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NVIDIA GeForce GTX 10XXシリーズのナンバリング最上位となるGTX 1080 TiのオリファンモデルとしてZOTACから発売された、全長211mmのショート基板グラフィックボード「ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini (型番:ZT-P10810G-10P)」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューします。ATXやMicroATX環境であればボード長による干渉問題とは無縁、Mini-ITX環境にも対応できる可能性を秘めた、17年最小最速グラフィックボードの実力をチェックしていきます。
製品公式ページ:https://www.zotac.com/jp/product/graphics_card/zotac-geforce-gtx-1080-ti-mini
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini レビュー目次
1.ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの外観
2.ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの検証機材セットアップ
3.ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniのゲーム性能
4.ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの温度・消費電力
5.ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniのレビューまとめ
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの外観
早速、ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniを開封していきます。パッケージを開くとマニュアルとドライバCDが収められており、さらに内蓋を開くとその下にはスポンジスペーサー&エアクッション付き静電防止ビニールという一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。
グラフィックボード以外の付属品は簡易マニュアル、ドライバCD、6PIN*2→8PIN変換ケーブル2本です。
梱包や付属品のチェックは簡単に済ませて、グラフィックボード本体を見ていきます。
GPUクーラーの外装はブラック寄りなグレーカラーのプラスチックのフレームです。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniにはショート基板ながら90mm&100mm径の大型2連冷却ファンを搭載するGPUクーラーが採用されています。コンパクトにしつつ冷却ファンを大型化させるため異径のファン2つを搭載するというなかなかに意欲的な構造です。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniの全長は210mm程度となっておりGTX 1080 TiのリファレンスモデルであるFounders Editionと比較するとその短尺っぷりがはっきりと伝わってきます。製品スペックでボードサイズは長さ221 mm×高さ125 mm×幅41 mmです。
GTX 1080 Tiのオリファンモデルでは2.5~3スロットを占有する大型モデルも少なくありませんが、ZOTAC GTX 1080 Ti Miniは標準的な2スロット占有のGPUクーラーが採用されています。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniは全長こそ短いですがGPUクーラーとPCB基板がPCIブラケットのよりも20mmほど長い背の高いグラフィックボードなのでサイドパネルなどとの干渉には注意が必要です。
補助電源の端子数はリファレンスとなるGTX 1080 Ti Founders Editionの8PIN+6PINから増量されて8PIN*2になっており安定した電力供給が可能です。
補助電源端子の設置については、PCIブラケットよりも背の高い基板の他社製品の中には補助電源の端子およびケーブルとPCケースとの干渉を回避するため、補助電源端子部分だけ基板を引っ込ませる構造を採用しているものもあり、ZOTAC GTX 1080 Ti Miniでも採用して欲しいです。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の発熱が話題になることも多いですが、ZOTAC GTX 1080 Ti MiniではGPUクーラー本体のヒートシンクがサーマルパッド経由でVRM電源やVRAMチップと接するという安心な構造です。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniのビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×3、DVI-Dの5基が実装されています。リファレンスのHDMI×1&DP×3にDVI-Dが追加されたGTX 1080 Tiオリファンモデルとしては一般的なビデオ出力構成です。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniにはオリジナルイラストのプリントされたスチール製バックプレートが装着されています。基板とバックプレートの間にサーマルパッド等は貼られていないので単純な基板保護用バックプレートとしての役割だけはたしています。
なおグラフィックボードの重量はGTX 1080 Ti Founders Editionが1046g、ASUS ROG STRIX GTX 1080 Tiが1263gですが、ZOTAC GTX 1080 Ti Miniは790gとGTX 1080 Tiグラフィックボードとしては非常に軽量です。
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i7 7700K (レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
G.Skill TridentZ DDR4 8GB*4=32GB |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
電源ユニット |
Corsair RM650i (レビュー) |
Corsair HX1200i (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) |
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniは全長211mmのショートサイズなのでATXやMicroATXマザーボードのボード幅よりも短尺となっており、MicroATX対応PCケースなら余裕で搭載可能、Mini-ITX対応PCケースでも搭載できる可能性があります。
ZOTAC GTX 1080 Ti MiniはリファレンスモデルのFounders Editionよりも若干高いブーストクロック1620MHzに設定されています。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniのゲーム性能
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GTX 1080 Ti Founders Edition」、「EVGA GTX 1080 SC2 Gaming iCX」、「GIGABYTE GTX 1070 ITX OC」を使用しました。まずFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークのフルHD・最高品質のスコアは同検証環境で19000程度となりました。4K解像度・最高品質でも非常に快適の水準となる7000を超えるのでGTX 1080 TiであればFFXIV 紅蓮 リベレーターに余裕で対応可能なグラフィック性能があります。
なおFF14ベンチではスコアが1万を超えたあたりからFPSが上がりすぎてCPUベンチの傾向が強くなりグラフィックボードの性能比較ベンチとしてはあまり使えなくなってくるので注意してください。FFXIV 紅蓮のリベレーターに最適なグラフィックボードやCPUなどPCスペックについては次の記事でも紹介しています。
・FFXIV 紅蓮のリベレーターにおすすめなグラボやPCは?
