ENERMAX LIQTECH II 360


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水冷トップにアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載する簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH II」シリーズから120mm×3のトリプルファンによって冷やす360サイズ大型ラジエーター搭載の高冷却性能モデル「ENERMAX LIQTECH II 360(型番:ELC-LTTO360-TBP)」のサンプル機をメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。Core i9 9900KやCore i9 7980XEの手動オーバークロックを検証負荷として「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能を徹底検証していきます。
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代理店公式ページ:
製品公式ページ:http://www.enermaxjapan.com/cpu-cooler/Liquid/ELC-LTTO360-TBP.html
マニュアル:http://www.enermax.com/files/ProductFile_eng/PF_File/955.pdf

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レビュー目次


1.ENERMAX LIQTECH II 360の外観・付属品
2.ENERMAX LIQTECH II 360の水冷トップと水冷チューブ

3.ENERMAX LIQTECH II 360のラジエーターと冷却ファン
4.ENERMAX LIQTECH II 360をセットアップ
5.ENERMAX LIQTECH II 360のLEDイルミネーション
6.ENERMAX LIQTECH II 360の冷却性能
7.ENERMAX LIQTECH II 360のレビューまとめ


補足.
空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて



ENERMAX LIQTECH II 360の梱包・付属品

まずはENERMAX LIQTECH II 360の外観や付属品をチェックしていきます。
「ENERMAX LIQTECH II 360」の製品パッケージはブラックカラーを基調に製品イメージなどがカラープリントされています。「ENERMAX LIQTECH II 360」の特徴が一目でわかる良いパッケージです。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」はTDP500Wを超えるようなCPUのオーバークロックにも対応しています。アドレッサブルLEDイルミネーションを搭載し、主要4社のライティング制御機能にも対応しています。
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製品パッケージはN式サイド差込式と呼ばれるタイプの箱になっていました。蓋を開くとスポンジの蓋がありそれを出すとパルプモールド製スペーサーに簡易水冷クーラー本体や付属品が収められていました。240サイズや360サイズラジエーターを搭載する簡易水冷CPUクーラーはパッケージも大きいので梱包によっては取り出しにくいことがありますが、ENERMAX LIQTECH IIシリーズは短辺方向に蓋を開くので開封スペースも最小限になっており、取り出しが非常に楽でした。
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まずは「ENERMAX LIQTECH II 360」の各種付属品をチェックしていきます。
水冷トップマウント関連については、AMD環境用ブラケット(Intel環境用ブラケットは標準でCPUクーラーに装着されている)、Intel LGA115X/AMD用バックプレート、Intel LGA115X/AMD用ネジピラー*4本、ネジピラー固定用ワッシャー*4個、ネジピラー固定用スタンドオフ*4本、Intel LGA2066/2011用スタンドオフスクリュー*4本、固定用ハンドスクリュー*4個、AMD環境用短絡防止シールです。
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ラジエーター/ファン固定ネジ類については、ラジエーターにファンを固定するための長ネジが4本×3セットで径12本、ラジエーターをPCケースに固定するための短ネジが4本×3セットで径12本ずつ付属します。(240サイズ/280サイズの場合、固定ネジは各4本×2セットで8本ずつとなります)
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簡易水冷CPUクーラーでは水冷トップのベースプレートに予め熱伝導グリスが均等に塗布されているものも多いですが、「ENERMAX LIQTECH II 360」にはユーザーが塗る熱伝導グリスが付属します。
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360サイズラジエーター搭載モデルの「ENERMAX LIQTECH II 360」は120mmファン冷却ファンを3基使用するのでPWM対応4PINファン端子用の3分岐ケーブルが付属します。240サイズ/280サイズの「ENERMAX LIQTECH II 240/280」の場合は2分岐ケーブルが付属します。
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「ENERMAX LIQTECH II」は水冷ポンプの電源をマザーボード上の3PINファン端子もしくは4PINファン端子から取得する構造になっていますが、SATA電源端子から電源を取得できる変換ケーブルも付属します。ただ17~18年に発売されている最新マザーボードであれば、2A以上の出力で水冷対応ファン端子があるので変換ケーブルの出番はないと思います。マザボのファンコンに依存せずフルスピードで使用したい場合に使う感じでしょうか。
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LEDイルミネーション関連では、SATA電源ケーブル、LEDイルミネーションコントローラー、水冷トップLEDイルミネーション接続ケーブルが付属します。
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水冷トップに接続するLEDイルミネーションケーブルは、水冷トップに実装された独自規格のミニコネクタをアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PIN LEDコネクタに変換します。ARGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーは主要4社のマザーボードに採用されている、デファクトスタンダードな規格です。
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Intel Z390やAMD X470など最新マザーボードではマザーボード側のアドレッサブルLEDヘッダーは基本的にアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PIN LEDヘッダーで統一されていますが、GIGABYTEのアドレッサブルLED対応初期マザーボードでは独自端子が採用されていたので、GIGABYTE独自規格のVDG 3PINヘッダーに変換するケーブルも付属します。
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CPUクーラー本体を取り出すと、水冷トップからラジエーターまで全体がビニールに包まれていました。
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ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
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ENERMAX LIQTECH II 360の水冷トップと水冷チューブ

