Samsung 960 PRO


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連続読み出し3500MB/sの爆速で16年9月に電撃的に登場を果たしてから早1年半、いまだに最速かつ鉄板なNVMe M.2 SSDとして君臨し続ける「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」を再評価すべくレビューしていきます。なお512GBモデルは管理人の私物ですが、1TBと2TBについては別件で検証機材として日本Samsung社よりお借りしました。5月には後継モデルのSamsung SSD 970 PROと廉価モデルのSamsung SSD 970 EVOが発売されますが、まだまだ余裕で現役な「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」を徹底検証していきます。
Samsung 960 PRO

代理店公式ページ:https://www.itgm.co.jp/product/ssd960pro/
製品公式ページ:https://www.samsung.com/~/solid-state-drives/ssd-960-pro-m-2-512gb/
データシート:https://s3.ap-northeast-2~/~/Samsung_SSD_960_PRO_Data_Sheet_Rev_1_2.pdf
Samsung 960 PRO 2TB (2)Samsung 960 PRO 2TB (3)




Samsung 960 PRO レビュー目次


1.Samsung 960 PROについて
2.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの外観
3.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの検証機材と基本仕様
4.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのベンチマーク比較
5.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの連続書き込みについて
6.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの実用性能比較
8.Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのレビューまとめ



Samsung 960 PROについて

「Samsung 960 PRO」シリーズはSamsung製V-NANDメモリチップとSamsungが独自開発した5コアのメモリコントローラー「Samsung Polaris」を採用することによって現在でも最速クラスとなる連続読み出し3500MB/sの爆速を実現したNVMe M.2 SSDです。「Samsung 960 PRO」は容量別で512GB/1TB/2TBの3モデルがラインナップされています。
Samsung 960 PRO 2TB (2)Samsung 960 PRO 2TB (3)

「Samsung 960 PRO」シリーズはメモリチップにSamsung製MLCタイプ3D NAND、メモリコントローラーにSamsungが独自開発した「Samsung Polaris」が採用された、M.2 2280フォームファクタのNVMe(PCI-E3.0x4)接続M.2 SSDです。最大容量2TBモデルも含めて全モデルが片面実装となっています。
「Samsung 960 PRO」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3500MB/s、シーケンシャル書込2100MB/s、ランダム(4KB, QD32)読出440,000 IOPS、ランダム(4KB, QD32)書込360,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。

「Samsung 960 PRO」シリーズのMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は512GBが400TBW、1TBが800TBW、2TBが1200TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。

Samsung 960 PRO スペック比較

512GB
型番:MZ-V6P512BW
1TB
型番:MZ-V6P1T0BW
2TB
型番:MZ-V6P2T0BW
フォームファクタ M.2 2280 片面実装
メモコン Samsung Polaris (5コア)
NAND Samsung V-NAND MLCタイプ
キャッシュ 512 MB
LPDDR3
1024 MB
LPDDR3
2048 MB
LPDDR3
連続読み出し
3500 MB/s
連続書き込み 2100 MB/s
ランダム読み出し
4KB (QD1/QD32)
14,000 IOPS /
330,000 IOPS
14,000 IOPS /
440,000 IOPS
ランダム書き込み
4KB (QD1/QD32)
50,000 IOPS /
330,000 IOPS
50,000 IOPS /
360,000 IOPS
消費電力 5.1 W (avg) 5.3 W (avg) 5.8 W (avg)
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 150万時間
耐久性評価 400TBW 800TBW 1200TBW
メーカー保証期間
5年