3DMark FireStrikeのベンチマーク比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1080 Ti Zotac Mini |
28378 | 13885 | 6849 |
GTX 1080 Ti FE | 27758 | 13686 | 6739 |
GTX 1080 OC | 22463 | 10715 | 5323 |
GTX 1070 OC | 18211 | 8697 | 4307 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1080 Ti Zotac Mini |
9713 | 9092 | 107% |
GTX1080 Ti FE | 9345 | 8797 | 106% |
GTX 1080 OC | 7382 | 7047 | 105% |
GTX 1070 OC | 5884 | 5657 | 104% |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHD、ウルトラワイドQHD(UWQHD, 3440*1440)の3種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)以上の11タイトルです。
Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)のベンチマーク結果です。
ZOTAC GTX 1080 Ti Mini、GTX 1080 Ti Founders Edition、GTX 1080 OC、GTX 1070 OCの4種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、GTX 1080 TiはGTX 1080よりも25%以上高速という結果になりました。FPSが上がりすぎてCPUボトルネックの影響が出始めるフルHDに対して、60FPS前後に近づいていく超高解像度でより高いパフォーマンスを発揮できます。
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの温度・消費電力
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniの負荷時のGPU温度とファンノイズを検証しました。温度とファンノイズの検証負荷としてはFireStrike Extreme ストレステスト、比較対象にはGTX 1080 Ti Founders Editionを使用しています。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniではストレステスト中のGPUコア温度は最大78度、ファン回転数は最大1900RPM程度となっており、全長211mmのショート基板ながらGTX 1080 TiのリファレンスモデルであるFounders Editionよりも高い冷却性能と静穏性を発揮しています。ZOTAC GTX 1080 Ti Miniには最近のトレンドである低負荷時に冷却ファンが停止するセミファンレス機能は非搭載でした
ストレステスト中のGPUコアクロックをリファレンスのFounders Editionやその他のオリファンモデルと比較してみると、2.5スロット占有など高OCモデルにこそ及ばないものの、ZOTAC GTX 1080 Ti MiniはリファレンスモデルのGTX 1080 Ti Founders Editionよりも高いコアクロックで安定して動作しています。
またベンチ機2のPCケースに組み込んでFire Strike Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。
PCケースに入れて長時間負荷をかけたところ、ZOTAC GTX 1080 Ti MiniはGPUコア最大温度は84度で、コアロックは最終的に平均1659MHzでした。GPUクーラーのファン回転数は2000RPMが上限となっており、PCケースに入れていてもそれなりにファンノイズは聞こえます。
また実働ストレステスト中の0分, 10分, 20分…について30秒間の平均FPSの推移をチェックしました。ショートサイズでGPUクーラーが小さいため実際にPCケースに組み込んで負荷を長時間かけていくと熱ダレでパフォーマンスが下がっていきます。ZOTAC GTX 1080 Ti Miniは内排気タイプのGPUクーラーなのでPCケースの吸気・排気にも気を配りたいところです。とはいえ比率では大きく下がっているものの実際のフレームレートを見ると終盤でもGTX 1080 Ti Founders Edition相当の性能は発揮できていました。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の温度がかなり高くなりがちですが、ZOTAC GTX 1080 Ti Miniでは最も熱い部分で85度程度に収まっていました。VRM電源周りもGPUクーラー本体で冷却する構造なので安心して使用できます。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniのファンノイズは51.3dBとなっており、リファレンスのFounders Editionよりは静音性が高いもののやはり通常サイズや大型のオリファンモデルと比較すると静音性は劣ります。全長211mmのショート基板なのでGPUクーラーのサイズも小さく、それでいて放熱面積を稼ぐためフィンが密集するので風切り音が大きくなるようです。