続いて「ENERMAX LIQTECH II 360」の水冷トップ本体をチェックしていきます。
水冷ヘッドのトップは透明アクリル板なので開封時は傷防止の保護フィルムが貼られています。ENERMAX LIQTECH IIの水冷トップの形状は単純な四角形となっており、天板は透明なアクリル板が装着されて中央にメーカーロゴが刻まれているだけという非常にシンプルなデザインです。
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水冷トップのENERMAXロゴとアクリルプレート下の白色半透明リング部分にはアドレッサブルLEDイルミネーションが内蔵されおり、専用コントローラーやマザーボードのアドレッサブルLEDヘッダーからの給電で点灯します。水冷トップ側面はプラスチック製ですが、ヘアラインアルミニウム風の表面処理となっており安っぽさはありません。
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ENERMAX LIQTECH IIシリーズではポンプの構造が刷新されており、精密工学によって設計(EF1ポンプデザイン)された強力な水冷ポンプは最大450L/h(7.5L/m)の高い流量を実現し優れた冷却性能を発揮します。「Ceramic nano Pl ベアリング」を水冷ポンプに採用することで、MTBF(平均故障間隔)100,000時間という高耐久性かつ耐熱性に優れ、摩擦抵抗を抑えることで低ノイズと滑らかな回転を実現します。
EF1 Pump Design (3)
水冷トップからは直出し構造で水冷ポンプおよび冷却ファンの電源取得のための汎用3PINファンケーブルが伸びているのでマザーボードのファン端子から水冷ポンプへの給電が可能です。
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 ポンプ回転数の定格仕様値は3000RPMとなっていますが、「ASRock Z270 SuperCarrier」に接続したところフルスピードでは2800RPMとなりました。水冷ポンプはPWM信号による速度調整には非対応ですが、電圧調整による60~100%の速度調整には対応しており、最小で1800RPM前後まで回転数を落とすこともできました。
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水冷ポンプ電源ケーブルのすぐ傍には水冷トップに内蔵されたアドレッサブルLEDイルミネーションへ電源供給とライティング制御を行うためのLEDヘッダーが実装されています。ゴム製カバーがあるのでLEDヘッダーは使用しないときは塞いでおくこともできます。
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ENERMAX LIQTECH IIのCPUと接触するベース部分は銅製になっており、銅製ベースプレートは鏡面磨き上げではありませんが、滑らかな表面に研磨されています。
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簡易水冷CPUクーラーとしては高性能で定評があるAsetek OEM製品と銅製ベースプレートのサイズを比較すると、「ENERMAX LIQTECH II」シリーズの方が巨大であるのが一目瞭然です。
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「ENERMAX LIQTECH II」シリーズが対応するCPUの中で最も大きいヒートスプレッダを搭載しているIntel LGA2011/2066系CPUに対しても余裕でカバーできるベースプレートになっています。
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また銅製ベース内側のマイクロフィンにはENERMAX特許取得済みの「シャント・チャンネル・テクノロジー(SCT:Shunt-Channel-Technology)」設計が採用されています。SCT設計ではマイクロフィンの流入-流出経路の中間にフィンがないスリットを挿入することで通常発生する境界層を排除して、クーラントの流れの運動量を増やすことで循環効率と熱伝導性能を最大限に高め、強力な冷却性能を実現しています
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Shunt-Channel-Technology

