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東芝製TLCタイプ64層3D NANDメモリチップと8NANDチャンネルのMarvell製メモリコントローラーMarvell 88SS1093を採用するメインストリーム向けNVMe M.2 SSD「Plextor M9Pe」シリーズから、容量512GBモデル「Plextor M9PeG 512GB (型番:PX-512M9PeG)」のサンプル機を国内正規代理店リンクスインターナショナル様よりお借りできたのでレビューしていきます。

代理店公式ページ:https://www.links.co.jp/item/m9peg/
製品公式ページ:http://www.goplextor.com/jp/Product/Detail/M9Pe(G)


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Plextor M9PeG 512GB レビュー目次
1.Plextor M9Peについて
2.Plextor M9PeG 512GBの外観
3.Plextor M9PeG 512GBの検証機材と基本仕様
4.Plextor M9PeG 512GBのベンチマーク比較
5.Plextor M9PeG 512GBの連続書き込みについて
6.Plextor M9PeG 512GBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Plextor M9PeG 512GBの実用性能比較
8.Plextor M9PeG 512GBのレビューまとめ
Plextor M9Peについて
「Plextor M9Pe」シリーズは、メモリチップに東芝製TLC型64層3D NAND、メモリコントローラーに「Marvell 88ss1093」が採用された、M.2 2280フォームファクタのNVMe(PCI-E3.0x4)接続M.2 SSDです。
「Plextor M9Pe」シリーズには、ヒートシンクなしM.2 SSD「M9PeGN」、ヒートシンク付きM.2 SSD「M9PeG」、HHHL拡張ボード型「M9PeY」の3モデルが存在します。各モデルには容量別で256GB/512GB/1TBの3種がラインナップされています。256GBモデルと512GBモデルは片面実装ですが、1TBモデルは両面実装となります。


またHHHL拡張ボード型「M9PeY」はPCIE専用基板ではなく、LEDイルミネーション内蔵の大型ヒートシンクを搭載したM.2-PCIE変換ボードに「M9PeGN」が接続されたモデルになっています。なお保証シールで封印されているので「M9PeY」から内蔵されているM.2 SSDの取り出しは行えません。


「Plextor M9Pe」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3200MB/s、シーケンシャル書込2100MB/s、4KBランダム読出400,000 IOPS、4KBランダム書込300,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
「Plextor M9Pe」シリーズのMTBF(平均故障時間)は150万時間、書込耐性は256GBが160TBW、512GBが320TBW、1TBが640TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Plextor M9PeGN / M9Pe(G) / M9Pe(Y) スペック比較 |
|||
容量 | 256GB PX-256M9PeGN PX-256M9PeG PX-256M9PeY |
512GB PX-512M9PeGN PX-512M9PeG PX-512M9PeY |
1TB PX-1TM9PeGN PX-1TM9PeG PX-1TM9PeY |
フォームファクタ | M9PeGN / M9Pe(G) : M.2 SSD M9Pe(Y) : HHHL AIC(M.2-PCIE変換ボード&M.2 SSD) |
||
インターフェース | PCIe 3.0x4 NVMe | ||
コントローラー |
Marvell 88ss1093 | ||
メモリ | 東芝製 TLC型 64層3D NAND | ||
DRAMキャッシュ | 512MB LPDDR3 | 1024MB LPDDR3 | |
連続読込み | 3000MB/s | 3200MB/s | 3200MB/s |
連続書込み | 1000MB/s | 2000MB/s | 2100MB/s |
ランダム読込み IOPS(100% Span) |
180,000 IOPS | 340,000 IOPS | 400,000 IOPS |
ランダム書込み IOPS(100% Span) |
160,000 IOPS | 280,000 IOPS | 300,000 IOPS |
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||
MTBF | 150万時間 | ||
耐久性評価 | 160TBW | 320TBW | 640TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Plextor M9PeG 512GBの外観
まず最初にPlextor M9PeG 512GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。紙製のパッケージを開くとSSD本体はプラスチックのスペーサーに収められていました。

Plextor M9PeシリーズのM9PeGはM.2 SSDに専用ヒートシンクが装着されたモデルになっています。

背面を見てみるとヒートシンクとM.2 SSDの基盤を繋ぐ形で封印シールが貼られており、シールを剥がすと正規保証が受けられなくなるので、基本的にヒートシンクの着脱は行えません。各自でM.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE変換ボードを用意する場合は、ヒートシンクなしのM9PeGNを選択してください。