ZOTAC GTX 1080 Ti Miniの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair RM650i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定負荷にFireStrike Extreme ストレステストを使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としました。測定結果は次のようになっています。
同検証環境に置いてZOTAC GTX 1080 Ti Miniの消費電力は325Wとなり、リファレンスモデルのGTX 1080 Ti Founders Editionほぼ同じ消費電力でした。
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini レビューまとめ
最後にGTX 10XXシリーズ最上位GTX 1080 Tiのオリファンモデル「ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini (型番:ZT-P10810G-10P)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブーストクロック1620MHzにデフォルトでOCされている
- 最新高画質PCゲームをUWQHDなどの超高解像度で快適にプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1080のOCモデルよりも30%程度高速
- 全長211mmで世界最小のGTX 1080 Tiグラフィックボード
- 2.0~3スロット占有で270mm長以上のモデルと比較すると冷却性能は劣る
- PCIブラケットよりも背が高いので補助電源とサイドパネルの干渉に注意
- PCケースの排気能力にも注意が必要
GTX 10XXシリーズ最上位モデルとなる「GeForce GTX 1080 Ti」のオリジナルファン搭載OCモデル「ZOTAC GTX 1080 Ti Mini」は昨年5月末にNew Kingとして鳴り物入りで登場したGTX 1080よりも30%程度高速です。昨年8月には前世代TITAN X Maxwellよりも50%以上高速というバケモノGPUとして登場したTITAN X Pascalを僅差で上回るという圧倒的な性能を誇っており、1200ドルのTITAN X Pascalに対して699ドルという圧倒的な安価さも兼ね備えたGTX 1080 Tiは究極のハイエンドグラフィックボードと言っても過言ではない製品です。
「ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini」の最大の魅力は何といっても全長211mmに収まるショートサイズであることです。ATXやMicroATXマザーボード環境であればボード長による干渉問題とは無縁ですし、Mini-ITXマザーボード環境にも対応できる可能性を十分に秘めています。
ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti MiniはGTX 1080 TiのリファレンスであるFounders Editionと比較してボードサイズがコンパクトでありながら、ベンチ板測定においてはFounders Editionよりも高い静穏性と冷却性能を発揮しました。ただしPCケースに入れた場合はコンパクトな内排気クーラーを採用していることもあり、PCケースの排気能力も重要になってきます。とはいえ最大ファン回転数2000RPMでFEよりも小さいファンノイズかつFE相当なグラフィックパフォーマンスは発揮できることはストレステストでも確認できたので、その点は安心してもOKだと思います。
17年後半においても最速のGPUであるNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを搭載した世界最小のグラフィックボード「ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini」は、ショート基板GTX 1080 Tiという現在唯一のソリューションなので、その点に価値を見出すのであれば間違いなく買いなグラフィックボードだと思います。コンパクトな17年最速ゲーミングPCを組みたいユーザーに「ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Mini」はおすすめです。
以上、ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti Miniのレビューでした。
・GTX 1080 Ti販売ページ:
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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パワーセーブしても1080 OCよりも2割は速そうですし。