「ENERMAX LIQTECH II 360」のリテンションブラケットは水冷トップから取り外し可能です。Intel CPU用がデフォルトで装着されていますが、AMD CPU用のブラケットに換装することでAMD CPUでも使用できます。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」の水冷チューブは、水冷トップのEnermaxロゴが正しい向きになるように見て3時の方向から伸びています。
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水冷チューブが接続されているL字エルボーの水冷トップ側はロータリー式になっており、干渉する箇所も少ないのでほぼ360度近い可動域が確保されています、
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水冷チューブには劣化に強く水漏れ、クーラントの揮発の心配がないポリアミドゴムチューブを採用、上から柔軟性に優れ摩耗防止に適したナイロンスリーブが巻かれており取り回しにも優れています。
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水冷チューブの長さは約400mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。
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水冷チューブの径は15mm程と比較的太めなのでチューブ折れや潰れの心配はあまりありませんが、曲げ難さを感じます。とはいえ大型ラジエーター搭載モデルなのでミドルタワー以上のPCケースに搭載することが前提になっており水冷チューブの取り回しにさほど困ることはないと思います。
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LIQTECH TR4 II(右下)は水冷トップの根本がストレートのロータリーで、チューブ方向(ねじる向き)に回すことができたのに対して、LIQTECH II(左下)は水冷トップの根本がL字エルボーのロータリーのためチューブ方向に回すことができません。LIQTECH TR4 IIではチューブを回せることで曲げ難さが緩和されていましたが、LIQTECH IIではL字エルボーの根本のみが可動なので、チューブ自体の太さが大きいこともあって、チューブの取り回しに若干の難を感じました。
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ENERMAX LIQTECH II 360のラジエーターと冷却ファン

続いてENERMAX LIQTECH II 360のラジエーター部分をチェックしていきます。
ENERMAX LIQTECH IIのラジエーターはラジエーターコアを保護するグリルの側面にENERMAXブランドネームとロゴの刻印された外装が装着されており重厚感のある雰囲気になっています。
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側面にフレームがあるだけでもラジエーターの外観が他とは違った印象でカッコよくなります。
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ラジエーターのグリルのファン固定部分には防振ラバーパッドが貼られており、冷却ファン高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し静音性を高める役割を果たします。サードパーティ製の冷却ファンに交換してもラジエーター側に防振ラバーパッドがあるのでノイズ対策面で安心です。
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防振の配慮自体は嬉しいのですが、ネジ穴付近のラバーパッドの穴が狭いのでファンを固定する時にラジエーターのネジ穴にファン固定ネジを合わせにくいという欠点もありました。ラバーパッドのネジ穴はもう少し広めにとってもらえると良かったかも。

放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点でも狭すぎず広すぎずちょうどいい塩梅です。このフィンピッチであれば低速ファンによる静音動作から高速ファンによる高冷却動作まで幅広く対応できると思います。
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管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチ(右)と比較するとENERMAX LIQTECH II 360のフィンピッチ(左)のほうがやや細かいかな、というくらいでほぼ似たようなフィンピッチになっています。
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今回レビューするモデルは360サイズラジエーター搭載モデルなので片面に120mmファンを3基設置可能ですが、下位モデルには240サイズラジエーター採用で片面に120mmファンを2基設置可能な「LIQTECH II 240(型番: ELC-LTTO240-TBP)」や280サイズラジエーター採用で片面に140mmファンを2基設置可能な「LIQTECH II 280(型番:ELC-LTTO280-TBP)」もラインナップされています
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ENERMAX LIQTECH IIのラジエーターの厚さは簡易水冷CPUクーラーとしては標準的な28mm厚で、冷却ファンを設置するとファン&ラジエーターの厚さは55mm程度となります。なお280サイズは同じく28mm厚ですが、240サイズモデルは39mm厚で10mmほど厚みが大きいので注意してください。
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ラジエーター固定ネジ穴下については、ネジによる貫通を防止するガードなどはありません。ネジ穴の下に冷却液の流れるチューブこそないものの放熱アルミフィンがあります。付属のネジを使用して付属ファンを固定する場合はクリアランスが確保されています。ネジ穴下にチューブはないので水漏れなどの心配はありませんが個体差で問題が生じる可能性もあるのでネジ穴下でチューブとの接触がないかは注意が必要です。
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ENERMAX LIQTECH II 360には「T.B.Pressure 120mm fan」という冷却ファンが3つ付属します。
「T.B.Pressure 120mm fan」は500~2300RPMで速度調整可能なPWM対応の4PIN型ケースファンです。
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軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
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ファンフレームのネジ穴周辺部分には、高回転時に発生しやすい振動やノイズを抑制し、静音性を高める防振ラバーパッドを搭載しています。
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吸気面と排気面ともにファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されて大風量を獲得できるように最適化されています。
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冷却ファンの軸受には製品名”T.B”の頭文字にもなっている、ENERMAXが特許を取得した「Twister Bearing」が採用されています。「Twister Bearing」は摩擦を最小限に抑えるためにひとつのパーツで構成され、オイルを注すことなく滑らかな動作を実現する特殊な素材を採用、マグネティックボールが軸を支持することにより振動を大幅に軽減しています。自称軸音ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音が聞こえない良いファンでした。低回転軸音に煩い管理人的も納得の良い冷却ファンなので低回転運用しても軸音が気になることはないと思います。
Twister Bearing
ファン/ラジエーター固定用のネジ類の数量についてはラジエーターサイズごとに異なっており、ファン固定用32mm長ネジとラジエーター固定用6mm短ネジは360サイズでは12個ずつ、240サイズ/280サイズでは8個ずつ付属しています。
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冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格は、採用の多いUNC No.6-32や日本国内ホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジのどちらでもなく、M3.5のようです。