なおM9PeGに装着されたヒートシンクは薄いアルミ板を型に合わせて成型したものになっており上から見てわかるように中央が盛り上がる形で湾曲しているため、基板上素子と中央部分が接していません。この点については前モデルM8PeGでも言及されていたので、M9PeGでは改善しておいて欲しかったところです。

M.2 SSD本体のデザインについてはM9Peシリーズに共通で普通にM.2 2280サイズのM.2 SSDです。PCB基板は緑色になっています。Plextor M9Peシリーズの表面には右端にメモリコントローラー、その隣にDRAMキャッシュ、左半分に2枚のメモリチップが実装されています。

容量256GB/512GBの2モデルは片面実装ですが、最大容量の1TBモデルには裏面の左半分に追加で2枚のメモリチップが実装される両面実装となります。

Plextor M9PeG 512GBの検証機材と基本仕様
Plextor M9PeG 512GBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |

「Plextor M9PeG 512GB」のボリュームをWindows10上で作成したところ空きスペースは476GBでした。

今回のサンプル機はファームウェアのバージョンが1.00でしたが、公式サイトでは最新版の1.04が公開されているのでアップデートしました。「Plextor M9PeG 512GB」のファームウェアアップデートについてはWindows上のアプリケーションとして簡単に実行できます。

Plextor M9PeG 512GBのベンチマーク比較
「Plextor M9PeG 512GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。「Plextor M9PeG 512GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
「Plextor M9PeG 512GB」のシーケンシャル性能について読み出し速度は仕様値通り3200MB/sに達していますが、書き込み速度は仕様値2000MB/sを下回る1400MB/s程度にとどまっています。書き込み速度の低さについてはテストデータサイズが「Plextor M9PeG 512GB」のSLCキャッシュサイズを上回って書き込み速度の低下が発生するためと思われます。





ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)の結果は次のようになっています。「Plextor M9PeG 512GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。






AS SSD Benchmark(5GB)の結果は次のようになっています。「Plextor M9PeG 512GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。





PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています。「Plextor M9PeG 512GB」やその他の比較対象ストレージでは次のようになっています。





Plextor M9PeG 512GBの連続書き込みについて
「Plextor M9PeG 512GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型SSDの多くは書き込み速度の底上げのため、TLC型NANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能を採用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、CrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下します。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 860 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持しています。

一方でSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。

なお「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」など、64層3D NANDを採用している18年最新のTLC型SATA SSDで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)

TLC型の書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあり「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」は3bit-MLC NAND(TLC NAND)の一部を高速なSLC NANDとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超える書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。

東芝製TLC型64層3D NANDをメモリチップに採用する「Plextor M9PeG 512GB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、書き込み開始直後は仕様値通り2000MB/s程度の書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が5GB程度を超えるとSLCキャッシュを上回るため書き込み速度は500MB/s前後まで低下しました。SLCキャッシュ超過後の書き込み速度についてはSSDの全体容量に依存する傾向があるので、仕様では公表されていませんが、Plextor M9Peシリーズのキャッシュ超過後の書き込み速度は、256GBモデルは250MB/s、512GBモデルは500MB/s、1TBモデルは1GB/s程度になると思われます。

ATTO Disk Benchmarkの大ブロックサイズ転送でも見られた傾向ですが、Plextor M9PeG 512GBでは読み出しにおいても、データ容量が大きくなると読み出し速度が変動して、シーケンシャルなアクセスであっても仕様値の3200MB/sを下回る1800~2800MB/s程度の読み出し速度になってしまうところが少し気になります。

Plextor M9PeG 512GBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Plextor M9PeG 512GB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ高速NVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られているので、「Plextor M9PeG 512GB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をモニタリングソフトとサーモグラフィーを使用して検証します。
Plextor M9PeG 512GBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、

測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値をHWinfoを使用してログを取得します。

Plextor M9PeG 512GBの検証結果を確認する前に、NVMe M.2 SSDとしてはおそらく18年現在でもいまだにNVMe M.2 SSDとしては最高クラスの性能を誇り、認知度が高く普及している「Samsung 960 PRO 1TB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung 960 PRO 1TBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung 960 PRO 1TBにはメモリチップとメモリコントローラーの2か所に温度センサーが実装されています。ベンチ2周目でメモコン温度は最大温度の98度、メモリ温度も最大温度に近い60度超をマークします。この状態で複数回ベンチマークを実行しても速度低下は発生せずサーマルスロットリングは発生しません。

