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大手SSDメーカーの1つであるMicron製の32層3D TLC NANDを採用し、2TBの大容量ながら4万円を切る大特価の39,800円で数量限定にて販売されたバルク品の2.5インチSATA SSD「Micron 1100 3D NAND Client SATA SSD 2TB (型番:MTFDDAK2T0TBN-1AR1ZABYY)」をレビューしていきます。

製品公式ページ:https://www.micron.com/products/solid-state-storage/product-lines/1100
データシート:https://www.micron.com/~/media/documents/products/data-sheet/ssd/1100_ssd.pdf
18年5月現在、さらに価格が下がって3.7万円前後で販売中です。

Micron 1100 2TB (MTFDDAK2T0TBN-1AR1ZABYY)
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Micron 1100 2TB レビュー目次
1.Micron 1100 2TBについて
2.Micron 1100 2TBの外観
3.Micron 1100 2TBの検証機材と基本仕様
4.Micron 1100 2TBのベンチマーク比較
5.Micron 1100 2TBの連続書き込みについて
6.Micron 1100 2TBの実用性能比較
7.Micron 1100 2TBのレビューまとめ
Micron 1100 2TBについて
「Micron 1100 3D NAND Client SATA SSD」シリーズは同社が展開するコンシューマー向けSSDブランド製品「Crucial MX300」シリーズ同様にMicron製の32層3D TLC NANDメモリを採用したSSDとなっています。「Micron 1100」シリーズはストレージ容量として256GB/512GB/1024GB/2048GBの4モデル、またフォームファクタとしては2.5インチSSDだけでなくM.2 SSDもラインナップされています。アクセススピードは容量によって若干異なりますが、今回レビューする容量2TBの2.5インチSSDモデル(型番:MTFDDAK2T0TBN-1AR1ZABYY)ではシーケンシャル読出530MB/s、シーケンシャル書込500MB/s、ランダム読出92,000 IOPS、ランダム書込83,000 IOPSのSATA3.0規格として理想的なアクセスを実現しています。MTBFは150万時間、書込耐性は2TBでは400TBWとなっています。
【追記】管理人が購入した販売店オリオスペックから正しい保証期間は3年間と修正の連絡、および希望があれば返品可能との連絡がありました。この価格で400TBWの制限付き3年保証なら返品する人はたぶんいないと思いますが。
Micron 1100 2TBの外観
まず最初にMicron 1100 2TBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。「Micron 1100 2TB」はバルク品SSDなので代理店か販売店によってプチプチ袋に梱包されただけというほぼ完全に素の状態で送られてきました。
「Micron 1100 2TB」のSSD本体デザインについては黒色塗装の金属製の筐体で表面中央に大きく製品シールが貼られています。 寸法は2.5インチストレージの規格通り縦70mm x 横100mmで、厚さは7mmです。

背面には特に何もありません。

SSD外装はネジ止めではなく枠のツメで固定するタイプでしたが、マイナスドライバーを使って非破壊で簡単に分解できました。

Crucial MX300と完全に同じ基板かと思っていたのですが、MX300の2TBモデルであるCT2050MX300SSD1の分解写真(参考1、参考2)と比較してみると、中央右よりの実装について表裏が反転していました。とはいえほぼMX300の2TBモデルと一致していると考えてよさそうです。


Micron 1100 2TBの検証機材と基本仕様
Micron 1100 2TBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |

「Micron 1100 2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ空きスペースは1.86TBでした。

Micron 1100 2TBのベンチマーク比較
「Micron 1100 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくSATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB(レビュー)」、「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」、「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」、「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。
「Micron 1100 2TB」のベンチマークススコアは連続読み出し530MB/s、連続書き込み520MB/sでSATA3.0 SSDとしては理想的な性能です。





ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)の結果は次のようになっています。ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のランダム性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
「Micron 1100 2TB」については低ブロックサイズにおいてその他のSATA SSDに比較して書き込み速度は同等のベンチマーク結果になっていますが、読み出し速度が低くなっているのが気になりました。






AS SSD Benchmark(5GB)の結果は次のようになっています





PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています





「Micron 1100 2TB」について基本的な各種ベンチマークのスコアを比較してみたところ、ベンチマークの種類によって若干のバラつきはあるものの、「Micron 1100 2TB」を含めていずれの製品もSATA3.0 SSDとしては仕様の上限付近をマークしています。
Micron 1100 2TBの連続書き込みについて
「Micron 1100 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。記事冒頭でも言及しましたが、従来のTLC型SSDは書き込み速度の底上げのためSLCキャッシュを使用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの場合はCrystalDiskMarkなどで表示される400~500MB/sの連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が下がります。
上の章で比較用SSDとして使用したSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して250GBの大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはありません。特に「Samsung 850 PRO 2TB」はMLC型の中でも高性能なのでリード・ライト共に終始非常に安定しています。

一方でもう1つの比較用SSDであるSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。

「Micron 1100 2TB」についても同様に確認してみたところ、PNY CS1311 960GBと同様に書き込み開始直後は500MB/s程度の書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が30GBを超えるとSLCキャッシュを上回るため書き込み速度が270MB/s前後まで減少しました。「Micron 1100 2TB」は32層3D NANDを採用する従来のTLC型SSDなのでやはり大容量の連続書き込みでは速度低下が発生しますが、SLCキャッシュ容量が30GB程度と大きめなのは救いだと思います。