ENERMAX LIQTECH IIのラジエーター&冷却ファンの外観は、ラジエーター側面のオリジナル外装と冷却ファンのデザインに統一感があり、工業製品的な重厚感があってカッコいいです。
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ENERMAX LIQTECH II 360の検証機材・セットアップ

ENERMAX LIQTECH II 360を検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1
ベンチ機1
OS Windows10 64bit Home

CPU

Intel Core i7 7700K
Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
-
M/B ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー)(BIOS:1, 2
-
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
3200MHz, 14-16-16-36-CR2
-
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
-
電源ユニット
Corsair HX1200i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


また「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能を検証する追加の検証機材として、「Core i9 9900K」と「Core i9 7980XE」を使用した下記のテストベンチ機も使用しています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit
CPU
Intel Core i9 9900K
殻割り&クマメタル化(レビュー
Core i9 7980XE
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASUS ROG MAXIMUS XI
HERO (WI-FI) (レビュー)
ASRock X299 OC Formula
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR2
G.Skill Trident Z Black
F4-4200C19Q2-64GTZKK
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
3600MHz, CL16-16-16-36-CR2
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 860 PRO 256GB
レビュー
電源ユニット
Corsair HX1200i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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「ENERMAX LIQTECH II 360」のCPUクーラーマウントにおいてIntel LGA115X系とAMD環境では、Intel LGA115X/AMD用バックプレート、Intel LGA115X/AMD用ネジピラー*4本、ネジピラー固定用ワッシャー*4個、ネジピラー固定用スタンドオフ*4本、固定用ハンドスクリュー*4個を使用します。
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上で紹介したパーツに加えて、Ryzen CPUに対応するAM4ソケットなどAMD環境では下準備として、マザーボードに標準で設置されているCPUクーラーマウントパーツとバックプレートの取り外し、およびENERMAX LIQTECH II 360用バックプレートに短絡防止保護シールを貼り付けます。
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まず最初にバックプレートをIntel LGA115XやAMD AM4など使用する環境に合わせて組み立てますが、バックプレートの対応する穴にネジピラーを挿入し、ワッシャーで固定します。ネジピラーの太さに対してワッシャーの内径はギリギリの寸法で脱落防止になっています。
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ここからの作業はIntel LGA115X系とAMD系の両CPUソケットで共通となっており、マザーボードのネジ穴に合わせてバックプレートを装着し、プラスチック製スタンドオフで固定します。
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プラスチック製スタンドオフの内径もネジピラーに対してギリギリの寸法で脱落防止になっており、マウントパーツ単体でマザーボードに固定することができます。
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またIntel LGA2011/2066系で使用するのは、Intel LGA2066/2011用スタンドオフスクリュー*4本、固定用ハンドスクリュー*4個の2種類のみとなっており、CPUクーラー固定の下準備はスタンドオフスクリューをCPUソケット四隅のネジ穴に固定するだけとさらに簡単な構造です。
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熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut

ENERMAX LIQTECH IIのCPUと接触するベース部分には、購入時点では保護フィルムで保護されています。CPUクーラー装着前に保護フィルムを剥がし忘れないように注意してください。
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熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドのリテンションブラケットのネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
ENERMAX LIQTECH IIの水冷トップの固定ネジはハンドスクリューなので固定は容易です。ただし水冷ヘッドとの間隔が小さいのでプラスドライバーを使った方が締めやすいと思います。固定ネジにはスプリングがついており、ネジの緩み防止に役立つだけでなく、副次的にネジ止めする時の穴の位置合わせガイドにもなります。
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水冷トップ側面から水冷チューブの出ている簡易水冷CPUクーラーでは最左端にあるメモリスロットの距離次第で水冷トップ右のチューブエルボーとメモリが干渉してCPUクーラーを設置できない場合がありますが、「ENERMAX LIQTECH II 360」では検証機材のASRock Z270 SuperCarrierでも十分なクリアランスが確保されているのでその他のマザーボードでも概ね干渉は起こらないと思います。
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簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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以上でENERMAX LIQTECH II 360のベンチ機へのセットアップ完了です。
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ENERMAX LIQTECH II 360のLEDイルミネーション

ENERMAX LIQTECH II 360の水冷トップに搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションのライティングや制御についてチェックしていきます。
ENERMAX LIQTECH II 360のヒートシンクトッププレートおよび冷却ファンにはアドレッサブルLEDイルミネーションが搭載されており、付属コントローラーやマザーボードの制御機能によってライティング制御が可能です。
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なお「ENERMAX LIQTECH II」シリーズでは水冷ポンプ給電用のファン端子ケーブルからの給電単独でもLEDイルミネーションの点灯が可能です。LED端子からの制御を受けない場合は、内蔵コントローラーによってオーロラ状の七色(Racing Rainbow)に変化します。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」に搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、標準で付属するコントローラーによって制御することができます。コントローラーからはSATA電源ケーブルが伸びており、SATA電源を電源供給元として、「ENERMAX LIQTECH II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションへの電源供給とライティング制御が可能となっています。
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付属コントローラーには[▲ , ▼ , M]の3つのボタンがありますが、「▲」と「▲」ボタンは設定値の変更、「M」ボタンで設定項目が変更できます。コントローラーに実装されたLEDの発光カラーは設定モードを示しており、緑色は「発光パターン」、赤色は「変化スピード」、青色は「輝度」、黄色は「自動発光パターンモード」となります。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーション接続ケーブルのコントローラー側コネクタはアドレッサブルRGB対応VD-G型汎用3PINヘッダーなので、付属コントローラー以外のアドレッサブルLEDコントローラーに接続できます。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションは、マザーボード上のアドレッサブルLEDヘッダーに接続することによって、ASUS AURA Sync、ASRock Polychlome RGB Sync、GIGABYTE RGB Fusion、MSI Mystic Lightなどのマザーボードに搭載されたライティング制御機能による操作することも可能です。
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ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI)に実装されているアドレッサブルRGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーに接続してみたところ、マザーボードのライティング制御機能で操作できました。
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今回は付属の専用コントローラーを使用して「ENERMAX LIQTECH II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションやライティング制御について紹介します。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」のアドレッサブルLEDイルミネーションは付属の専用コントローラーを使用することで発光パターンが変更できます。
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「ENERMAX LIQTECH II 360」に付属する専用コントローラーから選択可能な発光パターンは以下の10種類です。
・「Racing Rainbow(標準設定)」:七色のカラーサークルが時計回りに回転する
・「Breathing Rainbow」:七色のカラーサークルが明滅する
・「Flash Rainbow」:七色のカラーサークルが明滅する
・「Overlaying Rainbow」:LEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Flow Rainbow」:全8色でLEDロゴとLEDリングの各アドレスが順に発光カラーを切り替えていく
・「Colors Auto Run」:全体同一カラーで七色に変化する(▲を3秒長押しで現在の色に停止/解除)
・「Ripple Auto Run」:各アドレスが順に点滅に点灯していくのを1周として8色繰り返す
・「Overlaying Red」:赤色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Overlaying Green」:緑色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく
・「Overlaying Blue」:青色でLEDロゴ&リングの各アドレスが順に点灯していく