なお18年5月11日にはSamsung 960 PROシリーズの後継モデルとして「Samsung SSD 970 PRO」シリーズが発売予定です。
Samsung SSD 970 PRO (5)
960 PROと970 PROとで1TBモデル同士を比較すると次のようになっています。「Samsung SSD 970 PRO」ではNVMe(PCI-E3.0x4接続)の規格上、連続読み出し速度は3500MB/sで頭打ちになっていますが、連続書き込みとランダムの性能が向上しています。
Samsung SSD 960 PRO / 970 PRO スペック比較
製品 Samsung 960 PRO 1TB
型番:MZ-V6P1T0BW
Samsung 970 PRO 1TB
(型番: MZ-V7P1T0BW)
コントローラー
Samsung Polaris (5コア) Samsung Phoenix Controller
メモリー Samsung V-NAND MLCタイプ
(3D NAND)
Samsung製64層V-NAND
2bit MLCタイプ(3D NAND)
キャッシュ
1024 MB LPDDR3 1024 MB LPDDR4
連続読出 3500MB/s
連続書込 2100 MB/s 2700MB/s
4Kランダム読出
QD1T1 / QD32T4
14,000 IOPS /
440,000 IOPS
15,000 IOPS /
500,000 IOPS
4Kランダム書込
QD1T1 / QD32T4
50,000 IOPS /
360,000 IOPS
55,000 IOPS /
500,000 IOPS
消費電力  5.3W(平均)
 5.7W(平均)
動作温度範囲 0°C~70°C
MTBF 150万時間
耐久性評価 800TBW 1200TBW
メーカー保証期間 5年



Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの外観

まず最初にSamsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの外観について簡単にチェックしておきます。
Samsun 960 PRO review_2Samsun 960 PRO review_3
パッケージを開封すると簡易マニュアルが上にあり、プラスチックのスペーサーの中央にSSD本体が収められています。
Samsun 960 PRO review_1
「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」のSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。960 PROではメモリコントローラーPolarisにDRAMキャッシュが積層されており、右端にメモリコントローラーが、その左側にいずれの容量でも4枚のメモリチップが実装されています。
DSC05482_DxO
DSC05483_DxO
DSC05484_DxO
最大容量の2TBモデルでもメモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装です
DSC05485_DxO
メモリチップの厚さを見比べてみると2TBモデルは若干メモリチップが厚くなっていました。
DSC05487_DxO
メモリチップやメモリコントローラーのある表面のラベルは普通のシールですが、裏面には銅箔層を加えて放熱性能を上げたという「Heat Spreading Label」が貼られています。右下の写真でもラベル側面から銅褐色の薄い層が見えています。
Samsun 960 PRO review_4Samsun 960 PRO review_5



Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの検証機材と基本仕様

Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 7700K
殻割り&クマメタル化(レビュー
Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz
CPUクーラー Intel TS15A
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
3200MHz, 14-16-16-36-CR2
マザーボード
ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX
レビュー
システムストレージ
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

SSD Test bench


「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」のボリュームをWindows10上で作成したところ空きスペースは、512GB版が477GB、1TB版が953GB、2TB版が1.86TBでした。
Samsung 960 PRO 1TB_CDI
Samsung 960 PRO 2TB_CDI




Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのベンチマーク比較

「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」のベンチマークススコアはいずれの容量も連続読み出し3500MB/s、連続書き込み2100MB/sとなりました。進歩の速い自作PC業界において発売から2年が経とうとしている製品ですが未だに高速ストレージの中でも最速クラスの性能を発揮しています。
Samsung 960 PRO 512GB_CDMSamsung 960 PRO 1TB_CDMSamsung 960 PRO 2TB_CDM
WD Black 3D NVMe SSD 1TB_CDMIntel SSD 760p 512GB_CDMSamsung 860 PRO 2TB_CDM

ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)の結果は次のようになっています。「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のランダム性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Samsung 960 PRO_ATTO_1_read
Samsung 960 PRO_ATTO_1_write
同じ製品シリーズでも容量によってアクセススピードが大きく異なる製品もありますが、「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」はいずれの容量でもほぼ同じパフォーマンスが期待できます。
Samsung 960 PRO_ATTO_2_read
Samsung 960 PRO_ATTO_2_write
Samsung 960 PRO 512GB_ATTO_2Samsung 960 PRO 2TB_ATTOSamsung 960 PRO 1TB_ATTO
WD Black 3D NVMe SSD 1TB_ATTOIntel SSD 760p 512GB_ATTOSamsung 860 PRO 2TB_ATTO


AS SSD Benchmark(5GB)の結果は次のようになっています。「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
Samsung 960 PRO 512GB_AS
Samsung 960 PRO 1TB_AS
Samsung 960 PRO 2TB_AS
WD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Intel SSD 760p 512GB_AS
Samsung 860 PRO 2TB_AS


PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています。「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
Samsung 960 PRO 512GB_PCM8
Samsung 960 PRO 1TB_PCM8
Samsung 960 PRO 2TB_PCM8
WD Black 3D NVMe SSD 1TB_PCM8
Intel SSD 760p 512GB_PCM8
Samsung 860 PRO 2TB_PCM8




Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの連続書き込みについて

「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。
現在主流なTLC型SSDの多くは書き込み速度の底上げのためSLCキャッシュを使用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、CrystalDiskMarkなどで表示される400~500MB/sの連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が下がります。

2.5インチSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持しています。
Samsung 850 PRO 2TB_HDT

一方でSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
PNY SSD 960GB_HDTP
またTLC型の書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあり「Samsung 960 EVO」は3bit-MLC NANDの一部を高速なSLC NANDとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超える書き込みが発生するとライト速度が低下します。
Samsung 960 EVO 250GB_HDT

Samsung製のMLC型V-NANDをメモリチップに採用する「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」はMLC型であると書いた通り、いずれの容量モデルも連続読み出し速度3000MB/s超、連続書き込み速度2000MB/s超を終始安定して実現しています。大容量データの書き込みであっても書き込み速度の低下は発生しないのでストレスフリーで大容量データを取り扱うことができます。
Samsung 960 PRO 512GB_HDT
Samsung 960 PRO 1TB_HDT
Samsung 960 PRO 2TB_HDT



Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの温度とサーマルスロットリングについて

NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。
アクセススピードが数GB/sに及ぶ高速NVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られているので、「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をモニタリングソフトとサーモグラフィーを使用して検証します。

Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、
Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB review_04359
測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値をHWinfoを使用してログ取得します。
Samsung 960 PRO 512GB_temp test

Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの検証結果を確認する前に、18年に発売したばかりで国内でも人気のあるNVMe M.2 SSD「Intel SSD 760p 512GB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Intel SSD 760p 512GBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Intel SSD 760p 512GBに関してソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリチップの温度になっているようです。ベンチマークを3回ほど実行するとメモリチップの温度が70度に達します。読み出し速度については3回目で連続リードの終盤に速度低下しているようですがサーマルスロットリングの影響は比較的小さいようです。書き込み速度については初回から変動が大きいものの、メモリチップ温度が70度に達した3回目以降は書き込み速度が大きく下がっておりサーマルスロットリングが発生していることがはっきりとわかります。
Intel SSD 760p 512GB_temp
負荷テスト終盤におけるIntel SSD 760p 512GBのサーモグラフィーは下のようになっています。ソフトウェアモニタリングでは最大70度程度でしたが、右端のメモリコントローラー温度は90度前後とかなり高くなっています。左半分にはメモリチップが2枚実装されていますが、こちらもやはり70度程度と高温です。
Intel SSD 760p 512GB_FLIR


本題のSamsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
Samsung 960 PRO 512GBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung 960 PRO 512GBにはメモリチップとメモリコントローラーの2か所に温度センサーが実装されています。ベンチ2周目でメモコン温度は最大温度の100度、メモリ温度も最大温度に近い60度超をマークします。この状態で複数回ベンチマークを実行しても速度低下は発生せずサーマルスロットリングは発生しません。
Samsung 960 PRO 512GB_temp
1TBモデルと2TBモデルについても同様にグラフ化したところ次のようになりました。Samsung 960 PRO 512GBと比較すると温度には5~10度前後の違いがあるもののいずれもサーマルスロットリングによる速度低下の発生は確認できません。
Samsung 960 PRO_1TB_tempSamsung 960 PRO_2TB_temp
サーモグラフィーによって負荷テスト終盤におけるSamsung 960 PRO 512GBのM.2 SSD上の温度を確認してみると、ソフトウェアモニタリング同様に右端に配置されたメモリコントローラーは90度、左半分に配置されたメモリチップは60~70度となっています。ソフトウェアモニタリングでは容量毎に温度に違いがみられましたがサーモグラフィーで確認してみたところ温度差はほぼなく、メモリコントローラーが90度前後、メモリチップは60~70度で一貫していたのでソフトウェアモニタリング値に若干バラつきがあるようです。
Samsung 960 PRO 512GB_FLIR
Samsugn 960 PRO _1TB_FLIRSamsugn 960 PRO _2TB_FLIR