Micron 1100 2TBの実用性能比較
続いて「Micron 1100 2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。ベンチマークソフトによる基礎検証同様に比較対象としてSATA SSDの「WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB(レビュー)」、「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」、「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」、「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。


コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手「Samsung 960 PRO 512GB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手の「Samsung 960 PRO 512GB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。

Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するもののCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。

「Micron 1100 2TB」など各種検証ストレージとSamsung 960 PRO 512GBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
最近のSATA SSDでは特に連続読み出し性能については規格上限に達しており、このテストでは100秒前後をマークして横並びになると思ったのですが、「Micron 1100 2TB」では129秒ほどかかって読み出し速度は400MB/s程度になりました。ちなみにCrucial MX300 M.2 SSD 1TBでも同様の読み出し時間がかかりました。Micron製64層3D NANDを採用している後継最新モデルMX500の性能が気になる結果です。

「Micron 1100 2TB」については書き込み時間が162秒となりました。同じく従来TLC型SSD「PNY CS1311 960GB」の174秒よりもSLCキャッシュ容量の差で若干早いものの、SATA SSDの理想的なスピードを実現しているSamsung 850 PRO 2TBやSanDisk 3D SSD 2TBはもとより、64層3D NANDを採用しておりSLCキャッシュ超過後も400MB/s以上を維持できるWD Blue 3D NAND SATA SSD 500GBの123秒には及びません。

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
動画ファイルの読み出し同様にゲームフォルダの読み出しにおいても「Micron 1100 2TB」を除く4種のSATA SSDは180秒程度で横並びですが、「Micron 1100 2TB」は若干遅く224秒ほどかかって、読み出し速度は平均350MB/s程度となっています。

一方で書き込み速度については、MLC型の「Samsung 850 PRO 2TB」が最速の165秒で、従来TLC型の「PNY CS1311 960GB」が304秒に対して、同じく従来TLC型の「Micron 1100 2TB」はSLCキャッシュ差で若干早い261秒ほどとなりました。

続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
以上の条件で「Micron 1100 2TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Micron 1100 2TB」含めて各SATA SSDでは大きな差は確認できませんでした。

Micron 1100 2TBのレビューまとめ
最後にMicron製32層3D NANDを採用するTLC型SATA SSD「Micron 1100 2TB (型番:MTFDDAK2T0TBN-1AR1ZABYY)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- SATA3.0規格として理想的な連続リード530MB/s、連続ライト500MB/s
- 通常価格でも5万円未満で購入できるTLCらしい安価な価格帯
- 数量限定の特価セールでは37000円で購入できる (18年5月)
- 従来のTLC型SSDなので大容量の連続書き込みでは書込速度が270MB/s程度に低下
- ファイルコピーテストにおいて横並びな他製品比で読み出し速度が15%程度低い
- バルク品なので保証期間は購入店による
「Micron 1100 2TB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークでは概ね既存のSATA SSD同様にSATA3.0の規格上限を満たす理想的なスコアでした。
従来型のTLC SSDではSLCキャッシュ容量を超えるような連続した大容量の書き込み時に階段的に速度低下が発生するという欠点があります。2018年最新の64層3D TLC NAND採用製品ではこの欠点を改善もしくは解消されているものも少なくありませんが、「Micron 1100 2TB」については中身はほぼCrucial MX300と一致しており旧型の32層3D TLC NANDが採用されているので、30GB程度のSLCキャッシュを超過するような大容量の連続書き込みが発生すると書き込み速度は270MB/s程度まで低下します。
また実用上の問題点として、2016年以降のSATA SSDでは読み出し速度は基本的に上限に達しており、特に連続読み出しにおいては読み出し速度は500MB/sで横並びになる傾向がありましたが、「Micron 1100 2TB」についてはファイルコピーテストにおいて400MB/s程度と他社製品よりも低い速度になりました。手持ちのCrucial MX300 M.2 SSD 1TBでも同様の結果になったので、ファイルコピーの読み出し性能については旧世代のMicron(Crucial)製品は若干他社製品よりも性能が劣るようです。余談ですがこの結果は正直以外だったので64層3D NANDを採用している最新モデルCrucial MX500がどうなっているのか気になるところです。
TLC型SSDらしい連続書き込み時の速度低下と予想外のファイルコピーにおける読み出し速度の低さという2つの欠点はあるものの、PCMark8のストレージテストや実ゲームによるロード時間比較ではその他のSATA SSDと遜色ないパフォーマンスを発揮しているので、「Micron 1100 2TB」は一部の分野を除けばSATA3.0 SSDらしいパフォーマンスが期待できると思います。
数量限定のため即完売となってしまいましたが「Micron 1100 2TB」は39,800円というTB単価が2万円を切る激安特価で購入できたので運よく入手できたユーザーにとって、50GBは超えて当たり前、ものによっては100GBを超える最新高画質PCゲームのインストール用ストレージとして間違いなくコスパ最高なSSDだと思います。
以上、「Micron 1100 2TB」のレビューでした。

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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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