設定モード切替スイッチでコントローラーのLEDが黄色になる「自動発光パターンモード」を選択すると、上に記載した10種類の発光パターンが順番に実行されます。


その他の発光パターンについてもいくつが動画を撮影しました。






「ENERMAX LIQTECH II 360」の水冷トップに搭載されたアドレッサブルLEDイルミネーションは、同じくアドレッサブルLEDイルミネーションを搭載したDDR4メモリ「G.Skill Trident Z RGB」と非常にマッチします。「G.Skill Trident Z RGB」にはメモリ周波数3200MHz以上のハイパフォーマンスメモリキットも多くラインナップされているので、組み合わせての使用はおすすめです。
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「G.Skill Trident Z RGB」については、Ryzen Threadripper向けにメモリ周波数3200MHz/メモリタイミングCL14に対応したハイパフォーマンスモデル「F4-3200C14Q-32GTZRX」の詳細レビューを公開中です。
「G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX」をレビュー
G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX



ENERMAX LIQTECH II 360の冷却性能

本題となる「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i7 7700Kの場合20~30分ほどです。エンコード中のファン回転数はCPUクーラー別で個別に設定した一定値に固定しています。
エンコードに用いたCPUはCore i7 7700K(殻割りクマメタル化済み)を使用しており、CPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
「Thermal Grizzly Conductonaut」を殻割りCore i7 7700Kでレビュー
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またストレステストの実行に際してCore i7 7700Kには手動でオーバークロック設定を行っています。OC設定は、コアクロックを4コア同時5.0GHz、キャッシュクロックを4.8GHz、コア電圧をBIOS上では1.350V固定、ロードラインキャリブレーションをLevel2としています。
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エンコード中CPU温度のCPUクーラー別比較は次のようになりました。
ENERMAX LIQTECH II 360のファン回転数を1000RPM、ポンプ回転数を定格(最大)に固定すると、5.0GHzに手動OCしたCore i7 7700KのCPU温度は最大63度、平均60.5度に収まっており、非常に優秀な冷却性能を発揮しています。120mmファン3基で冷却を行う360サイズ大型ラジエーターを搭載するだけあって簡易水冷CPUクーラーの中でもトップクラスの性能です。
ENERMAX LIQTECH II 360_temp1

ベンチ機1の検証環境で同様のCPUクーラー冷却性能テストを行った比較結果のまとめが次のようになっています。下に行くほど冷却性能が高く、平均温度と最大温度の和で順位付けを行っています。なおファン回転数によって順位は変わりうるのでその点は注意してください。
ENERMAX LIQTECH II 360_temp2

続いてサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
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電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。

ENERMAX LIQTECH II 360のラジエーター冷却ファンのファンノイズを個別に測定したところ次のようになりました。ENERMAX LIQTECH II 360はラジエーター冷却ファンを1100RPMから1200RPMまでに収まるようにすると静音動作で運用できると思います。
ENERMAX LIQTECH II 360_noise1
上のグラフでは「ENERMAX LIQTECH II 360」水冷ポンプの回転数を最大2800RPMにした場合と最小1800RPMにした場合の両方についてノイズレベルを比較しています。「ENERMAX LIQTECH II 360」のポンプノイズは最大回転と最小回転でノイズレベルにかなりの差が出て、ファン回転数1200RPM以下では水冷ポンプのノイズが騒音のボトルネックになっています。
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先行して発売された「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズにも、完全に同じではないかもしれませんが同種の設計の水冷ポンプが採用されていることが公表されていますが、「ENERMAX LIQTECH TR4 II」シリーズでは水冷ポンプが最大/最小でノイズレベルにここまで大きな差はでませんでした。
「LIQTECH II」と「LIQTECH TR4 II」の両者では水冷トップ側面外装の素材が違い、「LIQTECH TR4 II」が金属製に対して、「LIQTECH II」はプラスチック製でした。
下の動画は「LIQTECH II」において水冷ポンプ最大で外装を指で押さえてみた様子ですが、指で押さえるだけでノイズが小さくなっているのがわかります。外装をプラスチック製にしたことで、ポンプノイズが反響して騒音値が大きくなっているのではないかと思います。


冷却ファンを付属の「T.B.Pressure 120mm fan」から、「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装したケースについてもファンノイズとファン回転数の関係を検証してみました。
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「Noctua NF-A12x25 PWM」に交換すれば標準ファンと同じノイズレベルにおいて400PRM程度高いファン回転数で運用でき、より高い冷却性能と静音性を実現できます。「Noctua NF-A12x25 PWM」は1台あたり3500円ほどと高価ですが、CPUクーラーのパフォーマンスを追及するのであれば、一押しの冷却ファンです。
ENERMAX LIQTECH II 360_noise3
サウンドレベルメーターによる騒音値の比較結果は次のようになりました。
ENERMAX LIQTECH II 360はラジエーター冷却ファンのファン回転数を1000RPMに設定していますが、ファンノイズは40dB前後なので静音性も標準的です。ただし上で解説したように、水冷ポンプが静かなら37~38dBまで騒音値を下げることができたので、そこが少し残念です。
ENERMAX LIQTECH II 360_noise2