サーモグラフィーによって負荷テスト終盤におけるSamsung 960 PRO 512GBのM.2 SSD上の温度を確認してみると、ソフトウェアモニタリング同様に右端に配置されたメモリコントローラーは91度、左半分に配置されたメモリチップは60~70度となっています。

さて本題のPlextor M9PeG 512GBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるPlextor M9PeG 512GBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Plextor M9PeG 512GBに関してはソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリコントローラー付近の温度になっているようです。ソフトウェアモニタリング上の温度は最大でも70度を下回っており、ベンチマークを複数回繰り返してもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下は確認できません。なおシーケンシャルアクセス時の書き込み速度の変動についてはサーマルスロットリングではなくTLCキャッシュに関連する影響と思われます。

また「Plextor M9PeG 512GB」からヒートシンクを取り外してM9PeGNとほぼ同じ状態にして温度測定を行いました。ヒートシンクを取り外した状態についてHWinfoのログから作成したグラフを確認した限りでは、ヒートシンクがある状態の温度変化とほぼ同じ傾向になっており、やはりサーマルスロットリングによる大幅なアクセス速度の低下は確認できません。


負荷テスト終盤におけるPlextor M9PeG 512GBからヒートシンクを取り外した状態のサーモグラフィーは下のようになっています。「Plextor M9PeG 512GB」の右端にあるメモリコントローラー温度は90度を超え、メモリチップも70度前後に達しており、18年最新のNVMe M.2 SSDの温度としては標準的な温度分布です。

ヒートシンクを装着した状態ではヒートシンクの表面温度は70度前後になっているものの、おそらく内部のメモリコントローラーやメモリチップは上のヒートシンクなしの状態と同等の温度分布になっていると思います。

ちなみにヒートシンクありとヒートシンクなしでHWinfoの温度情報のみ抜粋してグラフ化すると次のようになります。(HWinfoのロギング間隔の都合で左右のズレがありますが基本的に山や谷が一致するとして無視してください。)
前モデルのM8Peでも確認されていたことですが、M9PeにおいてもヒートシンクがあるM9PeGはヒートシンクなしのM9PeGNと比較して負荷をかけ始めてから5分ほどはヒートシンクの熱容量分だけ低温で動作しますが、放熱面積的には大差がないため、10分以上負荷がかかり続けると、次第にヒートシンクがある方がサーマルパッド等で密閉されるため逆に温度が若干高くなります。

今回の負荷テストではサーマルスロットリングによる大幅な速度低下こそ確認できなかったものの、Plextor M9Pe 512GBのメモリコントローラーは90度に達しているので、長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をおすすめします。
なおM9PeGシリーズは純正ヒートシンクの取り外しは正規保証の関連で不可能なので、ヒートシンクを各自で増設可能なM9PeGNか、最初から大型ヒートシンク付きPCIE変換ボードに装着されたM9PeYシリーズが個人的にはおすすめです。
・「AquaComputer kryoM.2 evo/micro」をレビュー
・「SilverStone SST-TP02-M2」をレビュー



SilverStone
Plextor M9PeG 512GBの実用性能比較
続いて「Plextor M9PeG 512GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 960 PRO 1TB(レビュー)」と「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」と「Intel SSD 760p 512GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」と「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。


なお下で掲載している検証結果の比較グラフにおいて*の添え字が付いているものは、コピー相手にSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。SATA3.0 SSDが検証ストレージの場合は、コピー相手がSamsung 960 PRO 512GBとSamsung SSD 970 PRO 1TBのどちらであっても動画ファイルおよびゲームフォルダのコピー速度に大きな差はありません。
コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。

Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するものの、各NVMeストレージはCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。

「Plextor M9PeG 512GB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Plextor M9PeG 512GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいては、同じく18年最新のTLC型NVMe M.2 SSDである「Samsung SSD 970 EVO」「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」「Intel SSD 760p 512GB」などと比較するとほぼ横並びですが、3秒ほど遅れて28秒のコピー時間を要しています。ATTOやHD Tuneでも見られましたがやはり大容量の連続読み出しが若干安定しないようです。とはいえSATA3.0接続のSSDと比較すると3倍以上高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は2000MB/s程度となっています。

動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると、「Plextor M9PeG 512GB」のコピー書き込み時間は93秒ほどとなりました。直接比較可能なものとしては「Intel SSD 760p 512GB」より若干遅くなっており、キャッシュ超過後が600MB/sになる「Samsung SSD 970 EVO 500GB」やキャッシュ超過後が700MB/sになる「WD Black 3D NVMe SSD 512GB」よりもやはり遅れると思われます。