連続した後負荷に対してもサーマルスロットリングによる速度低下は発生しないものの、メモリコントローラーが90度前後、メモリチップは60~70度と温度は高くなるので長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をおすすめします。
「AquaComputer kryoM.2 evo/micro」をレビュー
「SilverStone SST-TP02-M2」をレビュー
「kryoM.2 evo」と「kryoM.2 micro」をレビュー SilverStone SST-TP02-M2


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Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの実用性能比較

続いて「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。ベンチマークソフトによる基礎検証同様に比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。
Copy_movieCopy_game
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手「Samsung 960 PRO 512GB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung 960 PRO 512GB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。
Intel SSD 760p 512GB review_03118
Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するもののCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
NVMe Test


「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」など各種検証ストレージとSamsung 960 PRO 512GBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBはいずれも所要時間で27秒となっており、PCI-E3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると3倍以上高速な読み出し速度を実現して、読み出し速度は1800MB/s程度となっています。
Samsung 960 PRO_copy_movie_read
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると、やはりSamsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBの所要時間は27秒前後で最速です。現状では高速なNVMe M.2 SSDの主流は安価なTLC型になっており、大容量データの連続書き込みでは速度低下が発生するため、一貫して最速の2000MB/sを維持できるのはSamsung 960 PROシリーズの強みです。
Samsung 960 PRO_copy_movie_write


続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいてSamsung 960 PRO 512GBは競合のNVMe M.2 SSDと同じく最速クラスの結果になっています。動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも3倍高速な読み出し速度です。
Samsung 960 PRO_copy_game_read
Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのゲームフォルダのコピー書き込み速度についても動画ファイルのコピー書き込みに準ずるような結果になっており、大容量書き込みでも速度低下が発生しないSamsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBは最速のコピー時間でした。
Samsung 960 PRO_copy_game_write


続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。


以上の条件で「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
Samsung 960 PRO_game

ただFinal Fantasy XV PC版で4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度・最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からハンマーヘッドまで』『ハンマーヘッドからレスタルムまでファストトラベル』の2つについてロード時間を確認してみたところ、SATA SSDやNVMe SSDとの間でロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。
Samsung 960 PRO_game_4K



Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TBのレビューまとめ

最後にSamsung製MLC型V-NANDを採用するNVMe M.2 SSD「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • NVMe規格として理想的な連続リード3500MB/sと連続ライト2100MB/s
  • 容量別でアクセススピードには性能差はほぼなし
  • 連続負荷でもサーマルスロットリングによる速度低下が発生しにくい
  • MLC型NANDメモリ採用なので連続した大容量書き込みでも速度低下が発生しない
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • NVMe M.2 SSDに一貫して、発熱は大きく温度も高くなるのでヒートシンクの利用を推奨
  • TLC型と比較すると高価
  • 18年5月に後継970 PROが発売されるので近日終売かも?

「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」を検証してみたところ、発売から2年近く経つにもかかわらず、18年最新の競合NVMe M.2 SSDに匹敵するどころか、多くのシーンで上回るという抜群のパフォーマンスを基礎的な各種ベンチマークと実用性能テストの両方で発揮しています。近年では採用の減りつつあるMLC型NANDメモリを採用しているので連続した大容量の書き込みに対してもTLC型と違って書き込み速度の低下が発生せず、2000MB/s超の書き込み速度を安定して維持できるというのも大きな強みです

近日中には後継モデルのSamsung SSD 970 PROシリーズが発売されますが、Samsung 960 PROシリーズもまだまだ現役として余裕で通用する性能なので、型落ちで若干安価になっている今はかなり狙い目だと思います。また後継の970 PROではラインナップされていない容量2TBモデルもSamsung 960 PROシリーズにはあるので、可能な限り大容量で高速なストレージを探しているのであれば検討してみる価値は十分にあると思います。

連続読み出し速度3500MB/sかつ連続書き込み速度2100MB/sの高速アクセススピードを発揮し、MLC型NAND採用で書き込み速度の低下も発生しない「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」は、発売から2年近く経つ18年現在でも、最速クラスのNVMe M.2 SSDとして余裕で通用する鉄板モデルです。


以上、「Samsung 960 PRO 512GB/1TB/2TB」のレビューでした。
Samsung 960 PRO







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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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