さらにIntelの最新メインストリーム向けCPUである第9世代CoffeeLake Refresh-Sの最上位モデル8コア16スレッド「Core i9 9900K」で「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能を検証していきます。
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なお検証機材のCore i9 9900KはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替え、ヒートスプレッダもRockit Cool製のオリジナル銅製IHSに交換しているので通常よりも低い温度で動作しています。
Core i9 9900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
Core i9 9900K delid&cupperCore i9 9900K delid_temp

Core i9 9900KのOC設定は「CPUクロック倍率:51」「CPUキャッシュ倍率:47」「CPUコア/キャッシュ電圧:1.300V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Level 7」「SVIDサポート: Disabled」「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。
Core i9 9900K_OC_BIOS (1)Core i9 9900K_OC_BIOS (2)

OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 9900K 定格の場合は40分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 9900K_stress

「ENERMAX LIQTECH II 360」のファン回転数を1600RPMに固定してストレステストを実行したところ、「ENERMAX LIQTECH II 360」は殻割りクマメタル&銅製IHS化したCore i9 9900Kを全コア5.1GHzにOCしてもCPU温度を最大82度、平均76.8度に収めることができました。「ENERMAX LIQTECH II 360」に標準搭載されている冷却ファンは定格(最大)ファン回転数が2300RPMなのでまだ余力を残していますし、Core i9 9900Kの全コア5.1GHzオーバークロックの実用にも耐える優秀な冷却性能を発揮しています。
ENERMAX LIQTECH II 360_Core i9 9900K


さらにIntel新エンスー向けCPU Skylake-Xの最上位モデル、18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を使用して「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能をチェックしてみました。
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なお検証機材のCore i9 7980XEはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー

Core i9 7980XE DelidCore i9 7980XE_Delid_ba

Core i9 7980XEのOC設定は、「CPUクロック倍率:42」「CPUコア電圧:1.040V(固定モード)」「CPUキャッシュ倍率:30」「CPUキャッシュ電圧:1.100V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Level2」「SVIDサポート: Disabled」「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。
Core i9 7980XE_OC_BIOS (1)Core i9 7980XE_OC_BIOS (2)
Core i9 7980XE_OC_BIOS (3)Core i9 7980XE_OC_BIOS (4)

OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7980XE 定格の場合6~7分ほどなので同じ動画のエンコードを3つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 7980XE_Test

「ENERMAX LIQTECH II 360」のファン回転数を1600RPMに固定してストレステストを実行したところ、「ENERMAX LIQTECH II 360」は殻割りクマメタル化したCore i9 7980XEを全コア4.2GHzにOCしてもCPU温度を最大78度、平均74.8度に収めることができました。「ENERMAX LIQTECH II 360」に標準搭載されている冷却ファンは定格(最大)ファン回転数が2300RPMなのでまだ余力を残していますし、Core i9 7980XEの全コア4.2GHzオーバークロックの実用にも耐える優秀な冷却性能を発揮しています。
ENERMAX LIQTECH II 360_Core i9 7980XE



ENERMAX LIQTECH II 360のレビューまとめ

最後に360サイズ簡易水冷CPUクーラー「ENERMAX LIQTECH II 360(型番:ELC-LTTO360-TBP)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 水冷トップにアドレッサブルLEDイルミネーション搭載(付属コントローラーあり)
  • 水冷ポンプ用ファン端子からの給電のみでLEDイルミネーションが点灯可能
  • ARGB対応VD-G型3PIN LEDヘッダーに接続することでM/Bのライティング制御に対応
  • 5.0GHzに手動OCしたCore i7 7700Kを運用可能な冷却性能
  • 5.1GHzに手動OCしたCore i9 9900Kを運用可能な冷却性能
  • 4.2GHzに手動OCしたCore i9 7980XEを運用可能な冷却性能
  • バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
  • 水冷ブロックの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
悪いところor注意点
  • ファン・ラジエーター固定ネジの規格はM3.5
  • 水冷トップの外装がプラスチック製のためポンプ音が反響する
  • 水冷チューブが太めで若干取り回しが悪い