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Plextor M9PeG 512GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて、若干ランダム性能が効いてくるワークロードではありますが、動画ファイルのコピー読み出し同様に、競合のTLC型NVMe M.2 SSDとほぼ横並びですが、若干遅れる結果になっています。とはいえやはりSATA3.0 SSDよりも3倍程度の高速な読み出し速度です。

Plextor M9PeG 512GBのゲームフォルダのコピー書き込み速度についてみてみると、動画ファイルのコピー書き込みと同様の結果になりました。

続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
以上の条件で「Plextor M9PeG 512GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Plextor M9PeG 512GB」含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。

しかしながらFinal Fantasy XV PC版で4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度・最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からハンマーヘッドまで(FF15_1)』および『ハンマーヘッドからレスタルムまでファストトラベル(FF15_2)』の2つについてロード時間を確認してみたところ、NVMe(PCIE3.0x4)SSDの「Plextor M9PeG 512GB」とSATA3.0 SSDとの間でロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません。

Plextor M9PeG 512GBのレビューまとめ
最後に東芝製TLC型64層3D NANDメモリチップを採用するNVMe M.2 SSD「Plextor M9PeG 512GB(PX-512M9PeG)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- NVMe規格として理想的な連続リード3200MB/sと連続ライト2000MB/s
- TLC型なので高速NVMe M.2 SSDとしては安価な価格帯
- 18年最新TLC型NVMe M.2 SSDの中ではPCMark 8 ストレージテストのスコアが最高
- メーカー正規保証期間が5年間
- TLC型なので大容量の連続書き込みでは速度低下が発生する
512GBモデルのキャッシュ外書き込み速度は500MB/s - 大容量データのシーケンシャルアクセスが若干不安定
「Plextor M9PeG 512GB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークの多くで18年最新のTLC型NVMe M.2 SSD競合製品と同等のパフォーマンスを発揮しています。特に実アプリケーション性能を測定するベンチマークのPCMark 8 ストレージテストではSamsung SSD 970 EVOやWD Black 3D NVMe SSDやIntel SSD 760pを抑えて若干ではあるものの「Plextor M9PeG 512GB」が最高のスコアをはじきだしました。
Plextor M9PeG 512GBにはTLCタイプの東芝製64層3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、今回検証した512GBモデルでは5GB程度のSLCキャッシュを超える書き込みアクセスでは理想値2000MB/sから500MB/sまで書き込み速度が低下します。TLC型のキャッシュ超過後の書き込み速度は全体容量に依存する傾向があるので256GBモデルは250MB/s、1TBモデルは1000MB/s程度になると思われます。
またPlextor M9PeG 512GBは大容量データのシーケーンシャルな読み出しでも読み出し速度が若干不安定になり、競合製品よりも大容量データのコピー読み出し速度は若干遅くなっています。
M9Peシリーズには、今回レビューした「Plextor M9PeG 512GB」のM9PeG以外に、ヒートシンクなしのM9PeGNシリーズや、大型ヒートシンク付きPCI-E拡張カード型M9PeYの計3モデルがリリースされています。M9PeGに標準で装着されているM.2 SSDヒートシンクはアイドル状態から負荷状態に移行したときにM.2 SSDの温度上昇を遅らせる効果はありますが、最終的な温度はヒートシンクなしのM9PeGNと大差ありません。
M9PeGでもサーマルスロットリングによる大幅な速度低下の発生は確認できませんでしたが、M.2 SSDの温度を重視するのであれば、各自で用意した大型ヒートシンクを使用できるM9PeGNか、標準で大型ヒートシンク付きM.2-PCIE変換ボードに装着されたM9PeYシリーズがおすすめだと思います。
Plextor M9Peシリーズは18年最新TLC型NVMe M.2 SSDの4大競合製品の中でも、アプリケーションサイズの読み出し速度に優れている一方で、数十GBを超える大容量データの読み書きについては比較的に苦手とするようなので、システムストレージとして使用するのがおすすめな製品だと思います。
以上、「Plextor M9PeG 512GB」のレビューでした。

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・「WD Black 3D NVMe SSD 1TB」をレビュー

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・「Samsung SSD 970 PRO 1TB」をレビュー

(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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M.2型のPlextorM8にアップグレードした時は
HDDからPlextorM5にアップグレードしたしたときみたいな圧倒的な体感速度向上がなくてがっかりしたことを思い出した。
いや、Plextorは好きだからM8を買ったんだけどさ。