けCPUのKabyLakeのi7 7700Kとそれ以外のエンスー向けCPUのBroadwell-Eではマザーボード(チップセット)が異なるので各BTO PCメーカーのリリースしているBTO PCのモデルが完全に別になります。
GTX 1080 Ti SLIと組み合わせるCPU
世代 CPU PCI-Eレーン数 コア数/スレッド数 コアクロック マザーボード
チップセット
KabyLake i7 7700K 16 4コア8スレッド 4.5GHz Z270
(200シリーズ)
Broadwell-E i7 6800K 28 6コア12スレッド 3.6GHz X99
i7 6850K 40 6コア12スレッド 3.8GHz
i7 6900K 40 8コア16スレッド 3.7GHz
i7 6950X 40 10コア20スレッド 3.5GHz

コア/スレッド数が増えるほどコアクロックが下がる傾向にあるのでシングルスレッド性能は下がりますが、3.5GHzを超えていればシングルスレッド性能による差は軽微なので簡単のために無視して、上の表では下に行くほどCPU性能と価格は高いものと考えてください。
CPUとマザーボードの組み合わせによる違いは「CPUの性能」と「PCI-Eレーン数」が挙げられます。


1.PCI-E帯域によるボトルネックについて
17年最新のメインストリームCPUであるIntel第7世代KabyLakeに対応したZ270マザーボードでマルチGPU環境を構築する場合、PCIレーン配分の都合で各GPUの接続帯域はフルレーンのPCI-E3.0x16ではなく、通常はPCI-E3.0x8になります。しかしPCI-E3.0x8接続であればこの帯域幅がボトルネックになることはほぼないのでPCI-E帯域によるボトルネックを理由にZ270マザーボードとX99マザーボードのBTO PCで悩む必要はありません。PCI-Eレーンに関する詳しい話はこちらの記事を参考にしてください。
PCI-E帯域


2.CPU性能によるボトルネックについて
大半のPCゲームではCPU性能よりも先にGPU性能がボトルネックになりFPSが頭打ちになりますが、一部のゲームではCPUへの性能要求が高く、ハイエンドGPUを積んでもFPSが頭打ちになる場合があります。CPUボトルネックが発生しやすい(CPUに対する性能要求の高い)実ゲームとしてThe Witcher3を使いベンチマーク比較を行いました。「6700KとGTX1080シングル」、「6700KとGTX1080SLI」、「i5 6400とGTX 1080 シングル」、「i7 6950XとGTX 1080 SLI」にてついて平均FPSを比較したグラフは次のようになっています。
SLI_wit3
フルHDのFPS比較を見るとi5 6400、i7 6700K、i7 6950XのCPUボトルネックが綺麗に見えると思います。GTX1080のシングルならCPUは6700KでCPUボトルネックは発生せず問題ないと思いますが、SLI構成にすると高FPSではCPUがボトルネックになる可能性が高まります。
i7 7700K以上のCPUで発生するCPUボトルネックは解像度や画質設定を上げた場合ではなく、主に高リフレッシュレートモニターを使用していてフレームレートを上げようとする場合に顕著になります。

i7 7700Kを積んでいれば60Hzの高解像度モニタを使用する(60FPSターゲットの)場合はCPUボトルネックの発生を基本的に気にする必要はありません。
PG279QPG348QPredatorX34のような高解像度かつ100~200Hzの高リフレッシュレートのゲーミング液晶モニタを使用する場合は、i7 7700Kを搭載したBTO PCよりも高額になるので予算と相談になると思いますが、6~10コアCPUのBroadwell-E&X99マザーボードを採用したBTO PCを検討してもいいと思います。





(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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