冷却性能の検証結果からもわかるように「ENERMAX LIQTECH II 360」はCore i7 7700Kの5.0GHz OCを静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。18年最新のメインストリームCPU最上位である8コア16スレッドのIntel Core i9 9900KやAMD Ryzen 7 2700Xであっても静音性を維持したまま余裕で対応可能な冷却性能が期待できます。
さらにCPU消費電力が200W以上に達するCore i9 9900Kの全コア5.1GHz OCや、400W以上に達するCore i9 7980XEの全コア4.2GHz OCの長時間負荷であっても、「ENERMAX LIQTECH II 360」に搭載された360サイズラジエーターの大きな放熱容量であれば問題なく御しきることができました。
とはいえメインストリーム向けCPUの定格運用と組み合わせて使用するには360サイズは過剰装備な感じもあるので、メインストリーム向けCPUで手動OCを行わない定格運用であれば、同シリーズ下位モデルで240サイズの「ENERMAX LIQTECH II 240」や280サイズの「ENERMAX LIQTECH II 280」が最適かもしれません。

マウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUクーラーを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。Asetek OEM系とはまた違った方式でしたが、設置しやすい良いマウント構造でした。

「ENERMAX LIQTECH II 360」の冷却性能については上述のとおり360サイズ簡易水冷CPUクーラーらしい優秀なパフォーマンスを実現していますが、18年現在、簡易水冷CPUクーラーで主流なAsetek OEMの360サイズ製品と比較すると水冷ヘッドの熱交換性能が今一歩及ばない感じでした。240サイズや280サイズであれば、使い勝手やLEDイルミネーションなど他にも重視するポイントがあるので問題ないかもしれませんが、数度の温度差であっても最高の冷却性能が要求される360サイズとしては少々難しい結果に終わったかと思います。

水冷ポンプを最大回転にした時のポンプノイズ、正確には水冷トップ側面外装との反響によるノイズは「ENERMAX LIQTECH II 360」を検証していて一番気になったところでした。ファン回転数が低い(低負荷)なシーンでは合わせてポンプ回転数も下げればいいという対処法はあるものの、それ以前の問題としてLIQTECH TR4 IIをみるに外装がプラスチック製ではなく金属製であれば回避できた問題なので残念でした。LIQTECH III等の後継モデルで改善に期待したいところです。

あとLIQTECH TR4 IIは水冷トップの根本がストレートのロータリーになっていたのでチューブ方向に回すことができましたが、LIQTECH IIは水冷トップの根本がL字エルボーのロータリーのためチューブ方向に回すことができません。LIQTECH TR4 IIではチューブを回せることでチューブの太さによる曲げ難さが緩和されていましたが、LIQTECH IIではL字エルボーの根本の可動なのでチューブの取り回しに若干の難を感じました。近年のAsetek OEM系製品は細くて取り回しの良いチューブが採用されているので、ここもLIQTECH IIシリーズのマイナスポイントと言えるかもしれません。

「ENERMAX LIQTECH II 360」には近年流行りのアドレッサブルLEDイルミネーションが水冷トップに内蔵されています。この種の製品は内部USBヘッダーに接続したりと、何かとケーブルが増えて配線が煩雑になりがちですが、「ENERMAX LIQTECH II」シリーズでは水冷ポンプの電源供給用ファン端子ケーブル単独でもLEDイルミネーションを点灯させることができ、シンプルな配線で豪華なライトアップが可能になるところは魅力です。
もちろん製品公式ページで紹介されている通り、付属コントローラーやマザーボード機能によるライティング制御にも対応しています。

簡易水冷CPUクーラー市場で主流なAsetek OEM製品との比較にどうしてもなってしまうため若干辛口な評価にはなりましたが、「ENERMAX LIQTECH II 360」は360サイズラジエーターを搭載した簡易水冷CPUクーラーとしては十分な冷却性能を発揮しています。CPUクーラーのマウント構造も使いやすく、水冷トップのアドレッサブルLEDイルミネーションの豪華さとケーブル1本でも点灯させることができる導入の容易さも魅力です。


以上、「ENERMAX LIQTECH II 360」のレビューでした。
ENERMAX LIQTECH II 360



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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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